JP4494722B2 - ショーツ - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、クロッチ部に生理用ナプキンを装着するショーツに係り、特に夜用の厚型の生理用ナプキンをしっかり保持して位置ずれを防止でき、しかも身体へのフィット性に優れると共に締め付け違和感が生じ難いショーツに関する。
【0002】
【従来の技術】
ショーツは、クロッチ部に装着された生理用ナプキンを身体の股間部に動くことなく確実に保持でき、股間部での生理用ナプキンの位置ずれを防止することができ、しかも股間部への食い込みを軽減し、穿き心地のよいものが要求される。
【0003】
この種のショーツとして、前身頃と後身頃の中央領域に引張荷重の大きいセクションを設け、前身頃と後身頃との間に置かれ前身頃と後身頃とを接合する股領域と一対の弾性脚開口とを有する衣服であって、股領域に長手方向伸張制御部材を有し、この長手方向伸張制御部材からウエストバンドに伸びる伸張制御部材を前身頃および後身頃に備えたものが特許文献1に開示されている。また、本発明者らは、特許文献2に開示のショーツを提供している。このショーツは、生理用ナプキンを股間部にフィットさせ易く、股間部への食い込みを軽減し、はき心地の良いショーツを提供する事を目的としているものであり、腰天回り部にウエストバンドが足操り回りにレッグバンドが設けられ、クロッチ部が生理用ナプキンの装着部とされたショーツで、ショーツを立体形状にした時のクロッチ部から腰天までの股上丈と、足操りから腰天までの最短部の身丈との寸法比は、股上丈の100に対して前記身丈が80〜200であり、後身頃にはクロッチ部から腰天にかけて吊り上げ弾性部材が設けられていることを特徴とするものである。
【0004】
【特許文献1】
特表2001−522958号公報
【特許文献2】
特開2002−660号公報
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
ところが、特許文献1にあっては、伸張制御部材によって股領域に置かれた生理用ナプキンを身体に密接に接触させることができるが、この伸張制御部材は、幅が公報の図にあるように細い線として存在しているので、力が線状の1点に集中し、着用時に身体へのくい込みが発生したり、また生理用ナプキンを中央部で折れ曲げて山型としてしまい、その折れ曲がった頂点が身体へ違和感を与える恐れがある。
【0006】
また、前身頃と後身頃とを縫合して2つの弾性脚開口を形成するようになっているので縫合部が股下中央部分に一対の脚開口間に向く幅方向に存在するようになる。このため、ショーツに生理用ナプキンを装着する場合、生理用ナプキンを安定的に保持する土台が存在しなくなり、生理用ナプキンが細くヨレたり、生理用ナプキンの粘着部がショーツ本体から剥がれたりすることにより漏れを生じさせる可能性が高いという不都合があった。
【0007】
また、特許文献2にあっては、後身頃に設けられている吊り上げ弾性部材が縦方向に伸びて弾性収縮力を発揮するが、この弾性収縮力は後身頃の中心部においてほぼ脊髄に沿い、お尻の中央のくぼみおよび股間部に沿ってほぼ直線的に作用する。そのため、吊り上げ弾性部材は後縫合部において股下布の寸法を二分する中央線部分において股下布に前後方向の大きな引張り張力が作用し、クロッチ部の生理用ナプキンを膣口に押し付ける。
【0008】
しかしながら、このショーツは、後身頃に設けられている弾性部材が縦方向に伸びて弾性収縮力を発揮し、生理用ナプキンを体にフィットさせる構造であったが、後身頃に弾性部材が設けられており、前身頃は伸縮性の十分ある生地で構成されているため、夜用の厚型の生理用ナプキンを装着する場合は、後身頃の弾性部材で生理用ナプキンを引き上げて体にフィットさせようとしても、生理用ナプキンが厚くて剛性が高いため弾性部材が伸びてしまい、生理用ナプキンを押え付ける力として作用せず、お尻や股間部へ十分にフィットさせることができないことになる。
【0009】
そのため、生理用ナプキンと身体との間に隙間が生じ、お尻を伝って経血が生理用ナプキンから漏れることがある。また、この隙間を通して経血が広がることにより肌に接触する経血が増え、肌への負担が大きくてカブレにつながる可能性が有った。
【0010】
また、睡眠中は無意識に身体を動かすため、生理用ナプキンの位置ズレやヨレを防ぐために締め付けの強いガードルなどで押さえ付けるようして締め付けると、締め付けによるむくみや血管の血行を阻害するおそれがあり身体へ与えるストレスが大きい。
【0011】
このため、身体全体を締め付けるのではなく、生理用ナプキンの必要な部分のみを押し当てて身体へフィットさせる構造のショーツが望まれる。
【0012】
本発明は、以上のような課題に鑑みてなされたものであり、その目的は、夜用の厚型の生理用ナプキンを股間部やお尻の溝にフィットさせ易いと共に位置ずれを防止することができ、しかも股間部への食い込みを軽減し、全体的に締め付け感のない穿き心地のよいショーツを提供することにある。
【0013】
【課題を解決するための手段】
この発明は、このような従来の問題点に着目してなされたもので、伸縮性の良好な部材で構成された良伸縮部と、伸縮性が微少な部材で構成された微伸縮部とで構成されたショーツであって、クロッチ部が前身頃および後身頃に橋渡しされた形態で設け、前記微伸縮部をクロッチ部の後端部から後身頃のウエストホールド部にかけての中央領域に割り当て、その縦方向の伸張係数をその周辺のお尻や腹部等のウエストを覆っている良伸縮部の縦方向の伸張係数よりも大きくする。またクロッチ部の中央領域に後身頃の微伸縮部につながるナプキン引き上げ部を設け、その縦方向の伸張係数をその周辺の股間部を覆っているクロッチ部を構成する股下布の縦方向の伸張係数よりも大きくするという構成とすることにより、上記課題を解決し、本発明を完成するに至った。
【0014】
より具体的には、本発明は、以下のようなものを提供する。
【0015】
(1) 伸縮性の良好な部材で構成された良伸縮部と、伸縮性が微少な部材で構成された微伸縮部と、で構成され、前身頃と、後身頃と、前記前身頃と前記後身頃との間に橋渡しされた形態で設けられたクロッチ部と、前記前身頃の上縁部と前記後身頃の上縁部とで形成された腰天回り部と、前記前身頃の両側縁と後身頃の両側縁との下方に形成される一対の脚開口部と、を有し、前記後身頃のほぼ中央領域において、前記クロッチ部から前記腰天回り部に向けて設けられた帯状領域に前記微伸縮部が割り当てられているショーツを提供する。
【0016】
本発明によれば、ショーツを着用しようとして引っ張り上げた際に、クロッチ部から腰天回り部に向けて設けられた一定領域に割り当てられている微伸縮部は、伸びることなく、連接するクロッチ部を引き上げるように作用する。これにより、クロッチ部に装着されている生理用ナプキンが持ち上げられ、身体側の股間部やお尻の溝にフィットすることになり、生理用ナプキンと身体との隙間が生じ難くなり、経血等の漏れを防止できることになる。また、ショーツは伸縮性の良好な良伸縮部で構成されているので、ガードルのように全体的に締め付け感がなく穿き心地がよい。また、クロッチ部は前身頃と後身頃との間に橋渡しされた形態で設けられているので、着用時には恥骨付近と肛門より後付近に存在することになり、このクロッチ部に生理用ナプキンを装着して、ショーツを着用した時には、生理用ナプキンをクロッチ部に安定的に着用することができるためヨレがなく、経血の漏れにつながる恐れがない。
【0017】
ここで、前身頃とはショーツの身頃のうち前の部分であって、腹部を覆う部分であり、後身頃とはショーツの身頃のうち背の方であって、ウエストの背側を覆う部分を意味する。また、身頃とは身体のウエストの部分を覆う部分を意味する。また、クロッチ部を前身頃および後身頃に橋渡しされた形態で設けるとは、前身頃と後身頃とが直接に連結されてクロッチ部が形成されているのではなく、股下布を前身頃および後身頃に縫合等によって連結してクロッチ部を形成することを意味する。
【0018】
(2) 前記微伸縮部は、縦方向の伸張係数が、前記良伸縮部の縦方向の伸張係数よりも大きいものであることを特徴とする(1)に記載のショーツを提供する。
【0019】
