JP2007154232A - スパッタ装置およびスパッタによる成膜方法 - Google Patents
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Abstract
【課題】負イオン等の高エネルギー粒子が、成膜に際し膜あるいは基板等へ入射することを抑制し、光損失を抑えて良質な薄膜を形成することを可能とするスパッタ装置およびスパッタによる成膜方法を提供する。
【解決手段】成膜室の内部にマグネトロン磁場形成手段122を備えた円筒状ターゲット123と、該ターゲットの一方の開口部を塞ぐように設置されたアノード125と、を有し、前記円筒状ターゲットと対向する基板上に薄膜を堆積させるスパッタ装置を、つぎのように構成する。
前記円筒状ターゲットから基板方向に対し垂直な磁場を形成する磁場形成手段124を、前記円筒状ターゲットと前記アノードによって囲まれた放電空間内に設けられ、その磁力線の向きが前記マグネトロン磁場形成手段による磁場の磁力線と逆方向の磁性物質によって構成する。
【選択図】 図2
【解決手段】成膜室の内部にマグネトロン磁場形成手段122を備えた円筒状ターゲット123と、該ターゲットの一方の開口部を塞ぐように設置されたアノード125と、を有し、前記円筒状ターゲットと対向する基板上に薄膜を堆積させるスパッタ装置を、つぎのように構成する。
前記円筒状ターゲットから基板方向に対し垂直な磁場を形成する磁場形成手段124を、前記円筒状ターゲットと前記アノードによって囲まれた放電空間内に設けられ、その磁力線の向きが前記マグネトロン磁場形成手段による磁場の磁力線と逆方向の磁性物質によって構成する。
【選択図】 図2
Description
本発明は、スパッタ装置およびスパッタによる成膜方法に関し、特に半導体露光装置やその他の光学素子に用いられる弗化物薄膜を形成するスパッタ装置およびスパッタによる成膜方法に関するものである。
反射防止膜および反射膜等は、一般に弗化マグネシウム(MgF2)に代表される低屈折率材料と酸化アルミニウム(Al2O3)などに代表される高屈折率材料のいずれか一方、もしくは両者の組み合わせにより構成された膜によって形成されている。
そして、これらの反射防止膜あるいは反射膜等は、要求される光学特性によって膜厚や層の構成などを調整されている。
そして、これらの反射防止膜あるいは反射膜等は、要求される光学特性によって膜厚や層の構成などを調整されている。
以上の薄膜を成膜する場合、従来では大面積に高速成膜が可能である真空蒸着法により成膜されることが一般的であった。
しかしながら、近年においては、装置の大型化や、膜厚の高制御性、自動生産機への対応、さらには被成膜処理物が低い温度で成膜すること等が要求され、上記蒸着法では、膜強度が弱く、所望の機械的な特性を有する薄膜を製作することが困難となっている。
このため、真空蒸着法に比べ工程の省力化、品質安定性、膜質(膜強度、密着性など)などの面で優位と考えられるスパッタリングによって薄膜を成膜することへの要求が高まってきている。
しかしながら、近年においては、装置の大型化や、膜厚の高制御性、自動生産機への対応、さらには被成膜処理物が低い温度で成膜すること等が要求され、上記蒸着法では、膜強度が弱く、所望の機械的な特性を有する薄膜を製作することが困難となっている。
このため、真空蒸着法に比べ工程の省力化、品質安定性、膜質(膜強度、密着性など)などの面で優位と考えられるスパッタリングによって薄膜を成膜することへの要求が高まってきている。
ところで、薄膜製造用のスパッタ装置として、平行平板型のマグネトロンスパッタ装置が古くから知られている。
これは、真空容器内に薄膜の材料となるターゲットと、基板ホルダに取り付けられた基板とを対向するように設置し、プラズマを生成してターゲットをスパッタリングし、スパッタリングによって叩き出されたターゲット粒子を基板上に堆積させる方法である。
これは、真空容器内に薄膜の材料となるターゲットと、基板ホルダに取り付けられた基板とを対向するように設置し、プラズマを生成してターゲットをスパッタリングし、スパッタリングによって叩き出されたターゲット粒子を基板上に堆積させる方法である。
