JP6503266B2 - 水溶性組成物、その製造方法および難水溶性物質の溶解性改善方法 - Google Patents

水溶性組成物、その製造方法および難水溶性物質の溶解性改善方法 Download PDF

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Description

本発明は、水溶性組成物、その製造方法および難水溶性物質の溶解性改善方法に関する。より詳しくは、本発明は、難水溶性物質の水に対する溶解性が改善された水溶性組成物、ならびに難水溶性物質の水に対する溶解性を改善する方法及び当該水溶性組成物を含有する食品、化粧品、医薬品または飼料に関する。さらに詳しくは、本発明は、当該水溶性組成物を製造する方法に関する。
近年、多くの有用な薬理効果を持った新薬が開発されているが、それらの多くの新薬は水に対する溶解性が低い、つまり難水溶性物質であり、生体による吸収性も低いという難点を有する。このような薬剤の薬効を十分発現させるために、難水溶性の薬剤を過剰に投与することは、副作用、コストの面から好ましくない。難水溶性の薬剤の水に対する溶解性を改善し、さらに吸収性を向上させることができれば、より少ない投与量で十分な薬効をもたらすことが可能となり、副作用を抑制し、コストを削減できるため好都合である。
上記のような観点から、難水溶性物質(薬剤)の溶解性または吸収性を改善するための方法の研究開発が行われている。難水溶性物質の溶解性を改善する従来の方法としては、例えば特表2002−537317号公報(特許文献1)、特表平11−514221号公報(特許文献2)、特開2014−141518号公報(特許文献3)などに開示されているように、難水溶性物質と界面活性剤とを水中で混合する方法が知られている。しかしながら、界面活性剤は人体に対する影響を考慮して投与量が制限されているため、難水溶性物質によっては十分な水溶性の改善効果が得られない場合がある。また、界面活性剤を用いることで水溶性は改善されても、生体吸収性が十分に改善されない場合がある。
これに対して、特許文献4(特開2011−051938号公報)には、酵素処理ヘスペリジン、ステビア抽出物または酵素処理ステビアから選ばれる水溶性化合物と、フルルビプロフェンまたはプロブコールから選ばれる難水溶性薬剤とを含んでなる高吸収性薬剤組成物が記載されている。当該高吸収性薬剤組成物は、好ましくは、上記難水溶性薬剤をエタノールに溶解させたエタノール溶液と、上記水溶性化合物を水に溶解させた水溶液とを混合し、該混合液を噴霧乾燥することにより得られるものである。このような組成物を調製して水に溶解することにより、界面活性剤を用いることなく、上記の難水溶性薬剤の溶解性を改善し、生体への吸収速度を向上させることができる。
また、特開2012−240949号公報(特許文献5)には、酵素処理ヘスペリジンおよび酵素処理ステビアからなる群より選ばれる少なくとも1種の酵素処理物と、非イオン性界面活性剤、アニオン活性界面活性剤およびカチオン性界面活性剤からなる群より選ばれる少なくとも1種の界面活性剤と、ベンゼン環または複素環を有し、分子量が1000以下である難水溶性物質とを含んでなる、溶解性組成物が記載されている。このような溶解性組成物を調製することにより、「ベンゼン環または複素環を有し、分子量が1000以下である難水溶性物質」、例えば、フルルビプロフェン、プランルカスト、インドメタシン、メフェナム酸、トルブタミド、グリベンクラミド、フェニトイン、プロブコール、フェニルブタゾン、フロセミド、リスペリドン、カルバマゼピン、ケトプロフェン、フェノフィブラート、ベザフィブラート、アムホテリシン、パクリタキセルまたはベタメゾン、あるいはケイ皮酸誘導体(p−クマル酸、アルテピリンC、クルクミン、ドゥルパニンおよびバッカリン等)またはフラバン誘導体(ナリンゲニン、フラボン等)といった難水溶性物質の、水に対する溶解性を向上させることができる。ここで、上記の溶解性組成物には界面活性剤が用いられているが、特許文献1および2に記載の発明と異なり、酵素処理ヘスペリジン等も併用することにより、界面活性剤の細胞毒性をほとんど抑制することができ、しかも生体吸収性を改善することもできることが記載されている。しかも、特許文献3に記載の高吸収性薬剤組成物は、水溶性化合物と難水溶性薬剤とを単に物理混合して調製した場合には、難水溶性薬剤の溶解性および吸収性の改善が十分ではない場合がある(そのため前述したような混合液を用いた噴霧乾燥により調製することが好ましい)のに対し、特許文献4に記載の溶解性組成物は、物理混合によって調製されたものであっても、難水溶性薬剤の溶解性の改善等の作用効果が奏される。
