JP4489259B2 - 車両用内装材 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、車両用内装材を構成する部材として使用できる内装用構成部材およびこの内装用構成部材を裏面材として使用する車両用内装材に関する。
【0002】
【従来の技術】
車両用内装材として種々の構成のものが使用されている。車両用内装材に求められる特性として、その装飾性および搭乗者に対する接触感触性は必須のものであるが、それに加えて最近では低透気性が必要とされる。透気性が高いと室内の空気が気圧差により内装材を透過してボディーの方へ移動する現象が生じ得るが、その際、室内空気中に浮遊するタバコのヤニなどの微粒子が内装材表面に捕捉されて内装材に汚れとなって付着する。そのためこの空気流をなくす必要があり、その対策として内装材には透気遮断層が設けられるようになってきた。透気遮断層には一般にプラスチックフィルムが使用されている。
【0003】
特開平7-117571号公報には表皮材(クッション材付き)/多層フィルム/基材からなる車両用内装材が開示されている。多層フィルムは熱接着性を有する低融点樹脂層とその間にある高融点樹脂層を含み、この高融点層が透気遮断層として働くようにしている。しかし、この発明では天井表皮材の汚染の問題に対しては効果があるものの、透気遮断層が薄い表皮材のすぐ裏面側にあるため、室内側からの音がこの透気遮断層で反射して内装材としての吸音機能を損なってしまうという問題が生じている。
また、実開平5-65532号公報には、表皮材/基材/裏面材(ホットメルト+非通気性フィルム)からなる構造材が開示されている。この構成では、この構造材が車両のボディーと接する最裏面側に樹脂フィルム層が存在するため、車両の振動等によって樹脂層と金属性ボディーとの摩擦によって異音が発生して搭乗者に不快感を与える。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
本発明は、上記のような問題のない、即ち良好な吸音性を保持し、室内の空気流による汚れの発生が少なく、異音の発生防止に優れた車両用内装材を提供することを目的とする。
【0005】
【課題を解決するための手段】
本発明は、融点150℃以上の耐熱フィルム(a)に発泡剤を配合した樹脂層(b)をコーティングした車両内装用構成部材に関する。
また、本発明は、融点150℃以上の耐熱フィルム(a)に樹脂発泡層(d)が積層された車両内装用構成部材に関する。
また、本発明のもうひとつの態様は、上記いずれかの車両内装用構成部材において、その耐熱フィルム(a)の外側に融点150℃以下の熱可塑性樹脂層(c)を更に積層した車両内装用構成部材に関する。
更に、本発明は、表皮材、基材、裏面材をこの順に組み合わせてなる車両用内装材において、裏面材が上記いずれかに記載の内装用構成部材(a)/(b)または(a)/(d)からなり、該裏面材の耐熱フィルム(a)面が基材側に位置するように積層および成形されてなる車両用内装材に関する。
加えて、本発明は、表皮材、基材、裏面材をこの順に組み合わせてなる車両用内装材において、裏面材が上記の内装用構成部材(c)/(a)/(b)または(c)/(a)/(d)からなり、該裏面材の熱可塑性樹脂(c)面が基材側に位置するように積層および成形されてなる車両用内装材に関する。
【0006】
本発明の特徴は、融点150℃以上の耐熱フィルム(a)を組み込むことにより非通気性の層が設けられ通気による表皮材の汚れの発生を防止することができるとともに、この層を表皮材から遠い位置に配置することによりこの樹脂フィルムによる室内音の反射を防止することができ、しかも車両本体と接する最外層が発泡構造であるため車両本体との間で摩擦音の発生を防ぐことができるところにある。
【0007】
【発明の実施の形態】
本発明の車両構成用部材は、車両用内装材の裏面材として、室内側からボディー側への空気の流れを遮断する通気止め層として働き、裏面材とボディーとの間の摩擦による異音の発生を防ぎ、また成形時の離型性の改良された裏面材として有用である。