このようなマグネトロンスパッタリングによる方法を用いて、例えば、特許文献1のように金属弗化物薄膜を成膜する方法が提案されている。
この方法においては、金属ターゲットと、Arなどの不活性ガスとCF4などの弗素系ガスとの混合ガス等を用いて、DCスパッタリングによって金属弗化物薄膜が成膜される。しかしながら、CF4やF2ガスなどの反応ガスを導入してレンズなどの基板に弗化物材料を成膜する場合、つぎのような問題を生じる。
すなわち、放電内に生成した弗素、もしくは弗素化合物の負イオンがカソードシース電圧で加速され、高エネルギー粒子となって膜に入射し、膜に物理的ダメージを与えたり膜の組成比変動を引き起こす原因となる。
さらに、ターゲット材料やスパッタリング条件によっては基板上に膜が形成されずに逆に基板がエッチングされるなどの問題がある。
また、基板近傍に形成されるイオンシースによって加速されたArイオンなどの陽イオンも、先に述べた負イオン程ではないが基板や膜に対してダメージを与える要因となっていると考えられている。
このようなことから、最近では、上記のようなダメージを抑えて良質の弗化物薄膜を得るための研究が進められてきている。
例えば、特許文献2のように、放電空間を複数の穴をあけた金属板で覆うことによりプラズマが基板側へと拡散するのを防ぎ、負イオンなどの荷電粒子が基板に届く量を低減する方法が提案されている。
また、特許文献3のように、良質な弗化物薄膜を生成する方法が提案されている。
この方法では、ターゲットを円筒状にし、その一方の開口部にアノードを、他方の開口部に基板を設置する。
そして、カソードシースによる負イオンの加速方向を基板方向から遠ざけることにより、基板や膜へのダメージを減らし良質な弗化物薄膜を生成するようにされている。
この方法においては、金属ターゲットと、Arなどの不活性ガスとCF4などの弗素系ガスとの混合ガス等を用いて、DCスパッタリングによって金属弗化物薄膜が成膜される。しかしながら、CF4やF2ガスなどの反応ガスを導入してレンズなどの基板に弗化物材料を成膜する場合、つぎのような問題を生じる。
すなわち、放電内に生成した弗素、もしくは弗素化合物の負イオンがカソードシース電圧で加速され、高エネルギー粒子となって膜に入射し、膜に物理的ダメージを与えたり膜の組成比変動を引き起こす原因となる。
さらに、ターゲット材料やスパッタリング条件によっては基板上に膜が形成されずに逆に基板がエッチングされるなどの問題がある。
また、基板近傍に形成されるイオンシースによって加速されたArイオンなどの陽イオンも、先に述べた負イオン程ではないが基板や膜に対してダメージを与える要因となっていると考えられている。
このようなことから、最近では、上記のようなダメージを抑えて良質の弗化物薄膜を得るための研究が進められてきている。
例えば、特許文献2のように、放電空間を複数の穴をあけた金属板で覆うことによりプラズマが基板側へと拡散するのを防ぎ、負イオンなどの荷電粒子が基板に届く量を低減する方法が提案されている。
また、特許文献3のように、良質な弗化物薄膜を生成する方法が提案されている。
この方法では、ターゲットを円筒状にし、その一方の開口部にアノードを、他方の開口部に基板を設置する。
そして、カソードシースによる負イオンの加速方向を基板方向から遠ざけることにより、基板や膜へのダメージを減らし良質な弗化物薄膜を生成するようにされている。
ここで、図3に従来例のスパッタ装置におけるターゲットユニットの構成を示す。
図3において、127はマグネトロン用磁石、128は円筒状のターゲット、129はアノードである。円筒形ターゲット128を用いた従来例のスパッタ装置におけるターゲットユニットでは、図3(a)に示すように放電空間内に磁石を有していない。このため、従来例により得られる磁場は図3(b)の矢印のようになり、本実施例のような上記した基板方向に垂直に発生する磁場を得ることはできない。
したがって、従来例のものにおいては、放電空間から基板への電子及び正負イオンをトラップすることができず、あるいはその運動方向を基板から遠ざけることができない。そのため、本実施例のように光損失を抑え良質な薄膜を形成することができないものである。