本発明によれば、夜用の生理用ナプキンをナプキン装着部に装着してショーツを着用しようと引っ張り上げた際に、微伸縮部がクロッチ部と縫合されている点を基点として引き上げられる。そして、この微伸縮部を引っ張り上げる力はクロッチ部を引っ張り上げる力として作用し、ナプキン装着部に装着された夜用の生理用ナプキンを吊り上げる力として働く。この場合、微伸縮部の縦方向の伸張係数は微伸縮部付近の良伸縮部よりも大きいので、微伸縮部に連接するクロッチ部、更にはクロッチ部に装着された生理用ナプキンを引っ張り上げる力として効果的に作用する。このため、従来のような後身頃中心部が伸張性を有しているショーツのように、腰天回りを持って引っ張り上げても後身頃の中心部が長く伸びるだけで、生理用ナプキンを引っ張り上げる力として作用し難いということはないので、夜用の厚型の生理用ナプキンでも股間部やお尻の溝にフィットさせやすいことになる。
【0020】
この微伸縮部の伸張性は、縦方向の伸張係数(引張荷重を伸張率で除したもの)が10N〜60N程度で、より好ましくは20N〜50N程度である。伸張係数が10Nより小さいと生理用ナプキンを吊り上げる力として不十分であり、ショーツを引き上げた際に、伸びが大きすぎて生理用ナプキンを引き上げる力として有効に作用しないことになる。60Nより大きい場合、生理用ナプキンをフィットさせる力以上の引き上げ力が作用しやすく、生理用ナプキンが必要以上に身体へくい込みすぎて、違和感や痛みを生じさせることになるのであまり好ましくはない。また、例えばビニールテープや紐などのような伸ばしても素材自体が伸びないものであった場合でも、ショーツを引き上げる力がそのまま生理用ナプキンを引き上げる力として作用するので、生理用ナプキンを身体の隙間に食い込ませ過ぎることになるので好ましくない。
【0021】
ここで、微伸縮部の縦方向および良伸縮部の縦方向とは、ショーツを装着する際に上げ下げする方向(図1および図2のY方向)であって、股間部および脚開口部から腰天回り部に向かう方向を意味する。また、股間部とは身体の股の間を意味し、膣口、会陰部、肛門等の部位を含む。また、伸張係数とは、後述する方法でショーツの各部位(微伸縮部、良伸縮部、ナプキン引き上げ部、固定部)を引っ張って伸張させた際の伸張荷重をそのときの伸張率で除した値を意味し、伸張係数が大きいほど伸び難いことになる。
【0022】
(3) 前身頃と、後身頃と、前記前身頃と前記後身頃との間に橋渡しされた形態で設けられたクロッチ部と、前記前身頃の上縁部と前記後身頃との上縁部とで形成された腰天回り部と、前記前身頃の両側縁と前記後身頃との両側縁の下方に形成される一対の脚開口部と、を有し、前記クロッチ部が生理用ナプキンの装着部とされたショーツにおいて、前記クロッチ部のほぼ中央領域に前記前身頃から前記後身頃に亘って設けられたナプキン引き上げ部を備え、該ナプキン引き上げ部の縦方向の伸張係数が、前記クロッチ部を構成する股下布の縦方向の伸張係数よりも大きいことを特徴とするショーツを提供する。
【0023】
本発明によれば、ナプキン引き上げ部は、周辺の股下布よりも縦方向の伸張係数が大きいため、ナプキン引き上げ部がその周辺の生地より強い力で引っ張り上げられ、クロッチ部に装着した生理用ナプキンの中央部を上方(身体の股間部側)に持ち上げる力として働く。尚、このナプキン引き上げ部の伸長性は伸張係数が5N〜30N程度で、より好ましくは10N〜25N程度である。伸張係数が5Nより小さいと微伸縮部からの引き上げる力に対して生理用ナプキンの中央部を吊り上げる力として有効に働かないことになる。また、(1)で述べたようにクロッチ部は前身頃と後身頃との間に橋渡しされた形態で設けられているので、着用時には恥骨付近と肛門より後付近に存在することになり、このクロッチ部に生理用ナプキンを装着して、ショーツを着用した時には、生理用ナプキンをクロッチ部に安定的に着用することができるためヨレがなく、経血の漏れにつながる恐れがない。また、クロッチ部を構成する股下布の内側に防水機能付の防水布を前端部と後端部のみ本体と縫合することにより漏れを防止し、且つナプキンの羽根をしまうことができるナプキン装着布を設けた場合に、股下布と前身頃、後身頃との縫合部に一致させて縫合することができるので縫合箇所が少なくてすみ、着用時のゴロツキ感や外観を損なうことがない。ここで、ナプキン引き上げ部の縦方向とは、前身頃と後身頃との間に向く方向を意味する。
【0024】
(4) 前身頃と、後身頃と、前記前身頃と前記後身頃との間に橋渡しされた形態で設けられたクロッチ部と、前記前身頃の上縁部と前記後身頃との上縁部で形成された腰天回り部と、前記前身頃の両側縁と前記後身頃との両側縁の下方に形成される一対の脚開口部と、を有し、前記クロッチ部が生理用ナプキンの装着部とされ、伸縮性の良好な部材で構成された良伸縮部の中に微少な伸縮性の部材で構成された微伸縮部とが設けられたショーツにおいて、前記微伸縮部は、前記後身頃のほぼ中央領域に前記クロッチ部から前記腰天回り部に向けて設けられ、前記クロッチ部のほぼ中央領域に前記前身頃から前記後身頃に亘ってナプキン引き上げ部が設けられ、前記微伸縮部と前記ナプキン引き上げ部とが前記クロッチ部の前記後身頃側の端部で縫合され、前記微伸縮部の縦方向の伸張係数が、前記良伸縮部の縦方向の伸張係数よりも大きく、前記ナプキン引き上げ部の縦方向の伸張係数が、前記クロッチ部を構成する前記股下布の縦方向の伸張係数よりも大きいことを特徴とするショーツを提供する。
【0025】
本発明によれば、前記(2)および(3)で述べたように、ショーツを着用時の微伸縮部を引っ張り上げる力は、ナプキン引き上げ部を引っ張る力として働くことになる。また、ナプキン引き上げ部はその周辺の股下布より強い力で引っ張り上げられ、クロッチ部に装着した生理用ナプキンの中央部を上方(身体の股間部側)に持ち上げる力として働く。このため、股間部に生理用ナプキンをよりフィットするように固定できることになる。また、(1)で述べたようにクロッチ部は前身頃と後身頃との間に橋渡しされた形態で設けられているので、着用時には恥骨付近と肛門より後付近に存在することになり、このクロッチ部に生理用ナプキンを装着して、ショーツを着用した時には、生理用ナプキンをクロッチ部に安定的に着用することができるためヨレがなく、経血の漏れにつながる恐れがない。
【0026】
(5) 前記クロッチ部は、前記前身頃と前記後身頃とに縫合された前記股下布で構成されるものであることを特徴とする(1)から(4)いずれか記載のショーツを提供する。
【0027】
本発明によれば、股下中間部には幅方向(一対の脚開口部間に向く方向)に縫合部が存在することなく、前身頃と股下布前端部、後身頃と股下布後端部にそれぞれ縫合部が存在する。そして、それぞれの縫合部は、着用時には恥骨付近と肛門より後付近に存在する。そのため、生理用ナプキンを装着する時には、その股下布に安定的に着用することができるためヨレがなく経血の漏れにつながる恐れがないことになる。
【0028】
(6) 前記ショーツは、前記腰天回り部近傍で前記後身頃と前記前身頃に亘って設けられたウエストホールド部を更に備えることを特徴とする(1)から(5)いずれか記載のショーツを提供する。
【0029】
本発明によれば、ウエストホールド部が微伸縮部の引っ張り上げる力や固定部の固定力をショーツの横方向(幅方向)に分散させて、ウエストホールド部で保持するので、広い面積でショーツをウエスト回りにフィットさせることができる。
【0030】
(7) 前記ショーツは、前記前身頃のほぼ中央領域に前記クロッチ部と前記ウエストホールド部と前記良伸縮部とに該良伸縮部の外側で縫合された固定部を備えることを特徴とする(1)から(6)いずれか記載のショーツを提供する。
【0031】
本発明によれば、ショーツを着用時に微伸縮部の引っ張り上げる力を受けて、ナプキン引き上げ部が後身頃側に引っ張られる際に、前身頃の良伸縮部が伸びようとするのを固定部で抑えることができる。これにより、ナプキン引き上げ部の前身頃側は微伸縮部およびナプキン引き上げ部の影響を受けて引っ張られること無く固定されるので、微伸縮部の引っ張り上げる力がそのままナプキン引き上げ部を引っ張る力となり、生理用ナプキンを身体側に引き上げ、股間部やお尻の溝により一層フィットすることになる。
【0032】
(8) 前記微伸縮部は、縦方向において非伸縮性の素材で構成されたものであることを特徴とする(1)、(2)、または(4)から(7)いずれか記載のショーツを提供する。
【0033】
