JP4488604B2 - 難燃性合成樹脂組成物 - Google Patents
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- 0 *C(O*COc1ccc(C(NC2c3ccc(*)cc3)NC(c3ccc(*)cc3)N2C2CCCCCC2)c(O)c1)=O Chemical compound *C(O*COc1ccc(C(NC2c3ccc(*)cc3)NC(c3ccc(*)cc3)N2C2CCCCCC2)c(O)c1)=O 0.000 description 1
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、耐候性の改善された合成樹脂組成物、詳しくは、トリアジン系光安定剤が含有される合成樹脂において、難燃剤を配合しても耐候性が改善される難燃性合成樹脂組成物に関する。
【0002】
【従来の技術及び発明が解決しようとする課題】
合成樹脂、特にポリカーボネート、ABS樹脂、AS樹脂又はこれらの混合物を難燃化する方法については各種ハロゲン化合物あるいはさらにアンチモン化合物を併用するものが一般的である。しかし、これらの難燃剤では樹脂の耐候性が悪い。一般に、合成樹脂の耐候性を改良する方法として、紫外線吸収剤や光安定剤を添加する方法が挙げられるが、難燃剤配合樹脂には紫外線吸収剤や光安定剤を添加しても耐候性は改良出来ず、屋外では難燃性合成樹脂は使用できない状況にあった。
【0003】
英国特許2290745号公報に記載の発明では、トリアジン系光安定剤をカバー層に含む共押出しされたポリカーボネート成形物が記載されているが、難燃剤配合の樹脂の場合の耐候性に関しては示唆すらされていなかった。また、特開平4−214785号公報ではトリアジン系光安定剤をコーティング組成物に含有することが記載されている。光安定性及び熱酸化は認められるものの、難燃剤配合の樹脂にトリアジン系光安定剤を配合して耐候性を改良することに関して何ら記載はなかった。
【0004】
従って、本発明の目的は、難燃性が良好で、かつ耐候性が改善された難燃性合成樹脂組成物を提供することにある。
【0005】
【課題を解決するための手段】
本発明者らは、鋭意検討を重ねた結果、合成樹脂に、特定の構造を持つトリアジン系光安定剤及びリン系難燃剤を配合することによって、上記目的を達成し得ることを知見した。
【0006】
本発明は、上記知見に基づきなされたもので、(A)ポリカーボネート、又はポリカーボネート及びABS樹脂の混合物から選ばれる合成樹脂100重量部に対し、(B)下記一般式(1)で表されるトリアジン系光安定剤を0.001〜10重量部及び(C)下記一般式(2)で表されるリン系難燃剤を0.1〜50重量部配合してなる難燃性合成樹脂組成物を提供するものである。
【0007】
【化9】
(式中、R1 は炭素数1〜17のアルキル基を示し、R2 は水素原子又は炭素数1〜4のアルキル基を示し、nは1〜20の整数を示す)
【0008】
【化10】
(式中、R3 、R4 、R6 、R7 は、同一又は異なって、炭素原子数1〜10のアルキル基、又は下記一般式(3)で表される芳香族基を示す;R5 は下記一般式(4)又は(5)で表される2 価の芳香族基を示す;mは0〜30を示す)
【0009】
【化11】
【0010】
【化12】
【0011】
【化13】
(式中、A1 、A2 は各々独立に水素原子又は炭素原子数1〜10のアルキル基を示し、A3 、A4 、A5 、A6 、A7 、A8 は各々独立に水素原子、炭素原子数1〜4のアルキル基、シクロアルキル基、アリール基、アルコキシ基、ニトロ基、ハロゲン原子又はシアノ基を示す;Bは直接結合、2価のイオウ、スルホン基又は炭素原子数1〜5のアルキリデン基、アルキレン基を示す)
【0012】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の難燃性合成樹脂組成物をその好ましい実施形態に基づいて詳細に説明する。
【0013】
