JP4488388B2 - 孔版印刷装置 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、使用済マスタを版胴から剥がす排版動作の開始と同時に新たなマスタの製版動作を開始し、製版したマスタをマスタ収納ボックス内に収納しておき、排版動作が終了した直後にマスタ収納ボックス内からマスタを引き出して版胴の外周面に巻き付けることにより、排版動作を開始してから新たなマスタの版胴への巻き付けが終了するまでの作業時間を短縮し、印刷作業の作業能率の向上を図るようにした孔版印刷装置に関する。
【0002】
【従来の技術】
孔版印刷装置は、軸線を中心として回転駆動される略円筒状の版胴と、マスタ原紙を加熱溶融穿孔することによりマスタを製版する製版部とを有し、製版部で製版されたマスタを版胴の外周面に巻き付け、版胴の外周面に巻き付けられたマスタに印刷用紙を押し付けることにより版胴の内部に供給されたインキをマスタから滲み出させて印刷用紙に印刷を行うものである。
【0003】
マスタ原紙としては、熱可塑性樹脂フィルムと多孔質支持体とを貼り合わせたものが普及しており、熱可塑性樹脂フィルムの部分が加熱溶融穿孔されてマスタが製版される。多孔質支持体としては、和紙、合成繊維、和紙と合成繊維とを混抄したものが使用されている。
【0004】
版胴の外周面に巻き付けられて印刷が行われているマスタの多孔質支持体中には多量のインキが含まれており、使用済マスタを版胴から剥がして廃棄する排版時には、多孔質支持体中に含まれているインキがそのまま廃棄される。そこで、排版時に多孔質支持体中に含まれて廃棄されるインキの無駄を少なくするため、多孔質支持体の厚さを薄くしたマスタ原紙、又は、多孔質支持体を省いた熱可塑性樹脂フィルムのみからなるマスタ原紙も使用されるようになっている。
【0005】
孔版印刷装置における使用済マスタの排版及び新たなマスタの製版に関しては、使用済マスタを版胴から剥がして廃棄する排版動作が終了した後、新たなマスタの製版を開始する方法が一般的である。しかし、このような方法によると、排版動作を開始してから新たに製版したマスタの版胴外周面への巻き付けが終了するまでの時間が長くなり、印刷作業の作業能率が低下する。
【0006】
そこで、排版動作の開始と同時に新たなマスタの製版動作を開始し、製版されたマスタをマスタ収納ボックス内に収納しておき、排版動作が終了した直後に製版したマスタをマスタ収納ボックス内から引き出して版胴の外周面に巻き付けることにより、排版動作を開始してから新たなマスタの版胴外周面への巻き付けが終了するまでの作業時間を短縮し、印刷作業の作業能率の向上を図るようにした孔版印刷装置が特開平8−197926号公報などに開示されている。マスタがマスタ収納ボックス内に収納されたとき、そのマスタは先端部をマスタ収納ボックス外で保持され、褶曲状態となっている。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】
マスタ収納ボックスを備えた孔版印刷装置において、マスタを褶曲状態でマスタ収納ボックス内へ送り込むとき、静電気や湿気の影響でマスタが送り込み用のローラやマスタ収納ボックスの内周面等に貼り付くことがあり、このような貼り付きが発生すると、マスタ収納ボックス内へのマスタの送り込みが不良、又は、不能になり、マスタにシワやジャムが発生する。マスタにシワが発生すると、そのマスタを版胴に巻き付けて印刷を行っている際にマスタがそのシワの箇所から切れたり穴があいたりしやすくなる。マスタにジャムが発生すると、作業を一時中断してそのマスタを取り除かなければならない。
【0008】
多孔質支持体の厚さを薄くしたマスタ原紙や多孔質支持体を省いた熱可塑性樹脂フィルムのみからなるマスタ原紙は、強度や腰の強さが低くなる。このため、これらのマスタ原紙から製版したマスタは、静電気や湿気の影響によって送り込み用のローラやマスタ収納ボックスの内周面等に貼り付くことが発生しやすくなる。