本発明の車両構成用部材は、融点150℃以上の耐熱フィルム(a)に発泡剤を配合した樹脂層(b)をコーティングした複合体であり、また本発明は、融点150℃以上の耐熱フィルム(a)に樹脂発泡層(d)が積層された複合体である。樹脂発泡層は、より好ましくは、融点150℃以上の耐熱フィルム(a)にコーティングした発泡剤を配合した樹脂層(b)を塗布後発泡したものである。しかし、樹脂発泡層は、予め形成された発泡樹脂シートまたはフィルム等であってもよく、これは接着剤を使用したり、部分的に溶融するなどの方法によって耐熱フィルム(a)に貼り合せることができる。樹脂発泡層を発泡剤を配合した樹脂(b)を塗布後発泡することによって形成する場合は、樹脂層(b)が耐熱フィルム(a)にコーティングされると同時にまたはコーティング後に加熱工程で配合された発泡剤によって発泡した発泡構造となっていてもよい。加熱工程による発泡は表皮材および基材と組み合わせて車両用内装材とした後であってもよいし、車両用内装材としての成形段階での加熱によって行ってもよい。
【0008】
また、本発明の車両構成用部材は、もうひとつの態様として、上記いずれかの構成において、その耐熱フィルム(a)の外側、即ち発泡剤を配合した樹脂層(b)または発泡樹脂層(d)と反対の側に更に融点150℃以下の熱可塑性樹脂層(c)を更に積層した複合体である。
この熱可塑性樹脂層(c)を有することによりこれがホットメルト接着剤として働き、他の部材と組み合わせて更なる複合体を形成するに好都合である。
【0009】
耐熱性フィルム(a)に発泡剤を配合した樹脂層(b)または熱可塑性樹脂(c)をコーティングするには、コーティングに先だって耐熱性フィルム(a)の表面にプライマー塗布、アンカー処理、コロナ放電処理等の前処理を施して、表面を活性化しておくことが好ましく、それによって耐熱性フィルム(a)と発泡剤を配合した樹脂層(b)または熱可塑性樹脂(c)との接着をより確実にすることができる。
【0010】
耐熱フィルム(a)は融点が150℃以上の樹脂、好ましくは融点が160℃以上の樹脂から選ばれる。車両内装用構成部材中にこのような耐熱フィルムの層を組み込むことによって、内装用構成部材またはこれを表皮材および基材と組み合わせた車両用内装材として熱成形を行った場合にピンホール等の欠損部が生じることがないため確実に非通気性の層を内在させることができる。このような耐熱フィルム用樹脂として、ナイロン6、66、6/66、6/10、11、12などの高融点ポリアミド樹脂、ポリプロピレン樹脂、エチレン-ビニルアルコール樹脂、ポリエチレンテレフタレート、ポリブチレンテレフタレートなどのポリエステル樹脂、ポリウレタン樹脂、アクリル樹脂、ポリカーボネート樹脂等が例示できる。フィルムは延伸、無延伸のいずれでもよく、破断伸度が10%以上のものが好ましい。厚さは8〜50μm、好ましくは9〜30μmである。厚さが8μm未満では、成形時の熱、圧力で穴が開きやすく、通気止め性能に支障をきたす。また薄すぎることによりハンドリング性も悪化する。厚さが50μmより厚くなると、成形時の伸びが悪くなり賦形性に悪影響が出る。
【0011】
耐熱フィルム(a)に塗布する発泡剤を配合した樹脂(b)をコーティングするためのコーティング組成物には、ベース樹脂としてアクリル酸エステル共重合体、ウレタン系樹脂、エチレン酢酸ビニル共重合体等を単独またはブレンドして用いることができる。コーティング組成物には添加剤として、発泡剤の他、シリコン系消泡剤、ブロッキング防止剤、乾燥促進剤、酸化防止剤、着色剤、フィラー等を含んでもよい。このコーティング組成物は水または溶剤に溶解した溶液、エマルジョン等のような分散体として用いることが好ましい。
【0012】
発泡剤は、加熱により気体を発生するタイプのもので、重炭酸ナトリウム、重炭酸アンモニウムのような無機発泡剤、ニトロソ化合物、アゾ化合物、スルホニル・ヒドラジド等が好ましいものとして例示できるが、塩化ビニリデン/アクリロニトリルまたはアクリロニトリル/メチルメタクリレートの共重合樹脂を殻としてイソブチレンを内包したマイクロカプセルタイプの発泡剤が特に好ましい。マイクロカプセルの場合、粒径が5〜30μm程度のものが特に好ましい。発泡剤は単独で用いても複数のものを併用して用いてもよい。