さらに、特許文献6(特開2012−229194号公報)には、酵素処理ルチンと、スチルベン誘導体、クルクミノイド、プテリジン誘導体およびプリン誘導体からなる群より選ばれる少なくとも1種の化合物(例えば葉酸、クルクミン)とを含む溶解性組成物が記載されている。
このような特許文献4〜6に記載の発明によって多数の難水溶性物質(薬剤)の溶解性および体内での吸収性を改善することが可能となっているが、いくつかの難水溶性物質については、その改善の度合いにさらに向上の余地があった。
また、特許文献4および5に記載の発明に用いられている酵素処理ヘスペリジン(α−グルコシルヘスペリジン等)および酵素処理ステビア(α−グルコシルステビオサイド等)、ならびに特許文献6に記載の発明に用いられている酵素処理ルチン(α−グルコシルルチン等)は、いずれもフラボノイドの酵素処理物であるが、同じくフラボノイドの酵素処理物としては公知の酵素処理ナリンジン(α−グルコシルナリンジン等)を利用して、難水溶性物質(薬剤)の溶解性を改善する方法は、これまで提案されていなかった。
特表2002−537317号公報 特表平11−514221号公報 特開2014−141518号公報 特開2011−051938号公報 特開2012−240949号公報 特開2012−229194号公報
本発明は、所定の難水溶性物質の水に対する溶解性を改善する、簡便かつ効率的な手法を提供することを課題とする。
本発明者らは、葉酸等の特定の難水溶性物質に対しては、酵素処理ナリンジンの主成分であるα−グルコシルナリンジンを水中で共存させることにより、当該難水溶性物質の水に対する溶解性が改善されることなどを見出し、本発明を完成させるに至った。
すなわち、本発明の一側面において、下記の[1]〜[2]の水溶性組成物が提供され、別の側面において下記の[3]の食品、化粧品、医薬品または飼料が提供され、また、別の側面において、下記の[4]〜[6]の水溶性組成物の製造方法が提供される。本発明のさらなる側面において、下記の[7]〜[8]の難水溶性物質の水に対する溶解性の改善方法が提供される。
[1]
α−グルコシルナリンジン(A)と、
葉酸、イプリフラボン、クルクミン、メフェナム酸、クリシン、フェナントレン、ケルセチン、レバミピド、トラニラスト、インドメタシン、ベゼフィブラート、フェニトイン、プラノプロフェン、フロセミド、フラボン、ナプロキセン、2−ナフトエ酸、イブプロフェン、エトドラク、1−ナフトエ酸、アトルバスタチンカルシウム水和物およびクロトリマゾールからなる群より選ばれる少なくとも1種の難水溶性物質(B)と
を含有することを特徴とする水溶性組成物。
[2]
前記難水溶性物質(B)が、下記(B−1)からなる群より選ばれる少なくとも1種である、項1に記載の水溶性組成物。
(B−1):葉酸、メフェナム酸、レバミピド、トラニラスト、ベゼフィブラート、プラノプロフェン、フロセミド、ナプロキセン、2−ナフトエ酸およびエトドラク。
[3]
項1または2に記載の水溶性組成物を含有する、食品、化粧品、医薬品または飼料。
[4]
α−グルコシルナリンジン(A)と、
葉酸、イプリフラボン、クルクミン、メフェナム酸、クリシン、フェナントレン、ケルセチン、レバミピド、トラニラスト、インドメタシン、ベゼフィブラート、フェニトイン、プラノプロフェン、フロセミド、フラボン、ナプロキセン、2−ナフトエ酸、イブプロフェン、エトドラク、1−ナフトエ酸、アトルバスタチンカルシウム水和物およびクロトリマゾールからなる群より選ばれる少なくとも1種の難水溶性物質(B)と
を含有する溶液を乾燥粉末処理する工程を含むことを特徴とする、水溶性組成物の製造方法。
[5]
前記難水溶性物質(B)が、下記(B−1)からなる群より選ばれる少なくとも1種である、項4に記載の水溶性組成物の製造方法。
(B−1):葉酸、メフェナム酸、レバミピド、トラニラスト、ベゼフィブラート、プラノプロフェン、フロセミド、ナプロキセン、2−ナフトエ酸およびエトドラク。
[6]
前記乾燥粉末処理がエバポレーション法またはスプレードライ法により行われるものである、項4または5に記載の水溶性組成物の製造方法。
[7]
α−グルコシルナリンジン(A)と、
葉酸、イプリフラボン、クルクミン、メフェナム酸、クリシン、フェナントレン、ケルセチン、レバミピド、トラニラスト、インドメタシン、ベゼフィブラート、フェニトイン、プラノプロフェン、フロセミド、フラボン、ナプロキセン、2−ナフトエ酸、イブプロフェン、エトドラク、1−ナフトエ酸、アトルバスタチンカルシウム水和物およびクロトリマゾールからなる群より選ばれる少なくとも1種の難水溶性物質(B)と
を、水中で共存させることを特徴とする、難水溶性物質(B)の水に対する溶解性の改善方法。
[8]
前記難水溶性物質(B)が、下記(B−1)からなる群より選ばれる少なくとも1種である、項4に記載の水に対する溶解性の改善方法。
(B−1):葉酸、メフェナム酸、レバミピド、トラニラスト、ベゼフィブラート、プラノプロフェン、フロセミド、ナプロキセン、2−ナフトエ酸およびエトドラク。
