JP2820883B2 - 孔版印刷装置 - Google Patents

Description

【発明の詳細な説明】

【０００１】

【産業上の利用分野】本発明は、サーマルヘッド等の発
熱体で穿孔されたマスタを巻装して印刷を行う孔版印刷
装置に係り、詳しくは、製版済みマスタを一時的に貯留
するマスタストック手段を有し、排版動作と製版動作と
を並行して行うことが可能な孔版印刷装置に関する。

【０００２】

【従来の技術】従来より簡便な印刷方法として、デジタ
ル式感熱孔版印刷が知られている。これは、微細な発熱
素子が一列に配置されたサーマルヘッドを感熱孔版マス
タ（以下、「マスタ」という）に接触させ、パルス的に
発熱素子に通電させながらマスタを搬送することで画像
情報に応じてマスタを溶融穿孔し、このマスタを多孔性
の円筒状版胴の外周面に巻装した後、穿孔した部分より
インキを透過させて用紙に転移させることにより印刷画
像を形成するものである。

【０００３】この印刷に用いられる孔版印刷装置では、
版胴外周面上に巻装された使用済みマスタを剥離して排
版ボックスに廃棄する排版動作、サーマルヘッドでマス
タを溶融穿孔しつつプラテンローラーで搬送する製版動
作、製版済みマスタを版胴に巻装する給版動作、給紙装
置によって給送された印刷用紙に対して印刷画像を形成
する印刷動作等の一連の動作を経て印刷が行われる。

【０００４】従来、孔版印刷装置での印刷は、装置のオ
ペレーターが装置本体に原稿をセットし、製版開始スイ
ッチを投入してから排版動作が開始され、排版動作完了
後に製版動作が開始され、製版動作と並行して給版動作
が行われ、給版動作完了後に印刷動作が行われる。

【０００５】しかしこの装置では、排版動作が完了した
後に製版動作が行われるため、次版の製版に際して排版
動作の完了を待たねばならず、オペレーターが製版開始
スイッチを投入してから一連の動作を経て最初の印刷物
が排出されるまでの時間であるファースト・プリント・
タイム（以下、「ＦＰＴ］という）が長くなってしまう
という問題点があった。

【０００６】そこで、製版済みマスタを貯留するマスタ
ストック手段を設け、排版動作と並行して製版動作を行
う技術が特開昭６１−２８７７８１号公報に、類似の技
術が特開昭６１−２６１０８８号公報、特開昭６３−１
１８２５３号公報、特開昭６２−２５０８０号公報、及
び実開平２−９５６６号公報にそれぞれ開示されてい
る。

【０００７】

【発明が解決しようとする課題】しかし、上記特開昭６
１−２８７７８１号公報、特開昭６１−２６１０８８号
公報、特開昭６３−１１８２５３号公報、特開昭６２−
２５０８０号公報、及び実開平２−９５６６号公報にそ
れぞれ開示された技術では、排版動作中に不具合が生じ
た場合、排版動作が正規に終了しないために製版動作も
途中で停止してしまうことになり、再び製版動作を開始
するときには、マスタを最初から製版しなくてはなら
ず、途中まで製版されたマスタが無駄になってしまうと
いう問題点がある。

【０００８】さらに、電源投入後の印刷開始時や、印刷
動作中断後の印刷再開時において、マスタストック手段
内に製版済みマスタが既に貯留されている場合には、再
度製版することにより、マスタが無駄になったり、マス
タストック手段内や製版手段内に製版済みマスタが詰ま
る等して不具合が発生するという問題点がある。

【０００９】また、製版された製版済みマスタを版胴に
巻装する給版動作を行う場合、製版動作が終了してから
給版動作を行うと、ＦＰＴは長くなるが巻装は綺麗に行
われる。製版中に給版動作を行うと、ＦＰＴは短くなる
が、巻装時にムラが生じる虞がある。

【００１０】本発明は、上記各問題点を解決し、排版動
作と製版動作とを並行して行うことによってＦＰＴを短
縮し、さらには、給版動作のタイミングを選択可能と
し、またはマスタの無駄を省き、マスタストック手段内
の製版済みマスタの有無を検知できる孔版印刷装置を提
供するものである。

【００１１】

【課題を解決するための手段】請求項１記載の発明は、
製版済みマスタを一時的に貯留するマスタストック手段
を有し、排版動作中において、製版手段で製版された前
記製版済みマスタを前記マスタストック手段内に一時的
に貯留することにより、排版動作と製版動作とを並行し
て行うことが可能な孔版印刷装置において、前記マスタ
ストック手段内に貯留されたマスタを版胴に巻装する給
版動作が、前記製版動作終了後に行われる第１の給版動
作と、前記製版動作中に行われる第２の給版動作とを含
み、前記第１の給版動作と前記第２の給版動作とを切り
替える切替手段を有することを特徴とする。

【００１２】請求項２記載の発明は、製版済みマスタを
一時的に貯留するマスタストック手段を有し、排版動作
中において、製版手段で製版された前記製版済みマスタ
を前記マスタストック手段内に一時的に貯留することに
より、排版動作と製版動作とを並行して行うことが可能
な孔版印刷装置において、前記マスタストック手段内に
貯留されたマスタを版胴に巻装する給版動作が、前記製
版動作終了後に行われる第１の給版動作と、前記製版動
作中における前記マスタの画像領域への製版動作終了後
に行われる第３の給版動作とを含み、前記第１の給版動
作と前記第３の給版動作とを切り替える切替手段を有す
ることを特徴とする。

【００１３】請求項３記載の発明は、製版済みマスタを
一時的に貯留するマスタストック手段を有し、排版動作
中において、製版手段で製版された前記製版済みマスタ
を前記マスタストック手段内に一時的に貯留することに
より、排版動作と製版動作とを並行して行うことが可能
な孔版印刷装置において、前記製版済みマスタが前記マ
スタストック手段内に貯留されていることを検知するマ
スタ検知手段を有し、前記排版動作に不具合が生じた場
合、前記製版動作を中止することなく前記製版済みマス
タを前記マスタストック手段内に貯留し、前記不具合が
解除され、前記排版動作が終了した場合に前記給版動作
を行う際に、前記マスタ検知手段より出力された信号を
受けて、前記製版済みマスタが前記マスタストック手段
内に貯留されていることを操作パネル上に表示する表示
手段を有することを特徴とする。

【００１４】請求項４記載の発明は、製版済みマスタを
一時的に貯留するマスタストック手段を有し、排版動作
中において、製版手段で製版された前記製版済みマスタ
を前記マスタストック手段内に一時的に貯留することに
より、排版動作と製版動作とを並行して行うことが可能
な孔版印刷装置において、前記排版動作終了後に給版動
作を行う際に、前記排版動作に不具合が生じた場合、前
記製版動作を中止することなく前記製版済みマスタを前
記マスタストック手段内に貯留し、前記不具合が解除さ
れ、前記排版動作が終了した場合に、自動的に前記給版
動作を行うことを特徴とする。

【００１５】請求項５記載の発明は、製版済みマスタを
一時的に貯留するマスタストック手段を有し、排版動作
中において、製版手段で製版された前記製版済みマスタ
を前記マスタストック手段内に一時的に貯留することに
より、排版動作と製版動作とを並行して行うことが可能
な孔版印刷装置において、前記製版済みマスタが前記マ
スタストック手段内に貯留されていることを検知するマ
スタ検知手段を有し、前記孔版印刷装置の電源投入時
に、前記マスタ検知手段より出力された信号を受けて、
前記製版済みマスタが前記マスタストック手段内に貯留
されていることを操作パネル上に表示する表示手段を有
することを特徴とする。

