JP4488150B2 - 建築用パネルの吊り上げ用治具 - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、たとえばプレハブ住宅等のような組立住宅において床パネル等の建築用パネルを敷き込んで所定箇所に設置するにあたって、該パネルを吊り上げるために用いられる建築用パネルの吊り上げ用治具に関する。
【0002】
【従来の技術】
たとえば1階床パネルを、建築現場の資材置き場から順次搬送して、基礎上等の所定箇所に設置するにあたって、該パネルが大型のものであるときにはクレーンで吊り上げることが行われている。このような1階床パネルを水平状態で吊り上げる際には、四方の角部に近接する側端面部分に吊り上げ用治具であるフックが掛け止めされ、これらのフックに連結したロープが束ねられてクレーンによる吊り上げが行われるようになっている。
【0003】
このようなパネルの吊り上げ用治具として従来一般には、内側にくさびを設けたL字状の金具が用いられている。そして、このようなフックとしての金具は、その内側のくさびを、パネル側端面の複数箇所にそれぞれ打ち込んで掛け止めし、この状態でこれらの金具に連結したロープを介して前記パネルが吊り上げられている。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
しかし、上述したような吊り上げ用治具としてのフックは、パネルの側端面にくさびを打ち込む必要があるから、その打ち込みのために取付け時の作業が面倒であるばかりでなく、取り外し時の作業も面倒かつ煩雑であった。特に、パネルを設置位置において、先に設置したパネルに並べてパネルを敷き詰めながら、該フックを取り外すためにくさびを引き抜くことは、作業し難いことが多いものであり、このようなフックの着脱時の作業をワンタッチで行えるような何らの対策を講じることが望まれている。
【0005】
また、上述したような吊り上げ用のフックでは、パネルの側端面にくさびを打ち込むことにより、該パネルが損傷してしまう等の問題もあり、このような点をも解決することが望まれている。
さらに、このようなパネルの吊り上げ用治具は、上述したような1階床パネルには限らず、たとえば2階、3階用の床パネル、屋根パネル、さらには各階用の外壁パネルを組立てるため等においても用いられるものであって、パネル側端面への着脱が容易に行え、吊り上げ時の安全性にも優れ、確実な吊り上げと所要の箇所へのパネル設置が簡単に行えるような吊り上げ用治具の出現が必要とされている。
【0006】
本発明はこのような事情に鑑みてなされたものであり、大型の床パネル等といった建築用パネルを吊り上げるにあたって、該パネルの側端面にワンタッチで取付け、取り外しが可能であり、しかも確実なパネルの吊り上げを行え、さらにパネル等の損傷問題もない建築用パネルの吊り上げ用治具を得ることを目的とする。
【0007】
【課題を解決するための手段】
このような目的に応えるために本発明に係る建築用パネルの吊り上げ用治具は、建築用パネルを吊り上げる際に、該パネル側縁部に掛け止めされる建築用パネルの吊り上げ用治具であって、建築用パネルの側端面に当接される垂直片部と該建築用パネルの上側面に当接される水平片部とによってほぼL字状を呈するとともに、前記垂直片部に建築用パネルの側端面に凹設した係合穴に係入される係合凸部が設けられている治具本体と、この治具本体の垂直片部における前記係合凸部よりも上方位置に回動可能に軸支されるとともに下端が前記係合凸部よりも下方に延びて建築用パネルの側端面の下方位置に当接可能な当接端として形成され、上端が上方に延びて操作端として形成されている操作レバー部とを備え、操作レバー部下端の当接端を、建築用パネルの側端面に円弧面で当接するように形成するとともに、治具本体の水平片部に、建築用パネルを吊り上げるためのロープを連結する連結手段を設けたことを特徴とする。
【0008】
ここで、前記操作レバー部下端の当接端を、たとえば回動可能なローラによって構成するとよい。
【0009】