本発明に用いられる(A)合成樹脂は、特に難燃化の困難とされるポリカーボネート、又はポリカーボネート及びABS樹脂の混合物であり、本発明に係る難燃剤の添加により、難燃性樹脂組成物として好適に使用される。
【0014】
本発明で使用される(B)トリアジン系光安定剤としては、上記一般式(1)で表される化合物であり、上記式(1)で表される光安定剤において、R1 で示されるアルキル基としては、メチル、エチル、プロピル、イソプロピル、ブチル、イソブチル、第2ブチル、第3ブチル、ペンチル、第2ペンチル、第3ペンチル、ヘキシル、イソヘキシル、ヘプチル、1−エチルペンチル、オクチル、イソオクチル、1,1,3,3−テトラメチルブチル、ノニル、デシル、イソデシル、ウンデシル、ドデシル、トリデシル、テトラデシル、ペンタデシル、ヘキサデシル、ヘプタデシル等が挙げられる。
【0015】
また、上記式(1)で表される光安定剤において、R2 で示されるアルキル基としては、メチル、エチル、プロピル、イソプロピル、ブチル、イソブチル、第2ブチル、第3ブチル等が挙げられる。
【0016】
また、上記式(1)で表される光安定剤において、nは1〜20の整数であるが、好ましくは、nは1〜10の整数である。
【0017】
本発明に係る一般式(1)で表されるトリアジン系光安定剤としては、より具体的には下記化合物No.1〜No.8等が挙げられる。
【0018】
【化14】
【0019】
【化15】
【0020】
【化16】
【0021】
【化17】
【0022】
【化18】
【0023】
【化19】
【0024】
【化20】
【0025】
【化21】
【0026】
上記一般式(1)で表されるトリアジン系光安定剤の合成方法は特に限定されるものではなく、通常用いられるトリアリールトリアジン化合物の合成方法の何れを用いても良い。例えば化合物No.1は2−(2−ヒドロキシ−4−(2’−ヒドロキシエトキシ)−4,6−ジ−(2,4−ジフェニル)トリアジンをエステル化することで目的物が得られる。
【0027】
上記トリアジン系光安定剤の添加量は、合成樹脂100重量部に対し、0.001〜10重量部であり、好ましくは0.05〜5重量部である。添加量が0.001重量部未満では合成樹脂の耐光性や着色性に対して充分な効果得られず、逆に10重量部を超えて添加してもブルーム等の問題があり、それ以上の効果は期待できない。
【0028】
本発明で使用される(C)リン系難燃剤としては、上記一般式(2)で表される化合物である。上記一般式(2)及びここに用いられる一般式(3)において、R3 、R4 、R6 、R7 、A1 、A2 で表されるアルキル基の例としては、メチル、エチル、プロピル、イソプロピル、ブチル、イソブチル、第2ブチル、第3ブチル、アミル、第3アミル、ヘキシル、2−エチルヘキシル、n−オクチル、ノニル、デシル等が挙げられる。上記一般式(2)に用いられる一般式(4)及び(5)において、A3 、A4 、A5 、A6 、A7 、A8 で表される炭素数1〜4のアルキル基としては、メチル、エチル、プロピル、ブチル、イソブチル、第2ブチル、第3ブチルが挙げられ、シクロアルキル基としてはシクロヘキシルが挙げられる。アリール基の例としては、フェニル、クレジル、キシリル、2,6−キシリル、2,4,6−トリメチルフェニル、ブチルフェニル、ノニルフェニル等が挙げられる。アルコキシ基の例としては、メトキシ、エトキシ、プロポキシ、ブトキシ等が挙げられる。ハロゲン原子の例としては、フッ素原子、塩素原子、臭素原子等が挙げられる。また、上記一般式(3)で表される基としては、フェニル、クレジル、キシリル、2,6−キシリル、ブチルフェニル、ノニルフェニル等が挙げられる。 上記一般式(5)におけるBで表される炭素数1〜5のアルキリデン基としては、エチリデン、イソプロピリデン等が挙げられ、アルキレン基としては、メチレン、エチレン、トリメチレン、テトラメチレン等が挙げられる。
【0029】
また、上記一般式(2)で表されるリン系難燃剤において、mは0〜30であり、好ましくは、mは1〜10である。
【0030】
