JP2827597B2 - 硬質層被覆超硬合金製切削工具およびその製造法 - Google Patents

硬質層被覆超硬合金製切削工具およびその製造法

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JP2827597B2 JP20259991A JP20259991A JP2827597B2 JP 2827597 B2 JP2827597 B2 JP 2827597B2 JP 20259991 A JP20259991 A JP 20259991A JP 20259991 A JP20259991 A JP 20259991A JP 2827597 B2 JP2827597 B2 JP 2827597B2
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Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】この発明は、従来よりも結晶粒の
微細な炭窒化チタン単一硬質層を被覆した硬質層被覆超
硬合金製切削工具およびその製造法に関するものであ
り、この製造法で製造された硬質層被覆超硬合金製切削
工具は、中低速および高速の連続切削だけでなく、フラ
イス切削などの断続切削に用いた場合にも優れた切削性
能を示すものである。
【0002】
【従来の技術】一般に、結合相形成成分として、鉄族金
属のうち1種または2種以上を含有し、さらに必要に応
じて周期律表の4a、5a、および6a族金属の炭化
物、窒化物、炭窒化物を0.5〜30重量%含有し、残
りが炭化タングステン(以下、WCと記す、)および不
可避不純物からなる超硬合金基体(以下、超硬合金基体
という)の表面に、TiCN層を物理蒸着法により被覆
してなる硬質層被覆超硬合金製切削工具は知られている
(特開昭52−10871号公報参照)。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】しかし、上記従来の物
理蒸着法により形成されたTiCN層は、結晶粒径は粗
大であるために靭性が不足して亀裂が発生して剥離しや
すく、したがって、(1) 従来の物理蒸着法により形
成されたTiCN層を有する硬質層被覆超硬合金製切削
工具を、フライス切削などの断続切削に用いた場合には
TiCN硬質層が剥離してその部分から欠損が発生し、
(2) さらに、上記従来の硬質層被覆超硬合金製切削
工具を用いて、中低速連続切削を行なうと逃げ面摩耗が
激しく、また、高速連続切削を行なうとクレーター摩耗
が激しいために、連続切削速度に応じて硬質層被覆超硬
合金製切削工具を使い分けしなければ満足のいく使用寿
命が得られないにもかかわらず、かかる切削工具の使い
分けは面倒であるところから切削工具の使い分けはあま
り行われておらず、そのために十分な切削寿命が得られ
ていない、などの課題があった。
【0004】
【課題を解決するための手段】そこで、本発明者らは、
上述のような課題を解決し、中低速および高速の連続切
削だけでなく、フライス切削などの断続切削に用いた場
合にも一層の長寿命を示す硬質層被覆超硬合金製切削工
具を得るべく研究を行った結果、超硬合金基体の表面に
炭窒化チタンの単一硬質層を被覆してなる硬質層被覆超
硬合金製切削工具において、上記炭窒化チタンの単一硬
質層の組成ををTi(CxNy)[ただし、x+y=
1]で表すと、上記炭窒化チタンTi(CxNy)単一
硬質層の、xを、上記炭窒化チタン単一硬質層の最内面
と最外面の間で少なくとも1つの極大値または極小値を
とり、これに対応して、yを、上記炭窒化チタン単一硬
質層の最内面と最外面の間で少なくとも1つの極小値ま
たは極大値をとるようにCおよびNの濃度をそれぞれ変
化せしめると、上記Ti(CxNy)単一硬質層全体の
