JP4498183B2 - 塩化水素ガス吸収材および塩化水素ガスの除去方法 - Google Patents
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Description
H3ClO+NaOH → NaCl+2H2O …(2)
NaCl+1/2Ca(OH)2→ 1/2CaCl2+NaOH …(3)
しかしながら、ソーダライムで塩化水素ガスを除去するには前記式(1)で示すように水分が必要である。その結果、塩化水素ガスを含む被処理ガスがドライエッチングガスのような乾燥したガスである場合には、吸収反応場の水分が蒸発してしまうため、ソーダライムによりドライエッチングガスに含まれる塩化水素ガスを吸収、除去することは困難になる。
本発明は、乾燥した被処理ガス中の塩化水素ガスを効率よく吸収、除去する塩化水素ガスの除去方法を提供する。
前記リチウム複合酸化物は、市販品を用いてもよいし、または特開平11−90219号公報に開示されているように酸化ケイ素、酸化ジルコニウム、酸化鉄、酸化ニッケル、酸化チタン、酸化アルミニウムから選ばれる金属酸化物粉末と、炭酸リチウム粉末とを反応させることで製造することもできる。リチウム複合酸化物は、室温で二酸化炭素と反応する虞がある。特に、特開2003−126688に開示されているようにリチウムシリケートは二酸化炭素との反応速度が速いため、製造されたリチウム複合酸化物は密閉容器などの二酸化炭素を除去した雰囲気中で保存することが望ましい。
Li2SiO3(s)+2HCl→2LiCl(s)+SiO2(s)+H2O …(5)
Li2ZrO3(s)+2HCl→2LiCl(s)+ZrO2(s)+H2O …(6)
2LiFeO2(s)+2HCl→2LiCl(s)+Fe2O3(s)+H2O…(7)
2LiNiO2(s)+2HCl→2LiCl(s)+Ni2O3(s)+H2O…(8)
Li2TiO3(s)+2HCl→2LiCl(s)+TiO2(s)+H2O …(9)
2LiAlO2(s)+2HCl→2LiCl(s)+Al2O3(s)+H2O …(10)
前記リチウム複合酸化物は、この塩化水素ガスを含む乾燥状態の被処理ガスに対して前記式に従ってその塩化水素ガスを効率よく吸収することが可能である。
なお、リチウムシリケートは、式(4)、(5)で示すように2種類あるが、式(4)で示したリチウムシリケート(Li4SiO4)は、式(5)〜(10)で示すリチウム複合酸化物に比べて理論的に2倍(モル比)の塩化水素ガスを回収することが可能である。このため、リチウムシリケート(Li4SiO4)は塩化水素ガスの吸収に好適である。
このような塩化水素ガスの反応、吸収過程において、リチウム複合酸化物を含む吸収材が泥状になり、さらに液状化を防ぐために前述のように吸水性物質をリチウム複合酸化物に並存させることによって、比較的乾燥した状態で塩化水素ガスの吸収効率を向上できることを発見した。このような吸水性物質の並存は、吸収材内部を適切な乾燥状態に保ち、余剰の水分を減少させることができために吸収材が泥状、さらに液状になるのを防止して、その形状を維持することが可能になる。
前記吸水性物質は、有機物でも無機物でもよい。有機系吸水性物質としては、例えばポリアクリル酸エステル、ポリアルキレンオキサイド、アルキルセルロースエーテル等を挙げることができる。また、無機系吸水性物質としては例えばゼオライトやシリカゲル等を挙げることができる。
転動法は、例えば平均粒径0.1〜20μmのリチウム複合酸化物粉末と吸水性物質を混合し、傾斜回転皿上で回転させながら液体を加える方法で、これによって平均粒径50μm〜3mmの粒状(球状)の塩化水素ガス吸収材を得ることができる。
