JP4499704B2 - 錯体形成基を有する多孔性中空糸膜よりなる水溶液用吸着回収材及び該水溶液用吸着回収材による酸化ゲルマニウムの回収方法 - Google Patents
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Description
で表される構造を含む残基を与える化合物とを反応させて得られる、錯体形成基を有する多孔性中空糸膜よりなり、酸化ゲルマニウムの水溶液を通過させることにより、該水溶液中の酸化ゲルマニウムを、式
で表される構造を含む残基を与える化合物とを反応させて得られる、錯体形成基を有する多孔性中空糸膜よりなる水溶液用吸着回収材に対し、酸化ゲルマニウムを含有する水溶液を通過させることにより、該水溶液中の酸化ゲルマニウムを、式
ることができ、これを上記ポリエチレン製の多孔性中空糸膜の表面に放射線グラフト重合した場合、以下のような構造のエポキシ基を含有する化合物の残基を有するポリエチレン製の多孔性中空糸膜を得ることができる。
で表される構造を含む残基を与える化合物とを反応させて、本発明の錯体形成基を有する多孔性中空糸膜による水溶液用吸着回収材を得るのである。
のような構造をとり、ジ−2−プロパノールアミンを使用した場合は、
のような構造をとることになる。
ポリエチレン製多孔性中空糸膜(内径1.8mm、外径3.1mm、細孔径0.3μm、空孔率70%)に、窒素雰囲気下、室温で放射線を200KGy照射し、これをグリシジルメタクリレートのメタノール溶液の入ったガラス製のアンプルに投入し、40℃でグリシジルメタクリレートをグラフト重合した(グリシジルメタクリレート膜[以下、GMA膜という]1kg当たりのエポキシ基量:4.0モル)。
上記のように放射線グラフト重合したGMA膜を50vol%のイミノジエタノール水溶液に338K(65℃)で浸漬し、GMA膜のエポキシ基にイミノジエタノール基を付加させた膜(以下IDE膜という)を作成した。
同様に、GMA膜を1Mジイソプロパノールアミン水溶液に338K(65℃)で浸漬し、GMA膜のエポキシ基にジイソプロパノールアミン基を付加させた膜(以下、DPA膜という)を作成した。
これら膜の構造をIRスペクトルから確認した。即ち、GMA膜からIDE膜及びDPA膜に変換することによって、847、909cm-1のエポキシの吸収が消失して、3000〜3500cm-1に水酸基の吸収が新たに出現した。以下、それぞれの膜のIRスペクトルデータを記載する。
2920、2851cm-1(CH伸縮振動)
l734cm-1(CO基)
1490cm-1 1262cm-1 1150cm-1付近 995cm-1 762cm-1
909cm-1(エポキシ逆対称環伸縮)
847cm-1(エポキシ逆対称環伸縮)
3000〜3500cm-1(OH基)
2917、2851cm-1(CH伸縮振動)
1725cm-1(CO基)
1474cm-1 1250cm-1 1163cm-1付近 1068cm-1
エポキシ逆対称伸縮の吸収は消失
3000〜3500cm-1(OH基)
2919、2851cm-1(CH伸縮振動)
1728cm-1(CO基)
1472cm-1 1271cm-1 1150cm-1 995cm-1
エポキシ逆対称環伸縮の吸収は消失
上記のようにして製造した2種類の錯体形成基を有する多孔性中空糸膜(IDE膜及び
DPA膜)を、図1に示すような透過装置にセットした。次に、以下の3種類の操作のために、3種類の溶液を順に、一定圧力(0.1MPa)及び一定温度(24℃)で透過させた。
1)吸着操作:0.01wt%酸化ゲルマニウム水溶液(水酸化ナトリウム及び塩酸でpHを3〜12に調整した。)
2)洗浄操作:水
3)溶出操作:1M塩酸
それぞれの操作について、透過液を連続的に試験管に分取した。その透過液中のゲルマニウム濃度をフェニルフルオロン法に従い定量し、多孔性中空糸膜へのゲルマニウム吸着量を、供給液のゲルマニウム濃度と透過液のゲルマニウム濃度の差から算出した。
4−1)ゲルマニウム吸着量の比較
多孔性中空糸膜(IDE膜及びDPA膜)に酸化ゲルマニウム水溶液を透過させたときのゲルマニウムの吸着量を、吸着量曲線として図2に、pH=4.6のときのそれぞれの多孔性中空糸膜の吸着性能を表1に示す。
