JP5772126B2 - 車両用天井材 - Google Patents

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Description

本発明は車両用天井材に関する。更に詳しくは、本発明は、天井材基体の表面に射出成形法によりクリップ保持部を設ける際、成形に用いる樹脂原料の組成を特定することによって成形温度を低くすることができ、これにより、成形後の冷却過程におけるクリップ保持部の熱収縮に起因する反りの発生、及び成形時の熱による車室側の意匠面における凹みの発生が抑えられる車両用天井材に関する。また、本発明の車両用天井材では、射出成形に用いる樹脂原料に熱可塑性エラストマーが含有されているため、基体とクリップ保持部との接着性を向上させることもできる。
車両用内装材には、車室側とは反対側となる面に、内装材を車両パネルに取り付けるためのリテーナ、サイドクリップ等の保持具が設けられている。この保持具は、従来、予め成形された部品を内装材表面に接着剤等により接合し、固定していたが、接着剤等を必要とし、接着剤の塗布などに相当な手間と時間とを必要としていた。そのため、内装材表面に樹脂を直接射出して保持具を成形するとともに、内装材表面に接合させ、固定させる方法が提案されている。
例えば、繊維ボード等の基体上に熱可塑性樹脂材料により成形体を接合してなり、接合部が、基体の接合面上に延びる線状部と、この線状部から接合面上に突出した枝部とによって形成された成形構造体が知られており、基体を変形させることなく、十分な接合力で成形体が接合されると説明されている(例えば、特許文献1参照。)。更に、特定のキャビティを有する成形型を使用し、樹脂成形体を成形するとともに、被成形物上に溶融樹脂の一部を導出させて接着させる樹脂成形体の成形方法が知られており、射出圧等に基づくキャビティ内圧を低下させ、被成形物の損傷、塑性変形等を防止することができるなどと説明されている(例えば、特許文献2参照。)。
特開2006−212824号公報 特開2006−142746号公報
前述のように、内装材表面に樹脂を直接射出し、保持具を成形する方法、例えば、特許文献1、2に記載された方法であれば、工程を簡略化することができるとともに、保持具を十分な強度で接合させることができる。しかし、特に、ルーフトリムのように多層であり、各種の内装材のうちでも比較的剛性が小さい内装材では、成形後、保持具が冷却されるときの熱収縮により、保持具及びその周縁が保持具が成形された面側に反ってしまうことがある(反りを生じた車両用天井材101の一部の断面の模式図である図3参照)。
また、内装材の基材層として用いられることが多い不織布には、熱膨張性マイクロカプセルが配合され、内装材の軽量化が図られることがあり、この場合、射出成形時の熱により気泡を形成している樹脂が溶融し、破泡して、車室側の意匠面に凹みが生じることがある(意匠面に凹み1aが生じた車両用天井材102の一部の断面の模式図である図4参照)。更に、不織布には、通常、バインダとして配合された熱可塑性樹脂が含有されているが、成形時の熱により樹脂が溶融して結着構造が乱れ、これによっても意匠面に凹みが生じることがある。
本発明は、前述の従来技術の状況に鑑みてなされたものであり、天井材基体の表面に射出成形法によりクリップ保持部を設ける際、成形に用いる樹脂原料の組成を特定することによって成形温度を低くすることができ、これにより、成形後の冷却過程におけるクリップ保持部の熱収縮に起因する反りの発生、及び成形時の熱による車室側の意匠面における凹みの発生が抑えられるとともに、基体とクリップ保持部との接着性を向上させることもできる車両用天井材を提供することを目的とする。
本発明は以下のとおりである。
1.基体と、前記基体の表面に設けられるとともに、クリップを保持するためのクリップ保持部と、を備える車両用天井材において、
前記クリップ保持部は、前記基体の前記表面に、樹脂原料を用いて射出成形法により形成されており、