【0009】
静電気や湿気の影響によるマスタの貼り付きを防止するためには、除電ブラシをマスタ収納ボックス内に設けたり、マスタをマスタ収納ボックス内へ吸引するように作用する吸引ファンの数を増やしたり吸引ファンを大型にすることなどが考えられる。しかし、除電ブラシを設けたり、吸引ファンの数を増やしたり、吸引ファンを大型にすることにより、孔版印刷装置の製造コストがアップする。また、吸引ファンの数を増やしたり吸引ファンを大型にした場合には、騒音が増大したり消費電力が増大したりする。
【0010】
そこで本発明は、排版動作の開始と同時に新たなマスタの製版動作を開始し、製版したマスタをマスタ収納ボックス内に収納しておき、排版動作が終了した直後にマスタ収納ボックス内からマスタを引き出して版胴の外周面に巻き付けることにより、排版動作を開始してから新たなマスタの版胴外周面への巻き付けが終了するまでの作業時間を短縮し、印刷作業の作業能率の向上を図るようにした孔版印刷装置であって、マスタをマスタ収納ボックス内へ送り込むときに静電気や湿度の影響によってマスタが送り込み用のローラやマスタ収納ボックスの内周面等に貼り付くことを防止できる孔版印刷装置を提供することを目的とする。
【0011】
【課題を解決するための手段】
請求項1記載の発明は、軸線を中心として回転駆動される略円筒状の版胴と、ロール状態に巻かれたマスタ原紙を保持するマスタ原紙保持部と、前記版胴と前記マスタ原紙保持部との間に配置されて前記マスタ原紙保持部から引き出された前記マスタ原紙を加熱溶融穿孔してマスタを製版する製版部と、前記版胴と前記製版部との間に配置されて前記マスタ原紙保持部から引き出されて前記製版部を通過した前記マスタ原紙の先端部を保持する保持部と、前記保持部と前記製版部との間に配置されて先端部を前記保持部で保持されている前記マスタ原紙を加熱溶融穿孔して製版された前記マスタが褶曲状態で送り込まれるマスタ収納ボックスとを有し、先端部を前記保持部で保持されて褶曲状態で前記マスタ収納ボックス内に収納されている前記マスタをこのマスタ収納ボックス内から引き出して前記版胴の外周面に巻き付けるようにした孔版印刷装置において、前記マスタ収納ボックスの入口に配置され、前記マスタを前記版胴に向けて搬送する向きに回転駆動される搬送ローラと、前記マスタ収納ボックス内に形成され、前記搬送ローラの上端部における水平向きの接線を含む位置で前記製版部側に向けて略水平向きに延出したマスタ送り込み経路と、前記入口から前記マスタ収納ボックス内の奥部に向けて前記マスタ送り込み経路に沿った空気の流れを発生させる空気流発生手段と、を有する。
【0012】
したがって、マスタ原紙保持部から引き出されたマスタ原紙の先端部が保持部で保持された後、そのマスタ原紙が製版部で加熱溶融穿孔されることによりマスタが製版され、製版されたマスタは搬送ローラの回転駆動により版胴に向けて搬送される。しかし、先端部が保持部で保持されているので、マスタは搬送ローラの回転駆動により褶曲状態でマスタ収納ボックス内に送り込まれる。マスタ収納ボックス内のマスタ送り込み経路は、マスタ収納ボックスの入口に配置された搬送ローラの上端部における水平向きの接線を含む位置で製版部側に向けて略水平向きに延出しており、さらに、マスタ送り込み経路の奥部に向けて空気流発生手段による空気の流れが発生しているので、入口からマスタ収納ボックス内に送り込まれたマスタは、マスタ送り込み経路の下部内周面から浮いた状態でマスタ収納ボックス内に送り込まれ、マスタ送り込み経路の下部内周面などへの貼り付きが発生しない。さらに、空気流発生手段により空気の流れは、マスタ全体を上方へ持ち上げるものではなくマスタを水平方向へ移動させるものであるので、空気流発生手段の力を小さくすることができる。
【0013】
請求項2記載の発明は、請求項1記載の孔版印刷装置において、前記入口における前記マスタ送り込み経路側の縁部と前記搬送ローラの外周面との間に空気吸引口が形成されている。
【0014】