本発明で使用される上記一般式(2)で表されるリン系難燃剤として、より具体的には下記No.9〜No.12で示される次の化合物が挙げられる。
【0031】
【化22】
(式中、mは1〜5の数を示す)
【0032】
【化23】
(式中、mは1〜5の数を示す)
【0033】
【化24】
(式中、mは1 〜5の数を示す)
【0034】
【化25】
【0035】
上記リン系難燃剤は単独で配合しても良いが、2種以上併用してもよい。上記リン系難燃剤の添加量は、合成樹脂100重量部に対して0.1〜50重量部であり、好ましくは5〜30重量部である。リン系難燃剤の添加量が0.1重量部未満では難燃効果はなく、また50重量部を超えると熱変形温度を下げる問題がある。
【0036】
本発明の難燃性合成樹脂組成物には、上記一般式(1)で表される光安定剤及び上記一般式(2)で表されるリン系難燃剤以外の通常使用される添加剤、例えば、他の光安定剤、熱安定剤、酸化防止剤、充填剤、顔料、帯電防止剤、p−第三ブチル安息香酸アルミニウム、芳香族リン酸エステル金属塩、ジベンジリデンソルビトール類等の造核剤、カルシウムステアレート等の金属石鹸、ハイドロタルサイト、トリアジン環含有化合物、金属水酸化物、ホスフェート系難燃剤、その他無機リン、ハロゲン系難燃剤、シリコン系難燃剤、滑剤、発泡剤等を添加してもよい。
【0037】
上記他の光安定剤、熱安定剤、酸化防止剤としては、本発明の上記一般式(1)で表される光安定剤以外の光安定剤、リン系酸化防止剤、フェノール系酸化防止剤、硫黄系酸化防止剤、ヒンダードアミン系安定剤等が挙げられる。
【0038】
本発明に係る上記一般式(1)で表される光安定剤以外の光安定剤としては、例えば、2,4−ジヒドロキシベンゾフェノン、2−ヒドロキシ−4−メトキシベンゾフェノン、2−ヒドロキシ−4−オクトキシベンゾフェノン、2−ヒドロキシ−4−第三ブチル−4' −(2−メタクロイルオキシエトキシエトキシ)ベンゾフェノン、5,5' −メチレンビス(2−ヒドロキシ−4−メトキシベンゾフェノン)等の2−ヒドロキシベンゾフェノン類;2−(2−ヒドロキシ−5−メチルフェニル)ベンゾトリアゾール、2−(2−ヒドロキシ−5−第三オクチルフェニル)ベンゾトリアゾール、2−(2−ヒドロキシ−3,5−ジ第三ブチルフェニル)−5−クロロベンゾトリアゾール、2−(2−ヒドロキシ−3−第三ブチル−5−メチルフェニル)−5−クロロベンゾトリアゾール、2−(2−ヒドロキシ−3−ドデシル−5−メチルフェニル)ベンゾトリアゾール、2−(2−ヒドロキシ−3−第三ブチル−5−C7 〜9 混合アルコキシカルボニルエチルフェニル)トリアゾール、2−(2−ヒドロキシ−3、5−ジクミルフェニル)ベンゾトリアゾール、2,2' −メチレンビス(4−第三オクチル−6−ベンゾトリアゾリルフェノール)、2−(2−ヒドロキシ−3−第三ブチル−5−カルボキシフェニル)ベンゾトリアゾールのポリエチレングリコールエステル等の2−(2−ヒドロキシフェニル)ベンゾトリアゾール類;2−(2−ヒドロキシ−4−ヘキシロキシフェニル)−4,6−ジフェニル−1,3,5−トリアジン、2−(2−ヒドロキシ−4−メトキシフェニル)−4,6−ジフェニル−1,3,5−トリアジン、2−(2−ヒドロキシ−4−オクトキシフェニル)−4,6−ビス(2,4−ジメチルフェニル)−1,3,5−トリアジン、2−(2−ヒドロキシ−4−アクリロイルオキシエトキシフェニル)−4,6−ビス(2,4−ジメチルフェニル)−1,3,5−トリアジン等の2−(2−ヒドロキシフェニル)−1,3,5−トリアジン類;フェニルサリシレート、レゾルシノールモノベンゾエート、2,4−ジ第三ブチルフェニル−3,5−ジ第三ブチル−4−ヒドロキシベンゾエート、2,4−ジ第三アミルフェニル−3,5−ジ第三ブチル−4−ヒドロキシベンゾエート、ヘキサデシル−3,5−ジ第三ブチル−4−ヒドロキシベンゾエート等のベンゾエート類;エチル−α−シアノ−β,β−ジフェニルアクリレート、メチル−2−シアノ−3−メチル−3−(p−メトキシフェニル)アクリレート等のシアノアクリレート類等が挙げられる。特に2,2’−メチレンビス(4−第三オクチル−6−ベンゾトリアゾリルフェノール)は、本発明に係わるトリアジン系光安定剤と相乗効果を奏するので好ましい。
