JP4491017B2 - 紡糸引取設備 - Google Patents
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Description
特許文献1の図1に示すように、このような紡糸引取設備では、巻取機の直前に配置される糸送りローラ(ゴデットローラ)は、一台の巻取機に対して一つであり、紡糸された複数本の糸を一つの直前の糸送りローラの後で拡散させて、一台の巻取機に装着される複数のボビンへ導いていた。
したがって、従来の紡糸引取設備においては、一台の巻取機のボビン数が増大すれば、糸の拡がり角度を所定角度以下にするために、巻取機から直前の糸送りローラまでの距離を延ばさざるを得ず、設備が大型化するという問題があった。
紡糸機から紡出された複数本の糸を、複数段の糸送りローラを介して、上方から下方に向けて供給し、一台の巻取機のボビンホルダ軸に装着された前記複数本の糸と同数のボビンのそれぞれに、同時に巻き取るようにした紡糸引取設備であって、
前記複数段の前記糸の送り方向における最下流段に配置される前記糸送りローラは、複数個配置される直前糸送りローラとし、
前記複数本の糸は、前記複数個の前記直前糸送りローラのそれぞれに所定本数ずつ分配されてから、それぞれ一本ずつ前記各ボビンに導かれ、
前記各糸の前記直前糸送りローラに対するトータルの糸掛け周長が、各糸間で同一となるようにした、ものである。
前記糸の送り方向で、前記各直前糸送りローラの下流側に、前記各糸の前記直前糸送りローラに対するトータルの糸掛け周長を各糸間で同一とするための糸ガイドを設けた、ものである。
前記複数本の糸の一部は、二個以上の直前糸送りローラを経由して分配される、ものである。
前記各直前糸送りローラから前記巻取機へと至る糸の拡がり角度が、垂直線に対して20度以下となるように設定した、ものである。
前記複数個の直前糸送りローラを、同一高さに配置した、ものである。
前記各直前糸送りローラの床からの高さを、2600mm以下に設定した、ものである。
平面視で、前記巻取機において前記各ボビンを支持するボビンホルダ軸に対して直交するように、前記各直前糸送りローラの軸が配置される、ものである。
前記一台の巻取機に対応する前記複数個の前記直前糸送りローラを、同一のフレームに一体的に取り付けた、ものである。
カッターアスピレータおよびマイグレーションユニットも前記フレームに一体的に取り付けた、ものである。
前記フレームをアルミニウム押出材にて構成した、ものである。
前記フレームに作業用ステップを出し入れ自在に設けた、ものである。
前記複数個の直前糸送りローラの各間に、糸掛け時に前記糸を一時的に預けておくための糸掛け補助ガイドを設けた、ものである。
前記複数個の直前糸送りローラは、共通のインバータにより駆動される、ものである。
紡糸機から紡出された複数本の糸を、複数段の糸送りローラを介して、延伸させながら、上方から下方に向けて供給し、一台の巻取機のボビンホルダ軸に装着された前記複数本の糸と同数のボビンのそれぞれに、同時に巻き取るようにした紡糸引取設備であって、
前記複数段の前記糸の送り方向における最下流段に配置される前記糸送りローラは、複数個配置される直前糸送りローラとし、
前記複数本の糸は、前記複数個の前記直前糸送りローラを周回すると共に、前記複数個の直前糸送りローラのそれぞれに所定本数ずつ分配されてから、それぞれ一本ずつ前記各ボビンに導かれる、ものである。
前記糸の送り方向で、前記各直前糸送りローラの下流側に、前記各糸の前記直前糸送りローラに対するトータルの糸掛け周長を各糸間で同一とするための糸ガイドを設けた、ものである。
前記各直前糸送りローラから前記巻取機へと至る糸の拡がり角度が、垂直線に対して20度以下となるように設定した、ものである。
前記複数個の直前糸送りローラを、略同一高さに配置した、ものである。
前記各直前糸送りローラの床からの高さを、2600mm以下に設定した、ものである。
平面視で、前記巻取機において前記各ボビンを支持するボビンホルダ軸に対して直交するように、前記各直前糸送りローラの軸が配置される、ものである。
前記複数個の直前糸送りローラの各間に、糸掛け時に前記糸を一時的に預けておくための糸掛け補助ガイドを設けた、ものである。
前記複数個の直前糸送りローラは、共通のインバータにより駆動される、ものである。
紡糸機から紡出された複数本の糸を、複数段の糸送りローラを介して、上方から下方に向けて供給し、一台の巻取機のボビンホルダ軸に装着された前記複数本の糸と同数のボビンのそれぞれに、同時に巻き取るようにした紡糸引取設備であって、
