JP2006306814A - 抗炎症剤 - Google Patents
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Abstract
【課題】 副作用が低減された安全で且つ優れた効果を示す抗炎症剤を提供すること。
【解決手段】 1,5−D−アンヒドロフルクトースおよび/または下記式(1)
G−(G)n−AF ・・・(1)
上式中、AFは1,5−D−アンヒドロフルクトース残基を表し、Gはグルコース残基を表し、nは0〜20の整数である、
を含有する抗炎症剤。
【選択図】なし
【解決手段】 1,5−D−アンヒドロフルクトースおよび/または下記式(1)
G−(G)n−AF ・・・(1)
上式中、AFは1,5−D−アンヒドロフルクトース残基を表し、Gはグルコース残基を表し、nは0〜20の整数である、
を含有する抗炎症剤。
【選択図】なし
Description
本発明は、医薬品、食品、飼料、化粧品等の様々な分野で使用することが可能な新規な抗炎症剤に関する。更に詳細には、1,5−D−アンヒドロフルクトースおよび/またはその誘導体を含有する抗炎症剤に関する。
1,5−D−アンヒドロフルクトース(以下、1,5−AFという)は、ある種の子嚢菌や紅藻由来の酵素であるα−1,4−グルカンリアーゼを澱粉あるいは澱粉分解物に作用させることで生産することができる。1,5−AFは、その分子間内に二重結合を有しており、他の単糖類と比較して反応性に富む糖である。
1,5−AFは抗酸化活性および抗菌活性を有することから、食品に安全に添加される抗酸化剤(特許文献1参照)、枯草菌および乳酸菌に特に有効な抗菌剤(特許文献2参照)としての用途が開示されている。また、この単糖は抗生物質ピロンミクロテシンの前駆体でもある(特許文献3参照)。
1,5−AFは抗酸化活性および抗菌活性を有することから、食品に安全に添加される抗酸化剤(特許文献1参照)、枯草菌および乳酸菌に特に有効な抗菌剤(特許文献2参照)としての用途が開示されている。また、この単糖は抗生物質ピロンミクロテシンの前駆体でもある(特許文献3参照)。
また、最近では、抗う蝕作用(特許文献4参照)、血糖降下作用(特許文献5参照)、血小板凝集抑制作用(特許文献6参照)についても報告されており、1,5−AFは、さらに機能性を持った健康食品あるいは医薬品等の様々な分野でもその利用が期待される糖質である。
さらに、1,5−AFを構成糖として含有する糖鎖(G−(G)n−AF)を製造する技術についても提案されている(特許文献7参照)。
さらに、1,5−AFを構成糖として含有する糖鎖(G−(G)n−AF)を製造する技術についても提案されている(特許文献7参照)。
現在、各種疾患によって誘起される炎症の治療には、抗炎症剤としてステロイド剤あるいは非ステロイド系抗炎症剤が使用されている。前者は各種疾患における諸症状を顕著に改善するが、投与し続けるにつれその効果は次第に低減し、また、様々な副作用を誘発する危険性があるなど、多くの問題点を有している。また、後者においては、炎症を一時的に抑制する程度のものである。従って、確実に炎症を抑制でき、且つ、安全で長期に使用され得る薬剤の開発が切望されている。
特表平9−505988号公報
特表2001−89377号公報
仏国特許出願公開第2617502号
特開2004−123604
特表2003−519660
WO2004/045628
特開2001−204490
本発明の目的は、1,5−AFを使用することで、副作用が低減された安全で且つ優れた抗炎症剤およびその利用法を提供することにある。
さらに本発明の他の目的および利点は、以下の説明から明らかになろう。
本発明者らは、1,5−AFの生理作用ついて、鋭意研究を重ねた結果、優れた抗炎症作用を示すことを見出し、本発明に到達した。
本発明によれば、本発明の上記目的および利点は、第1に、1,5−D−アンヒドロフルクトースおよび/または下記式(1)
G−(G)n−AF ・・・(1)
式中、AFは1,5−D−アンヒドロフルクトースを表し、Gはグルコース残基を表し、nは0〜20の整数である、