前記樹脂原料には、熱可塑性樹脂と熱可塑性エラストマーとが含有され、
前記熱可塑性樹脂と前記熱可塑性エラストマーとの合計を100質量部とした場合に、前記熱可塑性樹脂エラストマーは20〜80質量部であり、
前記基体の前記表面の側は不織布により構成されており、
前記熱可塑性樹脂及び前記熱可塑性エラストマーが、前記不織布内に充填されており、 前記クリップ保持部の、前記基体に接触する面の全面が、前記不織布に接合されていることを特徴とする車両用天井材。
2.前記熱可塑性樹脂がポリプロピレン系樹脂であり、前記熱可塑性エラストマーがオレフィン系熱可塑性エラストマーである前記1.に記載の車両用天井材。
本発明の車両用天井材では、クリップ保持部が、特定の樹脂原料を基体の表面に射出することにより設けられており、熱可塑性樹脂のみを用いるときと比べて、成形温度を低くすることができる。そのため、成形後の冷却過程におけるクリップ保持部の熱収縮が抑制され、クリップ保持部が設けられた面側への内装材の反りが抑えられる。また、成形時に基体に伝わる熱量が低減されるため、基体の車室側の意匠面における凹みの発生も抑えられる。更に、樹脂原料に熱可塑性エラストマーが含有されているため、基体とクリップ保持部との接着性を向上させることもできる。また、予め成形した部品を基体表面に接合し、固定する方法と比べて、接着剤等を必要とせず、成形に要する時間を短縮することができる。更に、成形温度が低いため冷却時間を短くすることができ、成形サイクルタイムを短縮することができる。そのため、生産性を向上させることができる。
また、熱可塑性樹脂がポリプロピレン系樹脂であり、熱可塑性エラストマーがオレフィン系熱可塑性エラストマーである場合は、低温での基体の表面への射出成形が容易であり、クリップ保持部が設けられた面側への反り、及び車室側の意匠面における凹みの発生が十分に抑えられるとともに、基体とクリップ保持部との接着性がより向上し、生産性もより向上する。
基体の車両パネル側となる面にクリップ保持部が設けられた車両用天井材の一部の断面の模式図である。 図1のクリップ保持部の模式的な斜視図である。 クリップ保持部の熱収縮により、クリップ保持部が設けられた面側に反ってしまった車両用天井材の一部の断面の模式図である。 クリップ保持部を成形するときの熱により、基材層の気泡を形成している樹脂が溶融し、破泡して、車室側の意匠面に凹みが生じた車両用天井材の一部の断面の模式図である。
以下、本発明を図も参照しながら詳しく説明する。
ここで示される事項は例示的なもの及び本発明の実施形態を例示的に説明するためのものであり、本発明の原理と概念的な特徴とを最も有効に且つ難なく理解できる説明であると思われるものを提供する目的で述べたものである。この点で、本発明の根本的な理解のために必要である程度以上に本発明の構造的な詳細を示すことを意図してはおらず、図面と合わせた説明によって本発明の幾つかの形態が実際にどのように具現化されるかを当業者に明らかにするものである。
本発明の車両用天井材100は、基体1と、その表面(車両パネル側の面)に設けられるとともに、クリップを保持するためのクリップ保持部2と、を備える(図1参照)。クリップ保持部2は、基体1の表面に、樹脂原料を用いて射出成形法により形成されており、樹脂原料には、熱可塑性樹脂と熱可塑性エラストマーとが含有される。また、熱可塑性樹脂と熱可塑性エラストマーとの合計を100質量部とした場合に、熱可塑性樹脂エラストマーは20〜80質量部(熱可塑性樹脂は20〜80質量部)である。更に、基体の表面の側は不織布により構成されており、熱可塑性樹脂及び熱可塑性エラストマーが、不織布内に充填されている。また、クリップ保持部の、基体に接触する面の全面が不織布に接合されている。
[1]クリップ保持部