したがって、マスタが褶曲状態でマスタ収納ボックス内に送り込まれるとき、マスタ送り込み経路の下部内周面と褶曲状態のマスタの下側との間には空気吸引口から吸引された空気による空気層が形成され、この空気層により褶曲状態のマスタの下側とマスタ送り込み経路の下部内周面とがほとんど接触しなくなり、マスタ送り込み経路の下部内周面へのマスタの静電気などによる貼り付きが防止され、マスタ収納ボックス内へのマスタの送り込みがスムーズに行われる。
【0015】
請求項3記載の発明は、請求項2記載の孔版印刷装置において、前記入口における前記マスタ送り込み経路側の縁部に前記搬送ローラに向けて斜め下方向きに傾斜した傾斜面部が形成され、この傾斜面部の上方と前記搬送ローラの外周面との間に前記空気吸引口に連続した凹状空間が形成されている。
【0016】
したがって、凹状空間を形成することにより、マスタ収納ボックス内へ送り込まれたマスタより空気吸引口が塞がれるという事態の発生が防止され、マスタ送り込み経路の下部内周面と褶曲状態のマスタの下側との間における空気層の形成が確実に行われる。
【0017】
請求項4記載の発明は、請求項1、2又は3記載の孔版印刷装置において、前記マスタ送り込み経路の下部内周面と前記搬送ローラの上端部における水平方向の接線との間に、前記接線が上方となる段差が付けられている。
【0018】
したがって、このような段差を付けることにより、マスタ送り込み経路の下部内周面と褶曲状態のマスタの下側との間における空気層の形成がより一層確実に行われる。
【0019】
【発明の実施の形態】
本発明の第1の実施の形態を図1及び図2に基づいて説明する。図1は、孔版印刷装置の要部の概略構造を示す正面図である。この孔版印刷装置には、軸線を中心として回転駆動される多孔性円筒状の版胴1が設けられており、この版胴1の周囲に、マスタ原紙保持部2、製版部3、マスタ収納ボックス4、保持部である搬送ローラ5、排版部6、プレスローラ7、レジストローラ8、剥離爪9等が配置されている。
【0020】
マスタ原紙保持部2には、保持軸10と収納ケース11とが設けられ、保持軸10にはロール状に巻かれた長尺状のマスタ原紙12が保持されている。マスタ原紙12は、熱可塑性樹脂フィルムと多孔質支持体とを貼り合わせて形成され、又は、多孔質支持体を省いた熱可塑性樹脂フィルムのみから形成されている。
【0021】
製版部3は、マスタ原紙保持部2から供給されたマスタ原紙12を加熱溶融穿孔してマスタ12aを製版するところであり、ステッピングモータ(図示せず)に連結されて回転駆動されるプラテンローラ13、多数の発熱素子を備えてバネ部材(図示せず)によりプラテンローラ13の外周面に押圧されるサーマルヘッド14により構成されている。
【0022】
マスタ収納ボックス4は、使用済マスタの排版動作の開始とともに製版を開始されたマスタ12aを褶曲状態で収納しておくところであり、製版部3と搬送ローラ5との間に配置されている。マスタ収納ボックス4には、製版部3で製版されたマスタ12aが版胴1に向けて搬送される搬送経路に臨んで位置する入口15が形成されている。この入口15には、マスタ12aを版胴1に向けて搬送する向きに回転駆動される搬送ローラ16と搬送されるマスタ12aの下面側をガイドするガイド板17とが配置されている。さらに、マスタ収納ボックス4内には、搬送ローラ16の上端部における水平向きの接線(図2において一点鎖線で示す直線)を含む位置で製版部3側に向けて略水平向きに延出したマスタ送り込み経路18が形成されている。マスタ収納ボックス4の奥部には、入口15からマスタ収納ボックス4の奥部に向けてマスタ送り込み経路18に沿った空気の流れを発生させる空気流発生手段である吸引ファン19が取り付けられている。
【0023】
