JP6510771B2 - チタン又はチタン合金のミーリング加工用の被覆切削工具及びその製造方法 - Google Patents

チタン又はチタン合金のミーリング加工用の被覆切削工具及びその製造方法 Download PDF

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Description

本発明は、スパッタリング法で被覆した硬質皮膜を有するチタン又はチタン合金のミーリング加工用の被覆切削工具及びその製造方法に関するものである。
チタン又はチタン合金は、比強度が高く、耐食性に優れることから日常生活品から航空機部品に至るまで極めて広い範囲で使用されている。一方で、チタン又はチタン合金は一般的な鋼等に比べて熱伝導率が低く切削加工の際に工具刃先の温度上昇が大きくなって早期に工具寿命に到達するため難削材としても知られている。通常、切削工具の耐久性を向上させるために、セラミックスからなる各種硬質皮膜を被覆した被覆切削工具が適用されている。各種の被覆手段の中でも、多元系の硬質皮膜を高い密着性を有した状態で被覆できる物理蒸着法が広く適用されている。
特開2005−262389号公報 特開2008−254116号公報 特開2008−284637号公報 特開2008−284638号公報
チタン合金の切削加工において、物理蒸着法であるアークイオンプレーティング法やスパッタリング法で硬質皮膜を被覆した被覆切削工具を適用することが開示されている(特許文献1、2)。しかし、チタン合金の加工では、切削時に被削材が刃先に凝着し、これが脱落するときに皮膜が一緒に剥離する現象が生じ易い。また、皮膜内部の欠陥を起点に皮膜破壊が早期発生するため硬質皮膜の効果が得られ難い。
硬質皮膜の密着性を改善するため、基材となるWC基超硬合金を改良した被覆切削工具が提案されている(特許文献3、4)。しかし、これらの基材は微粒層と粗粒層を積層させた構造からなり、組成及びWC平均粒径が異なるものを積層させて作製することから、一般的なWC基超硬合金の基材に比べて製造工程が複雑でコストが増加する。また、積層構造からなる基材ではチタン合金の断続切削であるミーリング加工においては強度が十分ではない。
本発明はこのような事情に鑑みてされたものであり、一般的なWC基超硬合金を適用した被覆切削工具で、硬質皮膜の早期剥離を抑制できるチタン又はチタン合金のミーリング加工用の被覆切削工具及びその製造方法を提供するものである。
本発明者はチタン又はチタン合金の切削加工においては、硬質皮膜に含まれる欠陥が起点となって早期に皮膜破壊が発生して工具寿命に達することを確認した。そして硬質皮膜の早期破壊を抑制できる具体的な皮膜構造を見出して本発明に到達した。
すなわち本発明は、WC基超硬合金を基材とする切削工具の少なくとも刃先部に硬質皮膜が形成された被覆切削工具であって、前記基材はWC平均粒径が0.2〜3.0μmであり、かつ、単層構造であり、前記硬質皮膜はスパッタリング法で形成され、前記硬質皮膜の算術平均粗さRaが60nm以下であり、前記硬質皮膜の最大高さRzが3000nm以下であるチタン又はチタン合金のミーリング加工用の被覆切削工具である
には、硬質皮膜の膜厚は3.0μm以下であることが好ましい。
更には、硬質皮膜は金属部分の原子比率でチタンの含有比率が85%(原子%)以上であることが好ましく、更には窒化物であることが好ましい。
また、本発明は、平均粒径が0.2〜3.0μmの単層構造からなるWC基超硬合金を基材とする切削工具の少なくとも刃先部を算術平均粗さRaが60nm以下にする工程と、前記基材の表面に算術平均粗さRaが60nm以下になるよう硬質皮膜をスパッタリング法で被覆する工程と、を有するチタン又はチタン合金のミーリング加工用被覆切削工具の製造方法である。更には、スパッタリング法で膜厚が3.0μm以下の硬質皮膜を被覆することが好ましい。更には、前記硬質皮膜は金属部分の原子比率でチタンを85%(原子%)以上を含有することが好ましく、更には窒化物であることが好ましい
