JP5113414B2 - 表面被覆切削工具 - Google Patents

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Description

本発明は、基材上に被膜を備えた表面被覆切削工具に関する。
従来より、基材上に被膜を備えた表面被覆切削工具が用いられてきた。このような表面被覆切削工具においては、耐摩耗性や耐欠損性をより向上させるために被膜の改良が種々なされている。
近年、このような被膜に希ガス元素を含有させるという取り組みが提案されている。これは、被膜をイオンプレーティング法またはスパッタリング法で形成する場合において、窒素やアセチレン等の反応ガスのみを用いて被膜を形成すると形成速度が遅くなることから雰囲気ガスとして希ガス成分を混入させることが多く、この希ガス成分を積極的に被膜内に取り込んだ場合の作用が注目されたからである。
一般に、被膜が希ガス元素を含有すると硬度が高くなることから耐摩耗性に優れる傾向を示すことが明らかになってきたが、逆に耐欠損性は低下し切削性能は却って低下するという問題があった。
この問題を解決する試みとして、希ガス元素を含有する硬質膜の組成および結晶構造を限定するとともに、硬質膜中における希ガス元素の量を規定する提案がなされている(特許文献1)。
上記提案により、被膜が希ガス元素を含有する場合において耐摩耗性と耐欠損性とをある程度両立させ得るが、苛酷な切削条件下では未だその性能は不十分であった。すなわち、高速加工や高送り加工のような苛酷な切削条件を必要とする切削加工においては、切削工具が特に高温に曝されることが多く、このため被膜の高温安定性が特に望まれるが、上記提案の切削工具では十分な高温安定性が示されず、更なる改良が求められていた。
特開2006−150583号公報
本発明は、上記のような現状に鑑みなされたものであって、その目的とするところは、高温での被膜の安定性に特に優れた表面被覆切削工具を提供することにある。
本発明の表面被覆切削工具は、基材と該基材上に形成された被膜とを備えるものであって、該被膜は、1以上の層を含み、該層のうち少なくとも1の層は、希ガス元素を含む希ガス元素含有層であり、該希ガス元素含有層は、該層の厚み方向において希ガス元素の濃度分布を有しており、被膜表面側領域における金属元素成分の総数に対する希ガス元素濃度Aと基材側領域における金属元素成分の総数に対する希ガス元素濃度Bの比B/Aが0以上0.1以下であることを特徴としている。なお、本発明において、希ガス元素濃度とは、特に断らない限り金属元素成分の総数に対する希ガス元素濃度をいうものとし、金属元素成分とは、周期律表のIVa族元素、Va族元素、VIa族元素、Al、B、およびSiからなる群に含まれる元素をいうものとする。
ここで、上記基材側領域は、希ガス元素含有層において基材側に位置する界面から10nmの厚みを有する領域であり、上記被膜表面側領域は、希ガス元素含有層において被膜表面側に位置する界面から10nmの厚みを有する領域であることが好ましい。また、希ガス元素含有層は、基材上に直接接して形成されていることが好ましい。
また、上記希ガス元素の濃度分布は、金属元素成分の総数に対する希ガス元素濃度が希ガス元素含有層の厚み方向において段階的に変化するか、または連続的に変化することが好ましい。このような希ガス元素含有層の厚みは、被膜全体の厚みの10%以上100%以下であることが好ましい。
また、上記基材側領域における希ガス元素濃度は、同領域の金属元素成分の総数に対して0原子%以上0.9原子%以下であることが好ましい。
また、上記希ガス元素含有層は、周期律表のIVa族元素、Va族元素、VIa族元素、Al、B、およびSiからなる群から選ばれる少なくとも1種の元素を含むことが好ましく、周期律表のIVa族元素、Va族元素、VIa族元素、Al、B、およびSiからなる群から選ばれる少なくとも1種の元素と、炭素、窒素、および酸素からなる群から選ばれる少なくとも1種の元素とを含む化合物を含むことが好ましい。
また、上記希ガス元素含有層は、TiとAlとを少なくとも含み、被膜表面側領域における金属元素成分の総数に占めるTi元素濃度が基材側領域における金属元素成分の総数に占めるTi元素濃度より高く、かつ基材側領域における金属元素成分の総数に占めるAl元素濃度が被膜表面側領域における金属元素成分の総数に占めるAl元素濃度より高いことが好ましい。また、上記希ガス元素含有層は、被膜表面側領域においてTiを含み、基材側領域においてAl、CrまたはSiのいずれかを含むことが好ましい。
本発明の表面被覆切削工具は、高温での被膜の安定性に特に優れたものである。
以下、本発明についてさらに詳細に説明する。
<表面被覆切削工具>
本発明の表面被覆切削工具は、基材と、該基材上に形成された被膜とを備えるものである。このような構成を有する本発明の表面被覆切削工具は、ドリル、エンドミル、フライス加工用または旋削加工用刃先交換型切削チップ、メタルソー、歯切工具、リーマ、タップ、またはクランクシャフトのピンミーリング加工用チップ等として極めて有用に用いることができる。特に、Ti合金加工用のドリル、エンドミル、切削チップ等に有効である。
<基材>