また、コーティング組成物にはサリチル酸、尿素化合物等の発泡助剤を添加してもよい。
【0013】
本発明の車両内装用構成部材は、上記耐熱フィルム(a)に発泡剤を配合した樹脂層(b)をコーティングして積層一体化したものである。樹脂層(b)の厚さは、加熱により形成される発泡体の状態によって異なり、一概には言えないが、一般的には好ましくは1〜60g/m2、より好ましくは3〜30g/m2である。耐熱フィルム(a)に発泡剤を配合した樹脂組成物(b)をコーティングする方法は特に限定されるものではなく、フィルム上に均一な厚さで塗膜を形成することのできるものであればどのようなコーティング方法を採用することもでき、例えばグラビア、フレキソ、オフセット、ロールコーター、ドクターコーター、エアーコーター、ロータリースクリーン、Tダイによる方法が挙げられる。
【0014】
本発明の車両構成用部材の別の態様は、耐熱フィルム(a)と発泡剤を配合した樹脂層(b)との積層体または耐熱フィルム(a)と樹脂発泡層(d)との積層体の外側に更に融点150℃以下の熱可塑性樹脂層(c)を積層した3層構造を有するものである。
融点150℃以下の熱可塑性樹脂層(c)は、耐熱フィルム(a)と発泡剤を配合した樹脂層(b)との積層体または耐熱フィルム(a)と樹脂発泡層(d)を、基材に接着して車両用内装材を形成するにあたってホットメルト接着剤として機能することができるものである。
【0015】
融点150℃以下の熱可塑性樹脂層(c)は、融点が好ましくは90〜140℃、MFRが1〜100g/10min、好ましくは3〜90g/10minのものである。なお、ここでMFRは、JIS K7210に示される試験方法のうち、温度条件190℃、試験荷重21.18Nで測定した値を示す。
ホットメルトフィルムのMFRが1より低いと、成形時の溶融粘度が高いため、溶融物が十分に被接着物に浸透せず十分な接着強度が得られない。他方、100より高いと成形時の樹脂の溶融粘度が低すぎて、上下の被接着物の内、接着時に下側にある方、例えば基材の方だけに浸透しすぎてやはり十分な接着力が得られにくい。またあまりMFRの大きいものを用いると、自動車用内装材としての耐熱性に悪影響を及ぼすことになる。より好ましいMFRの範囲は3〜90である。
【0016】
熱可塑性樹脂層(c)の厚さは好ましくは10〜100μm、より好ましくは20〜80μmである。厚みが10μmより薄いと、成形時、基材に十分浸透しないため十分な接着力が得られない。また必要以上の厚さは経済性の面で不利となり、100μmを越えると過剰品質となる。より好ましい厚みは30〜60μmである。
上記ホットメルトフィルムは2層以上の多層フィルムとして用いてもよいが、コスト面、製造工程の簡易性の面で、そして特にリサイクル性の点で、単層がより好ましい。
【0017】
このような樹脂としては各種ポリエチレン樹脂(低密度、中密度、高密度、線状低密度、分岐状低密度)またはこれらの酸変性樹脂類;エチレン-アクリル酸共重合体、エチレン-メタクリル酸共重合体、エチレン-酢酸ビニル共重合体、エチレン-エチルアクリレート共重合体、エチレン-メチルアクリレート共重合体、エチレン-ブチルアクリレート共重合体、エチレン-メチルメタアクリレート共重合体、エチレン-ブチルメタアクリレート共重合体、エチレン-(メタ)アクリレート共重合体、エチレン-マレイン酸共重合体、エチレン-イタコン酸共重合体、エチレン-αオレフィン共重合体、エチレン-アクリル酸エステル-メタクリル酸三元共重合体、エチレン-アクリル酸エステル-無水マレイン酸三元共重合体、またはこれらの酸またはシラン変性樹脂類;エチレンとアクリル酸あるいはメタクリル酸との共重合体をイオン架橋したアイオノマー類;アタクティックポリプロピレンまたはこれらの酸変性樹脂類;共重合体ポリアミド類;テレフタル酸とエチレングリコールおよび/または1,4-ブタンジオールとの共重合体あるいはその他の成分を含む共重合体ポリエステル類等を例示することができる。これらの樹脂を単独で使用しても混合物として使用してもよい。またこれらに炭酸カルシウム、タルクなどの充填材や粘着付与剤等の各種添加剤を混合してもよい。
【0018】