本発明によれば、硬質皮膜の早期破壊が抑制できる密着性に優れたチタン又はチタン合金加工用の被覆切削工具を達成することができる。また、単層構造からなる一般的なWC基超硬合金を適用して工具寿命に優れるチタン又はチタン合金加工用被覆切削工具を製造することができる。また、本発明の被覆切削工具をチタン又はチタン合金のミーリング加工に用いることで、より優れた工具寿命を発揮することができる。
本発明例である試料No.1の基材であるソリッドエンドミルの逃げ面の表面プロファイルである。 比較例である試料No.10の基材であるソリッドエンドミルの逃げ面の表面プロファイルである。 本発明例である試料No.1の断面観察写真である。
本発明者はチタン又はチタン合金の切削加工において硬質皮膜の早期剥離を抑制するため、汎用的に用いられているチタン合金であるJIS60種(Ti−6Al−4V合金)を用いて被覆切削工具の損傷メカニズムを研究した。なお、本発明の被覆切削工具はJIS60種のチタン合金に限定されるものではなく、その他のチタン合金や純チタンの切削加工にも適用することができる。
一般的な鋼等の切削加工で発生した熱は、大部分が切り屑に伝達し放熱される。一方、熱伝導率の低いチタン又はチタン合金の切削加工の場合、切り屑へ熱が伝達しづらく大部分の熱は切削工具及び被削材に伝達する。そして、本発明者の検討によると、チタン合金の切削加工で発生する熱は数ミリ秒で800℃程度まで上昇することを確認した。このことから、チタン又はチタン合金の切削加工では工具刃先の急激な温度上昇による熱衝撃が加わると推測される。
脆性材料であるセラミックスは、破壊靱性値が低く熱衝撃に弱い。そのため、セラミックからなる硬質皮膜の内部に破壊の起点となりうる欠陥が存在すると、熱衝撃によって膨張収縮が生じた場合に欠陥を起点として破壊が生じ易くなる。
一般的に切削工具においては、物理蒸着法の中でも特に基材との密着性が優れるアークイオンプレーティング法によってセラミックスからなる硬質皮膜が被覆されている。しかし、チタン又はチタン合金の切削加工では、不可避的に含まれるドロップレットが起点となり切削初期から硬質皮膜の破壊が発生することが判明した。
一方、スパッタリング法で被覆した硬質皮膜はアークイオンプレーティング法で被覆した硬質皮膜に比べて密着性が乏しいが、ドロップレットを殆ど含有しない。そこで、チタン合金の加工においては、あえてアークイオンプレーティング法よりも密着性が劣るスパッタリング法を適用してドロップレットを起点とする硬質皮膜の破壊を抑制することを検討した。しかし、スパッタリング法で被覆した被覆切削工具においては、基材の研削痕や硬質皮膜の凹凸に応力が集中して皮膜破壊が発生することを確認した。
本発明者は、チタン合金の加工において、スパッタリング法によって被覆した硬質皮膜の早期破壊を抑制するためには、被覆前の基材の表面粗さを一定以下に平滑にして基材表面の凹凸を減少させることで、硬質皮膜を平滑にすることが重要であることを知見した。そして、基材を平滑研磨して、スパッタリング法で被覆した硬質皮膜の表面の算術平均粗さRa(JIS−B−0601−2001に準拠)を60nm以下とすることで、硬質皮膜の早期剥離を抑制できることを確認した。より好ましくは硬質皮膜のRaを50nm以下である。更には硬質皮膜のRaを40nm以下とすることが好ましい。基材の凹凸を減少させるには、硬質皮膜は算術平均粗さRaが60nm以下の基材の形成することが好ましい。基材を平滑にしても、硬質皮膜の平均粗さが低下すれば切削抵抗が低下するので、更には、硬質皮膜のRaは被覆前の基材のRaよりも小さい方が好ましい。
本発明で規定する表面粗さは、非接触表面形状測定機を用いて測定する。測定個所は、刃先部付近の逃げ面またはすくい面における0.04mm以上の測定面積から求めればよい。
上記の算術平均粗さを満たしたとしても、局所的に大きな凹凸があれば工具寿命が短くなる可能性がある。そのため、基材および硬質皮膜の最大高さRz(JIS−B−0601−2001に準拠)を3000nm以下とすることが好ましい。特に、基材に局所的に大きな凹凸があれば工具寿命が低下する傾向にあるので、基材のRzは硬質皮膜のRzよりも小さい方が好ましい。