本発明の水溶性組成物および水溶性改善方法によって、所定の難水溶性物質(薬剤)の水への溶解性を従来よりも向上させることができ、それによって体内での吸収性も向上させ、より少ない使用量で所望の薬効を発揮させることができるようになる。α−グルコシルナリンジンおよびその他のα−グルコシル化フラボノイドは、水溶液中で水可溶性の集合体を形成でき、その集合体が難水溶性物質と複合体を形成して可溶化構造をとることによって、水に対する溶解度を向上させる効果が生み出されているものと推測されるが、本発明における所定の難水溶性物質は水溶液中で水可溶性の集合体を形成したα−グルコシルナリンジンと前記可溶化構造を形成しやすいため、上記の効果に優れているものと考えられる。
また、このような本発明の水溶性改善方法を利用した水溶性組成物は、所定の難水溶性物質とα−グルコシルナリンジンとを物理混合することにより簡便に低コストで製造することができるほか、いくつかの難水溶性物質については、エバポレーションまたはスプレードライを用いることによってさらに水溶性改善効果が高められた水溶性組成物を製造することができる。
−水溶性組成物−
本発明の水溶性組成物は、α−グルコシルナリンジン(A)と、所定の難水溶性物質(B)とを含有する。α−グルコシルナリンジン(A)および難水溶性物質(B)の含有量は難水溶性物質(B)の水に対する溶解性が改善される等の本発明の作用効果が奏される限り、特に限定されるものではない。難水溶性物質(B)として選択される物質によっても適切な含有量は変動する可能性があるため、適宜試験を行い、その結果に基づいて、α−グルコシルナリンジン(A)および難水溶性物質(B)の含有量を設定すればよい。一般的には、難水溶性物質(B)の含有量を1重量部としたときに、α−グルコシルナリンジン(A)の含有量は0.01〜100重量部、好ましくは0.1〜50重量部の範囲で調節することができる。
なお、本発明において、難水溶性物質(B)の「水に対する溶解性が改善する」とは、本発明に従ってα−グルコシルナリンジン(A)を併用したときの難水溶性物質(B)の水に対する溶解度が、α−グルコシルナリンジン(A)を併用しない、難水溶性物質(B)単独のときに比べて向上することを意味する。「水」は、常温(5〜37℃程度)かつ中性付近(pH=7±2)のものである。また、本発明における「難水溶性(物質)」および「水溶性(組成物)」という用語は、水に対する溶解度の絶対的な基準に基づいて定義されるものではなく、前者は水に対する溶解度が他の物質(特に薬剤)よりも比較的低いこと、後者はα−グルコシルナリンジン(A)を併用することにより併用しないときよりもいくらか水溶性と呼べる状態に近づいていることを意味するに留まる。
(A)α−グルコシルナリンジン
「α−グルコシルナリンジン」は、ナリンジンが有する水酸基に1分子以上のグルコースが付加された化合物の総称である。ナリンジンは、ナリンゲニン(5,7,4'-トリヒドロキシフラバノン)骨格の7位の水酸基にネオヘスペリドース(L−ラムノシル−(α1→2)−D−グルコース)がβ結合した構造を有する、フラボノイドの一種である。α−グルコシルナリンジンは、そのナリンジンが有する、ルチノース残基中のグルコース残基の3位(3''位)の水酸基および/またはナリンゲニン骨格中のフェニル基の4位(4’位)の水酸基に、α−グルコースが1分子以上連結した構造を有する。本発明におけるα−グルコシルナリンジンは、そのような構造を有する化合物のうちの1種類単独からなるものであっても、2種類以上の混合物であってもよい。
α−グルコシルナリンジンは、下記式[I]で表すことができる。式[I]中、R1のmおよびR2のnは、それぞれ3''位および4’位に結合したα−グルコース残基の数を意味し、互いに独立した、0以上、通常は25以下の整数を表す。ただし、式[I]が「α−グルコシルナリンジン」を表すためには、m+n≧1を満たす、つまりナリンジンに少なくとも1分子のα−グルコースが連結している必要がある(m=n=0の場合、つまりR1、R2ともに−OHである場合、式[I]は「ナリンジン」を表す)。
Figure 0006503266
α−グルコシルナリンジンは、「酵素処理ナリンジン」(「糖転移ナリンジン」と呼ばれることもある。)として知られている素材に主成分として含まれている化合物である。酵素処理ナリンジンは、ナリンジンと糖供与体(例えばデキストリン)の混合物に糖転移酵素(例えばシクロデキストリングルコシルトランスフェラーゼ)を反応させることにより得られる生成物(本明細書において「第1酵素処理ナリンジン」と呼ぶ。)であって、ナリンジンが有する水酸基に1分子以上のグルコースが付加された様々な化合物の集合体、つまりα−グルコシルナリンジンと、未反応物であるナリンジンとを含有する組成物である。第1酵素処理ナリンジンの基本的な製造方法は、例えば特開平4−13691号公報を参照することができる。必要に応じて、例えば多孔性合成吸着材と適切な溶出液を用いて、第1酵素処理ナリンジンを精製することにより、糖供与体およびその他の不純物を除去し、さらにナリンジンの含有量を減らし、α−グルコシルナリンジンの純度を高めた第1酵素処理ナリンジン(α−グルコシルナリンジン精製物)が得られる。