マスタ収納ボックス4の入口15におけるマスタ送り込み経路18側の縁部には、搬送ローラ16に向けて斜め下方向きに傾斜した傾斜面部20が形成され、この傾斜面部20の先端縁部と搬送ローラ16の外周面との間に微小幅寸法の空気吸引口21が形成されている。この空気吸引口21は、傾斜面部20の先端縁部と搬送ローラ16の外周面との間が0.5〜1.0mm程度の微小な幅寸法に形成されている。さらに、傾斜面部20の上方と搬送ローラ16の外周面との間には、空気吸引口21に連続した凹状空間22が形成されている。この凹状空間22は、マスタ送り込み経路18に沿った長さ寸法“m”は、搬送ローラ16の直径寸法と略等しい寸法に設定されている。
【0024】
マスタ収納ボックス4の入口15と搬送ローラ5との間には、マスタ12aをカットするカッタ23が配置されている。搬送ローラ5は、マスタ12aを版胴1の外周面に巻き付けるときにマスタ12aを版胴1に向けて送り出す方向へ回転駆動されるとともに、マスタ原紙保持部2から引き出されて製版部3を通過して製版開始に備えて待機しているマスタ原紙12の先端部を挟持して保持する。
【0025】
版胴1の外周面には、ステージ24と開閉機構(図示せず)に連結されて開閉自在なクランパ25とが設けられている。図1に示すように、クランパ25が搬送ローラ5の下方に位置するときに版胴1の回転が停止され、その位置でクランパ25が二点鎖線で示すように開放され、そこへマスタ12aが搬送され、マスタ12aの先端部がステージ24とクランパ25との間に到達したタイミングでクランパ25が閉止され、ステージ24とクランパ25とによりマスタ12aの先端部が挟持される。そして、マスタ12aの先端部がステージ24とクランパ25との間に挟持された後、版胴1が時計回り方向へ回転することにより、マスタ12aが版胴1の外周面に巻き付けられる。
【0026】
版胴1の内部には、版胴1の軸線上に位置して版胴1を回転自在に支持する支軸を兼ねたインキパイプ26、版胴1の内周面との間に微小隙間をもって版胴1と同じ方向(矢印で示す時計回り方向)へ回転駆動されるインキローラ27、インキローラ27の外周面との間に微小隙間をもって配置されたドクタローラ28等が設けられている。インキローラ27の外周面とドクタローラ28の外周面とで挟まれた部分には、インキパイプ26内を通して供給されたインキが貯溜されるインキ溜り29が形成されている。
【0027】
排版部6は、版胴1に巻き付けられている使用済マスタを剥がして廃棄するところであり、版胴1から使用済マスタを剥がす排版ローラ30、剥がされた使用済マスタを収納する収納ボックス31を有している。
【0028】
プレスローラ7は、一端を支軸32により回動自在に支持されたアーム33の他端にその軸心回りに回転自在に支持されている。駆動機構(図示せず)により駆動されたアーム33が支軸32の回りに回動することにより、プレスローラ7は版胴1の外周面に接離される。
【0029】
レジストローラ8は、給紙トレイ(図示せず)から給紙された印刷用紙Sを版胴1とプレスローラ7との間へ送り込むタイミングをとる。印刷用紙Sが版胴1とプレスローラ7との間に送り込まれたタイミングでプレスローラ7が版胴1側へ回動し、印刷用紙Sを版胴1に巻き付けられているマスタ12aに押し付けることにより、印刷用紙Sへの印刷が行われる。
【0030】
剥離爪9は、版胴1の外周面に巻き付けられているマスタ12aとこのマスタ12aに押し付けられて印刷が行われた印刷用紙Sとの間に入り込み、印刷が終了した印刷用紙Sをマスタ12aから剥離させる。
【0031】
このような構成において、版胴1の外周面に巻き付けられている使用済マスタを排版し、新たなマスタ12aを製版し、製版したマスタ12aを版胴1の外周面に巻き付けるときの一連の動作を説明する。なお、この一連の動作は、孔版印刷装置の各デバイスを制御するマイクロコンピュータの制御により行われる。
【0032】
まず、版胴1の外周面に巻き付けられたマスタ12aを用いた印刷動作が行われているときには、マスタ原紙保持部2から引き出されたマスタ原紙12の先端部は、製版部3を通過して搬送ローラ5に到達する位置まで搬送され、搬送ローラ5により挟持して保持されている。