【００１６】

【作用】請求項１記載の発明によれば、マスタストック
手段内に貯留された製版済みマスタを版胴の外周面に巻
装する給版動作を、製版動作終了後、若しくは製版動作
中の何れかに、切替手段によって切り替える。

【００１７】請求項２記載の発明によれば、マスタスト
ック手段内に貯留された製版済みマスタを版胴の外周面
に巻装する給版動作を、製版動作終了後、若しくは製版
動作中におけるマスタの画像領域への製版動作終了後の
何れかに、切替手段によって切り替える。

【００１８】請求項３記載の発明によれば、排版動作中
に不具合が生じて排版動作が停止しても、製版動作は引
き続き行われ、不具合が解除されて排版動作が終了した
後に給版動作を行う際に、マスタストック手段内に貯留
された製版済みマスタがマスタ検知手段によって検知さ
れ、表示手段によって操作パネル上に表示される。

【００１９】請求項４記載の発明によれば、排版動作中
に不具合が生じて排版動作が停止しても、製版動作は引
き続き行われ、不具合が解除されて排版動作が終了した
後に、マスタストック手段内に貯留された製版済みマス
タは、自動的に版胴の外周面に巻装される。

【００２０】請求項５記載の発明によれば、電源投入時
に、マスタストック手段内に貯留された製版済みマスタ
がマスタ検知手段によって検知され、表示手段によって
操作パネル上に表示される。

【００２１】

【実施例】図１は、本発明の一実施例を採用した孔版印
刷装置要部の概略側面図、図３は、図１に示した孔版印
刷装置のマスタストック手段周辺部の側断面図である。
図１において、版胴駆動手段５１で回転駆動される版胴
１は、その外周部にマスタの先端部を係止するクランプ
手段としてのクランパー２を有している。クランパー２
は軸２ａで版胴１の外周面に枢着され、図示しない開閉
手段により駆動力を伝達されて回動自在となっている。
版胴１の内部には、図示しない周知のインキ供給手段が
配設されている。

【００２２】版胴１の右上方には、マスタ貯容手段３、
製版手段４、切断手段５、マスタストック手段６、マス
タ送り込み手段７、マスタ送り出し手段８、案内板９が
配設されている。マスタ貯容手段３は、ケース１０、マ
スタロール１１、マスタ支持部材１２等から主に構成さ
れている。ケース１０は、孔版印刷装置本体に取り付け
られており、マスタロール１１は、その芯部をマスタ支
持部材１２に支持され、マスタ支持部材１２は、ケース
１０の図示しない側板に回転自在に支持されている。

【００２３】マスタロール１１の配設位置より左方に
は、サーマルヘッド１３とプラテンローラー１４とから
なる製版手段４が配設されている。サーマルヘッド１３
は、孔版印刷装置本体の図示しない側板に取り付けられ
ており、マスタロール１１より引き出されたマスタ１１
ａに対して溶融穿孔を行い、製版済みマスタ１１ｂを形
成する。プラテンローラー１４は、孔版印刷装置本体の
側板に回転自在に支持されており、図示しない駆動手段
で回転駆動され、マスタ１１ａをサーマルヘッド１３に
押圧しつつ下流側へと搬送する。

【００２４】製版手段４のマスタ搬送方向下流側には、
可動刃１５、固定刃１６からなる切断手段５が配設され
ている。この切断手段５は、可動刃１５が固定刃１６に
対して回転移動し、製版済みマスタ１１ｂを切断する。
切断手段５のマスタ搬送方向下流側には、送り込み駆動
ローラー１７、送り込み従動ローラー１８からなるマス
タ送り込み手段７が配設されている。送り込み駆動ロー
ラー１７及び送り込み従動ローラー１８は、孔版印刷装
置本体の側板に回転自在に支持されており、送り込み駆
動ローラー１７は図示しない駆動手段で回転駆動され
る。送り込み従動ローラー１８は、送り込み駆動ローラ
ー１７と連れ回りする。

【００２５】マスタ送り込み手段７のマスタ搬送方向下
流側には、送り出し駆動ローラー１９、送り出し従動ロ
ーラー２０からなるマスタ送り出し手段８と、マスタガ
イド板２１とが配設されている。送り出し駆動ローラー
１９及び送り出し従動ローラー２０も上記各ローラーと
同様に孔版印刷装置本体の側板に回転自在に支持されて
いる。送り出し駆動ローラー１９は図示しない駆動手段
で回転駆動され、送り出し従動ローラー２０は送り出し
駆動ローラー１９と連れ回りする。マスタガイド板２１
は孔版印刷装置本体の側板に固設され、マスタ送り出し
手段８より搬送される製版済みマスタ１１ｂをクランパ
ー２へと案内する。マスタ送り込み手段７とマスタ送り
出し手段８との間には、案内板９が配設されている。案
内板９は、マスタ送り込み手段７とマスタ送り出し手段
８とを連絡すべく、孔版印刷装置本体の側板に固着され
ている。

【００２６】切断手段５、マスタ送り込み手段７、マス
タ送り出し手段８、案内板９の上方には、マスタストッ
ク手段６が配設されている。マスタストック手段６は、
図３に示すように、筐体２２、ガイド板２３、撓みセン
サー２４、吸引ファン２５等から主に構成される。筐体
２２は、金属板や樹脂板等で形成され、版胴１側寄りの
側板２２ｅが開放された箱型を呈しており、孔版印刷装
置の側板に取り付けられている。筐体２２の上板２２ａ
は、その略中央部で分割され、蝶番等で回動自在に支持
されて蓋２２ｂが形成されている。蓋２２ｂはマスタ貯
容手段３側から版胴１側へ、図３の実線矢印のように開
閉自在となっている。上板２２ａと蓋２２ｂの筐体内面
側には、フィン２２ｃが設けられている。このフィン２
２ｃは、後述する吸引ファン２５が作動して筐体２２内
に発生する空気流に対して平行となるように複数配設さ
れている。また、筐体２２の下部であって案内板９と対
向する位置には、製版済みマスタ１１ｂを筐体２２の内
部へ導入するための開口２２ｄが、筐体２２の略全幅に
わたって形成されている。

【００２７】開口２２ｄの版胴１側寄りには、ガイド板
２３が取り付けられている。ガイド板２３は曲折された
板材であり、その幅は筐体２２の内部全幅にわたって形
成されている。ガイド板２３は、マスタ送り込み手段７
で搬送された製版済みマスタ１１ｂが送り出し駆動ロー
ラー１９の上部へと逃げないように、かつ製版済みマス
タ１１ｂが筐体２２の内部へ円滑に送り込まれるよう
に、送り出し駆動ローラー１９の上方よりマスタ貯容手
段３側に筐体２２の内部上方へ向かって延出するよう設
けられている。また、ガイド板２３の略中央部には、版
胴１側へ略水平に延出するように取付板２３ａが固着さ
れており、この取付板２３ａには、製版済みマスタ１１
ｂが筐体２２の内部へ送り込まれたことを検知する、マ
スタ検知手段としての光電センサーからなる撓みセンサ
ー２４が取り付けられている。なお、ガイド板２３に
は、撓みセンサー２４の光軸が通過する図示しない孔が
形成されている。

