JP2005313835A - 車両用衝撃吸収体 - Google Patents

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伸弘 寺井
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Abstract

【目的】衝撃吸収とともに吸音(遮音)も可能な車両用衝撃吸収体を提供することを目的とする。
【構成】車両における衝撃吸収のために、内装パネルの裏面に配設されて使用される合成樹脂製の衝撃吸収体。基板部24と、基板部24の後面側に形成される衝撃吸収部26とを備えている。衝撃吸収部26は、前記基板部24に、交差させて立設された座屈リブ群28a、28bで形成する。また、座屈リブ群28a、28bで形成される筒状空間30に対応して、基板部24に吸音用孔32を形成して、共鳴吸音構造を形成する。
【選択図】図2

Description

本発明は、車両における衝撃吸収のために、内装パネルの裏面に配設されて使用される合成樹脂製の衝撃吸収体に関する。さらに詳しくは、実質的に一個の成形体で衝撃吸収とともに遮音作用(車外側異音の車室内への侵入を吸音により低減する)を奏し得る車両用衝撃吸収体に係るものである。
本明細書では、車両用衝撃吸収体として、ロアパネル(アウター)の裏面に貼着され、車両の衝突時に、着座した乗員の膝部を保護するものを例に採り説明するが、これに限られるものではない。
すなわち、サイドドア、クォータパネル、フロント・バックシート等の車両内装パネルの裏面に配置(固着)して使用することも可能である。
車両に衝撃荷重作用時における乗員膝部を保護する一態様として、下記のようなものがある。
自動車のステアリングホイールの下側に配されるロアパネルアウターの裏面には、ブロック状の衝撃吸収用部材(硬質発泡ウレタン)が配置(貼着)されている。ロアパネルと乗員膝部が衝突したときの、膝部に対する衝撃荷重を緩和するためである。すなわち、上記衝撃吸収部材は、膝部がロアパネルアウターに変形を発生させるような荷重で衝突したとき、吸収部材受け鉄板を座面として脆性破損する。こうして、衝撃エネルギーが吸収されて、衝撃荷重のピーク値を所定値以下に設定できる。
他方、車内居住空間の快適性(アメニティ)向上の要請から、車外側からの異音(ロアパネルの場合はエンジン音)の侵入防止の要請が旧来からある。
このため、ロアパネルの裏面側には、ロアパネルアウターないしロアパネルインナーに、軟質発泡ウレタン(軟質のものは吸音率高い)やフェルト等の吸音部材を貼着(配置)して対応していた。
当該技術は実施後、各社が実施している周知技術であり、本発明者らが知る限りにおいては、上記技術を明記している先行技術文献は存在しない。
なお、本発明の発明性に影響を与えるものではないが、先行技術文献として、特許文献1及び2が存在する。
特許文献1の図1〜3等には、合成樹脂製のリブ構造の車両用衝撃吸収構造体(車両用衝撃吸収体)が記載されている。しかし、当外車両用衝撃吸収体は、車外側からの異音侵入の低減、いわゆる吸音(遮音)を予定していない。
特許文献2の図1及び特許請求の範囲等には、多数の中空体部板状部と、板状部の片面に先端を開口させた多数の中空体部とを樹脂により一体成形した遮音板に係る技術が記載されている。
当該遮音板は、板状部を繊維強化樹脂で形成して剛性を受け持ち、中空体部で遮音性を受け持つものであり(段落0001)、車両衝突時の衝撃吸収を予定していない。
特開平8−142234号公報 特開平5−92441号公報
しかし、上記周知技術の場合、ロアパネル(アウター)の裏面に衝撃吸収用部材とともに、吸音部材を用意して、該吸音部材に貼着する必要がある。
また、ロアパネル裏面に両部材の占有空間を確保する必要があり、ロアパネルの設計自由度が制限を受けた。