IDE膜に対する酸化ゲルマニウム水溶液の供給時の初期pHを、3.2から11.7に変化させて透過させたときの、IDE膜における吸着量のpH依存性を図3に示す。図3の吸着量及び表1から、酸化ゲルマニウム吸着量は初期pHが3から12の範囲で変化することがわかった。pH=7.8のときのIDE基に対するゲルマニウムの結合モル比は0.88であり、pH=11.7のときより約3.4倍ほど高くなり、このことから酸化ゲルマニウム吸着量はpHによって変化し、pH=7.8のときが最適であることがわかった。
5−1)酸化ゲルマニウムの吸着量の比較
吸着量を更に高くするために、GMAグラフト率及びIDE基転化率を高めた高容量IDE膜(官能基密度:2.9mol/kg)による酸化ゲルマニウムの吸着実験(初期pH:7.1)を、上記と同様にして行った。そのときの酸化ゲルマニウムの破過曲線を図4に示した。又、比較のため、上記吸着実験における最適条件(官能基密度1.3mol/kg)における破過曲線を、同様に図4に示した。
高容量IDE膜の酸化ゲルマニウムの吸着量と、金属を吸着することが知られているマンノース側鎖キトサン樹脂及びN−2,3−ジヒドロキシプロピルキトサン樹脂(キチン・キトサン研究 Vol.4,No.2,1998)の酸化ゲルマニウムの吸着量を比較し、結果を表2に示す。高容量IDE膜のGe吸着量が2.7mol/kg(196g−Ge/kg)とこれまでより約2.3倍高くなり、基材樹脂がキトサンであるキトサン樹脂よりも吸着量の高いことがわかった。
IDE膜に酸化ゲルマニウムの水溶液(初期pH6.3)を、流量を5、10、25及び50ml/minで透過させたときのGeの破過曲線を図5に示す。流量が10倍までに変化しても、破過曲腺の形は変化せず、吸着量が一定であった。このことから、膜厚方向に垂直な方向の拡散移動抵抗は、無視できるほど小さいことがわかる。尚、酸化ゲルマニウムの吸着量は4回の平均で0.99mol/kg(72g−Ge/kg)であり、又、DEtA基に対する酸化ゲルマニウムの結合モル比は0.72であった。
IDE膜による6回の吸着−溶出−再生サイクルを繰り返したときの溶出率と、6回のうち後半の4回の結合モル比を図6に示す。各回それぞれの溶出率が100%付近で一定となり、後半4回の膜へのGe吸着量に変化がなかった。これにより、IDE膜において、吸着−溶出−再生サイクルの繰り返し使用が可能になり、吸着−溶出−再生サイクルの繰り返し使用回数が増えても吸着容量や溶出率の性能が低下せず、工業的に使用できる吸着材であることがわかった。
溶出特性を調べるために、IDE膜に酸化ゲルマニウムの水溶液(初期pH6.3)を透過させ、溶出操作での分取量を上記の透過液の分取量より1/10として操作した。その溶出曲線を図7に示す。溶出液のピーク濃度から、供給液濃度の約45倍に濃縮することができ、又、吸着していた酸化ゲルマニウムの90%が膜体積(約0.4mL)の3倍、100%が30倍の1M塩酸で溶出することができた。
Claims (4)
- ポリエチレン製多孔性中空糸膜の表面に放射線グラフト重合されたエポキシ基を含有する化合物の残基と、該残基と反応して式
で表される構造を含む残基を与える化合物とを反応させて得られる、錯体形成基を有する多孔性中空糸膜よりなり、酸化ゲルマニウムの水溶液を通過させることにより、該水溶液中の酸化ゲルマニウムを、式
- 放射線グラフト重合されるエポキシ基を含有する化合物がグリシジルメタクリレートである請求項1に記載の水溶液用吸着回収材。
- 式
で表される構造を含む残基を与える化合物が、2,2’−イミノジエタノール又はジ−2−プロパノールアミンである請求項1に記載の水溶液用吸着回収材。 - ポリエチレン製多孔性中空糸膜の表面に放射線グラフト重合されたエポキシ基を含有する化合物の残基と、該残基と反応して式
で表される構造を含む残基を与える化合物とを反応させて得られる、錯体形成基を有する多孔性中空糸膜よりなる水溶液用吸着回収材に対し、酸化ゲルマニウムを含有する水溶液を通過させることにより、該水溶液中の酸化ゲルマニウムを、式
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