JPH05261604A - 物理蒸着硬質層被覆スローアウエイチップおよびその製造法 - Google Patents
物理蒸着硬質層被覆スローアウエイチップおよびその製造法Info
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- JPH05261604A JPH05261604A JP4091722A JP9172292A JPH05261604A JP H05261604 A JPH05261604 A JP H05261604A JP 4091722 A JP4091722 A JP 4091722A JP 9172292 A JP9172292 A JP 9172292A JP H05261604 A JPH05261604 A JP H05261604A
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Abstract
(57)【要約】
【目的】 耐剥離性および耐欠損性に優れた物理蒸着硬
質層被覆スローアウエイチップを提供する。 【構成】 基体平均組成でＣｏ：４〜２０重量％を含有
し、さらに必要に応じて周期律表４ａ、５ａおよび６ａ
族金属の炭化物または炭窒化物を１種もしくは２種以上
を含有し、残りがＷＣおよび不可避不純物からなるＷＣ
基超硬合金基体の表面に物理蒸着硬質被覆層３が形成さ
れている硬質層被覆スローアウエイチップにおいて、上
記ＷＣ基超硬合金基体は、Ｃｏ結合相１含有量が基体平
均組成の３／５以下の組成を有しかつ表面から５μｍの
範囲内の厚さを有するＣｏ結合相不足層４、および上記
Ｃｏ結合相不足層４から内部に向かってＣｏ結合相濃度
が漸増するＣｏ結合相濃度勾配を有する厚さ１０μｍ以
下のＣｏ結合相濃度勾配層５で被覆されており、上記物
理蒸着硬質被覆層３は上記Ｃｏ結合相不足層４の上に形
成されている物理蒸着硬質層被覆スローアウエイチッ
プ。
質層被覆スローアウエイチップを提供する。 【構成】 基体平均組成でＣｏ：４〜２０重量％を含有
し、さらに必要に応じて周期律表４ａ、５ａおよび６ａ
族金属の炭化物または炭窒化物を１種もしくは２種以上
を含有し、残りがＷＣおよび不可避不純物からなるＷＣ
基超硬合金基体の表面に物理蒸着硬質被覆層３が形成さ
れている硬質層被覆スローアウエイチップにおいて、上
記ＷＣ基超硬合金基体は、Ｃｏ結合相１含有量が基体平
均組成の３／５以下の組成を有しかつ表面から５μｍの
範囲内の厚さを有するＣｏ結合相不足層４、および上記
Ｃｏ結合相不足層４から内部に向かってＣｏ結合相濃度
が漸増するＣｏ結合相濃度勾配を有する厚さ１０μｍ以
下のＣｏ結合相濃度勾配層５で被覆されており、上記物
理蒸着硬質被覆層３は上記Ｃｏ結合相不足層４の上に形
成されている物理蒸着硬質層被覆スローアウエイチッ
プ。
Description
【０００１】
【産業上の利用分野】この発明は、耐剥離性および耐欠
損性に優れた物理蒸着硬質層被覆スローアウエイチップ
およびその製造法に関するものである。
損性に優れた物理蒸着硬質層被覆スローアウエイチップ
およびその製造法に関するものである。
【０００２】
【従来の技術】Ｃｏを結合相形成成分として含有し、さ
らに必要に応じて、周期律表４ａ、５ａおよび６ａ族金
属の炭化物または炭窒化物を１種もしくは２種以上含
み、残りが炭化タングステン（以下、ＷＣと記す）およ
び不可避不純物からなるＷＣ基超硬合金基体の表面に、
物理蒸着法により硬質被覆層を形成した硬質層被覆スロ
ーアウエイチップは知られている。
らに必要に応じて、周期律表４ａ、５ａおよび６ａ族金