本発明で使用する基材は従来知られている平均粒径が0.2〜3.0μmのWC基超硬合金を適用することができる。WC平均粒径がこれよりも微粒になると工具の靭性が低下する傾向にある。また、WC平均粒径がこれよりも粗粒になると工具の耐摩耗性が低下する傾向にある。特に、基材のWC平均粒径が1.5μm以下であると、刃先がシャープエッジとなって切削性能が向上するので好ましい。本発明のWC平均粒径は、鏡面加工した基材をエッチングした後に電子顕微鏡で10,000〜20,000倍で観測し、その観察画像から画像解析ソフトを用いて円相当径の平均粒径から求めることができる。
本発明において単層構造とは、一種類の混合粉末を形成して得られる一般的なWC基超硬合金である。特許文献3、4のような組成やWC平均粒径が異なる混合粉末を2回に分けてプレス成型して形成する積層構造からなる基材では、チタン合金の断続切削であるミーリング加工においては強度が十分ではない。
本発明において、硬質皮膜の硬度は、ナノインデンテーション法で測定した硬度が20GPa以上であることが耐摩耗性を高めるために好ましい。更に好ましくは25GPa以上である。本発明の硬質皮膜は、窒化物、炭窒化物、炭化物、硼化物等を適用することができる。
本発明者の検討によると、硬質皮膜がチタンを含有することで熱伝導率が高まる傾向にあり切削加工時に硬質皮膜への蓄熱が少なくなり熱衝撃による皮膜の損傷が抑制され易くなる。これらの効果を得るには、硬質皮膜は金属部分の原子比率でチタンを85%(原子%)以上とすることが好ましい。更には、金属部分の原子比率でチタンを90%(原子%)以上が好ましい。更には、金属部分の原子比率でチタンを95%(原子%)以上がより好ましい。更には、硬質皮膜の金属部分がチタンからなることが好ましい。
また、硬質皮膜は、耐摩耗性および耐熱性が優れる傾向にある窒化物又は炭窒化物とすることが好ましい。更に好ましくは窒化物である。
本発明において、硬質皮膜の膜厚は、チタン又はチタン合金の加工における耐熱衝撃性と耐摩耗性を考慮すると0.5〜5.0μmとすることが好ましい。チタン又はチタン合金の加工においては、硬質皮膜の膜厚が厚くなると、熱量が硬質皮膜の内部に蓄熱して熱影響による歪が生じ易くなる。そのため、切削加工中の熱量を硬質皮膜の内部に蓄熱させずに基材に瞬時に伝達させるには膜厚の上限は3.0μm以下とすることが特に好ましい。より好ましくは2.0μm以下である。更には、1.5μm以下である。硬質皮膜により優れた耐摩耗性を付与するために膜厚の下限は0.7μm以上であることが好ましい。更には1.0μm以上であることが好ましい。
本発明の被覆切削工具は、刃先交換式のインサートチップ、ドリルやエンドミルに適用することができる。特に、熱の増減の激しい断続切削であるミーリング加工に適用することで優れた工具寿命となり好ましい。
基材の表面粗さは、砥石研削、バレル研磨、ブラスト処理等を適用して調整することができる。硬質皮膜の表面粗さは、基材を平滑に研摩することに加えて、被覆時の基材の温度、炉内圧力、ターゲットへの投入電力、基材に印加するバイアス電圧、成膜時間等により調整することができる。
本発明で採用するスパッタリング法とは、例えば、DC(直流)スパッタリング法、RF(高周波)スパッタリング法、非平衡マグネトロンスパッタリング法、パルス電源を利用したスパッタリング等の他には、HIPIMS(High Power Impulse Magnetron Sputtering)やHPPMS(High Power Pulse Magnetron Sputtering)等に代表されるターゲット成分のイオン化率が高い、高出力パルスマグネトロンスパッタリング法を適用することができる。
ターゲットへ投入する平均の電力密度が低くなると硬質皮膜に含まれる空隙が増加して皮膜の密着性が低下する傾向にある。また、ターゲットへ投入する平均の電力密度が高くなると硬質皮膜の表面状態が粗くなる傾向にある。そのため、ターゲットへ投入する平均の電力密度を7.0〜15.0W/cmとすることが好ましい。また、皮膜の密着性を高めて硬質皮膜をより平滑にするには、被覆時の基材温度は450〜550℃とすることが好ましい。また、被覆時の炉内圧力は0.40〜0.70Paとすることが好ましい。