【００２８】側板２２ｅの版胴１側には、その開放部を
覆うように吸引ファン２５を支持するカバー２５ａが取
り付けられている。カバー２５ａにはスリットや網目状
の小孔等からなる図示しない排気口が設けられており、
吸引ファン２５が内蔵された駆動手段で回転駆動された
ときに、図３に一点鎖線矢印で示す方向に発生する空気
流を、この排気口より筐体２２の外部へと排気する。

【００２９】版胴１の右方であってマスタ貯容手段３の
下方には、給紙装置２６が配設されている。給紙装置２
６は、給紙トレイ２７、給紙ローラー２８、分離ローラ
ー２９、レジストローラー対３０、ガイド板３１、３２
等から主に構成されている。給紙トレイ２７は、その上
に印刷用紙Ｐを積載され、給紙装置本体２６ａに上下動
自在に支持されている。給紙トレイ２７は、印刷用紙Ｐ
の増減と連動して上下動される。給紙ローラー２８と分
離ローラー２９とは、最上位の印刷用紙Ｐと当接するよ
うに設けられており、各ローラーは図示しない駆動手段
で回転駆動される。分離ローラー２９の印刷用紙搬送方
向下流側には、レジストローラー対３０が配設されてい
る。レジストローラー対３０は、搬送された印刷用紙Ｐ
の先端をくわえ込み、タイミングをとって版胴１の外周
面と後述するプレスローラーとの間に搬送する。ガイド
板３１，３２は孔版印刷装置本体の側板に固着されてお
り、印刷用紙Ｐの給紙をガイドする。

【００３０】版胴１の下方近傍には、給紙装置２６から
搬送された印刷用紙Ｐを版胴１の外周面に押圧するプレ
スローラー３３、及び版胴１の外周面より印刷済み用紙
を剥離する剥離爪３４が配設されている。プレスローラ
ー３３は、孔版印刷装置本体の側板に揺動自在に支持さ
れた支軸３３ａに固着されたアーム３３ｂにより保持さ
れており、揺動手段３３ｃで揺動される。剥離爪３４も
孔版印刷装置本体の側板に揺動自在に支持された支軸３
４ａに固着されており、図示しない揺動手段で揺動され
る。

【００３１】版胴１の左下方には、排紙装置３５が配設
されている。排紙装置３５は、従動ローラー３６、駆動
ローラー３７、ベルト３８、ファン３９、排紙トレイ４
０等から主に構成されている。従動ローラー３６と駆動
ローラー３７とは排紙装置本体３５ａの側板に回転自在
に支持されており、各ローラー間には、表面に複数の開
孔を有するベルト３８が掛け渡されている。駆動ローラ
ー３７は図示しない駆動手段で回転駆動され、この回転
力はベルト３８を介して従動ローラー３６に伝達され
る。各ローラー３６，３７の間であって排紙装置本体３
５ａの下部には、ファン３９が配設されている。ファン
３９は、その回転により図において下向きの空気流を発
生させ、ベルト３８の表面に印刷済み用紙を吸引する。
駆動ローラー３７の印刷用紙搬送方向下流側には、印刷
済み用紙を積載する排紙トレイ４０が、排紙装置本体３
５ａと一体的に形成されている。

【００３２】版胴１の左上方には、排版装置４１が配設
されている。排版装置４１は、上部排版部材４２、下部
排版部材４３、排版ボックス４４、圧縮板５４等から主
に構成されている。上部排版部材４２は、図示しない駆
動手段で回転駆動される駆動ローラー４５と従動ローラ
ー４６、及び各ローラー間に掛け渡されたゴムベルト４
７とから構成されている。下部排版部材４３は、駆動ロ
ーラー４５と図示しないギヤによって連結され回転駆動
される駆動ローラー４８と従動ローラー４９、及び各ロ
ーラー間に掛け渡されたゴムベルト５０とから構成され
ている。下部排版部材４３は、駆動ローラー４５の中心
軸を中心に左右方向に移動自在となっており、図示しな
い移動手段で移動される。下部排版部材４３の移動によ
り、駆動ローラー４８の外周面は、版胴１の外周面と接
離自在となっている。また、駆動ローラー４５と従動ロ
ーラー４６との間には、版胴１の外周面より剥離された
前版のマスタが、正常に排版されたことを検知するため
の排版センサー６７が配設されている。排版センサー６
７としては、反射型光電センサー等が用いられる。排版
ボックス４４は、排版装置４１に対して着脱自在に設け
られており、その上方には、図示しない移動手段によっ
て上下動される圧縮板５４が配設されている。

【００３３】図２は、本発明の第１の実施例を採用し
た、図１に示した孔版印刷装置の制御構成を示す図であ
る。同図において、符号５５は操作パネルを示してお
り、この操作パネル５５上には、動作プログラムを切り
替える切替手段５３、製版開始スイッチ５６、印刷開始
スイッチ５７等が配設されている。

【００３４】セレクトスイッチである切替手段５３は、
孔版印刷装置の動作プログラムを、排版動作及び製版動
作が終了してから給版動作を行う「１」と、排版動作終
了後、製版動作中に給版動作を行う「２」とに切り替え
る。動作プログラム「２」は、動作プログラム「１」と
比較すると、排版動作終了後、直ちに給版動作を行うの
で、ＦＰＴを短縮できることから、「高速プログラム」
と称することとする。

【００３５】制御手段５２は、「１」と「２」の２つの
動作プログラムを記憶したＲＯＭ５８、ＣＰＵ５９、Ｒ
ＡＭ６０を備えており、切替手段５３での設定に基づい
てＲＯＭ５８から設定された動作プログラムを呼び出
し、これを実行させる。制御手段５２は、各動作プログ
ラムを実行するにあたり、図２に示すように、版胴駆動
手段５１、プラテンローラー１４、可動刃１５、送り込
み駆動ローラー１７、送り出し駆動ローラー１９の動作
をそれぞれ制御している。

【００３６】以下、動作を説明する。オペレーターは、
製版を行うに先立ち、切替手段５３によって、版胴駆動
手段５１の動作プログラムを「１」または「２」の何れ
かに設定する。このときのフローチャートを図４に示
す。

【００３７】先ず、動作プログラムを「１」に設定した
場合を説明する。オペレーターが製版開始スイッチ５６
を投入すると、その外周面に前版のマスタを巻装してい
る版胴１は、版胴駆動手段５１により反時計回り方向に
回転を開始する。そして版胴１が、その外周面に巻装し
た前版のマスタの後端が駆動ローラー４８と対向する、
所定の排版位置に到達すると、図示しない移動手段と駆
動手段とが作動し、駆動ローラー４８を回転させると共
に下部排版部材４３を版胴１側に移動させる。駆動ロー
ラー４８の外周面が版胴１の外周面上のマスタと当接し
たとき版胴１は反時計回り方向に回転し続けており、駆
動ローラー４８と当接してすくい上げられたマスタは、
下部排版部材４３と上部排版部材４２とで挟持され、版
胴１の外周面より剥離される。剥離されたマスタは下部
排版部材４３と上部排版部材４２とで搬送され、排版ボ
ックス４４の内部に廃棄された後、圧縮板５４によって
圧縮される。