属の炭化物または炭窒化物を１種もしくは２種以上含
み、残りが炭化タングステン（以下、ＷＣと記す）およ
び不可避不純物からなるＷＣ基超硬合金基体の表面に、
物理蒸着法により硬質被覆層を形成した硬質層被覆スロ
ーアウエイチップは知られている。
【０００３】この硬質層被覆スローアウエイチップは、
通常、ＷＣ基超硬合金基体表面をボンバードクリーニン
グにより清浄したのち、物理蒸着法により硬質被覆層を
形成し製造される。
通常、ＷＣ基超硬合金基体表面をボンバードクリーニン
グにより清浄したのち、物理蒸着法により硬質被覆層を
形成し製造される。
【０００４】
【発明が解決しようとする課題】しかし、通常のＷＣ基
超硬合金基体をボンバードクリーニングしたＷＣ基超硬
合金基体表面に形成された物理蒸着硬質被覆層は、いず
れも付着強度が十分ではなく、さらに付着強度を上げる
ためにボンバードクリーニング時間を延ばし、基体温度
を上げるなどすると、ＷＣ基超硬合金基体表面は、図２
に示されるように、刃先部のＣｏ結合相１が部分的にス
パッタされて消失し、ちょうどＷＣ基超硬合金基体表面
をエッチングしたようにＷＣ基超硬合金基体表面に凹部
２が形成され最表面層が粗密化され、その上に物理蒸着
硬質被覆層３を形成すると、硬質被覆層の付着強度は向
上するが、上記凹部が穴となり、その穴が破壊の起点と
なるためにチッピングや欠損を起こしやすくなることが
分ったのである。
超硬合金基体をボンバードクリーニングしたＷＣ基超硬
合金基体表面に形成された物理蒸着硬質被覆層は、いず
れも付着強度が十分ではなく、さらに付着強度を上げる
ためにボンバードクリーニング時間を延ばし、基体温度
を上げるなどすると、ＷＣ基超硬合金基体表面は、図２
に示されるように、刃先部のＣｏ結合相１が部分的にス
パッタされて消失し、ちょうどＷＣ基超硬合金基体表面
をエッチングしたようにＷＣ基超硬合金基体表面に凹部
２が形成され最表面層が粗密化され、その上に物理蒸着
硬質被覆層３を形成すると、硬質被覆層の付着強度は向
上するが、上記凹部が穴となり、その穴が破壊の起点と
なるためにチッピングや欠損を起こしやすくなることが
分ったのである。
【０００５】
【課題を解決するための手段】そこで、本発明者らは、
物理蒸着硬質被覆層の超硬合金基体表面に対する付着強
度が優れ、かつ切削に際して早期にチッピングや欠損を
起こすことのない工具寿命の長い硬質層被覆スローアウ
エイチップを得るべく研究を行った結果、 （ａ）原料粉末を所定の配合割合となるように配合し、
混合し、プレス成形して得られた圧粉体を通常の真空ま
たは低圧不活性ガス中で一次焼結することにより焼結体
を製造し、この焼結体を所定のスローアウエイチップ形
状に研削することにより一次焼結体を製造し、このスロ
ーアウエイチップ形状の一次焼結体を、さらに、圧力：
５〜１０００気圧の不活性ガス雰囲気中、液相出現温度
以上１５００℃までの温度範囲内の条件下で二次焼結し
て二次焼結体を製造し、この二次焼結体を基体としてそ
の表面に通常の物理蒸着硬質層を被覆することにより得
られた物理蒸着硬質層被覆スローアウエイチップは、物
理蒸着硬質被覆層の超硬合金基体表面に対する付着強度
が優れかつ切削に際して短期間でチッピングや欠損を起
こすことはない、
物理蒸着硬質被覆層の超硬合金基体表面に対する付着強
度が優れ、かつ切削に際して早期にチッピングや欠損を
起こすことのない工具寿命の長い硬質層被覆スローアウ
エイチップを得るべく研究を行った結果、 （ａ）原料粉末を所定の配合割合となるように配合し、
混合し、プレス成形して得られた圧粉体を通常の真空ま