前記「クリップ保持部2」は、車両用天井材100の基体1の表面に設けられる(図1参照)。車両用天井材100の基体1は、車両に取り付けられたときに、車両パネル側となる面と、車室側となる面とを有し、クリップ保持部2は、車両パネル側となる面に設けられている(図1参照)。そして、クリップの一端側がクリップ保持部2に保持され、クリップの他端側が車両パネルに設けられた取付孔等に取り付けられ、車両用天井材100が車両パネルに固定される。
クリップ保持部2は、基体1の表面に、樹脂原料を用いて射出成形法により形成される。即ち、樹脂原料が、基体1の表面に直接射出され、冷却されて、クリップ保持部2が形成される。このような方法では、通常、三次元方向への移動が制御された射出成形機から、射出成形機と基体表面との間に設けられたキャビティ内へ樹脂原料が射出され、基体表面の所定箇所に所要個数のクリップ保持部2が連続的に形成される。
前記「樹脂原料」には、熱可塑性樹脂と熱可塑性エラストマーとが含有される。樹脂原料には、通常、熱可塑性樹脂と熱可塑性エラストマーとを除く添加剤等の他の成分が含有され、その含有量は特に限定されないが、熱可塑性樹脂と熱可塑性エラストマーとの合計を100質量部とした場合に、通常、10質量部以下である。他の成分が10質量部以下であれば、容易に射出成形することができるとともに、十分な剛性及び強度等を有するクリップ保持部2を備える車両用天井材100とすることができる。
また、熱可塑性樹脂と熱可塑性エラストマーとの合計を100質量部とした場合に、熱可塑性エラストマーは20〜80質量部である。即ち、熱可塑性樹脂は20〜80質量部である。更に、熱可塑性エラストマーは30〜70質量部であり、熱可塑性樹脂は30〜70質量部であることが好ましい。熱可塑性エラストマーが20〜80質量部であり、熱可塑性樹脂が20〜80質量部であれば、射出成形が容易であり、且つ十分な剛性及び強度等を有するクリップ保持部2を備える車両用天井材100とすることができる。
前記「熱可塑性樹脂」は特に限定されず、ポリプロピレン、高密度ポリエチレン等のポリオレフィン系樹脂、ポリエチレンテレフタレート、ポリブチレンテレフタレート、ポリトリメチレンテレフタレート等のポリエステル系樹脂、ナイロン6、ナイロン66等のポリアミド系樹脂、ポリメチルメタクリレート等のアクリル系樹脂などの各種の熱可塑性樹脂が挙げられる。熱可塑性樹脂としては、射出成形が容易であり、十分な強度等を有するクリップ保持部2とすることができるポリオレフィン系樹脂が好ましい。
好ましい熱可塑性樹脂であるポリオレフィン系樹脂は特に限定されない。ポリオレフィン系樹脂は、構成単位の全量を100モル%とした場合に、通常、80モル%以上のオレフィン単位を有する。この樹脂の製造に用いられるオレフィンとしては、プロピレン及びエチレンの他、1−ブテン、1−ペンテン、1―ヘキセン、2−メチル−1−プロペン、3−メチル−1−ペンテン、4−メチル−1−ペンテン、5−メチル−1−ヘキセン等が挙げられる。これらのオレフィンは1種のみ用いてもよく、2種以上を併用することもできる。
ポリオレフィン系樹脂の構成単位は、プロピレン単位及び/又はエチレン単位であることが好ましい。また、構成単位の全量を100モル%とした場合に、プロピレン単位及びエチレン単位の合計が80モル%以上、特に85モル%、更に90モル%以上(100モル%、即ち、ポリプロピレン、ポリエチレン、エチレン/プロピレン共重合体であってもよい。)であることがより好ましい。更に、ポリオレフィン系樹脂としては、プロピレン単独重合体、エチレン/プロピレンブロック共重合体等のポリプロピレン系樹脂が特に好ましい。
前記「熱可塑性エラストマー」は特に限定されず、オレフィン系熱可塑性エラストマー、ポリアミド系熱可塑性エラストマー、ポリエステル系熱可塑性エラストマー、ウレタン系熱可塑性エラストマー等の各種の熱可塑性エラストマーが挙げられる。熱可塑性エラストマーとしては、射出成形が容易であり、十分な強度等を有するクリップ保持部2とすることができるオレフィン系熱可塑性エラストマーが好ましい。