リチウム複合酸化物および吸水性物質を含む塩化水素ガス吸収材に塩化水素ガスを含む乾燥した被処理ガスを接触させることにより、前記リチウム複合酸化物が被処理ガス中の塩化水素ガスと前述した式(4)〜式(10)に従って反応して吸収する。このときの反応は、水を必要としないため、乾燥した被処理ガスからハロゲン含有ガスを効率よく吸収、除去することが可能になる。
また、リチウム複合酸化物および吸水性物質を含む塩化水素ガス吸収材は塩化水素ガスの吸収過程で泥状、液状化するのを抑えて被処理ガスをその吸収材(例えば粒状の吸収材)における個々の粒子間に良好に流通させることができ、塩化水素ガスを効率よく吸収して除去することが可能になる。特に、塩化水素ガス吸収材において、使用時の含水量を40重量%以下にすることによって、吸収材の泥状、液状化を防止して被処理ガスをその吸収材(例えば粒状の吸収材)における個々の粒子間に良好に流通させることができ、塩化水素ガスをより一層効率よく吸収して除去することが可能になる。
このような塩化水素ガスの除去は、例えば図1に示す反応器が用いられる。この反応器1は、両端にフランジ2a,2bを有する円筒状本体3と、この本体3の一端(上端)のフランジ2aに当接され、ガス導入管4を有する上部円板状蓋体5と、前記本体3の他端(下端)のフランジ2bに当接され、ガス排出管6を有する下部円板状蓋体7とを備えている。前記円筒状本体3のフランジ2a,2bには、複数のボルト挿通穴(図示せず)が開口され、前記各円板状蓋体5、7にもこれら挿通穴に対応してボルト挿通穴(図示せず)が開口され、円筒状本体3上端のフランジ2aと上部円板状蓋体5の合致したボルト挿通穴、および円筒状本体3下端のフランジ2bと下部円板状蓋体7の合致したボルト挿通穴にボルトをそれぞれ挿入し、ナットで締め付けることによって、各円板状蓋体5、7が円筒状本体3に固定される。前記上部円板状蓋体5におけるガス導入管4の開口部および前記下部円板状蓋体7におけるガス排出管6の開口部には、メッシュ8,9がそれぞれ取り付けられている。
このような図1に示す反応器1において、上部円板状蓋体5を円筒状本体3から外して、下部円板状蓋体7を有する円筒状本体3内にリチウム複合酸化物および吸水性物質を含む例えば粒状の塩化水素ガス吸収材10を充填した後、再び上部円板状蓋体5を円筒状本体3に取り付ける。つづいて、塩化水素ガスを含む乾燥した被処理ガスを上部円板状蓋体5のガス導入管4を通して円筒状本体3内に充填された粒状の塩化水素ガス吸収材10を流通、接触させ、吸収材10中のリチウム複合酸化物を被処理ガス中の塩化水素ガスと前述した式(4)〜式(10)に従って反応させて吸収する。吸収材10と反応させた後の被処理ガスは、下部円板状蓋体7のガス排出管6を通して排出される。
前記被処理ガスは、任意の量の塩化水素ガス、例えば0.5〜10%の塩化水素ガスを含むガスを用いることができる。
前記乾燥した被処理ガスは、積極的に含水率を低減させたガスに限らず、例えば水分量が0.5%以下、場合によって0.1%以下含むものである。このような水分量の乾燥した被処理ガスとしては、例えば洗浄工程後の廃ガスとして排出される塩化水素ガスおよび窒素のような不活性ガスを含む乾燥した洗浄ガス等を挙げることができる。