特開平7−166344号公報
特開2003−193231号公報
特開2002−47565号公報
図3において、127はマグネトロン用磁石、128は円筒状のターゲット、129はアノードである。円筒形ターゲット128を用いた従来例のスパッタ装置におけるターゲットユニットでは、図3(a)に示すように放電空間内に磁石を有していない。このため、従来例により得られる磁場は図3(b)の矢印のようになり、本実施例のような上記した基板方向に垂直に発生する磁場を得ることはできない。
したがって、従来例のものにおいては、放電空間から基板への電子及び正負イオンをトラップすることができず、あるいはその運動方向を基板から遠ざけることができない。そのため、本実施例のように光損失を抑え良質な薄膜を形成することができないものである。
しかしながら、近年においてはLSIの高集積化に伴い、露光装置で使用される光の短波長化や、あるいは緻密に光路を制御するために膜構成が複雑化した等の影響で、弗化物膜に対する要求もより厳しいものとなっている。中でも、膜による光損失を抑えることがより一層に重要となっている。
前述したように、膜による光損失は負イオン等の高エネルギー粒子による膜へのダメージが主な原因であることが、これまでの研究により明らかにされている。このようなことから、特許文献2、3等のように、上記ダメージを低減して良質な膜の形成が図られているが、上記した近年における膜による光損失を抑えることへの要求に、必ずしも十分に対応し得るものではなかった。
前述したように、膜による光損失は負イオン等の高エネルギー粒子による膜へのダメージが主な原因であることが、これまでの研究により明らかにされている。このようなことから、特許文献2、3等のように、上記ダメージを低減して良質な膜の形成が図られているが、上記した近年における膜による光損失を抑えることへの要求に、必ずしも十分に対応し得るものではなかった。
本発明は、上記課題に鑑み、負イオン等の高エネルギー粒子が、成膜に際し膜あるいは基板等へ入射することを抑制し、光損失を抑えて良質な薄膜を形成することを可能とするスパッタ装置およびスパッタによる成膜方法を提供することを目的とするものである。
本発明は上記課題を解決するため、つぎように構成したスパッタ装置およびスパッタによる成膜方法を提供するものである。
本発明は、スパッタ装置をつぎのように構成したことを特徴としている。
本発明のスパッタ装置は、成膜室の内部にマグネトロン磁場形成手段を備えた円筒状ターゲットと、該ターゲットの一方の開口部を塞ぐように設置されたアノードと、を有している。また、前記成膜室にスパッタリングガスと反応ガスを導入する構成を備えている。
そして、前記円筒状ターゲットに外部電力供給手段から電力を印加してスパッタを行なうことで、前記円筒状ターゲットと対向する位置に配置される基板上に薄膜を堆積させるように構成されている。
また、本発明は、スパッタによる成膜方法をつぎのように構成したことを特徴としている。
本発明の方法では、マグネトロン磁場形成手段を備えた円筒状ターゲットと、該ターゲットの一方の開口部を塞ぐように設置されたアノードとが設けられた成膜室内に、つぎのようにガスを導入する。すなわち、前記アノードの側からスパッタリングガスを、また前記成膜室における放電空間の外部側から反応ガスを、それぞれ導入する。そして、前記円筒
状ターゲットに電力を印加してスパッタを行ない、前記円筒状ターゲットと対向する基板上に薄膜を堆積させるように構成されている。
本発明は、スパッタ装置をつぎのように構成したことを特徴としている。
本発明のスパッタ装置は、成膜室の内部にマグネトロン磁場形成手段を備えた円筒状ターゲットと、該ターゲットの一方の開口部を塞ぐように設置されたアノードと、を有している。また、前記成膜室にスパッタリングガスと反応ガスを導入する構成を備えている。
そして、前記円筒状ターゲットに外部電力供給手段から電力を印加してスパッタを行なうことで、前記円筒状ターゲットと対向する位置に配置される基板上に薄膜を堆積させるように構成されている。