前記複数段の前記糸の送り方向における最下流段に配置される前記糸送りローラは、複数個配置される直前糸送りローラとし、
前記複数本の糸は、前記複数個の前記直前糸送りローラのそれぞれに所定本数ずつ分配されてから、それぞれ一本ずつ前記各ボビンに導かれ、
前記各糸の前記直前糸送りローラに対するトータルの糸掛け周長が、各糸間で同一となるようにした、ものである。
このため、一台の前記巻取機で同時に巻き取られる糸の本数を増加させても、前記直前糸送りローラの位置を低くできる。また、前記糸間において、糸送りローラとの接触長さによる違いが無く、巻取条件が異ならない。
前記糸の送り方向で、前記各直前糸送りローラの下流側に、前記各糸の前記直前糸送りローラに対するトータルの糸掛け周長を各糸間で同一とするための糸ガイドを設けた、ものである。
このため、糸ガイドにより各糸間での糸掛け周長を確実に等しくすることができると共に、各糸の糸揺れが防止される。
前記複数本の糸の一部は、二個以上の直前糸送りローラを経由して分配される、ものである。
このため、直前糸送りローラを案内ローラとしても利用することで、前記複数個の前記直前糸送りローラを効率良く利用して糸を分配できる。
前記各直前糸送りローラから前記巻取機へと至る糸の拡がり角度が、垂直線に対して20度以下となるように設定した、ものである。
このため、巻き取られる糸の品質が向上する。
前記複数個の直前糸送りローラを、同一高さに配置した、ものである。
このため、一台の巻取機で巻き取られる糸間の巻取条件を合わせることができる。
前記各直前糸送りローラの床からの高さを、2600mm以下に設定した、ものである。
このため、平均的身長の作業者が、床に立った状態で糸掛け作業を行なうことができる。
平面視で、前記巻取機において前記各ボビンを支持するボビンホルダ軸に対して直交するように、前記各直前糸送りローラの軸が配置される、ものである。
このため、糸をひねらずに巻き取ることができ、巻き取られた糸の糸品質が向上する。
前記一台の巻取機に対応する前記複数個の前記直前糸送りローラを、同一のフレームに一体的に取り付けた、ものである。
このため、装置全体の組立が容易となる。
カッターアスピレータおよびマイグレーションユニットも前記フレームに一体的に取り付けた、ものである。
このため、装置全体の組立が容易となる。
前記フレームをアルミニウム押出材にて構成した、ものである。
このため、低コスト化につながる。
前記フレームに作業用ステップを出し入れ自在に設けた、ものである。
このため、作業性が向上する。
前記複数個の直前糸送りローラの各間に、糸掛け時に前記糸を一時的に預けておくための糸掛け補助ガイドを設けた、ものである。
このため、糸掛け作業が容易となる。
前記複数個の直前糸送りローラは、共通のインバータにより駆動される、ものである。
このため、共通化により低コスト化につながる。
紡糸機から紡出された複数本の糸を、複数段の糸送りローラを介して、延伸させながら、上方から下方に向けて供給し、一台の巻取機のボビンホルダ軸に装着された前記複数本の糸と同数のボビンのそれぞれに、同時に巻き取るようにした紡糸引取設備であって、
前記複数段の前記糸の送り方向における最下流段に配置される前記糸送りローラは、複数個配置される直前糸送りローラとし、
前記複数本の糸は、前記複数個の前記直前糸送りローラを周回すると共に、前記複数個の直前糸送りローラのそれぞれに所定本数ずつ分配されてから、それぞれ一本ずつ前記各ボビンに導かれる、ものである。
このため、延伸糸の紡糸引取設備において、一台の前記巻取機で同時に巻き取られる糸の本数を増加させても、前記直前糸送りローラの位置を低くできる。しかも簡素な構成とすることができる。
前記糸の送り方向で、前記各直前糸送りローラの下流側に、前記各糸の前記直前糸送りローラに対するトータルの糸掛け周長を各糸間で同一とするための糸ガイドを設けた、ものである。
このため、糸ガイドにより各糸間での糸掛け周長を確実に等しくすることができると共に、各糸の糸揺れが防止される。
前記各直前糸送りローラから前記巻取機へと至る糸の拡がり角度が、垂直線に対して20度以下となるように設定した、ものである。
このため、巻き取られる糸の品質が向上する。
前記複数個の直前糸送りローラを、略同一高さに配置した、ものである。
このため、一台の巻取機で巻き取られる糸間の巻取条件を合わせることができる。
前記各直前糸送りローラの床からの高さを、2600mm以下に設定した、ものである。
このため、平均的身長の作業者が、床に立った状態で糸掛け作業を行なうことができる。