本発明によれば、微伸縮部は縦方向の伸縮性がほとんどないので、夜用の生理用ナプキンをナプキン装着布に装着し、ショーツを着用しようとして引っ張り上げた時に、引っ張り上げる力は生理用ナプキンを吊り上げる力として有効に働くことになる。尚、微伸縮部としては、ナイロン繊維もしくはポリエステル繊維などの編み布で、縦方向にはポリウレタン繊維などの伸縮性部材が構成されておらず、編み構造の変化による多少の伸縮性は有するが、部材による伸縮性は有しない生地といったものが挙げられる。
【0034】
(9) 前記ナプキン引き上げ部は、縦方向において非伸縮性の素材で構成されたものであることを特徴とする(3)から(8)いずれか記載のショーツを提供する。
【0035】
本発明によれば、ナプキン引き上げ部は微伸縮部と同じく縦方向の伸縮性がほとんどないので、ショーツを着用しようとして引っ張り上げた時の微伸縮部からの引っ張り上げる力でナプキン引き上げ部がその周辺の生地より強い力で引っ張られて、生理用ナプキンの中央部を持ち上げる力として働く。尚、ナプキン引き上げ部としては、微伸縮部と同じくナイロン繊維もしくはポリエステル繊維などの編み布で、縦方向にはポリウレタン繊維などの伸縮性部材が構成されておらず、編み構造の変化による多少の伸縮性は有するが、部材による伸縮性は有しない生地といったものが挙げられる。
【0036】
(10) 前記ナプキン引き上げ部は、その縦方向の伸張係数が前記微伸縮部の縦方向の伸張係数よりも小さいことを特徴とする(3)から(9)いずれか記載のショーツを提供する。
【0037】
ショーツを着用した場合、後身頃の微伸縮部がクロッチ部のナプキン引き上げ部を伸ばしながら身体に生理用ナプキンをフィットさせようと働くことになる。もし、ナプキン引き上げ部が微伸縮部より大きい縦方向の伸張係数を有する場合に、ショーツを引き上げた時に、ナプキン引き上げ部は伸びずに、後身頃の微伸縮部が伸びるため生理用ナプキンを身体へ引き上げる力として働き難くなることになる。
【0038】
(11) 前記ナプキン引き上げ部は、前記前身頃側から前記後身頃側にかけて、その幅が狭くなることを特徴とする(3)から(10)いずれか記載のショーツを提供する。
【0039】
本発明によれば、ナプキン引き上げ部が微伸縮部の引き上げる力をうけて後身頃側に引っ張られ、身体の隙間を埋めるようにナプキンを上方向(身体の股間部側)に吊り上げる力として働く。この際、ナプキン引き上げ部の幅は、前身頃に設けられている固定部に縫合された部位(恥骨付近に当接する部位)を最大として、膣口から会陰部、肛門付近にかけて次第に細くなっているので、クロッチ部に装着された生理用ナプキンの中央線上には、その周辺より上向きの力が働くことになる。そして、固定部に縫合された部位の幅を股間幅とほぼ同じ広さにすることにより、恥骨付近が当接するショーツの部位を安定させて、膣口付近で中心がとれるようになる。尚、固定部側の幅が会陰部や肛門付近と同じように狭い場合には、着用した時に生理用ナプキンの中心がずれて、膣口などの中心からずれる可能性があり好ましくない。
【0040】
尚、このナプキン引き上げ部の幅は、前身頃に設けられている固定部に縫合された部位(恥骨付近に当接する部位)を最大として、膣口から会陰部、肛門付近にかけて次第に細くなっている他に、前身頃に設けられている固定部に縫合された部位(恥骨付近に当接する部位)を最大として、膣口から会陰部付近にかけ次第に細くなり、更にこの膣口から肛門付近にかけて広く(但し固定部と縫合された部位の広さより細い)なっていてもよい。
【0041】
(12) 前記ナプキン引き上げ部の幅は、20mmから60mmであることを特徴とする(11)に記載のショーツを提供する。
【0042】
ナプキン引き上げ部の幅が細い線として存在していないので、力が1点に集中することがないため、着用時に身体へのくい込みが発生したり、また生理用ナプキンをナプキン装着布に装着した場合、中央部で折れ曲がり山型になり、その頂点が身体へ違和感を与える恐れがないことになる。
【0043】
(13) 前記固定部の縦方向の伸張係数が、前記良伸縮部の縦方向の伸張係数よりも大きいことを特徴とする(7)から(12)いずれか記載のショーツを提供する。
【0044】
本発明によれば、前身頃中央部の固定部は、恥骨付近が当接するショーツの部位を固定させる力として作用するが、固定部の縦方向の伸張係数が、良伸縮部の縦方向の伸張係数よりも大きいので、前身頃の縦方向へ伸びようとする力が抑えられる。この固定部によって伸びが抑えられるため、微伸縮部やナプキン引き上げ部の影響を受けて前身頃の中央領域が伸びることはなく、恥骨付近が当接するショーツの部位が固定されることになる。尚、この固定部の縦方向の伸張係数は10N〜30N程度、より好ましくは15N〜25N程度である。これは、前身頃の腹部は身体の動きによって変形が大きい部分であるため、全く伸びの無い生地とした場合には、前身頃上端の腰天回り部が下にズレ下がり、フィット性を損なうおそれがあるためである。尚、この固定部はナイロン繊維とポリウレタン繊維等とからなるパワーネットで構成されている。
【0045】
ここで、固定部の縦方向とは、ショーツを装着する際に上げ下げする方向であって、股間部および脚開口部から腰天回り部に向かう方向(図2に示すY方向)を意味する。
【0046】
(14) 前記微伸縮部の腰天回り部側の上端部は、前記ウエストホールド部とほぼV字状に縫合されていることを特徴とする(1)、(2)、または(4)から(13)のいずれか記載のショーツを提供する。
【0047】
本発明によれば、微伸縮部を構成する生地のウエストホールド部からクロッチ部までの長さは、ウエストホールド部と縫合されているV字状の中央部(V字の中央先端部)からクロッチ部までの長さの方がその左右端部よりも短いことになる。生地が短い方が長い部分に比べて伸張時の伸張量は大きくなるので、微伸縮部が上方へ引っ張り上げられた場合、V字状の中央部からクロッチ部までの部位がその左右端部よりも強い力で引っ張り上げられるようになる。そのため、中央部が弛んだりせず、生理用ナプキンを引き上げる力が発現することになる。
【0048】
(15) 前記固定部の腰天回り部側の上端部は、前記ウエストホールド部とほぼV字状に縫合されていることを特徴とする(6)から(13)いずれか記載のショーツを提供する。
【0049】
本発明によれば、固定部を構成する生地のウエストホールド部からクロッチ部までの長さは、ウエストホールド部と縫合されているV字状の中央部(V字の中央先端部)からクロッチ部までの長さがその左右端部よりも短いことになる。生地が短い方が長い部分に比べて伸張時の伸張量は大きくなるので、上記の微伸縮部で説明したように、固定部が上方へ引っ張り上げられた場合、V字状の中央部からクロッチ部までの部位がその左右端部よりも強い力で引っ張り上げられるようになる。そのため、中央部が弛んだりせず、生理用ナプキンを引き上げる力が発現することになる。
【0050】
(16) 前記クロッチ部の内側には、前後端部が該クロッチ部に縫合され、その中間部が縫合されていないナプキン装着布を備えることを特徴とする(1)から(15)いずれか記載のショーツを提供する。
【0051】
本発明によれば、クロッチ部に縫合された生理用ナプキン装着布はクロッチ部とは完全に一体化されないので、クロッチ部の内側でクロッチ部から独立しているため、ナプキン装着布はクロッチ部と一体して前後方向(前身頃側と後身頃側の方向)へ伸びることなく、あるいは伸びても僅かであるので、装着された生理用ナプキンを確実に保持できる。また、前後端部がクロッチ部に縫合されているので、クロッチ部を構成する股下布と一致させて縫合することができるので縫合箇所が少なくてすみ、着用時のゴロツキ感や外観を損なうことがない。ここで、前後端部とは、ナプキン装着布の前身頃側および後身頃側の端部を意味する。
【0052】
(17) 前記ナプキン装着布の長さは、前記クロッチ部を構成する前記股下布の長さと同等かそれ以上であることを特徴とする(16)に記載のショーツを提供する。
【0053】
本発明によれば、ショーツを引っ張り上げて着用する際に、伸縮生地の股下布からなるクロッチ部が伸ばされても、ナプキン装着布の長さが長いので、伸びることはないか、あるいは伸びたとしても僅かなために、生理用ナプキンをしっかり保持できる。また、クロッチ部が伸ばされた際に、ナプキン引き上げ部が股間部側に押し上げられ、生理用ナプキンが股間部に押し付けられるようになる。
【0054】
