JP2009101289A - タンパク質捕捉材料、タンパク質捕捉用カートリッジ及び製造方法 - Google Patents

タンパク質捕捉材料、タンパク質捕捉用カートリッジ及び製造方法 Download PDF

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Abstract

【課題】高い選択性を有するタンパク質捕捉材料、タンパク質捕捉用カートリッジ及び当該タンパク質捕捉材料の製造方法を提供する。
【解決手段】タンパク質を捕捉するためのタンパク質捕捉材料10において、基材1と、基材1に結合されたグラフト高分子鎖4と、グラフト高分子鎖4に固定された、所定のタンパク質に親和性がある金属イオン5と、を備え、所定のタンパク質と金属イオン5との親和性を利用して、当該所定のタンパク質を捕捉するよう構成した。
【選択図】図1

Description

本発明は、タンパク質捕捉材料、タンパク質捕捉用カートリッジ及び製造方法に関する。
近年、遺伝子組み換え技術を利用して、微生物や動物細胞中のタンパク質を大量に合成することができるようになっている。例えば、タンパク質の構造や性質に関する研究では、簡便に純度を高めることができるタンパク質の分離精製が必要とされている。
タンパク質の分離精製の手法としては、例えば、イオン交換クロマトグラフィー、疎水性相互作用クロマトグラフィー、アフィニティクロマトグラフィーなどが挙げられる。
イオン交換クロマトグラフィーでは、タンパク質を捕捉するための捕捉部としてイオン交換基が導入された樹脂を使用し、疎水性相互作用クロマトグラフィーでは、タンパク質を捕捉するための捕捉部として疎水性官能基が導入された樹脂を使用し、アフィニティクロマトグラフィーでは、タンパク質を捕捉するための捕捉部として抗体やレセプター、金属イオンなどが導入された樹脂を使用するようになっている。具体的には、この樹脂をカラムに充填し、カラムにタンパク質が溶解するタンパク質溶液を透過させることによって、タンパク質を分離精製するようになっている。
これらの樹脂はビーズ状であるため、樹脂内部の捕捉部までタンパク質が拡散するのに時間を要する。したがって、タンパク質溶液を高速で透過させるとタンパク質が樹脂内部の捕捉部に捕捉されずに流出してしまうため、タンパク質溶液を高速で透過させることができず、タンパク質の分離精製に時間がかかるという問題がある。
そこで、タンパク質の分離精製を高速で行うことができるタンパク質捕捉材料として、放射線グラフト重合法を適用して作成されたタンパク質捕捉材料が提案された(例えば、特許文献1〜4参照)。放射線グラフト重合法は、さまざまな形状や材質の高分子基材に、高密度にグラフト(接ぎ木)高分子鎖を付与できる手法として知られている。
具体的には、特許文献1〜3では、多孔質膜(多孔性中空糸膜や多孔性フィルム)に放射線グラフト重合法を適用してグラフト高分子鎖を結合させ、そのグラフト高分子鎖に捕捉部としてイオン交換基(アニオン交換基やカチオン交換基)を導入することによって作成されるタンパク質捕捉材料が提案されている。
また、特許文献4では、多孔質膜(多孔性中空糸膜や多孔性フィルム)に放射線グラフト重合法を適用してグラフト高分子鎖を結合させ、そのグラフト高分子鎖に捕捉部として疎水性官能基を導入することによって作成されるタンパク質捕捉材料が提案されている。
特開平11−12300号公報 特開平11−266862号公報 特開2000−83659号公報 特開平8−141392号公報
しかしながら、特許文献1〜3のタンパク質捕捉材料は、捕捉部とイオン交換(静電相互作用)可能なタンパク質であれば、すなわち正の電荷又は負の電荷を帯びたタンパク質であれば、捕捉してしまうため、選択性に乏しいという問題がある。
また、特許文献4のタンパク質捕捉材料は、捕捉部と疎水性相互作用可能なタンパク質であれば、すなわち疎水部分を有するタンパク質であれば、捕捉してしまうため、選択性に乏しいという問題がある。
本発明の課題は、高い選択性を有するタンパク質捕捉材料、タンパク質捕捉用カートリッジ及び当該タンパク質捕捉材料の製造方法を提供することにある。
上記課題を解決するために、請求項1に記載の発明は、
タンパク質捕捉材料において、
基材と、
前記基材に結合されたグラフト高分子鎖と、
前記グラフト高分子鎖に固定された、所定のタンパク質に親和性がある金属イオンと、
を備え、
前記所定のタンパク質と前記金属イオンとの親和性を利用して、当該所定のタンパク質を捕捉することを特徴とする。
請求項2に記載の発明は、
請求項1に記載のタンパク質捕捉材料において、
前記金属イオンは、システイン、ヒスチジン及び/又はトリプトファンを備えるタンパク質と親和性があることを特徴とする。
請求項3に記載の発明は、
請求項1又は2に記載のタンパク質捕捉材料において、
前記基材は、連通孔を有する多孔質体よりなるものであることを特徴とする。
請求項4に記載の発明は、
請求項3に記載のタンパク質捕捉材料において、
前記基材は、厚さが1〜10mm、前記連通孔の平均細孔径が0.5〜5μm及び前記連通孔の体積分率が70〜85%のシート状のものであることを特徴とする。
請求項5に記載の発明は、
請求項1〜4の何れか一項に記載のタンパク質捕捉材料において、
前記グラフト高分子鎖は、前記基材の表面部に結合されており、前記基材の内部には非結合されていることを特徴とする。
請求項6に記載の発明は、
請求項1〜5の何れか一項に記載のタンパク質捕捉材料において、
前記基材は、ポリオレフィンから構成されたものであることを特徴とする。
請求項7に記載の発明は、
タンパク質捕捉用カートリッジにおいて、
請求項1〜6の何れか一項に記載のタンパク質捕捉材料をカートリッジに充填して構成されていることを特徴とする。
請求項8に記載の発明は、
請求項1〜6の何れか一項に記載のタンパク質捕捉材料の製造方法において、
前記基材に電離放射線を照射する照射ステップと、
次いで、所定の官能基を有する重合性単量体を前記基材にグラフト重合することによって、当該所定の官能基を有するグラフト高分子鎖を当該基材に結合させるグラフト重合ステップと、
次いで、前記所定の官能基の少なくとも一部を、前記金属イオンを吸着するための吸着用官能基に変換することによって、当該所定の官能基を有するグラフト高分子鎖を、当該吸着用官能基を有するグラフト高分子鎖に変換する変換ステップと、
次いで、前記吸着用官能基に前記金属イオンを吸着させることによって、当該金属イオンを前記基材に結合されたグラフト高分子鎖に固定する固定ステップと、
を備えることを特徴とする。
請求項9に記載の発明は、
請求項1〜6の何れか一項に記載のタンパク質捕捉材料の製造方法において、
前記基材と所定の官能基を有する重合性単量体とを共存させた状態で、当該基材に電離放射線を照射し、当該所定の官能基を有する重合性単量体を当該基材にグラフト重合することによって、当該所定の官能基を有するグラフト高分子鎖を当該基材に結合させる照射・グラフト重合ステップと、
次いで、前記所定の官能基の少なくとも一部を、前記金属イオンを吸着するための吸着用官能基に変換することによって、当該所定の官能基を有するグラフト高分子鎖を、当該吸着用官能基を有するグラフト高分子鎖に変換する変換ステップと、