本発明の表面被覆切削工具の基材としては、このような切削工具の基材として知られる従来公知のものを特に限定なく使用することができる。たとえば、超硬合金(たとえばWC基超硬合金、WCの他、Coを含み、あるいはさらにTi、Ta、Nb等の炭窒化物等を添加したものも含む)、サーメット(TiC、TiN、TiCN等を主成分とするもの)、高速度鋼、セラミックス(炭化チタン、炭化硅素、窒化硅素、窒化アルミニウム、酸化アルミニウム、およびこれらの混合体など)、立方晶型窒化硼素焼結体、ダイヤモンド焼結体等をこのような基材の例として挙げることができる。このような基材として超硬合金を使用する場合、そのような超硬合金は、組織中に遊離炭素やη相と呼ばれる異常相を含んでいても本発明の効果は示される。
なお、これらの基材は、その表面が改質されたものであっても差し支えない。たとえば、超硬合金の場合はその表面に脱β層が形成されていたり、サーメットの場合には表面硬化層が形成されていても良く、このように表面が改質されていても本発明の効果は示される。
<被膜>
本発明の表面被覆切削工具の上記基材上に形成される被膜は、1以上の層が積層されて形成されるものである。そして、それらの層のうち少なくとも1の層は、希ガス元素を含む希ガス元素含有層である。本発明の被膜は、この希ガス元素含有層を含む限り、さらに他の層を含んでいても差し支えない。なお、本発明の被膜は、基材上の全面を被覆するもののみに限られるものではなく、部分的に被膜が形成されていない態様をも含む。
このような被膜の合計厚み(積層される各層の総膜厚)は、0.1μm以上15μm以下とすることが好ましく、より好ましくはその上限が10μm以下、さらに好ましくは8μm以下、その下限が0.5μm以上、さらに好ましくは1μm以上である。その厚みが0.1μm未満の場合、耐摩耗性等の諸特性の向上作用が十分に示されない場合があり、15μmを超えると残留応力が大きくなり基材との密着性が低下する場合がある。なお、膜厚の測定方法としては、切削工具を切断し、その断面をSEM(走査型電子顕微鏡)を用いて観察することにより求めることができる。以下、該被膜についてさらに詳細に説明する。
<希ガス元素含有層>
本発明の希ガス元素含有層は、少なくとも希ガス元素を含むものである。ここで、希ガス元素とはヘリウム(He)、ネオン(Ne)、アルゴン(Ar)、クリプトン(Kr)、キセノン(Xe)、ラドン(Rn)の6元素の総称であり、本発明の希ガス元素含有層は、これら6元素のうち1種もしくは2種以上を含むことができる。なお、希ガス元素が2種以上含まれる場合、各希ガス元素間の配合割合は特に限定されない。
このような希ガス元素含有層は、該層の厚み方向において希ガス元素の濃度分布を有しており、被膜表面側領域における金属元素成分の総数に対する希ガス元素濃度Aと基材側領域における金属元素成分の総数に対する希ガス元素濃度Bの比B/Aが0以上0.1以下であることを特徴としている。
ここで、上記基材側領域とは、この希ガス元素含有層において基材側に位置する界面から10nmの厚みを有する領域であることが好ましく、上記被膜表面側領域とは、この希ガス元素含有層において被膜表面側に位置する界面から10nmの厚みを有する領域であることが好ましい。希ガス元素濃度の比を上記のように規定することにより後述のような効果が示されるが、その場合の濃度比を規律する基準として上記のような厚みを採用することにより、その効果を最も顕著に反映することができるからである。
また、被膜表面側領域における金属元素成分の総数に対する希ガス元素濃度Aと基材側領域における金属元素成分の総数に対する希ガス元素濃度Bの比B/Aが0とは、この基材側領域において希ガス元素が含有されないことを示している。なお、被膜表面側領域における金属元素成分の総数に対する希ガス元素濃度Aと基材側領域における金属元素成分の総数に対する希ガス元素濃度Bの比B/Aが0.1を超えると以下のような優れた効果が示されなくなる。この点、上記比B/Aは、小さな数値を有する方が好ましく上記の通り0を含むものであるが、0に近い数値をとる場合、高い硬度が得られなくなることがあるため切削工具が用いられる用途に応じてこの比B/Aを選択することが好ましい。
したがって、上記比B/Aは、その上限がより好ましくは0.06以下、さらに好ましくは0.01以下である。
本発明においては、このような濃度分布を形成することにより耐摩耗性と耐欠損性とが高度に両立されるとともに、高温での被膜の安定性が特に優れたものとなる。本発明者の研究によれば、被膜中における金属元素成分の総数に対する希ガス元素濃度の多寡は、被膜の内部応力や被膜の微細構造に影響することが明らかとなった。具体的には、希ガス元素濃度が高くなると被膜の内部応力が圧縮側に大きくなるとともに微細構造が緻密化する傾向を示す。このため、希ガス元素濃度が高くなると被膜硬度が向上するとともに酸素の内部拡散が防止されるため耐摩耗性および耐酸化性が向上することになる。しかしながら、その反面、内部応力が圧縮側に大きくなると耐欠損性が低下するとともに基材との密着性が劣るという傾向を示す。
切削工具において切削性能を総合的に向上させるためには、このように相反する傾向を示す諸特性を高度に両立させることが必要となるところ、本発明は希ガス元素含有層において上記のような希ガス元素の濃度分布を形成する(特に基材側領域における希ガス元素濃度を被膜表面側領域における希ガス元素濃度よりも低くする)ことにより、被膜表面側において高硬度と耐酸化性を達成し、基材側において密着性を高め、以ってこれらの諸特性、とりわけ耐摩耗性と耐欠損性とを高度に両立させることに成功したものである。そして、耐欠損性や密着性の低下ならびに酸素の内部拡散はいずれも高温において顕著になるところ、本発明は上記のような濃度分布の構成を採用することにより、この高温での問題点を解消し、以って特に高温での安定性を達成することに成功したものである。上記比B/Aが0.1を超えると、このように優れた効果は示されなくなる。