(18) 前記良伸縮部と前記微伸縮部との境界において、前記良伸縮部から前記微伸縮部に亘って伸縮性が漸減していくことを特徴とする(1)、(2)、または(4)から(17)いずれか記載のショーツを提供する。
【0055】
本発明によれば、伸縮性が良伸縮部から次第に低減しているので、ショーツを着用するために引き上げる際に微伸縮部の伸びが漸次減少していくことになり、違和感なくフィットすることになる。
【0056】
(19) 前記良伸縮部と前記微伸縮部との境界において、前記良伸縮部から前記微伸縮部に亘って伸縮性が不連続的に変化するものであることを特徴とする(1)、(2)または(4)から(17)いずれか記載のショーツを提供する。
【0057】
微伸縮部の伸縮性が良伸縮部から微伸縮部に亘って不連続的に変化するものとすることで、良伸縮部と微伸縮部とがくっきりと区画されていることになり、くっきりとした区画なしになされていたような場合(すなわち、伸縮性が連続的に変化するような場合)に比べると、フィット性は低下するものの、生理用ナプキンの引き上げの効果は良好となる。
【0058】
(20) 前記ショーツを立体形状にしたときの、前記クロッチ部から前記腰天回り部までの股上丈と、前記脚開口部から前記腰天回り部までの最短部の身丈との寸法比は、前記股上丈の100に対して前記身丈が80〜200であることを特徴とする(1)から(19)いずれか記載のショーツを提供する。
【0059】
本発明によると、身丈が長いため、脚開口部に設けられたレッグバンドは股部周囲から腰骨のあたりまでを締め付けるのではなく、装着者の大腿部を締め付けるようになる。従って、クロッチ部にレッグバンドによる斜めの引き上げ力が作用しないので、股間部への食い込みが生じなくなる。さらにクロッチ部にレッグバンドによる大きな引き上げ力が作用しないために、後身頃に設けられた微伸縮部によりクロッチ部の生理用ナプキンが確実に上方に吊り上げられることとなり、より一層フィットすることになる。
【0060】
(21) 前記微伸縮部、および前記ナプキン引き上げ部、前記ウエストホールド部は、前記良伸縮部と異なる色調や光沢を呈するものであることを特徴とする(1)から(20)いずれか記載のショーツを提供する。
【0061】
本発明によれば、微伸縮部、およびナプキン引き上げ部、ウエストホールド部は良伸縮部と色や質感が異なることにより、見た目に区別がし易くなる。このようにウエストホールド部、微伸縮部、およびナプキン引き上げ部が目立つようになることにより、着用者はこれら引き上げ部を認識し易くなると共に、引き上げ部の効果を実感し易くなる。また、ショーツのほぼ中央部に設けたこれら引き上げ部が見た目に他の生地の部分と異なることにより、ショーツに生理用ナプキンを装着して位置合わせする際に、生理用ナプキンの中央部とショーツの中央部とがあわせ易くなり、的確に生理用ナプキンの中央部を身体の股間部の中央部にフィットさせることができるようになる。それにより、経血等の液漏れを防止できるように隙間を塞ぐ効果を向上させることができる。
【0062】
(22) 着用方法を示す表示が前記前身頃または前記後身頃に設けられたことを特徴とする(1)から(21)いずれか記載のショーツを提供する。
【0063】
本発明によれば、着用者は、その表示をみて生理用ナプキンのフィット性をコントロールすることが可能になる。すなわち、生理用ナプキンをショーツのナプキン装着布に粘着剤等を介して装着し、そのショーツを身体の所定の位置にひっぱりあげて着用する際に、ショーツの脇上部を持って引っ張り上げるが、この着用方法で、ショーツが着用された場合、生理用ナプキンの密着性はある程度有する。ところが、個人により好みの密着度は異なるため、よりフィットさせたい人は、例えば「後身頃中央部の微伸縮部の延長線上の部位を引っ張り上げることにより、より高いフィット性を得ることができる」という表示を見て自分の好みの密着性が得ることができる。このようにして、高い密着性を望む人が着用時にわかりやすく着用することができるように誘導される。
【0064】
(23) 前記表示は、前記微伸縮部の上方の前記腰天回り部の近傍に設けられたものであることを特徴とする(22)に記載のショーツを提供する。
【0065】
本発明によれば、表示の部分を引っ張り上げることにより生理用ナプキンをより一層フィットさせることができる。すなわち、ショーツの脇上部をつかんで装着した後に、更に表示部分を引っ張り上げることにより、微伸縮部が引き上げられることになる。この微伸縮部が引き上げられることによって、先に説明したように生理用ナプキンを身体の股間部側により強く押し上げることとなるため、より高い密着性を得ることができる。
【0066】
【発明の実施の形態】
次に、本発明のショーツの一実施形態について、図を参照しつつ説明するが、本発明はこれに限定されるものでない。
【0067】
本実施形態のショーツの基本構成について説明する。図1は身体に装着していない本発明のショーツの第1の実施形態を前身頃と後身頃とが接するように2つ折りした状態を示す正面図、図2は2つ折りした状態を示す背面図、図3は第1の実施形態の装着状態のものを前身頃側から示す斜視図、図4は第1の実施形態の装着状態を後身頃側から示す斜視図、図5は図2の実施形態のショーツの微伸縮部を拡大した拡大平面図、図6はクロッチ部を底面側から見た部分平面図、図7は図6においてナプキン引き上げ部の別形態を示す部分平面図、図8はクロッチ部を内側から示す部分斜視図、図9はクロッチ部の部分側面図、図10は本発明のショーツ着用時の微伸縮部、ナプキン引き上げ部および固定部の挙動を説明するための説明図、図11は本発明のショーツ着用時の膣口付近のショーツの挙動を説明するための説明図、図12は微伸縮部についての伸張率と引張強度の関係を示す図である。
【0068】
図1から図4に示すように、ショーツ10は、前身頃11と、後身頃12と、前身頃11と後身頃12との間に位置するクロッチ部13と、前身頃11の上縁部と後身頃12の上縁部とで形成された腰天回り部14と、前身頃11と後身頃12の下方に形成される一対の脚開口部15と、クロッチ部13の内側に生理用ナプキンを装着するナプキン装着布16(図8に示す)と、を有し、腰天回り部14近傍に前身頃11と後身頃12に亘ってウエストホールド部17が設けられ、後身頃12の中央領域にはクロッチ部13からウエストホールド部17に向かって微伸縮部18が設けられ、ウエストホールド部17を除いた微伸縮部18から前身頃11全域に亘って良伸縮部19が設けられ前身頃11のほぼ中心線上で縫い合わされている。また、前身頃11の中央領域には、良伸縮部19の外側で、クロッチ部13、ウエストホールド部17、良伸縮部19に縫合された固定部20が設けられ、クロッチ部13の中央領域には微伸縮部18から固定部20に向かってナプキン引き上げ部21が設けられている。また、前身頃11と後身頃12の上端部の腰天回り部14にウエストバンド22が設けられ、脚開口部15にレッグバンド23が設けられている。そして、ショーツ10を立体形状にしたときのクロッチ部13から腰天回り部14までの股上丈Laと脚開口部15から腰天回り部14までの最短部の身丈Lbとの寸法比は、股上丈Laが100に対して身丈Lbが80〜200となる関係にある。
【0069】
良伸縮部19は、例えば、ナイロン繊維とポリウレタン繊維、ポリエステル繊維とポリウレタン繊維、ナイロン繊維とポリエステル繊維とポリウレタン繊維等の編み布で形成することができる。また、上記した繊維の組合せでなくても、伸張係数が10N以下にできれば、他の繊維を使ったり、他の編み方を採用することもできる。また、クロッチ部13は股下布24から構成され、この股下布24は良伸縮部19とクロッチ部13の前身頃11側と後身頃12側で縫合されている。この股下布24は良伸縮部19と同様にナイロン繊維とポリウレタン繊維、ポリエステル繊維とポリウレタン繊維、ナイロン繊維とポリエステル繊維とポリウレタン繊維等で編まれた弾性伸縮自在な生地により形成されている。また、腰天回り部14に設けられたウエストバンド22および脚開口部15に設けられたレッグバンド23は、ポリウレタン繊維で形成された伸縮性織布、合成ゴムシート、天然ゴムシートなどで形成されている。ここで、縦方向とは、腰天回り部14とクロッチ部13および脚開口部15とを上下とする方向(図1に示すY方向)であって、ショーツ10を装着する際に上げ下げする方向を意味し、横方向とは、縦方向と直交する方向(図1に示すX方向)であって、ショーツ10の幅方向を意味する。