次いで、前記吸着用官能基に前記金属イオンを吸着させることによって、当該金属イオンを前記基材に結合されたグラフト高分子鎖に固定する固定ステップと、
を備えることを特徴とする。
請求項10に記載の発明は、
請求項8又は9に記載の製造方法において、
前記グラフト高分子鎖が有する前記所定の官能基を、親水性官能基に変換することによって、前記基材に結合されたグラフト高分子鎖を親水化する親水化ステップを備えることを特徴とする。
請求項11に記載の発明は、
請求項1〜6の何れか一項に記載のタンパク質捕捉材料の製造方法において、
前記基材に電離放射線を照射する照射ステップと、
次いで、前記金属イオンを吸着するための吸着用官能基を有する重合性単量体を前記基材にグラフト重合することによって、当該吸着用官能基を有するグラフト高分子鎖を当該基材に結合させるグラフト重合ステップと、
次いで、前記吸着用官能基に前記金属イオンを吸着させることによって、当該金属イオンを前記基材に結合されたグラフト高分子鎖に固定する固定ステップと、
を備えることを特徴とする。
請求項12に記載の発明は、
請求項1〜6の何れか一項に記載のタンパク質捕捉材料の製造方法において、
前記基材と前記金属イオンを吸着するための吸着用官能基を有する重合性単量体とを共存させた状態で、当該基材に電離放射線を照射し、当該吸着用官能基を有する重合性単量体を当該基材にグラフト重合することによって、当該吸着用官能基を有するグラフト高分子鎖を当該基材に結合させる照射・グラフト重合ステップと、
次いで、前記吸着用官能基に前記金属イオンを吸着させることによって、当該金属イオンを前記基材に結合されたグラフト高分子鎖に固定する固定ステップと、
を備えることを特徴とする。
請求項1に記載の発明によれば、タンパク質捕捉材料は、基材に結合されたグラフト高分子鎖と、グラフト高分子鎖に固定された、所定のタンパク質に親和性がある金属イオンと、を備え、所定のタンパク質と金属イオンとの親和性を利用して、当該所定のタンパク質を捕捉するようになっている。したがって、静電相互作用や疎水性相互作用を利用してタンパク質を捕捉する従来のタンパク質捕捉材料よりも高い選択性を有する。
請求項2に記載の発明によれば、請求項1に記載の発明と同様の効果が得られることは無論のこと、タンパク質捕捉材料が備える金属イオンは、システイン、ヒスチジン及び/又はトリプトファンを備えるタンパク質と親和性がある。すなわち、金属イオンが、非共有電子対を持つ部分を有するタンパク質と特異的に反応することを利用してタンパク質を捕捉することができる。したがって、本発明のタンパク質捕捉材料は、例えば、所望のタンパク質がシステイン、ヒスチジン及び/又はトリプトファンを備えている場合に、或いは、所望のタンパク質にシステイン、ヒスチジン及び/又はトリプトファンを融合させる等して当該所望のタンパク質にシステイン、ヒスチジン及び/又はトリプトファンを備えさせることによって、所望のタンパク質を選択的に捕捉することができる。
請求項3に記載の発明によれば、請求項1又は2に記載の発明と同様の効果が得られることは無論のこと、基材は、連通孔を有する多孔質体よりなるものである。したがって、例えば、本発明のタンパク質捕捉材料に、所望のタンパク質が溶解したタンパク質溶液を透過させるだけで、その所望のタンパク質を捕捉することができる。
さらに、所望のタンパク質は、連通孔を通っている間に、連通孔内に配置されたグラフト高分子鎖に固定された金属イオンまで容易にアクセスできる。したがって、所望のタンパク質が捕捉されずにタンパク質捕捉材料を通り抜けてしまうことが少なく、高速処理時においても高い捕捉性能を有するタンパク質捕捉材料を構成することができる。
請求項4に記載の発明によれば、請求項3に記載の発明と同様の効果が得られることは無論のこと、基材は、厚さが1〜10mmのシート状のものであり、多孔性中空糸膜や多孔性フィルムを基材とした従来のタンパク質捕捉材料と比較して厚みがある。したがって、物理的強度が高いタンパク質捕捉材料を構成することができるとともに、取り扱い性に優れたタンパク質捕捉材料を構成することができる。
さらに、基材は、連通孔の平均細孔径が0.5〜5μm及び連通孔の体積分率が70〜85%のシート状のものであり、微細な連通孔を多数有している。したがって、拡散性が良好であるためフィルター効率が良く、高速処理時においても高い捕捉性能を有するタンパク質捕捉材料を構成することができる。
請求項5に記載の発明によれば、請求項1〜4の何れか一項に記載の発明と同様の効果が得られることは無論のこと、グラフト高分子鎖は、基材の表面部に結合されており、基材の内部には非結合されている。すなわち、グラフト高分子鎖が非結合された部分(基材の内部)は、基材自体の物理的・化学的特性を維持しており、グラフト高分子鎖が結合された部分(基材の表面部)の支持体としての役割を果たすため、物理的・化学的安定性に優れたタンパク質捕捉材料を構成することができる。
請求項6に記載の発明によれば、請求項1〜5の何れか一項に記載の発明と同様の効果が得られることは無論のこと、基材は、ポリオレフィンから構成されている。したがって、物理的・化学的安定性に優れたタンパク質捕捉材料を構成することができるとともに、基材自体の反応性が低いため、金属イオンによる選択的な捕捉が行えるタンパク質捕捉材料を構成することができる。
請求項7に記載の発明によれば、タンパク質捕捉用カートリッジは、請求項1〜6の何れか一項に記載のタンパク質捕捉材料をカートリッジに充填して構成されているため、使い勝手が良い。
請求項8に記載の発明によれば、照射ステップと、グラフト重合ステップと、変換ステップと、固定ステップと、だけを備える簡単な方法で、請求項1〜6の何れか一項に記載のタンパク質捕捉材料を製造することができる。
請求項9に記載の発明によれば、照射・グラフト重合ステップと、変換ステップと、固定ステップと、だけを備える簡単な方法で、請求項1〜6の何れか一項に記載のタンパク質捕捉材料を製造することができる。
請求項10に記載の発明によれば、請求項8又は9に記載の発明と同様の効果が得られることは無論のこと、親水化されたグラフト高分子鎖を備えるタンパク質捕捉材料を製造することができる。したがって、グラフト高分子鎖自体の反応性を低下させることができるため、金属イオンによる選択的な捕捉が行えるタンパク質捕捉材料を製造することができる。
請求項11に記載の発明によれば、照射ステップと、グラフト重合ステップと、固定ステップと、だけを備える簡単な方法で、請求項1〜6の何れか一項に記載のタンパク質捕捉材料を製造することができる。
請求項12に記載の発明によれば、照射・グラフト重合ステップと、固定ステップと、だけを備える簡単な方法で、請求項1〜6の何れか一項に記載のタンパク質捕捉材料を製造することができる。
以下、図を参照して、本発明を実施するための最良の形態を詳細に説明する。なお、発明の範囲は、図示例に限定されない。
<タンパク質捕捉材料、タンパク質捕捉用カートリッジ及びタンパク質捕捉材料の製造方法>
図1に、タンパク質捕捉材料10の製造経路の一例を示し、図2に、タンパク質捕捉用カートリッジ100の一例を示す。