このような希ガス元素含有層は、上記のような作用を有すること、特に基材との密着性に優れることから基材上に直接接して形成されていることが好ましい。この場合、上記の基材側領域が直接基材と接することになる。
また、上記の希ガス元素の濃度分布は、金属元素成分の総数に対する希ガス元素濃度が希ガス元素含有層の厚み方向において段階的に変化するか、または連続的に変化することが好ましい(段階的変化と連続的変化との両者を組み合せた状態で含むこともできる)。すなわち、金属元素成分の総数に対する希ガス元素濃度は、基材側領域から被膜表面側領域にかけて段階的または連続的に高くなることが好適である。しかしながら、上記濃度分布において基材側領域および被膜表面側領域における希ガス元素濃度が上記の通り規定されている限り(すなわち上記比B/Aを有する限り)、該層の厚み方向の中央領域における濃度分布の態様は特に限定されることはない。たとえば、図1〜図3は希ガス元素の濃度分布を視覚的に表わした模式図(破線が金属元素成分の総数に対する希ガス元素濃度を示す)であるが、被膜の厚み方向において被膜表面側領域1および基材側領域2以外の中央領域3において、金属元素成分の総数に対する希ガス元素濃度は図1や図2に表わされているように段階的に変化するものであっても良いし、図3に表わされているように連続的に変化するものであっても良い。なお、たとえば図1や図2に示されるように、希ガス元素濃度は中央領域3において基材側領域の希ガス元素濃度と同一の濃度を示す部分あるいは被膜表面側領域の希ガス元素濃度と同一の濃度を示す部分が含まれていても本発明の範囲を逸脱するものではない。
また、図1〜図3には示されていないが、中央領域3のいずれかの地点(領域)において希ガス元素濃度は被膜表面側領域1の希ガス元素濃度より高くなっていても良いし、あるいは中央領域3のいずれかの地点(領域)において希ガス元素濃度は基材側領域2の希ガス元素濃度より低くなっていても良い。
一方、このような希ガス元素含有層の厚みは、被膜全体の厚みの10%以上100%以下であることが好ましい。10%未満では上記のような希ガス元素含有層によってもたらされる優れた効果が被膜全体の効果として発現されない場合がある。このため、希ガス元素含有層の厚みは、好ましくは被膜全体の厚みの50%以上、より好ましくは80%以上である。また、被膜全体が希ガス元素含有層になる場合も含まれる(上記における100%の場合に相当する)。
ここで、基材側領域における希ガス元素濃度は、具体的には同領域の金属元素成分の総数に対して0原子%以上0.9原子%以下であることが好ましい。0.9原子%を超えると上記のような優れた効果、とりわけ優れた密着性が得られなくなる場合がある。このため、基材側領域における希ガス元素濃度は、より好ましくは同領域の金属元素成分の総数に対して0.5原子%以下、さらに好ましくは0.1原子%以下である。一方、高い硬度を担保するという観点から該濃度は0.01原子%以上とすることが好ましい。
なお、基材側領域における希ガス元素濃度とは、この領域の平均濃度であり、具体的にはこの基材側領域の厚み方向において互いに異なる3点の金属元素成分の総数に対する希ガス元素濃度を測定し、その平均値をこの領域における金属元素成分の総数に対する希ガス元素濃度とする。また同様にして、被膜表面側領域における希ガス元素濃度とは、この領域の平均濃度であり、具体的にはこの被膜表面側領域の厚み方向において互いに異なる3点の金属元素成分の総数に対する希ガス元素濃度を測定し、その平均値をこの領域における金属元素成分の総数に対する希ガス元素濃度とする。
また、上記のようにして金属元素成分の総数に対する希ガス元素濃度を実際に測定する方法としては、二次イオン質量分析法を採用することが好ましい。この方法は、被膜表面側より基材側にかけて順次一次イオンを用いてエッチングを行ないながら、それにより発生した二次イオンを質量分析する方法である。すなわち、希ガス由来の一価の正イオン(二次イオン)のカウント数(Ig)を厚み方向に対してプロットすることにより、基材側領域の3点のカウント数の平均値をIgb、被膜表面側領域の3点のカウント数の平均値をIgsとすると、Igb/Igsが上記比B/Aに一致する。
また、希ガス元素濃度の絶対値は、金属元素成分由来の二次イオンのカウント数(複数の金属元素が含まれる場合はその総数とするためΣImで示す)と、検出感度(希ガス元素の感度係数をαg、金属元素の感度係数をαmとする)とから、Igαg/ΣImαmで示される。
なお、希ガス元素が2種以上含まれる場合は、それらの合計濃度が希ガス元素濃度となる。ただし、上記二次イオン質量分析法では、希ガス元素の種類により二次イオンを検出する感度が異なるため、その感度係数を考慮して合計濃度を求めることが好ましい。
なお、本発明において希ガス元素濃度を「金属元素成分の総数に対する」と規定し、「全元素の総数に対する」と規定しないのは、「金属元素成分の総数に対する」と規定した場合において上記のような優れた効果との関係を反映することができるためである。また、希ガス元素濃度の単位は特に限定されないが「原子%」(すなわち原子数に基づく比率)とすることが好ましく、上記のような優れた効果を反映することができる。