結晶粒が微細化し、強靭で耐剥離性に優れた硬質層被覆
超硬合金製切削工具が得られるという知見を得たのであ
る。
【0005】この発明は、かかる知見にもとづいて成さ
れたものであって、超硬合金基体の表面に、Ti(Cx
Ny)[ただし、x+y=1]で示される組成を有する
炭窒化チタン単一硬質層を被覆してなる切削工具におい
て、上記炭窒化チタンTi(CxNy)単一硬質層の、
xは、上記炭窒化チタン単一硬質層の最内面と最外面の
間で少なくとも1つの極大値または極小値をとり、これ
に対応して、yは、上記炭窒化チタン単一硬質層の最内
面と最外面の間で少なくとも1つの極小値または極大値
をとるようにCおよびNの濃度が変化している硬質層被
覆超硬合金製切削工具、並びにその製造法、に特徴を有
するものである。
【0006】この発明の硬質層被覆超硬合金製切削工具
における炭窒化チタン単一硬質層を形成するには、図1
に示される物理蒸着装置を用いる。図1において、1は
反応炉、2は反応ガス導入口、3は基体、4はルツボ、
5は放電用電極、6は金属チタン、7は電子ビーム、8
はヒーター、9はマスフローコントローラー、10は真
空計、11は圧力コントローラーである。
【0007】反応炉1内に基体3を挿入し、反応炉1内
を所定の温度に加熱し、さらに反応炉1内に設置された
ルツボ4内に金属チタン6を充填したのち、反応炉1の
内部を真空に保持し、マスフローコントローラー9から
反応ガス導入口2を通してArガスを導入し、反応炉1
内をArガス雰囲気に保持して基体3をボンバードクリ
ーニングし、ついで上記Arガスを反応炉1から排出し
たのち窒素ガスおよび炭化水素ガスを導入し、電子ビー
ム7を金属チタン6に照射して溶融蒸発させ、放電用電
極5に正の電圧を印加し、放電用電極5と溶融金属チタ
ン6の間に電子ビーム7が溶融金属チタン6に衝突して
発生させた二次電子と、溶融金属チタン6の表面から蒸
発した金属蒸気によって放電を生起させる。上記窒素ガ
スおよび炭化水素ガスを導入するマスフローコントロー
ラー9は、真空計10と接続した圧力コントローラー1
1により制御される。
【0008】圧力コントローラー11によりマスフロー
コントローラー9を制御し、上記反応炉1に導入する窒
素ガスと炭化水素ガスからなる反応混合ガスを、例え
ば、図2のグラフに示されるように、物理蒸着の進行に
ともなって、窒素ガス導入量を連続的に減少させて極小
値Qminに至らしめ、続けて、上記極小値Qminか
ら連続的に増加するように供給し、これに反比例するよ
うに炭化水素ガスを連続的に増加するように供給して極
大値Qmaxに至らしめ、続けて、上記極大値Qmax
から連続的に減少するように供給する。
【0009】上記極小値Qminとは、反応ガス導入量
が減少から増加に変化する点の値であり、さらに、炭窒
化チタンTi(CxNy)[ただし、x+y=1]単一
硬質層の成分濃度曲線が上記炭窒化チタン単一硬質層の
最内面と最外面の間で谷底を示す値である。極大値Qm
axとは、反応ガスの導入量が増加から減少に変化する
点の値を示し、また、成分濃度曲線が上記炭窒化チタン
単一硬質層の最内面と最外面の間で山頂を示す値であ
る。
【0010】窒素ガス導入量および炭化水素ガス導入量
は、断続的に変化させても良いが、連続的に変化させる
ほうが好ましく、図2のグラフでは、窒素ガス導入量お
よび炭化水素ガス導入量を曲線的に連続して変化させて
いるが、これに限定されるものではなく、図3に示され
るように、直線的に連続して変化させてもよい。
【0011】また、図4に示されるように、物理蒸着の
進行にともなって、窒素ガス導入量を連続的に増加させ
て極大値Qmaxに至らしめ、続けて、上記極大値Qm
axから連続的に減少するように供給し、これに反比例
するように炭化水素ガスを連続的に減少するように供給
