JP4189167B2 - 多孔性中空糸膜及び該多孔性中空糸膜による有機ゲルマニウム化合物の回収方法 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明はキレート形成能を有する多孔性中空糸膜及び該多孔性中空糸膜による有機ゲルマニウム化合物の回収方法に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
ゲルマニウムは、光ファイバーや太陽電池等のいわゆるハイテク産業用の材料開発に、又、ポリエチレンテレフタレート樹脂の重合促進触媒や、更には、生理活性物質の製造のための原料として、様々な分野における不可欠な元素である。
【0003】
特に最近になって、ゲルマニウムの供給がその需要に追いつかず、需要−供給がアンバランスな状態が続くために問題視されているが、我国ではゲルマニウムの供給はそのほとんどを輸入に依存しているため、従来は廃棄されるに任されていたゲルマニウムを何らかの手段で回収することができれば、需要−供給のバランスが改善されると共に、資源の再利用の観点からも好ましい。
【0004】
上記のような観点から、本願の出願人は酸化ゲルマニウムの回収に重点を置いた回収方法を提案し、すでに特許出願をしている(特開平4−360343号公報参照)。
【0005】
上記特許出願に係る発明は、例えば、以下のような構造
【化4】
を固定したキレート形成能を有する多孔性中空糸膜に対し、酸化ゲルマニウムを含有する水溶液を接触させることにより、該水溶液中の酸化ゲルマニウムを、前記多孔性中空糸膜と酸化ゲルマニウムにより以下のような構造
【化5】
のキレートを形成させることにより補収し、その後、酸性溶液により前記補収された酸化ゲルマニウムを溶出することを特徴としている。
【0006】
一方、ゲルマニウム化合物としては無機化合物である上記の酸化ゲルマニウムばかりでなく、有機ゲルマニウム化合物のその多くの種類が合成されると共に、種々の生理活性を示すことが報告されており、例えば式
(GeCH2CH2COOH)2O3
で表される化合物については、抗腫瘍作用や、抗酸化作用をはじめ多くの生理活性を示すことが報告されている。
【0007】
上記有機ゲルマニウム化合物については、水中では以下の式
(OH)3GeCH2CH2COOH
で表されるトリヒドロキシゲルミルプロピオン酸の構造をとっていることがわかっているので、上記酸化ゲルマニウムの場合と同様に、上記のような構造を固定したキレート形成能を有する多孔性中空糸膜に対し、その水溶液を接触させることにより上記のような構造のキレートを形成させて補収し、その後に補収された有機ゲルマニウム化合物を溶出すれば、酸化ゲルマニウムと同様に回収することができるように考えられる。
【0008】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、実際に上記のような構造を固定したキレート形成能を有する多孔性中空糸膜に対し、上記有機ゲルマニウム化合物の水溶液を接触させてみても、対応するキレートを収率良く安定に得ることはできなかった。
【0009】
有機ゲルマニウム化合物は、それ自体で触媒として使用されたり、或いは、各種用途のゲルマニウムの原料となる酸化ゲルマニウムを原料として多くの時間と費用を投じて合成されているものであるから、酸化ゲルマニウムの場合以上に、効率的且つ有効な回収方法の提案が必要であるが、実際にはそのような回収方法は提案されておらず、その開発が望まれていた。
【0010】
本発明は、上記のような従来技術の問題点を解決し、従来の方法では必ずしも効率的に回収されていなかった有機ゲルマニウム化合物を効率的且つ有効に回収することのできる多孔性中空糸膜、及び、この多孔性中空糸膜による有機ゲルマニウム化合物の効率的且つ有効な回収方法を提供することを目的とする。
【0011】
【課題を解決するための手段】
上記目的を達成するために本発明が採用した多孔性中空糸膜の構成は、ポリエチレン製多孔性中空糸膜の表面に放射線グラフト重合されたエポキシ基を含有する化合物の残基と、該残基と反応して式
【化6】
(式中、R1は炭素数1〜4の低級アルキル基を、R2は水素原子又は炭素数1〜4の低級アルキル基を、R3は水素原子、炭素数1〜4の低級アルキル基又はCH2−OHをそれぞれ示す。)