たは低圧不活性ガス中で一次焼結することにより焼結体
を製造し、この焼結体を所定のスローアウエイチップ形
状に研削することにより一次焼結体を製造し、このスロ
ーアウエイチップ形状の一次焼結体を、さらに、圧力：
５〜１０００気圧の不活性ガス雰囲気中、液相出現温度
以上１５００℃までの温度範囲内の条件下で二次焼結し
て二次焼結体を製造し、この二次焼結体を基体としてそ
の表面に通常の物理蒸着硬質層を被覆することにより得
られた物理蒸着硬質層被覆スローアウエイチップは、物
理蒸着硬質被覆層の超硬合金基体表面に対する付着強度
が優れかつ切削に際して短期間でチッピングや欠損を起
こすことはない、
【０００６】（ｂ）上記二次焼結して得られた二次焼結
体の表層部は、図１に示されるように、Ｃｏ結合相量が
基体平均組成の３／５以下で厚さ５μｍ以下のＣｏ結合
相不足層４および上記Ｃｏ結合相不足層４から内部に向
かってＣｏ結合相濃度が漸増する厚さ１０μｍ以下のＣ
ｏ結合相濃度勾配層５で被覆されており、上記Ｃｏ結合
相量が基体平均組成の３／５以下で厚さ５μｍ以下のＣ
ｏ結合相不足層４は、周期律表４ａ、５ａおよび６ａ族
金属の炭化物または炭窒化物を１種もしくは２種以上並
びにＷＣ６が最表面で特に緻密な層を成しているので、
二次焼結体のＣｏ結合相不足層を長時間十分にボンバー
ドクリーニングしても図２に示されるような凹部２を生
ずることはない、などのという知見を得たのである。
体の表層部は、図１に示されるように、Ｃｏ結合相量が
基体平均組成の３／５以下で厚さ５μｍ以下のＣｏ結合
相不足層４および上記Ｃｏ結合相不足層４から内部に向
かってＣｏ結合相濃度が漸増する厚さ１０μｍ以下のＣ
ｏ結合相濃度勾配層５で被覆されており、上記Ｃｏ結合
相量が基体平均組成の３／５以下で厚さ５μｍ以下のＣ
ｏ結合相不足層４は、周期律表４ａ、５ａおよび６ａ族
金属の炭化物または炭窒化物を１種もしくは２種以上並
びにＷＣ６が最表面で特に緻密な層を成しているので、
二次焼結体のＣｏ結合相不足層を長時間十分にボンバー
ドクリーニングしても図２に示されるような凹部２を生
ずることはない、などのという知見を得たのである。
【０００７】この発明は、かかる知見に基づいてなされ
たものであって、基体平均組成でＣｏ：４〜２０重量％
を含有し、さらに必要に応じて周期律表４ａ、５ａおよ
び６ａ族金属の炭化物または炭窒化物を１種もしくは２
種以上含有し、残りがＷＣおよび不可避不純物からなる
ＷＣ基超硬合金基体の表面に物理蒸着硬質被覆層３が形
成されている硬質層被覆スローアウエイチップにおい
て、上記ＷＣ基超硬合金基体は、Ｃｏ結合相１の含有量
が基体平均組成の３／５以下の組成を有しかつ表面から
５μｍの範囲内の厚さを有するＣｏ結合相不足層４、上
記Ｃｏ結合相不足層４から内部に向かってＣｏ結合相濃
度が漸増するＣｏ結合相濃度勾配を有する厚さ１０μｍ
以下のＣｏ結合相濃度勾配層５で被覆されており、上記
物理蒸着硬質被覆層３は上記Ｃｏ結合相不足層４の上に
形成されている物理蒸着硬質層被覆スローアウエイチッ
プに特徴を有するものであり、
たものであって、基体平均組成でＣｏ：４〜２０重量％
を含有し、さらに必要に応じて周期律表４ａ、５ａおよ
び６ａ族金属の炭化物または炭窒化物を１種もしくは２
種以上含有し、残りがＷＣおよび不可避不純物からなる
ＷＣ基超硬合金基体の表面に物理蒸着硬質被覆層３が形
成されている硬質層被覆スローアウエイチップにおい
て、上記ＷＣ基超硬合金基体は、Ｃｏ結合相１の含有量
が基体平均組成の３／５以下の組成を有しかつ表面から
５μｍの範囲内の厚さを有するＣｏ結合相不足層４、上