【0033】
版胴1に巻き付けられているマスタ12aによる印刷が終了し、操作パネル上のキー操作により新たなマスタ12aを製版する指令が入力されると、版胴1に巻き付けられているマスタ12a(使用済マスタ)の排版、及び、スキャナによる原稿の読み取りとスキャナで読み取られた画像データに応じたマスタ12aの製版が並行して開始される。
【0034】
スキャナによる原稿の読み取りが終了すると、プラテンローラ13が回転駆動されるとともにサーマルヘッド14の発熱素子が画像データに応じて発熱され、マスタ12aの製版が開始される。マスタ12aの製版が開始されると、搬送ローラ16がマスタ12aを版胴1に向けて搬送する向きに回転駆動される。しかし、製版されたマスタ12aの先端部は搬送ローラ5により挟持して保持されており、さらに、搬送ローラ16の前方におけるマスタ12aの下面側にはガイド板17が配置されているので、搬送ローラ16により搬送されるマスタ12aは入口15から褶曲状態でマスタ収納ボックス4内へ送り込まれる。また、吸引ファン19の駆動により、マスタ12aのマスタ収納ボックス4内への送り込みが促進される。
【0035】
使用済マスタの排版が終了した後、クランパ25が搬送ローラ5の下方となる位置へ版胴1が回転して停止し、クランパ25が図1において二点鎖線で示すように開放されると、搬送ローラ5の回転駆動が開始され、マスタ12aの先端部がステージ24とクランパ25との間に送り込まれ、マスタ12aの先端部がステージ24とクランパ25との間に到達したタイミングでクランパ25が閉止され、ステージ24とクランパ25とによりマスタ12aの先端部が挟持される。そして、マスタ12aの先端部がステージ24とクランパ25とにより挟持された後、版胴1が時計回り方向へ回転駆動され、マスタ12aがマスタ収納ボックス4内から引き出されて版胴1の外周面に巻き付けられる。マスタ12aは、その後端部がカッタ23によりカットされる。
【0036】
ここで、マスタ収納ボックス4内へのマスタ12aの送り込みについて詳しく説明する。吸引ファン19の駆動により、入口15からマスタ送り込み経路18の奥部に向けて矢印で示すような空気の流が発生する。
【0037】
そして、マスタ収納ボックス4内のマスタ送り込み経路18が略水平向きに延出して形成され、マスタ送り込み経路18の下部内周面と褶曲状態のマスタ12aの下側との間には空気吸引口21から吸引された空気とマスタ12aの自重を利用した安定した空気層が形成されることにより、マスタ12aはマスタ送り込み経路18の内周面にほとんど接触することなくマスタ収納ボックス4内へ送り込まれる。このため、マスタ送り込み経路18の下部内周面へのマスタ12aの静電気などによる貼り付きが防止され、マスタ収納ボックス4内へのマスタ12aの送り込みがスムーズに行われ、マスタ収納ボックス4内に収納されたマスタ12aにおけるシワやジャムの発生が防止される。
【0038】
さらに、マスタ収納ボックス4内に凹状空間22が形成されることにより、マスタ収納ボックス4内に送り込まれたマスタ12aにより空気吸引口21が塞がれるという事態の発生が防止され、マスタ送り込み経路18の下部内周面と褶曲状態のマスタ12aの下側との間における空気層の形成が確実に行われ、マスタ収納ボックス4内に収納されたマスタ12aにおけるシワやジャムの発生がより一層確実に防止される。
【0039】
さらに、搬送ローラ16の外周面にマスタ12aが湿気や静電気で貼り付いても、吸引ファン19の吸引力と凹状空間22内に形成される空気の流れで、マスタ12aを搬送ローラ16の外周面より分離することができる。
【0040】