【0070】
ウエストホールド部17は、ショーツ10の腰天回り部14近傍に前身頃11および後身頃12の中央部に向けてほぼV字状に形成されて、前身頃11および後身頃12の良伸縮部19に縫合されている。このウエストホールド部17は、横方向への伸張係数よりも縦方向への伸張係数が強い編み布であり、ナイロン繊維とポリウレタン繊維、ポリエステル繊維とポリウレタン繊維、ナイロン繊維とポリエステル繊維とポリウレタン繊維等の編み布で形成されている。また、腰天回り部14の上端部に設けられたウエストバンド22は約10mm程度のポリウレタンバンド、天然ゴムバンド、合成ゴムバンドなどで、伸張状態でウエストホールド部17に縫合されている。
【0071】
このウエストホールド部17は、微伸縮部18や固定部20によるナプキン引き上げ部21を引き上げる力を分散してウエスト部で保持する役割を果たすものであって、着用した際に腰に引っ掛かるようになって固定されるように、縦方向の伸びが抑えられたものが望ましい。また、横方向の伸張係数は、良伸縮部19の横方向の伸張係数よりも大きい方がウエスト部の締め付けが強くなり、ショーツ10のズレ下がりを防止できるので好ましい。
【0072】
上記微伸縮部18は、後身頃12のほぼ中央領域に、上端部がウエストホールド部17の中央部分(V字状の中央先端を挟んだ近傍部分)でウエストホールド部17と縫合され、下端部はクロッチ部13の後身頃12側の端部(クロッチ部13の後端部)と縫合され、中間部は良伸縮部19に縫合されて形成され、ウエスト上端部付近のウエストホールド部17からクロッチ部13の後端部まで伸び、クロッチ部13の後端部へ近づくにつれて細くなっている。この細い部分の幅は、10mm〜30mm程度で、望ましくは20mm程度である。ウエストホールド部17と縫合されている部分の幅は30mm〜130mm程度、望ましくは60mm程度である。尚、微伸縮部18は、腰天回り部14まで伸びていてもよい。
【0073】
また、上記のように微伸縮部18の上端部とウエストホールド部17との縫合部はほぼV字状になっているので、微伸縮部18を構成する生地のウエストホールド部17からクロッチ部13までの長さは、ウエストホールド部17と縫合されているV字状の中央部(V字の中央先端部)からクロッチ部13までの長さ(図1に示すLcに相当)の方がその左右端部の長さ(図1に示すLdに相当)よりも短い。このため、V字状の中心部からクロッチ部13までの生地は、着用時の伸張率が大きくなる。すなわち、着用時の生地の伸張力が大きいことになる。この微伸縮部18が上方へ引っ張り上げられた場合、V字状の中央部からクロッチ部13までの長さが短いためその左右端部よりも強い力で引っ張り上げられることになり、中央部がたるんだりせず、生理用ナプキン25を引き上げる力が発現するようになる。尚、これらの長さ関係について、このショーツ10をドールに着用させて着用前と着用後の長さと伸張率を測定した結果を表1に示す。表1に示すように、V字状の中央部の長さは、着用前は短く、また着用時の伸縮率が大きいことを表している。
【0074】
【表1】
Figure 0004494722
【0075】
微伸縮部18は、例えば、ナイロン繊維および/またはポリエステル繊維、ナイロン繊維とポリウレタン繊維、ポリエステル繊維とポリウレタン繊維、ナイロン繊維とポリエステル繊維とポリウレタン繊維などの編み布で構成することができる。微伸縮部18を構成する生地としては、縦方向にはポリウレタン繊維などの伸縮性部材が構成されておらず、編み構造の変化による多少の伸縮性は有するが、部材による伸縮性は有しない生地といったものが挙げられ、生地の縦方向への伸張係数が良伸縮部19の縦方向への伸張係数より大きい、すなわち微伸縮部18を構成する生地の方が良伸縮部19より伸び難いものである。これによって、周辺のお尻や腹部を覆う良伸縮部19は縦方向・横方向に伸縮自在の生地で構成されているため、身体の動きによって生じる身体の変形に追従するように働くが、後身頃12のほぼ中央領域に設けた微伸縮部18は、その縦方向の伸張係数が良伸縮部19の伸張係数より大きいために、良伸縮部19の動きの影響を受け難いことになる。
【0076】
尚、微伸縮部18の伸張性は、伸張係数が好ましくは10N〜60N程度あって、より好ましくは20N〜50N程度である。伸張係数が10Nより小さいと生理用ナプキン25を吊り上げる力として不十分であり、60Nより大きいと生理用ナプキン25を身体の隙間に食い込ませ過ぎることになる。尚、微伸縮部18が全く伸びない場合でも、ショーツ10を引き上げる力がそのまま生理用ナプキン25を引き上げる力として作用するが、生理用ナプキン25をフィットさせる力以上の引き上げ力が作用しやすく、生理用ナプキン25が必要以上に身体へくい込みすぎて、違和感や痛みを生じさせることになるのであまり好ましくはない。一方、伸びが大きいとショーツ10を引き上げた際に伸びが大きくて生理用ナプキン25を引き上げる力として有効に作用しない。これに対し、良伸縮部19の伸張係数は10N以下、好ましい伸張係数は、10〜30%伸張時で2N〜3N程度である。具体的には、着用時において約20%の伸張時において伸張荷重は0.4〜0.6N程度であるので、身体に添うようにやさしくフィットするような締め付けとなる。ここで、着用状態での伸張係数とは、Mサイズを想定したドールに着用させた場合の伸張係数を意味する。
【0077】
尚、微伸縮部18は、伸張率が同じもので構成されたものであってもよいし、図5に示すように伸張率を左右の両端部から中央部にかけて漸次減少するように変えたもの、あるいは不連続に変化するものであってもよい。尚、図5は微伸縮部18の部分を拡大した図であって、微伸縮部18はその左右の端部18aから中央部18bにかけて伸張率が除々に変わるのを模式的に示したものである。
【0078】
尚、参考までに、本発明のショーツ10の微伸縮部18の伸張率と引張強度の関係について、従来のショーツと対比して図12に示した。
【0079】
図12に示すように、従来のショーツの後身頃のほぼ中央領域に設けられた弾性部材が着用時に30%の伸びでPという引張荷重がショーツに与えられているとすると、本発明のショーツ10の場合は、同じ30%の伸びでPという引張荷重となり、本発明のショーツ10の方が、従来のショーツよりも引張強度が大きい。すなわち、P>Pである特徴を有している。本発明のショーツ10が着用時に10%しか伸びない場合でも、従来のショーツの引張強度Pよりも強い引張強度Pが本発明のショーツ10に与えられることになる。すなわち、従来のショーツに比べて伸張率が少なくても引張強度が大きく、クロッチ部13を引っ張る力として有効に作用することになる。このため、夜用の生理用ナプキン25を引き上げる力が大きくなり、身体の股間部によりフィットするようになる。
【0080】
また、ショーツ10の固定部20はパワーネットで構成され、前身頃11のほぼ中央領域で、良伸縮部19の外側に位置し、上端部がウエストホールド部17の中央部分(V字状の中央先端を挟んだ近傍部)でウエストホールド部17と良伸縮部19と共に縫合され、下端部はクロッチ部13の前身頃11側の端部(クロッチ部13の前端部)でクロッチ部13のナプキン引き上げ部21とナプキン装着布16と良伸縮部19と共に縫合され、中間部は良伸縮部19に縫合されている。そして、ウエストホールド部17側からクロッチ部13側に近づくにつれて幅が狭くなっており、クロッチ部13のほぼ中央領域に形成されたナプキン引き上げ部21に縫合し連結されている。ナプキン引き上げ部21に連結される部分の幅は、ナプキン引き上げ部21の前身頃11側前端部の幅とほぼ一致している。また、ウエストホールド部17と縫合し連結されている上端部はほぼV字状になっており、その幅は60mm〜150mm程度、望ましくは80mm〜120mm程度である。
【0081】
上記のように固定部20の上端側はウエストホールド部17とほぼV字状に縫合されていることにより、微伸縮部18の場合と同様に、この固定部20が上方へ引っ張り上げられた場合、V字状の中央部(V字の中央先端部)からクロッチ部13までの長さ(図1に示すLc)が左右端部の長さ(図1に示すLd)より短いために左右端部よりも強い力で引っ張り上げられることになる(表1参照)。そのため、中央部がたるんだりせず、生理用ナプキン25を引き上げる力が発現することになる。