【００３８】版胴１の外周面より前版のマスタが全て剥
離されると、版胴１はさらに回転して、図１に示す給版
位置に停止する。版胴１が給版位置に停止すると、図示
しない開閉手段が作動してクランパー２を時計回り方向
に回動させ、版胴１は図１に示す給版待機状態となり、
排版動作が終了する。

【００３９】上記の排版動作と並行して、製版手段４で
は製版動作が行われる。オペレーターが製版開始スイッ
チ５６を投入すると、制御手段５２より指令が送られ、
プラテンローラー１４、送り込み駆動ローラー１７、送
り出し駆動ローラー１９がそれぞれ図示しない駆動手段
によって回転駆動される。マスタ１１ａは、プラテンロ
ーラー１４、マスタ送り込み手段７に搬送されつつ、サ
ーマルヘッド１３で穿孔製版されて搬送される。プラテ
ンローラー１４を駆動する図示しない駆動手段に設けら
れたステッピングモーターのステップ数より、製版され
た製版済みマスタ１１ｂの先端が案内板９に案内されて
マスタ送り出し手段８に搬送され、送り出し駆動ローラ
ー１９と送り出し従動ローラー２０とで挟持されたこと
を制御手段５２が判断すると、送り出し駆動ローラー１
９の回転が停止される。

【００４０】先端をマスタ送り出し手段８に挟持された
製版済みマスタ１１ｂの未製版部分であるマスタ１１ａ
には、引き続きサーマルヘッド１３での穿孔製版が行わ
れる。そして先端をマスタ送り出し手段８に挟持された
製版済みマスタ１１ｂは、その後続部をプラテンローラ
ー１４及びマスタ送り込み手段７でさらに搬送されるこ
とにより、その中間部が案内板９上より上方に向かって
凸状に撓み、マスタストック手段６の開口２２ｄからマ
スタストック手段６の内部に搬送される。このとき、制
御手段５２からの指令により吸引ファン２５が回転し、
筐体２２内部の空気を図３の一点鎖線矢印方向に流動さ
せ、製版済みマスタ１１ｂは、ガイド板２３の先端部を
回り込むようにマスタストック手段６の内部に導入さ
れ、図１に破線で示すようにマスタストック手段６の内
部に貯留される。製版済みマスタ１１ｂが筐体２２の内
部上面に沿って移動する際には、フィン２２ｃの働きに
より、空気流による振動を防止されているので、筐体２
２の内部におけるジャムの発生が抑制されている。製版
済みマスタ１１ｂが、案内板９上よりジャムすることな
くマスタストック手段６の内部に搬送されたか否かは、
撓みセンサー２４がオンすることにより、制御手段５２
によって確認される。なお、図３において、マスタ１１
ａへの製版動作が行われているときには、蓋２２ｂは、
同図中に破線で示す位置に閉じられている。

【００４１】そして、プラテンローラー１４を駆動する
図示しない駆動手段に設けられたステッピングモーター
のステップ数より、１版分の製版済みマスタ１１ｂが製
版されたことを制御手段５２が判断すると、プラテンロ
ーラー１４、送り込み駆動ローラー１７の回転がそれぞ
れ停止される。マスタストック手段６の製版済みマスタ
ストック長さは、製版手段４によって製版される製版済
みマスタ１１ｂの長さに対して、十分なストック長さで
あることはいうまでもない。

【００４２】排版動作及び製版動作が終了し、版胴１が
給版待機状態となると、制御手段５２からの指令によ
り、停止していた送り出し駆動ローラー１９は再び回転
を開始し、製版済みマスタ１１ｂは、マスタガイド板２
１に案内されてクランパー２へと搬送され、クランパー
２が閉じることによりその先端部を版胴１の外周面上に
係止される。次に、制御手段５２からの指令により版胴
駆動手段５１が動作を開始し、版胴１は図１の時計回り
方向に回転して、その外周面に製版済みマスタ１１ｂを
巻装し、給版動作を開始する。この巻装時においても吸
引ファン２５は作動しており、マスタストック手段６の
内部の製版済みマスタ１１ｂには適度の張力が継続して
付与されているので、ジャムの発生が抑制されている。

【００４３】巻装が進行し、送り出し駆動ローラー１９
を駆動する図示しない駆動手段に設けられたステッピン
グモーターのステップ数より、マスタストック手段６の
内部に貯留された製版済みマスタ１１ｂが版胴１へと搬
送されたことを制御手段５２が判断すると、制御手段５
２から指令が送られ、版胴駆動手段５１、送り出し駆動
ローラー１９、吸引ファン２５の作動がそれぞれ停止さ
れると共に、可動刃１５が移動して、製版済みマスタ１
１ｂを切断する。その後、制御手段５２からの指令によ
り、版胴駆動手段５１と送り出し駆動ローラー１９とが
再び作動し、版胴１を時計回り方向に回転させて製版済
みマスタ１１ｂを巻装し、給版動作が完了する。上記一
連の動作を図５に示す。

【００４４】次に、動作プログラムを「２」の「高速プ
ログラム」に設定した場合を説明する。オペレーターが
製版開始スイッチ５６を投入すると、動作プログラムを
「１」に設定したときと同様に、排版装置４１では、版
胴１の外周面からの前版のマスタの排版動作が行われ
る。その後、版胴１は、版胴駆動手段５１によって回転
駆動され、図１に示す給版位置に停止する。版胴１が給
版位置に停止すると、図示しない開閉手段が作動してク
ランパー２を時計回り方向に回動させ、版胴１は図１に
示す給版待機状態となり、排版動作が終了する。

【００４５】上記の排版動作と並行して、製版手段４で
は製版動作が行われる。オペレーターが製版開始スイッ
チ５６を投入すると、動作プログラムを「１」に設定し
たときと同様に、製版手段４では、マスタ１１ａに対す
る穿孔製版が行われる。製版された製版済みマスタ１１
ｂは、プラテンローラー１４、マスタ送り込み手段７に
よって、その先端が送り出し駆動ローラー１９と送り出
し従動ローラー２０とで挟持されるまで搬送される。そ
の後、制御手段５２からの指令により、送り出し駆動ロ
ーラー１９の回転が停止され、後続部をプラテンローラ
ー１４及びマスタ送り込み手段７でさらに製版されつつ
搬送されることにより、製版済みマスタ１１ｂは、その
中間部が案内板９上より上方に向かって凸状に撓み、マ
スタストック手段６の開口２２ｄからマスタストック手
段６の内部に搬送される。このとき、制御手段５２から
の指令により吸引ファン２５が回転し、製版済みマスタ
１１ｂは、マスタストック手段６の内部に導入され、マ
スタストック手段６の内部に貯留される。

【００４６】製版動作と並行して進行していた排版動作
が完了し、版胴１が給版待機状態となると、制御手段５
２からの指令により、停止していた送り出し駆動ローラ
ー１９は再び回転を開始し、製版済みマスタ１１ｂは、
マスタガイド板２１に案内されてクランパー２へと搬送
され、クランパー２が閉じることによりその先端部を版
胴１の外周面上に係止される。