で表される構造を含む残基を与える化合物とを反応させて得られることを特徴とするものであり、同様に本発明が採用した多孔性中空糸膜による有機ゲルマニウム化合物の回収方法の構成は、このキレート形成能を有する多孔性中空糸膜に対し、有機ゲルマニウム化合物を含有する水溶液を接触させることにより、該水溶液中の有機ゲルマニウム化合物を、前記キレート形成能を有する多孔性中空糸膜で補収し、その後、酸性溶液により前記補収された有機ゲルマニウム化合物を溶出することを特徴とするものである。
【0012】
【発明の実施の態様】
以下に本発明を詳細に説明する。
【0013】
本発明で使用するポリエチレン製の多孔性中空糸膜とは、ポリエチレンにより製造された中が空の糸である中空糸膜(中空糸或いは中空線維とも呼ばれる)に対し、中から外に通ずる孔が多数設けられたものであり、抽出法或いは延伸法により製造されるが、市販品を利用することが簡便である。
【0014】
本発明のキレート形成能を有する多孔性中空糸膜を製造するには、上記ポリエチレン製の多孔性中空糸膜の表面に、エポキシ基を含有する化合物を重合するのであり、この重合反応は放射線グラフト重合により行われる。
【0015】
上記放射線グラフト重合は、電子線やγ線等の放射線により、ポリエチレンラジカルを発生させ、これとモノマー(本発明でいうエポキシ基を含有する化合物)を反応させるものである。
【0016】
上記エポキシ基を含有する化合物としては、例えば、グリシジルメタクリレートを挙げることができ、これを上記ポリエチレン製の多孔性中空糸膜の表面に放射線グラフト重合した場合、以下のような構造のエポキシ基を含有する化合物の残基を有するポリエチレン製の多孔性中空糸膜を得ることができる。
【化7】
【0017】
尚、上記エポキシ基を含有する化合物の使用量としては、例えば、グリシジルメタクリレートの場合、得られる多孔性中空糸膜1Kg当たりのエポキシ基量が4.0モル程度となる量を挙げることができる、尚、エポキシ基を含有する化合物の使用量により、得られる多孔性中空糸膜のエポキシ基量を調整することができる。
【0018】
尚、上記エポキシ基を有する化合物の多孔性中空糸膜へのグラフト重合は、ジオキサン/水の混合溶媒中で行うことが、後述するエポキシ基からキレート形成基への転化率の点から好ましく、ジオキサンの体積比が増すと、この転化率も向上する。これは、グラフト重合された多孔性中空糸膜がジオキサンにより膨潤するためと推測される。
【0019】
次いで、上記エポキシ基を含有する化合物の残基を有するポリエチレン製の多孔性中空糸膜の、上記エポキシ基を含有する化合物の残基と反応して式
【化8】
で表される構造を含む残基を与える化合物とを反応させて、本発明のキレート形成能を有する多孔性中空糸膜を得るのである。
【0020】
上記式中のR1はメチル基、エチル基、プロピル基やブチル基等の低級アルキル基を、R2は水素原子又はR1と同様の低級アルキル基を、R3は水素原子、R1と同様の低級アルキル基又はCH2−OHを示している。尚、R2及びR3はその少なくとも一方がR1と同様の低級アルキル基であることが好ましい。
【0021】
上記本発明の多孔性中空糸膜を得るために使用する化合物としては、上記式で表される構造を含む残基を与える化合物であれば特に限定されないが、例えば、式
【化9】
で表される(3−ヒドロキシ−2−エチル)エチル−3'−ヒドロキシプロピルアミンや、式
【化10】
で表される(3−ヒドロキシ−2−メチル)エチル−3'−ヒドロキシプロピルアミン、更には式
【化11】
で表される(3−ヒドロキシ−2−メチル)エチル−3'−ヒドロキシ−3'−メチルプロピルアミンや、式
【化12】
で表される(3−ヒドロキシ−2−メチル)エチル−3',4'−ジヒドロキシプロピルアミン等を挙げることができる。
【0022】
本発明の多孔性中空糸膜を得るために使用する化合物として(3−ヒドロキシ−2−エチル)エチル−3'−ヒドロキシプロピルアミンを使用した場合、本発明のキレート形成能を有する多孔性中空糸膜は、
【化13】
のような構造をとり、(3−ヒドロキシ−2−メチル)エチル−3'−ヒドロキシプロピルアミンを使用した場合は、
【化14】
のような構造をとり、更に(3−ヒドロキシ−2−メチル)エチル−3'−ヒドロキシ−3'−メチルプロピルアミンを使用した場合は、