【0082】
この固定部20を構成するパワーネットは、ナイロン繊維と100dtex以上のポリウレタン繊維で構成された生地であって、縦方向の伸張係数が良伸縮部19の縦方向の伸張係数より大きい、すなわち固定部20を構成するパワーネットの生地の方が良伸縮部19より伸び難いものである。この固定部の縦方向の引張強度は伸張係数が10N〜30N程度、より好ましくは15N〜30N程度である。尚、固定部20を構成するパワーネットの繊維の種類や混合割合等は、これに限定されるものでなく、上記の効果が得られるように適宜選定すればよい。
【0083】
また、上記ナプキン引き上げ部21は、良伸縮部19と同様の素材の股下布24から構成されるクロッチ部13のほぼ中央領域に、図6に示すように、一方の端部が後身頃12のほぼ中央領域に設けられた微伸縮部18の股間部側の端部と縫合され、他方の端部が前身頃11のほぼ中央領域に設けられた固定部20の股間部側の端部と縫合され、その中間部は股下布24と縫合されて形成され、着用時に恥骨に当接する部分近傍から肛門付近までのびており、前身頃11側前端部から後身頃12側後端部へ近づくにつれて幅が狭くなっている。ナプキン引き上げ部21の幅は広い部分が50mm〜80mm程度、望ましくは70mm程度であって、幅が狭い部分が10mm〜30mm程度、望ましくは20mm程度である。
【0084】
このナプキン引き上げ部21は、微伸縮部18と同じくナイロン繊維および/またはポリエステル繊維、ナイロン繊維とポリウレタン繊維、ポリエステル繊維とポリウレタン繊維、ナイロン繊維とポリエステル繊維とポリウレタン繊維などの編み布で、縦方向にはポリウレタン繊維などの伸縮性部材が構成されておらず、編み構造の変化による多少の伸縮性は有するが、部材による伸縮性は有しない生地で構成されており、縦方向の伸張係数が微伸縮部18の縦方向の伸張係数より小さい、すなわちナプキン引き上げ部21を構成する生地の方が微伸縮部18より伸び易いものである。
【0085】
このナプキン引き上げ部21の伸張性は、伸張係数が5N〜30N程度であるのが好ましく、より好ましくは10N〜25N程度である。伸張係数が5Nより小さいと伸び易くなり生理用ナプキン25の中央部を吊り上げる力として不十分である。30Nより大きいと微伸縮部18よりも伸縮性が高くなり、生理用ナプキン25中央部を身体の隙間にフィットさせるための吊り上げる作用が働き難くなる。
【0086】
また、ナプキン引き上げ部21の幅は、図7に示すように、固定部20に縫合された部位の幅を最大として、中間域に向けて次第に細くなり、更に中間域から微伸縮部18に縫合された部位に向かって広くなってもよい。この場合、微伸縮部18に縫合された部位のナプキン引き上げ部21の幅は、固定部20に縫合された部位の幅よりも狭くなっている。
【0087】
また、クロッチ部13の内側には、図8に示すように、ナプキン装着布16がその前身頃11側前端部と後身頃12側後端部をクロッチ部13に縫合されて設けられている。ナプキン装着布16はポリエステルのニット編みの丸編み鹿の子の生地にポリウレタンをラミネート加工して形成された防水布と、ラミネート加工されたフィルム面を保護するためのポリエステルのニット編み生地の左右端部周辺を縫合して生地とフィルムとを一体化させたものである。尚、ナプキン装着布16の長さLは、図9に示すように、クロッチ部13の長さLと同一かそれ以上である。具体的には、クロッチ部13の長さLは140mm〜190mm程度、望ましくは160mm程度である。また、ナプキン装着布16の長さLは140mm〜220mm程度、望ましくは200mm程度である。
【0088】
更に、ショーツ10の良伸縮部19は黒色のセミダルの生地を用い、ウエストホールド部17、微伸縮部18、ナプキン引き上げ部21は茶色のブライトの生地を用いている。尚、固定部20を構成するパワーネットも良伸縮部19の生地と異なる色で構成されていても良い。このように、良伸縮部19とウエストホールド部17、微伸縮部18、ナプキン引き上げ部21、固定部20が異なる色、もしくは同色であっても配合酸化チタン量を変えた繊維で構成させて、光の反射が異なるようにして、これら引き上げ部が見た目に目立つようになっているのが好ましい。
【0089】
次に、本発明のショーツ10を着用した際、ショーツ10に設けられた微伸縮部18、ナプキン引き上げ部21、固定部20の挙動について、図10および図11に基づいて説明する。尚、図10は本発明のショーツ着用時の身体の股間部における微伸張部、ナプキン引き上げ部および固定部の挙動を説明するための説明図で、身体の股間部における断面を表す。また、図11はショーツ着用時の膣口付近のショーツの挙動を説明するための説明図で、膣口部分の横断面を表す。
【0090】
ショーツ10を着用すると、図10に示すように、微伸縮部18の引っ張り上げる力Tを受けて、ナプキン引き上げ部21が基点A(固定部20とクロッチ部13との縫合部で、身体の恥骨に当接する付近)を基点にして身体の隙間を埋めるように後身頃側に引っ張る力Tが働く。そして、ナプキン引き上げ部21を引っ張る力Tが生理用ナプキン25の中央部に上向きの力Tとして働くことになる。尚、基点A側におけるナプキン引き上げ部21の幅は約70mm程度あり、膣口から会陰部、肛門付近にかけて(微伸縮部18とクロッチ部13との縫合部である基点Bにかけて)だんだん細くなり幅が約20mm程度となっている。これにより、基点A側の幅が広くなっているので、基点Aを安定させて、膣口付近で中心がとれるようになる。もし基点A側の幅が約20mm程度の細い場合には、着用した時に、中心がずれる恐れがあり、膣口などの中心からずれる可能性があるので好ましくない。
【0091】
また、図11に示すように、膣口付近では、ナプキン引き上げ部21の幅が約20mm程度と狭くなっているので、ナプキン引き上げ部21がその周辺の生地よりも伸張係数が高いため、より強い力で伸ばされて生理用ナプキン25の中央部を上方に持ち上げる力上向きの力Tとして働くことになる。
【0092】
また、図10に示すように、微伸縮部18が後身頃の上方に引っ張り上げる力Tによって、ナプキン引き上げ部21が後方向(後身頃側)へ引っ張られるように働く。そのため基点Aには、後方向へずれようとする力が生じるが、基点Aが後方へずれると、微伸縮部18およびナプキン引き上げ部21による生理用ナプキン25をフィットさせようとする力が働きにくくなる。すなわち、全体が後方へずれることになり、生理用ナプキン25を身体側へフィットさせる力が生じなくなる。このようなことが生じないようにするために、基点Aはできるだけ固定させるのが望ましいことになるが、これに対して前身頃11の固定部20は、基点Aを固定させる力として作用する。すなわち、固定部20を構成するパワーネットをショーツ10の良伸縮部19の外側に縫合させることにより、前身頃11の縦方向へ伸びようとする力Tを抑えることができる。このようにして、固定部20により前身頃11の伸びが抑えられるため、基点Aは微伸縮部18およびナプキン引き上げ部21の影響を受けて引っ張られること無く固定される。この固定部20を構成するパワーネットの生地の縦方向の伸張係数は10N〜30N程度であるのが好ましい。これは、前身頃11が当接する腹部は身体の動きによって変形が大きい部分であるため、全く伸びの無い生地とした場合、前身頃11の上端のウエスト部が下にズレ下がり、フィット性を損なうおそれがあるためである。
【0093】
ここで、基点Aとは、固定部20とクロッチ部13との縫合部で、身体の恥骨に当接する付近に相当し、基点Bは微伸縮部18とクロッチ部13との縫合部で、肛門よりも後身頃12側であって、恥骨から後方(後身頃12側)150〜200mm付近に相当する。
【0094】
次に、ショーツの各部位(微伸縮部、ナプキン引き上げ部、固定部、良伸縮部)の伸張性の測定方法について説明する。
【0095】
<微伸縮部の測定>
ショーツ10の微伸縮部18のクロッチ部13の後身頃12側の端部(クロッチ部13の後端部)の縫合部と、この縫合部から腰天周り部14方向へチャック間隔100mmになる位置とをチャック(掴み面の寸法が35mm×25mmの矩形状)で掴み、引張り試験機により100mm/minの引張り速度で50%まで微伸縮部18を伸張させ、10%ごとの伸張荷重を測定する。
【0096】
<ナプキン引き上げ部の測定>