好ましい熱可塑性エラストマーであるオレフィン系熱可塑性エラストマーは特に限定されない。このようなエラストマーとしては、エチレン、プロピレン、ブテン等をベースモノマーとするα−オレフィン共重合体からなるオレフィン系熱可塑性エラストマーが挙げられる。このような共重合型のエラストマーとしては、三井化学社製、商品名「タフマー」等を例示することができる。
また、ハードセグメントとなるエチレン/プロピレンランダム共重合体、エチレン/アルキルアクリレート共重合体等のオレフィン系樹脂成分に、ソフトセグメントとなるエチレン/プロピレンゴム、エチレン/プロピレン/ジエンゴム等のゴム成分が微分散され、含有されてなるゴム分散型のオレフィン系熱可塑性エラストマーが挙げられる。このようなゴム分散型のエラストマーとしては、三井化学社製、商品名「ミラストマー」、三菱化学社製、商品名「サーモラン」、住友化学社製、商品名「エスポレックスTPE」、JSR社製、商品名「エクセリンク」等を例示することができる。オレフィン系熱可塑性エラストマーは1種のみ含有されていてもよく、2種以上含有されていてもよい。
前述のように、熱可塑性樹脂としては、ポリオレフィン系樹脂、特にポリプロピレン系樹脂が好ましく、熱可塑性エラストマーとしては、オレフィン系熱可塑性エラストマー、特にα−オレフィン共重合体からなる共重合型のエラストマーが好ましい。これらの、ポリプロピレン系樹脂と、オレフィン系熱可塑性エラストマーとを組み合わせて用いることにより、樹脂とエラストマーとをより均一に混合させることができ、射出成形が容易であるとともに、優れた強度等を有するクリップ保持部2とすることができる。
樹脂原料には、通常、熱可塑性樹脂と熱可塑性エラストマーとを除く他の成分が含有される。この他の成分としては、各種の酸化防止剤、紫外線吸収剤、滑剤、帯電防止剤、顔料、充填剤、界面活性剤、難燃剤、及び難燃助剤等が挙げられる。これらの他の成分は1種のみ用いてもよく、2種以上を併用してもよい。これらの他の成分は、熱可塑性樹脂に配合されて含有されていてもよく、熱可塑性エラストマーに配合されて含有されていてもよく、樹脂及びエラストマーに配合されて含有されていてもよい。例えば、熱可塑性エラストマーにタルク等の無機充填剤を配合することで、より剛性が高く、強度等に優れたクリップ保持部2とすることができる。
[2]基体
前記「基体1」は、車室側となり意匠面を形成する表皮層12、天井材の形状を保持し、強度を付与するための基材層11、表皮層12と基材層11とを接合するとともに、通気性を有し、吸音層として機能する接着性フィルム層13を備える。また、基材層11の表皮層12とは反対側の面に積層され、通気止めをし、意匠面である表皮層12の表面に埃等が付着するのを抑えるための通気止めフィルム層14、通気止めフィルム層14の基材層11とは反対側の面に積層され、基体1の加熱、加圧成形時等に取り扱い易くするための不織布層15を併せて備える(図1参照)。
表皮層12は、各種の織布、皮革、編布、不織布、熱可塑性エラストマーシート、塩化ビニルレザー等を用いて形成することができる。この表皮層12の厚さは特に限定されないが、例えば、0.5〜3.0mm、特に1.0〜2.0mm程度とすることができる。また、車両用天井材100は、通常、表皮層12が車室側を向くようにして配置され、表皮層12の外表面が車両用天井材100の意匠面となる。
基材層11は、表皮層12等の他の層を支持する層であり、この基材層11により車両用天井材100は十分な強度及び緩衝性等を有するものとなる。基材層11は、車両用天井材全体を支持するための十分な剛性等を有しておればよく、材質等は特に限定されないが、基材層11の形成には、成形性、物性等の観点で、不織布又は樹脂フォームが用いられることが多い。基材層11の厚さも特に限定されないが、1.0〜7.0mm、特に2.0〜4.0mm、更に2.0〜3.0mmとすることができる。厚さが1.0〜7.0mm、特に2.0〜3.0mmであれば、表皮層12等の他の層を十分に支持し得る基材層11とすることができる。また、基材層11の目付も特に限定されないが、200〜800g/m、特に300〜600g/m、更に400〜600g/mとすることができる。基材層11の目付が200〜800g/m、特に400〜600g/mであれば、十分な強度を有するとともに、軽量な車両用天井材100とすることができる。