して極小値Qminに至らしめ、続けて、上記極小値Q
minから連続的に増加するように供給してもよい。
【0012】さらに、図5および図6に示されるよう
に、窒素ガス導入量の極小値Qminおよび極大値Qm
axがそれぞれ1個以上存在し、同時に炭化水素ガスの
極大値Qmaxおよび極小値Qminがそれぞれ1個以
上存在するように連続的に供給してもよい。
【0013】このようにして反応炉1に窒素ガスと炭化
水素ガスの導入量を変化させながら反応混合ガスを導入
して得られた炭窒化チタン単一硬質層をTi(CxN
y)[ただし、x+y=1]で表すと、xおよびyの値
は、反応ガスとして窒素ガスと炭化水素ガスの混合ガス
を導入する関係から、それぞれ0.005≦x≦0.9
95および0.005≦y≦0.995の範囲内で、上
記図2〜図6の反応混合ガスの供給パターンと類似パタ
ーンのCおよびNの濃度分布を示す。
【0014】この発明の方法で示されるように、反応混
合ガスとして、窒素ガスと炭化水素ガスをその供給量を
変化させながら導入すると、形成された炭窒化チタン単
一硬質層は、特に結晶粒が微細化するので靭性が向上
し、さらに超硬合金基体に接する最内面でTiNが最大
成分として含まれるようにした炭窒化チタン単一硬質層
は、超硬合金基体に対する付着性が一層優れたものとな
る。したがって、この発明の硬質層被覆超硬合金製切削
工具は、中低速から高速の広範囲の切削速度を有する連
続切削に適用できるだけでなく、フライス切削などの断
続切削にも優れた効果を奏するものである。
【0015】この炭窒化チタン単一硬質層の厚さは、2
0μm以下であることが好ましい。20μmを越えると
切削時に基体との間に熱膨脹の差が大きくなり、亀裂が
生じて剥離しやすくなる。一方、上記単一硬質層が0.
5μm未満では硬質層剥離抑制効果が十分でないために
0.5μm以上であることが好ましい。
【0016】
【実施例】つぎに、この発明の硬質層被覆超硬合金製切
削工具およびその製造法の実施例を図面に基づいて具体
的に説明する。
【0017】実施例1 原料粉末として、それぞれ平均粒径:1.2μmのCo
粉末、TiC粉末、TaC粉末、WC粉末を用意し、こ
れら粉末を、Co粉末:9重量%、TiC粉末:1重量
%、TaC粉末:2重量%、残り:WC粉末となるよう
に配合し、混合したのち、圧粉体に成型し、この圧粉体
を通常の条件で焼結して焼結体を製造し、この焼結体を
研削してISO規格TNGA160408の形状を有
し、ISO規格P30相当の材質を有するWC基超硬合
金製チップを作製した。
【0018】つぎに、このWC基超硬合金製チップを基
体とし、図1の通常のイオンプレーティング装置内の反
応炉1の上方に装着し、一方、上記イオンプレーティン
グ装置内の反応炉1の下方に設置されたルツボ4内に
は、Ti金属6を充填した。かかる状態で上記イオンプ
レーティング装置の反応炉1内を1×10-5Torrの
真空に保持し、昇温速度:6℃/min.で700℃に
昇温させた。
【0019】この温度に保持しながら、マスフローコン
トローラー9から反応ガス導入口2を通してArガスを
供給し、5×10-2TorrのArガス雰囲気に保持し
てボンバードクリーニングした。
【0020】ついで、Ti金属6を電子ビーム7より加
熱蒸発させるとともに、マスフローコントローラー9を
切り替えて反応ガス導入口2より窒素ガス:99.95
容量%、アセチレンガス:0.05%の混合ガスとなる
ように導入してスタートし、使用済みの反応混合ガス
は、排気口より排気させながらイオンプレーティング装
置の反応炉1内の圧力を真空計10により2.0×10
-4Torrに維持し、上記窒素ガスを図7の実線で示さ
れるように供給すると同時にアセチレンガスを図7の点
線で示されるように供給した。
【0021】図7において、反応混合ガスは、窒素ガス