タンパク質捕捉材料10は、例えば、所定のタンパク質と金属イオン5との親和性を利用して、所定のタンパク質が溶解するタンパク質溶液からその所定のタンパク質を捕捉して分離するための固定化金属アフィニティ材料である。
タンパク質捕捉材料10は、例えば、連通孔を有する多孔質体よりなる基材1と、基材1に結合された、金属イオン5を吸着するための吸着用官能基を有するグラフト高分子鎖4と、グラフト高分子鎖4に固定された、所定のタンパク質に親和性がある金属イオン5と、を備えて構成される。すなわち、タンパク質捕捉材料10は、例えば、連通孔を有する多孔質体よりなる基材1に金属イオン5が固定されたグラフト高分子鎖4が結合された構造を有している。
ここで、所定のタンパク質は、金属イオン5に親和性があるタンパク質であれば、特に限定されるものではない。
具体的には、所定のタンパク質としては、例えば、非共有電子対を持つ部分を有するタンパク質、好ましくは非共有電子対を持つ部分を表面に有するタンパク質が挙げられる。
非共有電子対を持つ部分を有するタンパク質としては、例えば、非共有電子対を持つアミノ酸残基を有するタンパク質、非共有電子対を持つタグ(標識)が付与されたタンパク質などが挙げられる。
非共有電子対を持つアミノ酸残基を有するタンパク質としては、例えば、システインなどの含硫アミノ酸残基及び/又はヒスチジンやトリプトファンなどの複素環式アミノ酸残基を有するタンパク質などが挙げられる。
非共有電子対を持つタグが付与されたタンパク質としては、例えば、システインなどの含硫アミノ酸及び/又はヒスチジンやトリプトファンなどの複素環式アミノ酸がタグとして付与されたタンパク質、システインなどの含硫アミノ酸残基及び/又はヒスチジンやトリプトファンなどの複素環式アミノ酸残基を有するポリペプチドがタグとして付与されたタンパク質などが挙げられる。
すなわち、所定のタンパク質としては、例えば、システイン、ヒスチジン及び/又はトリプトファンを備えるタンパク質が挙げられる。
金属イオン5は、所定のタンパク質に親和性がある金属イオン(所定のタンパク質に親和性がある金属元素のイオン)であれば、特に限定されるものではない。
具体的には、金属イオン5としては、例えば、所定のタンパク質が有する非共有電子対を持つ部分に親和性がある金属イオンが挙げられる。
所定のタンパク質が有する非共有電子対を持つ部分に親和性がある金属イオンとしては、例えば、2価の金属イオン(Mg2+、Ca2+、Cr2+、Mn2+、Co2+、Ni2+、Cu2+、Zn2+など)、2価及び3価の鉄イオン(Fe2+及びFe3+)、希土類元素(Sc、Y及びランタノイド)のイオンなどが挙げられる。
金属イオン5は、例えば、所定のタンパク質が有する非共有電子対を持つ部分とアフィニティ相互作用して、結合(電気的な結合又はキレート結合)を形成することによって、当該所定のタンパク質を捕捉する。
なお、タンパク質捕捉材料10は、金属イオン5として、1種類の金属イオンを備えていても良いし、複数種類の金属イオンを備えていても良い。
タンパク質捕捉材料10は、例えば、グラフト重合法を適用して製造される。
具体的には、タンパク質捕捉材料10は、例えば、図1に示すように、照射ステップと、グラフト重合ステップと、変換ステップと、親水化ステップと、固定ステップと、により製造される。
照射ステップでは、基材1に電離放射線(例えば、電子線)を照射する。すなわち、基材1にラジカルを発生させる。
グラフト重合ステップでは、所定の官能基(例えば、エポキシ基)を有する重合性単量体(例えば、グリシジルメタクリレート(GMA))を基材1にグラフト重合することによって、所定の官能基を有するグラフト高分子鎖2を基材1に結合させる。すなわち、ラジカルを開始点として、所定の官能基を有するグラフト高分子鎖2を成長させる。
変換ステップでは、グラフト高分子鎖2が有する所定の官能基の少なくとも一部を、吸着用官能基(例えば、イミノジ酢酸基(−N(CHCOOH)))に変換することによって、所定の官能基を有するグラフト高分子鎖2を、吸着用官能基を有するグラフト高分子鎖3に変換する。
親水化ステップでは、吸着用官能基を有するグラフト高分子鎖3に残存する所定の官能基を、親水性官能基(例えば、ジオール基((−OH)))に変換することによって、基材1に結合されたグラフト高分子鎖を親水化する。
固定ステップでは、親水化されたグラフト高分子鎖4が有する吸着用官能基に金属イオン5(例えば、Ni2+)を吸着させることによって、金属イオン5を基材1に結合されたグラフト高分子鎖4に固定する。
なお、図1は、タンパク質捕捉材料10の製造経路の一例であり、タンパク質捕捉材料10の製造経路は、図1に限られるものではない。
タンパク質捕捉用カートリッジ100は、例えば、図2に示すように、タンパク質捕捉材料10をカートリッジ20に充填して構成されている。
そして、例えば、シリンジポンプや送液ポンプなどを用いてタンパク質捕捉用カートリッジ100に所定のタンパク質が溶解したタンパク質溶液を供給し、タンパク質捕捉材料10の一方の面(例えば、下面)から他方の面(例えば、上面)に向けてタンパク質溶液を透過させることによって、タンパク質捕捉材料10に所定のタンパク質を捕捉させる。
なお、カートリッジ20には、1枚のタンパク質捕捉材料10を充填しても良いし、複数枚のタンパク質捕捉材料10を充填しても良い。
基材1の形状は、連通孔を有する多孔質体であれば、特に限定されるものではない。
基材1の好ましい形状としては、例えば、厚さが1〜10mm、連通孔の平均細孔径が0.5〜5μm及び連通孔の体積分率が70〜85%のシート状が挙げられる。
基材1の厚さが1mm未満の場合には、厚さが薄くなり過ぎる。そのため、取り扱い難く、例えば、カートリッジ20への充填が困難であるなどの傾向を示すとともに、物理的強度が低く、例えば、繰り返し使用に適さないなどの傾向を示す。
一方、基材1の厚さが10mmを超える場合には、厚さが厚くなり過ぎる。そのため、取り扱い難く、例えば、カートリッジ20への充填が困難であるなどの傾向を示す。
また、連通孔の平均細孔径が0.5μm未満の場合には、孔径が小さくなり過ぎる。そのため、タンパク質溶液をタンパク質捕捉材料10の一方の面から他方の面へと透過させる際の溶液透過性が低下し、高速処理が困難になる傾向を示す。
一方、連通孔の平均細孔径が5μmを超える場合には、孔径が大きくなり過ぎる。そのため、タンパク質溶液をタンパク質捕捉材料10の一方の面から他方の面へと透過させて所定のタンパク質を捕捉させる際、タンパク質溶液を高速に透過させると、所定のタンパク質が捕捉されずにタンパク質捕捉材料10を通り抜けてしまう傾向を示す。
ここで、連通孔の平均細孔径とは、例えば、バブルポイント法などの所定の評価法を利用して得られる平均流量細孔径のことである。
また、連通孔の体積分率が70%未満の場合には、連通孔の割合が少なくなり過ぎる。そのため、タンパク質溶液をタンパク質捕捉材料10の一方の面から他方の面へと透過させる際の溶液透過性が低下し、高速処理が困難になる傾向を示す。
一方、連通孔の体積分率が85%を超える場合には、連通孔の割合が多くなり過ぎる。そのため、物理的強度が低く、例えば、繰り返し使用に適さないなどの傾向を示す。