平面視で、前記巻取機において前記各ボビンを支持するボビンホルダ軸に対して直交するように、前記各直前糸送りローラの軸が配置される、ものである。
このため、糸をひねらずに巻き取ることができ、巻き取られた糸の糸品質が向上する。
前記複数個の直前糸送りローラの各間に、糸掛け時に前記糸を一時的に預けておくための糸掛け補助ガイドを設けた、ものである。
このため、糸掛け作業が容易となる。
前記複数個の直前糸送りローラは、共通のインバータにより駆動される、ものである。
このため、共通化により低コスト化につながる。
2 ボビン
10 転送用糸送りローラ
21 第一の直前糸送りローラ
22 第二の直前糸送りローラ
30 巻取機
31 ボビンホルダ軸
40 カッターアスピレータ
50 マイグレーションユニット
60 分繊用糸ガイド
65 糸掛け補助ガイド
70 フレーム
71 右フレーム
72 左フレーム
81・82 作業用ステップ
90 スピニングヘッド
100 POY用紡糸引取設備
121 第一の直前糸送りローラ
122 第二の直前糸送りローラ
200 FDY用紡糸引取設備
A 糸拡がり角度
H 直前糸送りローラの高さ
第一の実施の形態はPOY(一部延伸糸)を巻取るPOY用紡糸引取設備100であり、第二の実施の形態はFDY(全延伸糸)を巻取るFDY用紡糸引取設備200である。
FDY用紡糸引取設備200には、POY用紡糸引取設備100の構成に加えて、紡糸の延伸用の装置が追加されるものとなっている。
POY用紡糸引取設備100は、スピニングヘッド(溶融樹脂の吐出部)90から供給される複数本の糸(フィラメント糸)1を巻取る巻取機30と、上方のスピニングヘッド90と下方の巻取機30との間に設けられてスピニングヘッド90からの複数本の糸1を巻取機30へ送り出す複数段の糸送りローラ10・21・22と、を備えている。
スピニングヘッド90は、(本体を図示せぬ)紡糸機からの糸の紡出部である。
POY用紡糸引取設備100において、スピニングヘッド90から供給される複数本の糸1は、巻取機30に至るまでに延伸されるが、この延伸では、糸1の延伸は完了せず、巻取機30に巻き取られる糸1はPOY(一部延伸糸)である。
なお、図1から図3に図示されるPOY用紡糸引取設備100は、1錘分の設備であって、紡糸引取工場においては、図示のPOY用紡糸引取設備100が多数、図3の左右方向に並設される。
これらの糸送りローラ10・21・22には、それぞれ、駆動用のモータユニット10a・21a・22aが付設されている。
カッターアスピレータ40は、糸切断時に用いられる装置で、糸の吸引装置と、糸の切断装置とを備えている。マイグレーションユニット50は、インターレース装置やオイリング装置である。本実施の形態では、オイリング装置である。
重力の作用方向を上下方向とし、巻取機30に備えるボビンホルダ軸31の軸方向を前後方向とし、水平面内で前後方向と垂直となる方向を左右方向とする。
特に、ボビンホルダ軸31の先端側を前側とし、ボビンホルダ軸31の後端側(モータとの連結側)を後側とする。
前記各装置である、糸送りローラ10・21・22、巻取機30、カッターアスピレータ40、マイグレーションユニット50は、左右方向では略同じ位置に配置されているが(図3)、前後方向および上下方向では異なる位置に配置されている(図1、図2)。そこで以下では、主として、これらの各装置の前後方向および上下方向での位置関係を説明する。
つまり、転送用糸送りローラ10の周面に接触するように案内された前記複数本の糸1は、左右方向で並列であり、転送用糸送りローラ10の軸方向に沿って並んで配置されている。
また、糸送りローラ10・21・22は、軸方向長さが略同一のローラであり、前後方向および上下方向での配置位置は異なるが、左右方向での配置位置は略同一である。
つまり、スピニングヘッド90から供給される前記複数本の糸1は、その半数の糸1が第一の直前糸送りローラ21に分配され、残りの半数の糸1が、第一の直前糸送りローラ21を経由して、第二の直前糸送りローラ22に分配される。ここで、糸1が第一の直前糸送りローラ21を経由するとは、糸1が第一の直前糸送りローラ21の外周面に接触して送られる、ことを意味する。
本実施の形態では、スピニングヘッド90より供給される10本の糸1が、一つの巻取機30において、トラバース装置群32で綾振りされた後、10個のボビン2のそれぞれで、巻き取られる。
また、複数本の糸1は、糸送りローラ10・21・22間で上下して送られるが、総合的には、上方位置のスピニングヘッド90から下方位置の巻取機30へと送られる。