<希ガス元素含有層における希ガス元素以外の成分>
本発明の希ガス元素含有層は、上記の通り希ガス元素を含むものであるが、希ガス元素のみにより構成されるものではなく必ず希ガス元素以外の成分を含むものである。すなわち、本発明の希ガス元素含有層は、希ガス元素以外に周期律表のIVa族元素(Ti、Zr、Hf等)、Va族元素(V、Nb、Ta等)、VIa族元素(Cr、Mo、W等)、Al、B、およびSiからなる群から選ばれる少なくとも1種の元素を含むことが好ましく、周期律表のIVa族元素、Va族元素、VIa族元素、Al、B、およびSiからなる群から選ばれる少なくとも1種の元素と、炭素、窒素、および酸素からなる群から選ばれる少なくとも1種の元素とを含む化合物を含むことが好ましい。
希ガス元素含有層において、希ガス元素は上記元素または化合物の結晶格子の正規の位置に置換型として入る場合、該結晶格子間に浸入型として入る場合、金属間化合物を形成する場合、非晶質として存在する場合等、いずれの場合も含まれる。
なお、希ガス元素含有層における希ガス元素以外の成分は、該層中均一な組成および濃度で存在しても良いし、組成および/または濃度が変化する(たとえば該層中の厚み方向に組成分布や濃度分布を形成する)ものであっても良い。
ここで、周期律表のIVa族元素、Va族元素、VIa族元素、Al、B、およびSiからなる群から選ばれる少なくとも1種の元素と、炭素、窒素、および酸素からなる群から選ばれる少なくとも1種の元素とを含む化合物としては、たとえばTiN、TiON、TiCN、TiCNO、TiBN、TiCBN、TiAlCN、AlN、AlCN、AlCrCN、AlON、CrN、CrCN、TiSiN、TiSiCN、Cr23、Ti23、TiO2、TiAlON、ZrN、ZrCN、AlZrN、TiAlN、TiAlSiN、TiAlCrSiN、AlCrN、AlCrSiN、TiZrN、TiAlMoN、TiAlNbN、AlCrTaN、AlTiVN、TiB2、TiCrHfN、CrSiWN、AlZrON、AlHfN、CrSiBON、TiAlWN、AlCrMoCN、TiAlBN、TiAlCrSiBCNO、TiAlCrHfN、TiAlCrHfCN、TiAlCrHfNO、TiAlCrZrN、TiAlCrZrCN、TiAlCrZrNO、TiAlCrMoN、TiAlCrMoCN、TiAlCrMoNO等を挙げることができる。
上記の化合物は、いずれも化学的安定性に優れ、かつ被膜に必要な機械的特性を備えている。特に、窒化物、炭窒化物、酸化物が好ましいが、これらのみに限定されるものではなく、窒化物に一部酸素を含んだ窒酸化物や炭化物中に一部酸素を含んだ炭酸化物も含まれる。なお、上記の化学式において、各元素は等比である必要はなく従来公知の組成が全て含まれるものとする(以下において同じ)。すなわち、本発明の希ガス元素含有層において、希ガス元素以外の元素が複数含まれる場合、それらの元素の組成比は特に限定されず、あらゆる組成比を有することが可能である。
上記の化合物中、特に好ましいものはTi、Cr、Al、Si、およびBのいずれかを少なくとも一種含む窒化物、炭窒化物、酸化物である。特に優れた化学的安定性および機械的特性が示されるからである。
さらに、上記希ガス元素含有層は、上記のような希ガス元素の濃度分布に連動させて希ガス元素以外の成分についても濃度分布または組成分布を形成させることが好ましい。すなわち、上記希ガス元素含有層は、TiとAlとを少なくとも含み、被膜表面側領域における金属元素成分の総数に占めるTi元素濃度が基材側領域における金属元素成分の総数に占めるTi元素濃度より高く、かつ基材側領域における金属元素成分の総数に占めるAl元素濃度が被膜表面側領域における金属元素成分の総数に占めるAl元素濃度より高くすることが好ましい。これにより、基材側領域において金属元素成分の総数に対する希ガス元素濃度が低いことおよびAl元素を高濃度で含有することと、被膜表面側領域において金属元素成分の総数に対する希ガス元素濃度が高いことおよびTi元素を高濃度で含有することとが相乗的に作用することにより、特に極めて優れた耐摩耗性と耐欠損性が両立されることになる。
ここで、Ti元素濃度とは、Ti元素の濃度でありTiの存在形態(たとえば単独で存在するか化合物を形成して存在するか等)にかかわらず全てのTiを対象とするものである(通常、原子%で示す)。また、Al元素濃度とは、Al元素の濃度でありAlの存在形態(たとえば単独で存在するか化合物を形成して存在するか等)にかかわらず全てのAlを対象とするものである(通常、原子%で示す)。なお、これら両者の元素濃度をいずれも「金属元素成分の総数に占める」と規定したのは、上記のような優れた効果との関係を反映することができるためである。
一方、上記希ガス元素含有層は、被膜表面側領域においてTiを含み、基材側領域においてAl、CrまたはSiのいずれかを含むことが好ましい。これにより、基材側領域において金属元素成分の総数に対する希ガス元素濃度が低いことおよびAl、CrまたはSiのいずれかを含有することと、被膜表面側領域において金属元素成分の総数に対する希ガス元素濃度が高いことおよびTiを含有することとが相乗的に作用することにより、特に極めて優れた耐摩耗性と耐欠損性が両立されることになる。
なお、希ガス元素含有層における希ガス元素以外の成分(組成)は、たとえばXPS(X線光電子分光分析装置)によって確認することができる。
<他の層>