本発明は、上記問題点を解決できる車両用衝撃吸収体を提供することを目的(課題)とする。
本発明者らは、上記課題を解決するために、前記合成樹脂製のリブ構造の車両用衝撃吸収体に着目して下記構成の車両用衝撃吸収体に想到した。
車両における衝撃吸収のために、内装パネルの裏面に配設されて使用される合成樹脂製の衝撃吸収体であって、
基板部と、基板部の後面側に形成される衝撃吸収部とを備え、
該衝撃吸収部は、前記基板部に、交差(L字形交わりを含む。)させて立設された座屈リブ群で形成され、
前記座屈リブ群で形成される筒状空間に対応して、前記基板部に1個又は複数個の吸音用孔が形成されていることを特徴とする。
上記構成により、衝撃吸収体を内装パネルの裏面に配置したとき、吸音用孔と筒状空間で共鳴吸音構造が形成される。したがって、衝撃吸収用部材とともに吸音部材を準備し、貼着する必要がない。即ち、衝撃吸収用部材のみを車両用内装パネルの裏面に貼着(固着)するのみでよい。また、その結果、パネル裏面に衝撃吸収部材の固着のための収納空間を確保するのみでよい。このため、衝撃吸収部材とともに吸音部材を裏面側に配置する必要がある場合に比して、車両用内装パネルの設計自由度が増大する。
上記構成において、前記衝撃吸収部は、箱状の外枠部と該外枠部の内側に形成された格子部とを備えている構成とすることが望ましい。衝撃吸収部を格子部のみで形成した場合に比して、前記共鳴吸音構造の個数を確保し易く、吸音(遮音)性能が向上する。
衝撃吸収部の先端形成面を、前記基板の面に対して傾斜面(スロープ面)とすることが望ましい。
車両裏面に配置したとき形成される各共鳴吸音構造における背後空気層の厚さが変化して共鳴周波数も変化するため、広範囲の周波数域に渡る吸音が可能となる。
上記において、前記衝撃吸収部は、箱状の外枠部と該外枠部の内側に形成された格子部とを備えている構成とすることが望ましい。衝撃吸収性能の設計が容易であるとともに、衝撃吸収部を格子部のみで形成した場合に比して、前記共鳴吸音構造の個数を確保し易く、吸音(遮音)性能が向上する。
上記構成において、衝撃吸収部における筒状空間の最大高さを最小高さの2倍以上とすることが望ましい。周波数域をより確実に広げることができる。
そして、本発明の衝撃吸収体は、板厚1〜3mmの場合において、音流入孔の開口率は、0.5〜15%であり、且つ、孔径は15mm以下とする。開口率が小さすぎたり、吸音孔径が大きすぎたりすると、異音となり易い高周波側領域の吸音(遮音)をし難くなる。
上記構成において、本発明の車両用衝撃吸収体は、ポリオレフィン(PO)系樹脂組成物で一体成形し、該PO系樹脂が、曲げ弾性率(JIS K 6758):200〜600MPa、引張り伸び(JIS K 6758):130%以上、アイゾット衝撃値(JIS K 6758、−30℃):非破壊(NB)の特性を示すものを使用することが望ましい。
本発明の車両用衝撃吸収体を、上記特性を備えたPO系プラスチックで成形すれば、塑性変形(主として座屈)を確保し易くて、かつ、低温域における衝撃吸収特性にも優れている。
また、上記構成の車両用衝撃吸収体において、
前記PO系プラスチックの組成が、
エチレン改質ポリプロピレン60〜100質量%
エチレン−αオレフィン共重合体0〜40質量%
のポリマーアロイ100質量部に対して無機充填剤:0〜10質量配合されていることが望ましい。
PO系プラスチックの組成を上記構成とすることにより、上記特性を有する車両用衝撃吸収体を容易に成形可能となる。
そして、本発明の車両用衝撃吸収体を適用する車両用パネルは、下記構成となる。
乗員に対する保護予定部を備えた車両用内装材であって、該内装材の前記保護予定部の裏面に、車両用衝撃吸収体が配されていることを特徴とする。
さらに、本発明の車両用衝撃吸収体は、上位概念的に、下記構成のものまで広げることができる。