【００４７】次に、制御手段５２からの指令により版胴
駆動手段５１が動作を開始し、版胴１は図１の時計回り
方向に回転して、その外周面に製版済みマスタ１１ｂを
巻装し、給版動作を開始する。この巻装時においても吸
引ファン２５は作動しており、マスタストック手段６の
内部の製版済みマスタ１１ｂには適度の張力が継続して
付与されているので、ジャムの発生が抑制されている。
このとき製版手段４では、引き続きマスタ１１ａに対す
る製版動作が続行している。

【００４８】巻装が進行し、マスタストック手段６の内
部に貯留された製版済みマスタ１１ｂが版胴１へと搬送
されると、撓みセンサー２４から制御手段５２へと送ら
れていた信号がオフされる。撓みセンサー２４からの信
号がオフされると、制御手段５２は、版胴駆動手段５
１、送り出し駆動ローラー１９にそれぞれ指令を送り、
それぞれの動作を停止させる。この間にも製版手段４で
はマスタ１１ａに対する製版動作が継続して行われてお
り、プラテンローラー１４及び送り込み駆動ローラー１
７は回転しているので、製版済みマスタ１１ｂは再びマ
スタストック手段６の内部に貯留され、撓みセンサー２
４をオンさせる。このとき撓みセンサー２４は、制御手
段５２に信号を送る。

【００４９】撓みセンサー２４からの信号を受けた制御
手段５２は、版胴駆動手段５１と送り出し駆動ローラー
１９とにそれぞれ指令を送り、両者を作動させる。版胴
１と送り出し駆動ローラー１９との回転により、マスタ
ストック手段６の内部に貯留された製版済みマスタ１１
ｂは、再び版胴１の外周面に巻装される。このように撓
みセンサー２４のオン−オフ動作に伴って、制御手段５
２が版胴駆動手段５１と送り出し駆動ローラー１９とを
間欠的に作動させることにより、版胴１の外周面への製
版済みマスタ１１ｂの給版動作が進行する。

【００５０】給版動作が進行し、プラテンローラー１４
を駆動する図示しない駆動手段に設けられたステッピン
グモーターのステップ数より、１版分の製版済みマスタ
１１ｂが製版されたことを制御手段５２が判断すると、
制御手段５２からの指令により、プラテンローラー１
４、送り込み駆動ローラー１７の作動がそれぞれ停止さ
れる。そして、送り出し駆動ローラー１９を駆動する図
示しない駆動手段に設けられたステッピングモーターの
ステップ数より、マスタストック手段６の内部に貯留さ
れた製版済みマスタ１１ｂが版胴１へと搬送されたこと
を制御手段５２が判断すると、制御手段５２から指令が
送られ、送り出し駆動ローラー１９、版胴駆動手段５
１、吸引ファン２５の作動がそれぞれ停止されると共
に、可動刃１５が移動して製版済みマスタ１１ｂを切断
する。その後、制御手段５２からの指令により版胴駆動
手段５１と送り出し駆動ローラー１９とが再び作動し、
版胴１を時計回り方向に回転させて製版済みマスタ１１
ｂを巻装し、給版動作が完了する。上記一連の動作を図
６に示す。

【００５１】給版動作完了後、給紙トレイ２７上の１枚
の印刷用紙Ｐが給紙ローラー２８と分離ローラー２９と
で分離給送される。その後、印刷用紙Ｐは、ガイド板３
１，３２に案内されて給送され、レジストローラー対３
０によりタイミングをとられた後、プレスローラー３３
と低速で回転している版胴１の外周面との間に給送され
る。印刷用紙Ｐは、プレスローラー３３で版胴１の外周
面に押圧されて、その表面には製版済みマスタ１１ｂの
製版画像が転写される。また、版胴１の外周面上に巻装
された製版済みマスタ１１ｂは、プレスローラー３３の
押圧力によって、版胴１の外周面上に密着される。製版
画像が転写された印刷済み用紙は、剥離爪３４で版胴１
の外周面より剥離され、下方に位置するベルト３８上に
排出される。ベルト３８上の印刷済み用紙は、ファン３
９でベルト３８上に吸引されつつ駆動ローラー３７の回
転によって搬送され、排紙トレイ４０上に排出されて版
付動作が終了する。

【００５２】版付動作終了後、オペレーターが印刷開始
スイッチ５７を押すことにより、版胴１が高速で回転
し、給紙装置２６より印刷用紙Ｐが連続的に給送され
て、印刷動作が行われる。

【００５３】上記実施例において、製版動作に先立って
オペレーターがマスタロール１１をマスタ貯容手段３に
セットする場合、あるいは多数回の製版でサーマルヘッ
ド１３が汚れ、これを清掃するためにプラテンローラー
１４を印刷装置本体より取り外し、清掃後に再びプラテ
ンローラー１４を装着した場合等には、オペレーターが
手作業によってマスタロール１１の先端を引き出し、こ
のマスタ１１ａをサーマルヘッド１３とプラテンローラ
ー１４との間に挟み込まなければならない。その後、印
刷用紙Ｐに転写される製版画像の印刷用紙Ｐに対する位
置を一定とするため、すなわちマスタ１１ａの先端部か
ら製版開始位置までの長さを一定とするために、製版と
は無関係に、１度マスタ１１ａを切断する必要がある。

【００５４】この際に、プラテンローラー１４、送り込
み駆動ローラー１７、送り出し駆動ローラー１９をそれ
ぞれ回転させ、プラテンローラー１４及び送り込み駆動
ローラー１７によりマスタ１１ａを搬送し、マスタ１１
ａの先端部が送り出し駆動ローラー１９と送り出し従動
ローラー２０との間に挟持された時点で送り出し駆動ロ
ーラー１９を停止させる。プラテンローラー１４と送り
込み駆動ローラー１７とは回転を継続させ、マスタ１１
ａが適当な長さ搬送された後に各ローラーを停止させ、
切断手段５によりマスタ１１ａを切断する。

【００５５】マスタ１１ａの切断後、図３に二点鎖線で
示すように、切断されたマスタ１１ｃの後端部が開口２
２ｄの直下の位置となるように、また、図３に破線で示
すように、切断により生じたマスタ１１ａの新たな先端
部が案内板９上の所定位置となるように、プラテンロー
ラー１４と送り込み駆動ローラー１７とを再び回転させ
た後、各ローラーを停止させる。各ローラーの停止と同
時に吸引ファン２５を作動させると、図３に一点鎖線で
示すように、マスタストック手段６の内部に発生した空
気流が、切断されたマスタ１１ｃの後端部をガイド板２
３の自由端部上面へと移動させる。このときに吸引ファ
ン２５の作動を停止させると、オペレーターは蓋２２ｂ
を開放して、図３に白抜き矢印で示す方向に、手で容易
に切断されたマスタ１１ｃを除去することができる。

【００５６】図７は、本発明の第２の実施例を採用し
た、図１に示した孔版印刷装置の制御構成を示す図であ
る。この実施例では、第１の実施例と比較すると、切替
手段５３を具備した操作パネル５５に代えて切替手段６
１を具備した操作パネル６６を、また、制御手段５２に
代えて制御手段６２を用いた点において相違し、他の部
位については同一とする。

【００５７】セレクトスイッチである切替手段６１は、
孔版印刷装置の動作プログラムを、排版動作及び製版動
作が終了してから給版動作を行う「１」と、排版動作終
了後、製版動作中におけるマスタの画像領域への製版動
作終了後に給版動作を行う「３」とに切り替える。動作
プログラム「３」は、動作プログラム「１」と比較する
と、マスタの画像領域への製版動作終了後に給版動作を
行うので、ＦＰＴを短縮できることから、「第２高速プ
ログラム」と称することとする。