本実施形態に係る塩化水素ガスの除去方法において、吸収材中のリチウム複合酸化物が塩化水素ガスと前述した式(4)〜式(10)に従って反応し、塩化リチウムとシリコン酸化物のような酸化物に変換されると、反応系(例えば反応器)から取り出されて廃棄される。この反応器からの取出しにおいて、吸収材がその中の吸水性物質による泥状、液状化を防止してその形状(例えば粒状)を維持することが可能であるため、取り出し操作を簡便化できる。すなわち、塩化水素ガスと反応、吸収することにより変換された吸収材が泥状、液状化されると、反応器の内面に付着して、取り出しが煩雑になり、しかも面倒なメンテナンスを強いられる。本実施形態に係る塩化水素ガスの除去方法において、塩化水素ガス吸収材(特に吸水性物質をリチウム複合酸化物に対して0.1〜30重量%の量で含有させた塩化水素ガス吸収材)は充填時の形状(例えば粒状)を維持できるため、取り出し操作を簡便化で、面倒なメンテナンス作業を回避することが可能になる。
以下、本発明の実施例を説明する。
(実施例1)
平均粒径1μmの金属酸化物(酸化ケイ素)粉末と平均粒径1μmの炭酸リチウム粉末とを1:2のモル比で混合して混合粉末を得た。この混合粉末を大気中900℃で焼成して平均粒径1μmのリチウムシリケート(Li4SiO4)粉末を生成した。
実施例1と同様なリチウムシリケート粉末とポリアルキレンオキサイドを1:0.25の重量比で混合した以外、実施例1と同様な方法で500μmの粒状塩化水素ガス吸収材を得た。得られた吸収材を実施例1と同様な方法で含水量を分析したところ、17重量%であった。
実施例1と同様なリチウムシリケート粉末とゼオライト粉末を1:0.1の重量比で混合した以外、実施例1と同様な方法で500μmの粒状塩化水素ガス吸収材を得た。得られた吸収材を実施例1と同様な方法で含水量を分析したところ、10重量%であった。
実施例1と同様なリチウムシリケート粉末とポリアルキレンオキサイドを1:0.0005の重量比で混合した以外、実施例1と同様な方法で500μmの粒状塩化水素ガス吸収材を得た。得られた吸収材を実施例1と同様な方法で含水量を分析したところ、10重量%であった。
実施例1と同様なリチウムシリケート粉末とポリアルキレンオキサイドを1:0.40の重量比で混合した以外、実施例1と同様な方法で500μmの粒状塩化水素ガス吸収材を得た。得られた吸収材を実施例1と同様な方法で含水量を分析したところ、27重量%であった。
平均粒径1μmの金属酸化物(酸化ケイ素)粉末と平均粒径1μmの炭酸リチウム粉末とを1:2のモル比で混合して混合粉末を得た。この混合粉末を大気中900℃で焼成して平均粒径1μmのリチウムシリケート(Li4SiO4)粉末を生成した。
なお、ポリアルキレンオキサイド(吸水性物質)をリチウムシリケートに対して0.1重量%未満の量で含有させた実施例4の塩化水素ガス吸収材は、多少の泥状化が進んだために被処理ガスの流通後に反応器から吸収材を取り出し難く、面倒なメンテナンスを強いられた。
Claims (4)
- リチウムシリケートと、このリチウムシリケートと塩化水素ガスとの反応・吸収によって生成される水を吸水する吸水性物質とを含有し、前記吸水性物質が前記リチウムシリケートに対して0.1〜30重量%の量で含有され、かつ含水量が25重量%以下であることを特徴とする塩化水素ガス吸収材。
- リチウムシリケートと、このリチウムシリケートと塩化水素ガスとの反応・吸収によって生成される水を吸水する吸水性物質とを含有し、前記吸水性物質が前記リチウムシリケートに対して0.1〜30重量%の量で含有され、かつ含水量が25重量%以下である塩化水素ガス吸収材に塩化水素ガスを含む被処理ガスを接触させることを特徴とする塩化水素ガスの除去方法。
- 前記被処理ガスは、塩化水素ガスを0.5〜10%含むことを特徴とする請求項2記載の塩化水素ガスの除去方法。
- 前記被処理ガスは、洗浄工程後の廃ガスとして排出される塩化水素ガスおよび不活性ガスを含む乾燥した洗浄ガスであることを特徴とする請求項2の塩化水素ガスの除去方法。
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