JP5968740B2 - ターゲット装置、スパッタ装置、及び、ターゲット装置の製造方法 - Google Patents

ターゲット装置、スパッタ装置、及び、ターゲット装置の製造方法 Download PDF

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Description

本開示の技術は、導電性を有したターゲット部材を備えるターゲット装置、ターゲット装置を備えるスパッタ装置、及び、ターゲット装置の製造方法に関する。
シリコン酸化膜の形成方法の1つである反応性スパッタ法では、シリコン酸化物の構成元素であるシリコンを主成分としたシリコンターゲットが用いられる。シリコンターゲットの表面は、スパッタが優先的に進むエロージョン領域と、スパッタが殆ど進まない非エロージョン領域とに通常は区画され、非エロージョン領域には、プラズマ中で生成されるシリコン酸化物が付着する。非エロージョン領域に付着したシリコン酸化物には、スパッタ処理の進行に伴い電荷が蓄積するため、蓄積される電荷が所定量を超えると、非エロージョン領域に急激に電流が流れて異常放電が起こる場合がある。特許文献1では、異常放電が起こることを抑えるために、非エロージョン領域自体が予めシリコンとは異なる絶縁物によって形成されている。
特開2005−213636号公報
ところで、スパッタ装置の保守整備が行われる際には、シリコン酸化物が付着した状態で非エロージョン領域が大気に曝される場合がある。この際に、プラズマ中で付着したシリコン酸化物は、非エロージョン領域の絶縁物とは少なからず相互に異なる機械的な特性を有するため、これらの曝される温度や圧力の変化に伴って、シリコン酸化物が非エロージョン領域から剥がれ落ちる場合がある。なお、こうした問題は、反応性スパッタ法によってシリコン酸化物を形成する場合に限らず、絶縁性の無機化合物、例えば、シリコン窒化物や酸化ニオブ等を形成する場合にも共通する。
本開示の技術は、付着物の剥離を抑えることができるターゲット装置、スパッタ装置、及び、ターゲット部材の製造方法を提供することを目的とする。
本開示におけるターゲット装置の一態様は、第1表面を含み、導電性を有するターゲット部材と、第2表面を含み、絶縁性を有する非ターゲット部材と、を備える。前記第1表面と前記第2表面とが並び、前記第1表面は、平坦面であり、前記第2表面は、段差面を含み、前記ターゲット部材の主たる構成元素がシリコンであり、前記非ターゲット部材の主成分が石英である
本開示におけるターゲット装置の製造方法の一態様は、第1表面を含み、導電性を有するターゲット部材を形成すること、第2表面を含み、絶縁性を有する非ターゲット部材を形成すること、前記第1表面と前記第2表面とを並べること、を含む。前記第1表面は、平坦面であり、前記第2表面は、段差面を含み、前記ターゲット部材の主たる構成元素がシリコンであり、前記非ターゲット部材の主成分が石英である
本開示の技術における一態様では、ターゲット部材のスパッタによって生成される生成物の一部が第2表面に付着する。この際に、第2表面が平坦面である構成と比べて、付着物と第2表面との接触面積が大きくなる。それゆえに、付着物が非ターゲット部材から剥離することが抑えられる。
また、ターゲット部材の主たる構成元素であるシリコンが、非ターゲット部材の主成分に含まれるため、シリコンが含まれていない非ターゲット部材と比べて、非ターゲット部材と付着物との密着性が高められる。それゆえに、シリコン化合物の生成に際して、より好ましい。
本開示におけるターゲット装置の他の態様は、前記段差面が、連続する多数の凹曲面を含む。
本開示におけるターゲット装置の他の態様では、段差面が多数の平面によって構成される場合に比べて、段差面に作用する応力の分散が図られる。結果として、非ターゲット部材における機械的な強度が高められる。
本開示におけるターゲット装置の他の態様は、磁気回路をさらに備え、前記第1表面は、垂直磁場がゼロである部分と対向する部位に配置され、前記第2表面は、垂直磁場がゼロである部分と対向しない部位に配置される。
本開示におけるターゲット装置の他の態様によれば、ターゲット部材からの粒子の放出が高められ、且つ、非ターゲット部材からの粒子の放出が抑えられる。それゆえに、ターゲット部材の構成元素と非ターゲット部材の構成元素とが同様にスパッタされる場合に比べて、スパッタによって形成される膜の組成の調整が容易になる。
本開示におけるスパッタ装置の態様は、プラズマが生成される真空槽と、前記真空槽に取り付けられるターゲット装置と、を備える。前記ターゲット装置は、第1表面を含み、導電性を有するターゲット部材と、第2表面を含み、絶縁性を有する非ターゲット部材と、を備え、前記第1表面と前記第2表面とは、並んで前記プラズマに曝される部分であり、前記第1表面は、平坦面であり、前記第2表面は、段差面を含み、前記ターゲット部材の主たる構成元素がシリコンであり、前記非ターゲット部材の主成分が石英であり、前記プラズマが酸素を含む。
本開示におけるスパッタ装置の態様によれば、ターゲット部材のスパッタによって生成される生成物の一部が第2表面に付着する。この際に、第2表面が平坦面である構成と比べて、付着物と第2表面との接触面積が大きくなる。それゆえに、付着物が非ターゲット部材から剥離することが抑えられる。