を99.5容量%、アセチレンガスを0.5容量%の混
合割合でスタートし、窒素ガス供給量をリニアに減少さ
せ、一方、アセチレンガスはリニアに増加させ、50分
経過した時点では窒素ガスを0.5容量%、アセチレン
ガス:99.5容量%の混合割合となるようにし、10
0分経過した時点では窒素ガスを99.5容量%、アセ
チレンガスを0.5容量%の混合割合となるようにリニ
アに変化させて供給することを示している。
【0022】上記のように、窒素ガスとアセチレンガス
の量を反比例するように連続的に変化させながら物理蒸
着を行い、上記WC基超硬合金製チップの表面に厚さ:
5μmを有する炭窒化チタン単一硬質層を被覆してなる
本発明硬質層被覆超硬合金製チップ1を10個製造し
た。
【0023】上記10個の本発明硬質層被覆超硬合金製
チップ1の内の任意の1個を取り出し、その表面に形成
された厚さ:5μmの炭窒化チタン単一硬質層のオージ
ェ分析による深さ方向のポイント分析してTiNおよび
TiCのスペクトル強度を求め、このスペクトル強度に
基ずくTiN/TiCのファクター解析を行ったとこ
ろ、図8に示されるCおよびNの層厚深さ方向の濃度分
布が得られた。
【0024】さらに、上記炭窒化チタン単一硬質層をX
線回折し、(200)面の半価幅を用いてScherr
erの式により平均結晶粒径を算出してその結果を表1
に示した。
【0025】実施例2 実施例1で作製したWC基超硬合金製チップを実施例1
と同様にイオンプレーティング装置内でボンバードクリ
ーニングし、ついで、Ti金属6を電子ビーム7より加
熱蒸発させるとともに、マスフローコントローラー9を
切り替えて反応ガス導入口2より窒素ガス:0容量%、
アセチレンガス:100%の混合ガスとなるように導入
してスタートし、使用済みの反応混合ガスは、排気口よ
り排気させながらイオンプレーティング装置の反応炉1
内の圧力を真空計10により2.0×10-4Torrに
維持し、上記窒素ガスを図9の実線で示されるように供
給すると同時にアセチレンガスを図9の点線で示される
ように供給した。
【0026】図9において、反応混合ガスは、窒素ガス
を0.5容量%、アセチレンガスを99.5容量%の混
合割合でスタートし、窒素ガス供給量をリニアに増加さ
せ、一方、アセチレンガスはリニアに減少させ、40分
経過した時点では窒素ガスを99.5容量%、アセチレ
ンガスを0.5容量%の混合割合となるようにし、10
0分経過した時点では窒素ガスを0.5容量%、アセチ
レンガスを99.5容量%の混合割合となるようにリニ
アに変化させて供給することを示している。
【0027】上記のように、窒素ガスとアセチレンガス
の量を反比例するように連続的に変化させながら物理蒸
着を行い、上記WC基超硬合金製チップの表面に厚さ:
5μmを有する炭窒化チタン単一硬質層を被覆してなる
本発明硬質層被覆超硬合金製チップ2を10個製造し
た。
【0028】上記10個の本発明硬質層被覆超硬合金製
チップ2の内の任意の1個を取り出し、その表面に形成
された厚さ:5μmの炭窒化チタン単一硬質層のオージ
ェ分析による深さ方向のポイント分析してTiNおよび
TiCのスペクトル強度を求め、このスペクトル強度に
基ずくTiN/TiCのファクター解析を行ったとこ
ろ、図10に示されるCおよびNの層厚深さ方向の濃度
分布が得られた。
【0029】さらに、上記炭窒化チタン単一硬質層をX
線回折し、(200)面の半価幅を用いてScherr
erの式により平均結晶粒径を算出してその結果を表1
に示した。
【0030】従来例1 一方、比較のために、実施例1と同様にWC基超硬合金
製チップをボンバードクリーニングし、ついで、窒素ガ
スおよびアセチレンガスの混合ガスを窒素ガス:アセチ
レンガス=1:1の一定比率で100分間流しながら物
理蒸着することにより、上記WC基超硬合金製チップの