記Ｃｏ結合相不足層４から内部に向かってＣｏ結合相濃
度が漸増するＣｏ結合相濃度勾配を有する厚さ１０μｍ
以下のＣｏ結合相濃度勾配層５で被覆されており、上記
物理蒸着硬質被覆層３は上記Ｃｏ結合相不足層４の上に
形成されている物理蒸着硬質層被覆スローアウエイチッ
プに特徴を有するものであり、
【０００８】さらに、基体平均組成でＣｏ：４〜２０重
量％を含有し、さらに必要に応じて周期律表４ａ、５ａ
および６ａ族金属の炭化物または炭窒化物を１種もしく
は２種以上を含有し、残りがＷＣおよび不可避不純物か
らなる組成の圧粉体を通常の条件下で一次焼結すること
により一次焼結体を製造し、この一次焼結体を所定のス
ローアウエイチップ形状に研削し、このスローアウエイ
チップ形状の一次焼結体を、さらに、圧力：５〜１００
０気圧の不活性ガス雰囲気中、液相出現温度以上１５０
０℃までの温度範囲内の条件下で二次焼結して二次焼結
体を製造し、この二次焼結体表面に物理蒸着硬質被覆層
を形成する物理蒸着硬質層被覆スローアウエイチップの
製造法に特徴を有するものである。
量％を含有し、さらに必要に応じて周期律表４ａ、５ａ
および６ａ族金属の炭化物または炭窒化物を１種もしく
は２種以上を含有し、残りがＷＣおよび不可避不純物か
らなる組成の圧粉体を通常の条件下で一次焼結すること
により一次焼結体を製造し、この一次焼結体を所定のス
ローアウエイチップ形状に研削し、このスローアウエイ
チップ形状の一次焼結体を、さらに、圧力：５〜１００
０気圧の不活性ガス雰囲気中、液相出現温度以上１５０
０℃までの温度範囲内の条件下で二次焼結して二次焼結
体を製造し、この二次焼結体表面に物理蒸着硬質被覆層
を形成する物理蒸着硬質層被覆スローアウエイチップの
製造法に特徴を有するものである。
【０００９】上記二次焼結体は、Ｃｏ：４〜２０重量％
を含有し、さらに必要に応じて周期律表４ａ、５ａおよ
び６ａ族金属の炭化物または炭窒化物を１種もしくは２
種以上を含有し、残り：ＷＣおよび不可避不純物からな
る成分組成を有し所定の形状を有する市販のＷＣ基超硬
合金スローアウエイチップを一次焼結体として用い、こ
れをさらに圧力：５〜１０００気圧の不活性ガス雰囲気
中、液相出現温度以上１５００℃までの温度範囲内で二
次焼結することにより得ることもできる。
を含有し、さらに必要に応じて周期律表４ａ、５ａおよ
び６ａ族金属の炭化物または炭窒化物を１種もしくは２
種以上を含有し、残り：ＷＣおよび不可避不純物からな
る成分組成を有し所定の形状を有する市販のＷＣ基超硬
合金スローアウエイチップを一次焼結体として用い、こ
れをさらに圧力：５〜１０００気圧の不活性ガス雰囲気
中、液相出現温度以上１５００℃までの温度範囲内で二
次焼結することにより得ることもできる。
【００１０】上記二次焼結のための条件は、不活性ガス
雰囲気中の圧力が５気圧未満であるとその効果が十分で
なく、一方、１０００気圧を越えると変形しやすくな
り、公差の範囲外の製品ができるので好ましくない。ま
た、その焼結温度は、液相出現温度以上１５００℃まで
の温度範囲内であり、通常の焼結温度の範囲内である。
雰囲気中の圧力が５気圧未満であるとその効果が十分で
なく、一方、１０００気圧を越えると変形しやすくな
り、公差の範囲外の製品ができるので好ましくない。ま
た、その焼結温度は、液相出現温度以上１５００℃まで
の温度範囲内であり、通常の焼結温度の範囲内である。
【００１１】この発明の物理蒸着硬質層被覆スローアウ
エイチップの物理蒸着硬質層は、ＷＣ基超硬合金基体と
の接合部分のＣｏ結合相量が基体平均組成の３／５以下
のＣｏ結合相不足層および内部に向かってＣｏ結合相濃
