JP4495901B2

JP4495901B2 - 口腔用剤用活性阻害剤

Info

Publication number: JP4495901B2
Application number: JP2002289863A
Authority: JP
Inventors: 進 ▲桧▼作; 真実藤末; 淳一安部
Original assignee: Nihon Starch Co Ltd
Current assignee: Sunus Co Ltd
Priority date: 2002-10-02
Filing date: 2002-10-02
Publication date: 2010-07-07
Anticipated expiration: 2022-10-02
Also published as: JP2004123604A

Description

【０００１】
【発明の属する技術分野】
本発明は、ストレプトコッカスミュータンス（Ｓｔｒｅｐｔｏｃｏｃｃｕｓｍｕｔａｎｓ）が生成するグリコシルトランスフェラーゼの口腔用剤用活性阻害剤に関する。
【０００２】
【従来の技術】
う触は虫歯菌すなわちＳｔｒｅｐｔｏｃｏｃｃｕｓｍｕｔａｎｓがグルコシルトランスフェラーゼ（ＧＴａｓｅ）を生成し、シュクロースを基質として不溶性、粘着性の多糖グルカンを形成することに起因することが知られている。すなわち、う触は、この多糖グルカンが虫歯菌と共に歯の表面に付着してプラークを形成し、プラークの中で、虫歯菌をはじめとする種々の細菌によって産生された有機酸の作用で歯表面のｐＨが低下し、エナメル質に脱灰が生じるために起こる。従って、う触を予防するためには、虫歯菌に資化されやすいシュクロースを低減すること、う触性の低い糖質に置換すること、あるいは抗う触作用を有する物質を配合する等の方法が考えられる。抗う触作用を有する物質には、天然物由来ではポリフェノール類などが挙げられるが、特有の苦味があり、添加量によっては食品などの風味が損なわれるといった問題があった。また、虫歯菌を殺菌・静菌させる方法も有効であるが、殺菌・静菌剤のなかには化学物質であり、食品に加えると食品等の風味の劣化に加えて大量に摂取するのが好ましくないものもあるといった問題があった。
【０００３】
【発明が解決しようとする課題】
本発明の目的は、虫歯菌のストレプトコッカスミュータンス（Ｓｔｒｅｐｔｏｃｏｃｃｕｓｍｕｔａｎｓ）が生成するグリコシルトランスフェラーゼの口腔用剤用活性阻害剤を提供することにある。
【０００５】
本発明のさらに他の目的および利点は、以下の説明から明らかになろう。
【０００６】
【課題を解決するための手段】
本発明によれば、本発明の上記目的および利点は、第１に、１，５−Ｄ−アンヒドロフルクトースを含有することを特徴とする、ストレプトコッカスミュータンス（Ｓｔｒｅｐｔｏｃｏｃｃｕｓｍｕｔａｎｓ）が生成するグリコシルトランスフェラーゼの口腔用剤用活性阻害剤によって達成される。
【０００８】
【発明の好ましい実施態様】
本発明者の研究によれば、１，５−Ｄ−アンヒドロフルクトース（以下、ＡＦという）は、口腔内細菌による口臭、虫歯、歯周病を予防・改善するのに有効な、抗菌活性を有することが明らかにされた。すなわち、本発明者らはＡＦが口腔内の常在細菌であるＳｔｒｅｐｔｏｃｏｃｃｕｓｍｕｔａｎｓの生育を阻害する作用並びにＧｔａｓｅ活性を阻害する作用を有することを見出すとともに、ひいては、口腔内細菌の細菌数の減少、あるいは多糖合成を阻害し、結局は歯垢形成を抑制して虫歯を予防することを明らかにした。
【０００９】