基材1を形成する材料は、グラフト重合法を適用してタンパク質捕捉材料10を製造できるのであれば、特に限定されるものではない。
基材1を形成する好ましい材料としては、例えば、物理的・化学的安定性に優れている、基材1自体の反応性が低いなどの特徴を有するポリオレフィン(例えば、ポリエチレンやポリプロピレンなど)が挙げられる。その他、基材1を形成する材料としては、例えば、ポリテトラフルオロエチレン(PTFE)などのフッ素樹脂、ポリオレフィンとフッ素樹脂との組み合わせ(混合体や共重合体)などが挙げられる。また、例えば、エチレン−酢酸ビニル共重合体、ポリスチレンなども挙げられる。
グラフト重合法は、所定の官能基を有するグラフト高分子鎖2を、基材1にグラフトすることができるのであれば、特に限定されるものではない。
好ましいグラフト重合法としては、例えば、重合開始剤が不要である、基材1の形状に制限がない、基材1全体にラジカルを生成することができるなどの特徴を有する電離放射線(電子線、X線、α線、β線、γ線など)を用いる重合法が挙げられる。その他、グラフト重合法としては、例えば、紫外線を用いる重合法、重合開始剤を用いる重合法などが挙げられる。
所定の官能基を有するグラフト高分子鎖2を形成する重合性単量体は、その所定の官能基を、吸着用官能基に変換することができるのであれば、特に限定されるものではない。
好ましい所定の官能基としては、例えば、吸着用官能基への変換が容易であるなどの特徴を有するエポキシ基が挙げられる。したがって、好ましい重合性単量体としては、例えば、エポキシ基を有する重合単量体であるグリシジルメタクリレート(GMA)やグリシジルアクリレートなどが挙げられる。
グラフト高分子鎖3,4が有する吸着用官能基は、金属イオン5を吸着することができるのであれば、特に限定されるものではない。
具体的には、吸着用官能基としては、例えば、イオン交換基やキレート形成基などが挙げられる。イオン交換基としては、例えば、スルホン酸基やリン酸基、カルボキシル基などのカチオン交換基などが挙げられる。キレート形成基としては、例えば、イミノジ酢酸基やイミノジエタノール基などが挙げられる。なお、グラフト高分子鎖3,4は、吸着用官能基として、1又は複数種類のイオン交換基を有していても良いし、1又は複数種類のキレート形成基を有していても良いし、1又は複数種類のイオン交換基及び1又は複数種類のキレート形成基を有していても良い。
好ましい吸着用官能基としては、例えば、金属イオン5とより強固に結合するなどの特徴を有するキレート形成基が挙げられる。金属イオン5とキレート形成基との結合(キレート結合)は、金属イオン5とイオン交換基との結合(静電相互作用による結合)よりも強固であることが知られている。
グラフト高分子鎖4が有する親水性官能基は、グラフト高分子鎖2,3が有する所定の官能基よりも親水性の官能基であれば、特に限定されるものではない。
好ましい親水性官能基としては、例えば、所定の官能基(例えば、エポキシ基)からの変換が容易であるなどの特徴を有するジオール基(2個のヒドロキシル基)などが挙げられる。その他、親水性官能基としては、例えば、ヒドロキシル基や、ヒドロキシアルキル基(アルキル基は好ましくは低級アルキル基)、ピロリドニル基などが挙げられる。
グラフト高分子鎖4(グラフト高分子鎖2,3,4)は、連通孔の表面にグラフト(接ぎ木)されて、連通孔内において“ポリマーブラシ”を形成している。すなわち、グラフト高分子鎖4及びグラフト高分子鎖4に固定された金属イオン5の少なくとも一部は、連通孔内に配置されている。
グラフト高分子鎖4(グラフト高分子鎖2,3,4)は、基材1の全体に結合されていても良いし、基材1の表面部に結合されて基材1の内部には非結合されていても良い。
グラフト高分子鎖4が基材1の全体に結合されたタンパク質捕捉材料10は、例えば、グラフト重合における重合性単量体の濃度、溶媒の種類、反応温度、反応時間などを制御して所定の官能基を有するグラフト高分子鎖2を基材1の全体に結合させることによって得られる。
一方、グラフト高分子鎖4が基材1の表面部に結合されて基材1の内部には非結合されたタンパク質捕捉材料10は、例えば、グラフト重合における重合性単量体の濃度、溶媒の種類、反応温度、反応時間などを制御して所定の官能基を有するグラフト高分子鎖2を基材1の表面部のみに結合させることによって得られる。
グラフト高分子鎖4が基材1の全体に結合されている場合は、グラフト高分子鎖4が基材1の表面部に結合されて基材1の内部には非結合されている場合と比較して、タンパク質捕捉材料10における金属イオン5の固定量を多くすることができるため、より多量の所定のタンパク質を捕捉することができる、捕捉効率が良い、などの利点がある。
一方、グラフト高分子鎖4が基材1の表面部に結合されて基材1の内部には非結合されている場合、すなわち、タンパク質捕捉材料10が、グラフト高分子鎖4が結合された表面部と、グラフト高分子鎖4が非結合された内部と、の2層構造で構成されている場合は、グラフト高分子鎖4が非結合された内部が、グラフト高分子鎖4が結合された表面部の支持体としての役割を果たすため、グラフト高分子鎖4が基材1の全体に結合されている場合と比較して、膨潤を抑えることができる、物理的強度が高い、などの利点がある。
ここで、グラフト高分子鎖4が結合される表面部は、基材1の膜厚方向における基材1の表面部(表層)を指し、グラフト高分子鎖4が非結合される内部は、基材1の膜厚方向における基材1の内部(内層)を指す。
基材1にグラフト高分子鎖4(グラフト高分子鎖2,3,4)が結合すると、その部分は基材1の組織が分断されて緻密性に欠け、基材1の剛性が低下する。そのため、グラフト高分子鎖4が結合された部分は、溶媒に対する膨潤度が大きくなるとともに、物理的強度が低下する。その一方で、グラフト高分子鎖4が非結合された部分の割合が多いと、タンパク質捕捉材料10における金属イオン5の固定量が少なくなり、捕捉可能な所定のタンパク質の量が少なくなる、捕捉効率が悪い、などの問題が生じる。したがって、タンパク質捕捉材料10の膜厚方向におけるグラフト高分子鎖4が結合された表面部(両面の場合はその合計)の厚さの割合を、タンパク質捕捉材料10の厚さの40〜60%、タンパク質捕捉材料10の膜厚方向におけるグラフト高分子鎖4が非結合された内部の厚さの割合を、タンパク質捕捉材料10の厚さの60〜40%に設定すると、捕捉性能(捕捉可能な所定のタンパク質の量や捕捉効率など)と、膨潤度や物理的強度(変形耐性を含む)と、のバランスを良好に保つことができる。
<タンパク質の分離精製方法>
次に、タンパク質捕捉材料10を用いたタンパク質の分離精製方法について説明する。
タンパク質捕捉材料10は、例えば、捕捉ステップと、溶出ステップと、によって、所定のタンパク質を分離精製することができる。
まず、捕捉ステップで、タンパク質捕捉材料10によって、所定のタンパク質を捕捉する。具体的には、例えば、タンパク質捕捉用カートリッジ100に、所定のタンパク質が溶解したタンパク質溶液を供給することによって、タンパク質捕捉材料10に当該所定のタンパク質を捕捉させる。