ショーツ10のナプキン引き上げ部21と前身頃11との縫合部と、この縫合部から後身頃12方向へチャック間隔150mmになる位置とをチャック(掴み面の寸法が35mm×25mmの矩形状)で掴み、引張り試験機により100mm/minの引張り速度で50%まで伸張させ、伸張度10%ごとの伸張荷重を測定する。
【0097】
<固定部の測定>
ショーツ10の固定部20とクロッチ部13の前身頃11側の端部(クロッチ部13の前端部)と前身頃11との縫合部と、この縫合部から腰天周り部14方向へチャック間隔80mmになる位置とをチャック(掴み面の寸法が35mm×25mmの矩形状)で掴み、引張り試験機により100mm/minの引張り速度で50%まで固定部20を伸張させ、伸張度10%ごとの伸張荷重を測定する。
【0098】
<良伸縮部の測定>
ショーツ10の良伸縮部19を長さ130mm×幅25mmにカットし、このカット片をチャック間隔100mmになるようにしてチャック(掴み面の寸法が35mm×25mmの矩形状)で掴み、引張り試験機により100mm/minの引張り速度で50%まで良伸縮部19を伸張させ、伸張度10%ごとの伸張荷重を測定する。
【0099】
尚、伸張係数は、上記の方法で測定した伸張荷重をそのときの伸張率で除した値である。例えば、20%伸張時に10Nの伸張荷重である場合の伸張係数は10N/0.2=50Nとなる。
【0100】
次に、本発明の第2の実施形態について図13、図14を参照して説明する。図13は第2の実施形態に係るショーツを裏返しにして前身頃と後身頃とが接するように2つ折りした状態を示す背面図である。図14は図13に示す第2の実施形態の別の形態を示す背面図である。尚、以下の実施形態では第1の実施形態と同一の構成要素には同一符号を付して、その重複する説明を省略する。
【0101】
図13に示す第2の実施形態のショーツ10Aは、第1の実施形態のショーツ10において、ショーツ10Aの内側部分において、後身頃12のほぼ中央領域に幅30〜140mm、好ましくは80mm程度で防水布26がクロッチ部13からウエストホールド部17に亘って設けられている。そして、この防水布26はクロッチ部13とウエストホールド部17と微伸縮部18とに縫合されてショーツ10A本体と一体になっている。尚、ショーツ10A本体の伸縮特性を阻害しないようにクロッチ部13からウエストホールド部17に亘る防水布26の左右端部はショーツ10A本体とは縫合されずに遊離している。
【0102】
この防水布26は前述のナプキン装着布16と同様に、ポリエステルのニット編みの丸編み鹿の子の生地にポリウレタンをラミネート加工して形成された防水布と、ラミネート加工されたフィルム面を保護するためのポリエステルのニット編み生地の左右端部周辺を縫合して生地とフィルムとを一体化させたものである。また、ショーツ10A本体の伸縮特性を阻害しない伸縮性を縦方向と横方向に有するものである。
【0103】
このように、ショーツ10Aの内側部分に、後身頃12のほぼ中央領域に防水布26を設けることにより、生理用ナプキンの吸収能力を超える経血量が排出された場合に、生理用ナプキンから溢れ出た経血を防水布26で受け止めてショーツ10Aの外に漏れるのを防止することができる。
【0104】
尚、この防水布26は図14に示すように、下端がクロッチ部13まで延びていないで、ウエストホールド部17から後身頃12のほぼ中間部まで、すなわち、ショーツ10Bに生理用ナプキンを装着した際に、生理用ナプキンの先端部分が防水布26に載るようにしてナプキンの長さを超える部分に設けてもよい。そして、この防水布26はウエストホールド部17と微伸縮部18とに縫合され、また、その下端縁は後身頃12の良伸縮部19に縫合されてショーツ10B本体と一体になっている。尚、ショーツ10B本体の伸縮特性を阻害しないように防水布26の左右端部はショーツ10A本体とは縫合されずに遊離している。
【0105】
次に、本発明の第3の実施形態について図15を参照して説明する。図15は身体に装着していない本発明のショーツの第3の実施形態を前身頃と後身頃とが接するように2つ折りした状態を示す図で、(a)は2つ折りした状態を示す正面図、(b)は2つ折りした状態を示す背面図である。尚、以下の実施形態では第1の実施形態と同一の構成要素には同一符号を付して、その重複する説明を省略する。
【0106】
図15に示す第3の実施形態のショーツ10Cは、第1の実施形態のショーツ10において、クロッチ部13から腰天回り部14までの股上丈Laと脚開口部15から腰天回り部14までの最短部の身丈Lbとの寸法比について、股上丈Laが100に対して身丈Lbが50〜80としたボクサー型でないショーツである。このショーツ10Cは、股上丈に比べ身丈の寸法が短いのでコンパクトとなる。すなわち、ショーツ10Cは、前身頃11と、後身頃12と、前身頃11と後身頃12との間に位置するクロッチ部13と、前身頃11の上縁部と後身頃12の上縁部とで形成された腰天回り部14と、前身頃11と後身頃12の下方に形成される一対の脚開口部15と、クロッチ部13の内側に生理用ナプキンを装着するナプキン装着布16(図8に示す)と、を有し、腰天回り部14近傍に前身頃11と後身頃12に亘ってウエストホールド部17が設けられ、後身頃12の中央領域にはクロッチ部13からウエストホールド部17に向かって微伸縮部18が設けられ、ウエストホールド部17を除いた微伸縮部18から前身頃11全域に亘って良伸縮部19が設けられ前身頃11のほぼ中心線上で縫い合わされている。また、前身頃11の中央領域には、良伸縮部19の外側で、クロッチ部13、ウエストホールド部17、良伸縮部19に縫合された固定部20が設けられ、クロッチ部13の中央領域には微伸縮部18から固定部20に向かってナプキン引き上げ部21が設けられている。また、前身頃11と後身頃12の上端部の腰天回り部14にウエストバンド22が設けられ、脚開口部15にレッグバンド23が設けられている。尚、ショーツ10Cには、図13および図14に示した防水布26をショーツ10Cの内側部分において、後身頃12のほぼ中央領域に設けてもよい。
【0107】
次に、本発明の第4の実施形態について図16、図17を参照して説明する。図16は第4の実施形態に係るショーツの立体形状となったものを示す斜視図で、(a)は前身頃側から示す斜視図、(b)は後身頃側から示す斜視図である。図17は第4の実施形態のショーツに設けられた表示の拡大図である。尚、以下の実施形態では第1の実施形態と同一の構成要素には同一符号を付して、その重複する説明を省略する。
【0108】
図16に示す第4の実施形態のショーツ10Dは、第1の実施形態のショーツ10において、後身頃12のほぼ中央領域に設けられた微伸縮部18の延長線上の上方で、腰天回り部14の近傍のショーツ10Dの内側に表示27が設けられたものである。この表示27は図17に示すような内容が記載されたタグであって、このタグがショーツ10Dの上記した位置に縫い合わされている。
【0109】
これによって、生理用ナプキンをショーツ10Dのナプキン装着布16(図示せず)に粘着剤等を介して装着し、そのショーツ10Dを身体の所定の位置に引っ張り上げて着用する際に、ショーツ10Dの脇上部をつかんで引っ張り上げた後、生理用ナプキンのより高い密着性を望む着用者は、この表示27のタグ部分を持って更に引っ張り上げることにより自分の好みの密着性を得ることができることになる。
【0110】
尚、この表示27は、本実施形態では着用方法を記載したタグを縫い合わせて設けたが、これに限らず印刷や糸による刺繍などにより明示されたものであっても良い。更に、洗濯ネームなどと一緒に記載されたものであっても良い。また、表示27を設ける位置についてもこれに限らず、着用の方法の記載内容等により適宜決めればよい。また、ショーツ10Dの表側に設けてもよい。また、表示の内容もこれに限定されるものでない。
【0111】
以上のように本発明に係るショーツに関して、例を示す図面を参照しつつ具体的に説明したが、本発明はもとより図示例に限定される訳ではなく、前述の趣旨に適合し得る範囲で適当に変更を加えて実施することも可能であり、それらはいずれも本発明の技術的範囲に包含される。
【0112】
【発明の効果】