【化15】
のような構造をとり、(3−ヒドロキシ−2−メチル)エチル−3',4'−ジヒドロキシプロピルアミンを使用した場合は
【化16】
のような構造をとることになる。
【0023】
上記本発明の多孔性中空糸膜を得る際の製造条件としては、例えば、上記エポキシ基を含有する化合物の残基を有するポリエチレン製の多孔性中空糸膜を、上記多孔性中空糸膜を得るために使用する化合物の溶液に浸漬し、多孔性中空糸膜のエポキシ基に多孔性中空糸膜を得るために使用する化合物を付加すればよい。尚、第1の多孔性中空糸膜を得るために使用する化合物の使用量により、得られる多孔性中空糸膜のキレート形成能を有する構造の量を調整することができる。
【0024】
尚、本発明のキレート形成能を有する多孔性中空糸膜は、上記有機ゲルマニウム化合物に対しては、以下に示すようなゲルマトラン構造を形成することにより、これを補収するものである。
【化17】
【0025】
尚、本発明のキレート形成能を有する多孔性中空糸膜により回収される有機ゲルマニウム化合物は、上記例示した化合物に限定されることはなく、例えば一般式
【化18】
で表され、置換基R4乃至R6と酸素官能基OXとを有するプロピオン酸誘導体とゲルマニウム原子とが結合したゲルミルプロピオン酸を基本骨格とし、当該基本骨格におけるゲルマニウム原子と酸素原子とが2:3の割合で結合した化合物をその対象とすることができる。
【0026】
上記式中のR4乃至R6は水素原子又は同一或いは異なるメチル基、エチル基等の低級アルキル基又は置換若しくは無置換のフェニル基を、Xは水酸基、O−低級アルキル基、アミノ基又はOYで表される塩(Yはナトリウム、カリウム等の金属又はリゾチーム、塩基性アミノ酸等の塩基性基を有する化合物を示す)をそれぞれ示している。
【0027】
上記構造の有機ゲルマニウム化合物はすでに公知の化合物であり、様々な方法により製造することができるが、その一例を示せば、式
【化19】
に示すようなトリクロルゲルミルプロピオン酸等の、対応するトリハロゲルミルプロピオン酸を加水分解すれば良い。
【0028】
尚、上記有機ゲルマニウム化合物を表わす式は、それを結晶として単離した状態に相当するもので、すでに説明をしたように水溶液中ではゲルマニウム−酸素結合が加水分解を受け、対応するとりヒドロキシ構造をとることがわかっており、更に、上記有機ゲルマニウム化合物は以下の式で表すこともできる。
【化20】
【0029】
以上のようにして得られた本発明のキレート形成能を有する多孔性中空糸膜により有機ゲルマニウム化合物を回収するには、まず、有機ゲルマニウム化合物を含有する水溶液を接触させることにより、該水溶液中の有機ゲルマニウム化合物を、前記キレート形成能を有する多孔性中空糸膜で補収すればよいが、具体的には、例えば有機ゲルマニウム化合物を含有する水溶液を、本発明のキレート形成能を有する多孔性中空糸膜の内面から外面にかけて透過させればよい。
【0030】
有機ゲルマニウム化合物を含有する水溶液を多孔性中空糸膜の内面から外面にかけて透過させる際の条件としては、例えば、水酸化ナトリウムでpHを3〜12に調整した0.01wt%有機ゲルマニウム化合物水溶液を、一定圧力及び一定温度で透過必要に応じ、水による洗浄操作を行えばよい。
【0031】
上記のように、有機ゲルマニウム化合物を含有する水溶液を多孔性中空糸膜の内面から外面にかけて透過させることにより、有機ゲルマニウム化合物は上記ゲルマトラン構造を、従来の多孔性中空糸膜を使用した場合とは異なって安定的にとり、これにより本発明のキレート形成能を有する多孔性中空糸膜で補収される。尚、この際に多孔性中空糸膜を酸又はアルカリにより前処理しておくことが好ましく、酸による前処理がより好ましい。
【0032】
最終的に、酸性溶液により前記補収された有機ゲルマニウム化合物を溶出することにより、有機ゲルマニウム化合物を含有する水溶液から当該有機ゲルマニウム化合物を回収するのであるが、この際の酸性溶液としては、例えば1M程度の濃度の塩酸を挙げることができる。
【0033】
尚、酸性溶液により前記補収された有機ゲルマニウム化合物を溶出するには、例えば補収する場合と同様に、酸性溶液を多孔性中空糸膜の内面から外面にかけて透過させればよい。
【0034】