加えて、ターゲット部材の主たる構成元素であるシリコンが、非ターゲット部材の主成分に含まれるため、シリコンが含まれていない非ターゲット部材と比べて、非ターゲット部材と付着物との密着性が高められる。また、非ターゲット部材の主成分がプラズマ中で生成される生成物と同じ構成元素からなるため、非ターゲット部材の主成分が不純物として生成物に含まれることが抑えられる。
本開示におけるターゲット装置の製造方法の他の態様は、前記非ターゲット部材を形成するときに、前記第2表面になる側面にウェットエッチング処理を施して前記段差面を形成することを含む。
本開示におけるターゲット装置の製造方法の他の態様によれば、第2表面における段差面は、等方的なエッチング処理によって多数の凹曲面として形成される。それゆえに、段差面が多数の平面によって構成される場合に比べて、段差面に作用する応力の分散が図られる。結果として、非ターゲット部材における機械的な強度が高められる。
本開示におけるターゲット装置の製造方法の他の態様は、前記非ターゲット部材を形成するときに、前記第2表面になる側面にブラスト処理と前記ウェットエッチング処理とを順に施して前記段差面を形成することを含む。
本開示におけるターゲット装置の製造方法の他の態様によれば、ブラスト処理によって荒らされた表面に対してウェットエッチング処理が施されるため、ウェットエッチング処理のみによって多数の凹曲面が形成される場合に比べて、凹曲面の形成が容易になる。
本開示におけるスパッタ装置の一実施形態にてターゲット装置の全体構成を真空槽内の構成と共に示すブロック図である。 ターゲット装置の平面構造を示す平面図である。 ターゲット装置の断面構造の一部を拡大して示す部分断面図である。 ターゲット装置の表面に形成される磁場を模式的に示す模式図である。 ターゲット装置の製造工程を示す工程図である。 ターゲット装置の変形例における断面構造の一部を拡大して示す部分断面図である。 ターゲット装置の変形例におけるターゲット装置の表面に形成される磁場を模式的に示す模式図である。 ターゲット装置の変形例における断面構造の一部を拡大して示す部分断面図である。 ターゲット装置の変形例における断面構造の一部を拡大して示す部分断面図である。
本開示の技術を具体化した一実施形態について図1から図5を参照して説明する。以下では、ターゲット装置を含むスパッタ装置の構成、ターゲット装置の構成、ターゲット装置の製造方法の順に説明する。
[スパッタ装置の構成]
図1に示されるように、スパッタ装置10を構成する真空槽11は、紙面と直交する方向に延びる矩形箱状をなし、真空槽11には、真空槽11の壁部を貫通する供給口11aと排気口11bとが形成されている。供給口11aには、真空槽11内にスパッタガスを供給するスパッタガス供給部12と、反応ガスを供給する反応ガス供給部13とが接続されている。スパッタガス供給部12と反応ガス供給部13とは、供給口11aから真空槽11の外側に向かって延びる1つの配管に接続されてもよいし、互いに独立して供給口11aに接続されてもよい。
スパッタガス供給部12は、アルゴンガス等の希ガスを真空槽11内に供給し、反応ガス供給部13は酸素ガスを真空槽11内に供給する。排気口11bには、真空槽11内を排気する排気部14が接続されている。排気部14は、例えばターボ分子ポンプ等の真空ポンプによって構成されている。
真空槽11の内壁面のうち相互に対向する壁面には、紙面と直交する方向に沿って延びる2つの支持台21が取り付けられ、2つの支持台21の各々には、ターゲット装置20が取り付けられている。各ターゲット装置20は、真空槽11内での固定位置が異なるものの、その他の構成が同一である。
2つのターゲット装置20の各々では、シリコンを主成分とするターゲット部材と、石英を主成分とする非ターゲット部材とを含むカソード部22が、バッキングプレート23に固定されている。バッキングプレート23には、カソード部22に電力を供給するターゲット電源24が接続されている。バッキングプレート23と支持台21との間には、ターゲット装置20を構成し、カソード部22の表面に磁場を形成する磁気回路25が配置されている。支持台21の上方には、防着板26が取り付けられ、防着板26は、紙面と直交する方向に延びる矩形板状をなしている。
2つのターゲット装置20の間には、フィルムFを搬送するフィルム搬送部30が設置されている。フィルム搬送部30は、送り出しローラー31、巻き取りローラー32、成膜ローラー33、送り出しガイドローラー34a,34b、及び、巻き取りガイドローラー35a,35bを備えている。これらローラー31〜33,34a,34b,35a,35bの各々は、紙面と直交する方向に延びる円柱状をなしている。なお、紙面と直交する方向であって、各ローラー31〜33,34a,34b,35a,35bにおける中心軸の延びる方向が、軸方向として設定される。各ローラー31〜33,34a,34b,35a,35bの両端部は、各ローラー31〜33,34a,34b,35a,35bの回転が可能な状態で真空槽11の内壁面に支えられている。