また、本発明は、スパッタによる成膜方法をつぎのように構成したことを特徴としている。
本発明の方法では、マグネトロン磁場形成手段を備えた円筒状ターゲットと、該ターゲットの一方の開口部を塞ぐように設置されたアノードとが設けられた成膜室内に、つぎのようにガスを導入する。すなわち、前記アノードの側からスパッタリングガスを、また前記成膜室における放電空間の外部側から反応ガスを、それぞれ導入する。そして、前記円筒
状ターゲットに電力を印加してスパッタを行ない、前記円筒状ターゲットと対向する基板上に薄膜を堆積させるように構成されている。
本発明によれば、負イオン等の高エネルギー粒子が、成膜に際し膜あるいは基板等へ入射することを抑制し、光損失を抑えて良質な膜を形成することを可能とするスパッタ装置およびスパッタによる成膜方法を実現することができる。
本発明を実施するための最良の形態を、以下の実施例により説明する。
実施例においては、本発明を適用して構成したスパッタ装置について説明する。図1に、本実施例のスパッタ装置の構成を示す。
図1において、100は成膜室、101はドライポンプ、102はガス処理系、103はバルブ、104はターボ分子ポンプ、105はクライオポンプである。106はバルブ、107はスパッタリングガス供給手段である。このスパッタリングガス供給手段107は、スパッタリングガスとして、Ar,Xe,Ne,Krの少なくとも1つを含むガスを供給可能に構成されている。
108は予備真空室、109は基板搬送手段、110は基板である。111は反応ガス供給手段であり、この反応ガス供給手段は、反応ガスとして、F2,CF4,NF3,CHF3の1種類もしくは複数種類を含むガスを供給可能に構成されている。
112はプラズマ生起用電源であり、外部電力供給手段として1KHz〜350kHzの高周波の矩形反転電圧を印加可能な直流電源で構成されている。
113は高周波重畳および異常放電対策電源、114は反応ガス供給管である。115、116、117はバルブである。また、118はゲートバルブ、119はターゲットユニット、120はドライポンプ、121はターボ分子ポンプである。
図1において、100は成膜室、101はドライポンプ、102はガス処理系、103はバルブ、104はターボ分子ポンプ、105はクライオポンプである。106はバルブ、107はスパッタリングガス供給手段である。このスパッタリングガス供給手段107は、スパッタリングガスとして、Ar,Xe,Ne,Krの少なくとも1つを含むガスを供給可能に構成されている。
108は予備真空室、109は基板搬送手段、110は基板である。111は反応ガス供給手段であり、この反応ガス供給手段は、反応ガスとして、F2,CF4,NF3,CHF3の1種類もしくは複数種類を含むガスを供給可能に構成されている。
112はプラズマ生起用電源であり、外部電力供給手段として1KHz〜350kHzの高周波の矩形反転電圧を印加可能な直流電源で構成されている。
113は高周波重畳および異常放電対策電源、114は反応ガス供給管である。115、116、117はバルブである。また、118はゲートバルブ、119はターゲットユニット、120はドライポンプ、121はターボ分子ポンプである。
本実施例のスパッタ装置は、成膜室100の他に予備真空室108を持ち、基板は一度予備真空室にて真空引きされてから成膜室へと搬入される。
これにより、成膜室への大気の混入を最小限に抑えることができるように構成されている。
スパッタリングガスは、ガス供給手段107より直接放電空間(ターゲット・アノードで囲まれた空間)へと導入され、反応ガスはガス供給手段111より通気孔を複数設けたガス供給管114を経て放電空間外へ導入される。
そして、本実施例のスパッタ装置は、弗化マグネシウム(MgF2),弗化ランタン(LaF3),弗化化ガドリニウム(GdF3),弗化アルミニウム(AlF3)のいずれかの成膜に用いることができる。あるいは、弗化ネオジウム(NdF3),弗化ナトリウム(NaF),弗化バリウム(BaF2)のいずれかの成膜に用いることができる。
これにより、成膜室への大気の混入を最小限に抑えることができるように構成されている。