このような本発明によれば、大型の床パネルをほぼ水平状態で吊り上げるにあたって、該パネル側端縁部分に予め凹設した係合穴に、L字状を呈する治具本体の垂直片部に設けた係合凸部を係入させ、該治具本体をパネル側端面に当接させた状態で、水平片部に設けた連結手段を介してロープをクレーンで吊り上げることにより、該パネルの吊り上げ、設置位置への搬送を行える。そして、該パネルを所要の設置位置に位置決めした状態で設置し、吊り上げ用治具を取り外すことにより、パネルの敷き込みが簡単に行える。このとき、該吊り上げ用治具は、操作レバーをパネル外方に回動操作し、その当接端をパネル側端面に当接させながら、前記係合凸部を係合穴から引き抜くように治具本体を相対的に移動させることにより、簡単かつ確実に行える。
【0010】
【発明の実施の形態】
図1および図2は本発明に係る建築用パネルの吊り上げ用治具の一つの実施の形態を示す斜視図と側面図であり、図3ないし図5はこの吊り上げ用治具の使用状態を説明するための説明図である。
これらの図において、符号1は大型の建築用パネルとしての1階床パネルで、枠材と面材等からなる周知のパネル構造で、予め工場などで組み立てられている。このような1階床パネル1の四方の側端面2のうち、四箇所の角部に近接する部分には、係合穴3が予め凹設して形成されている。
【0011】
10は1階床パネル1を吊り上げる際に該パネル側縁部2に掛け止めされる吊り上げ用治具であり、この吊り上げ用治具10は、ほぼL字状を呈する治具本体11と、この治具本体11の垂直片部12に軸支部13を介して回動可能に設けられた操作レバー部14とから構成されている。
【0012】
前記治具本体11は、前記床パネル1の側端面2に当接される垂直片部12と該床パネル1の上側面4に当接される水平片部15とによってほぼL字状を呈するように形成されるとともに、前記垂直片部12に床パネル1の側端面2に凹設した係合穴3に係入される係合ピン等からなる係合凸部16が設けられている。なお、17は前記水平片部15に支軸17aを介して回動自在に設けられ、図示しないクレーンにロープ18を介して連結される連結手段である連結バー、17bは連結バー17にロープ18を連結する連結金具である。また、図中15aは、前記水平片部15の床パネル1の上側面4への当接面に設けた当て板で、この当て板15aにより、前記操作レバー部14の操作時に水平片部15はパネル外方に向かってスライド動作可能になっている。
【0013】
前記操作レバー部14は、この治具本体11の垂直片部12における前記係合凸部16よりも上方位置で軸支部13により回動可能に軸支されるとともに下端が前記係合凸部16よりも下方に延びて床パネル1の側端面2の下方位置に当接可能な当接端20として形成され、上端が上方に延びて操作端19として形成されている。ここで、この実施の形態では、上述した当接端20を該レバー部14の下端に回動可能に設けたローラによって構成している。
【0014】
このような構成によれば、大型の床パネル1をほぼ水平状態で吊り上げるにあたって、図2に示すように、該パネル側端縁2に予め凹設した係合穴3に、L字状を呈する治具本体11の垂直片部12に設けた係合凸部16を係入させ、該治具本体11をパネル側端面2に当接させた状態で、水平片部15に設けた連結バー17を介してロープ18を図3に示すようにクレーン(図示せず)で吊り上げることにより、該パネル1の吊り上げ、設置位置への搬送を行える。
なお、図3において5は建物の基礎(布基礎等)であり、その上部に他の床パネルとともに順次並べて敷き込まれるものである。
【0015】
そして、該パネル1を所要の設置位置に位置決めした状態で設置し、図4、図5に示すように、吊り上げ用治具10を取り外すことにより、パネル1の敷き込みが簡単に行える。このとき、該吊り上げ用治具10は、操作レバー部14の操作端19を作業者が手でパネル外方に回動操作し、その当接端20をパネル側端面2に当接させながら、前記係合凸部16を係合穴3から引き抜くように治具本体11をパネル外方に向かってスライド移動させることにより、簡単に外れて取り外すことができる。これは、当接端20、治具本体11への軸支部13、操作端19等の位置関係から容易に理解されよう。
【0016】