このうち、送り出しローラー31と、巻き取りローラー32と、送り出しガイドローラー34a,34bと、巻き取りガイドローラー35a,35bとは、防着板26よりも上方に配置されている。成膜ローラー33は、防着板26よりも下方に配置され、且つ、真空槽11内における2つのターゲット装置20の間に配置されている。
送り出しローラー31からは、送り出しローラー31に巻き付けられた成膜前のフィルムFが送り出される。巻き取りローラー32の外周面には、成膜後のフィルムFが巻き付けられる。2つの送り出しガイドローラー34a,34bは、送り出しローラー31と成膜ローラー33との間に配置され、2つの巻き取りガイドローラー35a,35bは、巻き取りローラー32と成膜ローラー33との間に配置されている。
送り出しローラー31から引き出されたフィルムFは、送り出しガイドローラー34a,34bの外周面、成膜ローラー33の外周面、巻き取りガイドローラー35a,35bの外周面、巻き取りローラー32の外周面の順に掛け渡される。
スパッタ装置10では、シリコン酸化膜が、反応性スパッタによってフィルムF上に形成される。シリコン酸化膜の形成時には、まず、真空槽11内が排気部14によって排気された後、アルゴンガスと酸素ガスとが真空槽11内に供給される。次いで、ターゲット電源24からバッキングプレート23に電力が供給されることによって、アルゴンガスと酸素ガスとからプラズマが生成され、プラズマ中の正イオンがカソード部22に衝突する。これにより、カソード部22からシリコンの粒子が放出され、シリコンの粒子がプラズマ中の酸化源と衝突する。こうして形成されたシリコンと酸素とを含む粒子がフィルムFの表面に堆積することで、フィルムFの表面にシリコン酸化膜が形成される。また、カソード部22の表面に付着した酸化源が、シリコン粒子とともにスパッタされることで、シリコンと酸素とを含む粒子がフィルムFの表面に堆積することによっても、シリコン酸化膜が形成される。
なお、反応性スパッタが行われているときには、巻き取りローラー32が、紙面の左右方向における右回りに自転して、フィルムFが所定の速度で巻き取りローラー32の外周面に巻き取られる。これにより、その他のローラーも回転することで、送り出しローラー31から成膜前のフィルムFが送り出されながら、成膜ローラー33では、2つのターゲット装置20によって、所定厚さのシリコン酸化膜がフィルムF上に形成される。
[ターゲット装置の構成]
図2及び図3を参照してターゲット装置20の構成を説明する。
図2に示されるように、カソード部22は、ターゲット部材51を備え、ターゲット部材51では、成膜ローラー33の軸方向に沿って延び、且つ、四隅が面取りされた矩形環状をなすターゲット面が軸方向と直交する方向に沿って連続する。ターゲット部材51の内周面には、非ターゲット部材52が配置され、非ターゲット部材52では、成膜ローラー33の軸方向に沿って延び、且つ、四隅が面取りされた矩形状をなす非ターゲット面が軸方向と直交する方向に沿って連続する。非ターゲット部材52における外周面の全体は、ターゲット部材51の内周面によって囲われている。ターゲット部材51と非ターゲット部材52とは、反応性スパッタ時の温度における形状にて、ターゲット部材51の内周面と、非ターゲット部材52の外周面とが接することが好ましい。つまり、ターゲット部材51と非ターゲット部材52とは、室温にてターゲット部材51の内周面と非ターゲット部材52の外周面とが相互に離れ、反応性スパッタ時の温度にて、ターゲット部材51の内周面と非ターゲット部材52の外周面とが熱膨脹によって相互に接する形状であることが好ましい。
ターゲット部材51の形成材料には、導電性の材料であるシリコンが主たる構成元素として用いられている。非ターゲット部材52の形成材料には、絶縁性の材料である石英が主成分として用いられ、非ターゲット部材52の主成分には、ターゲット部材51の主たる構成元素が含まれている。なお、ターゲット部材51の主成分、及び、非ターゲット部材52の主成分の各々は、ターゲット部材51の形成材料、及び、非ターゲット部材52の形成材料の各々における95%を占め、好ましくは99%以上を占めている。
ターゲット部材51の外周面は、矩形環状をなすシールド53によって囲まれている。シールド53の形成材料には、絶縁性の材料であるアルミナ等が用いられる。ターゲット部材51とシールド53とは、反応性スパッタ時の温度における形状にて、ターゲット部材51の外周面と、シールド53の内周面とが接することが好ましい。つまり、ターゲット部材51とシールド53とは、室温にてターゲット部材51の外周面とシールド53の内周面とが相互に離れ、反応性スパッタ時の温度にて、ターゲット部材51の外周面とシールド53の内周面とが熱膨脹によって相互に接する形状であることが好ましい。
カソード部22には、金属で形成されて軸方向に沿って延びる矩形板状をなすバッキングプレート23が、例えば、はんだによって固定されている。カソード部22では、バッキングプレート23の固定された面が裏面として設定され、裏面とは反対側の面が表面として設定される。スパッタ装置10にて反応性スパッタが行われるときには、カソード部22の表面が、真空槽11内に生成されたプラズマに曝される。
図3に示されるように、ターゲット部材51の表面である第1表面51sは、平坦面であり、第1表面51sの表面粗さRaは、1μm以下であることが好ましい。