この分繊用糸ガイド60には、糸1の案内部として糸1の挿通孔もしくは溝が、対応する直前糸送りローラ21(又は22)に分配された糸1群の数量(本実施の形態では5本)だけ形成されている。分配された各糸1は、この分繊用糸ガイド60を糸拡がりの支点として、前後方向に拡散されて、巻取機30側へ供給される。
本実施の形態では、最前側へと送られる糸1と垂直線とのなす角と、最後側へと送られる糸1と垂直線とのなす角度とは、共に17度程度であり、20度以下である。他の三本の糸1は、最前側や最後側へ送られる糸1よりも、垂直線に対してなす角度が小さなものとなり、当然、20度以下である。
本実施の形態では、ボビンホルダ軸31に10個のボビン2が装着されており、前側の5個のボビン2のそれぞれには、第一の直前糸送りローラ21から糸1が供給され、後側の5個のボビン2のそれぞれには、第二の直前糸送りローラ22から糸1が供給される。
スピニングヘッド90から供給される複数本の糸1において、第一の直前糸送りローラ21に分配される糸1群は糸送りローラ10・21に接触し、第二の直前糸送りローラ22に分配される糸1群は糸送りローラ10・21・22に接触する。このように、第一直前糸送りローラ21に分配される糸1と、第二直前糸送りローラ22に分配される糸1とで、通過経路が異なるものとなっているが、糸送りローラ10・21・22の外周面に接触する糸掛け周長の合計長さは、どちらに分配された糸1でも、同一に設定されている。これは、糸送りローラ10・21・22等の摩擦物との接触長さの違いによって、各糸1の糸品質にバラツキができるのを防止するためである。
ここで、経路R11は、第一の直前糸送りローラ21の外周上で、転送用糸送りローラと第一の直前糸送りローラ21との共通接線の接点から最上位置までの糸1の送り経路である。また、経路R12は、第一の直前糸送りローラ21の外周上で、最上位置から後端位置までの糸1の送り経路である。
ここで、経路R22は、第二の直前糸送りローラ22の外周上で、最上位置から後端位置までの糸1の送り経路である。
このため、第一の直前糸送りローラ21に分配される糸1群の合計の糸掛け周長と、第二の直前糸送りローラ22に分配される糸1群の合計の糸掛け周長と、が同一である。
POY用紡糸引取設備100を構成する各装置において、巻取機30は、このPOY用紡糸引取設備100が配置される敷地内の床面上に載置されるが、他の各装置は、前記床面上に載置されるフレーム70に支持される。
左フレーム71および右フレーム71は、柱状材をロ字形状に組み合わせてなる外枠と、この外枠を構成する柱状体間を橋架する柱状体と、で構成されている。また、連結フレーム73も、平面視コ字形状となるように柱状体を連結して構成される。
なお、左右方向に多数同時に並設されるPOY用紡糸引取設備100群において、各POY用紡糸引取設備100の左フレーム71は、その左隣に位置するPOY用紡糸引取設備100の右フレーム72に相当し、各POY用紡糸引取設備100の右フレーム72は、その右隣に位置するPOY用紡糸引取設備100の左フレーム71に相当する。
なお、糸送りローラ10・21・22に関しては、直接フレーム70に支持されるものではなく、それぞれ対応するモータユニット10a・21a・22aがフレーム70に支持固定されて、間接的にフレーム70に支持される構成である。
ここで、直前糸送りローラ21・22の高さHとは、床面から直前糸送りローラ21・22の軸心位置までの高さ、としている。
このため、直前糸送りローラ21・22の高さ位置の制限と、糸拡がり角度Aを20度以下とする制限とにより、直前糸送りローラ21(又は22)に分配可能な糸1の本数の上限が規定されることになる。
この糸掛け補助ガイド65は、後述する各糸1の糸掛けにおいて利用されるものである。
スピニングヘッド90からは10本の糸1が同時に供給される。このため、糸掛けに際して、スピニングヘッド90から供給された10本の糸1の全部を、サクション装置(ハンドサッカー)により吸込みながら保持し、このサクション装置を作業者が手に持つなどして移動させることで、糸1群の糸掛けを行なうようにしている。
この後、前記サクション装置をトラバース装置群32の下方に移動させ、トラバース装置群32に付設されている複数の綾振り支点ガイド32aに、第一直前糸送りローラ21用の5本と、第二直前糸送りローラ22用の5本とを、分けた状態で掛け渡す。ここで、綾振り支点ガイド32aは、巻取機3に装着される各ボビン2の配設数と同数(つまり10)設けられている。各綾振り支点ガイド32aは、トラバース装置群32を構成する各トラバース装置の綾振り支点となる。加えて、各綾振り支点ガイド32aは、糸掛けの便宜を考慮して、各ボビン2の配設方向(ボビンホルダ軸31の軸方向)で、集合、拡散(分離)可能にスライド自在構成されている。そして、前記サクション装置を綾振り支点ガイド32aの近傍に持ってきて、集合状態の各綾振り支点ガイド32aに、各糸1を掛ける。