を含有することを特徴とする抗炎症剤または抗炎症組成物によって達成される。
G−(G)n−AF ・・・(1)
式中、AFは1,5−D−アンヒドロフルクトースを表し、Gはグルコース残基を表し、nは0〜20の整数である、
を含有することを特徴とする抗炎症剤または抗炎症組成物によって達成される。
本発明によれば、本発明の上記目的および利点は、第2に、炎症の予防もしくは治療を目的とする薬剤組成物あるいは機能性食品の調製のための上記化合物の使用によって達成される。
本発明によれば、本発明の上記目的および利点は、第3に、上記化合物を炎症症状を惹起している哺乳動物に投与することを特徴とする、炎症予防もしくは治療方法によって達成される。
すなわち、炎症症状を惹起している哺乳動物個体に上記化合物を適当量しかるべき方法で投与することにより、有意に炎症を抑制することが可能となる。
すなわち、炎症症状を惹起している哺乳動物個体に上記化合物を適当量しかるべき方法で投与することにより、有意に炎症を抑制することが可能となる。
1,5−AFおよび/またはその誘導体を炎症の予防あるいは治療のために使用することで、有意に炎症症状を緩和、抑制することが可能である。
本発明において使用される1,5−AFは、既に公知の方法例えば、特許文献1に記載の方法によって調製可能である。
また、前述式(1)で表される化合物は、特許文献7に記載の方法によって調製可能である。
また、前述式(1)で表される化合物は、特許文献7に記載の方法によって調製可能である。
本発明の抗炎症剤は、各種疾患によって惹起される炎症症状の予防もしくは治療を目的として使用することが可能である。炎症とは、有害刺激に対する生体組織の防御反応であり、その徴候は、発赤、発熱、疼痛、腫脹、機能障害等である。本発明は、上述の化合物が炎症を抑制しうることに基づくものであり、例えば、悪性腫瘍によって誘起される炎症や、その他の疾患によって惹き起こされる炎症症状の予防あるいは治療方法に関するものである。
本発明の抗炎症剤を使用しうる炎症症状としては、例えば、動脈硬化、慢性関節リウマチ、リウマチ熱、変形性関節症、強直性脊椎炎、関節周囲炎、結合織炎、歯痛、関節痛、痛風等によって惹起される発赤、発熱、疼痛、腫脹等が挙げられる。
本発明の抗炎症剤を使用しうる炎症症状としては、例えば、動脈硬化、慢性関節リウマチ、リウマチ熱、変形性関節症、強直性脊椎炎、関節周囲炎、結合織炎、歯痛、関節痛、痛風等によって惹起される発赤、発熱、疼痛、腫脹等が挙げられる。
本発明の抗炎症剤は、それ自体公知の種々の方法でその剤型に応じて投与することが可能であり、投与量、投与部位、投与する間隔、期間等は、患者の年齢や体重、病状あるいは他の薬剤や治療法と併用した場合などを考慮して決定することができる。投与方法としては、例えば、経口投与あるいは、注射や点滴などの方法によって静脈内や皮下、腹腔内など直接体内に投与する方法や局所投与あるいは外用とすることができ、特別に制限されない。
本発明における抗炎症剤の投与量は、その剤型、投与方法、あるいは予防もしくは治療しようとする症状により異なるが、例えば、体重1kgあたりの投与量として有効成分(1,5−AF)換算で0.001μg〜10000mg、好ましくは0.01mg〜5,000mgとすることができ、1日1回あるいは数回、あるいは数日毎に1回というような、適当な投与頻度によって投与することが可能である。
本発明の抗炎症剤の形態としては、例えば、錠剤、カプセル剤、散剤、顆粒剤、坐剤、注射剤、経皮吸収剤、クリーム、ペースト、ゲル、スプレー等が挙げられるが、特に制限されない。また製剤を調製するうえで必要な成分例えば、製剤担体や賦形剤、安定剤等を含有することもできる。
さらに、本発明の効果を奏する限り、他の抗炎症剤あるいはその他の薬理成分あるいはブドウ糖などの栄養成分を含むことも可能である。
さらに、本発明の効果を奏する限り、他の抗炎症剤あるいはその他の薬理成分あるいはブドウ糖などの栄養成分を含むことも可能である。