次いで、溶出ステップで、タンパク質捕捉材料10によって捕捉されている所定のタンパク質を溶出するための溶出液を使用して、当該所定のタンパク質をタンパク質捕捉材料10から溶出させる。具体的には、例えば、タンパク質捕捉用カートリッジ100に溶出液を供給することによって、所定のタンパク質を溶出させる。
ここで、溶出液は、例えば、タンパク質捕捉材料10が備える金属イオン5と、溶出させる所定のタンパク質と、の組み合わせに応じて、適宜選択される。
具体的には、溶出液としては、例えば、タンパク質と金属イオン5とのアフィニティ相互作用を弱める溶液や、当該アフィニティ相互作用の平衡関係をずらす溶液などが挙げられる。より具体的には、例えば、競合試薬が溶解する溶液、キレート剤が溶解する溶液、所定のpHの緩衝液などが挙げられる。
<実施例>
次に、本発明を実施例により具体的に説明するが、本発明はこれらに限定されるものではない。
(タンパク質捕捉材料の製造)
まず、タンパク質捕捉材料10を製造した。
実施例では、所定の官能基を有する重合性単量体としてGAMを選択し、吸着用官能基としてイミノジ酢酸(IDA)基を選択し、親水性官能基としてジオール基を選択し、金属イオン5としてNi2+を選択した。そして、例えば、図1に示す製造経路で、Ni2+が固定されたタンパク質捕捉材料10(ニッケル固定シート)を製造した。
具体的には、窒素雰囲気下、室温で、基材1に電子線を200kGy照射した(照射ステップ)。基材1としては、シート状の、連通孔を有するポリエチレン多孔質体(厚さが2.0mm、連通孔の平均細孔径が1μm、空孔率(連通孔の体積分率)が75%)を使用した。
次いで、電子線が照射された基材1を、GMAの20体積%メタノール溶液(GMA溶液)に40℃で所定時間浸漬することによって、基材1にGMAをグラフト重合させた(グラフト重合ステップ)。得られたシートをGMAシートと呼ぶ。
GMAシートのグラフト率[%](=100×(グラフトされたGMAの重量)/(基材1の重量))は、基材1をGMA溶液に浸漬させる時間が増加するほど、増加することを確認した。実施例では、グラフト率150%を採用した。
次いで、GMAシートを、ジオキサンの50体積%水溶液を溶媒とする0.425Mイミノジ酢酸二ナトリウム(NH(CHCOONa))溶液に80℃で所定時間浸漬することによって、グラフトされたグラフト高分子鎖2が有するエポキシ基をIDA基に変換した(変換ステップ)。その後、1M塩酸を使ってコンディショニングした。得られたシートをIDAシートと呼ぶ。
IDAシートのモル転化率[%](=100×(導入されたIDA基のモル数)/(IDA基導入前のエポキシ基のモル数))はGMAシートをイミノジ酢酸二ナトリウム溶液に浸漬させる時間が増加するほど、増加することを確認した。実施例では、モル転化率60%を採用した。
次いで、IDAシートを、0.5M硫酸に80℃で4時間浸漬することによって、IDA基を有するグラフト高分子鎖3に残存するエポキシ基をジオール基に変換し、IDA基を有するグラフト高分子鎖3を親水化した(親水化ステップ)。得られたシートをIDA-ジオールシートと呼ぶ。
IDA-ジオールシート湿潤体積あたりのIDA基のモル数、すなわちIDA-ジオールシートのIDA基密度は、0.76mmol/mLであった。
次いで、例えば、円筒形状のカートリッジ20に、カートリッジ20の内径(例えば、直径13mm)に合わせてディスク状に裁断したIDA-ジオールシートを1枚充填して、IDA-ジオールカートリッジを作成した。
次いで、20mM酢酸緩衝液(pH7.5)を溶媒とする10mM硫酸ニッケル溶液を、120mL/hの流量でIDA-ジオールカートリッジに供給することによって、IDA-ジオールシートに透過させ、IDA-ジオールシートに備えられたグラフト高分子鎖4に金属イオン5(Ni2+)を固定した(固定ステップ)。その後、緩衝液を使ってシートを洗浄した。得られたシートをニッケル固定シートと呼ぶ。
このようにして、タンパク質捕捉材料10(ニッケル固定シート)を製造するとともに、タンパク質捕捉材料10が充填されたタンパク質捕捉用カートリッジ100を製造した。
具体的には、固定ステップでは、例えば、IDA-ジオールカートリッジの出口からの流出液を連続的に採取し、流出液中のNi2+の濃度を吸光光度法によって測定した。そして、流出液中のNi2+の濃度が、供給液(硫酸ニッケル溶液)中のNi2+の濃度に達するまで、硫酸ニッケル溶液を透過させた。
IDA-ジオールシートに透過させた硫酸ニッケル溶液の体積が0〜約13mLの範囲では、流出液中のNi2+の濃度は0(ゼロ)mMであった。
IDA-ジオールシートに透過させた硫酸ニッケル溶液の体積が約13〜約65mLの範囲では、硫酸ニッケル溶液の供給量が増加するにつれて、流出液中のNi2+の濃度は増加した。
IDA-ジオールシートに透過させた硫酸ニッケル溶液の体積が約65mL以上の範囲では、流出液中のNi2+の濃度が供給液(硫酸ニッケル溶液)中のNi2+の濃度と同等となり、IDA-ジオールシートに約65mLの硫酸ニッケル溶液を透過させた時点で、吸着が平衡に達することが分かった。
IDA-ジオールシート湿潤体積あたりのNi2+平衡吸着量、すなわちニッケル固定シートのNi2+固定密度は、0.59mmol/mLであった。
ここで、吸着用官能基としてIDA基が導入された市販の固定化金属アフィニティ材料(ヒスチジンタグ融合タンパク質精製用カラム)のNi2+固定密度は、0.030〜0.037mmol/mLである。したがって、本発明のタンパク質捕捉材料10(ニッケル固定シート)は、市販の固定化金属アフィニティ材料の16〜20倍のNi2+固定密度を有し、市販の固定化金属アフィニティ材料よりも高密度に金属イオン5を固定できることが分かった。
また、SEM(scanning electron microscope)を用いて、基材1とニッケル固定シートを観察した。その結果、基材1の多孔構造と、ニッケル固定シートの多孔構造と、にほとんど差違はなく、基材1にグラフト高分子鎖4を結合させて金属イオン5を固定させても、多孔構造を維持できることが分かった。
(透水性)
次に、タンパク質捕捉材料10の透水性を測定した。
例えば、ニッケル固定シートに一定圧力及び一定温度下で純水を透過させ、ニッケル固定シートの透水性を測定した。
具体的には、例えば、1枚のニッケル固定シートが充填されたタンパク質捕捉用カートリッジ100に、一定圧力及び一定温度下で純水を供給し、純水透過流束[m/h](=(一定圧力(ΔP=0.1 MPa)・一定温度(25℃)下での純水の透過流量)/(ニッケル固定シートの断面積(π(ニッケル固定シートの半径)))を求めた。
IDA基密度が0.76mmol/mL、Ni2+固定密度が0.59mmol/mLのニッケル固定シートの純水透過流束は、36m/h(ΔP=0.1 MPa,25℃)であった。
ここで、Ni2+固定密度が0.030〜0.037mmol/mLである、吸着用官能基としてIDA基が導入された市販の固定化金属アフィニティ材料(ヒスチジンタグ融合タンパク質精製用カラム)の純水透過流束は、7.0m/h(ΔP=0.1 MPa,25℃)である。したがって、本発明のタンパク質捕捉材料10(ニッケル固定シート)は、市販の固定化金属アフィニティ材料の5倍以上の純水透過流束を有し、市販の固定化金属アフィニティ材料よりも透水性が高いことが分かった。すなわち、本発明のタンパク質捕捉材料10(ニッケル固定シート)は、市販の固定化金属アフィニティ材料よりも、高速にタンパク質を分離精製できることが分かった。