表面に厚さ:5μmの炭窒化チタン層からなる従来硬質
層被覆超硬合金製チップ1を10個製造した。この10
個の従来硬質層被覆超硬合金製チップ1の内の任意の1
個を取り出して、その表面に形成された厚さ:5μmの
炭窒化チタン単一硬質層の組成をEPMAを用いて測定
した結果、最表面からの内部に向かってTi(C0.5
0.5 )均一組成の被覆層が形成されていることが確認さ
れた。さらにX線回折し、(200)面の半価幅を用い
てScherrerの式により平均結晶粒径を算出して
その結果を表1に示した。
【0031】実施例1で作製した10個の本発明硬質層
被覆超硬合金製チップ1、実施例2で作製した10個の
本発明硬質層被覆超硬合金製チップ2および従来例1で
作製した10個の従来硬質層被覆超硬合金製チップ1に
ついて、下記の条件で断続切削試験、中低速連続切削試
験および高速連続切削試験を実施し、それらの切削試験
結果も表1に示した。
【0032】断続乾式切削試験 被削材:SCM440(ブリネル硬さ:300)製で軸
方向外周に4本の溝の付いた円柱体、 切削速度:100m/min、 送り:0.21mm/rev.、 切込み:1.0mm、 切削時間:2min. の条件で断続乾式切削し、10個の試験切刃のうちの欠
損が発生した切刃数を測定した。
【0033】中低速連続切削試験 被削材:SNCM439(ブリネル硬さ:250)、 切削速度:150m/min、 送り:0.3mm/rev.、 切込み:1.5mm、 の条件でそれぞれ10個のチップについて連続切削し、
中低速連続切削において最も激しく摩耗する逃げ面摩耗
幅VB が0.3mmになるまでの時間(分)を測定し、
それらの平均値を求めた。
【0034】高速連続切削試験 被削材:SNCM439(ブリネル硬さ:250)、 切削速度:210m/min、 送り:0.25mm/rev.、 切込み:1.5mm、 切削時間:20min. の条件でそれぞれ10個のチップについて乾式高速連続
切削し、高速連続切削において最も激しく摩耗するクレ
ーター摩耗深さの平均値を求めた。
【0035】
【表1】
【0036】表1に示される結果から、本発明硬質層被
覆超硬合金製チップ1および2は被覆硬質層の結晶粒径
は微細であり、断続乾式切削において、いずれも欠損発
生がなく、さらに中低速および高速の連続切削において
も長期にわたって優れた切削性能を発揮するのに対し、
従来硬質層被覆超硬合金製チップ1は、被覆硬質層の結
晶粒径は粗大であり、断続乾式切削において欠損発生も
多く、さらに中低速連続切削において逃げ面摩耗幅が
0.3mmになるまでの時間が短く、また高速連続切削
において短時間で切刃欠損が発生し、従って、チップの
寿命も短いところから切削性能が劣ったものであること
が明らかである。
【0037】実施例3〜9 実施例1と同様に窒素ガスの極小値Qminおよびアセ
チレンガスの極大値Qmaxを有するように窒素ガスと
アセチレンガスを連続的に変化させながらガスの供給時
間を調節して表2に示される各種厚さの炭窒化チタン単
一硬質層を、実施例1で作製したWC基超硬合金製チッ
プ表面に形成し、本発明硬質層被覆超硬合金製チップ3
〜9をそれぞれ10個づつ作製した。
【0038】これら本発明硬質層被覆超硬合金製チップ
3〜9についても、炭窒化チタン単一硬質層をX線回折
して(200)面の半価幅を用いてScherrerの
式により平均結晶粒径を算出し、さらに実施例1と同一
条件で断続乾式切削試験、中低速連続切削試験および高
速連続切削試験を行ない、それらの結果を表2に示し
た。
【0039】実施例10 窒素ガスおよびアセチレンガスの極小値Qminおよび
極大値Qmaxをそれぞれ複数個有するように、すなわ
ち図11に示されるように、窒素ガスとアセチレンガス
を連続的に変化させながらガスの供給時間を調節して厚