本発明の被膜は、上記の希ガス元素含有層のみを含むものとすることができる一方、希ガス元素含有層とともに他の層を含むこともできる。このような他の層は、潤滑性や耐酸化性等の特性を備えていることが好ましい。
このような他の層の組成としては、上記の希ガス元素含有層において希ガス元素以外の成分として挙げられている元素や化合物と同一の元素や化合物を挙げることができる。さらに、このような他の層は、これらの元素や化合物とともにさらに希ガス元素を含むものであっても良い。この場合、この他の層における希ガス元素は上記の希ガス元素含有層における濃度分布とは異なった濃度分布を有するか、あるいは濃度分布を有することなく厚み方向に均一な濃度状態で含有されたものとすることができる。
なお、このような他の層は、希ガス元素含有層の上に形成しても良いし、基材と希ガス元素含有層との間に形成することもできる。このような他の層は、1層または2層以上形成することができる。このような他の層の存在や組成は、たとえばXPS(X線光電子分光分析装置)によって確認することができる。
<製造方法>
本発明の表面被覆切削工具の製造方法としては、上記の基材上に被膜の各層を物理蒸着法または化学蒸着法により形成する方法が挙げられる。しかし、被膜形成後において刃先形状をシャープにできること、および被膜の形成(成膜)を比較的低温で行なえるため高温では材料特性が劣化する可能性のあるサーメット等のような基材に対しても被覆することが可能であることなどの理由から、被膜各層は物理蒸着法により形成することが特に好ましい。
ここで、物理蒸着法としては、従来公知の物理蒸着法をいずれも採用することができる。たとえば、反応性スパッタリング法や、スパッタリング法とアークイオンプレーティング法とを組み合せて用いる複合方法や、非導電性の化合物中に導電性物質を分散させて導電性を付与してアークイオンプレーティング法を採用する方法等を挙げることができる。
以下に、反応性スパッタリング法を用いて基材表面に希ガス元素含有層を形成する方法(条件)を例示する。まず、基材の表面に対して、予めクリーニングを施す。その後、以下の条件で基材上に希ガス元素含有層を成膜する。すなわち、希ガス元素含有層を構成する元素を含有した金属ターゲットを準備するとともに、反応ガスとしては窒素、酸素、およびアセチレン等の中から希ガス元素含有層に含まれる元素に対応するガス種を適宜選択する。そして、装置内に反応ガスを導入しながら、基板(基材)温度400〜600℃、装置内のガス圧300〜800mPaとし、反応ガスと希ガスとの流量比(希ガス/反応ガス)を0〜5の範囲に設定する。次いで、基板(基材)バイアス電圧を0〜−200Vの範囲に維持したまま、金属ターゲットに0.06〜0.3W/mm2の電力密度を発生させ、所定の膜厚となったところで金属ターゲットへの電流供給を停止することにより、基材上に希ガス元素含有層を形成することができる。
そして、上記の条件下、該層の厚み方向において希ガス元素の濃度分布を形成させるには、以下のような調整を行なう。すなわち、まず上記の基板バイアス電圧を−100〜−200Vというように負側に高く(すなわち絶対値が大きくなるように)調節すると希ガス元素濃度を高めることができる。また、反応ガスと希ガスとの流量比を2.5〜5というように高めに設定することによっても希ガス元素濃度を高めることができる。一方、装置内のガス圧を300〜500mPaというように低めに設定したり、基板温度を550〜600℃というように高めに設定すると、希ガス元素濃度を低めることができる。なお、反応ガスに希ガスを混入しなければ、その間希ガス元素濃度は0となる。
なお、上記の条件を瞬間的に変化させると前述の図1および図2のように希ガス元素濃度を段階的に変化させることができ、一方その条件を所定の時間内で徐々に変化させると図3のように希ガス元素濃度を連続的に変化させることができる。
以下、実施例を挙げて本発明をより詳細に説明するが、本発明はこれらに限定されるものではない。なお、以下の各被膜の化学組成(化合物の組成)はXPS(X線光電子分光分析装置)によって確認し、金属元素成分の総数に対する希ガス元素濃度は前述の二次イオン質量分析法により測定した。
また、以下では被膜の各層を物理蒸着法である反応性スパッタリング法(アンバランスドマグネトロンスパッタリング法)により形成しているが、公知の他の物理蒸着法によって成膜した場合も含む。
<表面被覆切削工具の作製>
まず、基材として、後述の各試験毎に異なった基材を準備し、これを洗浄した後、スパッタリング装置(成膜装置)内の基板取り付け位置にセットした。
図4は、その成膜装置10の概略構成を示す模式図である。図4に示す成膜装置10内にアンバランスドマグネトロンスパッタ蒸発源(以下、単に蒸発源と記す)11(必要に応じ蒸発源12および13も用いるが、以下では単に蒸発源11と記す)を配置し、中心点Cを中心とし蒸発源11〜13に各対向するようにして回転する保持具14に上記基材を装着した。なお、必要なガスは、ガス導入口15から成膜装置10内へ導入される。また、成膜装置10内にはヒーター16が備えられている。また、蒸発源11には、以下の表1に記載した希ガス元素含有層の組成に対応する所定の金属原料(他の層を形成する場合は蒸発源12等にその他の層を構成する元素)をセットした。
続いて、真空ポンプにより該装置内を1×10-4Pa以下に減圧するとともに、該装置内に設置されたヒーター16により上記基材20の温度を500℃以上に加熱し、1時間保持した。