非ターゲット部材52の表面である第2表面52sは、第2表面52sの全体にわたって第1表面51sと並んで配置され、第2表面52sの全体は、第1表面51sによって囲まれている。第2表面52sの全体には、非ターゲット部材52の厚さ方向に沿って窪む多数の凹部52hが連続して形成されている。多数の凹部52hの各々を囲う面は、凹部52hの底に向かって突出する凸曲面であり、各凹部52hは略半球状、あるいは、略半楕円体状をなしている。各凹部52hの形状は、相互に異なってもよいし、相互に同一であってもよい。このように、非ターゲット部材52の第2表面52sは、凹曲面が連続する段差面である。第2表面52sの表面粗さRaは、1μm以上100μm以下であることが好ましく、且つ、第1表面51sの表面粗さRaよりも大きい。
第1表面51sと第2表面52sとは面一に配置されている。つまり、第2表面52sを構成する各凹部52hでは、カソード部22の表面に対して最も突き出た部位と最も窪んだ部位との間のいずれかの部位が、上記厚さ方向にて第1表面51sの位置と一致している。
[ターゲット装置の作用]
図4を参照してターゲット装置20の作用を説明する。
図4に示されるように、磁気回路25がカソード部22の裏面側に配置されると、磁気回路25の形成する磁場が、漏洩磁場としてカソード部22の表面上に漏れ出す。漏洩磁場は、垂直磁場Bがゼロである部分を有している。垂直磁場Bとは、カソード部22の表面における法線方向に沿う磁場成分である。垂直磁場Bがゼロである部分は、ターゲット部材51の第1表面51sと対向し、好ましくは、ターゲット部材51の第1表面51sのみと対向する。垂直磁場Bがゼロでない部分は、非ターゲット部材52の第2表面52sと対向し、好ましくは、非ターゲット部材52の第2表面52sのみと対向する。
カソード部22の表面上にてプラズマが生成されるとき、カソード部22の表面上では、垂直磁場Bがゼロである部分、すなわち、第1表面51sと対向する部分に高密度のプラズマが生成される。一方で、垂直磁場Bがゼロでない部分、すなわち、第2表面52sと対向する部分では、他の部分に比べてプラズマの密度が低くなる。それゆえに、カソード部22がスパッタされるときには、カソード部22の表面では、第1表面51sが、優先的にスパッタされるエロージョン領域Eとして区画され、第2表面52sが、ほとんどスパッタされない非エロージョン領域NEとして区画される。
スパッタ装置10での反応性スパッタが進むと、エロージョン領域Eではスパッタが進む一方で、非エロージョン領域NEには、エロージョン領域Eからスパッタされたシリコンと酸素との反応生成物であるシリコン酸化物が付着する。この際に、非エロージョン領域NEがエロージョン領域Eと同様の導電物で形成されている場合、プラズマにて質量の小さい電子が速く動くことにより、付着物には、スパッタが進行するにつれて負の電荷が蓄積する。付着物の容量は非常に小さいため、付着物の絶縁破壊によって非エロージョン領域NEに急激に電流が流れ、結果として、異常放電が起こってしまう。
これに対し、カソード部22では、非エロージョン領域NEの殆ど、あるいは、非エロージョン領域NEの全てが非ターゲット部材52によって形成されている。そのため、非エロージョン領域NEがターゲット部材51のみによって形成された構成と比べて、非ターゲット部材52は、絶縁体であるために帯電が少なく、且つ、非ターゲット部材52が、帯電したとしても隣接する導体に流れにくい程度に厚いため、付着物の絶縁破壊が起こりにくく、また、付着物と付着先との間で放電が起こらない。それゆえに、カソード部22を備えるターゲット装置20によれば、反応性スパッタが行われている際の異常放電が抑えられる。
加えて、非ターゲット部材52の主成分には石英が用いられているため、非ターゲット部材52の構成元素と付着物の構成元素とが同じである。それゆえに、非ターゲット部材52の形成材料にアルミナ等の他の絶縁物が用いられている構成と比べて、非ターゲット部材52に対する付着物の密着性が高められる。結果として、付着物が非ターゲット部材52から剥がれ落ちにくくなる。
また、非ターゲット部材52とフィルムFに形成される薄膜との主成分を構成する元素が同じであるため、非ターゲット部材52がスパッタされて、スパッタ粒子がフィルムFに到達しても、フィルムFに形成される膜には本来含まれるべき元素以外の元素が含まれにくくなる。それゆえに、非ターゲット部材52の形成材料における主成分として他の絶縁物が用いられている構成と比べて、フィルムFに形成される膜の質が落ちることを抑えられる。
さらに、非ターゲット部材52の第2表面52sが段差面であるため、非ターゲット部材52の第2表面52sが平坦面である構成と比べて、付着物と第2表面52sとの接触面積が大きくなる。それゆえに、付着物が非ターゲット部材52から剥離することが抑えられる。また、非ターゲット部材52に段差面が形成されているため、ターゲット部材そのものの表面が段差面である構成と比べて、付着物が剥離しにくくなる。しかも、第2表面52sが多数の凹曲面によって形成されているため、多数の平面によって形成されている構成と比べて、第2表面52sに作用する応力が分散される。結果として、非ターゲット部材52における機械的な強度が高められる。
