JP4491766B2 - 可変容量過給機の可変ノズル装置 - Google Patents

可変容量過給機の可変ノズル装置 Download PDF

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、可変容量過給機に係わり、更に詳しくは、過給機を構成するタービンの可変ノズル装置に関する。
【0002】
【従来の技術】
可変容量過給機とは、圧縮機のディフューザ若しくはタービンの排ガス流入部のベーンを可動にして流路面積を可変にしたものであり、特開平1−130002号、特開平9−296731号に開示されている。
【0003】
図5は、特開平1−130002号に開示されている従来の可変容量過給機の可変ノズル装置の構成図である。この図において、1はガス入口ケーシング、2aはノズル取付面、3はノズル軸、4は可変ノズル翼、5はディスタンスピース、6は環状ディスクプレート、7はガス出口案内筒、8はラジアルタービンホイールである。
【0004】
この図において、複数の可変ノズル翼4は、ノズル取付面2a側に設けたノズル軸3に連結され、ノズル部内に周方向に間隔を隔てて配置される。また、ラジアルタービンホイール8(タービンインペラ)は、ガス出口案内筒7内に配置される。更に、ノズル取付面2aから突設した複数のディスタンスピース5によって、ノズル取付面2aと環状ディスクプレート6の間隔が固定され、その間に各可変ノズル翼4がノズル軸3を中心に揺動可能に取付けられている。なお、この図で、2bはガス出口案内筒側の支持面、bはタービン翼部である。
【0005】
この構成により、ノズル軸3を図示しない外部から回転させることにより、可変ノズル翼4を軸3を中心に揺動させ、その間に形成される流路面積を変化させることができる。なお、従来の可変容量過給機の可変ノズル装置は、上述したものの他、種々の構造のものが知られている。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】
上述したように、従来の可変容量過給機の可変ノズル装置において、ディスタンスピース5を用いて、ノズル取付面2aと環状ディスクプレート6の間隔を制御し、その間に配置される各可変ノズル翼4の壁面(2a,6)との隙間を適正範囲に保持していた。
【0007】
また、可変容量過給機の可変ノズル装置は、流路面積を完全に閉じる全閉状態から、流路面積が最大となる全開状態まで、連続的に使用できることが望ましい。そのため、全閉状態において隣接する可変ノズル翼同士が互いに接触して流路を閉鎖するように、可変ノズル翼の翼長(流れ方向の長さ)を十分大きくする必要がある。この場合、逆に全開状態では、可変ノズル翼の内端がタービンインペラ8の外周に密接しており、それ以上開くと可変ノズル翼4がタービンインペラ外周に接触し、損傷を引き起こすおそれがある。
【0008】
そのため、従来の可変容量過給機の可変ノズル装置では、上述したディスタンスピース5の他に、ノズル軸3の回転範囲を制限するノズルストッパ(図示せず)が設置されることがあった。
【0009】
しかし、かかる従来のノズルストッパは、可変容量過給機の外部に設置されているため、可変ノズル機構全体のガタ(隙間やバックラッシュ)の影響を受け、正確な位置決めができない欠点があった。そのため、ノズルストッパが作動しているにもかかわらず、調整ミスやガタの影響で可変ノズル翼4を損傷させてしまったり、逆に安全サイドに設定しすぎて、ノズル全開時の流路面積が不足し、過給機の性能が十分に発揮できない、等の問題点があった。
【0010】
本発明はかかる問題点を同時に解決するために創案されたものである。すなわち、本発明の目的は、(1)各可変ノズル翼の壁面との隙間を適正範囲に保持でき、かつ、(2)可変ノズル機構全体のガタの影響を受けずに、全開位置以上に可変ノズル翼を揺動させることを本質的に防止でき、これにより、流路面積を全閉状態から全開状態まで連続的に使用でき、過給機の性能を十分に発揮させることができる可変容量過給機の可変ノズル装置を提供することにある。
【0011】
【課題を解決するための手段】
本発明によれば、ノズルを取り付けるノズル取付面(2a)と、ノズル取付面を貫通する複数のノズル軸(3)と、該ノズル軸の軸心を中心可能に揺動可能な複数の可変ノズル翼(4)と、ノズル取付面から一定の間隔を隔てその間に可変ノズル翼を挟持する環状ディスクプレート(6)とを備えた可変容量過給機の可変ノズル装置において、前記ノズル取付面(2a)とディスクプレート(6)との間隔を一定に保持するクリアランスコントロールピン(9)を備え、かつ該クリアランスコントロールピンの一部が、全開位置を超えた可変ノズル翼の揺動を阻止するように、全開位置の可変ノズル翼の一部に当接するように位置決めされている、ことを特徴とする可変容量過給機の可変ノズル装置が提供される。
【0012】
上記本発明の構成によれば、ノズル取付面(2a)とディスクプレート(6)との間隔を一定に保持するクリアランスコントロールピン(9)を備えているので、このピンにより、各可変ノズル翼の壁面との隙間を適正範囲に保持できる。