耐熱フィルム(a)に熱可塑性樹脂(c)を積層する方法としては、耐熱フィルム上に熱可塑性樹脂(c)を塗布してもよいし、フィルム状に押し出しして積層してもよい。あるいは両成分を予めフィルムとして成形し、これを接着剤または熱融着によって接着一体化してもよい。耐熱フィルム上に塗布を行うにはTダイやロールコーター等の通常の樹脂塗布装置を用いて行うことができる。この場合、耐熱フィルムの表面をコロナ放電、フレーム処理、AC処理等によって前処理しておくと接着性がより改良される。また熱可塑性樹脂(c)にオゾン処理を施しておくことによっても接着性がより向上する。
【0019】
本発明は、また、上記車両内装用構成部材を裏面材として使用する車両用内装材に関する。
車両用内装材は車両のボディーの室内面に取り付けられる部材であり、これは一般に表皮材、基材、および裏面材の3成分からなる。裏面材はボディーに接する側を構成し、一方表皮材は車両の内部側に来るように構成され、基材は表皮材と裏面材との間の中間層として構成される。
本発明では、裏面材として上記車両内装用構成部材を使用するとともに、以下のように表皮材および基材を設定することによって、良好な吸音性を保持し、室内の空気流による表皮材の汚れ発生が少なく、且つ異音の発生のない車両用内装材を提供するものである。
【0020】
本発明の車両用内装材において、基材となる材質は、加熱加圧により賦形可能なものであって、通気性を有するものが好ましい。このような基材は概して車両用内装材において吸音性、断熱性、人が触れた場合のソフト感・弾力感、意匠性の目的で組み込まれるものであって、その例としては、無機質繊維、有機質繊維、またはこれらの繊維混合物が熱可塑性樹脂により相互に接着された不織布、あるいはこれらの繊維からなる編布または織布が挙げられる。上記において無機質繊維としてはガラス繊維、炭素繊維等が、また有機質繊維としては綿、麻等の各種天然繊維;ポリエステル系繊維、ポリアミド系繊維、アクリル系繊維、ポリプロピレン系繊維、ポリビニルアルコール系繊維、アセテート系繊維、レーヨン等の各種合成または再生繊維が例示できる。
また基材としては発泡ウレタンシート、またはこれをガラス繊維等で補強したものも使用することができる。
【0021】
車両用内装材の表皮材は室内の装飾性および搭乗者が接触した場合に良好な感触を与えるために働くものであって、表皮材として使用できる材質は、通気性を有するものから選ばれる。具体的には、ポリエステル繊維、ポリプロピレン繊維等からなる不織布または織布、ニット、起毛ニット、およびこれらの裏に発泡ウレタンや不織布を裏打ちしたものを使用することができる。
【0022】
表皮材、基材、裏面材をこの順に組み合わせてなる本発明の車両用内装材は、ひとつの態様として、融点150℃以上の耐熱フィルム(a)に発泡剤を配合した樹脂層(b)をコーティングした内装用構成部材(a)/(b)、または融点150℃以上の耐熱フィルム(a)に樹脂発泡層(d)が積層された内装用構成部材(a)/(d)からなる裏面材が、他の態様では、裏面材が(a)/(b)または(a)/(d)からなる内装用構成部材の耐熱フィルム(a)の外側に融点150℃以下の熱可塑性樹脂層(c)を更に積層した (c)/(a)/(b)または(c)/(a)/(d)からなる裏面材が用いられる。前者の態様ではいずれの場合も裏面材の耐熱フィルム(a)面が基材側に位置するように積層および成形され、後者の態様ではいずれの場合も裏面材の熱可塑性樹脂(c)面が基材側に位置するように積層および成形されてなる。
なお、ここで発泡剤を配合した樹脂(b)はなお未発泡の状態であってもよいし、既に発泡した状態で内装用構成部材を形成していてもよい。
【0023】
車両用内装材は表皮材、基材、裏面材のすべてを重ね合わせた上で接着次いで成形を逐次実施するかまたは成形と接着を同時に行ってもよいし、表皮材と基材、または基材と裏面材を先ず接着一体化し、次いで残りの部材を組み合わせてもよい。
基材と裏面材との接着は、前者の態様では、そのいずれかまたは両方の接合界面に接着剤を塗布してもよいし、ホットメルトフィルムを挟み込んで熱接着して行ってもよい。後者の態様では、融点150℃以下の熱可塑性樹脂(c)をそのままホットメルト樹脂として利用して熱接着することができる。