さ:13μmの炭窒化チタン単一硬質層を、実施例1で
作製したWC基超硬合金製チップ表面に形成し、本発明
硬質層被覆超硬合金製チップ10を10個づつ作製し
た。
【0040】これら本発明硬質層被覆超硬合金製チップ
10について、炭窒化チタン単一硬質層をX線回折して
(200)面の半価幅を用いてScherrerの式に
より平均結晶粒径を算出し、さらに実施例1と同一条件
で断続乾式切削試験、中低速連続切削試験および高速連
続切削試験を行ない、それらの結果を表2に示した。
【0041】従来例2〜6 一方、比較のために、実施例1と同様にボンバードクリ
ーニングしたのち、窒素ガスおよびアセチレンガスの混
合ガスを窒素ガス:アセチレンガス=1:1の一定比率
で所定時間間流しながら物理蒸着することにより、上記
WC基超硬合金製チップの表面に表3に示される厚さの
炭窒化チタン層からなる従来硬質層被覆超硬合金製チッ
プ2〜6を10個づつ製造した。これら従来硬質層被覆
超硬合金製チップ2〜6を従来例1と同様にX線回折
し、(200)面の半価幅を用いてScherrerの
式により平均結晶粒径を算出し、さらに実施例1と同一
条件で断続乾式切削試験、中低速連続切削試験および高
速連続切削試験を行ない、それらの結果を表3に示し
た。
【0042】
【表2】
【0043】
【表3】
【0044】表2および表3に示される結果から、本発
明硬質層被覆超硬合金製チップ3〜9は被覆硬質層の結
晶粒径は微細であり、断続乾式切削において、いずれも
欠損発生がなく、さらに中低速および高速の連続切削に
おいても長期にわたって優れた切削性能を発揮するのに
対し、従来硬質層被覆超硬合金製チップ2〜6は、被覆
硬質層の結晶粒径は粗大であり、断続乾式切削において
欠損発生も多く、さらに中低速連続切削において逃げ面
摩耗幅が0.3mmになるまでの時間が短く、また高速
連続切削において短時間で切刃欠損が発生し、従って、
チップの寿命も短いところから切削性能が劣り、実施例
1とほぼ同じ結果が得られていることが分かる。
【0045】さらに、本発明硬質層被覆超硬合金製チッ
プ7および10は、いずれも炭窒化チタン単一硬質層の
膜厚が13μmであるが、窒素ガスおよびアセチレンガ
スの極小値Qminおよび極大値Qmaxをそれぞれ複
数個有するように、すなわち図11に示されるように、
極小値Qminおよび極大値Qmaxが1個以上存在す
るように窒素ガスとアセチレンガスを連続的に変化させ
ながらガスの供給量を調節して作製した厚さ:13μm
の炭窒化チタン単一硬質層10は、窒素ガスおよびアセ
チレンガスの極小値Qminおよび極大値Qmaxをそ
れぞれ1個だけ有するように、すなわち図2に示される
ように、窒素ガスとアセチレンガスを連続的に変化させ
ながらガスの供給時間を調節して作製した厚さ:13μ
mの炭窒化チタン単一硬質層7よりも被覆硬質層の結晶
粒径は微細であり、優れた性能を示すことが分かる。
【0046】
【発明の効果】上述のように、この発明の硬質層被覆超
硬合金切削工具は、優れた耐欠損性を有するので、優れ
た切削性能を長期にわたって発揮することができ、産業
上優れた効果をもたらすものである。
【図面の簡単な説明】
【図1】この発明で用いる物理蒸着装置の概略図であ
る。
【図2】この発明の窒素ガスおよび炭化水素ガスの導入
量を模型的に示したグラフである。
【図3】この発明の窒素ガスおよび炭化水素ガスの導入
量を模型的に示したグラフである。
【図4】この発明の窒素ガスおよび炭化水素ガスの導入
量を模型的に示したグラフである。
【図5】この発明の窒素ガスおよび炭化水素ガスの導入
量を模型的に示したグラフである。
【図6】この発明の窒素ガスおよび炭化水素ガスの導入
量を模型的に示したグラフである。
【図7】この発明の実施例1における窒素ガスおよび炭