[ターゲット装置の製造方法]
図5を参照してターゲット装置の製造方法を説明する。なお、以下では、ターゲット装置20の製造工程のうち、ターゲット装置20の備えるカソード部22の製造工程について、特に詳しく説明する。
図5に示されるように、カソード部22が製造されるときには、ターゲット部材51と非ターゲット部材52とが形成される(ステップS11,S21)。ターゲット部材51は、反応性スパッタ時の温度にて、ターゲット部材51と非ターゲット部材52とで相互に機械的な負荷がかからない形状及び大きさに形成される。ターゲット部材51は、複数の部材によって環状に形成されてもよいし、1つの部材によって環状に形成されてもよい。
非ターゲット部材52の形成には、以下に説明するブラスト処理(ステップS22)、及びウェットエッチング処理(ステップS23)が含まれる。非ターゲット部材52の形状は、ターゲット部材51と同様、反応性スパッタ時の温度にて、ターゲット部材51と非ターゲット部材52とで相互に機械的な負荷がかからない形状及び大きさに形成される。非ターゲット部材52は、複数の部材によって形成されてもよいし、1つの部材によって形成されてもよい。
そして、非ターゲット部材52における一側面、すなわち、カソード部22の表面を構成する第2表面52sとなる面にブラスト処理が施される(ステップS22)。ブラスト処理では、非ターゲット部材52の一側面に対して各種の投射材がぶつけられることによって、一側面には、多数の平面で構成される凹凸が連続して形成される。投射材には、金属、セラミック、及びガラス等の各種材料で形成された粒子が用いられ、粒子は、圧縮空気によって投射されてもよいし、流体、例えば水と混ぜられた状態で投射されてもよい。
次いで、ブラスト処理が施された非ターゲット部材52の一側面には、ウェットエッチング処理が施される(ステップS23)。ウェットエッチング処理では、非ターゲット部材52の一側面に対して各種の薬液が塗布されることによって、一側面には、多数の凹曲面が連続して形成される。
このとき、先のステップS22にて形成された凹凸に対して薬液が入り込み、凹凸を構成する平面にて等方的なエッチングが進行する。そのため、凹凸が形成されていない面に対してウェットエッチングを行う場合と比べて、薬液が作用する面積が大きくなる。それゆえに、ウェットエッチングにより同様の表面粗さRaを有した段差面を形成する前提では、ブラスト処理を行わない場合と比べて、一側面に対して凹曲面が形成されやすくなる。
また、ブラスト処理では、凹凸を構成する平面に沿ったひび割れが非ターゲット部材52に形成されることもある。ウェットエッチング処理では、薬液がこうしたひび割れに入ることもあり、これにより、非ターゲット部材52に対する等方的なエッチングが、ひび割れから進むこともある。また、ウェットエッチング処理によってエッチングされる厚みは、こうしたひび割れに対して十分に大きい。結果として、非ターゲット部材52の一側面に凹曲面を形成しながら、非ターゲット部材52の機械的な強度を高めることができる。
ウェットエッチング処理では、薬液には、フッ酸、フッ化アンモニウム水溶液、及び、フッ酸とフッ化アンモニウム水溶液との混合液であるバッファードフッ酸等が用いられる。薬液では、これらの水溶液に対して界面活性剤が添加されていてもよい。こうした薬液は、非ターゲット部材52の表面に対してスプレーによって吹き付けられてもよいし、スピンコーター等によって塗布されてもよい。あるいは、薬液が溜められた処理槽に対して、非ターゲット部材52における一側面のみが浸けられてもよい。
ターゲット部材51と非ターゲット部材52とが形成されると、カソード部22の組立が行われる(ステップS31)。カソード部22の組立では、非ターゲット部材52が、ターゲット部材51の貫通孔内に配置される。これにより、非ターゲット部材52の上記一側面が第2表面52sとして設定され、第2表面52sの全周にわたってターゲット部材51の一側面、すなわち第1表面51sが並ぶ。
こうしてステップS11,S21,S31を経ることによって、カソード部22が製造される。その後、カソード部22の裏面にバッキングプレート23が固定され、バッキングプレート23の裏面に磁気回路25が配置されることによって、ターゲット装置20が製造される。
以上説明したように、上記実施形態によれば、以下に列挙する効果を得ることができる。
(1)非ターゲット部材52の第2表面52sが段差面であるため、平坦面である構成と比べて、付着物と第2表面52sとの接触面積が大きくなる。それゆえに、付着物が非ターゲット部材52から剥離することが抑えられる。
(2)第2表面52sが多数の凹曲面によって形成されているため、多数の平面によって構成される場合に比べて、第2表面52sに作用する応力が分散される。結果として、非ターゲット部材52における機械的な強度が高められる。
(3)ターゲット部材51の主たる構成元素であるシリコンが、非ターゲット部材52の主成分に含まれるため、シリコンが含まれていない非ターゲット部材52と比べて、非ターゲット部材52と付着物との密着性が高められる。また、非ターゲット部材52の主成分がプラズマ中で生成される生成物と同じ構成元素からなるため、非ターゲット部材52の主成分が不純物として生成物に含まれることが抑えられる。