(タンパク質の分離精製)
次に、タンパク質捕捉材料10を用いて所定のタンパク質の分離精製を行った。
実施例では、所定のタンパク質として、ヒスチジンがタグとして付与された緑色蛍光タンパク質(以下、「ヒスチジンタグ融合タンパク質」と呼ぶ)を選択し、溶出液として、競合試薬(イミダゾール)が溶解する溶液(250mMイミダゾール溶液)を選択した。
まず、例えば、ヒスチジンタグ融合タンパク質と、その他のタンパク質(リゾチームなど)と、が溶解したタンパク質溶液を調製した(タンパク質溶液準備ステップ)。
次いで、例えば、1枚のニッケル固定シートが充填されたタンパク質捕捉用カートリッジ100に、120mL/h、室温で、45mLのタンパク質溶液を供給し、ニッケル固定シートにタンパク質溶液を透過させることによって、ヒスチジンタグ融合タンパク質を捕捉させた(捕捉ステップ)。
次いで、例えば、ヒスチジンタグ融合タンパク質を捕捉したニッケル固定シートが充填されたタンパク質捕捉用カートリッジ100に、5mLの30mMリン酸緩衝液(300mM NaCl,pH7.8)を供給し、ニッケル固定シートにリン酸緩衝液を透過させることによって、洗浄した(洗浄ステップ)。
次いで、例えば、ヒスチジンタグ融合タンパク質を捕捉したニッケル固定シートが充填されたタンパク質捕捉用カートリッジ100に、2mLの250mMイミダゾール溶液を供給し、ニッケル固定シートに250mMイミダゾール溶液を透過させることによって、ニッケル固定シートにより捕捉されているヒスチジンタグ融合タンパク質を溶出させた(例えば、溶出ステップ)。
そして、タンパク質溶液準備ステップにおいて調整されたタンパク質溶液中のタンパク質分布と、捕捉ステップにおいてタンパク質捕捉用カートリッジ100の出口から流出してきた流出液(以下、「流出タンパク質溶液」と呼ぶ)中のタンパク質分布と、溶出ステップにおいてタンパク質捕捉用カートリッジ100の出口から流出してきた流出液(以下、「流出溶出液」)中のタンパク質分布と、をゲル濾過分析法によって測定した。
具体的には、液体クロマトグラフィーによって、タンパク質溶液、流出タンパク質溶液及び流出溶出液のクロマトグラムを得た。その結果を図3に示す。
図3(a)は、タンパク質溶液(実線)及び流出タンパク質溶液(破線)のクロマトグラムである。図3(a)によれば、タンパク質溶液と比較して、流出タンパク質溶液のヒスチジンタグ融合タンパク質のピークが減少していた。これにより、ニッケル固定シートによってヒスチジンタグ融合タンパク質が捕捉されることが分かった。
図3(b)は、流出溶出液のクロマトグラムである。図3(b)によれば、流出溶出液にはヒスチジンタグ融合タンパク質のピークが検出された。これにより、ニッケル固定シートに溶出液として250mMイミダゾール溶液を透過することによって、ニッケル固定シートに捕捉されていたヒスチジンタグ融合タンパク質を溶出できることが分かった。
さらに、図3によれば、ピーク面積の比から、流出溶出液中のヒスチジンタグ融合タンパク質の濃度は、タンパク質溶液中のヒスチジンタグ融合タンパク質の10倍であることが分かった。これにより、タンパク質捕捉材料10(ニッケル固定シート)を用いると、所定のタンパク質(ヒスチジンタグ融合タンパク質)を10倍の濃縮度で分離精製できることが分かった。
また、タンパク質溶液準備ステップにおいて調整されたタンパク質溶液中のタンパク質分布と、流出溶出液中のタンパク質分布と、を電気泳動分析法によって測定した。
具体的には、ポリアクリルアミドゲル電気泳動(SDS−PAGE)法によって、タンパク質溶液及び流出溶出液のバンドを得た。その結果を図4に示す。
図4によれば、タンパク質溶液のバンドには、ヒスチジンタグ融合タンパク質のバンドと、その他のタンパク質のバンドと、が現れたのに対し、流出溶出液のバンドには、ヒスチジンタグ融合タンパク質のバンドと、ヒスチジンタグ融合タンパク質の分解物のバンドと、が現れた。これにより、ニッケル固定シートによってヒスチジンタグ融合タンパク質が捕捉され、ニッケル固定シートに溶出液として250mMイミダゾール溶液を透過することによって、ニッケル固定シートに捕捉されていたヒスチジンタグ融合タンパク質を溶出できることが分かった。
さらに、SDS−PAGE法によって得られたバンドの色の濃さ及び面積から、所定の画像解析ソフトを用いて、タンパク質溶液中のヒスチジンタグ融合タンパク質の純度(=100×(タンパク質溶液中のヒスチジンタグ融合タンパク質の重量)/(タンパク質溶液中の全タンパク質の重量))と、流出溶出液中のヒスチジンタグ融合タンパク質の純度(=100×(流出溶出液中のヒスチジンタグ融合タンパク質の重量)/(流出溶出液中の全タンパク質の重量))を算出した。なお、ヒスチジンタグ融合タンパク質の分解物の量は、ヒスチジンタグ融合タンパク質の量に含めた。
その結果、タンパク質溶液及び流出溶出液の純度は、それぞれ30及び98であることが分かった。これにより、タンパク質捕捉材料10(ニッケル固定シート)を用いると、所定のタンパク質(ヒスチジンタグ融合タンパク質)を98%の純度で分離精製できることが分かった。
以上説明した本発明のタンパク質捕捉材料10によれば、基材1に結合されたグラフト高分子鎖4と、グラフト高分子鎖4に固定された、所定のタンパク質に親和性がある金属イオン5と、を備え、所定のタンパク質と金属イオン5との親和性を利用して、当該所定のタンパク質を捕捉するようになっている。したがって、静電相互作用や疎水性相互作用を利用してタンパク質を捕捉する従来のタンパク質捕捉材料よりも高い選択性を有する。
また、本発明のタンパク質捕捉材料10によれば、金属イオン5は、システイン、ヒスチジン及び/又はトリプトファンを備えるタンパク質と親和性がある。すなわち、金属イオン5が、非共有電子対を持つ部分を有するタンパク質と特異的に反応することを利用してタンパク質を捕捉することができる。したがって、本発明のタンパク質捕捉材料は、例えば、所望のタンパク質がシステイン、ヒスチジン及び/又はトリプトファンを備えている場合に、或いは、所望のタンパク質にシステイン、ヒスチジン及び/又はトリプトファンを融合させる等して当該所望のタンパク質にシステイン、ヒスチジン及び/又はトリプトファンを備えさせることによって、所望のタンパク質を選択的に捕捉することができる。
また、本発明のタンパク質捕捉材料10によれば、基材1は、連通孔を有する多孔質体よりなるものである。したがって、例えば、本発明のタンパク質捕捉材料10に、所望のタンパク質が溶解したタンパク質溶液を透過させるだけで、その所望のタンパク質を捕捉することができる。
さらに、所望のタンパク質は、連通孔を通っている間に、連通孔内に配置されたグラフト高分子鎖4に固定された金属イオン5まで容易にアクセスできる。したがって、所望のタンパク質が捕捉されずにタンパク質捕捉材料10を通り抜けてしまうことが少なく、高速処理時においても高い捕捉性能を有するタンパク質捕捉材料10を構成することができる。