以上作業の後、各糸1が各ボビン2へと糸掛けされて、各糸1は、前記サクション装置による吸引保持を解除される。
第一作業用ステップ81は右フレーム71の前端部に設けられ、転送用糸送りローラ10への糸掛けや、カッターアスピレータ40やマイグレーションユニット50のメンテナンス等における作業用の踏み台となっている。
第二作業用ステップ82は、第一作業用ステップ81の後方に配置されており、直前糸送りローラ21・22への糸掛け作業等における作業用の踏み台となっている。
具体的には、第一作業用ステップ81は、左フレーム73に回転自在に支持される踏み板81aと、踏み板81aに回転自在に設けられる脚81bと、を備えており、踏み板81aを水平姿勢にした状態で脚81bを床面に立てかけると、作業用の踏み台として機能する状態となる。
第二作業用ステップ82も同様の構成であるが、左フレーム73に回転自在に支持される踏み板82aと、踏み板82aに回転自在に設けられる脚82bと、脚82bと左フレーム73に回転自在に支持される支柱82c(図1)と、を備えており、踏み板82aと支柱82cとが平行リンク式である。そして、踏み板82aを水平姿勢にした状態で脚82bを床面に立てかけると、作業用の踏み台として機能する状態となる。
ここで、直前糸送りローラ21・22に対応するモータユニット21a・22aに電力を供給するインバータ装置は、共用とされており、同一のインバータ装置により直前糸送りローラ21・22の駆動が同一に制御される。一方、転送用糸送りローラ10に対応するモータユニット10aに電力を供給するインバータ装置は、直前糸送りローラ21・22用のインバータ装置とは別に構成されている。
FDY用紡糸引取設備200は、スピニングヘッド(溶融樹脂の吐出部)90から供給される複数本の糸(フィラメント糸)101を巻取る巻取機30と、上方のスピニングヘッド90と下方の巻取機30との間に設けられてスピニングヘッド90からの複数本の糸101を巻取機30へ送り出す複数段の糸送りローラ10・121・122と、を備えている。
スピニングヘッド90は、(本体を図示せぬ)紡糸機からの糸の紡出部である。
FDY用紡糸引取設備200において、スピニングヘッド90から供給される複数本の糸101は、熱源を備える一対の直前糸送りローラ121・122を周回してから巻取機30に至る。つまり、糸101は、スピニングヘッド90から巻取機30に至るまでに完全に延伸されて、巻取機30に巻き取られる糸101はFDY(全延伸糸)である。
なお、図6から図8に図示されるFDY用紡糸引取設備200は、1錘分の設備であって、紡糸引取工場においては、図示のFDY用紡糸引取設備200が多数、図8の左右方向に並設される。
両レイアウトにおいてわずかに異なる点は、詳しくは後述するが、第一の直前糸送りローラ121に対して第二の直前糸送りローラ122が、基部から先端に向かって上向きに傾斜している点である。直前糸送りローラ21・22同士は平行に配置されている。
加えて、糸101に適切な熱量が加えられるように、転送用糸送りローラ10より送り出された糸101群は、一対の直前糸送りローラ121・122を周回するように、一対の直前糸送りローラ121・122に掛け渡されている。
また、直前糸送りローラ121・122は、糸101群との接触を保ちながら周回させる構成上、直前糸送りローラ21・22よりも軸方向が長く構成されている。
これらの糸送りローラ10・121・122には、それぞれ、駆動用のモータユニット10a・121a・122aが付設されている。
カッターアスピレータ40は、糸切断時に用いられる装置で、糸の吸引装置と、糸の切断装置とを備えている。マイグレーションユニット50は、インターレース装置やオイリング装置である。本実施の形態では、オイリング装置である。
重力の作用方向を上下方向とし、巻取機30に備えるボビンホルダ軸31の軸方向を前後方向とし、水平面内で前後方向と垂直となる方向を左右方向とする。
特に、ボビンホルダ軸31の先端側を前側とし、ボビンホルダ軸31の後端側(モータとの連結側)を後側とする。