α−グルコシルナリンジンとしては、ナリンジンの3''位にα−グルコースが1分子および/または4'位にα−グルコースが1分子連結したもの、すなわち3''−α−モノグルコシルナリンジン(式[I]中、m=1、n=0)、4'−α−モノグルコシルナリンジン(同じくm=0、n=1)、または3''−4'−α−ジグルコシルナリンジン(同じくm=1、n=1)が好ましく、中でも3''−α−モノグルコシルナリンジンが特に好ましい。本発明では、酵素処理ナリンジン(組成物)全体に対して、α−モノグルコシルナリンジン、特に3''−α−モノグルコシルナリンジンを、80重量%以上含有する酵素処理ナリンジンを用いることが好ましい。
上記3種のα−モノ/ジグルコシルナリンジンを多く含有する酵素処理ナリンジン(本明細書において「第2酵素処理ナリンジン」と呼ぶ。)は、例えば、上述した第1酵素処理ナリンジンをグルコアミラーゼ活性を有する酵素で処理し、ナリンジンの3''位および/または4'位に前記糖転移酵素によって転移された、2分子以上のα−グルコースがα−1,4結合によって結合している糖鎖を、根元の1分子相当のα−グルコース残基だけを残して切断することによって得ることができる。さらに、第2酵素処理ナリンジンをα−グルコシダーゼ活性を有する酵素で処理し、4'位の水酸基に直接結合している1分子相当のα−グルコース残基を切断することにより、3''−α−モノグルコシルナリンジンを残存させ、4'−α−モノグルコシルナリンジンおよび3''−4'−α−ジグルコシルナリンジンをほとんどないし全く含有しない酵素処理ナリンジン(本明細書において「第3酵素処理ナリンジン」と呼ぶ。)を得ることができる。第2および第3酵素処理ナリンジンの基本的な製造方法は、例えば特開2002−199896号公報を参照することができる。
また、第1酵素処理ナリンジンに対してトランスグルコシダーゼを作用させれば、トランスグルコシダーゼはグルコアミラーゼ活性とα−グルコシダーゼ活性の両方を有する酵素なので、上述したような2段階の処理でなく1段階の処理で、3''−α−モノグルコシルナリンジンに富んだ第3酵素処理ナリンジンが得られる。さらに、必要であればβ−グルコシダーゼ活性を有する酵素を第3酵素処理ナリンジンに対して作用させて(第1酵素処理ナリンジンに対してトランスグルコシダーゼと同時に作用させてもよい)、水溶液中に少量溶解している未反応のナリンジンが有する(糖転移酵素による糖鎖の修飾を受けていない)ネオヘスペリドース残基をそのアグリコンであるナリンゲニンから切断する処理を行ってもよい。そのような処理によって生成するナリンゲニンはナリンジンよりも溶解度が低いので、沈殿となって水溶液中から容易に除去できるので、水溶液から3''−α−モノグルコシルナリンジンをより高純度で回収することが可能となる。
なお、酵素処理ナリンジンに含まれる各種のα−グルコシルナリンジン、ナリンジン、およびその他の成分の存在はHPLCのクロマトグラムによって確認することができ、各成分の含有量、または所望の特定の成分の純度は、クロマトグラムのピーク面積から算出することができる(例えば特開2002−199896号公報参照)。
(B)難水溶性物質
本発明における難水溶性物質(B)は、葉酸、イプリフラボン、クルクミン、メフェナム酸、クリシン、フェナントレン、ケルセチン、レバミピド、トラニラスト、インドメタシン、ベゼフィブラート、フェニトイン、プラノプロフェン、フロセミド、フラボン、ナプロキセン、2−ナフトエ酸、イブプロフェン、エトドラク、1−ナフトエ酸、アトルバスタチンカルシウム水和物およびクロトリマゾールからなる群より選ばれる少なくとも1種である。これらの物質は、医薬品の有効成分などとして公知であり、難水溶性薬剤と言い換えることもできる。
難水溶性物質は、「他の酵素処理物」と比較したときの「α−グルコシルナリンジン」による水に対する溶解性の改善効果の程度(後記実施例および比較例を参照)に基づいて、下記の4つのグループに分類することができる。なお、「他の酵素処理物」とは、α−グルコシルヘスペリジン、α−グルコシルルチンおよびα−グルコシルステビア(特許文献4〜6参照)を指す。本発明における難水溶性物質(B)としては、グループ(B−1)または(B−2)に属するものが好ましく、中でもグループ(B−1)に属するものが特に好ましい。
(B−1)他の酵素処理物よりも効果が著しく大きな難水溶性物質:
(a)葉酸(Folic Acid)、(b)メフェナム酸(Mefenamic acid)、(c)レバミピド(Rebamipide)、(d)トラニラスト(Tranilast)、(e)ベザフィブラート(Bezafibrate)、(f)プラノプロフェン(Pranoprofen)、(g)フロセミド(Furosemide)、(h)ナプロキセン(Naproxen)、(i)2−ナフトエ酸(2-Naphthoic acid)、(j)エトドラク(Etodolac);
(B−2)他の酵素処理物より効果が大きな難水溶性物質:
(a)イプリフラボン(Ipriflavone)、(b)ケルセチン(Quercetin)、(c)フェニトイン(Phenytoin);
(B−3)他の酵素処理物と効果が同等の難水溶性物質:
(a)クルクミン(Curcumin)、(b)クリシン(Chrysin)、(c)フェナントレン(phenanthrene)、(d)インドメタシン(Indometacin)、(e)イブプロフェン(Ibuprofen)、(f)アトルバスタチンカルシウム水和物(Atorvastatin calcium hydrate);
(B−4)他の酵素処理物よりも小さいが効果が認められる難水溶性物質:
(a)フラボン(Flavone)、(b)1−ナフトエ酸(1-Naphthoic acid)、(c)クロトリマゾール(Clotrimazole)。
・その他の成分
本発明の水溶性組成物は、本発明の作用効果を阻害しない範囲で、α−グルコシルナリンジン(A)および難水溶性物質(B)以外の成分を含有していてもよい。
たとえば、本発明の水溶性組成物は、さらに界面活性剤を含有していてもよい。本発明では、所定の難水溶性物質(B)について、α−グルコシルナリンジン(A)によって水に対する溶解度を向上させることができるが、さらに界面活性剤を利用することによって溶解度をより一層向上させることができる可能性がある。しかもその際には、界面活性剤が有する細胞毒性を抑制し、溶解度の向上における好影響を引き立たせることが可能である。
界面活性剤には、非イオン性界面活性剤、アニオン性界面活性剤、カチオン性界面活性剤および両性界面活性剤があるが、水溶性組成物に配合するものとしては、アニオン性界面活性剤およびカチオン性界面活性剤が好ましい。前述したように、水溶液中で水可溶性の集合体を形成したα−グルコシルナリンジン(A)は所定の難水溶性物質(B)と複合体を形成し、可溶化構造を形成するものと推測されるが、界面活性剤もこの可溶化構造の形成に関与しており、より安定的な可溶化構造を形成するとともに、界面活性剤自体の細胞毒性が抑制されるものと推測される。界面活性剤の具体例は、例えば特開2002−240949号公報を参照することができる。
−水溶性組成物の製造方法−
本発明の水溶性組成物は基本的に、α−グルコシルナリンジン(A)と、難水溶性物質(B)とを混合することにより製造することができる。ここで、「α−グルコシルナリンジン」としては、当該化合物を所望の純度で含有する「酵素処理ナリンジン」(第1〜第3酵素処理ナリンジン)を用いることができる。水溶性組成物は、酵素処理ナリンジン中に存在するα−グルコシルナリンジン以外の化合物(たとえば未反応のナリンジン)も少量含むことになるが、本発明の作用効果が阻害されない限り問題はない。一例として、第3酵素処理ナリンジンを用いる場合、3''−α−モノグルコシルナリンジンの純度(当該酵素処理ナリンジン中の全てのα−グルコシルナリンジンおよびナリンジンの合計含有量に対する、3''−α−モノグルコシルナリンジンの含有量)は、80%以上であることが好ましい。
水溶性組成物を製造する際の「混合」は、通常は物理混合、すなわち粉末状のα−グルコシルナリンジンと粉末状の難水溶性物質とを、常法に従って攪拌機等を用いて物理的に混合することでよい。
また、混合は、α−グルコシルナリンジン(A)と難水溶性物質(B)とを含有する溶液を調製し、その溶液を乾燥粉末処理することによって行ってもよい。すなわち、本発明による水溶性組成物の製造方法は、α−グルコシルナリンジン(A)と難水溶性物質(B)とを含有する溶液を乾燥粉末処理する工程を含むものとすることができる。この際の乾燥粉末処理は、一般的な乾燥法に従って行うことができる。その他の乾燥法の適切な条件は、使用する装置などに応じて、当業者であれば適宜調節することができる。
乾燥粉末処理は、例えば、エバポレーション法またはスプレードライ(乾燥噴霧)法に従って行うことが好ましい。いくつかの難水溶性物質、例えば、ケルセチン、インドメタシン、ベゼフィブラートについては、エバポレーション法またはスプレードライ法に従って製造された乾燥粉末状の水溶性組成物の方が、物理混合によって製造された水溶性組成物よりも、水に対する溶解性を改善する効果に優れているため好ましい。