【0013】
また、このクリアランスコントロールピン(9)の一部が、全開位置を超えた可変ノズル翼の揺動を阻止するように、全開位置の可変ノズル翼の一部に当接するように位置決めされているので、このピンは可変ノズル翼に直接接するストッパーとしても機能し、可変ノズル機構全体のガタの影響を受けずに、全開位置以上に可変ノズル翼を揺動させることを本質的に防止できる。従って、これにより、流路面積を全閉状態から全開状態まで連続的に使用でき、過給機の性能を十分に発揮させることができる。
【0014】
本発明の好ましい実施形態によれば、前記クリアランスコントロールピン(9)は、ノズル取付面(2a)とディスクプレート(6)に設けられた貫通孔に嵌合する両端の嵌合部(9a)と、該嵌合部の間に設けられた細径部(9b)と、嵌合部と細径部の間に設けられた一対の円板状鍔部(9c)とからなり、該鍔部の軸方向外端面間の長さがノズル取付面(2a)とディスクプレート(6)との間隔に設定され、かつ鍔部の外径が全開位置の可変ノズル翼の一部に当接するように形成されている。
【0015】
この構成により、両端の嵌合部(9a)がノズル取付面(2a)とディスクプレート(6)に設けられた貫通孔に嵌合し、一対の円板状鍔部(9c)の軸方向外端面がノズル取付面(2a)とディスクプレート(6)とに密着することで、各可変ノズル翼の壁面との隙間を適正範囲に保持できる。
また、鍔部(9c)の外径が全開位置の可変ノズル翼の一部に当接するように形成されているので、相対的に細い細径部(9b)で流れを乱すことなく、鍔部(9c)の外径面が全開位置の可変ノズル翼の一部に当接して、可変ノズル翼に直接接するストッパーとしても機能することができる。
【0016】
また、前記両端の嵌合部(9a)の端部は、ノズル取付面(2a)とディスクプレート(6)に設けられた貫通孔から突出し、この突出部がカシメ加工され、これにより、鍔部の軸方向外端面がノズル取付面(2a)とディスクプレート(6)にそれぞれ密着して形成されている。
この構成により、突出部をカシメ加工するだけで、鍔部(9c)の軸方向外端面をノズル取付面(2a)とディスクプレート(6)とに密着させることができ、他の締結構造に比較して生産コストを低減することができる。
【0017】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の好ましい実施形態を図面を参照して説明する。なお、各図において共通する部分には同一の符号を付し、重複した説明を省略する。
【0018】
図1は本発明の可変ノズル装置を備えた可変容量過給機の断面図である。この図において、可変容量過給機10は、中央の軸受ユニット12を挟んで右側の圧縮機14と、左側のタービン16とからなる。圧縮機14はコンプレッサインペラ15を、タービン16はタービンインペラ8をそれぞれ内蔵する。コンプレッサインペラ15とタービンインペラ8は、軸受ユニット12で支持された連結軸13で互いに連結されており、図示しないエンジンの排ガスでタービンインペラ8を回転駆動し、この回転力を連結軸13を介してコンプレッサインペラ15に伝達し、コンプレッサインペラ15で空気を圧縮して図示しないエンジンに過給するようになっている。
【0019】
また、本発明の可変容量過給機10の可変ノズル装置18は、図1に示すように、ノズルを取り付けるノズル取付面2aと、ノズル取付面2aを貫通する複数のノズル軸3と、ノズル軸3の軸心を中心可能に揺動可能な複数の可変ノズル翼4と、ノズル取付面2aから一定の間隔を隔てその間に可変ノズル翼を挟持する環状ディスクプレート6とを備えている。
【0020】
図2は、図1の部分矢視図であり、(A)はA矢視図、(B)はB矢視図である。この図に示すように、可変ノズル装置18は、矩形の揺動ピン18a、揺動ピン18aが外周部に取付けられた連動板18b、及び連動板18bとノズル軸3を連結する連結板18cとを備える。この構成により、外部から揺動ピン18aをタービンインペラ8の軸心を中心に揺動させると、連動板18bが同軸に揺動し、これに取り付けられた複数のピン19が揺動し、各可変ノズル翼4をノズル軸3を中心に揺動する。従って、揺動ピン18aの揺動により可変ノズル翼4を軸3を中心に揺動させ、その間に形成される流路面積を変化させることができる。
【0021】
図1及び図2に示すように、本発明の可変ノズル装置18は、ノズル取付面2aとディスクプレート6との間隔を一定に保持するクリアランスコントロールピン9を備える。図3に示すように、クリアランスコントロールピン9は、嵌合部9a、細径部9b、及び円板状鍔部9cからなる。
【0022】
両端の嵌合部9aは、ノズル取付面2aとディスクプレート6に設けられた貫通孔に嵌合する。また、この例ではその端部が貫通孔を通して孔から突出し、この突出部がカシメ加工されて、これにより、鍔部の軸方向外端面がノズル取付面2aとディスクプレート6にそれぞれ密着して形成されている。
【0023】