スパッタリングガスは、ガス供給手段107より直接放電空間(ターゲット・アノードで囲まれた空間)へと導入され、反応ガスはガス供給手段111より通気孔を複数設けたガス供給管114を経て放電空間外へ導入される。
そして、本実施例のスパッタ装置は、弗化マグネシウム(MgF2),弗化ランタン(LaF3),弗化化ガドリニウム(GdF3),弗化アルミニウム(AlF3)のいずれかの成膜に用いることができる。あるいは、弗化ネオジウム(NdF3),弗化ナトリウム(NaF),弗化バリウム(BaF2)のいずれかの成膜に用いることができる。
つぎに、本実施例のスパッタ装置におけるターゲットユニット119について説明する。図2に、ターゲットユニットの内部を説明するための図を示す。
図2(a)は、図1におけるターゲットユニット119の内部を拡大した図であり、図2(b)はその断面図である。図2において、122はマグネトロン用磁石(マグネトロン磁場形成手段)、123は円筒状のターゲット、124は円筒形容器、125はアノード板であり、126は基板方向に垂直な磁場を示す。本実施例のターゲットユニット119においては、円筒状のターゲット123の外周に並ぶようにマグネトロン用磁石122が設置されている。この円筒状のターゲット123の一方の開口部には、円筒状のターゲット123の内周とほぼ同形状のアノード板125を円筒状のターゲット123と接触しないように設置されている。このアノード板125の中心部には、内部に空間を有する円筒
形容器124が設けられている。
ここで、円筒状のターゲット123の周辺に配したマグネトロン用磁石と極が逆向きになるように、その円筒形容器124の内部に磁石が装填されている。円筒形容器124はSUS製であり、アノード板125と接して設けられている。これにより、容器自身もアノードの役割を果たす。
以上の構成のもので、ターゲットとアノードによって囲まれた放電空間に形成される磁場126は、図2(b)の点線内に矢印で示されるように、円筒状のターゲット123から基板110方向に対して垂直に形成される。
このようにして形成された基板方向に垂直な磁場126が、放電空間から基板への電子及び正負イオンをトラップすることができ、あるいはその運動方向を基板方向から遠ざけるようにすることができる。これらにより、負イオン等の高エネルギー粒子が膜や、あるいは基板等へ入射することを抑制し、光損失を極限まで抑えて良質な薄膜を形成することが可能となる。
図2(a)は、図1におけるターゲットユニット119の内部を拡大した図であり、図2(b)はその断面図である。図2において、122はマグネトロン用磁石(マグネトロン磁場形成手段)、123は円筒状のターゲット、124は円筒形容器、125はアノード板であり、126は基板方向に垂直な磁場を示す。本実施例のターゲットユニット119においては、円筒状のターゲット123の外周に並ぶようにマグネトロン用磁石122が設置されている。この円筒状のターゲット123の一方の開口部には、円筒状のターゲット123の内周とほぼ同形状のアノード板125を円筒状のターゲット123と接触しないように設置されている。このアノード板125の中心部には、内部に空間を有する円筒
形容器124が設けられている。
ここで、円筒状のターゲット123の周辺に配したマグネトロン用磁石と極が逆向きになるように、その円筒形容器124の内部に磁石が装填されている。円筒形容器124はSUS製であり、アノード板125と接して設けられている。これにより、容器自身もアノードの役割を果たす。
以上の構成のもので、ターゲットとアノードによって囲まれた放電空間に形成される磁場126は、図2(b)の点線内に矢印で示されるように、円筒状のターゲット123から基板110方向に対して垂直に形成される。
このようにして形成された基板方向に垂直な磁場126が、放電空間から基板への電子及び正負イオンをトラップすることができ、あるいはその運動方向を基板方向から遠ざけるようにすることができる。これらにより、負イオン等の高エネルギー粒子が膜や、あるいは基板等へ入射することを抑制し、光損失を極限まで抑えて良質な薄膜を形成することが可能となる。