車両における衝撃吸収のために、内装パネルの裏面に配設されて使用される合成樹脂製の衝撃吸収体であって、
基板部と、基板部の後面側に形成される衝撃吸収部とを備え、
該衝撃吸収部が、前記内装パネルの裏面に配設したとき複数個の共鳴吸音構造を形成可能に孔部(小孔部)と背後空気層形成部(筒状部)とを備えていることを特徴とする。
以下、本発明の一実施形態を、図例に基づいて説明をする。
図1に本実施形態の衝撃吸収体の斜視図、図2〜3に該衝撃吸収体をロアパネル取付け断面図及び3−3線矢視図を示す。
以下の説明で、上下・前後・左右の関係は、車両の乗員を基準とする。
本実施形態の車両用衝撃吸収体12が、ロアパネル14の裏面(乗員膝部KW、KWに対する保護予定部)両側部に取付けられて(配設されて)いる(図2・3参照)。なお、図例中、KMは、標準男性の膝位置を示し、KWは小さめの女性の着座したときの膝位置(脚部外形)を示す。
ここで、車両用衝撃吸収体12の裏面側には、ロアパネルと同種材料で形成されたプラスチック製のインナーパネル(プラスチック製)16及び荷重受け鉄板18が、それぞれ隙間(通常、5〜10mm)をおいて配設されている。荷重受け鉄板18は、車体補強パイプ(リーンフォースパイプ)20にブラケット22支持されている。
本実施形態における衝撃吸収体12は、図2〜4に示す如く、基板部24と、基板部24上に形成された衝撃吸収部26とからなる。
該衝撃吸収部26は、基板部24に、交差(L字形交わりを含む。)させて立設された座屈リブ群28a、28bで形成されている。そして、座屈リブ群28a、28bで形成される筒状空間30に対応して、前記基板部に1個又は複数個(図例では一個)の吸音用孔32が形成されている。
より具体的には、衝撃吸収部26が、箱状の外枠部26aと、外枠部26aの内側に形成された格子部26bとを備えている。また、衝撃吸収部26の先端面が、基板24の面に対して傾斜している。このとき、衝撃吸収部の最小高さと最大高さの差が2倍以上(図例では約3倍)とされている。即ち、図例では、縦座屈リブ28bが一辺が斜辺とされた台形形状とされ、横リブaが台形の斜辺の各位置に対応させた高さとされている。当然、座屈リブ群26a、26bを全て同一高さとしてもよい。
上記において、基板部24の厚みは、合成樹脂材料の種類等により異なるが、衝撃吸収部26の塑性変形の安定性の見地から、通常、1〜3mm(望ましくは2〜3mm)とする。なお、板厚が薄いほど、吸音周波数域が高めとなる。また、板厚を厚くすれば、ある厚さでは共鳴吸音効果の増大さらには、遮音効果も期待できるが、重量増大、省スペースとのバランスから適宜設定する。
また、本実施形態では、基板部24と衝撃吸収部26の平面大きさは同一であるが、基板部24のみ大きくして、フランジ部等を備えた構成、又は、箱状の外枠26aがなくて、格子部26bのみを基板部24上に形成する構成としてもよい。
ここで、座屈リブ群28a、28bの配設の態様、即ち、外枠26a及び格子部26bの形状は、ロアパネル(内装パネル)の裏面に配設したとき、所定の衝撃吸収性能及び吸音性能を確保可能なものなら特に限定されない。
即ち、格子形状は、図例の如く、矩形に限られず、三角形、正多角形(五角形、六角形)等、さらには、平行四辺形、ひし形等であってもよい。さらには、薄肉リブの立設の態様は、基板部24上に直立でなくても、斜設(10〜20°)でもよい。
また、基板部24の上に形成した外枠26a内に、図4(A)、(B)及び(C)に示す如く、横座屈リブ28aのみ、縦座屈リブ28bのみ、斜設座屈リブ28cのみを配設したものでもよい。