度が漸増する厚さ１０μｍ以下のＣｏ結合相濃度勾配層
を介することによりＷＣ基超硬合金基体表面に極めて強
力に付着し、さらにＷＣ基超硬合金基体自体の靭性も優
れたものとなるのである。
エイチップの物理蒸着硬質層は、ＷＣ基超硬合金基体と
の接合部分のＣｏ結合相量が基体平均組成の３／５以下
のＣｏ結合相不足層および内部に向かってＣｏ結合相濃
度が漸増する厚さ１０μｍ以下のＣｏ結合相濃度勾配層
を介することによりＷＣ基超硬合金基体表面に極めて強
力に付着し、さらにＷＣ基超硬合金基体自体の靭性も優
れたものとなるのである。
【００１２】上記Ｃｏ結合相不足層の硬質被覆層と接合
する部分のＣｏ結合相量が基体平均組成の３／５を越え
ると、硬質被覆層の付着強度が低下するので好ましくな
く、一方、上記Ｃｏ結合相不足層の厚さが５μｍを越え
るとＷＣ基超硬合金基体が欠損しやすくなり、またＣｏ
結合相濃度勾配層の厚さが１０μｍを越えると切削中に
変形し十分に機能しなくなるので好ましくない。
する部分のＣｏ結合相量が基体平均組成の３／５を越え
ると、硬質被覆層の付着強度が低下するので好ましくな
く、一方、上記Ｃｏ結合相不足層の厚さが５μｍを越え
るとＷＣ基超硬合金基体が欠損しやすくなり、またＣｏ
結合相濃度勾配層の厚さが１０μｍを越えると切削中に
変形し十分に機能しなくなるので好ましくない。
【００１３】
【実施例】原料粉末としていずれも平均粒径：０．５〜
３．０μｍの範囲ないのＷＣ粉末，ＴｉＣ粉末、（Ｔ
ｉ，Ｔａ）Ｃ粉末およびＣｏ粉末を用意し、これら原料
粉末を表１に示される割合になるように配合し、得られ
た配合粉末をボールミルで７２時間湿式混合し、乾燥し
たのち、１．５ｔｏｎ／cm2 の圧力で圧粉体にプレス成
形し、この圧粉体を通常の条件で一次焼結し、上記配合
組成とほぼ同一の成分組成をもつ一次焼結体Ａ〜Ｃを製
造した。
３．０μｍの範囲ないのＷＣ粉末，ＴｉＣ粉末、（Ｔ
ｉ，Ｔａ）Ｃ粉末およびＣｏ粉末を用意し、これら原料
粉末を表１に示される割合になるように配合し、得られ
た配合粉末をボールミルで７２時間湿式混合し、乾燥し
たのち、１．５ｔｏｎ／cm2 の圧力で圧粉体にプレス成
形し、この圧粉体を通常の条件で一次焼結し、上記配合
組成とほぼ同一の成分組成をもつ一次焼結体Ａ〜Ｃを製
造した。
【００１４】
【表１】
【００１５】これら一次焼結体Ａ〜Ｃの表面を研削加工
し、その形状をＩＳＯ規格ＳＮＧＡ１２０４０８のチッ
プ形状に成形して一次焼結体を製造し、この一次焼結体
を表２〜４に示される条件で二次焼結し、得られた二次
焼結体をＷＣ基超硬合金基体とした。
し、その形状をＩＳＯ規格ＳＮＧＡ１２０４０８のチッ
プ形状に成形して一次焼結体を製造し、この一次焼結体
を表２〜４に示される条件で二次焼結し、得られた二次
焼結体をＷＣ基超硬合金基体とした。
【００１６】このＷＣ基超硬合金基体を通常のイオンプ
レーティング装置の反応炉内の上方に装着し、一方、上
記イオンプレーティング装置の反応炉内の下方に設置さ
れたルツボ内にはＴｉ金属を充填し、かかる状態で上記
イオンプレーティング装置の反応炉内を１×１０-5Ｔｏ
ｒｒの真空に保持し、昇温速度：６℃／ｍｉｎ．で７０
０℃に加熱し、この温度に保持しながらマスフローコン
トローラーから反応ガス導入口を通してＡｒガスを供給
し、５×１０-2ＴｏｒｒのＡｒガス雰囲気に保持してボ
ンバードクリーニングした。
レーティング装置の反応炉内の上方に装着し、一方、上
記イオンプレーティング装置の反応炉内の下方に設置さ
れたルツボ内にはＴｉ金属を充填し、かかる状態で上記