(4)第1表面51sが、垂直磁場Bがゼロである部分と対向する部位に配置され、第2表面52sが、垂直磁場Bがゼロである部分と対向しない位置に配置される。そのため、ターゲット部材51からの粒子の放出が高められ、且つ、非ターゲット部材52からの粒子の放出が抑えられる。それゆえに、ターゲット部材51の構成元素と非ターゲット部材52の構成元素とが同様にスパッタされる場合に比べて、スパッタによって形成される膜の組成の調整が容易になる。
(5)第2表面52sにおける段差面は、等方的なエッチング処理によって多数の凹曲面として形成される。それゆえに、段差面が多数の平面によって構成される場合に比べて、段差面に作用する応力が分散される。結果として、非ターゲット部材における機械的な強度が高められる。
(6)ブラスト処理によって荒らされた表面に対してウェットエッチング処理が施されるため、ウェットエッチング処理のみによって多数の凹曲面が形成される場合に比べて、凹曲面の形成が容易になる。
なお、上記実施形態は、以下のように適宜変更して実施することもできる。
・第2表面52sの全体が段差面でなくともよく、第2表面52sの一部が段差面であればよい。第2表面52sの一部が段差面である場合、第2表面52s内には、段差面である部分が1つだけ含まれていてもよいし、複数含まれていてもよい。
・段差面に含まれる多数の凹部52hは、連続して形成されていなくともよく、凹部52hと凹部52hとの間には、第1表面51sと同程度に平坦な面が含まれていてもよい。
・段差面を構成する凹面は、多数の平面によって構成されてもよい。
図6に示されるように、非ターゲット部材62における第2表面62sの凹部62hを構成する側面は、複数の平面からなる構成でもよく、こうした平面によって形成される凹部62hは、例えば、ブラスト処理によって形成される。なお、複数の平面からなる凹面の形成時には、各平面に沿って延びるひび割れ62aが形成されやすい。そして、第2表面62sに外力が作用する際には、非ターゲット部材62の一部がひび割れ62aに沿って欠けることがある。
これに対し、上述した実施形態の非ターゲット部材52では、凹部52hを構成する側面が曲面であるため、上述のようなひび割れが相対的に少ない。それゆえに、非ターゲット部材52の一部が欠けることが抑えられる。
・第2表面52sには、第1表面51sの表面よりも大きい段差が形成されていればよく、段差面に含まれる各凹部を構成する側面の形状、及び、側面によって囲まれる凹部の形状は任意である。
・第1表面51sは、第2表面52sの外周面における全体に配置されていなくともよく、第1表面51sと第2表面52sとは、相互の一部分が並んで配置されていればよい。例えば、図7に示されるように、磁気回路25の形成する漏洩磁場によっては、カソード部22では、紙面の左右方向における両端部と中央部とが、非エロージョン領域NEとして区画され、カソード部22におけるそれ以外の部分がエロージョン領域Eとして区画される。こうした構成では、3つの非エロージョン領域NEに対して非ターゲット部材72を配置し、2つのエロージョン領域Eにターゲット部材71を配置することができる。
この場合、上記中央部に配置された非ターゲット部材72の第2表面72sでは、第2表面72sの外周面における全体にターゲット部材71の第1表面71sが配置されている。一方で、紙面の左右方向における左端部に配置された非ターゲット部材72では、第2表面72sにおける左側以外の部位にて第1表面71sと並んでいる。また、紙面の左右方向における右端部に配置された非ターゲット部材72では、第2表面72sにおける右側以外の部位にて第1表面71sと並んでいる。
なお、図7に示される構成では、カソード部22における3つの非エロージョン領域NEの全てに非ターゲット部材72が配置されていなくともよく、少なくとも1つに非ターゲット部材72が配置されていればよい。こうした構成であっても、非エロージョン領域NEの一部分に非ターゲット部材72が配置されている以上、少なからず非ターゲット部材72による効果を得ることができる。
・ターゲット部材51と非ターゲット部材52とは、相互に離間して配置されてもよい。こうした構成であっても、形状が同一であるという前提では、ターゲット部材のみで形成されたターゲット装置と比べて、反応性スパッタ時における異常放電を抑えることは可能である。
・図8に示されるように、カソード部22では、非ターゲット部材82の第2表面82sが、上記厚さ方向においてターゲット部材81の第1表面81sよりも突き出ていてもよい。すなわち、第1表面81sと第2表面82sとが隣り合う部位にて段差が形成されていてもよい。こうした構成によれば、ターゲット部材81の内周面81iに、シリコン酸化物が付着することを確実に抑えることができる。そのため、導電性のターゲット部材81に対する付着物によって異常放電が起こることを抑えられる。なお、例えば、反応性スパッタによって生成される付着物の量が多い程、あるいは、カソード部22に供給されるターゲット電力が大きい程、反応性スパッタ時における異常放電が生じやすい。そこで、異常放電の起こりやすい条件にて反応性スパッタが行われる場合には、カソード部22が図8に示される構成であることが、特に有効である。