被覆時に基材に印加する負圧のバイアス電圧が小さくなると硬質皮膜の内部に空隙が発生し易くなる。また、負圧のバイアス電圧が大きくなると成膜と同時にエッチングが生じるため、成膜速度が遅くなるとともに皮膜の組成、膜厚の制御が困難となる。よって、スパッタリング法で硬質皮膜を被覆する際には、基材に印加する負圧のバイアス電圧を−80〜−160Vとすることが好ましい。
基材には、一種類の混合粉末から形成した、組成が、WC(bal.)−Co(11質量%)−TaC(0.4質量%)−Cr3C2(0.9質量%)の単層構造からなり、硬度が92.4HRAのソリッドエンドミル(Φ10×2枚刃 日立ツール株式会社製 HES2100)を準備した。
ソリッドエンドミルは、JIS R 6001(研削といし用研磨材の粒度)の粒度で♯400または♯1000のダイヤモンド砥石を用いて加工した。
加工後、ZYGO製の非接触表面形状測定機(NewViewTH7300)を用いて、逃げ面の算術平均粗さRaと最大高さRzを測定した。測定面積は0.28mm×0.21mmとした。
WC平均粒径の測定には、Media Cybernetics社製の画像解析ソフト(Image−Pro Plus)を用いた。ソリッドエンドミルを鏡面研磨し、村上試薬で0.5分、王水で3分間エッチングして、電子顕微鏡を用いて倍率10k倍で観察を行った。そして、2mmの範囲に存在するWC粒子の円相当径の平均粒径を測定した。実施例で使用したソリッドエンドミルのWC平均粒径は約0.5μmであることを確認した。
試料No.1〜7、10はDCスパッタリング法で硬質皮膜を被覆した。ターゲットには、1000mm×170mm、厚み12mmのターゲットを準備した。
成膜装置内のヒーターにより基材温度が500℃になった状態で90分間の加熱を行い、真空容器(チャンバー)内の圧力が4.5×10−3Paに達した後、Arガスを真空容器内に導入し、炉内の圧力を0.1Paとした。そして、基材に‐200Vの直流バイアス電圧を印加して、Arイオンによる基材のクリーニングを15分間実施した。
その後、容器内の圧力を1×10−3Paに真空排気して、基材の温度を500℃の一定とし、一定流量のArガス400ml/分のもとで、容器内の圧力が0.55PaになるようにNガスを導入した。そして、ターゲットへ投入する平均の電力密度を8.8W/cmとし、基材に負圧のバイアス電圧を印加して硬質皮膜を被覆した。
試料No.11〜15はアークイオンプレーティング法で硬質皮膜を被覆した。ターゲットには、φ105mm、厚み16mmのターゲットを準備した。上記のスパッタリング法と同様に、まずArイオンによる基材のクリーニングを5分間実施した。続いて、容器内の圧力を1×10−3Paに真空排気して、基材の温度を500℃の一定とし、容器内の圧力が3PaになるようにNガスを導入した。そして、基材に負圧のバイアス電圧を印加して、カソードに150Aの電流を供給して硬質皮膜を被覆した。
なお、試料No.12、14、15は、硬質皮膜の表面を平滑にするために、株式会社ヤマシタワークス製エアロラップ(登録商標)装置(AERO LAP YT−300)を使用して表面のドロップレットを除去した。
試料No.16は、硬質皮膜を被覆しなかった。各試料の作製条件について表1に示す。
株式会社エリオニクス製のナノインデンテーション装置を用いて皮膜表面の硬度を測定した。押込み荷重9.8mN、最大荷重保持時間1秒、荷重負荷後の除去速度0.49mN/秒の測定条件で10点測定し、値の大きい2点と、値の小さい2点を除いた6点の平均値から求めた。硬質皮膜の表面粗さをZYGO製の非接触表面形状測定機(NewViewTH7300)を用いて測定した。測定面積は0.28mm×0.21mmとした。硬質皮膜の組成は波長分散型電子線プローブ微小分析(WDS−EPMA)により測定した。硬質皮膜の組成、膜厚、硬度、表面粗さについて表2に示す。
以下の条件で切削試験を行った。切削試験による逃げ面の損傷状態および皮膜損傷幅について表2に示す。
切削方法:側面切削
被削材:チタン合金(Ti−6Al−4V 溶体化処理)
切込み:軸方向6mm、径方向0.3mm
切削速度:60m/min
一刃送り量0.04mm/tooth
切削油:水溶性切削油