基材層11が不織布からなる場合、この不織布は特に限定されないが、例えば、無機繊維及び/又は天然繊維と、これらの繊維の交絡点の少なくとも一部を結着する熱可塑性樹脂とを有する不織布を用いることができる。
無機繊維としては、ガラス繊維、炭素繊維、金属繊維等が挙げられる。これらのうちガラス繊維及び/又は炭素繊維が好ましい。無機繊維は1種のみでもよいし、2種以上でもよい。また、天然繊維としては、ケナフ、麻、綿、しゅろ繊維、ここやし繊維等の植物繊維、及び絹、羊毛等の動物繊維が挙げられる。これらのうち麻が好ましい。天然繊維は1種のみでもよいし、2種以上でもよい。更に、無機繊維と天然繊維とを併用することもできる。この無機繊維及び天然繊維は、通常、解繊された長繊維である。
熱可塑性樹脂は、無機繊維及び/又は天然繊維に、繊維、粉末等の形態で混合され、形成されるウェブが加熱加圧されるときに溶融し、溶融した熱可塑性樹脂により、無機繊維及び/又は天然繊維の交絡点が結着される。この熱可塑性樹脂は特に限定されず、ポリプロピレン、ポリエチレン等のポリオレフィン系樹脂、ポリメチルアクリレート、ポリメチルメタクリレート等のアクリル系樹脂、ナイロン−6、ナイロン−66等のポリアミド系樹脂、及びポリエチレンテレフタレート等のポリエステル系樹脂などが挙げられる。これらのうちでは、ポリオレフィン系樹脂、特にポリプロピレン単独重合体等のポリプロピレン系樹脂が好ましい。熱可塑性樹脂は1種のみ用いてもよいし、2種以上を併用してもよい。この熱可塑性樹脂には、酸化防止剤、紫外線吸収剤、滑剤、帯電防止剤等の通常この種の樹脂に用いられる添加剤を必要に応じて配合することができる。
基材層11となる不織布には、熱膨張性マイクロカプセルを配合することができる。この場合、車両用天井材100の基体1の成形工程における加熱、加圧時に、熱膨張性マイクロカプセルを膨張させることにより、より軽量な車両用天井材100とすることができる。熱膨張性マイクロカプセルは、通常、外殻中に、ブタン、イソブタン等の揮発性炭化水素を内包し、外殻は、塩化ビニリデン−アクリルニトリル共重合体、ポリ塩化ビニル、ポリ塩化ビニリデン、ポリアクリルニトリル等により構成されている。
熱膨張性マイクロカプセルは、通常、直径が10〜100μm、特に20〜80μm程度の略球形であり、熱膨張開始温度を超える温度範囲に加熱することにより4〜30倍に体膨張する。体膨張後の直径は、体膨張前の直径及び膨張倍率によるが、例えば、40〜600μm、特に60〜400μmになる。このような熱膨張性マイクロカプセルを用いることにより、基材層11を軽量化することができるとともに、多孔構造となるため十分な吸音性等を併せて有する車両用天井材100とすることができる。
基材層11は、樹脂フォーム、特にポリウレタンフォームにより形成することもできる。基材層11となるポリウレタンフォーム層は、ポリオール、ポリイソシアネート、架橋剤、触媒、発泡剤、整泡剤等を含有するフォーム原料を使用し、常法により発泡させ、成形したスラブフォームから所定寸法となるように切り出す等の方法により作製することができる。また、フォーム原料には、前述の各種の成分の他、酸化防止剤、紫外線吸収剤、充填剤、内部離型剤、難燃剤等の各種の添加剤を、必要に応じて配合することができる。
尚、基材層11に用いられるポリウレタンフォームは熱硬化性であり、通常、クリップ保持部2形成時の熱により基体1の表面に凹みが生じることはない。