イオンプレーティング装置の反応炉内を１×１０-5Ｔｏ
ｒｒの真空に保持し、昇温速度：６℃／ｍｉｎ．で７０
０℃に加熱し、この温度に保持しながらマスフローコン
トローラーから反応ガス導入口を通してＡｒガスを供給
し、５×１０-2ＴｏｒｒのＡｒガス雰囲気に保持してボ
ンバードクリーニングした。
【００１７】ついで、Ｔｉ金属を電子ビームにより加熱
蒸発させると共に反応ガス導入口より窒素ガスおよび／
またはアセチレンガスを導入してイオンプレーティング
装置の反応炉内圧力を２×１０-4Ｔｏｒｒに維持し、表
２〜４に示す物理蒸着硬質層を被覆し、本発明スローア
ウエイチップ１〜２０および比較スローアウエイチップ
１〜６を製造し、これらスローアウエイチップの物理蒸
着硬質層直下のＷＣ基超硬合金基体のＣｏ結合相不足層
のＣｏ量および厚さ、並びにＣｏ結合相濃度が漸増する
Ｃｏ結合相濃度勾配層の厚さを測定し、それらの結果を
表２〜４に示した。
蒸発させると共に反応ガス導入口より窒素ガスおよび／
またはアセチレンガスを導入してイオンプレーティング
装置の反応炉内圧力を２×１０-4Ｔｏｒｒに維持し、表
２〜４に示す物理蒸着硬質層を被覆し、本発明スローア
ウエイチップ１〜２０および比較スローアウエイチップ
１〜６を製造し、これらスローアウエイチップの物理蒸
着硬質層直下のＷＣ基超硬合金基体のＣｏ結合相不足層
のＣｏ量および厚さ、並びにＣｏ結合相濃度が漸増する
Ｃｏ結合相濃度勾配層の厚さを測定し、それらの結果を
表２〜４に示した。
【００１８】さらに比較のために、上記一次焼結体Ａを
二次焼結することなく、イオンプレーティング装置の反
応炉内の上方に装着し、同様にボンバードクリーニング
し、物理蒸着硬質層を被覆することにより従来スローア
ウエイチップを製造した。
二次焼結することなく、イオンプレーティング装置の反
応炉内の上方に装着し、同様にボンバードクリーニング
し、物理蒸着硬質層を被覆することにより従来スローア
ウエイチップを製造した。
【００１９】
【表２】
【００２０】
【表３】
【００２１】
【表４】
【００２２】これら本発明スローアウエイチップ１〜２
０、比較スローアウエイチップ１〜６および従来スロー
アウエイチップについて、 被削材：ＳＮＣＭ４３９（ビッカース硬さ：２６０）ス
リット材 切削速度：１６０ｍ／ｍｉｎ． 送り：０．１５ｍｍ／ｒｅｖ． 切込み：１．５ｍｍ 切削時間：最大１０ｍｉｎ． 冷却油：なし の条件にて断続切削試験を行い、切刃の逃げ面摩耗幅を
測定すると共に、切刃状況も１分毎に観察し、これらの
結果を表５〜７に示した。
０、比較スローアウエイチップ１〜６および従来スロー
アウエイチップについて、 被削材：ＳＮＣＭ４３９（ビッカース硬さ：２６０）ス
リット材 切削速度：１６０ｍ／ｍｉｎ． 送り：０．１５ｍｍ／ｒｅｖ． 切込み：１．５ｍｍ 切削時間：最大１０ｍｉｎ． 冷却油：なし の条件にて断続切削試験を行い、切刃の逃げ面摩耗幅を
測定すると共に、切刃状況も１分毎に観察し、これらの
結果を表５〜７に示した。
【００２３】
【表５】
【００２４】
【表６】
【００２５】
【表７】
【００２６】
【発明の効果】表２〜７に示される結果から、本発明ス
ローアウエイチップ１〜２０は、断続乾式切削におい
て、チップの切刃の逃げ面摩耗幅が小さく、かつ摩耗状
況も正常磨耗を示すに対し、この発明の条件から外れた
方法で製造された比較スローアウエイチップ１〜４およ
び６並びに従来スローアウエイチップは、欠損または剥
離のために異常摩耗を示すことが分かる。また、比較ス
ローアウエイチップ５は、変形が激しく寸法公差の範囲
外となって使用することができなかった。