化水素ガスの導入量を示したグラフである。
【図8】実施例1により得られた炭窒化チタン単一硬質
層におけるCとNの濃度分布を示すグラフである。
【図9】この発明の実施例2における窒素ガスおよび炭
化水素ガスの導入量を示したグラフである。
【図10】実施例2により得られた炭窒化チタン単一硬
質層におけるCとNの濃度分布を示すグラフである。
【図11】この発明の実施例10における窒素ガスおよ
び炭化水素ガスの導入量を示したグラフである。
【0047】
【符号の説明】
1 反応炉 2 反応ガス導入口 3 基体 4 ルツボ 5 放電用電極 6 金属チタン 7 電子ビーム 8 ヒーター 9 マスフローコントローラー 10 真空計 11 圧力コントローラー Qmax 極大値 Qmin 極小値
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (58)調査した分野(Int.Cl.6,DB名) B23B 27/14 B23P 15/28

Claims (4)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 超硬合金基体の表面に、Ti(CxN
    y)[ただし、x+y=1]で示される組成を有する炭
    窒化チタン単一硬質層を被覆してなる切削工具におい
    て、上記炭窒化チタンTi(CxNy)単一硬質層の、
    xは、上記炭窒化チタン単一硬質層の最内面と最外面の
    間で少なくとも1つの極大値をとり、一方、yは、上記
    炭窒化チタン単一硬質層の最内面と最外面の間で少なく
    とも1つの極小値をとるようにCおよびNの濃度が変化
    していることを特徴とする硬質層被覆超硬合金製切削工
    具。
  2. 【請求項2】 物理蒸着反応炉内に超硬合金基体を装備
    し、反応ガスとして炭化水素ガスと窒素ガスの混合ガス
    を導入しながら炭窒化チタン単一硬質層を物理蒸着する
    硬質層被覆超硬合金製切削工具の製造法において、上記
    混合ガスの炭化水素ガスの比率を、物理蒸着開始から終
    了に至るまでに少なくとも1つの極大値をとるように変
    化せしめ、同時に上記混合ガスの窒素ガスの比率を、物
    理蒸着開始から終了に至るまでに少なくとも1つの極小
    値をとるように変化せしめることを特徴とする硬質層被
    覆超硬合金製切削工具の製造法。
  3. 【請求項3】 超硬合金基体の表面に、Ti(CxN
    y)[ただし、x+y=1]で示される組成を有する炭
    窒化チタン単一硬質層を被覆してなる切削工具におい
    て、上記炭窒化チタンTi(CxNy)単一硬質層の、
    xは、上記炭窒化チタン単一硬質層の最内面と最外面の
    間で少なくとも1つの極小値をとり、一方、yは、上記
    炭窒化チタン単一硬質層の最内面と最外面の間で少なく
    とも1つの極大値をとるようにCおよびNの濃度が変化
    していることを特徴とする硬質層被覆超硬合金製切削工
    具。
  4. 【請求項4】 物理蒸着反応炉内に超硬合金基体を装備
    し、反応ガスとして炭化水素ガスと窒素ガスの混合ガス
    を導入しながら炭窒化チタン単一硬質層を物理蒸着する
    硬質層被覆超硬合金製切削工具の製造法において、上記
    混合ガスの炭化水素ガスの比率を、物理蒸着開始から終
    了に至るまでに少なくとも1つの極小値をとるように変
    化せしめ、同時に上記混合ガスの窒素ガスの比率を、物
    理蒸着開始から終了に至るまでに少なくとも1つの極大
    値をとるように変化せしめることを特徴とする硬質層被
    覆超硬合金製切削工具の製造法。
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