また、本発明の抗炎症剤の利用は医薬品用途に限られるものではなく、医薬部外品、化粧品、食品、飲料、飼料等に配合することも可能である。例えば、1,5−AFあるいはその誘導体を食品に添加して、各種疾患における炎症の予防あるいは治療を目的とした機能性食品のような形態をとることもできる。
また、火傷や日焼け等による皮膚の炎症症状の治療を目的とする医薬部外品あるいは化粧品等の形態をとることも可能である。
また、火傷や日焼け等による皮膚の炎症症状の治療を目的とする医薬部外品あるいは化粧品等の形態をとることも可能である。
本発明の抗炎症剤は、人間以外の哺乳動物にも投与することができる。すなわち、その場合、哺乳動物に対し、1,5−AFまたはその誘導体を適量投与することによって、炎症の治療を行うことができる。
以下、実施例により本発明をさらに詳述する。本発明はかかる実施例により何ら制限されるものではない。
なお、1,5−AFは既法によって調製し、高速液体クロマトグラフィーによる分析で99%以上のものを使用した。
なお、1,5−AFは既法によって調製し、高速液体クロマトグラフィーによる分析で99%以上のものを使用した。
実施例1[1,5−D−アンヒドロフルクトースの抗炎症作用]
マウスの耳介皮膚に化学物質を直接塗布すると、急性炎症により耳介の浮腫が誘発されることが知られていることから、このモデルマウスを用いて抗炎症効果を評価した。
マウスの耳介皮膚に化学物質を直接塗布すると、急性炎症により耳介の浮腫が誘発されることが知られていることから、このモデルマウスを用いて抗炎症効果を評価した。
マウス(BALB/c、6週齢、メス)の耳にクロトンオイルを塗布し、その後PBS、1,5−D−アンヒドロフルクトース(20mg/ml)をそれぞれ腹腔内投与(250μl)した。24時間後、耳介を測定しその浮腫の程度から抗炎症効果を評価した(図1)。なお、図中では、クロトンオイルを塗布していない無処理のマウス(control)の耳介の厚さと比較した耳介の膨張度を示している。
クロトンオイルを塗布して24時間後の耳介の厚さは、1,5−AF投与群では、0.06±0.02mmで、PBS投与群の1/2以下であった。この結果より、1,5−AFは抗炎症作用を有することがわかった。
クロトンオイルを塗布して24時間後の耳介の厚さは、1,5−AF投与群では、0.06±0.02mmで、PBS投与群の1/2以下であった。この結果より、1,5−AFは抗炎症作用を有することがわかった。
実施例2[1,5−AF含有製剤の調製]
紅藻オゴノリから抽出して得られた酵素α−1,4−グルカンリアーゼを30重量%のマルトデキストリン溶液に作用させ、1,5−AFを40%含有する溶液を得た。この溶液の組成は、1,5−AFの他は未分解のデキストリンであった。この1,5−AF含有溶液を噴霧乾燥して1,5−AF含有粉末を得た。
得られた1,5−AF含有粉末89.0重量部に対し、賦形剤として造粒コーンスターチ9.2重量部、滑沢剤としてタルク1.8重量部を混合したものをロータリー式打錠機で打錠したところ、240mgの錠剤1錠あたり1,5−AFを90mgを含有する製剤が得られた。
紅藻オゴノリから抽出して得られた酵素α−1,4−グルカンリアーゼを30重量%のマルトデキストリン溶液に作用させ、1,5−AFを40%含有する溶液を得た。この溶液の組成は、1,5−AFの他は未分解のデキストリンであった。この1,5−AF含有溶液を噴霧乾燥して1,5−AF含有粉末を得た。
得られた1,5−AF含有粉末89.0重量部に対し、賦形剤として造粒コーンスターチ9.2重量部、滑沢剤としてタルク1.8重量部を混合したものをロータリー式打錠機で打錠したところ、240mgの錠剤1錠あたり1,5−AFを90mgを含有する製剤が得られた。
実施例3[1,5−AF誘導体を含有する製剤の調製]
紅藻オゴノリから抽出して得られた酵素α−1,4−グルカンリアーゼをマルトデキストリン溶液に作用させ、全糖中の1,5−AFが40%である反応液を調製した。酵素を失活後、さらにサイクロデキストリン合成酵素を作用させ1,5−AFに糖鎖を転移させた。反応終了後、これをグルコアミラーゼで極限まで分解したところ、全糖中の10%がグルコシルアンヒドロフルクトース(GAF)である反応液が得られた。