【発明の効果】
本発明のキレート形成能を有する多孔性中空糸膜は、上記のようなキレート形成能を有する官能基を有しているので、従来の多孔性中空糸膜を使用した場合とは異なり、高い効率で有機ゲルマニウム化合物を吸着することができる。
【0035】
又、本発明のキレート形成能を有する多孔性中空糸膜に吸着された有機ゲルマニウム化合物は、酸処理をすることにより、溶出率ほぼ100%で回収することができ、吸脱着の繰り返し使用が可能である。
【0036】
【実施例】
以下に本発明を実施例により更に詳細に説明する。
【0037】
1.キレート形成能を有する多孔性中空糸膜の作成
長さ10cmのポリエチレン製多孔性中空糸膜(内径1.8mm、外径3.1mm、細孔径0.3μm、空孔率70%)に、窒素雰囲気下、室温で電子線を20分間で200KGy照射した。加速電圧は1.5MeV、加速電流は1mAであった。その後、真空としたグラフト重合用ガラス製リアクター内において、10v/v%のグリシジルメタクリレートのメタノール溶液に投入し、40℃で10〜20分間グリシジルメタクリレートをグラフト重合した。中空糸膜をDMF中に浸けてホモポリマーを除去した後、減圧乾燥した。又、以下の式によりグラフト率を求めた。
グラフト率(%)=(グラフト鎖の重量)/(中空糸膜の重量)×100
【0038】
次いで、上記のように放射線グラフト重合した中空糸膜(以下GMA膜という)と(3−ヒドロキシ−2−エチル)エチル−3'−ヒドロキシプロピルアミンとを水溶液中、80℃で24時間反応させ、(3−ヒドロキシ−2−エチル)エチル−3'−ヒドロキシプロピルアミンを付加させた膜(以下BAIPA膜という)を作成し、同様にして(3−ヒドロキシ−2−メチル)エチル−3'−ヒドロキシプロピルアミンを付加させた膜(以下PAIPA膜という)、(3−ヒドロキシ−2−メチル)エチル−3'−ヒドロキシ−3'−メチルプロピルアミンを付加させた膜(以下PATBA膜という)、及び、(3−ヒドロキシ−2−メチル)エチル−3',4'−ジヒドロキシプロピルアミンを付加させた膜を(以下THDPA膜という)作成した。
【0039】
比較のために、上記と同様にしてジエタノールアミンを付加させた膜(以下DEtA膜という)を作成した。
【0040】
2.キレート形成能を有する多孔性中空糸膜の構造の確認
これら膜の構造をIRスペクトルから確認した。即ち、GMA膜からBAIPA膜、PAIPA膜、PATBA膜、THDPA膜及びDEtA膜に変換することによって、847、909cm-1のエポキシ逆対象環伸縮振動の吸収が消失して、3000〜3500cm-1に水酸基の伸縮振動に基づく吸収が新たに出現した。
【0041】
3.キレート形成能を有する多孔性中空糸膜への有機ゲルマニウム化合物の吸着上記のようにして製造した4種類のキレート形成能を有する多孔性中空糸膜(BAIPA膜、PAIPA膜、PATBA膜、及びDEtA膜)を1M水酸化ナトリウム、1M塩酸及び水の順で透過して前処理をし、その内面から外面にかけて、0.5g/Lの有機ゲルマニウム化合物(式
(GeCH2CH2COOH)2O3
で表される化合物[以下同様である。])の水溶液(pH3.5〜11.5)を、一定圧力下(0.05MPa)で透過させた膜の外面からの流出液中の有機ゲルマニウム化合物の濃度をキャピラリー電気泳動によって定量した。流出液量と流出液中の有機ゲルマニウム化合物の濃度との関係から平衡吸着量を算出し、その後、1Mの塩酸で吸着された有機ゲルマニウム化合物を溶出させた。尚、吸着、溶出は室温で行った。
【0042】
4.結果
上記の結果を以下の表1にまとめた。
【表1】
【0043】
又、図1にPAIPA膜を使用した場合の溶出曲線を、図2にPATBA膜を使用した場合の溶出曲線を示した。尚、図中の「DEV」は透過液量/膜体積(但し、中空部を除く)を示している。
【0044】
又、すべての多孔性中空糸膜の溶出率がほぼ100%であり、吸脱着の繰り返し使用が可能であることがわかった。
【0045】
5.キレート形成能を有する多孔性中空糸膜の作成における溶媒の影響