更に、この基体1では、基材層11の表皮層12が接合される面とは反対面に通気止めフィルム層14が設けられる(図1参照)。この通気止めフィルム層14は特に限定されないが、ポリプロピレン等のポリオレフィン系樹脂、ポリアミド系樹脂、ポリエステル系樹脂等の各種の合成樹脂を用いてなるフィルム、及び積層フィルム、例えば、ポリオレフィン樹脂フィルムとポリアミド樹脂フィルムとの積層フィルムなどにより形成することができる。これにより、車両用天井材100の厚さ方向の全体に渡る通気が遮断され、又は少なくとも抑えられ、表皮層12の表面に付着する埃等が低減され、より優れた意匠性が維持される車両用天井材100とすることができる。
また、通気止めフィルム層14の基材層11と接合される面とは反対面に不織布層15が設けられる(図1参照)。この不織布層15も特に限定されないが、無機繊維、天然繊維等に熱可塑性樹脂繊維又は粉末を配合し、ニードリング等により混繊させ、加熱、加圧して、無機繊維、天然繊維等の交絡点が熱可塑性樹脂により結着されてなる不織布等の一般的な不織布を用いて形成することができる。これにより、基体1の加熱加圧成形時等、及びクリップ保持部2を設けるときなどに取り扱い易い基体1とすることができ、作業性を向上させることができる。
基体1の製造方法は特に限定されず、真空成形法等の通常の方法により製造することができる。この真空成形法としては、例えば、予め所望の形状に予備成形しておいた基材(例えば、加熱圧縮された不織布からなる繊維ボード等であり、基材層11となる。)に、加熱された表皮材(表皮層12となる。)と接着性フィルム(接着性フィルム層14となる。)との複層シートを、真空成形と同時に貼り合わせる方法が挙げられる。
更に、真空成形法としては、凸型引き真空成形法、凹型引き真空成形法、これらの両法を用いた真空成形法、凸型引き真空成形と同時にプラグアシスト等により成形する方法、及び上下金型でプレスすると同時に真空引きする真空成形方法、等の各種の方法が挙げられる。また、基材層11となる前述の繊維ボード等に、通気止めフィルムと不織布とを予め積層させた予備成形シートを用いて真空成形することもできる。これにより、前述の各層に加えて、通気止めフィルム層14及び不織布層15を併せて有する基体1を製造することができる。
以下、本発明を実施例により具体的に説明する(図1乃至4参照)。
実施例1〜3
ポリプロピレン(プライムポリマー社製、商品名「LA880」)と、70質量部(実施例1)、50質量部(実施例2)、30質量部(実施例3)のオレフィン系熱可塑性エラストマー(三井化学社製、商品名「タフマー BL248」)とをドライブレンドした。その後、樹脂混合物を、三次元方向への移動が制御された射出成形機を用いて、常法により作製した厚さ5.0mmの基体1の不織布層15の面の所定箇所に所要温度で順次射出した。次いで、自然冷却させて室温(25〜30℃)にまで降温させ、基体1の表面にクリップ保持部2を形成し、車両用天井材100を製造した。
比較例1
クリップ保持部2を形成するための樹脂原料としてオレフィン系熱可塑性エラストマーを用いなかった他は、実施例と同様にして車両用天井材101を製造し、同様にして評価した。
[1]車両用天井材の評価
射出成形時の成形温度、冷却後の反り、凹みの程度、及び基体とクリップ保持部との間の接着強度を評価した。
(1)成形温度
成形温度は、比較例1(エラストマーを含有せず、ポリプロピレンのみを用いてクリップ保持部を成形した。)と同じ操作及び成形サイクルタイムで、正常な外観を有するクリップ保持部を成形することができる成形温度の下限値を射出成形機のシリンダーの設定温度により評価した。
(2)反り
反りは、基体1から剥離させた平面形状が長方形のクリップ保持部2の基体との接合面であった側を、平面上に、長辺方向の中央部が接するように、且つ長辺方向の両端部の下面と平面との間が等距離となるように置いたときの、長辺方向の両端部の下面と平面との距離により評価した。
(3)凹み