前記各装置である、糸送りローラ10・121・122、巻取機30、カッターアスピレータ40、マイグレーションユニット50は、左右方向では略同じ位置に配置されているが(図8)、前後方向および上下方向では異なる位置に配置されている(図6、図7)。そこで以下では、主として、これらの各装置の前後方向および上下方向での位置関係を説明する。
つまり、転送用糸送りローラ10の周面に接触するように案内された前記複数本の糸101は、左右方向で並列であり、転送用糸送りローラ10の軸方向に沿って並んで配置されている。
また、糸送りローラ10・121・122は、軸方向長さが略同一のローラであり、前後方向および上下方向での配置位置は異なるが、左右方向での配置位置は略同一である。
ここで、転送用糸送りローラ10および第一の直前糸送りローラ121は、ローラの軸線が水平となるように配置されている。一方、第二の直前糸送りローラ122は、このローラ122の軸線が水平線に対して、先端側がわずかに上を向くように数度の傾斜角が付けられた姿勢で配置されている。このように、第一の直前糸送りローラ121が第二の直前糸送りローラ122に対して傾斜させられているのは、これらのローラ121・122に糸101を周回させた時に、糸101がローラ121・122上の同じ位置を周回することなく、糸101がローラ121・122の軸方向に順次、自然と移動するようにするためである。したがって、ローラ121・122の基端部(左フレーム71側)から糸101を周回させると、糸101はローラ121・122の先端側(右フレーム72側)へ、順次、周回位置を変えながらローラ121・122に巻き掛けられる。
また、転送用糸送りローラ10と直前糸送りローラ121・122との間には回転速度差が付与されており、スピニングヘッド90から供給される複数本の糸101が、巻取機30に到達する前に完全に延伸されるようにしている。
つまり、スピニングヘッド90から供給される前記複数本の糸101は、その半数の糸101が第一の直前糸送りローラ121に分配され、残りの半数の糸101が第二の直前糸送りローラ122に分配される。
ここで、前述した第二直前糸送りローラ122の傾斜角度は、トータルの糸掛け周長に影響を与えない、すなわち、糸101の物性に影響を与えない程度の傾斜である。したがって、第二直前糸送りローラ122の傾斜によって、第一直前糸送りローラ121に分配された糸101群と、第二直前糸送りローラ122に分配された糸101群との物性が異なることはない。
本実施の形態では、スピニングヘッド90より供給される10本の糸101が、一つの巻取機30において、トラバース装置群32で綾振りされた後、10個のボビン2のそれぞれで、巻き取られる。
また、複数本の糸101は、転送用糸送りローラ10と直前糸送りローラ121・122との間で上下して送られるが、総合的には、上方位置のスピニングヘッド90から下方位置の巻取機30へと送られる。
この分繊用糸ガイド60には、糸101の案内部として糸101の挿通孔もしくは溝が、対応する直前糸送りローラ121(又は122)に分配された糸101群の数量(本実施の形態では5本)だけ形成されている。分配された複数本の糸101は、それぞれこの分繊用糸ガイド60を糸拡がりの支点として、前後方向に拡散されて、巻取機30側へ供給される。
本実施の形態では、最前側へと送られる糸101と垂直線とのなす角と、最後側へと送られる糸101と垂直線とのなす角度とは、共に17度程度であり、20度以下である。他の三本の糸101は、最前側や最後側へ送られる糸101よりも、垂直線に対してなす角度が小さなものとなり、当然、20度以下である。
本実施の形態では、ボビンホルダ軸31に10個のボビン2が装着されており、前側の5個のボビン2のそれぞれには、第一の直前糸送りローラ121から糸101が供給され、後側の5個のボビン2のそれぞれには、第二の直前糸送りローラ122から糸101が供給される。
FDY用紡糸引取設備200においても、第一直前糸送りローラ121に分配される糸101と、第二直前糸送りローラ122に分配される糸101とで、糸送りローラ10・121・22のそれぞれの外周面に接触する糸掛け周長の合計長さは、同一に設定されている。
なお、直前糸送りローラ121に対して直前糸送りローラ122は傾斜しているが、この傾斜角度は前述したようにわずかであるので、図9においては図示していない。また、
この傾斜による影響は、各糸101に均等に働くので、糸掛け周長の合計長さに対する影響はない。
なお、図9(a)では、左右方向より見て、第一の直前糸送りローラ121に分配される糸101群の通過経路が重なる領域を明確化すべく、太線で描いており、前記通過経路が重ならない領域と、区別している。