エバポレーション法は、一般的に、(i)α−グルコシルナリンジン(A)の水溶液または水以外の溶媒を用いた溶液、例えばエタノール溶液を調製し、(ii)難水溶性物質の、ある程度の溶解性を示す水以外の溶媒を用いた溶液、例えばエタノール溶液を調製し、(iii)これら2つの溶液を混合し、ロータリーエバポレーター等の装置を用いて、エバポレーションを行う、といった手順で実施することができる。エバポレーション法に関する各種の条件は、当業者であれば、本発明の作用効果や装置の規模等を考慮しながら適切なものとなるよう調整することができる。具体的には、例えば上記のようにしてエタノールを含有する混合溶液を調製した場合は、エバポレーションの恒温槽温度は40〜60℃、好ましくは45〜55℃、フラスコの回転速度は160rpm以上、好ましくは200rpm以上で、実施することができる。
スプレードライ法は、一般的に、(i)α−グルコシルナリンジン(A)の水溶液または水以外の溶媒を用いた溶液、例えばエタノール溶液を調製し、(ii)難水溶性物質の、ある程度の溶解性を示す水以外の溶媒を用いた溶液、例えばエタノール溶液を調製し、(iii)これら2つの溶液を混合し、スプレードライヤー(噴霧乾燥機)等の装置を用いて、噴霧乾燥を行う、といった手順で実施することができる。スプレードライ法に関する各種の条件、例えば原料(混合液)の濃度および供給速度、熱風の送風量、入口温度および出口温度、チャンバー内の圧力、ならびにノズル孔径など、換言すればスプレードライ法により得られる粉末の粒度分布、平均粒子径およびその他の物性値は、当業者であれば、本発明の作用効果や装置の規模等を考慮しながら適切なものとなるよう調整することができる。
−溶解性改善方法−
本発明による難水溶性の水に対する溶解性の改善方法は、α−グルコシルナリンジン(A)と所定の難水溶性物質(B)とを水中で共存させることを含む。本発明の溶解性改善方法は、典型的には、上述したような粉末状またはその他の固形状の水溶性組成物をあらかじめ調製しておき、それを水に添加することを通じて実施されるものである。しかしながら、本発明の溶解性改善方法の別の実施形態として、水溶性組成物はあらかじめ調製せず、α−グルコシルナリンジン(A)および所定の難水溶性物質(B)をそれぞれ、固形状のまま、あるいは溶液の形態にしてから、水に添加することを通じて実施することも可能である。
−食品、化粧品、医薬品および飼料−
本発明の水溶性組成物は、それに含まれる所定の難水溶性物質(B)の用途に応じて、各種の食品、化粧品、医薬品および飼料などに添加して用いることができる。食品、化粧品、医薬品および飼料は、それ自体が水溶液の形態であってもよいし、それ自体は水溶液ではないが、難水溶性物質(B)が有効成分として生体内に吸収されることを意図して摂取されるまたは体内もしくは体外に適用される、固形状または水溶液以外の液状の形態であってもよい。
食品(栄養機能食品、特定保健用食品、機能性表示食品、およびそれ以外のいわゆる健康食品を含む。)としては、例えば、発酵食品、パン類、漬物、乾物、練り製品、粉類、缶詰、冷凍食品、レトルト食品、インスタント食品(即席麺、ドライ・フーズ、粉末飲料等)、乳製品(加工乳、脱脂粉乳等)、魚肉加工品、畜産加工品等の加工食品;菓子類等の嗜好食品;油脂類、甘味料、調味料、香辛料等の調理・調味用材料;サプリメント;特別用途食品(病者用食品、高齢者用食品、育児用食品);ゲル化剤や膨張剤等の加工材料;保存食;非常食;宇宙食;水、清涼飲料水、アルコール飲料、茶、コーヒー等の飲料などが挙げられる。
化粧品(医薬部外品に該当する薬用化粧品を含む。)としては、例えば、パウダー、乳液、リキッド、クリーム、ローション等の皮膚外用剤(ファンデーション、日焼け止め、スキンローション、口紅、香水等);歯磨剤、マウスウォッシュ、うがい薬等の口腔用組成物;石鹸、ボディソープ、シャンプー、リンス等の洗浄用組成物;頭髪剤、育毛剤等の頭髪用組成物などが挙げられる。
医薬品としては、例えば、錠剤、散剤(細粒剤、顆粒剤等)、カプセル剤、ドリンク剤、シロップ剤、トローチ剤等の内服薬;外用薬;および注射剤が挙げられる。
飼料としては、例えば、実験用、家畜・養殖用または愛玩・観賞用(ペット)の哺乳類またはその他の動物用の飼料が挙げられる。
このような本発明の食品、化粧品、医薬品および飼料に配合される水溶性組成物の添加量は、それに含まれる難水溶性物質(B)およびその他の成分の効能を考慮して適宜設定すればよい。また、本発明の食品、化粧品、医薬品および飼料は、適切な段階で本発明の水溶性組成物を添加すること以外は、基本的には従来と同じ方法で製造することができ、必要に応じて各種の添加剤を併用することもできる。