【0039】
上記光安定剤の添加量は、合成樹脂100重量部に対して、0.001〜10重量部が好ましく、より好ましくは0.05〜5重量部である。上記光安定剤の添加量が0.001重量部未満では合成樹脂の耐光性や着色性に対して充分な効果が得られず、逆に10重量部を超えて添加してもブリード等の問題があり、それ以上の効果は期待できない。
【0040】
上記リン系酸化防止剤としては、例えば、トリフェニルホスファイト、トリス(2,4−ジ第三ブチルフェニル)ホスファイト、トリス(ノニルフェニル)ホスファイト、トリス(ジノニルフェニル)ホスファイト、トリス(モノ、ジ混合ノニルフェニル)ホスファイト、ビス(2−第三ブチル−4,6−ジメチルフェニル)・エチルホスファイト、ジフェニルアシッドホスファイト、2,2' −メチレンビス(4,6−ジ第三ブチルフェニル)オクチルホスファイト、ジフェニルデシルホスファイト、フェニルジイソデシルホスファイト、トリブチルホスファイト、トリス(2−エチルヘキシル)ホスファイト、トリデシルホスファイト、トリラウリルホスファイト、ジブチルアシッドホスファイト、ジラウリルアシッドホスファイト、トリラウリルトリチオホスファイト、ビス(ネオペンチルグリコール)・1,4−シクロヘキサンジメチルジホスフィト、ビス(2,4−ジ第三ブチルフェニル)ペンタエリスリトールジホスファイト、ビス(2,6−ジ第三ブチル−4−メチルフェニル)ペンタエリスリトールジホスファイト、ビス(2,4−ジクミルフェニル)ペンタエリスリトールジホスファイト、ジステアリルペンタエリスリトールジホスファイト、フェニル−4,4' −イソプロピリデンジフェノール・ペンタエリスリトールジホスファイト、テトラ(C12−15混合アルキル)−4,4' −イソプロピリデンジフェニルホスファイト、ビス[ 2,2’−メチレンビス( 4,6−ジアミルフェニル)]・イソプロピリデンジフェニルホスファイト、水素化−4,4' −イソプロピリデンジフェノールポリホスファイト、ビス( オクチルフェニル) ・ビス[ 4,4' −n―ブチリデンビス( 2−第三ブチル−5−メチルフェノール)]・1,6−ヘキサンジオール・ジホスファイト、テトラトリデシル・4,4' −ブチリデンビス( 2−第三ブチル−5−メチルフェノール) ジホスファイト、ヘキサ(トリデシル)・1,1,3−トリス(2−メチル−5−第三ブチル−4−ヒドロキシフェニル)ブタン・トリホスホナイト、9,10−ジハイドロ−9−オキサ−10−ホスファフェナンスレン−10−オキサイド、2−ブチル−2−エチルプロパンジオール・2,4,6−トリ第三ブチルフェノールモノホスファイト等が挙げられる。これらの化合物の中でも特にトリス(2,4−ジ第三ブチルフェニル)ホスファイト、ビス(2,4−ジ第三ブチルフェニル)ペンタエリスリトールジホスファイト、テトラキス(2,4−ジ第三ブチルフェニル)ビフェニレンジホスホナイト、ビス(2,6−ジ第三ブチル−4−メチルフェニル)ペンタエリスリトールジホスファイトは、オルソ位に第三ブチル基を有するフェノール類から誘導されるリン系酸化防止剤であり、本発明に係るトリアジン系光安定剤と併用して用いると相乗効果をもたらすため好ましい。
【0041】
上記フェノール系酸化防止剤としては、例えば、2,6−ジ第三ブチル−p −クレゾール、2,6−ジフェニル−4−オクタデシロキシフェノール、ステアリル(3,5−ジ第三ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート、ジステアリル(3,5−ジ第三ブチル−4−ヒドロキシベンジル)ホスホネート、トリデシル・3,5−ジ第三ブチル−4−ヒドロキシベンジルチオアセテート、チオジエチレンビス[(3,5−ジ第三ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート]、4,4' −チオビス(6−第三ブチル−m−クレゾール)、2−オクチルチオ−4,6−ジ(3,5−ジ第三ブチル−4−ヒドロキシフェノキシ)−s−トリアジン、2,2' −メチレンビス(4−メチル−6−第三ブチルフェノール)、ビス[ 