また、マスタ送り込み経路18は略水平向きに延出しているので、マスタ収納ボックス4内に送り込まれるマスタ12a全体を上方へ吸引する必要がなく、しかも、マスタ送り込み経路18の下部内周面と褶曲状態のマスタ12aの下側との間に空気層が形成されているので、吸引ファン19の吸引力を小さくすることができる。これにより、使用する吸引ファン19の数を減らしたり、使用する吸引ファン19を小型化したりすることができ、発生する騒音の低減や、消費電力の低減を図ることができる。さらに、吸引ファン19の数を減らしたり、使用する吸引ファン19を小型化したりすることにより、吸引ファン19の吸引力のムラが小さくなり、吸引力のムラが原因となるマスタ12aのシワも発生しにくくなる。吸引ファン19の吸引力のムラなどによるマスタ12aのシワは、マスタ12aの腰が弱くなるにつれて発生しやすくなる。
【0041】
つぎに、本発明の第2の実施の形態を図3に基づいて説明する。なお、図1及び図2において説明した部分と同じ部分は同じ符号で示し、説明も省略する。本実施の形態では、マスタ送り込み経路18の下部内周面と搬送ローラ16の上端部における水平方向の接線との間に、接線が上方となる段差Hが付けられている。
【0042】
このような構成において、この段差Hが付けられることにより、マスタ送り込み経路18の下部内周面と褶曲状態のマスタ12aの下側との間における空気層の形成がより一層確実に行われ、マスタ収納ボックス4内に収納されたマスタ12aにおけるシワやジャムの発生がより一層確実に防止される。
【0043】
【発明の効果】
請求項1記載の発明の孔版印刷装置によれば、マスタ収納ボックス内のマスタ送り込み経路は、マスタ収納ボックスの入口に配置された搬送ローラの上端部における水平向きの接線を含む位置で製版部側に向けて略水平向きに延出しており、さらに、マスタ送り込み経路の奥部に向けて空気流発生手段による空気の流れが発生しているので、マスタ収納ボックス内へのマスタの送り込みを、マスタ送り込み経路の下部内周面から浮かせた状態で行うことができ、マスタのマスタ送り込み経路の下部内周面などへの貼り付きの発生を防止することがでる。さらに、空気流発生手段による空気の流れは、マスタ全体を上方へ持ち上げるものではなくマスタを水平方向へ移動させるものであるので、空気流発生手段の力を小さくすることができ、これによって、空気流発生手段の駆動時に発生する騒音の低減、空気流発生手段を駆動するために必要な消費電力の低減を図ることができる。
【0044】
請求項2記載の発明の孔版印刷装置によれば、マスタが褶曲状態でマスタ収納ボックス内に送り込まれるとき、マスタ送り込み経路の下部内周面と褶曲状態のマスタの下側との間には空気吸引口から吸引された空気による空気層が形成されるので、この空気層により褶曲状態のマスタの下側とマスタ送り込み経路の下部内周面との接触を防止することができ、マスタ送り込み経路の下部内周面へのマスタの静電気などによる貼り付きの発生を防止でき、マスタ収納ボックス内へのマスタの送り込みをスムーズに行わせることができる。さらに、マスタ送り込み経路の下部内周面へのマスタの静電気などによる貼り付きの発生が防止されるので、空気流発生手段の力を小さくすることができ、空気流発生手段の駆動時に発生する騒音の低減、空気流発生手段を駆動するために必要な消費電力の低減を図ることができる。
【0045】
請求項3記載の発明の孔版印刷装置によれば、マスタ送り込み経路側の縁部に形成された傾斜面部の上方と搬送ローラの外周面との間に空気吸引口に連続した凹状空間を形成することにより、マスタ収納ボックス内へ送り込まれたマスタにより空気吸引口が塞がれるという事態の発生を防止することができ、マスタ送り込み経路の下部内周面と褶曲状態のマスタの下側との間における空気層の形成を確実に行うことができ、マスタ送り込み経路の下部内周面へのマスタの静電気などによる貼り付きを防止でき、マスタ収納ボックス内へのマスタの送り込みをスムーズに行わせることができる。さらに、マスタ送り込み経路の下部内周面へのマスタの静電気などによる貼り付きの発生が防止されるので、空気流発生手段の力を小さくすることができ、空気流発生手段の駆動時に発生する騒音の低減、空気流発生手段を駆動するために必要な消費電力の低減を図ることができる。
【0046】