これに対し、本実施例のような円筒形容器124の内部に磁石が装填された構成を有しない図3に示された従来例では、磁場を基板方向に垂直に発生することができず、本実施例のように光損失を抑えて良質な薄膜を形成することができない。
(実験1)
堀場製作所製ラングミュアプローブDIGIPROBEを用いて基板近傍でのプラズマ測定を行なうことにより、本発明の実施例による装置と従来の装置との違いを調べた。
放電条件として、電力供給部にDC電源を用い、ターゲットユニットとDC電源の間に異常放電対策用にAE社製のSprc−leVを使用した。また、ガス条件はArを200sccmの流量でチャンバー内に導入してDC電源より500Wの電力を供給することで放電を生起させた。そして、ターゲット電圧が安定した後プローブを基板位置(ターゲット端部から120mm)に挿入し、測定を行なった。
これらの測定結果を、図4に示す。また比較のため、図3に示した従来の装置における測定結果も図4に示している。図4より、プローブに同じ電位を与えたとき、プローブに流入してくる電子数に違いが見られ、本発明の実施例による装置の方がその数が少ない。すなわち、本発明の実施例による装置を用いることにより、電子のトラップ効率を向上させることができたことがわかる。同様に、正負イオンに対してもトラップ、もしくは軌道を変える効果があると推定される。
堀場製作所製ラングミュアプローブDIGIPROBEを用いて基板近傍でのプラズマ測定を行なうことにより、本発明の実施例による装置と従来の装置との違いを調べた。
放電条件として、電力供給部にDC電源を用い、ターゲットユニットとDC電源の間に異常放電対策用にAE社製のSprc−leVを使用した。また、ガス条件はArを200sccmの流量でチャンバー内に導入してDC電源より500Wの電力を供給することで放電を生起させた。そして、ターゲット電圧が安定した後プローブを基板位置(ターゲット端部から120mm)に挿入し、測定を行なった。
これらの測定結果を、図4に示す。また比較のため、図3に示した従来の装置における測定結果も図4に示している。図4より、プローブに同じ電位を与えたとき、プローブに流入してくる電子数に違いが見られ、本発明の実施例による装置の方がその数が少ない。すなわち、本発明の実施例による装置を用いることにより、電子のトラップ効率を向上させることができたことがわかる。同様に、正負イオンに対してもトラップ、もしくは軌道を変える効果があると推定される。
(実験2)
本発明の実施例による装置と従来の装置を用いて、実際にMgF2単層膜を形成し、膜の光損失を比較した。
まず、これらの装置による成膜方法について図1を用いて説明する。UVオゾン洗浄を充分に行ない表面の有機物を除去したSiO2基板(30φ×2t)を基板110を基板ホルダに固定し、予備真空室108内で5.0e−6Torr以下まで真空排気する。予め高真空下(8.0e−7Torr以下)に排気させてある成膜室100内に、ガス供給手段107よりスパッタリングガスを、ガス供給手段111より弗素を含む反応ガスをガス管114を通じて導入させた。そして、成膜室100内を所定の圧力に保つ。
つぎに、ターゲットユニット119の内部に設置されたターゲットに電力供給手段112より500Wの電力を、高周波重畳および異常放電対策電源113を通し供給させ、放電を生起させる。その後、プラズマインピーダンスが安定した後にゲートバルブ118を開き、基板搬送手段109を用いて、ターゲット・基板距離が120mmの位置まで基板を移動させ成膜を開始する。成膜が開始し、所定時間を経過した後に電力供給手段であるプラズマ生起用電源112よりターゲットに供給されている電力をカットし、成膜を完了する。
その後、スパッタリングガス供給手段107及び反応ガス供給手段111より供給される
スパッタリングガスおよび反応性ガスの供給を停止させ、基板搬送手段109を成膜前の位置までもどし、ゲートバルブ118を閉じる。そして、バルブを閉じた後に窒素を予備真空室108に供給し、予備真空室108を大気圧に戻した後、被成膜基板を取り出し、分光計器社製真空紫外分光測定器を用いて膜の光損失を測定した。