3,3−ビス(4−ヒドロキシ−3−第三ブチルフェニル)ブチリックアシッド] グリコールエステル、4,4' −ブチリデンビス(2−ブチル−5−メチルフェノール)、2,2' −エチリデンビス(4,6−ジ第三ブチルフェノール)、1,1,3−トリス(2−メチル−4−ヒドロキシ−5−第三ブチルフェニル)ブタン、ビス[ 2−第三ブチル−4−メチル−6−(2−ヒドロキシ−3−第三ブチル−5−メチルベンジル)フェニル] テレフタレート、1,3,5−トリス(2,6−ジメチル−3−ヒドロキシ−4−第三ブチルベンジル)イソシアヌレート、1,3,5−トリス(3,5−ジ第三ブチル−4−ヒドロキシベンジル)イソシアヌレート、1,3,5−トリス(3,5−ジ第三ブチル−4−ヒドロキシベンジル)−2,4,6−トリメチルベンゼン、1,3,5−トリス[ (3,5−ジ第三ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオニルオキシエチル] イソシアヌレート、テトラキス[ メチレン−3−(3,5−ジ第三ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート] メタン、2−第三ブチル−4−メチル−6−(2−アクロイルオキシ−3−第三ブチル−5−メチルベンジル)フェノール、3,9−ビス[ 2−(3−第三ブチル−4−ヒドロキシ−5−メチルヒドロシンナモイルオキシ)−1,1−ジメチルエチル] −2,4,8,10−テトラオキサスピロ[ 5.5] ウンデカン] 、トリエチレングリコールビス[ β−(3−第三ブチル−4−ヒドロキシ−5−メチルフェニル)プロピオネート] 、2−t−ブチル−6−(3’−t−ブチル−5’−メチル−2’−ヒドロキシベンジル)−4−メチルフェニルアクリレート、2,4−ジ−t―アミル−6−〔(3,5−ジ−t−アミル−2−ヒドロキシフェニル)エチル〕フェニルアクリレート、2,2’−エチリデンビス(4−sec−ブチル−6−ブチルフェノール)等が挙げられる。これらの中で、テトラキス[ メチレン−3−(3,5−ジ第三ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート] メタンは本発明に係る光安定剤と相乗効果をもたらすため好ましい。
【0042】
上記硫黄系酸化防止剤としては、例えば、チオジプロピオン酸のジラウリル、ジミリスチル、ミリスチルステアリル、ジステアリルエステル等のジアルキルチオジプロピオネート類及びペンタエリスリトールテトラ(β−ドデシルメルカプトプロピオネート)等のポリオールのβ−アルキルメルカプトプロピオン酸エステル類等が挙げられる。
【0043】
上記ヒンダードアミン系光安定剤としては、例えば、2,2,6,6−テトラメチル−4−ピペリジルステアレート、1,2,2,6,6−ペンタメチル−4−ピペリジルステアレート、2,2,6,6−テトラメチル−4−ピペリジルベンゾエート、ビス(2,2,6,6−テトラメチル−4−ピペリジル)セバケート、ビス(2,2,6,6−テトラメチル−N−オキシル−4−ピペリジル)セバケート、ビス(1,2,2,6,6−ペンタメチル−4−ピペリジル)セバケート、ビス(1−オクトキシ−2,2,6,6−テトラメチル−4−ピペリジル)セバケート、テトラキス(2,2,6,6−テトラメチル−4−ピペリジル)−1,2,3,4−ブタンテトラカルボキシレート、テトラキス(1,2,2,6,6−ペンタメチル−4−ピペリジル)−1,2,3,4−ブタンテトラカルボキシレート、ビス(2,2,6,6−テトラメチル−4−ピペリジル)・ビス(トリデシル)−1,2,3,4−ブタンテトラカルボキシレート、ビス(1,2,2,6,6−ペンタメチル−4−ピペリジル)・ビス(トリデシル)−1,2,3,4−ブタンテトラカルボキシレート、ビス(1,2,2,6,6−ペンタメチル−4−ピペリジル)−2−