なお、前記経路R11や直前糸送りローラ21・22を引用するのは、直前糸送りローラ21・121の外周長さが同一であることを利用している。
従来のFDY用紡糸引取設備においては、ホットローラ(本実施の形態における各直前糸送りローラに相当)への糸の周回長を稼ぐべく、このホットローラと並列に補助ローラを配置し、ホットローラと補助ローラとを周回するように糸を掛け渡していた。これに対して、前述のFDY用紡糸引取設備200の場合は、複数ある糸送りローラ121・122を周回させるように糸101を配置することで、補助ローラを用いることなく、シンプルな構成としながら、糸の周回長を必要なだけ確保できる。
FDY用紡糸引取設備において、複数段(本実施形態で二段)備えられる糸送りローラの配置構成には、次のようなものがある。
(1)第一段の転送用糸送りローラをコールドローラ(熱源なしのローラ)とし、第二段(最終段)の直前糸送りローラをヒートローラ(熱源ありのローラ)とする。図6から図8に示す前記FDY用紡糸引取設備200は、この形態である。紡糸される糸種はナイロンである。
(2)第一段の転送用糸送りローラをコールドローラ(熱源なしのローラ)とすると共に、この転送用糸送りローラに対応する掛け渡しの補助ローラを設け、第二段(最終段)の直前糸送りローラをヒートローラとする。図10に示す構成のFDY用紡糸引取設備がこの形態に該当する。紡糸される糸種はナイロンである。
(3)第一段の転送用糸送りローラをヒートローラとすると共に、この転送用糸送りローラに対応する掛け渡しの補助ローラを設け、第二段(最終段)の直前糸送りローラをヒートローラとする。紡糸される糸種はPET(ポリエチレンテレフタラート)である。
FDY用紡糸引取設備200を構成する各装置において、巻取機30は、このFDY用紡糸引取設備200が配置される敷地内の床面上に載置されるが、他の各装置は、前記床面上に載置されるフレーム70に支持される。
左フレーム71および右フレーム71は、柱状材をロ字形状に組み合わせてなる外枠と、この外枠を構成する柱状体間を橋架する柱状体と、で構成されている。また、連結フレーム73も、平面視コ字形状となるように柱状体を連結して構成される。
なお、左右方向に多数同時に並設されるFDY用紡糸引取設備200群において、FDY用紡糸引取設備200の左フレーム71は、その左隣に位置するFDY用紡糸引取設備200の右フレーム72に相当し、FDY用紡糸引取設備200の右フレーム72は、その右隣に位置するFDY用紡糸引取設備200の左フレーム71に相当する。
なお、糸送りローラ10・121・122に関しては、直接フレーム70に支持されるものではなく、それぞれ対応するモータユニット10a・121a・122aがフレーム70に支持固定されて、間接的にフレーム70に支持される構成である。
ここで、直前糸送りローラ121・122の高さHとは、床面から直前糸送りローラ121・122の軸心位置までの高さ、としている。
このため、直前糸送りローラ121・122の高さ位置の制限と、糸拡がり角度Aを20度以下とする制限とにより、直前糸送りローラ121(又は122)に分配可能な糸1の本数の上限が規定されることになる。
この糸掛け補助ガイド65は、各糸101の糸掛けにおいて利用されるものである。
第一作業用ステップ81は右フレーム71の前端部に設けられ、転送用糸送りローラ10への糸掛けや、カッターアスピレータ40やマイグレーションユニット50のメンテナンス等における作業用の踏み台となっている。
第二作業用ステップ82は、第一作業用ステップ81の後方に配置されており、直前糸送りローラ121・122への糸掛け作業等における作業用の踏み台となっている。
ここで、直前糸送りローラ121・122に対応するモータユニット121a・122aに電力を供給するインバータ装置は、共用とされており、同一のインバータ装置により直前糸送りローラ121・122の駆動が同一に制御される。一方、転送用糸送りローラ10に対応するモータユニット10aに電力を供給するインバータ装置は、直前糸送りローラ121・122用のインバータ装置とは別に構成されている。
Claims (21)
- 紡糸機から紡出された複数本の糸を、複数段の糸送りローラを介して、上方から下方に向けて供給し、一台の巻取機のボビンホルダ軸に装着された前記複数本の糸と同数のボビンのそれぞれに、同時に巻き取るようにした紡糸引取設備であって、
前記複数段の前記糸の送り方向における最下流段に配置される前記糸送りローラは、複数個配置される直前糸送りローラとし、