紅藻オゴノリから抽出して得られた酵素α−1,4−グルカンリアーゼをマルトデキストリン溶液に作用させ、全糖中の1,5−AFが40%である反応液を調製した。酵素を失活後、さらにサイクロデキストリン合成酵素を作用させ1,5−AFに糖鎖を転移させた。反応終了後、これをグルコアミラーゼで極限まで分解したところ、全糖中の10%がグルコシルアンヒドロフルクトース(GAF)である反応液が得られた。
このGAF含有溶液をゲルろ過クロマトグラフィーに供しGAF画分を回収した。得られたGAF画分は純度80%であった。これを濃縮し、濃度30%としそれに同量の30%デキストリン溶液を加えた。
この混合液を噴霧乾燥し、得られたGAF含有粉末98重量部に対し、滑沢剤としてタルクを2重量部混合したものをロータリー式打錠機を使用して円形錠剤を成型したところ、GAFを含有する製剤が得られた。
この混合液を噴霧乾燥し、得られたGAF含有粉末98重量部に対し、滑沢剤としてタルクを2重量部混合したものをロータリー式打錠機を使用して円形錠剤を成型したところ、GAFを含有する製剤が得られた。
Claims (3)
- 1,5−D−アンヒドロフルクトースおよび/または下記式(1)
G−(G)n−AF ・・・(1)
式中、AFは1,5−D−アンヒドロフルクトース残基を表し、Gはグルコース残基を表し、nは0〜20の整数である、
を含有することを特徴とする抗炎症剤。 - 炎症の予防あるいは治療を目的とqする薬剤組成物あるいは機能性食品を調製するための、1,5−D−アンヒドロフルクトースおよび/または下記式(1)
G−(G)n−AF ・・・(1)
式中、AFは1,5−D−アンヒドロフルクトース残基を表し、Gはグルコース残基を表し、nは0〜20の整数である、
の使用。 - 1,5−D−アンヒドロフルクトースおよび/または下記式(1)
G−(G)n−AF ・・・(1)
式中、AFは1,5−D−アンヒドロフルクトース残基を表し、Gはグルコース残基を表し、nは0〜20の整数である、
を哺乳動物に投与することを特徴とする、炎症の予防あるいは治療方法。
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Cited By (1)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
WO2015016178A1 (ja) * | 2013-07-29 | 2015-02-05 | 国立大学法人鹿児島大学 | 1,5-d-アンヒドロフルクトースを含むアポトーシス関連スペック様カード蛋白質の機能阻害薬 |
Citations (3)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
JP2001527407A (ja) * | 1997-05-06 | 2001-12-25 | ダニスコ・アクティーゼルスカブ | 抗酸化剤を製造する方法 |
JP2004123604A (ja) * | 2002-10-02 | 2004-04-22 | Nihon Starch Co Ltd | 歯牙疾患予防剤およびそれを含有する食品の製造法 |
WO2004045628A1 (ja) * | 2002-11-18 | 2004-06-03 | Nihon Starch Co., Ltd. | アンヒドロフルクトースおよびその誘導体の血小板凝集抑制剤 |
-
2005
- 2005-04-28 JP JP2005133307A patent/JP2006306814A/ja active Pending
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JPWO2015016178A1 (ja) * | 2013-07-29 | 2017-03-02 | 国立大学法人 鹿児島大学 | 1,5−d−アンヒドロフルクトースを含むアポトーシス関連スペック様カード蛋白質の機能阻害薬 |
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