【0024】
【実施例】
以下、実施例により本発明をより具体的、且つ詳細に説明する。
実施例 1
グラビア印刷法によって、耐熱フィルム上にコーティング樹脂組成物を乾燥後の樹脂塗布量が5g/m2となるように塗布した。耐熱フィルムとして表面コロナ放電処理した厚さ12μの二軸延伸PETフィルムを用い、コーティング樹脂組成物はベース樹脂としてアクリル酸エステル共重合体、発泡剤として塩化ビニリデン/アクリロニトリル共重合体膜中にイソブタンを内包したマイクロカプセル、更に添加剤として少量のシリコン型消泡剤および乾燥促進剤を含有する水性分散体を用いた。グラビア印刷は100線、深度60μに設定してライン速度100m/minで行った。コーティングした耐熱フィルムは100℃に設定した乾燥ボックスを通して乾燥した。こうして(a)/(b)タイプの車両内装用構成部材を作製した。
【0025】
次に、基材として層間をウレタン系液状接着剤で接着したガラスマット/硬質発泡ウレタンシート/ガラスマット(合計厚さ6mm)を用い、この上下に表皮材および上記で得た車両内装用構成部材を重ねて接着一体化して車両用内装材を作製した。なお車両内装用構成部材は耐熱フィルム(a)が基材側に来るように重ねた。また表皮材としては目付180g/m2のニードルパンチ不織布(ポリエステル製)を用いた。重ね合わせた3層を、上型温度を120℃、下型温度を130℃に設定した金型内にセットし、60秒間加圧した。なお加圧に当たっては目標とする基材厚さより0.8mm高い6.8mmの高さのスペーサーを使用した。この熱プレスによる接着一体化の工程で金型の熱により発泡剤を配合した樹脂(b)層は発泡した。またこの3層の接着はガラスマットから染み出した接着剤を利用して行った
【0026】
実施例 2
ロータリスクリーン印刷法によって、耐熱フィルム上にコーティング樹脂組成物を乾燥後の樹脂塗布量が13g/m2となるように塗布した。耐熱フィルムとして厚さ20μの無延伸ナイロン6フィルムを用い、コーティング樹脂組成物はベース樹脂としてウレタン樹脂、発泡剤としてアクリロニトリル/メチルメタクリレート共重合体膜中にイソブタンを内包したマイクロカプセル、更に添加剤として少量の乾燥促進剤を含有する水性分散体を用いた。ロータリースクリーン印刷は120メッシュの版を使用し、厚み100μに設定してライン速度30m/minで行った。コーティングした耐熱フィルムは120℃に設定した乾燥ボックスを通して乾燥すると同時にコーティング層を発泡させた。こうして発泡剤を配合した樹脂(b)層が発泡した(a)/(d)からなるフィルムを作製した。次にこのフィルム上のナイロン6フィルム側に、ダイス温度200℃に設定したTダイを用いて30μの厚さにエチレン-メタクリル酸共重合体(融点98℃、MFR8)を押出ラミネートした。こうして(c)/(a)/(d)タイプの車両内装用構成部材を作製した。
【0027】
次に、基材として目付800g/m2のポリエステル繊維マット、表皮材として裏側にウェブ状ポリエステル系ホットメルト接着剤を30g/m2積層した目付180g/m2のニードルパンチ不織布(ポリエステル製)を用いた。
上下金型の温度を50℃に設定したプレス機の下型上に車両内装用構成部材の樹脂発泡層(d)層を下にしてセットした。この車両内装用構成部材の上に、220℃の加熱炉で加熱した基材を重ね、その上に即座に表皮材を重ね、厚さ5mmのスペーサーを用いて40秒間加圧成形して、車両用内装材を作製した。3層はそれぞれの接合面に存在する表皮材および車両内装用構成部材のホットメルト接着剤によって一体化されている。
【0028】
実施例 3
グラビア印刷法によって、耐熱フィルム上にコーティング樹脂組成物を乾燥後の樹脂塗布量が5g/m2となるように塗布した。耐熱フィルムとして表面コロナ放電処理した厚さ12μの二軸延伸PETフィルムを用い、コーティング樹脂組成物はベース樹脂としてアクリル酸エステル共重合体、発泡剤として塩化ビニリデン/アクリロニトリル共重合体膜中にイソブタンを内包したマイクロカプセル、更に添加剤として少量のシリコン型消泡剤および乾燥促進剤を含有する水性分散体を用いた。グラビア印刷は100線、深度60μに設定してライン速度100m/minで行った。コーティングした耐熱フィルムは140℃の加熱炉に入れて乾燥した。加熱炉では乾燥と同時にコーティング層を発泡させた。こうして発泡剤を配合した樹脂(b)層が発泡した(a)/(d)タイプの車両内装用構成部材を作製した。