また、座屈リブ28a、28bの格子の交差点ピッチは、通常、10〜50mmの範囲で、衝撃吸収性能及び吸音性能を考慮して適宜設定する。衝撃吸収部26の平面大きさは、標準弾性膝部KMの位置から小さ目女性膝部KWの位置まで受け可能な大きさとし、例えば、左右膝部に対応して一対仕様とする場合は、通常縦100〜300mm、横100〜300mmとする。
そして、座屈リブ28a、28bの高さ及び肉厚は、形成する合成樹脂材料及び要求される衝撃吸収特性により異なる。通常、最低高さ10mm以上100mm以下、最大高さ50mm以上200mm以下、肉厚0.6〜1.2mmの範囲で、適宜設定する。座屈リブの最低高さが低すぎては、十分な衝撃吸収性能を得難い。また、最低高さが高過ぎると、衝撃吸収体の占有空間が大きくなり望ましくなく、また、吸音周波数を高めに移行させることが困難となる。
上記吸音用孔32の開口率及び孔径は、前記の如く、基板部24の板厚が1〜3mmであるので、前者:0.5〜20%、孔径:15mm以下の範囲で、要求される吸音特性に応じて、適宜設定する。また、本実施形態では、吸音用孔は、径が全て同一であり、かつ、各筒状空間30に対して一個ずつ中央部に形成したが、必然的ではない。即ち、要求される吸音周波数域に対応させて、各筒状空間ごととに吸音用孔の径を変えたり、また、各筒状空間に対して、吸音用孔の個数を複数個ずつ又は変えたり(吸音用孔を設けない場合も含む。)することも可能である。
即ち、本発明における吸音構造(共鳴吸音構造)は、共鳴吸収の現象を利用したものである。以下に、「現場実務者と設計者のための実用騒音・振動制御ハンドブック」((株)エヌ・ティー・エス発行 2000年5月:p305〜306)から引用して説明する。なお、括弧内(注)は、本明細書添付図面の図番を示したものである。
「石膏ボードなどに貫通したあなをあけた材料は、あなあき板材料と呼ばれ、背後空気層と一体となってあなあき板吸音構造を構成し、共鳴型吸音構造としての吸音特性を示す。すなわち、あなあき板材料の背後に空気層をとると、図5(注:図5)に示すように、ある周波数を中心とした山形の吸音特性を示す。
あなあき板の背後に共鳴器の寸法が音の波長に比べて十分に小さいときは、あなの部分の空気は質量として取り扱うことができ、背後空気層の部分の空気はこの図(注:図6)のように一つ一つのあなに対応するユニットと考えてみると、音圧のバランスによる動かない壁で囲まれており、ばねの作用をする。したがって、あな板材料と背後空気層で構成される構造は、質量とばねをもった振動系を構成することになる。この共鳴周波数の音に対しては、質量に相当するあなの部分の空気が激しく振動し、あなの付近の管壁などとの摩擦損失によって、音のエネルギーが吸収される。」
そして、共鳴周波数は、背後空気層が通常の厚さ(20cm程度まで)であるときは、下記式によると記載されている(なお、式は入力文字の関係から適宜変更してある。)。
「 f0=c/2π{p/(t+0.8d)L}1/2
ここで、f0:共鳴周波数(Hz)、c:空気中の音速(cm/s)、t:あなあき板材料の板厚(cm)、d:あなの直径(cm)、L:背後空気層の厚さ(cm)、p:開孔(口)率p=πd2/4D2)、D:あなのピッチ(cm) 」
ここで、音速(50℃)c:3.60×103cm/s、板厚t:2.5×10-1cmリブピッチD:3cmとした場合において、各孔径及び背後空気層の厚みを変えたときの、共鳴周波数を計算すると、下記の如くになる。
1)孔径d:1cm(開口率p:0.087)、背後空気層の厚さL:3cmのとき;
0
(3.60×103/2π)×{0.087/(0.25+0.8×1)×3}1/2
=5.7×102×{0.0276}1/2
=5.7×102×1.66×10-1
≒9.46×10(Hz)
2)上記1)において背後空気層の厚さ:15cmのとき;
0=5.7×102×{0.0276/5}1/2
=5.7×102{55.2×10-41/2
=5.7×102×7.43×10-2