本発明の実施例による装置と従来の装置を用いて、実際にMgF2単層膜を形成し、膜の光損失を比較した。
まず、これらの装置による成膜方法について図1を用いて説明する。UVオゾン洗浄を充分に行ない表面の有機物を除去したSiO2基板(30φ×2t)を基板110を基板ホルダに固定し、予備真空室108内で5.0e−6Torr以下まで真空排気する。予め高真空下(8.0e−7Torr以下)に排気させてある成膜室100内に、ガス供給手段107よりスパッタリングガスを、ガス供給手段111より弗素を含む反応ガスをガス管114を通じて導入させた。そして、成膜室100内を所定の圧力に保つ。
つぎに、ターゲットユニット119の内部に設置されたターゲットに電力供給手段112より500Wの電力を、高周波重畳および異常放電対策電源113を通し供給させ、放電を生起させる。その後、プラズマインピーダンスが安定した後にゲートバルブ118を開き、基板搬送手段109を用いて、ターゲット・基板距離が120mmの位置まで基板を移動させ成膜を開始する。成膜が開始し、所定時間を経過した後に電力供給手段であるプラズマ生起用電源112よりターゲットに供給されている電力をカットし、成膜を完了する。
その後、スパッタリングガス供給手段107及び反応ガス供給手段111より供給される
スパッタリングガスおよび反応性ガスの供給を停止させ、基板搬送手段109を成膜前の位置までもどし、ゲートバルブ118を閉じる。そして、バルブを閉じた後に窒素を予備真空室108に供給し、予備真空室108を大気圧に戻した後、被成膜基板を取り出し、分光計器社製真空紫外分光測定器を用いて膜の光損失を測定した。
以上の成膜方法により、本発明の実施例による装置と従来の装置によって得られた膜の光損失を測定した結果を図5に示す。また比較のため、図3に示した従来の装置における測定結果も図5に示している。
図5から、本発明の実施例による装置を用いることによって、特に170〜210nm域において光損失が低減されていることがわかる。なお、170nm以下の波長域においてはSiO2基板の透過率が著しく減少するため測定を行なっていないが、波長が170nm以下の光に対しても、本発明の実施例による装置では、効果があるものと推定される。
図5から、本発明の実施例による装置を用いることによって、特に170〜210nm域において光損失が低減されていることがわかる。なお、170nm以下の波長域においてはSiO2基板の透過率が著しく減少するため測定を行なっていないが、波長が170nm以下の光に対しても、本発明の実施例による装置では、効果があるものと推定される。
100:成膜室
101:ドライポンプ
102:ガス処理系
103:バルブ
104:ターボ分子ポンプ
105:クライオポンプ
106:バルブ
107:スパッタリングガス供給手段
108:予備真空室
109:基板搬送手段
110:基板
111:反応ガス供給手段
112:プラズマ生起用電源
113:高周波重畳および異常放電対策電源
114:反応ガス供給管
115:バルブ
116.バルブ
117:バルブ
118:ゲートバルブ
119:ターゲットユニット
120:ドライポンプ
121:ターボ分子ポンプ
122:マグネトロン用磁石
123:円筒状のターゲット
124:円筒形容器
125:アノード板
126:基板方向に垂直な磁場
127:マグネトロン用磁石
128:円筒状のターゲット
129:アノード
101:ドライポンプ
102:ガス処理系
103:バルブ
104:ターボ分子ポンプ
105:クライオポンプ
106:バルブ
107:スパッタリングガス供給手段
108:予備真空室
109:基板搬送手段
110:基板
111:反応ガス供給手段
112:プラズマ生起用電源
113:高周波重畳および異常放電対策電源
114:反応ガス供給管
115:バルブ
116.バルブ
117:バルブ
118:ゲートバルブ
119:ターゲットユニット
120:ドライポンプ
121:ターボ分子ポンプ
122:マグネトロン用磁石
123:円筒状のターゲット
124:円筒形容器
125:アノード板
126:基板方向に垂直な磁場
127:マグネトロン用磁石
128:円筒状のターゲット