次に、アルゴンガスを導入して該装置内の圧力を200mPa〜800mPaに保持し、基板(基材)バイアス電圧を徐々に上げながら−400V〜−1000Vとし、基材の表面のクリーニングを60分間行なった。続けて、基板バイアス電圧を−50V〜−400Vに下げ、ホロカソード型ガス活性化源を用いて基材表面のクリーニングをさらに15分間行なった。その後、アルゴンガスを排気した。
次いで、上記基材表面に形成される被膜(希ガス元素含有層)として、化学組成が以下の表1に示したものとなるように上記蒸発源11に各ターゲットを各々セットした。基板(基材)温度を400〜600℃および該装置内のガス圧を300〜800mPaに設定し、表1に示した化学組成に対応する反応ガスとして、窒素、アセチレン(炭素源として)、酸素のうちから1以上のガスを選択することによりこれを導入した。この場合、ガス流量比として希ガス/反応ガスの比を1〜5の範囲内で調節した。そして、基板バイアス電圧を0V〜−100Vに維持したまま、蒸発源に0.06〜0.3W/mm2の電力密度を発生させることにより、基材上に被膜(希ガス元素含有層)を形成した(他の層を形成する場合も上記と同様の条件を採用して形成できる)。蒸発源11に供給する電流は被膜が所定の膜厚となったところで停止した。
上記条件において、希ガス元素含有層中の金属元素成分の総数に対する希ガス元素濃度は、基板温度、基板バイアス電圧、希ガス/反応ガスの比、装置内ガス圧等を上記において説明したようにして適宜調節することにより変化させるものとし、所定の濃度分布を形成した。
より具体的には、希ガス元素含有層の基材側領域を形成する条件としては、基板温度を550〜600℃の範囲、基板バイアス電圧を0〜−100Vの範囲、希ガス/反応ガスの比を0〜0.5の範囲、装置内ガス圧を300〜500mPaの範囲において調節した。なお、上記の条件を全て上記の範囲内に設定する必要はなく、いずれか1以上を選択することにより形成することができる。
一方、希ガス元素含有層の被膜表面側領域を形成する条件としては、基板温度を調節する場合はより低い温度を採用し、基板バイアス電圧を調節する場合は負側に大きくし、希ガス/反応ガスの比を調節する場合はより大きな値を採用し、装置内ガス圧を調節する場合はより高いガス圧を採用した。
このようにして、基材上に被膜を形成した実施例1〜18(ただし実施例3、6〜10、および14〜18は参考例)の表面被覆切削工具と比較例1〜3の表面被覆切削工具(上記の製造条件を各適宜変更して製造したものである)とを得た。実施例の表面被覆切削工具は、基材と該基材上に形成された被膜とを備えるものであって、該被膜は、1以上の層を含み、該層のうち少なくとも1の層は、希ガス元素を含む希ガス元素含有層であり、該希ガス元素含有層は、該層の厚み方向において希ガス元素の濃度分布を有しており、被膜表面側領域における金属元素成分の総数に対する希ガス元素濃度Aと基材側領域における金属元素成分の総数に対する希ガス元素濃度Bの比B/Aが0以上0.1以下であった。
なお、実施例2、5、12の希ガス元素含有層は、TiとAlとを少なくとも含み、被膜表面側領域における金属元素成分の総数に占めるTi元素濃度が基材側領域における金属元素成分の総数に占めるTi元素濃度より高く(基材側領域に対して被膜表面側領域において実施例2では5倍、実施例5では1.7倍、実施例12では5倍存在した)、かつ基材側領域における金属元素成分の総数に占めるAl元素濃度が被膜表面側領域における金属元素成分の総数に占めるAl元素濃度より高かった(被膜表面側領域に対して基材側領域において実施例2では1.2倍、実施例5では1.4倍、実施例12では1.24倍存在した)。
また、実施例1、3(参考例)、4、11、13の希ガス元素含有層は、被膜表面側領域においてTiを含み、基材側領域においてAl、CrまたはSiのいずれかを含むものであった。
そして、これらの表面被覆切削工具について、その形成した被膜の構成を以下の表1に示す。表1中、基材側領域(希ガス元素含有層において基材側に位置する界面から10nmの厚みを有する領域)および被膜表面側領域(希ガス元素含有層において被膜表面側に位置する界面から10nmの厚みを有する領域)に記載されている元素は、希ガス元素含有層における各々の領域に含まれる希ガス元素以外の元素を示す(元素とともに示されている数字は、希ガス元素を除いた状態の各元素の組成比を原子%で示したものである)。この場合、列挙された元素中に炭素、窒素、酸素のいずれかを含む場合は、それ以外の元素との間で化合物が形成されていることを示す。また、両領域で希ガス元素以外の元素の組成が異なる場合は、各実施例において後述の濃度分布態様に記載されている希ガス元素の変化態様と同様の変化態様で変化したことを示す。
また、表1中、希ガス元素として記載されている元素は、希ガス元素含有層に含まれる希ガス元素の種類を示す。この場合、該希ガス元素は基材側領域および被膜表面側領域の両領域に含まれることになる(ただし実施例18(参考例)を除く)。また、希ガス元素濃度とは、基材側領域における金属元素成分の総数に対する希ガス元素の濃度(原子%)を示す(なお、希ガス元素が2種以上含まれる場合はその合計濃度を示し、希ガス元素間の配合割合は特に制限されない)。なお、実施例18(参考例)は、基材側領域における希ガス元素の濃度が0原子%であり、被膜表面側領域における金属元素成分の総数に対する希ガス元素の濃度が0.06原子%とした。