【0029】
次に、基材として層間をウレタン系液状接着剤で接着したガラスマット/硬質発泡ウレタンシート/ガラスマット(合計厚さ6mm)を用い、この上下に表皮材および上記で得た車両内装用構成部材を重ねて接着一体化して車両用内装材を作製した。なお車両内装用構成部材は耐熱フィルム(a)が基材側に来るように重ねた。また表皮材としては目付180g/m2のニードルパンチ不織布(ポリエステル製)を用いた。重ね合わせた3層を、上型温度を120℃、下型温度を130℃に設定した金型内にセットし、60秒間加圧した。なお加圧に当たっては目標とする基材厚さより0.8mm高い6.8mmの高さのスペーサーを使用した。この3層の接着はガラスマットから染み出した接着剤を利用して行った
【0030】
比較例 1
車両内装用構成部材として、本発明の積層体(a)/(b)を使用する代わりに耐熱フィルム(a)単層品を使用した以外は実施例1と同様にして車両用内装材を作製した。
【0031】
異音発生の評価方法
実施例1〜3、および比較例1で得た車両用内装材を自動車の天井に取り付け、振動を与えた際の異音の発生状況を評価した。結果は次の通りであった。
実施例1:特に異音の発生は観察されなかった。
実施例2:特に異音の発生は観察されなかった。
実施例3:特に異音の発生は観察されなかった。
比較例1:こすれ音およびきしみ音が観察された。
【0032】
【発明の効果】
通気止め層を有する本発明の内装用構成部材を裏面材として用い、車両用内装材を構成することにより、良好な吸音性を保持し、表層から裏面への室内空気の流通がなくなるため表皮材上に汚れが付着することを防止できる。また車両ボディーに接する裏面側が発泡樹脂で構成されるため摩擦による異音(きしみ音)も生じない。
Claims (2)
- 表皮材、基材、裏面材をこの順に組み合わせてなる車両用内装材において、裏面材が以下に示す(1)に記載の内装用構成部材(a)/(b)または以下に示す(2)あるいは(3)に記載の内装用構成部材(a)/(d)からなり、該裏面材の耐熱フィルム(a)面が基材側に位置するように積層および成形されてなる車両用内装材;
(1)融点150℃以上の耐熱フィルム(a)に発泡剤を配合した樹脂層(b)をコーティングした車両内装用構成部材(a)/(b);
(2)融点150℃以上の耐熱フィルム(a)に樹脂発泡層(d)が積層された車両内装用構成部材(a)/(d);
(3)樹脂発泡層(d)が発泡剤を配合した樹脂層(b)を耐熱フィルム(a)に塗布した後発泡して形成されたものである前記(2)の車両内装用構成部材(a)/(d)。 - 表皮材、基材、裏面材をこの順に組み合わせてなる車両用内装材において、裏面材が以下に示す(4)〜(6)のいずれかに記載の内装用構成部材(c)/(a)/(b)または(c)/(a)/(d)からなり、該裏面材の熱可塑性樹脂(c)面が基材側に位置するように積層および成形されてなる車両用内装材;
(4)融点150℃以上の耐熱フィルム(a)に発泡剤を配合した樹脂層(b)をコーティングした車両内装用構成部材(a)/(b)において、その耐熱フィルム(a)の外側に融点150℃以下の熱可塑性樹脂層(c)を更に積層した車両内装用構成部材(c)/(a)/(b);
(5)融点150℃以上の耐熱フィルム(a)に樹脂発泡層(d)が積層された車両内装用構成部材(a)/(d)において、その耐熱フィルム(a)の外側に融点150℃以下の熱可塑性樹脂層(c)を更に積層した車両内装用構成部材(c)/(a)/(d);
(6)樹脂発泡層(d)が発泡剤を配合した樹脂層(b)を耐熱フィルム(a)に塗布した後発泡して形成されたものである前記(5)の車両内装用構成部材(c)/(a)/(d)。
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