≒4.24×10Hz
3)上記2)において、d=0.5cm(開口率:0.022)のとき;
0
5.7×102×{0.022/(0.25+0.8×0.05)×15}1/2
=5.7×102×{0.005}1/2
=4.05×10Hz
また、本実施形態の衝撃吸収体は、通常、射出成形により製造する。なお、衝撃吸収部と基板部を別体に成形しておいて、溶着等の手段で一体化してもよい。例えば、衝撃吸収部を複筒状(ハニカム状)に押出後、適宜長さに裁断して形成し、また、基板部は、裁断板材に各筒状部に対応する孔を開けたり、若しくは、既製多孔板を裁断して形成する。
成形材料としての合成樹脂材料(プラスチック材料)としては、特に限定されるものではないが、ポリプロピレン(PP)、ポリエチレン(PE)、及びポリマーアロイ等のポリオレフィン系(PO系プラスチック)のものが可塑変形(延性)しやすく、かつ、軽量であり好ましい。これらのうちで、通常、曲げ弾性率が9800MPa以下のものを使用する。
特に、PO系プラスチックとしては、下記特性を備えたものが望ましい。
曲げ弾性率(JIS K 6758):200〜600MPa(望ましくは250〜400MPa)、
引張り伸び(JIS K 6758):130%以上(望ましくは600%以上)、
アイゾット衝撃値(JIS K 6758;−30℃):非破壊(NB)
ここで、曲げ弾性率が低すぎると、リブの底付きにより衝撃を十分吸収できず、逆に高過ぎると、初期荷重が高くなりすぎる。また、引張り伸びが低すぎると、衝撃時の変形の大きい部位から割れが発生する。
さらに、アイゾット衝撃値(−30℃)がNBでないと、低温における衝撃吸収特性に問題が発生しやすい。
なお、低温において薄肉リブが脆性破壊されると、リブが座屈しなくなり衝撃吸収ができない。
そして、上記特性のPO系プラスチックは、その組成は、通常、下記のようなものをする(ここで、%は特に質量%を意味する。)。
エチレン改質ポリプロピレン:
60〜100%(望ましくは80〜100%)
エチレン−αオレフィン系ゴム(EOR):
0〜40質量%(望ましく10〜30%)
ここで、エチレン改質PPは、具体的には、結晶性PP(ハードセグメント:結晶性ポリマー成分)を気相重合する際にエチレンを反応させることによりソフトセグメント(ゴム成分)を導入した、いわゆるブロック共重合体型のエラストマー系プラスチックである。ここで、エチレン成分の重合段階での添加量は、要求特性に応じて、5〜30mol%の範囲で適宜設定する。
このブロックコポリマーは、PP中にPEが導入されたブロックPPが主体であるが、その他に、ホモPP、EPラバー、PE中にプロピレンが導入されたPEコポリマーの混合物である。
さらに詳しくは、チッソ(株)から「NEWCON」の商品名で製造販売されてものの中から適宜選定できる。例えば、表1に示す高柔軟タイプ又は柔軟タイプのグレードのものを使用可能である。
また、EORは、上記エチレン改質PPに対して、さらに耐低温衝撃性を付与するために加えるものである。EORの添加量が過多となると、衝撃吸収体を形成するPO系プラスチックの特性が柔らかくなりすぎて底付きするので、塑性変形が困難となり、所定の衝撃吸収特性を得難くなる。
本実施形態においては、EORは、シングルサイト触媒(メタロセン系触媒)により製造されて、分子量分布が非常に狭く、かつ、主鎖と同程度の長鎖分岐を有するものである。本EORは、エチレン改質ポリマーに対する分散性が良好であるためである。
EORとしては、エチレン−プロピレン二元共重合体(E/P共重合体)、エチレン−1−ブテン二元共重合体(E/B共重合体)、エチレン−オクテン(E/O共重合体)を好適に使用できる。
具体的には、三井石油化学工業(株)から製造販売されている「タフマーP」(E/P共重合体)、「タフマーA」(E/B共重合体)、及び「「タフマーH」(E/O共重合体)等を公的に使用できる。