【００５８】制御手段６２は、「１」と「３」の２つの
動作プログラムを記憶したＲＯＭ６３、ＣＰＵ６４、Ｒ
ＡＭ６５を備えており、切替手段６１での設定に基づい
てＲＯＭ６３から設定された動作プログラムを呼び出
し、これを実行させる。制御手段６２は、各動作プログ
ラムを実行するにあたり、図７に示すように、版胴駆動
手段５１、プラテンローラー１４、可動刃１５、送り込
み駆動ローラー１７、送り出し駆動ローラー１９、サー
マルヘッド１３の動作をそれぞれ制御している。

【００５９】以下、動作を説明する。オペレーターは、
製版を行うに先立ち、切替手段６１によって、版胴駆動
手段５１の動作プログラムを「１」または「３」の何れ
かに設定する。このときのフローチャートを図８に示
す。動作プログラムを「１」に設定した場合は、第１の
実施例と同様であるので、以下、動作プログラムを
「３」の「第２高速プログラム」に設定した場合を説明
する。

【００６０】オペレーターが製版開始スイッチ５６を投
入すると、動作プログラムを「１」に設定したときと同
様に、排版装置４１では、版胴１の外周面からの前版の
マスタの排版動作が行われる。その後、版胴１は、版胴
駆動手段５１によって回転駆動され、図１に示す給版位
置に停止する。版胴１が給版位置に停止すると、図示し
ない開閉手段が作動してクランパー２を時計回り方向に
回動させ、版胴１は図１に示す給版待機状態となり、排
版動作が終了する。

【００６１】上記の排版動作と並行して、製版手段４で
は製版動作が行われる。オペレーターが製版開始スイッ
チ５６を投入すると、動作プログラムを「１」に設定し
たときと同様に、製版手段４では、サーマルヘッド１３
が駆動してマスタ１１ａに対する穿孔製版が行われる。
製版された製版済みマスタ１１ｂは、プラテンローラー
１４、送り込み手段７によって、その先端が送り出し駆
動ローラー１９と送り出し従動ローラー２０とで挟持さ
れるまで搬送される。その後、制御手段６２からの指令
により、送り出し駆動ローラー１９の回転が停止され、
後続部をプラテンローラー１４及びマスタ送り込み手段
７でさらに製版されつつ搬送されることにより、製版済
みマスタ１１ｂは、その中間部が案内板９上より上方に
向かって凸状に撓み、マスタストック手段６の開口２２
ｄからマスタストック手段６の内部に搬送される。この
とき、制御手段６２からの指令により吸引ファン２５が
回転し、製版済みマスタ１１ｂは、マスタストック手段
６の内部に導入され、マスタストック手段６の内部に貯
留される。

【００６２】製版動作と並行して進行していた排版動作
が完了し、版胴１が給版待機状態となると、制御手段６
２からの指令により、停止していた送り出し駆動ローラ
ー１９は再び回転を開始し、製版済みマスタ１１ｂは、
マスタガイド板２１に案内されてクランパー２へと搬送
され、クランパー２が閉じることによりその先端部を版
胴１の外周面上に係止される。そして、プラテンローラ
ー１４を駆動する図示しない駆動手段に設けられたステ
ッピングモーターのステップ数より、マスタ１１ａの画
像領域に対して１版分の製版がなされたことを制御手段
６２が判断すると、制御手段６２より指令が送られ、サ
ーマルヘッド１３の作動が停止されると共に、プラテン
ローラー１４、送り込み駆動ローラー１７が、それぞれ
高速で回転され、マスタ１１ａの非画像領域は、全てマ
スタストック手段６の内部に搬送される。そして、プラ
テンローラー１４を駆動する図示しない駆動手段に設け
られたステッピングモーターのステップ数より、１版分
の製版済みマスタ１１ｂがマスタストック手段６まで搬
送されたことを制御手段６２が判断すると、制御手段６
２からの指令により、プラテンローラー１４、送り込み
駆動ローラー１７の作動がそれぞれ停止される。

【００６３】次に、制御手段６２からの指令により版胴
駆動手段５１が動作を開始し、版胴１は図１の時計回り
方向に回転して、その外周面に製版済みマスタ１１ｂを
巻装し、給版動作を開始する。この巻装時においても吸
引ファン２５は作動しており、マスタストック手段６の
内部の製版済みマスタ１１ｂには適度の張力が継続して
付与されているので、ジャムの発生が抑制されている。

【００６４】巻装が進行し、送り出し駆動ローラー１９
を駆動する図示しない駆動手段に設けられたステッピン
グモーターのステップ数より、マスタストック手段６の
内部に貯留された製版済みマスタ１１ｂが版胴１へと搬
送されたことを制御手段６２が判断すると、制御手段６
２から指令が送られ、版胴駆動手段５１、送り出し駆動
ローラー１９、吸引ファン２５の作動がそれぞれ停止さ
れると共に、可動刃１５が移動して、製版済みマスタ１
１ｂを切断する。その後、制御手段６２からの指令によ
り、版胴駆動手段５１と送り出し駆動ローラー１９とが
再び作動し、版胴１を時計回り方向に回転させて製版済
みマスタ１１ｂを巻装し、給版動作が完了する。上記一
連の動作を図９に示す。

【００６５】給版動作終了後、第１の実施例と同様に、
版付動作が行われる。その後、オペレーターが印刷開始
スイッチ５７を押すことにより、版胴１が高速で回転
し、給紙装置２６より印刷用紙Ｐが連続的に給送され
て、印刷動作が行われる。

【００６６】図１０は、本発明の第３の実施例を採用し
た、図１に示した孔版印刷装置の制御構成を示す図であ
る。同図において、符号６８は操作パネルを示してお
り、この操作パネル６８上には、製版開始スイッチ５
６、印刷開始スイッチ５７、排版時に不具合が生じた際
に点灯する排版異常ランプ６９、製版済みマスタ１１ｂ
がマスタストック手段６の内部に貯留されていることを
表示する表示手段としてのマスタストックランプ７０、
給版開始ランプ７５、製版終了ランプ７６、リセットス
イッチ７７等が配設されている。

【００６７】操作パネル６８に接続された制御手段７１
は、複数の動作プログラムを記憶したＲＯＭ７２、ＣＰ
Ｕ７３、ＲＡＭ７４を備えており、ＲＯＭ７２から各動
作プログラムを呼び出して、これを実行させる。制御手
段７１は、各動作プログラムを実行するにあたり、版胴
駆動手段５１、プラテンローラー１４、可動刃１５、送
り込み駆動ローラー１７、送り出し駆動ローラー１９、
駆動ローラー４５，４８の動作をそれぞれ制御してい
る。