請求項4記載の発明の孔版印刷装置によれば、マスタ送り込み経路の下部内周面と搬送ローラの上端部における水平方向の接線との間に、接線が上方となる段差を付けることにより、マスタ送り込み経路の下部内周面と褶曲状態のマスタの下側との間における空気層の形成をより一層確実に行うことができ、マスタ送り込み経路の下部内周面へのマスタの静電気などによる貼り付きの発生を防止でき、マスタ収納ボックス内へのマスタの送り込みをスムーズに行わせることができる。さらに、マスタ送り込み経路の下部内周面へのマスタの静電気などによる貼り付きの発生が防止されるので、空気流発生手段の力を小さくすることができ、空気流発生手段の駆動時に発生する騒音の低減、空気流発生手段を駆動するために必要な消費電力の低減を図ることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の第1の実施の形態における孔版印刷装置の要部の概略構造を示す正面図である。
【図2】その一部を拡大して示す正面図である。
【図3】本発明の第2の実施の形態における孔版印刷装置の要部の一部を拡大して示す正面図である。
【符号の説明】
1 版胴
2 マスタ原紙保持部
3 製版部
4 マスタ収納ボックス
5 保持部
12 マスタ原紙
12a マスタ
15 入口
16 搬送ローラ
18 マスタ送り込み経路
19 空気流発生手段
20 傾斜面部
21 空気吸引口
22 凹状空間
H 段差
Claims (4)
- 軸線を中心として回転駆動される略円筒状の版胴と、ロール状態に巻かれたマスタ原紙を保持するマスタ原紙保持部と、前記版胴と前記マスタ原紙保持部との間に配置されて前記マスタ原紙保持部から引き出された前記マスタ原紙を加熱溶融穿孔してマスタを製版する製版部と、前記版胴と前記製版部との間に配置されて前記マスタ原紙保持部から引き出されて前記製版部を通過した前記マスタ原紙の先端部を保持する保持部と、前記保持部と前記製版部との間に配置されて先端部を前記保持部で保持されている前記マスタ原紙を加熱溶融穿孔して製版された前記マスタが褶曲状態で送り込まれるマスタ収納ボックスとを有し、先端部を前記保持部で保持されて褶曲状態で前記マスタ収納ボックス内に収納されている前記マスタをこのマスタ収納ボックス内から引き出して前記版胴の外周面に巻き付けるようにした孔版印刷装置において、
前記マスタ収納ボックスの入口に配置され、前記マスタを前記版胴に向けて搬送する向きに回転駆動される搬送ローラと、
前記マスタ収納ボックス内に形成され、前記搬送ローラの上端部における水平向きの接線を含む位置で前記製版部側に向けて略水平向きに延出したマスタ送り込み経路と、
前記入口から前記マスタ収納ボックス内の奥部に向けて前記マスタ送り込み経路に沿った空気の流れを発生させる空気流発生手段と、
を有することを特徴とする孔版印刷装置。 - 前記入口における前記マスタ送り込み経路側の縁部と前記搬送ローラの外周面との間に空気吸引口が形成されていることを特徴とする請求項1記載の孔版印刷装置。
- 前記入口における前記マスタ送り込み経路側の縁部に前記搬送ローラに向けて斜め下方向きに傾斜した傾斜面部が形成され、この傾斜面部の上方と前記搬送ローラの外周面との間に前記空気吸引口に連続した凹状空間が形成されていることを特徴とする請求項2記載の孔版印刷装置。
- 前記マスタ送り込み経路の下部内周面と前記搬送ローラの上端部における水平向きの接線との間に、前記接線が上方となる段差が付けられていることを特徴とする請求項1、2又は3記載の孔版印刷装置。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP32203899A JP4488388B2 (ja) | 1999-11-12 | 1999-11-12 | 孔版印刷装置 |
Applications Claiming Priority (1)
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