・図9に示されるように、カソード部22では、非ターゲット部材92の第2表面92sが、上記厚さ方向においてターゲット部材91の第1表面91sよりも窪んでいてもよい。すなわち、第1表面91sと第2表面92sとが隣り合う部位にて段差が形成されてもよい。こうした構成によれば、ターゲット部材91のエロージョンが進んでも、非ターゲット部材92の側面が、上記厚さ方向にて第1表面91sよりも突き出にくい。そのため、ターゲット部材91からスパッタされた粒子が、非ターゲット部材92の側面に付着することを抑え、スパッタ粒子の飛行方向が、非ターゲット部材92によって偏ることを抑えられる。なお、スパッタ粒子の飛行方向に偏りが生じる場合、フィルムF上に形成されるシリコン酸化膜の厚さが小さい程、フィルムFの面内における膜厚のばらつきが大きくなる。そこで、フィルムF上に形成されるシリコン酸化膜の厚さが小さい場合、例えば数十nm程度である場合には、カソード部22が図9に示される構成であることが、特に有効である。
また、ターゲット部材91がエロージョンされる前での第1表面91sに対する第2表面92sの深さDは、ターゲット部材91がスパッタによって浸食される深さ以下であることが好ましい。これにより、ターゲット部材91の内周面91iにて第2表面92sから突き出た部分を大きくしすぎることなく、非ターゲット部材92の側面が第1表面91sよりも突き出ることを抑えられる。
このように、カソード部22の構成は、反応性スパッタの条件や、フィルムF上に形成されるシリコン酸化膜の厚さに応じて、図8や図9に示される構成とすることもできる。
・カソード部22の形状が楕円板状以外の形状、例えば、円板状や矩形板状であってもよく、こうした構成においても、ターゲット部材の第1表面と、非ターゲット部材の第2表面とが並んで配置されればよい。
・ターゲット部材51の形成材料における主成分がシリコンであっても、非ターゲット部材52の形成材料における主成分がシリコンでなくともよい。例えば、非ターゲット部材52の形成材料には、アルミナ等の絶縁物が主成分として用いられてもよい。こうした構成であっても、非ターゲット部材52が絶縁物で形成されているため、反応性スパッタ時における異常放電を抑えることは可能である。
・ターゲット部材51の形成材料には、シリコン以外の導電物、例えば、ニオブ、チタン、アルミニウム、及び、ジルコニウム等が主成分として用いられてもよい。なお、主成分であるとは、上述と同様、ターゲット部材51の形成材料に占める割合が95%以上であること、好ましくは、99%以上であることを指している。
ターゲット部材51の構成元素が、上記元素のいずれかである場合、非ターゲット部材52は、ターゲット部材51と同一の構成元素を主成分として含んでもよいし、他の材料を主成分として含んでもよい。
・ターゲット部材51の形成材料には、上述した単体の導電物に限らず、合金が主成分として用いられてもよい。
・第1表面51sは、少なくとも垂直磁場Bがゼロである部分と対向し、さらに垂直磁場Bがゼロでない部分とに対向してもよい。こうした構成であっても、第1表面51sの一部分が垂直磁場Bがゼロである部分と対向するため、少なからずスパッタによって形成される膜の組成の調整が容易になる。
・第2表面52sは、少なくとも垂直磁場Bがゼロでない部分と対向し、さらに垂直磁場Bがゼロである部分とに対向してもよい。こうした構成であっても、第2表面52sの一部分が垂直磁場Bがゼロである部分と対向しないため、少なからずスパッタによって形成される膜の組成の調整が容易になる。
・ターゲット装置20には、磁気回路25の位置を移動させる機構が備えられてもよい。こうした構成であっても、カソード部22には、少なからず非エロージョン領域NEが形成されるため、非エロージョン領域NEに非ターゲット部材52が配置されることによって、磁気回路25が固定されたターゲット装置20と同等の効果を得ることができる。
・ターゲット装置20は磁気回路25を備えていなくともよい。こうした構成であっても、ターゲット部材にて優先的にスパッタされ、非ターゲット部材にて殆どスパッタされない構成であれば、磁気回路25を備えるターゲット装置20と同等の効果を得ることは可能である。
・真空槽11内に形成されるプラズマには酸素が含まれていなくともよい。すなわち、反応ガスには、酸素を含まない反応ガス、例えば、窒素ガスやアンモニアガス等が用いられてもよい。こうした構成であっても、絶縁性のシリコン化合物が形成される限りは、反応性スパッタ時における異常放電を抑えることは可能である。
また、ターゲット部材51の形成材料として上述したシリコン以外の導電物が用いられる場合にも、反応性スパッタによって形成される化合物が絶縁性であれば、反応性スパッタ時における異常放電を抑えることは可能である。
・スパッタガスはアルゴン以外の希ガスでもよく、例えば、ヘリウムガス、ネオンガス、クリプトンガス、及び、キセノンガスを用いることができる。
・シールド53の形成材料には、アルミナ以外の絶縁物が用いられてもよい。また、シールド53は割愛されてもよい。