更に、本発明の多孔性中空糸膜の作成における溶媒の影響を検討するため、ジオキサン/水混合溶媒を、その体積比を変えて数種準備し、GMA膜に対する(3−ヒドロキシ−2−メチル)エチル−3’−ヒドロキシプロピルアミン及び(3−ヒドロキシ−2−メチル)エチル−3',4'−ジヒドロキシプロピルアミンの付加を、この混合溶媒中で上記と同様にして行い、それぞれのジオキサン体積比に対応するPAIPA膜(2)及びTHDPA膜(2)を得た。GMA膜の膨潤率、及び、エポキシ基からキレート形成基へのモル転化率を図3に示す。図3から明らかなように、ジオキサンの体積比が増すと、GMA膜の膨潤率も上昇し、モル転化率も向上することがわかる。
【0046】
又、THDPA膜(2)に、上記と同様に有機ゲルマニウムの水溶液を透過させた場合の破過曲線を図4に、PAIPA膜(2)及びTHDPA膜(2)の結合モル比とジオキサン体積比との関係を図5に、更に詳細な結果を表2に示す。尚、いずれの場合も、有機ゲルマニウムの水溶液を透過させる前に、膜は1M水酸化ナトリウム溶液、1M塩酸及び水の順で透過させ、前処理をした。図4及び5から明らかなように、いずれもジオキサン体積比が0.4付近である場合に最も良い結果を示した。理由については明らかではないが、何らかの立体障害的なものと推測される。
【0047】
【表2】
【0048】
6.多孔性中空糸膜への有機ゲルマニウム化合物の吸着における前処理の影響更に、有機ゲルマニウム化合物の吸着における前処理の影響を検討するために、ジオキサン体積比が0である上記PAIPA膜(2)を使用し、以下のような条件で前処理をし、上記と同様に有機ゲルマニウム化合物を吸着、溶出させた。
前処理(a) 1M水酸化ナトリウム溶液、1M塩酸及び水の順
前処理(b) 1M塩酸、1M水酸化ナトリウム溶液及び水の順
前処理(c) 1M水酸化ナトリウム溶液及び水の順
前処理(d) 1M塩酸及び水の順
結果を以下の表3に示す。
【0049】
【表3】
表3に明らかなように、塩酸で前処理をすることが、簡便且つ吸着量の面から有利であることが分かった。
【0050】
【発明の効果】
以上のように、本発明のキレート形成能を有する多孔性中空糸膜は、従来のキレート形成能を有する多孔性中空糸膜と異なり、効率よく有機ゲルマニウム化合物を吸着することができるものであり、又、この多孔性中空糸膜をモジュール化することにより、有機ゲルマニウム化合物の回収をすばやく、大量に、繰り返し行うことができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】PAIPA膜を使用した場合の溶出曲線示すグラフである。
【図2】PATBA膜を使用した場合の溶出曲線示すグラフである。
【図3】GMA膜の膨潤率と、PAIPA膜及びTHDPA膜のモル転化率と、ジオキサンの体積比との関係を示すグラフである。
【図4】THDPA膜により吸着の破過曲線を示すグラフである。
【図5】PAIPA膜及びDHDPA膜の結合モル比と、ジオキサンの体積比の関係を示すグラフである。
Claims (7)
- 放射線グラフト重合されるエポキシ基を含有する化合物がグリシジルメタクリレートである請求項1に記載のキレート形成能を有する多孔性中空糸膜。
- エポキシ基を有する化合物が、ジオキサン/水混合溶媒を用いて放射線グラフト重合された、請求項1又は2に記載のキレート形成能を有する多孔性中空糸膜。
- ジオキサン/水混合溶媒が、ジオキサン:水(体積比)=10:4のものである請求項3に記載のキレート形成能を有する多孔性中空糸膜。
- ポリエチレン製多孔性中空糸膜の表面に放射線グラフト重合されたエポキシ基を含有する化合物の残基と、該残基と反応して式
で表される構造を含む残基を与える化合物とを反応させて得られるキレート形成能を有する多孔性中空糸膜に対し、有機ゲルマニウム化合物を含有する水溶液を接触させることにより、該水溶液中の有機ゲルマニウム化合物を、前記キレート形成能を有する多孔性中空糸膜で補収し、その後、酸性溶液により前記補収された有機ゲルマニウム化合物を溶出することを特徴とする、キレート形成能を有する多孔性中空糸膜による有機ゲルマニウム化合物の回収方法。 - キレート成形能を有する多孔性中空糸膜を塩酸で処理した後、有機ゲルマニウム化合物を含有する水溶液と接触させる請求項6に記載のキレート形成能を有する多孔性中空糸膜による有機ゲルマニウム化合物の回収方法。
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