【００６８】制御手段７１は、排版センサー６７より送
られた信号に基づいて、排版動作が正常に行われた否か
を判断する。正常に排版動作が行われた場合は、駆動ロ
ーラー４８の外周面が版胴１の外周面上のマスタと当接
してから所定時間以内に排版センサー６７がオンされ、
オンされてから一定時間後にオフされる。この正常時と
比較して、排版センサー６７が所定時間以内にオンされ
ない場合は、前版のマスタは版胴１の外周面より剥離さ
れていないと判断、また、排版センサー６７がオンされ
てからオフされない場合は、排版装置４１の内部でジャ
ムしていると判断、さらに、オンされてから一定時間が
経過する前にオフした場合は、途中でちぎれていると判
断、という具合に、制御手段７１は、各異常状況に対応
できる動作プログラムを有している。また、前版のマス
タの排版経路上には、図示しないセンサーが複数配設さ
れており、異常発生時にどこにマスタが止まっているか
を操作パネル６８上に表示するように構成されている。

【００６９】以下、動作を説明する オペレーターが製版開始スイッチ５６を投入すると、そ
の外周面に前版のマスタを巻装している版胴１は、版胴
駆動手段５１により反時計回り方向に回転を開始する。
そして版胴１が、その外周面に巻装した前版のマスタの
後端が駆動ローラー４８と対向する、所定の排版位置に
到達すると、制御手段７１より指令が送られて図示しな
い移動手段と駆動手段とが作動し、駆動ローラー４８を
回転させると共に下部排版部材４３を版胴１側に移動さ
せる。駆動ローラー４８の外周面が版胴１の外周面上の
マスタと当接したとき版胴１は反時計回り方向に回転し
続けており、駆動ローラー４８と当接してすくい上げら
れたマスタは、下部排版部材４３と上部排版部材４２と
で挟持され、版胴１の外周面より剥離される。剥離され
たマスタは下部排版部材４３と上部排版部材４２とで搬
送され、排版ボックス４４の内部に廃棄された後、圧縮
板５４によって圧縮される。

【００７０】上記排版動作時において、駆動ローラー４
８の外周面が版胴１の外周面上のマスタと当接してから
所定時間以内に、排版された前版のマスタが正常に排版
ボックス４４の内部に廃棄されない場合に排版異常とな
り、操作パネル上の排版異常ランプ６９が点灯すると共
に、制御手段７１によって、駆動ローラー４５，４８、
版胴駆動手段５１の作動が停止される。

【００７１】排版異常が発生して排版異常ランプ６９が
点灯した際には、オペレーターは、操作パネル６８上の
表示を確認しつつ、孔版印刷装置内に止まっている前版
のマスタを装置内より除去する。除去終了後、オペレー
ターがリセットスイッチ７７を投入すると、排版異常ラ
ンプ６９が消灯すると共に、制御手段７１より指令が送
られて版胴駆動手段５１が作動し、版胴１は図１に示す
給版位置に停止する。版胴１が給版位置に停止すると、
図示しない開閉手段が作動してクランパー２を時計回り
方向に回動させ、版胴１は図１に示す給版待機状態とな
る。版胴１が給版待機状態となると、操作パネル６８上
の給版開始ランプ７５が点灯して、排版動作が終了す
る。

【００７２】排版動作と並行して、製版手段４では製版
動作が行われる。この製版動作は、排版動作の異常停止
時にも停止することなく続行される。オペレーターが製
版開始スイッチ５６を投入すると、上記各実施例と同様
に、製版手段４では、マスタ１１ａに対する穿孔製版が
行われる。製版された製版済みマスタ１１ｂは、プラテ
ンローラー１４、送り込み手段７によって、その先端が
送り出し駆動ローラー１９と送り出し従動ローラー２０
とで挟持されるまで搬送される。その後、制御手段７１
からの指令により、送り出し駆動ローラー１９の回転が
停止され、後続部をプラテンローラー１４及びマスタ送
り込み手段７でさらに製版されつつ搬送されることによ
り、製版済みマスタ１１ｂは、その中間部が案内板９上
より上方に向かって凸状に撓み、マスタストック手段６
の開口２２ｄからマスタストック手段６の内部に搬送さ
れる。このとき、制御手段７１からの指令により吸引フ
ァン２５が回転し、製版済みマスタ１１ｂは、マスタス
トック手段６の内部に導入され、マスタストック手段６
の内部に貯留される。製版済みマスタ１１ｂが、案内板
９上よりマスタストック手段６の内部に搬送されると、
撓みセンサー２４がオンすることにより信号を発し、操
作パネル６８上のマスタストックランプ７０が点灯す
る。

【００７３】製版が進行し、プラテンローラー１４を駆
動する図示しない駆動手段に設けられたステッピングモ
ーターのステップ数より、１版分の製版済みマスタ１１
ｂがマスタストック手段６まで搬送されたことを制御手
段７１が判断すると、制御手段７１からの指令により、
プラテンローラー１４、送り込み駆動ローラー１７の作
動がそれぞれ停止されると共に、操作パネル６８上の製
版終了ランプ７６が点灯する。

【００７４】版胴１が給版待機状態となり、給版開始ラ
ンプ７５とマスタストックランプ７０の点灯を確認後、
オペレーターが再び製版開始スイッチ５６を投入する
と、給版動作が開始される。この製版開始スイッチ５６
の再投入時において、既に製版終了ランプ７６が点灯し
ている場合は、給版動作は、第１の実施例における動作
プログラム「１」と同様に進行する。この動作を図１１
に示す。また、製版終了ランプ７６が点灯していない場
合は、給版動作は、第１の実施例における動作プログラ
ム「２」と同様に進行する。この一連の動作を図１２に
示す。

【００７５】この第３の実施例の変形例として、制御手
段７１に代えて、オペレーターが製版開始スイッチ５６
を再投入しなくとも、自動的に給版動作を開始する動作
プログラムを有する他の制御手段を用いてもよい。この
動作プログラムを用いた場合、給版動作は、給版開始ラ
ンプ７５及びマスタストックランプ７０が点灯した直後
に、自動的に開始されるので、オペレーターが製版開始
スイッチを再投入する手間が省け、作業能率が向上す
る。

【００７６】図１３は、本発明の第４の実施例を採用し
た、図１に示した孔版印刷装置の操作パネルを示す図で
ある。同図において、符号７８は操作パネルを示してお
り、この操作パネル７８上には、製版開始スイッチ５
６、印刷開始スイッチ５７、セレクトスイッチからなる
電源投入スイッチ７９、製版済みマスタ１１ｂがマスタ
ストック手段６の内部に貯留されていることを表示する
表示手段としてのマスタストックランプ７０等が配設さ
れている。

【００７７】この孔版印刷装置を使用するにあたり、オ
ペレーターは、先ず電源投入スイッチ７９を操作して電
源を投入する。このとき、既に製版済みマスタ１１ｂが
マスタストック手段６の内部に貯留されている場合は、
撓みセンサー２４から送られる信号によって、マスタス
トックランプ７０が点灯するように構成されている。こ
のように構成することにより、電源投入直後において、
既に製版済みマスタ１１ｂがマスタストック手段６の内
部に貯溜されていることをオペレーターが知らずに、同
じ印刷画像原稿を製版してしまうという不具合が確実に
防止される。

【００７８】上記各実施例及び変形例において、製版手
段４としてサーマルヘッド１３とプラテンローラー１４
とを用いたが、マスタ１１ａを選択的に加熱穿孔するも
のであれば、他の手段を用いてもよい。他の手段として
はレーザー製版、フラッシュ製版等が挙げられる。