以上説明したように、本発明に係るショーツは、夜用の厚型の生理用ナプキンを股間部やお尻の溝にフィットさせ易いと共に、位置ずれを防止することができ、しかも股間部への食い込みを軽減でき、ガードルのように全体的に締め付けることもなく穿きごこちがよい。すなわち、微伸縮部とナプキン引き上げ部が夜用の生理用ナプキンを膣口からお尻にかけて中央部を持ち上げて身体に密着させるため、伝い漏れの原因である隙間を無くし、どんな格好で過ごしても生理用ナプキンをしっかりフィットさせる。これによりお尻の谷間を伝って漏れる原因を解消し、どんな格好でも安心して眠れるので、朝すっきりと目覚めることが出来る。また、経血の広がりが少ないので、肌に経血が付着する面積が狭くなり、肌への刺激が少なくなるためカブレなどを防止する事ができる。
【0113】
また、微伸縮部以外の周辺部の良伸縮部やナプキン引き上げ部以外の周辺部の股下布は、伸縮性、通気性の富んだ生地で構成されているため、よけいな締め付け感がないため、締め付けによるむくれや血行不良などを生じさせることが無いので、身体にストレスを与えず、長時間着用していても締め付け感が生じない。
【0114】
また、お腹部分(前身頃)は、パワーネットで構成された固定部によっておさえられているので、ショーツがズレ下がるのを防止して生理用ナプキンをしっかり固定する。
【図面の簡単な説明】
【図1】 身体に装着していない本発明のショーツの第1の実施形態を前身頃と後身頃とが接するように2つ折りした状態を示す正面図である。
【図2】 2つ折りした状態を示す背面図である。
【図3】 第1の実施形態の装着状態を前身頃側から示す斜視図である。
【図4】 第1の実施形態の装着状態を後身頃側から示す斜視図である。
【図5】 図2の実施形態のショーツの微伸縮部を拡大した拡大平面図である。
【図6】 クロッチ部を底面側から見た部分平面図である。
【図7】 図6においてナプキン引き上げ部の別形態を示す部分平面図である。
【図8】 クロッチ部を内側から示す部分斜視図である。
【図9】 クロッチ部の部分側面図である。
【図10】 本発明のショーツ着用時の微伸張部、ナプキン引き上げ部および固定部の挙動を説明するための説明図である。
【図11】 本発明のショーツ着用時の膣口付近のショーツの挙動を説明するための説明図である。
【図12】 微伸縮部についての伸張率と引張強度の関係を示す図である。
【図13】第2の実施形態に係るショーツを裏返しにして前身頃と後身頃とが接するように2つ折りした状態を示す背面図である。
【図14】図13に示す第2の実施形態の別の形態を示す背面図である。
【図15】身体に装着していない本発明のショーツの第3の実施形態を前身頃と後身頃とが接するように2つ折りした状態を示す図で、(a)は2つ折りした状態を示す正面図、(b)は2つ折りした状態を示す背面図である。
【図16】 第4の実施形態に係るショーツの立体形状となったものを示す図で、(a)は前身頃側から示す斜視図、(b)は後身頃側から示す斜視図である。
【図17】 第4の実施形態に係るショーツに設けられた表示の拡大図である。
【符号の説明】
10,10A,10B,10C,10D ショーツ
11 前身頃
12 後身頃
13 クロッチ部
14 腰天回り部
15 脚開口部
16 ナプキン装着布
17 ウエストホールド部
18 微伸縮部
19 良伸縮部
20 固定部
21 ナプキン引き上げ部
22 ウエストバンド
23 レッグバンド
24 股下布
25 生理用ナプキン
26 防水布
27 表示

Claims (19)

  1. 伸縮性の良好な部材で構成され縦方向の伸張係数が10N以下の良伸縮部と、
    伸縮性が微少な部材で構成され縦方向の伸張係数が10N〜60Nであり且つ前記良伸縮部の縦方向の伸張係数よりも大きい微伸縮部と、で構成され、
    前身頃と、
    後身頃と、
    前記前身頃と前記後身頃との間に橋渡しされた形態で設けられたクロッチ部と、
    前記前身頃の上縁部と前記後身頃の上縁部とで形成された腰天回り部と、
    前記前身頃の両側縁と前記後身頃の両側縁との下方に形成される一対の脚開口部と、
    を有し、
    前記微伸縮部は、前記後身頃のほぼ中央領域に前記クロッチ部から前記腰天回り部に向けて帯状に設けられると共に、該微伸縮部の幅は、前記腰天回り部側の端部からクロッチ部側の端部に近づくにつれて狭くなり、前記微伸縮部の腰天回り部側の上端部は、前記腰天回り部近傍で前記後身頃と前記前身頃に亘って設けられたウエストホールド部とほぼV字状に縫合されていること、
    を特徴とするショーツ。
  2. 前記微伸縮部は、縦方向の伸張係数が、前記良伸縮部の縦方向の伸張係数よりも大きいものであることを特徴とする請求項1に記載のショーツ。
  3. 請求項1または2に記載のショーツにおいて、
    前記クロッチ部が生理用ナプキンの装着部とされ、
    前記クロッチ部のほぼ中央領域に前記前身頃から前記後身頃に亘って帯状にナプキン引き上げ部が設けられ、
    前記微伸縮部と前記ナプキン引き上げ部とが前記クロッチ部の後身頃側の端部で縫合され、
    前記ナプキン引き上げ部の幅は、前身頃側の端部である前身頃側前端部から前記後身頃側の端部である後身頃側後端部に近づくにつれて狭くなっており、
    前記ナプキン引き上げ部の縦方向の伸張係数が、前記クロッチ部を構成する股下布の縦方向の伸張係数よりも大きいことを特徴とするショーツ。
  4. 前記クロッチ部は、前記前身頃と前記後身頃とに縫合された股下布で構成されるものであることを特徴とする請求項1からいずれか記載のショーツ。
  5. 前記ショーツは、前記前身頃のほぼ中央領域に
    前記クロッチ部と前記ウエストホールド部と前記良伸縮部とに該良伸縮部の外側で縫合された固定部を備えることを特徴とする請求項1からいずれか記載のショーツ。
  6. 前記微伸縮部は、縦方向において非伸縮性の素材で構成されたものであることを特徴とする請求項1からいずれか記載のショーツ。
  7. 前記ナプキン引き上げ部は、縦方向において非伸縮性の素材で構成されたものであることを特徴とする請求項3からいずれか記載のショーツ。
  8. 前記ナプキン引き上げ部は、その縦方向の伸張係数が前記微伸縮部の縦方向の伸張係数よりも小さいことを特徴とする請求項3からいずれか記載のショーツ。
  9. 前記ナプキン引き上げ部の幅は、20mmから60mmであることを特徴とする請求項3からいずれか記載のショーツ。
  10. 前記固定部の縦方向の伸張係数が、前記良伸縮部の縦方向の伸張係数よりも大きいことを特徴とする請求項5から9いずれか記載のショーツ。
  11. 前記固定部の腰天回り部側の上端部は、前記ウエストホールド部とほぼV字状に縫合されていることを特徴とする請求項5から10いずれか記載のショーツ。
  12. 前記クロッチ部の内側には、前後端部が該クロッチ部に縫合され、その中間部が縫合されていないナプキン装着布を備えることを特徴とする請求項1から11いずれか記載のショーツ。
  13. 前記ナプキン装着布の長さは、前記クロッチ部を構成する股下布の長さと同等かそれ以上であることを特徴とする請求項12に記載のショーツ。
  14. 前記良伸縮部と前記微伸縮部との境界において、前記良伸縮部から前記微伸縮部に亘って伸縮性が漸減していくことを特徴とする請求項1から13いずれか記載のショーツ。
  15. 前記良伸縮部と前記微伸縮部との境界において、前記良伸縮部から前記微伸縮部に亘って伸縮性が不連続的に変化するものであることを特徴とする請求項1から14いずれか記載のショーツ。
  16. 前記ショーツを立体形状にしたときの、前記クロッチ部から前記腰天回り部までの股上丈と、前記脚開口部から前記腰天回り部までの最短部の身丈との寸法比は、前記股上丈の100に対して前記身丈が80〜200であることを特徴とする請求項1から15いずれか記載のショーツ。
  17. 前記微伸縮部、および前記ナプキン引き上げ部、前記ウエストホールド部は、前記良伸縮部と異なる色調や光沢を呈するものであることを特徴とする請求項1から16いずれか記載のショーツ。
  18. 着用方法を示す表示が前記前身頃または前記後身頃に設けられたことを特徴とする請求項1から17いずれか記載のショーツ。
  19. 前記表示は、前記微伸縮部の上方の前記腰天回り部の近傍に設けられたものであることを特徴とする請求項18に記載のショーツ。
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