ブチル−2−(3,5−ジ第三ブチル−4−ヒドロキシベンジル)マロネート、1−(2−ヒドロキシエチル)−2,2,6,6−テトラメチル−4−ピペリジノール/コハク酸ジエチル重縮合物、1,6−ビス(2,2,6,6−テトラメチル−4−ピペリジルアミノ)ヘキサン/ジブロモエタン重縮合物、1,6−ビス(2,2,6,6−テトラメチル−4−ピペリジルアミノ)ヘキサン/2,4−ジクロロ−6−モルホリノ−s−トリアジン重縮合物、1,6−ビス(2,2,6,6−テトラメチル−4−ピペリジルアミノ)ヘキサン/2,4−ジクロロ−6−第三オクチルアミノ−s−トリアジン重縮合物、1,5,8,12−テトラキス[ 2,4−ビス(N−ブチル−N−(2,2,6,6−テトラメチル−4−ピペリジル)アミノ)−s−トリアジン−6−イル] −1,5,8,12−テトラアザドデカン、1,5,8,12−テトラキス[ 2,4−ビス(N−ブチル−N−(1,2,2,6,6−ペンタメチル−4−ピペリジル)アミノ)−s−トリアジン−6−イル] −1,5,8,12−テトラアザドデカン、1,6,11−トリス[ 2,4−ビス(N−ブチル−N−(2,2,6,6−テトラメチル−4−ピペリジル)アミノ−s−トリアジン−6−イルアミノ] ウンデカン、1,6,11−トリス[ 2,4−ビス(N−ブチル−N−(1,2,2,6,6−ペンタメチル−4−ピペリジル)アミノ−s−トリアジン−6−イルアミノ] ウンデカン、3,9−ビス〔1,1−ジメチル−2−{トリス(2,2,6,6−テトラメチル−4−ピペリジルオキシカルボニルオキシ)ブチルカルボニルオキシ}エチル〕−2,4,8,10−テトラオキサスピロ〔5.5〕ウンデカン、3,9−ビス〔1,1−ジメチル−2−{トリス(1,2,2,6,6−ペンタメチル−4−ピペリジルオキシカルボニルオキシ)ブチルカルボニルオキシ}エチル〕−2,4,8,10−テトラオキサスピロ〔5.5〕ウンデカン等が挙げられる。
【0044】
上記リン系酸化防止剤、フェノール系酸化防止剤、硫黄系酸化防止剤又はヒンダードアミン系光安定剤の添加量は、合成樹脂100重量部に対して、0.001〜5重量部が好ましく、より好ましくは0.01〜3重量部である。添加量が0.001重量部未満では合成樹脂の耐光性や着色性に対して充分な効果得られず、逆に5重量部を超えて添加してもブリード等の問題があり、それ以上の効果は期待できない。
【0045】
本発明の難燃性合成樹脂組成物を製造するための方法に制限はなく、通常の方法を適宜採用することができる。しかしながら、一般に溶融混合法が望ましい。少量の溶剤の使用も可能であるが、一般に必要はない。装置としては、特に押出し機、バンバリーミキサー、ローラー、ニーダー等を挙げることができる。これらの装置の運用は、回文的又は連続的に行なうことができる。成分の混合順序にも特に限定されない。
【0046】
本発明の難燃性合成樹脂組成物は、適宜食品包装容器、自動車内外装材、各種精密機械等の各種成形品、建材等の用途に用いられる。
【0047】
【実施例】
以下に実施例によって、本発明を説明するが、本発明はこれらの実施例によって限定されるのではない。なお、下記実施例16〜25は参考例である。また、表中の配合割合は全て「重量部」基準である。
【0048】
〔試験例1〕
(実施例1〜15)
ポリカーボネート80重量部、ABS樹脂20重量部、ポリテトラフルオロエチレン(PTFE)0.3重量部、リン系難燃剤(表1及び表2参照)15重量部、トリアジン系光安定剤(表1及び表2参照)、各種添加剤(表2参照)を配合し、240℃、15−rpmに設定した30mmの2軸押出し機で混練し、ペレットを作成した。このペレットを設定温度250℃、金型温度60℃で射出成形し、得られた成形品について下記試験法によって難燃性及び耐候性を評価した。その結果を表1及び表2に示す。
【0049】
<難燃性試験>
UL−94V燃焼試験準拠(厚み1/16インチ)
<耐候性試験>
上記試験片を用いて、ASTM D 1925に従い、黄色度指数(YI)を測定した。さらにサンシャインウェザーメーター(雨あり)によるブラックパネル温度83℃、18分/2時間の降水1000時間紫外線照射後のYIを反射法にて測定しΔYIを求めた。