【００７９】

【発明の効果】請求項１記載の発明によれば、マスタス
トック手段内に貯留された製版済みマスタを版胴の外周
面に巻装する給版動作を、製版動作終了後、若しくは製
版動作中の何れかに、切替手段によって切り替えるの
で、使用者の使いやすい孔版印刷装置を提供することが
できる。

【００８０】請求項２記載の発明によれば、マスタスト
ック手段内に貯留された製版済みマスタを版胴の外周面
に巻装する給版動作を、製版動作終了後、若しくは製版
動作中におけるマスタの画像領域への製版動作終了後の
何れかに、切替手段によって切り替えるので、使用者の
使いやすい孔版印刷装置を提供することができる。

【００８１】請求項３記載の発明によれば、排版動作中
に不具合が生じて排版動作が停止しても、製版動作は引
き続き行われ、不具合が解除されて排版動作が終了した
後に給版動作を行う際に、マスタストック手段内に貯留
された製版済みマスタがマスタ検知手段によって検知さ
れ、表示手段によって操作パネル上に表示されるので、
不具合を解除した後にマスタストック手段内に貯留され
た製版済みマスタを確認し、給版動作を行うことができ
る。

【００８２】請求項４記載の発明によれば、排版動作中
に不具合が生じて排版動作が停止しても、製版動作は引
き続き行われ、不具合が解除されて排版動作が終了した
後に、マスタストック手段内に貯留された製版済みマス
タは、自動的に版胴の外周面に巻装されるので、オペレ
ーターが操作をすることなく給版動作を行うことがで
き、作業能率が向上する。

【００８３】請求項５記載の発明によれば、電源投入時
に、マスタストック手段内に貯留された製版済みマスタ
がマスタ検知手段によって検知され、表示手段によって
操作パネル上に表示されるので、電源投入直後におい
て、既に製版済みマスタがマスタストック手段の内部に
貯溜されていることをオペレーターが知らずに、同じ印
刷画像原稿を製版してしまうという不具合が確実に防止
される。

【図面の簡単な説明】

【図１】本発明の一実施例を採用した孔版印刷装置要部
の概略側面図である。

【図２】本発明の第１の実施例を採用した孔版印刷装置
の制御構成を示す図である。

【図３】本発明の一実施例を説明するマスタストック手
段周辺部の側断面図である。

【図４】本発明の第１の実施例における動作を説明する
フローチャートである。

【図５】本発明の第１の実施例における動作プログラム
「１」を選択した際の動作を説明するフローチャートで
ある。

【図６】本発明の第１の実施例における動作プログラム
「２」を選択した際の動作を説明するフローチャートで
ある。

【図７】本発明の第２の実施例を採用した孔版印刷装置
の制御構成を示す図である。

【図８】本発明の第２の実施例における動作を説明する
フローチャートである。

【図９】本発明の第２の実施例における動作プログラム
「３」を選択した際の動作を説明するフローチャートで
ある。

【図１０】本発明の第３の実施例を採用した孔版印刷装
置の制御構成を示す図である。

【図１１】本発明の第３の実施例における動作を説明す
るフローチャートである。

【図１２】本発明の第３の実施例における他の動作を説
明するフローチャートである。

【図１３】本発明の第４の実施例を採用した孔版印刷装
置の操作パネルを示す図である。

【符号の説明】

１ 版胴 ４ 製版手段 ５ 切断手段 ６ マスタストック手段 １１ｂ 製版済みマスタ ２４ マスタ検知手段（撓みセンサー） ５３，６１ 切替手段 ５５，６６，６８，７８ 操作パネル ７０ 表示手段（マスタストックランプ）

フロントページの続き (58)調査した分野(Int.Cl.⁶，ＤＢ名) B41L 13/14 B41L 13/04 B41L 13/16

Claims (5)

(57)【特許請求の範囲】
1. 【請求項１】製版済みマスタを一時的に貯留するマスタ
   ストック手段を有し、 排版動作中において、製版手段で製版された前記製版済
   みマスタを前記マスタストック手段内に一時的に貯留す
   ることにより、排版動作と製版動作とを並行して行うこ
   とが可能な孔版印刷装置において、 前記マスタストック手段内に貯留されたマスタを版胴に
   巻装する給版動作が、前記製版動作終了後に行われる第
   １の給版動作と、前記製版動作中に行われる第２の給版
   動作とを含み、前記第１の給版動作と前記第２の給版動
   作とを切り替える切替手段を有することを特徴とする孔
   版印刷装置。
2. 【請求項２】製版済みマスタを一時的に貯留するマスタ
   ストック手段を有し、 排版動作中において、製版手段で製版された前記製版済
   みマスタを前記マスタストック手段内に一時的に貯留す
   ることにより、排版動作と製版動作とを並行して行うこ
   とが可能な孔版印刷装置において、 前記マスタストック手段内に貯留されたマスタを版胴に
   巻装する給版動作が、前記製版動作終了後に行われる第
   １の給版動作と、前記製版動作中における前記マスタの
   画像領域への製版動作終了後に行われる第３の給版動作
   とを含み、前記第１の給版動作と前記第３の給版動作と
   を切り替える切替手段を有することを特徴とする孔版印
   刷装置。
3. 【請求項３】製版済みマスタを一時的に貯留するマスタ
   ストック手段を有し、 排版動作中において、製版手段で製版された前記製版済
   みマスタを前記マスタストック手段内に一時的に貯留す
   ることにより、排版動作と製版動作とを並行して行うこ
   とが可能な孔版印刷装置において、 前記製版済みマスタが前記マスタストック手段内に貯留
   されていることを検知するマスタ検知手段を有し、 前記排版動作に不具合が生じた場合、前記製版動作を中
   止することなく前記製版済みマスタを前記マスタストッ
   ク手段内に貯留し、前記不具合が解除され、前記排版動
   作が終了した場合に前記給版動作を行う際に、前記マス
   タ検知手段より出力された信号を受けて、前記製版済み
   マスタが前記マスタストック手段内に貯留されているこ
   とを操作パネル上に表示する表示手段を有することを特
   徴とする孔版印刷装置。
4. 【請求項４】製版済みマスタを一時的に貯留するマスタ
   ストック手段を有し、 排版動作中において、製版手段で製版された前記製版済
   みマスタを前記マスタストック手段内に一時的に貯留す
   ることにより、排版動作と製版動作とを並行して行うこ
   とが可能な孔版印刷装置において、 前記排版動作終了後に給版動作を行う際に、前記排版動
   作に不具合が生じた場合、前記製版動作を中止すること
   なく前記製版済みマスタを前記マスタストック手段内に
   貯留し、前記不具合が解除され、前記排版動作が終了し
   た場合に、自動的に前記給版動作を行うことを特徴とす
   る孔版印刷装置。
5. 【請求項５】製版済みマスタを一時的に貯留するマスタ
   ストック手段を有し、 排版動作中において、製版手段で製版された前記製版済
   みマスタを前記マスタストック手段内に一時的に貯留す
   ることにより、排版動作と製版動作とを並行して行うこ
   とが可能な孔版印刷装置において、 前記製版済みマスタが前記マスタストック手段内に貯留
   されていることを検知するマスタ検知手段を有し、 前記孔版印刷装置の電源投入時に、前記マスタ検知手段
   より出力された信号を受けて、前記製版済みマスタが前
   記マスタストック手段内に貯留されていることを操作パ
   ネル上に表示する表示手段を有することを特徴とする孔
   版印刷装置。