・非ターゲット部材52は、ターゲット部材51における上記厚さ方向の全体に配置されていなくともよく、同厚さ方向におけるカソード部22の表面側にのみ非ターゲット部材52が配置されてもよい。こうした構成であっても、カソード部22の表面では、第1表面51sと第2表面52sとが並んで配置されるため、反応性スパッタ時における異常放電を抑えることは可能である。
・非ターゲット部材の一側面には、ウェットエッチング処理のみが施されてもよい。こうした製法であっても、ウェットエッチング処理に先立ってブラスト処理を行う製法に比べて凹部が形成されにくくはなるものの、非ターゲット部材の一側面に対して多数の凹曲面を形成することは可能である。
・非ターゲット部材の一側面には、ブラスト処理のみが施されてもよい。こうした製法であっても、非ターゲット部材の一側面を段差面とすることは可能である。
・非ターゲット部材の段差面は、ウェットエッチングに限らず、ドライエッチングによって形成されてもよい。
・ターゲット部材と非ターゲット部材とを用いたカソード部の組み立てが実施された後に、その非ターゲット部材の表面に対して段差面を形成するための処理が施されてもよい。
・スパッタ装置10は、1つのターゲット装置20のみを備える構成であってもよく、3つ以上のターゲット装置20を備える構成であってもよい。
・フィルム搬送部30では、巻き取りローラー32だけでなく、他のローラーにも各ローラーを自転させるモーターが接続されていてもよい。このように、複数のローラーに対してモーターが接続された構成では、フィルムFの搬送を行うときに、複数のモーターの駆動の状態、例えば、回転数、回転を開始させるタイミング、及び、回転を停止させるタイミング等を同期させればよい。
・スパッタ装置10は、上述した巻取り式のスパッタ装置10ではなく、成膜対象物が、反応性スパッタが行われている間中、真空槽11内に静置されるスパッタ装置として具体化されてもよい。
10…スパッタ装置、11…真空槽、11a…供給口、11b…排気口、12…スパッタガス供給部、13…反応ガス供給部、14…排気部、20…ターゲット装置、21…支持台、22…カソード部、23…バッキングプレート、24…ターゲット電源、25…磁気回路、26…防着板、30…フィルム搬送部、31…送り出しローラー、32…巻き取りローラー、33…成膜ローラー、34a,34b…送り出しガイドローラー、35a,35b…巻き取りガイドローラー、51,71,81,91…ターゲット部材、51s,71s,81s,91s…第1表面、52,62,72,82,92…非ターゲット部材、52h,62h…凹部、52s,62s,72s,82s,92s…第2表面、53…シールド、81i,92i…内周面、E…エロージョン領域、F…フィルム、NE…非エロージョン領域。

Claims (7)

  1. 第1表面を含み、導電性を有するターゲット部材と、
    第2表面を含み、絶縁性を有する非ターゲット部材と、
    を備え、
    前記第1表面と前記第2表面とが並び、
    前記第1表面は、平坦面であり、
    前記第2表面は、段差面を含み、
    前記ターゲット部材の主たる構成元素がシリコンであり、
    前記非ターゲット部材の主成分が石英である
    ターゲット装置。
  2. 前記段差面は、
    連続する多数の凹曲面を含む
    請求項1に記載のターゲット装置。
  3. 磁気回路をさらに備え、
    前記第1表面は、垂直磁場がゼロである部分と対向する部位に配置され、
    前記第2表面は、垂直磁場がゼロである部分と対向しない部位に配置される
    請求項1または2に記載のターゲット装置。
  4. プラズマが生成される真空槽と、
    前記真空槽に取り付けられるターゲット装置と、を備え、
    前記ターゲット装置は、
    第1表面を含み、導電性を有するターゲット部材と、
    第2表面を含み、絶縁性を有する非ターゲット部材と、を備え、
    前記第1表面と前記第2表面とは、並んで前記プラズマに曝される部分であり、
    前記第1表面は、平坦面であり、
    前記第2表面は、段差面を含み、
    前記ターゲット部材の主たる構成元素がシリコンであり、
    前記非ターゲット部材の主成分が石英であり、
    前記プラズマが酸素を含む
    スパッタ装置。
  5. 第1表面を含み、導電性を有するターゲット部材を形成すること、
    第2表面を含み、絶縁性を有する非ターゲット部材を形成すること、
    前記第1表面と前記第2表面とを並べること、
    を含み、
    前記第1表面は、平坦面であり、
    前記第2表面は、段差面を含
    前記ターゲット部材の主たる構成元素がシリコンであり、
    前記非ターゲット部材の主成分が石英である
    ターゲット装置の製造方法。
  6. 前記非ターゲット部材を形成するときに、前記第2表面になる側面にウェットエッチング処理を施して前記段差面を形成することを含
    請求項に記載のターゲット装置の製造方法。
  7. 前記非ターゲット部材を形成するときに、前記第2表面になる側面にブラスト処理と前記ウェットエッチング処理とを順に施して前記段差面を形成することを含
    請求項に記載のターゲット装置の製造方法。
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