また、表1中、B/Aとは、被膜表面側領域における金属元素成分の総数に対する希ガス元素濃度Aと基材側領域における金属元素成分の総数に対する希ガス元素濃度Bの比B/Aを示す。
さらに、表1中、膜厚比とは、被膜全体の厚みに対する希ガス元素含有層の厚みの割合を%表示で示したものである。なお、被膜全体の厚みは4.5μmに統一した。膜厚比が100%になっているものは、被膜が希ガス元素含有層1層のみにより形成されていることを示し、それ以外のものは他の層が形成されていることを示す。他の層は、TiCNにより構成されるものであり(希ガス元素は含まない)、希ガス元素含有層上に1層のみ形成されるものとする。ただし、実施例7(参考例)、11に関しては、基材と希ガス元素含有層との間にも他の層としてTiNを1層形成した(この場合、基材と希ガス元素含有層との間に形成される他の層の厚みは希ガス元素含有層上に形成される他の層の厚みと等しくなるようにした)。
また、表1中、濃度分布態様は、希ガス元素濃度が希ガス元素含有層の厚み方向において段階的に変化するものは「段階的」と記し、連続的に変化するものは「連続的」と記し、濃度が変化せず均一な濃度のものは「均一」と記した。なお、段階的に変化するものは図1のような態様で変化するものであった。
Figure 0005113414
そして、これらの実施例および比較例の表面被覆切削工具について、下記の条件により耐熱性試験と切削試験(4種)とを行なった。
<耐熱性試験>
被膜を形成する基材としては、JIS規格P30の超硬合金製の試験片(縦12.7mm×横12.7mm×厚み3.18mm)を用いた。上記のようにして被膜を形成したこの試験片を高温炉中において1000℃で1時間加熱した。その後、該試験片を高温炉から取り出し自然冷却した。
その後、この試験片に対して、XPSを用いて希ガス元素含有層の被膜表面側に形成されている酸化層の厚みを測定した。アルゴン陽イオンにより厚みの深さ方向に対してエッチング処理を行ないながら、X線を照射することにより酸素に起因する光電子エネルギーを検出し酸素の存在を確認した。すなわち、酸素が検出されなくなる深さまでの距離を酸化層の厚み(nm)とした。なお、このエッチングの深さは触針式表面粗さ計により測定した。この厚みが薄いものほど高温安定性に優れていることを示している。結果を以下の表2に示す。なお、表2中空欄のものはこの試験を行なわなかったことを示す。
以下の表2より明らかなように、実施例1と比較例1とを対比すると、希ガス元素含有層において希ガス元素が厚み方向において濃度分布を有さず均一に存在する比較例1は、希ガス元素の濃度分布を有する実施例1に比し耐熱性が劣っていた。また、実施例2、3(参考例)と比較例2、3とを対比すると、たとえ希ガス元素が厚み方向において濃度分布を形成するとしても上記比B/Aが0.1を超えると耐熱性が劣ることを確認できた。
<切削試験1>
被膜を形成する基材としては、素材がJIS規格P30の超硬合金であり、形状がJIS規格CNMG120408である切削チップを用いた。そして、この切削チップの表面に上記のようにして被膜を形成した。
この切削チップを用いて下記の切削条件による連続旋削試験を行なうことにより、逃げ面摩耗量(mm)を測定した。数値が小さいもの程、耐摩耗性に優れていることを示す。結果を以下の表2に示す。
(切削条件)
被削材:SCM435
切削速度:400m/min
切込み:2.0mm
送り:0.4mm/rev.
乾式/湿式:湿式
切削長さ:3500m
<切削試験2>
上記の切削試験1と同様、被膜を形成する基材としては、素材がJIS規格P30の超硬合金であり、形状がJIS規格CNMG120408である切削チップを用いた。そして、この切削チップの表面に上記のようにして被膜を形成した。
この切削チップを用いて下記の切削条件による断続旋削試験を行なうことにより、逃げ面摩耗量(mm)を測定した。数値が小さいもの程、耐摩耗性に優れていることを示す。結果を以下の表2に示す。
(切削条件)
被削材:SCM435(4溝)
切削速度:400m/min
切込み:1.5mm
送り:0.3mm/rev.
乾式/湿式:湿式
切削長さ:3500m
<切削試験3>
被膜を形成する基材としては、素材がJIS規格P30−543のサーメットであり、形状がJIS規格CNMG120408である切削チップを用いた。そして、この切削チップの表面に上記のようにして被膜を形成した。
この切削チップを用いて下記の切削条件による連続旋削試験を行なうことにより、逃げ面摩耗量(mm)を測定した。数値が小さいもの程、耐摩耗性に優れていることを示す。結果を以下の表2に示す。
(切削条件)
被削材:SCM435
切削速度:200m/min
切込み:1.5mm
送り:0.15mm/rev.
乾式/湿式:湿式
切削長さ:2000m
<切削試験4>
被膜を形成する基材としては、素材がJIS規格K10の超硬合金である、外径8mmの6枚刃エンドミルを用いた。そして、このエンドミルの表面に上記のようにして被膜を形成した。
このエンドミルを用いて下記の切削条件によるエンドミル側面削り加工試験を行なうことにより、被削材の寸法精度が規定値(表面粗さ3S以上)を逸脱するまでの切削長さを測定した。切削長さが長いものほど、切削性能が優れていることを示し、途中で欠損するもの(表2中「欠損」と表記)は切削性能(特に耐欠損性)に劣るものである。結果を以下の表2に示す。
(切削条件)
被削材:SKD11(HRC60)
切削速度:400m/min
切込み:Ad=12mm、Rd=0.2mm
送り:0.03mm/rev.