前記複数本の糸は、前記複数個の前記直前糸送りローラのそれぞれに所定本数ずつ分配されてから、それぞれ一本ずつ前記各ボビンに導かれ、
前記各糸の前記直前糸送りローラに対するトータルの糸掛け周長が、各糸間で同一となるようにした、
ことを特徴とする紡糸引取設備。 - 前記糸の送り方向で、前記各直前糸送りローラの下流側に、前記各糸の前記直前糸送りローラに対するトータルの糸掛け周長を各糸間で同一とするための糸ガイドを設けた、
ことを特徴とする請求項1に記載の紡糸引取設備。 - 前記複数本の糸の一部は、二個以上の直前糸送りローラを経由して分配される、
ことを特徴とする請求項1または請求項2に記載の紡糸引取設備。 - 前記各直前糸送りローラから前記巻取機へと至る糸の拡がり角度が、垂直線に対して20度以下となるように設定した、
ことを特徴とする請求項1から請求項3のいずれかに記載の紡糸引取設備。 - 前記複数個の直前糸送りローラを、同一高さに配置した、
ことを特徴とする請求項1から請求項4のいずれかに記載の紡糸引取設備。 - 前記各直前糸送りローラの床からの高さを、2600mm以下に設定した、
ことを特徴とする請求項1から請求項5のいずれかに記載の紡糸引取設備。 - 平面視で、前記巻取機において前記各ボビンを支持するボビンホルダ軸に対して直交するように、前記各直前糸送りローラの軸が配置される、
ことを特徴とする請求項1から請求項6のいずれかに記載の紡糸引取設備。 - 前記一台の巻取機に対応する前記複数個の前記直前糸送りローラを、同一のフレームに一体的に取り付けた、
ことを特徴とする請求項1から請求項7のいずれかに記載の紡糸引取設備。 - カッターアスピレータおよびマイグレーションユニットも前記フレームに一体的に取り付けた、
ことを特徴とする請求項8に記載の紡糸引取設備。 - 前記フレームをアルミニウム押出材にて構成した、
ことを特徴とする請求項8または請求項9に記載の紡糸引取設備。 - 前記フレームに作業用ステップを出し入れ自在に設けた、
ことを特徴とする請求項8から請求項10のいずれかに記載の紡糸引取設備。 - 前記複数個の直前糸送りローラの各間に、糸掛け時に前記糸を一時的に預けておくための糸掛け補助ガイドを設けた、
ことを特徴とする請求項1から請求項11のいずれかに記載の紡糸引取設備。 - 前記複数個の直前糸送りローラは、共通のインバータにより駆動される、
ことを特徴とする請求項1から請求項12のいずれかに記載の紡糸引取設備。 - 紡糸機から紡出された複数本の糸を、複数段の糸送りローラを介して、延伸させながら、上方から下方に向けて供給し、一台の巻取機のボビンホルダ軸に装着された前記複数本の糸と同数のボビンのそれぞれに、同時に巻き取るようにした紡糸引取設備であって、
前記複数段の前記糸の送り方向における最下流段に配置される前記糸送りローラは、複数個配置される直前糸送りローラとし、
前記複数本の糸は、前記複数個の前記直前糸送りローラを周回すると共に、前記複数個の直前糸送りローラのそれぞれに所定本数ずつ分配されてから、それぞれ一本ずつ前記各ボビンに導かれる、
ことを特徴とする紡糸引取設備。 - 前記糸の送り方向で、前記各直前糸送りローラの下流側に、前記各糸の前記直前糸送りローラに対するトータルの糸掛け周長を各糸間で同一とするための糸ガイドを設けた、
ことを特徴とする請求項14に記載の紡糸引取設備。 - 前記各直前糸送りローラから前記巻取機へと至る糸の拡がり角度が、垂直線に対して20度以下となるように設定した、
ことを特徴とする請求項14または請求項15のいずれかに記載の紡糸引取設備。 - 前記複数個の直前糸送りローラを、略同一高さに配置した、
ことを特徴とする請求項14から請求項16のいずれかに記載の紡糸引取設備。 - 前記各直前糸送りローラの床からの高さを、2600mm以下に設定した、
ことを特徴とする請求項14から請求項17のいずれかに記載の紡糸引取設備。 - 平面視で、前記巻取機において前記各ボビンを支持するボビンホルダ軸に対して直交するように、前記各直前糸送りローラの軸が配置される、
ことを特徴とする請求項14から請求項18のいずれかに記載の紡糸引取設備。 - 前記複数個の直前糸送りローラの各間に、糸掛け時に前記糸を一時的に預けておくための糸掛け補助ガイドを設けた、
ことを特徴とする請求項14から請求項19のいずれかに記載の紡糸引取設備。 - 前記複数個の直前糸送りローラは、共通のインバータにより駆動される、
ことを特徴とする請求項14から請求項20のいずれかに記載の紡糸引取設備。
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