129:アノード
Claims (11)
- 成膜室の内部にマグネトロン磁場形成手段を備えた円筒状ターゲットと、該ターゲットの一方の開口部を塞ぐように設置されたアノードとを有し、
前記成膜室にスパッタリングガスと反応ガスを導入し、前記円筒状ターゲットに外部電力供給手段から電力を印加してスパッタを行なうことで、前記円筒状ターゲットと対向する位置に配置される基板上に薄膜を堆積させるスパッタ装置であって、
前記円筒状ターゲットから前記基板方向に対し垂直な磁場を形成する磁場形成手段を有することを特徴とするスパッタ装置。 - 前記基板方向に対し垂直な磁場を形成する磁場形成手段は、前記円筒状ターゲットと前記アノードによって囲まれた放電空間内に構成されていることを特徴とする請求項1に記載のスパッタ装置。
- 前記放電空間内に構成されている磁場形成手段は、その磁力線の向きが前記マグネトロン磁場形成手段による磁場の磁力線と逆方向の磁性物質で形成されていることを特徴とする請求項2に記載のスパッタ装置。
- 前記磁性物質は、非磁性材料からなる部材で覆われ、該非磁性材料からなる部材は前記アノードと接してアノードの一部を構成していることを特徴とする請求項3に記載のスパッタ装置。
- 前記スパッタリングガスが、Ar,Xe,Ne,Krの少なくとも1つを含むことを特徴とする請求項1〜4のいずれか1項に記載のスパッタ装置。
- 前記反応ガスが、F2,CF4,NF3,CHF3の1種類もしくは複数種類を含むことを特徴とする請求項1〜5のいずれか1項に記載のスパッタ装置。
- 前記外部電力供給手段が、1KHz以上350kHz以下の高周波の矩形反転電圧を印加可能な直流電源であることを特徴とする請求項1〜6のいずれか1項に記載のスパッタ装置。
- マグネトロン磁場形成手段を備えた円筒状ターゲットと、該ターゲットの一方の開口部を塞ぐように設置されたアノードとが設けられた成膜室内に、スパッタリングガスと反応ガスを導入し、
前記円筒状ターゲットに電力を印加してスパッタを行ない、前記円筒状ターゲットと対向する基板上に薄膜を堆積させるスパッタによる成膜方法であって、
前記基板上に薄膜を堆積させるに際し、前記円筒状ターゲットから基板方向に対し垂直な磁場を形成させて成膜する工程を有することを特徴とするスパッタによる成膜方法。 - 成膜する工程で前記基板方向に対し垂直な磁場を形成させるに当たり、前記円筒状ターゲットと前記アノードによって囲まれた放電空間内に設けられ、
その磁力線の向きが前記マグネトロン磁場形成手段による磁場の磁力線と逆方向の磁性物質で形成された磁場形成手段を用いることを特徴とする請求項8に記載のスパッタによる成膜方法。 - 前記スパッタリングガスが、Ar,Xe,Ne,Krの少なくとも1つを含むことを特徴とする請求項8または請求項9に記載のスパッタによる成膜方法。
- 前記反応ガスに、F2,CF4,NF3,CHF3の1種類もしくは複数種類を含むことを
特徴とする請求項8〜10のいずれか1項に記載のスパッタによる成膜方法。
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JP2005348413A JP2007154232A (ja) | 2005-12-01 | 2005-12-01 | スパッタ装置およびスパッタによる成膜方法 |
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Family Applications (1)
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Country | Link |
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JP (1) | JP2007154232A (ja) |
-
2005
- 2005-12-01 JP JP2005348413A patent/JP2007154232A/ja active Pending
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