また、本発明のタンパク質捕捉材料10によれば、基材1は、厚さが1〜10mmのシート状のものであり、多孔性中空糸膜や多孔性フィルムを基材とした従来のタンパク質捕捉材料と比較して厚みがある。したがって、物理的強度が高いタンパク質捕捉材料10を構成することができるとともに、取り扱い性に優れたタンパク質捕捉材料10を構成することができる。
さらに、基材1は、連通孔の平均細孔径が0.5〜5μm及び連通孔の体積分率が70〜85%のシート状のものであり、微細な連通孔を多数有している。したがって、拡散性が良好であるためフィルター効率が良く、高速処理時においても高い捕捉性能を有するタンパク質捕捉材料10を構成することができる。
また、本発明のタンパク質捕捉材料10によれば、金属イオン5が固定されたグラフト高分子鎖4が結合された部分(表面部)と、金属イオン5が固定されたグラフト高分子鎖4が非結合された部分(内部)と、の2層構造で構成可能である。すなわち、グラフト高分子鎖4が非結合された部分(内部)は、基材自体の物理的・化学的特性を維持しており、グラフト高分子鎖4が結合された部分(表面部)の支持体としての役割を果たすため、物理的・化学的安定性に優れたタンパク質捕捉材料10を構成することができる。
また、本発明のタンパク質捕捉材料10によれば、基材1は、ポリオレフィンから構成されている。したがって、物理的・化学的安定性に優れたタンパク質捕捉材料10を構成することができるとともに、基材1自体の反応性が低いため、金属イオン5による選択的な捕捉が行えるタンパク質捕捉材料10を構成することができる。
また、以上説明した本発明のタンパク質捕捉用カートリッジ100によれば、タンパク質捕捉材料10をカートリッジ20に充填して構成されているため、使い勝手が良い。
また、以上説明した本発明のタンパク質捕捉材料10の製造方法によれば、照射ステップと、グラフト重合ステップと、変換ステップと、親水化ステップと、固定ステップと、だけを備える簡単な方法で、タンパク質捕捉材料10を製造することができる。
また、本発明のタンパク質捕捉材料10の製造方法によれば、親水化ステップで、基材1に結合されたグラフト高分子鎖を親水化することができる。したがって、グラフト高分子鎖4自体の反応性を低下させることができるため、金属イオン5による選択的な捕捉が行えるタンパク質捕捉材料10を製造することができる。
なお、本発明は、上記した実施の形態のものに限るものではなく、その要旨を逸脱しない範囲で適宜変更可能である。
<変形例1>
上記した実施の形態では、照射ステップと、グラフト重合ステップと、変換ステップと、親水化ステップと、固定ステップと、によってタンパク質捕捉材料10を製造するようにしたが、例えば、所定の官能基を有する重合性単量体に代えて、吸着用官能基を有する重合性単量体を基材1にグラフト重合すると、グラフト重合ステップのみで、吸着用官能基を有するグラフト高分子鎖4を基材1に結合させることができるため、変換ステップを省略することができるとともに、吸着用官能基は親水性であるため、親水化ステップを省略することができる。
ここで、吸着用官能基を有する重合性単量体は、金属イオン5を吸着するためのイオン交換基を有する重合性単量体や、金属イオン5を吸着するためのキレート形成基を有する重合性単量体であれば任意である。
具体的には、吸着用官能基を有する重合性単量体としては、例えば、イオン交換基(カチオン交換基)を有するアクリル酸などが挙げられる。また、例えば、所定の官能基(例えば、エポキシ基)を有する重合性単量体(例えば、グリシジルメタクリレートやグリシジルアクリレートなど)の所定の官能基を吸着用官能基に変換することによって作成した重合性単量体などが挙げられる。
以上説明した変形例1のタンパク質捕捉材料10の製造方法によれば、照射ステップと、グラフト重合ステップと、固定ステップと、だけを備える簡単な方法で、タンパク質捕捉材料10を製造することができる。
<変形例2>
上記した実施の形態では、照射ステップと、グラフト重合ステップと、変換ステップと、親水化ステップと、固定ステップと、によってタンパク質捕捉材料10を製造するようにしたが、例えば、基材1と所定の官能基を有する重合性単量体とを共存させた状態で、基材1に電離放射線を照射すると(照射・グラフト重合ステップ)、上記した実施の形態における照射ステップとグラフト重合ステップとを同時に行うことができる。
ここで、基材1と所定の官能基を有する重合性単量体とを共存させた状態とは、例えば、所定の官能基を有する重合性単量体が溶解する溶液(GMA溶液など)中に基材1を浸漬させた状態や、所定の官能基を有する重合性単量体が溶解する溶液を基材1に含浸させた状態などのことである。
以上説明した変形例2のタンパク質捕捉材料10の製造方法によれば、照射・グラフト重合ステップと、変換ステップと、親水化ステップと、固定ステップと、だけを備える簡単な方法で、タンパク質捕捉材料10を製造することができる。
<変形例3>
上記した実施の形態では、照射ステップと、グラフト重合ステップと、変換ステップと、親水化ステップと、固定ステップと、によってタンパク質捕捉材料10を製造するようにしたが、例えば、基材1と吸着用官能基を有する重合性単量体とを共存させた状態で、基材1に電離放射線を照射すると(照射・グラフト重合ステップ)、上記した実施の形態における変換ステップ及び親水化ステップを省略できるとともに、照射ステップとグラフト重合ステップとを同時に行うことができる。
ここで、基材1と吸着用官能基を有する重合性単量体とを共存させた状態とは、例えば、吸着用官能基を有する重合性単量体が溶解する溶液中に基材1を浸漬させた状態や、吸着用官能基を有する重合性単量体が溶解する溶液を基材1に含浸させた状態などのことである。
以上説明した変形例3のタンパク質捕捉材料10の製造方法によれば、照射・グラフト重合ステップと、固定ステップと、だけを備える簡単な方法で、タンパク質捕捉材料10を製造することができる。
上記した実施の形態において、親水化ステップを変換ステップの後に行うようにしたが、親水化ステップを行うタイミングに制限は無く、グラフト重合ステップの後で行っても良いし、固定ステップの後に行っても良い。変形例2についても同様である。
また、親水化ステップは、必ずしも行う必要はない。親水化ステップは、所定の官能基がエポキシ基のように疎水性の官能基である場合は有効であるが、所定の官能基が親水性の官能基である場合は特に行う必要はない。
上記した実施の形態及び変形例1〜3において、基材1の形状は、シート状に限ることはなく、例えば、円板状や四角板状などであっても良く、従来のタンパク質捕捉材料の基材のように中空糸状やフィルム状などであっても良い。
また、基材1は、連通孔を有する多孔質体よりなるものである必要はなく、グラフト重合法によって、基材1を形成する高分子素材(主鎖)に、グラフト高分子鎖(側鎖)を付与することができるのであれば任意であり、例えば、繊維、不織布、非多孔質体の高分子基材などであっても良い。