ローアウエイチップ１〜２０は、断続乾式切削におい
て、チップの切刃の逃げ面摩耗幅が小さく、かつ摩耗状
況も正常磨耗を示すに対し、この発明の条件から外れた
方法で製造された比較スローアウエイチップ１〜４およ
び６並びに従来スローアウエイチップは、欠損または剥
離のために異常摩耗を示すことが分かる。また、比較ス
ローアウエイチップ５は、変形が激しく寸法公差の範囲
外となって使用することができなかった。
【００２７】上述のように、この発明の物理蒸着硬質層
被覆スローアウエイチップは、優れた耐摩耗性および耐
欠損性を有するので、優れた切削性能を長期にわたって
発揮することができ、産業上優れた効果をもたらすもの
である。
被覆スローアウエイチップは、優れた耐摩耗性および耐
欠損性を有するので、優れた切削性能を長期にわたって
発揮することができ、産業上優れた効果をもたらすもの
である。
【図１】この発明の物理蒸着硬質層被覆スローアウエイ
チップの基体表面の組織説明図である。
チップの基体表面の組織説明図である。
【図２】従来の物理蒸着硬質層被覆スローアウエイチッ
プの基体表面の組織説明図である。
プの基体表面の組織説明図である。
１ Ｃｏ結合相 ２ 凹部 ３ 物理蒸着硬質層被覆層 ４ Ｃｏ結合相不足層 ５ Ｃｏ結合相濃度勾配層 ６ 周期律表４ａ、５ａおよび６ａ族金属の炭化物また
は炭窒化物のうち１種もしくは２種以上並びにＷＣ
は炭窒化物のうち１種もしくは２種以上並びにＷＣ
Claims (2)
- 【請求項１】 基体平均組成でＣｏ：４〜２０重量％を
含有し、さらに必要に応じて周期律表４ａ、５ａおよび
６ａ族金属の炭化物または炭窒化物を１種もしくは２種
以上を含有し、残りが炭化タングステン（以下、ＷＣと
記す）および不可避不純物からなるＷＣ基超硬合金基体
の表面に物理蒸着硬質被覆層が形成されている硬質層被
覆スローアウエイチップにおいて、 上記ＷＣ基超硬合金基体は、Ｃｏを主成分とする結合相
（以下、Ｃｏ結合相と記す）含有量が基体平均組成の３
／５以下の組成を有しかつ表面から５μｍの範囲内の厚
さを有するＣｏ結合相不足層、および上記Ｃｏ結合相不
足層から内部に向かってＣｏ結合相濃度が漸増するＣｏ
結合相濃度勾配を有する厚さ１０μｍ以下のＣｏ結合相
濃度勾配層で被覆されており、上記物理蒸着硬質被覆層
は上記Ｃｏ結合相不足層の上に形成されていることを特
徴とする物理蒸着硬質層被覆スローアウエイチップ。 - 【請求項２】 基体平均組成でＣｏ：４〜２０重量％を
含有し、さらに必要に応じて周期律表４ａ、５ａおよび
６ａ族金属の炭化物または炭窒化物を１種もしくは２種
以上を含有し、残りがＷＣおよび不可避不純物からなる
組成の圧粉体を通常の条件下で一次焼結することにより
一次焼結体を製造し、この一次焼結体を所定のスローア
ウエイチップ形状に研削し、 このスローアウエイチップ形状の一次焼結体を、さら
に、圧力：５〜１０００気圧の不活性ガス雰囲気中、液
相出現温度以上１５００℃までの温度範囲内の条件下で
二次焼結して二次焼結体を製造し、この二次焼結体の表
面に物理蒸着法により硬質被覆層を形成することを特徴
とする物理蒸着硬質層被覆スローアウエイチップの製造
法。
Priority Applications (1)
| Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
|---|---|---|---|
| JP4091722A JPH05261604A (ja) | 1992-03-17 | 1992-03-17 | 物理蒸着硬質層被覆スローアウエイチップおよびその製造法 |