細径部9bは、両端の嵌合部9aの間に設けられ、各可変ノズル翼4に流入するガス流を乱さないように相対的に細く形成されている。
【0024】
一対の円板状鍔部9cは、嵌合部9aと細径部9bの間に設けられている。また、この鍔部9cの軸方向外端面間の長さLは、ノズル取付面2aとディスクプレート6との間隔に設定されている。
【0025】
図4は、本発明の可変ノズル装置の作動説明図である。この図において、(A)は全閉位置、(B)は全開位置を示している。
全閉位置(A)では、この図に示すように、隣接する可変ノズル翼4が互いに接触し、可変ノズル翼4自体がストッパーの機能を果たし、その位置以上には、全閉側に移動しないようになっている。
【0026】
また、本発明では、鍔部9cの外径Dが図4(B)に示すように全開位置の可変ノズル翼の一部に当接するように形成されている。すなわち、本発明では、クリアランスコントロールピン9の一部(この例では9c)が、全開位置を超えた可変ノズル翼4の揺動を阻止するように、全開位置の可変ノズル翼の一部に当接するように位置決めされている。
従って、全閉位置(B)では、ピン9が可変ノズル翼4に直接接するストッパーとしても機能し、可変ノズル機構全体のガタの影響を受けずに、全開位置以上に可変ノズル翼を揺動させることを本質的に防止できる。
【0027】
なお、本発明は上述した実施例及び実施形態に限定されず、本発明の要旨を逸脱しない範囲で種々変更できることは勿論である。
【0028】
【発明の効果】
上述したように、本発明の構成によれば、ノズル取付面2aとディスクプレート6との間隔を一定に保持するクリアランスコントロールピン9を備えているので、このピンにより、各可変ノズル翼の壁面との隙間を適正範囲に保持できる。
【0029】
また、このクリアランスコントロールピン9の一部が、全開位置を超えた可変ノズル翼の揺動を阻止するように、全開位置の可変ノズル翼の一部に当接するように位置決めされているので、このピンは可変ノズル翼に直接接するストッパーとしても機能し、可変ノズル機構全体のガタの影響を受けずに、全開位置以上に可変ノズル翼を揺動させることを本質的に防止できる。従って、これにより、流路面積を全閉状態から全開状態まで連続的に使用でき、過給機の性能を十分に発揮させることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の可変ノズル装置を備えた可変容量過給機の断面図である。
【図2】図1の部分矢視図である。
【図3】図1のクリアランスコントロールピンの構成図である。
【図4】本発明の可変ノズル装置の作動説明図である。
【図5】従来の可変ノズル装置の構成図である。
【符号の説明】
1 ガス入口ケーシング、2a ノズル取付面、2b 支持面、
3 ノズル軸、4 可変ノズル翼、5 ディスタンスピース、
6 環状ディスクプレート、7 ガス案内筒、
8 ラジアルタービンホイール(タービンインペラ)、
9 クリアランスコントロールピン、
9a 嵌合部、9b 細径部、9c 鍔部、
10 可変容量過給機、12 軸受ユニット、
13 連結軸、14 圧縮機、15 コンプレッサインペラ、
16 タービン、18 可変ノズル装置、
18a 揺動ピン、18b 連動板、18c 連結板、
19 ピン

Claims (3)

  1. ノズルを取り付けるノズル取付面(2a)と、ノズル取付面を貫通する複数のノズル軸(3)と、該ノズル軸の軸心を中心可能に揺動可能な複数の可変ノズル翼(4)と、ノズル取付面から一定の間隔を隔てその間に可変ノズル翼を挟持する環状ディスクプレート(6)とを備えた可変容量過給機の可変ノズル装置において、
    前記ノズル取付面(2a)とディスクプレート(6)との間隔を一定に保持するクリアランスコントロールピン(9)を備え、かつ該クリアランスコントロールピンの一部が、全開位置を超えた可変ノズル翼の揺動を阻止するように、全開位置の可変ノズル翼の一部に当接するように位置決めされている、ことを特徴とする可変容量過給機の可変ノズル装置。
  2. 前記クリアランスコントロールピン(9)は、ノズル取付面(2a)とディスクプレート(6)に設けられた貫通孔に嵌合する両端の嵌合部(9a)と、該嵌合部の間に設けられた細径部(9b)と、嵌合部と細径部の間に設けられた一対の円板状鍔部(9c)とからなり、該鍔部の軸方向外端面間の長さがノズル取付面(2a)とディスクプレート(6)との間隔に設定され、かつ鍔部の外径が全開位置の可変ノズル翼の一部に当接するように形成されている、ことを特徴とする請求項1に記載の可変容量過給機の可変ノズル装置。
  3. 前記両端の嵌合部(9a)の端部は、ノズル取付面(2a)とディスクプレート(6)に設けられた貫通孔から突出し、この突出部がカシメ加工され、これにより、鍔部の軸方向外端面がノズル取付面(2a)とディスクプレート(6)にそれぞれ密着して形成されている、ことを特徴とする請求項2に記載の可変容量過給機の可変ノズル装置。
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