以下の手順に従って、α−グルコシルナリンジンおよび難水溶性物質(薬物)を含有する水溶性組成物の試料を、物理混合、エバポレーション法またはスプレードライ法によって調製した。α−グルコシルナリンジンとしては、本発明の実施例用に製造した酵素処理ナリンジンを用いた。各薬物は、いずれも医薬品グレードの純度の製品を用いた。
(1)酵素処理ナリンジンの製造方法
(i)水7.6Lにデキストリン(パインデクス#1、松谷化学工業株式会社)2.1kgを加熱しながら少しずつ加え溶解させた。(ii)よく撹拌しながらナリンジン(陜西慧科植物開發有限公司)300gを加えて60℃に保ち、水酸化ナトリウム溶液を加えてpHを約11に調整し、完全に溶解させた。(iii)硫酸を加えて溶液のpHを6.5−7に調整後、シクロデキストリングルカノトランスフェラーゼ(天野エンザイム株式会社)を加え、60℃で24時間反応させた。(iv)80℃以上で溶液を30分加熱し、酵素を失活させた。溶液のpHを6.0に調整し、グルコアミラーゼ活性およびα−グルコシダーゼ活性を有するトランスグルコシダーゼL「アマノ」(天野エンザイム株式会社)とβ−グルコシダーゼ活性を有するアロマーゼ(天野エンザイム株式会社)をそれぞれ60mL/10Lおよび60g/10L、溶液に同時に加えてよく溶かし、60℃で1日静置し、反応させた。(v)硫酸を加えてpHを約4.0に調整後、80℃以上で30分加熱し、酵素を失活させた。溶液をろ過して沈殿物(ナリンゲニン)を除去し、得られた溶液をイオン交換樹脂(アンバーライトXAD7HP、オルガノ株式会社)に通液して酵素処理ナリンジンを吸着させ、樹脂量の2倍量の水で樹脂を洗浄し、樹脂量の2倍量の50%エタノールで酵素処理ナリンジンを脱着した。(vi)脱着液をエバポレーター(商品名「N-1100」、東京理化器械株式会社)、冷却水循環装置(商品名「CCA-130」、東京理化器械株式会社)および真空ポンプ(商品名「EVP-1200」、東京理化器械株式会社)を用いて濃縮(脱アルコール)し、凍結乾燥機(商品名「FD-1」、東京理化器械株式会社)を用いて、0.4torr以下24時間の条件で粉末化した。
なお、本実施例では上記の製品を用いているが、デキストリンは、パインデクス#100(松谷化学工業株式会社)、α−100サイクロデキストリン、β−100サイクロデキストリン、γ−100サイクロデキストリン(塩水港精糖株式会社)を使用してもよい。シクロデキストリングルカノトランスフェラーゼは、CGTase(Toruzyme、Novozymes社)、CGTase(Wacker Chemie AG社)を使用してもよい。アロマーゼは、GODO−GBA2(合同酒精株式会社)を使用してもよい。イオン交換樹脂は、アンバーライトXAD2000、アンバーライトXAD4、アンバーライトXAD2、アンバーライトFPX66、アンバーライトXAD1180N(全てオルガノ株式会社)を使用してもよい。
HPLCで確認したところ、回収された酵素処理ナリンジン(組成物)の全量に対するα−モノグルコシルナリンジンの割合(純度)は85%であった。このα−モノグルコシルナリンジンは、上記の酵素処理により、ほぼ全てが3''−α−モノグルコシルナリンジンであるものと推定される。
(2)物理混合による試料の調製:各薬物の粉末50mgと上記製造方法により得られた酵素処理ナリンジンの粉末500mgとを乳鉢に投入し、乳棒で均一になるよう混合して、各薬物と酵素処理ナリンジンとを1:10(薬物:α−グルコシルナリンジン=1:8.5)の質量比で含有する粉末状の組成物(PM)を得た。
(3)エバポレーション法を用いた試料の調製:各薬物200mgをエタノール100mLに溶解したエタノール溶液を調製した。一方、酵素処理ナリンジン2000mgをエタノール100mLに溶解したエタノール溶液を調製した。これら2つのエタノール溶液を混合し、ロータリーエバポレーター(商品名「Rotavapor R-3」、Buchi社)を用いてエバポレーションを行って、各薬物と酵素処理ナリンジンとを1:10(薬物:α−グルコシルナリンジン=1:8.5)の質量比で含有する粉末状の組成物(EVP)を得た。
(4)スプレードライ法を用いた試料の調製:各薬物200mgをエタノール75mLに溶解したエタノール溶液を調製した。一方、酵素処理ナリンジン2000mgをエタノール175mLに溶解したエタノール溶液を調製した。これら2つのエタノール溶液を混合し、乾燥噴霧器(商品名「Mini Spray Dryer B-290」、Buchi社)を用いてスプレードライを行って、各薬物と酵素処理ナリンジンとを1:10(薬物:α−グルコシルナリンジン=1:8.5)の質量比で含有する粉末状の組成物(SDP)を得た。スプレードライの条件は次の通りである:熱風速度(Flow rate):35L/min;エタノール混合液供給速度(Pump rate):5.5L/min;入口温度:120℃;出口温度:65〜75℃。