乾式/湿式:乾式(エアーブロー使用)
Figure 0005113414
上記表2より明らかなように、本発明の実施例の表面被覆切削工具は、いずれも優れた耐摩耗性と耐欠損性とを有しており、これら両特性を高度に両立するものであった。すなわち、これらの実施例の表面被覆切削工具においては、耐熱性試験の結果から明らかなように高温における被膜の安定性に優れるために耐摩耗性と耐欠損性が両立されたものと考えられる。
そして特に、上記希ガス元素含有層がTiとAlとを少なくとも含み、被膜表面側領域における金属元素成分の総数に占めるTi元素濃度が基材側領域における金属元素成分の総数に占めるTi元素濃度より高く、かつ基材側領域における金属元素成分の総数に占めるAl元素濃度が被膜表面側領域における金属元素成分の総数に占めるAl元素濃度より高い場合(実施例2、5、12)において、上記効果が顕著であった。また、上記希ガス元素含有層が被膜表面側領域においてTiを含み、基材側領域においてAl、CrまたはSiのいずれかを含む場合(実施例1、3(参考例)、4、11、13)においても、上記効果が顕著であった。
これに対して、比較例の表面被覆切削工具は、上記実施例のものに比し耐摩耗性(表2中切削試験1〜3参照)も耐欠損性(表2中切削試験4参照)も劣っていた。故に、本発明の表面被覆切削工具の構成が優れていることが確認できた。
以上のように本発明の実施の形態および実施例について説明を行なったが、上述の各実施の形態および実施例の構成を適宜組み合わせることも当初から予定している。
今回開示された実施の形態および実施例はすべての点で例示であって制限的なものではないと考えられるべきである。本発明の範囲は上記した説明ではなくて特許請求の範囲によって示され、特許請求の範囲と均等の意味および範囲内でのすべての変更が含まれることが意図される。
金属元素成分の総数に対する希ガス元素濃度が段階的に変化する場合の希ガス元素の濃度分布を視覚的に表わした模式図である。 金属元素成分の総数に対する希ガス元素濃度が段階的に変化する場合の希ガス元素の濃度分布を視覚的に表わした図1とは別の態様の模式図である。 金属元素成分の総数に対する希ガス元素濃度が連続的に変化する場合の希ガス元素の濃度分布を視覚的に表わした模式図である。 成膜装置の概略構成を示す模式図である。
符号の説明
1 被膜表面側領域、2 基材側領域、3 中央領域、10 成膜装置、11,12,13 蒸発源、14 保持具、15 ガス導入口、16 ヒーター、20 基材。

Claims (10)

  1. 基材と該基材上に形成された被膜とを備える表面被覆切削工具であって、
    前記被膜は、1以上の層を含み、
    前記層のうち少なくとも1の層は、希ガス元素を含む希ガス元素含有層であり、
    前記希ガス元素含有層は、該層の厚み方向において希ガス元素の濃度分布を有しており、被膜表面側領域における金属元素成分の総数に対する希ガス元素濃度Aと基材側領域における金属元素成分の総数に対する希ガス元素濃度Bの比B/Aが0以上0.1以下であり、
    前記希ガス元素含有層は、TiとAlとを少なくとも含み、前記被膜表面側領域における金属元素成分の総数に占めるTi元素濃度が前記基材側領域における金属元素成分の総数に占めるTi元素濃度より高く、かつ前記基材側領域における金属元素成分の総数に占めるAl元素濃度が前記被膜表面側領域における金属元素成分の総数に占めるAl元素濃度より高いことを特徴とする表面被覆切削工具。
  2. 前記基材側領域は、前記希ガス元素含有層において基材側に位置する界面から10nmの厚みを有する領域であり、前記被膜表面側領域は、前記希ガス元素含有層において被膜表面側に位置する界面から10nmの厚みを有する領域であることを特徴とする請求項1記載の表面被覆切削工具。
  3. 前記希ガス元素含有層は、前記基材上に直接接して形成されていることを特徴とする請求項1または2記載の表面被覆切削工具。
  4. 前記希ガス元素の濃度分布は、金属元素成分の総数に対する希ガス元素濃度が前記希ガス元素含有層の厚み方向において段階的に変化することを特徴とする請求項1〜3のいずれかに記載の表面被覆切削工具。
  5. 前記希ガス元素の濃度分布は、金属元素成分の総数に対する希ガス元素濃度が前記希ガス元素含有層の厚み方向において連続的に変化することを特徴とする請求項1〜3のいずれかに記載の表面被覆切削工具。
  6. 前記希ガス元素含有層の厚みは、前記被膜全体の厚みの10%以上100%以下であることを特徴とする請求項1〜5のいずれかに記載の表面被覆切削工具。
  7. 前記基材側領域における希ガス元素濃度は、同領域の金属元素成分の総数に対して0原子%以上0.9原子%以下であることを特徴とする請求項1〜6のいずれかに記載の表面被覆切削工具。
  8. 前記希ガス元素含有層は、周期律表のIVa族元素、Va族元素、VIa族元素、Al、B、およびSiからなる群から選ばれる少なくとも1種の元素を含むことを特徴とする請求項1〜7のいずれかに記載の表面被覆切削工具。
  9. 前記希ガス元素含有層は、周期律表のIVa族元素、Va族元素、VIa族元素、Al、B、およびSiからなる群から選ばれる少なくとも1種の元素と、炭素、窒素、および酸素からなる群から選ばれる少なくとも1種の元素とを含む化合物を含むことを特徴とする請求項1〜8のいずれかに記載の表面被覆切削工具。
  10. 前記希ガス元素含有層は、前記被膜表面側領域においてTiを含み、前記基材側領域においてAl、CrまたはSiのいずれかを含むことを特徴とする請求項1〜9のいずれかに記載の表面被覆切削工具。
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