例えば、下記する「タフマーPシリーズ」、「タフマーAシリーズ」および「タフマーHシリーズ」の中から適宜選定する。
「タフマーP」・・・タフマーP0180
「タフマーA」・・・タフマーA4085
「タフマーH」・・・タフマーH1520
さらに、上記エチレン改質PP及びエチレン改質PPとEORとのオレフィン系ポリマー合計量100質量部に対して、無機充填剤を、適宜、無機充填剤:0〜10質部(望ましくは0〜5質量部)、配合することもできる。無機充填剤の配合量が過多となると、衝撃吸収体のリブ剛性が高くなりすぎて、所定の衝撃吸収を得難くなる。
ここで、無機充填材(無機フィラー)としては、タルク、マイカ等の板状(鱗片・薄片を含む)又は、ガラス繊維、ウィスカー等の繊維状のものを使用する。これらのものは、通常の粉末状の無機充填剤に比して、剛性の向上に寄与し易い。
<試験例>
次に、本発明の効果を確認するために行った試験例について説明をする。
下記組成のP0プラスチックを用いて、射出成形により試験用成形体を調製した。
NF4103:
エチレン改質プロピレン45部、EPR(E/P=37/63)55部
NCK0026:
エチレン改質プロピレン54部、EPR(E/P=45/55)46部
そして、調製した試験片について、各種特性について、試験を行った。それらの結果は、下記の如くであった。
NCK0026はMFRが高いため、特に成形性に優れており、良好な外観である 。NF4103では、成形性には若干劣るが、特に引張伸びと曲げ弾性率が高く、衝撃 吸収性に特に優れる。いずれの材料も−30℃のアイゾット衝撃はNBであり、低温時 の衝撃吸収特性は良好である。
Figure 2005313835
次に、上記構成の衝撃吸収体40の使用態様について説明をする。
ロアパネルアウター14の裏面左右に取付ける。取付け手段としては、接着剤、溶着等を挙げることができ、特に限定されない。例えば、超音波溶着により一体化させ、取付ける。なお、フランジ部を設けて、機械的にロアパネルアウターに取付けてもよい。
そして、エンジン音等の車外音は、荷重受け鉄板18、ロアパネルインナー16の間には、隙間(5〜10mm)があるため、該隙間から基板部前面に到達する。該基板部前面に到達した音は、基板部24に形成された吸音用孔32から各筒状空間30に侵入しようとする。このとき、前述の共鳴吸収の原理により、共鳴周波数を中心としてある広がりをもった周波数域の音が吸音(遮音)される。このとき、筒状空間(座屈リブ)の最大高さは、最小高さの約3倍以上あるため、各高さ(背後空気層厚さL)に対応した共鳴周波数を中心として、ある幅に渡り、吸音(遮音)される。したがって、広範囲の周波数域に渡る吸音(遮音)が可能となる。
また、車両が衝突等した場合、乗員の膝部KM、KWがロアパネルを変形させるような大荷重でロアパネル(アウター)14に衝突することがある。
すると、ロアパネルアウターの裏面に位置する衝撃吸収体SAは、中間のインナーパネルを介して、荷重受け鉄板18で前方への動きを制止される。すると、衝撃吸収体SAの衝撃吸収部が、座屈リブ群28a、28bが塑性変形することにより、エネルギー吸収されて、膝部が受ける衝撃が緩和される。
なお、上記実施形態は、衝撃吸収部を座屈リブ群で形成する場合を例に採り説明したが、本発明は、衝撃吸収部が、前記内装パネルの裏面に配設したとき複数個の共鳴吸音構造を形成可能に孔部(小孔部)と背後空気層形成部(筒状部)とを備えている構成も含むため、下記のような実施形態も考えられる。
例えば、吸音用孔32A・・・を所定ピッチで形成した基板部24A上に、裁断したパイプ25・・・を各吸音用孔32Aに対応して溶着して筒状空間30Aを形成して共鳴吸音構造を形成するとともに、脆性破壊又は塑性変形によりエネルギー吸収を行う衝撃吸収部26Aを形成する(図7参照)。