切削距離:1m
本発明例である試料No.1〜7は硬質皮膜の損傷が少なくなった。図1と図2に本発明例である試料No.1と比較例である試料No.10の硬質皮膜を被覆前の工具の逃げ面における表面プロファイルを示す。本発明例は凹凸が少なく平滑な表面状態であることが確認される。本発明例は、基材を平滑研磨したことで硬質皮膜が平滑になり、切削加工中に応力集中が少なく皮膜の摩耗が抑制されたと推定される。
本発明例を同一組成で比較した場合、膜厚が薄い方が皮膜内部に蓄熱し難いため硬質皮膜の損傷が抑制される傾向にあった。また、膜厚がほぼ同じである試料No.3、6、7の比較から、硬質皮膜の金属部分がチタンからなる窒化物は摩耗幅が特に少ない傾向にあった。これは、金属部分の原子比率でチタンを多く含有する硬質皮膜は、他の組成系の皮膜に比べて熱伝導率が高くなり皮膜に蓄積される熱が減少して皮膜への熱衝撃が減少したたためと推定される。
そして、本発明例の被覆切削工具の構造を確認するため断面観察を行った。図3に試料No.1の断面観察写真を示す。本発明例の基材は均一な組織形態であることが確認される。また、基材と硬質皮膜の界面が平滑であり、スパッタリング法で被覆した硬質皮膜であるため、アークイオンプレーティング法で被覆した硬質皮膜のようなドロップレットは確認されない。
従来、硬質皮膜の早期破壊が発生していたチタン合金の切削加工において、本発明例の被覆切削工具を用いることで硬質皮膜の損傷が抑制されることが確認された。
比較例である試料No.10は基材の表面粗さが粗く、スパッタリング法で被覆した硬質皮膜の算術平均粗さRaも100nm以上となり、硬質皮膜の微小割れが発生して本発明よりも損傷が大きくなった。
アークイオンプレーティング法で被覆した試料No.11〜15は、いずれも早期に硬質皮膜の割れが発生して皮膜損傷幅が大きくなった。試料No.12、14、15は表面を平滑化したが、硬質皮膜の内部に含まれるドロップレットが起点となり皮膜破壊が発生した。
硬質皮膜を被覆していない試料No.16は、エッジダレが発生した。

Claims (7)

  1. WC基超硬合金を基材とする切削工具の少なくとも刃先部に硬質皮膜が形成された被覆切削工具であって、前記基材はWC平均粒径が0.2〜3.0μmであり、かつ、単層構造であり、前記硬質皮膜はスパッタリング法で形成され、前記硬質皮膜は算術平均粗さRaが60nm以下であり、最大高さRzが3000nm以下であり、前記硬質皮膜は金属部分の原子比率でチタンを85%(原子%)以上を含有し、前記硬質皮膜の膜厚は0.7〜5.0μmであることを特徴とするチタン又はチタン合金のミーリング加工用の被覆切削工具。
  2. 前記硬質皮膜は算術平均粗さRaが60nm以下の基材に形成されたものであることを特徴とする請求項1に記載のチタン又はチタン合金のミーリング加工用の被覆切削工具。
  3. 前記硬質皮膜の膜厚が3.0μm以下であることを特徴とする請求項1または2に記載のチタン又はチタン合金のミーリング加工用の被覆切削工具。
  4. 前記硬質皮膜は窒化物であることを特徴とする請求項3に記載のチタン又はチタン合金のミーリング加工用の被覆切削工具。
  5. WC平均粒径が0.2〜3.0μmの単層構造からなるWC基超硬合金を基材とする切削工具の少なくとも刃先部を算術平均粗さRaが60nm以下にする工程と、
    前記基材の表面に算術平均粗さRaが60nm以下になるよう硬質皮膜をスパッタリング法で被覆する工程と、を有し、前記硬質皮膜は金属部分の原子比率でチタンを85%(原子%)以上を含有し、前記硬質皮膜の膜厚は0.7〜5.0μmであることを特徴とするチタン又はチタン合金のミーリング加工用被覆切削工具の製造方法。
  6. 前記スパッタリング法で膜厚が3.0μm以下の硬質皮膜を被覆することを特徴とする請求項に記載のチタン又はチタン合金のミーリング加工用被覆切削工具の製造方法。
  7. 前記硬質皮膜は窒化物であることを特徴とする請求項に記載のチタン又はチタン合金のミーリング加工用被覆切削工具の製造方法。
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