凹みは、車両用天井材100をクリップ保持部2が設けられた位置で横断面方向に切断し、切断面を光学顕微鏡によって観察したときの、車室側の意匠面となる表皮層12の側において生じた凹みの深さの、最大深さで評価した。
(4)接着強度
接着強度は、成形されたクリップ保持部2を中心として縦横66mmの寸法の試片を切り出し、引張試験機の下部プレートに試片の基体部分を固定し、クリップ保持部2を掴み具により把持して、22mm/分の引張速度で上方へ引っ張ったときの引張強度により評価した。
これらの評価結果を表1に記載する。
Figure 0005772126
[2]評価結果
表1によれば、成形温度は、比較例1が200℃であるのに対して、実施例1が185℃、実施例2が180℃、実施例3が175℃であった。このように、エラストマーを30質量%含有させれば、成形温度を15℃低下させることができ、エラストマーの増加とともに成形温度をより低下させ得ることが分かる。
また、反りは、比較例1が0.80mmであったのに対して、実施例1では0.70mm、実施例2では0.66mm、実施例3では0.63mmであった。このように、エラストマーが含有されることで反りが低減されることが分かる。これは、エラストマーの増加とともに、成形温度が低くなることと、クリップ保持部の熱収縮率が小さくなることとの相乗効果のためであると推察される。
更に、凹みは、比較例1が0.30mmであったのに対して、実施例1では0.15mm、実施例2では0.10mm、実施例3では0.05mmであった。このように、凹みは、エラストマーの増加とともにより大きく低減され、特にエラストマーが70質量%含有されている実施例3では、凹みが極めて小さいことが分かる。これは、成形温度の低下により、基材層に伝わる熱が低減され、基材層の発泡構造を形成する樹脂が溶融し、破泡して、体積収縮することが抑えられるためであると推察される。
また、クリップ保持部の基体に対する接着強度は、比較例1が136Nであったのに対して、実施例1では146N、実施例2では152N、実施例3では159Nであった。このように、エラストマーの増加とともに接着強度が大きくなっていることが分かる。これは、基体に対する接着性が、ポリプロピレンよりエラストマーのほうが高いためであると推察される。
本発明の車両用天井材は車両の天井材の技術分野において利用することができる。本発明の車両用天井材は、特に、比較的大型の成形品であり、他の内装材と比べて剛性が低いルーフトリムの技術分野において有用である。
100;車両用天井材、101;クリップ保持部を中心として反ってしまった車両用天井材、102;車室側の意匠面に凹みが生じた車両用天井材、1;基体、11;基材層、12;表皮層、13;接着性フィルム層、14;通気止めフィルム層、15;不織布層、1a;車室側の意匠面に生じた凹み、2;クリップ保持部。

Claims (2)

  1. 基体と、
    前記基体の表面に設けられるとともに、クリップを保持するためのクリップ保持部と、を備える車両用天井材において、
    前記クリップ保持部は、前記基体の前記表面に、樹脂原料を用いて射出成形法により形成されており、
    前記樹脂原料には、熱可塑性樹脂と熱可塑性エラストマーとが含有され、
    前記熱可塑性樹脂と前記熱可塑性エラストマーとの合計を100質量部とした場合に、前記熱可塑性エラストマーは20〜80質量部であり、
    前記基体の前記表面の側は不織布により構成されており、
    前記熱可塑性樹脂及び前記熱可塑性エラストマーが、前記不織布内に充填されており、 前記クリップ保持部の、前記基体に接触する面の全面が、前記不織布に接合されていることを特徴とする車両用天井材。
  2. 前記熱可塑性樹脂がポリプロピレン系樹脂であり、前記熱可塑性エラストマーがオレフィン系熱可塑性エラストマーである請求項1に記載の車両用天井材。
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