また、従来の衝撃吸収体に使用していた、脆性破壊によりエネルギー吸収を行うブロック状の衝撃吸収用部材(硬質発泡ウレタン)26Bに孔部32Aと筒状空間30Bとを成形又は切削により形成する(図8参照)。
本発明の一実施形態における衝撃吸収体の前面(A)及び背面(B)を示す斜視図である。 同じく衝撃該衝撃吸収体をロアパネル取付け断面図である。 図2の3−3線矢視図である。同じく要部切欠き部分斜視図である。 衝撃吸収体の他の各例(A)、(B)、(C)を示す前面図である。 あなあき板の吸音構造の吸音特性パターンを示す図である。 共鳴器とあなあき板吸音構造の説明図である。 本発明の衝撃吸収体における他の実施形態を示すモデル断面図である。 同じく更に他の実施形態を示すモデル断面図である。
符号の説明
12 車両用衝撃吸収体
14 ロアパネル(車両内装パネル)
18 荷重受け鉄板
24、24A 基板部
26、26A、26B 衝撃吸収部
26a 外枠部
26b 格子部
28A 座屈リブ(横)
28B 座屈リブ(縦)
30、30A、30B 筒状空間
32、32A、32B 吸音用孔


Claims (9)

  1. 車両における衝撃吸収のために、内装パネルの裏面に配設されて使用される合成樹脂製の衝撃吸収体であって、
    基板部と、基板部の後面側に形成される衝撃吸収部とを備え、
    該衝撃吸収部は、前記基板部に、交差(L字形交わりを含む。)させて立設された座屈リブ群で形成され、
    前記座屈リブ群で形成される筒状空間に対応して、前記基板部に1個又は複数個の吸音用孔が形成されていることを特徴とする車両用衝撃吸収体。
  2. 前記衝撃吸収部が、箱状の外枠部と該外枠部の内側に形成された格子部とを備えていることを特徴とする請求項1記載の車両用衝撃吸収体。
  3. 前記衝撃吸収部の先端形成面が、前記基板の面に対して傾斜面(スロープ面)とされていることを特徴とする請求項1又は2記載の車両用衝撃吸収体。
  4. 前記衝撃吸収部の最小高さと最大高さの差が2倍以上であることを特徴とする請求項3記載の車両用衝撃吸収体。
  5. 前記基板の板厚が1〜3mmの場合において、前記音吸収用孔の開口率:0.5〜15%、孔径:15mm以下であることを特徴とする請求項1又は2記載の車両用衝撃吸収体。
  6. ポリオレフィン(PO)系樹脂組成物で一体成形され、該PO系樹脂が、曲げ弾性率(JIS K 6758):200〜600MPa、引張り伸び(JIS K 6758):130%以上、アイゾット衝撃値(JIS K 6758、−30℃):非破壊(NB)の特性を示すものであることを特徴とする請求項1〜4のいずれかに記載の車両用衝撃吸収体。
  7. ポリオレフィン(PO)系樹脂組成物が、エチレン改質ポリプロピレン60〜100質量%、エチレン−αオレフィン共重合体0〜40質量%からなるPO系ポリマー100質量部に対して無機充填剤:0〜10質量部配合されてなることを特徴とする請求項6記載の車両用衝撃吸収体。
  8. 乗員に対する保護予定部を備えた車両用内装材であって、該内装材の保護予定部の裏面に、請求項1〜7のいずれかに記載の車両用衝撃吸収体が配されていることを特徴とする車両用内装パネル。
  9. 車両における衝撃吸収のために、内装パネルの裏面に配設されて使用される合成樹脂製の衝撃吸収体であって、
    基板部と、基板部の後面側に形成される衝撃吸収部とを備え、
    該衝撃吸収部が、前記内装パネルの裏面に配設したとき複数個の共鳴吸音構造を形成可能に孔部(小孔部)と背後空気層形成部(筒状部)とを備えていることを特徴とする車両用衝吸収体。
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