上記した実施の形態及び変形例1〜3において、タンパク質捕捉材料10に所定のタンパク質を捕捉させる際、タンパク質捕捉材料10をカートリッジ20に充填するようにしたが、これに限ることはなく、例えば、容器内に所定量のタンパク質捕捉材料10を収容し、その中へタンパク質溶液を注入するなどして、タンパク質捕捉材料10に所定のタンパク質を捕捉させても良い。
また、実施例において、材料(IDA-ジオールシート)をカートリッジ20に充填して、固定ステップを行うようにしたが、材料をカートリッジ20に充填するタイミングに制限は無く、例えば、基材1をカートリッジ20に充填して、照射ステップから固定ステップを行っても良いし、電子線が照射された基材1をカートリッジ20に充填して、グラフト重合ステップから固定ステップを行っても良いし、GMAシートをカートリッジ20に充填して、変換ステップから固定ステップを行っても良いし、IDAシートをカートリッジ20に充填して、親水化ステップから固定ステップを行っても良いし、固定ステップを行った後、タンパク質捕捉材料10(ニッケル固定シート)をカートリッジ20に充填するようにしても良い。
上記した実施の形態及び変形例1〜3において、タンパク質捕捉材料10は、所定のタンパク質が溶解するタンパク質溶液から所定のタンパク質を捕捉して分離精製するようにしたが、これに限ることはなく、タンパク質捕捉材料10が有する連通孔を通過できる物質(気体、液体、ゾル、ゲルなど)であれば、タンパク質捕捉材料10は、その物質から所定のタンパク質を捕捉して分離精製することができる。
本発明のタンパク質捕捉材料の製造経路の一例を示す図である。 本発明のタンパク質捕捉用カートリッジの一例を示す図である。 液体クロマトグラフィーによって得られた、タンパク質溶液及び流出タンパク質溶液のクロマトグラム(a)、流出溶出液のクロマトグラム(b)を示す図である。 ポリアクリルアミドゲル電気泳動(SDS−PAGE)法によって得られたタンパク質溶液及び流出溶出液のバンドを示す図である。
符号の説明
1 基材
2 所定の官能基を有するグラフト高分子鎖
3,4 吸着用官能基を有するグラフト高分子鎖
5 金属イオン
10 タンパク質捕捉材料
20 カートリッジ
100 タンパク質捕捉用カートリッジ

Claims (12)

  1. 基材と、
    前記基材に結合されたグラフト高分子鎖と、
    前記グラフト高分子鎖に固定された、所定のタンパク質に親和性がある金属イオンと、
    を備え、
    前記所定のタンパク質と前記金属イオンとの親和性を利用して、当該所定のタンパク質を捕捉することを特徴とするタンパク質捕捉材料。
  2. 請求項1に記載のタンパク質捕捉材料において、
    前記金属イオンは、システイン、ヒスチジン及び/又はトリプトファンを備えるタンパク質と親和性があることを特徴とするタンパク質捕捉材料。
  3. 請求項1又は2に記載のタンパク質捕捉材料において、
    前記基材は、連通孔を有する多孔質体よりなるものであることを特徴とするタンパク質捕捉材料。
  4. 請求項3に記載のタンパク質捕捉材料において、
    前記基材は、厚さが1〜10mm、前記連通孔の平均細孔径が0.5〜5μm及び前記連通孔の体積分率が70〜85%のシート状のものであることを特徴とするタンパク質捕捉材料。
  5. 請求項1〜4の何れか一項に記載のタンパク質捕捉材料において、
    前記グラフト高分子鎖は、前記基材の表面部に結合されており、前記基材の内部には非結合されていることを特徴とするタンパク質捕捉材料。
  6. 請求項1〜5の何れか一項に記載のタンパク質捕捉材料において、
    前記基材は、ポリオレフィンから構成されたものであることを特徴とするタンパク質捕捉材料。
  7. 請求項1〜6の何れか一項に記載のタンパク質捕捉材料をカートリッジに充填して構成されていることを特徴とするタンパク質捕捉用カートリッジ。
  8. 請求項1〜6の何れか一項に記載のタンパク質捕捉材料の製造方法において、
    前記基材に電離放射線を照射する照射ステップと、
    次いで、所定の官能基を有する重合性単量体を前記基材にグラフト重合することによって、当該所定の官能基を有するグラフト高分子鎖を当該基材に結合させるグラフト重合ステップと、
    次いで、前記所定の官能基の少なくとも一部を、前記金属イオンを吸着するための吸着用官能基に変換することによって、当該所定の官能基を有するグラフト高分子鎖を、当該吸着用官能基を有するグラフト高分子鎖に変換する変換ステップと、
    次いで、前記吸着用官能基に前記金属イオンを吸着させることによって、当該金属イオンを前記基材に結合されたグラフト高分子鎖に固定する固定ステップと、
    を備えることを特徴とする製造方法。
  9. 請求項1〜6の何れか一項に記載のタンパク質捕捉材料の製造方法において、
    前記基材と所定の官能基を有する重合性単量体とを共存させた状態で、当該基材に電離放射線を照射し、当該所定の官能基を有する重合性単量体を当該基材にグラフト重合することによって、当該所定の官能基を有するグラフト高分子鎖を当該基材に結合させる照射・グラフト重合ステップと、
    次いで、前記所定の官能基の少なくとも一部を、前記金属イオンを吸着するための吸着用官能基に変換することによって、当該所定の官能基を有するグラフト高分子鎖を、当該吸着用官能基を有するグラフト高分子鎖に変換する変換ステップと、
    次いで、前記吸着用官能基に前記金属イオンを吸着させることによって、当該金属イオンを前記基材に結合されたグラフト高分子鎖に固定する固定ステップと、
    を備えることを特徴とする製造方法。
  10. 請求項8又は9に記載の製造方法において、
    前記グラフト高分子鎖が有する前記所定の官能基を、親水性官能基に変換することによって、前記基材に結合されたグラフト高分子鎖を親水化する親水化ステップを備えることを特徴とする製造方法。
  11. 請求項1〜6の何れか一項に記載のタンパク質捕捉材料の製造方法において、
    前記基材に電離放射線を照射する照射ステップと、
    次いで、前記金属イオンを吸着するための吸着用官能基を有する重合性単量体を前記基材にグラフト重合することによって、当該吸着用官能基を有するグラフト高分子鎖を当該基材に結合させるグラフト重合ステップと、
    次いで、前記吸着用官能基に前記金属イオンを吸着させることによって、当該金属イオンを前記基材に結合されたグラフト高分子鎖に固定する固定ステップと、
    を備えることを特徴とする製造方法。
  12. 請求項1〜6の何れか一項に記載のタンパク質捕捉材料の製造方法において、
    前記基材と前記金属イオンを吸着するための吸着用官能基を有する重合性単量体とを共存させた状態で、当該基材に電離放射線を照射し、当該吸着用官能基を有する重合性単量体を当該基材にグラフト重合することによって、当該吸着用官能基を有するグラフト高分子鎖を当該基材に結合させる照射・グラフト重合ステップと、
    次いで、前記吸着用官能基に前記金属イオンを吸着させることによって、当該金属イオンを前記基材に結合されたグラフト高分子鎖に固定する固定ステップと、
    を備えることを特徴とする製造方法。
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