また、対比のため、α−グルコシルナリンジンの代わりにα−グルコシルヘスペリジン、α−グルコシルルチンまたはα−グルコシルステビアを用い、それ以外は上記(1)〜(3)の手順と同様にして、物理混合、エバポレーション法またはスプレードライ法によって水溶性組成物を調製した。なお、α−グルコシルヘスペリジンとしては「αGヘスペリジンPA−T」(東洋精糖株式会社、α−モノグルコシルヘスペリジンの重量比80%以上)、α−グルコシルルチンとしては「αGルチンPS」(東洋精糖株式会社、α−モノグルコシルルチンの重量比80%以上)、α−グルコシルステビアとしては「αGスイートPX」(東洋精糖株式会社、α−グルコシル化化合物の重量比90%以上)を利用した。
そして、上記の各試料についての各薬物の水に対する溶解度を次の手順で測定した。蒸留水50mLに各試料を添加し、37℃で一晩インキュベーションした後、ビーカー内の溶液に含まれる各薬物の濃度を、HPLCを用いて測定した。さらに、各薬物単独についても同様の手順で、水に対する溶解度を測定した。
用いた各薬物に関する情報および水に対する溶解度の測定結果を、表1にまとめて示す(薬物は本来の水に対する溶解度が低い順に掲載されている)。“組成物”の溶解度の括弧内の数値は、“単独”の溶解度を1としたときの比率を表す。αGヘスペリジン、αGルチン、αGステビアおよびαGナリンジンは、それぞれα−グルコシルヘスペリジン、α−グルコシルルチン、α−グルコシルステビアおよびα−グルコシルナリンジンを表す。
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Claims (8)

  1. α−グルコシルナリンジン(A)と、
    葉酸、イプリフラボン、クルクミン、メフェナム酸、クリシン、フェナントレン、ケルセチン、レバミピド、トラニラスト、インドメタシン、ベゼフィブラート、フェニトイン、プラノプロフェン、フロセミド、フラボン、ナプロキセン、2−ナフトエ酸、イブプロフェン、エトドラク、1−ナフトエ酸、アトルバスタチンカルシウム水和物およびクロトリマゾールからなる群より選ばれる少なくとも1種の難水溶性物質(B)と
    を含有することを特徴とする水溶性組成物。
  2. 前記難水溶性物質(B)が、下記(B−1)からなる群より選ばれる少なくとも1種である、請求項1に記載の水溶性組成物。
    (B−1):葉酸、メフェナム酸、レバミピド、トラニラスト、ベゼフィブラート、プラノプロフェン、フロセミド、ナプロキセン、2−ナフトエ酸およびエトドラク。
  3. 請求項1または2に記載の水溶性組成物を含有する、食品、化粧品、医薬品または飼料。
  4. α−グルコシルナリンジン(A)と、
    葉酸、イプリフラボン、クルクミン、メフェナム酸、クリシン、フェナントレン、ケルセチン、レバミピド、トラニラスト、インドメタシン、ベゼフィブラート、フェニトイン、プラノプロフェン、フロセミド、フラボン、ナプロキセン、2−ナフトエ酸、イブプロフェン、エトドラク、1−ナフトエ酸、アトルバスタチンカルシウム水和物およびクロトリマゾールからなる群より選ばれる少なくとも1種の難水溶性物質(B)と
    を含有する溶液を乾燥粉末処理する工程を含むことを特徴とする、水溶性組成物の製造方法。
  5. 前記難水溶性物質(B)が、下記(B−1)からなる群より選ばれる少なくとも1種である、請求項4に記載の水溶性組成物の製造方法。
    (B−1):葉酸、メフェナム酸、レバミピド、トラニラスト、ベゼフィブラート、プラノプロフェン、フロセミド、ナプロキセン、2−ナフトエ酸およびエトドラク。
  6. 前記乾燥粉末処理がエバポレーション法またはスプレードライ法により行われるものである、請求項4または5に記載の水溶性組成物の製造方法。
  7. α−グルコシルナリンジン(A)と、
    葉酸、イプリフラボン、クルクミン、メフェナム酸、クリシン、フェナントレン、ケルセチン、レバミピド、トラニラスト、インドメタシン、ベゼフィブラート、フェニトイン、プラノプロフェン、フロセミド、フラボン、ナプロキセン、2−ナフトエ酸、イブプロフェン、エトドラク、1−ナフトエ酸、アトルバスタチンカルシウム水和物およびクロトリマゾールからなる群より選ばれる少なくとも1種の難水溶性物質(B)と
    を、水中で共存させることを特徴とする、難水溶性物質(B)の水に対する溶解性の改善方法。
  8. 前記難水溶性物質(B)が、下記(B−1)からなる群より選ばれる少なくとも1種である、請求項7に記載の水に対する溶解性の改善方法。
    (B−1):葉酸、メフェナム酸、レバミピド、トラニラスト、ベゼフィブラート、プラノプロフェン、フロセミド、ナプロキセン、2−ナフトエ酸およびエトドラク。
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