したがって、このような構成による吊り上げ用治具10によれば、大型の床パネル1等といった建築用パネルを吊り上げるにあたって、該パネル1の側端面2へのワンタッチでの取付け、取り外しが可能であり、しかも確実で安定したパネル1の水平状態での吊り上げを行えるから、その利点は大きい。また、このような吊り上げ用治具10は、予め設けた係合穴3への係合凸部16の係入だけでよいから、従来のようなくさびの打ち込みとは異なり、パネル1等の損傷問題を生じることもない。
【0017】
なお、本発明は上述した実施の形態で説明した構造には限定されず、各部の形状、構造等を適宜変形、変更し得ることはいうまでもない。たとえば上述した実施の形態では、操作レバー部14の下端に当接端20としてローラを回動可能に設けているが、これに限らず、円弧面などでパネル側端面2に当接する用に構成してもよい。
さらに、パネル側端面2に設けた係合穴3やこれに係入される係合凸部16としても、単純なピン係合に限らず、適宜の形状をもつ係合部と係合穴形状を採用できることは言うまでもない。
【0018】
また、上述した実施の形態では、大型の1階床パネル1を施工する際に用いる吊り上げ用治具である場合を説明したが、本発明はこれに限らず、種々の建築物を施工する際において、大型のパネルを水平状態で吊り上げる際に用いることができることは言うまでもない。このような建築用パネルとしては、上述した1階床パネル1に限らず、2階、3階用の床パネルは勿論、屋根パネル、さらには1階、2階、3階用の壁パネル等であってもよい。
【0019】
【発明の効果】
以上説明したように本発明に係る建築用パネルの吊り上げ用治具によれば、たとえば大型の床パネル等といった建築用パネルを吊り上げて施工するにあたって、該パネル側端面の所定箇所にワンタッチで取付けることができる。しかも、その状態では、治具本体の水平片部をロープを介してクレーンで吊り上げることにより、該パネルの確実で安定した吊り上げが行える。
【0020】
また、パネル側端面に設けた係合穴に治具本体の垂直片部に設けた係合凸部を係入させるだけで吊り上げが行えるから、従来のようにくさびの打ち込みでパネルが損傷される等の不具合もない。
【図面の簡単な説明】
【図1】 本発明に係る建築用パネルの吊り上げ用治具の一つの実施の形態を示し、使用状態の概略斜視図である。
【図2】 図1の建築用パネルの吊り上げ用治具を示す概略側面図である。
【図3】 建築用パネルの吊り上げ用治具を使用して1階床パネルを施工するときの状態を説明するためのパネル吊り上げ状態の概略斜視図である。
【図4】 図3により1階床パネルを基礎上に設置した後の状態を示す概略斜視図である。
【図5】 図3、図4により吊り上げて設置した1階床パネルの状態を説明するための概略斜視図である。
【符号の説明】
1…1階床パネル(建築用パネル)、2…側端面、3…係合穴、4…上側面、10…吊り上げ用治具、11…治具本体、12…垂直片部、13…軸支部、14…操作レバー部、15…水平片部、15a…当て板、16…係合凸部(係合ピン)、17…連結バー(連結手段)、18…ロープ、19…操作端、20…ローラによる当接端。

Claims (2)

  1. 建築用パネルを吊り上げる際に、該パネル側縁部に掛け止めされる建築用パネルの吊り上げ用治具であって、
    前記建築用パネルの側端面に当接される垂直片部と該建築用パネルの上側面に当接される水平片部とによってほぼL字状を呈するとともに、前記垂直片部に前記建築用パネルの側端面に凹設した係合穴に係入される係合凸部が設けられている治具本体と、
    この治具本体の垂直片部における前記係合凸部よりも上方位置に回動可能に軸支されるとともに下端が前記係合凸部よりも下方に延びて前記建築用パネルの側端面の下方位置に当接可能な当接端として形成され、上端が上方に延びて操作端として形成されている操作レバー部とを備え、
    前記操作レバー部下端の当接端を、前記建築用パネルの側端面に円弧面で当接するように形成するとともに、
    前記治具本体の水平片部に、建築用パネルを吊り上げるためのロープを連結する連結手段を設けたことを特徴とする建築用パネルの吊り上げ用治具。
  2. 請求項1記載の建築用パネルの吊り上げ用治具において、
    前記操作レバー部下端の当接端を、回動可能なローラによって構成したことを特徴とする建築用パネルの吊り上げ用治具。
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