Applications Claiming Priority (1)
| Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
|---|---|---|---|
| JP4091722A JPH05261604A (ja) | 1992-03-17 | 1992-03-17 | 物理蒸着硬質層被覆スローアウエイチップおよびその製造法 |
Publications (1)
| Publication Number | Publication Date |
|---|---|
| JPH05261604A true JPH05261604A (ja) | 1993-10-12 |
Family
ID=14034402
Family Applications (1)
| Application Number | Title | Priority Date | Filing Date |
|---|---|---|---|
| JP4091722A Pending JPH05261604A (ja) | 1992-03-17 | 1992-03-17 | 物理蒸着硬質層被覆スローアウエイチップおよびその製造法 |
Country Status (1)
| Country | Link |
|---|---|
| JP (1) | JPH05261604A (ja) |
Cited By (4)
| Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
|---|---|---|---|---|
| JP2000355701A (ja) * | 1999-06-10 | 2000-12-26 | Honda Motor Co Ltd | 複合材製コーティング部材 |
| JP2000355705A (ja) * | 1999-06-10 | 2000-12-26 | Honda Motor Co Ltd | 複合材製金型 |
| JP2001098306A (ja) * | 1999-09-24 | 2001-04-10 | Honda Motor Co Ltd | 複合材製金型 |
| JP2019210184A (ja) * | 2018-06-05 | 2019-12-12 | 住友電気工業株式会社 | 基材および切削工具 |
-
1992
- 1992-03-17 JP JP4091722A patent/JPH05261604A/ja active Pending
Cited By (4)
| Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
|---|---|---|---|---|
| JP2000355701A (ja) * | 1999-06-10 | 2000-12-26 | Honda Motor Co Ltd | 複合材製コーティング部材 |
| JP2000355705A (ja) * | 1999-06-10 | 2000-12-26 | Honda Motor Co Ltd | 複合材製金型 |
| JP2001098306A (ja) * | 1999-09-24 | 2001-04-10 | Honda Motor Co Ltd | 複合材製金型 |
| JP2019210184A (ja) * | 2018-06-05 | 2019-12-12 | 住友電気工業株式会社 | 基材および切削工具 |
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