本発明で用いられるＡＦは、それ自体公知の方法に従って澱粉に紅藻オゴノリから抽出したリアーゼを作用させることによって得られる。本発明者らは、紅藻オゴノリよりα−１，４−グルカンリアーゼを精製し、この酸素を澱粉に作用させ、１，５−Ｄ−アンヒドロフルクトースを合成した。この１，５−Ｄ−アンヒドロフルクトースを精製し純度９９％以上の１，５−Ｄ−アンヒドロフルクトースとして用いた。ＡＦは、加熱処理して使用することもできる。加熱処理条件としては、好ましくは５０〜１５０℃で１秒〜１００時間である。例えば、常圧下５０℃で１０分〜１００時間の処理あるいは９５℃で１分〜１０時間の処理、または高圧下１２０℃で１０秒〜２時間の処理あるいは１３０〜１５０℃で１秒〜３０分の処理を行うことができる。
【００１０】
本発明のＡＦを含有する活性阻害剤は例えば、口腔内清涼剤類、歯磨類、トローチ類、口腔洗浄剤類などの口腔用剤に直接添加して用いられる。
【００１１】
食品としては、例えば、チューインガム、チョコレート、アイスクリーム、キャラメル、キャンディー、クッキー、コーヒーゼリー、カスタードクリーム、水ようかん、カステラ、プリン等の和・洋菓子類、餡類、ジャム類、パン類、麺類、米類、コーヒー飲料、果汁飲料、炭酸飲料等の飲料類、チーズ類、発酵乳、乳酸菌飲料等の乳および乳製品、魚肉練り製品、食肉加工品、ソース、ドレッシング等の調味料類などを挙げることができる。
【００１２】
ＡＦの食品に対する配合割合は、食品の種類、保存方法、保存期間、保存環境等によって好適な範囲が異なるが、例えば食品１００重量部に対し０．００１〜１０重量部、好ましくは０．０１〜５重量部とすることができる。
【００１３】
以下、実施例により本発明を詳述する。本発明はこれらに何ら限定されるものではない。
【００１４】
【実施例】
参考例１ＡＦによるＳｔｒｅｐｔｏｃｏｃｃｕｓｍｕｔａｎｓの生育阻害
Ｓｔｒｅｐｔｏｃｏｃｃｕｓｍｕｔａｎｓ（ＩＦＯ１３９５５）をＬＢ培地５００ｍｌで３７℃で培養し、４時間おきに６００ｎｍの吸収を測定し、生育曲線をとった。ＬＢ培地の組成は１０ｇ／ｌＰｏｌｙｐｅｐｔｏｎ、５ｇ／ｌｙｅａｓｔｅｘｔｒａｃｔ、１０ｇ／ｌＮａＣｌ、ｐＨ７．０である。
【００１５】
試験区１．ＡＦを１％となるように添加したＬＢ培地
試験区２．ＡＦを添加しないＬＢ培地
【００１６】
図１．にこれらの結果を示した。試験区１．は試験区２．よりも６時間程度の菌の生育の遅れが見られ、ＡＦによってＳｔｒｅｐｔｏｃｏｃｃｕｓｍｕｔａｎｓが阻害されることがわかる。
【００１７】
実施例１ＡＦによるＧＴａｓｅ活性の阻害
Ｓｔｒｅｐｔｏｃｏｃｃｕｓｍｕｔａｎｓ（ＩＦＯ１３９５５）をＬＢ培地５００ｍｌで３７℃で培養し、遠心分離で菌体を除き、粗酵素溶液とした。この粗酵素溶液から、５０％飽和硫酸アンモニウム画分を回収、ｐＨ６．８リン酸緩衝液で透析を行い、これをＧＴａｓｅとした。酵素反応は、３７℃で１時間行い、酵素活性は反応液中に遊離してきたフルクト‐スを定量することによって評価した。
【００１８】
試験区１．シュクロース１０％、クリニカルデキストラン０．５％
試験区２．シュクロース１０％、クリニカルデキストラン０．５％＋ＡＦ０．５％
試験区３．シュクロース１０％、クリニカルデキストラン０．５％＋ＡＦ０．２５％
試験区４．シュクロース１０％、クリニカルデキストラン０．５％＋ＡＦ０．１％
【００１９】
この結果、試験区１．を１００としたとき、試験区２．は３６．７、試験区３．は６９．９、試験区４．は８５．６となり、ＡＦが有意にＧＴａｓｅ活性を阻害していることがわかる。
【図面の簡単な説明】
【図１】参考例１における、ＡＦによるＳｔｒｅｐｔｏｃｏｃｃｕｓｍｕｔａｎｓの生育阻害を示す、培養時間と濁度との関係である。
【符号の説明】
１試験区１
２試験区２

Claims

１，５−Ｄ−アンヒドロフルクトースを含有することを特徴とする、ストレプトコッカスミュータンス（Ｓｔｒｅｐｔｏｃｏｃｃｕｓｍｕｔａｎｓ）が生成するグリコシルトランスフェラーゼの口腔用剤用活性阻害剤。