【0050】
【表1】
【0051】
【表2】
【0052】
(比較例1〜10)
下記表3及び表4に示される配合により、上記実施例と同様の方法で成形品を得た。得られた成形品を実施例に準じて難燃性及び耐候性を評価した。その結果を表3及び表4に示す。
【0053】
【表3】
【0054】
【化26】
【0055】
【化27】
【0056】
【表4】
【0057】
〔試験例2〕
(実施例16〜25及び比較例11〜12)
試験例1におけるポリカーボネート及びABS樹脂を、ポリプロピレンに代えて、該ポリプロピレン100重量部に対して下記表5、表6における添加剤を配合した。性能評価方法は、試験例1に準じて行なった。但し、UL−94V試験条件として試験片の厚さは1/8インチとした。
【0058】
【表5】
【0059】
【表6】
【0060】
上記表1〜6の結果より、リン系難燃剤に加えて、特定構造をもつトリアジン系光安定剤を使用した実施例1〜25は、ポリカーボネート/ABS樹脂又はポリプロピレンの難燃性を低下させることなく、耐候性が改良されることが確認できた。但し、難燃剤としてハロゲン系難燃剤をポリカーボネート/ABS樹脂に使用した比較例8〜10は、特定のトリアジン系光安定剤を使用しても十分な耐候性は得られないことが確認され、特定のトリアジン系光安定剤はリン系難燃剤と併用した場合に優れた耐候性が得られることが確認できた。さらに、特定のトリアジン系光安定剤に加えて、他のベンゾトリアゾール系光安定剤(LA−31)、リン系酸化防止剤(PEP−36)、フェノール系酸化防止剤(AO−60)を特定併用添加することにより、耐候性に対して相乗効果が確認できた(実施例9〜15)。
【0061】
これに対し、エステル構造を持たないトリアジン系光安定剤を使用した場合には、難燃性は同等であるが、耐候性が実施例に比べて問題があり、またエステル構造は持つが、置換基の数が違うトリアジン系光安定剤を使用した場合も、耐候性に問題があった(比較例1〜7)。
【0062】
従って、上記特定構造を有するトリアジン系光安定剤をポリカーボネート/ABS樹脂に含有させた場合(実施例1〜15)は、従来知られていたトリアジン系光安定剤を用いた場合(比較例1〜7)と比較して、耐候性が顕著に優れることが明らかである。
【0063】
【発明の効果】
本発明の難燃性合成樹脂組成物は、難燃性が良好で、かつ耐候性が改善されたものである。
Claims (9)
- (A)ポリカーボネート、又はポリカーボネート及びABS樹脂の混合物から選ばれる合成樹脂100重量部に対し、
(B)下記一般式(1)で表されるトリアジン系光安定剤を0.001〜10重量部及び(C)下記一般式(2)で表されるリン系難燃剤を0.1〜50重量部配合してなる難燃性合成樹脂組成物。
アルキレン基を示す) - 上記一般式(1)において、nが1であり、R1が1−エチルペンチルであり、R2 が水素原子である請求項1記載の難燃性合成樹脂組成物。
- 上記一般式(2)において、mが1〜10である請求項1又は2記載の難燃性合成樹脂組成物。
- 上記一般式(2)において、R3、R4、R6、R7が各々一般式(3)であり、R5が一般式(4)であり、A1、A2、A3、A4が各々水素原子である燐酸エステルである請求項3記載の難燃性合成樹脂組成物。
- 上記一般式(2)において、R3、R4、R6、R7が各々一般式(3)であり、R5 が一般式(4)であり、A1、A2が各々メチルであり、A3、A4が水素原子である燐酸エステルである請求項3記載の難燃性合成樹脂組成物。
- 上記一般式(2)において、R3、R4、R6、R7が各々一般式(3)で表される基であり、R5が一般式(5)であり、A1、A2、A5、A6、A7、A8が各々水素原子であり、Bがイソプロピリデンである燐酸エステルである請求項3記載の難燃性合成樹脂組成物。
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