JP4484293B2 - インクジェット式記録装置 - Google Patents

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【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、ノズル開口からインク滴を吐出する記録ヘッドを備え、この記録ヘッドを主走査方向に移動させて記録を行うインクジェット式記録装置に関する。
【0002】
【従来の技術】
インクジェット式記録装置としてインクジェット式プリンタやインクジェット式プロッタ等がよく知られている。このようなインクジェット式記録装置では、記録ヘッドを、待機位置から主走査方向に移動させると共に、この移動に同期させてインク滴の吐出を行い、さらに、この主走査方向とは直交する副走査方向に記録紙を紙送りすることで記録紙上に文字や画像を記録する。
【0003】
この記録装置に用いられる記録ヘッドとしては、発熱素子や圧電振動子等の圧力発生素子を使用した記録ヘッドがある。この記録ヘッドでは、ノズル開口でインクが表面張力により保持されており、そのインクの自由表面であるメニスカスが空気に晒されているため、水等のインク溶媒が徐々に蒸発すると、メニスカスの近傍でインクの粘度が増してしまい、このインクの増粘に伴う画質の低下が問題となっている。
【0004】
そこで、記録装置では、ノズル開口付近でのインクの増粘を防止するためにメンテナンス動作を行っている。このメンテナンス動作としては、例えば、主走査の始動時にインクを強制的に排出するフラッシング動作や、この始動時にノズル開口のメニスカスを微振動させる微振動動作が行われている。また、圧力発生素子を作動させるための駆動信号に上記のメニスカスを微振動させるための微振動パルスを含ませ、インク滴を吐出しないノズル開口については、この微振動パルスを圧力発生素子に供給することで、主走査中にも微振動動作を行わせるようにしたものもある。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
ところで、大判の記録紙にも記録を行えるようにした大型の記録装置では、待機位置から遠い側の端部領域における画質を保証すべく、始動時のメンテナンス動作を単位走査(1回の主走査)毎に行っている。しかし、B0判等の極めて大きい記録紙を用いた場合には、記録ヘッドの主走査方向への移動距離が長くなる。そして、単位走査における初回のインク吐出が待機位置から遠い側の端部領域で行われる場合には、メンテナンス動作の終了時点からインク滴を吐出するまでの期間が長くなり、この間のインク溶媒の蒸発により、ノズル開口付近のインクが増粘してしまう虞がある。そして、ノズル開口付近のインクが増粘した状態で少量のインク滴を吐出させると、このインク滴の大きさや軌道が乱れ、記録紙上に着弾させたドットの形状や位置がばらついて画質が低下するという問題が生じる。
【0006】
一方、駆動信号に微振動パルスを含ませて主走査中にも微振動動作を行わせるようにしたものでは、大型の記録装置であっても、上記の端部領域における画質の低下は防止できる。しかしながら、微振動パルスを含ませた分だけ駆動信号における印刷周期(即ち、1ドットを記録するための繰り返し周期)が長くなってしまう。このため、記録ヘッドの走査速度を高めることが難しく、印刷時間の短縮化が困難となってしまう。
【0007】
本発明は、このような事情に鑑みてなされたものであり、待機位置から遠い側の端部領域での画質を改善しつつも、印刷時間の短縮化が図れるインクジェット式記録装置を提供することを目的とする。
【0008】
【課題を解決するための手段】
本発明は、上記目的を達成するために提案されたものであり、請求項1に記載のものは、圧力発生素子の作動によってノズル開口からインク滴を吐出する記録ヘッドと、当該記録ヘッドを待機位置から主走査方向に移動させるヘッド走査機構と、圧力発生素子を作動させるための駆動信号を発生する駆動信号発生手段と、ドット毎の印字データに基づき記録ヘッドへの駆動信号の供給を制御してインク滴を吐出させる吐出制御手段とを備えたインクジェット式記録装置において、
前記吐出制御手段は、
記録ヘッドの主走査に先立ってインク滴の非吐出期間をノズル開口毎に取得する非吐出期間取得手段と、
該非吐出期間が所定期間以上であったことを条件に、当該非吐出期間経過後の少なくとも初回の吐出動作におけるインク吐出量を、印字データで規定された所定量よりも多く設定する吐出量変更手段と、を有し、
前記吐出量変更手段は、更に、前記ノズル開口から吐出されるインクが淡色系のインクであった場合にはインク滴の増量を行わないことを特徴とするインクジェット式記録装置である。
【0009】
請求項2に記載のものは、前記非吐出期間取得手段は、主走査の開始時点から初回のインク滴の吐出時点までの経過時間を、インク滴の非吐出期間として取得することを特徴とする請求項1に記載のインクジェット式記録装置である。
【0010】
請求項3に記載のものは、前記非吐出期間取得手段は、1回の主走査における先のインク滴の吐出時点から後のインク滴の吐出時点までの経過時間を、インク滴の非吐出期間として取得することを特徴とする請求項1又は請求項2に記載のインクジェット式記録装置である。
【0011】
請求項4に記載のものは、圧力発生素子の作動によってノズル開口からインク滴を吐出する記録ヘッドと、当該記録ヘッドを待機位置から主走査方向に移動させるヘッド走査機構と、圧力発生素子を作動させるための駆動信号を発生する駆動信号発生手段と、ドット毎の印字データに基づき記録ヘッドへの駆動信号の供給を制御してインク滴を吐出させる吐出制御手段とを備えたインクジェット式記録装置において、
前記待機位置から遠い側の端部領域に吐出量変更領域を設定し、
吐出制御手段は、吐出量変更領域内で吐出されるインク滴について、印字データで規定されたインク吐出量が所定量未満であったことを条件に、このインク吐出量を増量する吐出量変更手段を有することを特徴とするインクジェット式記録装置である。
【0012】
請求項5に記載のものは、前記駆動信号発生手段は、それぞれが異なる量のインク滴を吐出させる複数の駆動パルスを一連に接続した駆動信号を発生し、
吐出量変更手段は、圧力発生素子に供給する駆動パルスを、印字データで規定された駆動パルスよりも吐出量が多い駆動パルスに変更することによりインク吐出量を増やすことを特徴とする請求項1から請求項4の何れかに記載のインクジェット式記録装置である。
【0013】
請求項6に記載のものは、前記駆動信号発生手段は、それぞれが同じ量のインク滴を吐出させる複数の駆動パルスを一連に接続した駆動信号を発生し、
吐出量変更手段は、圧力発生素子への駆動パルスの供給数を、印字データで規定された供給数よりも増やすことによりインク吐出量を増やすことを特徴とする請求項1から請求項4の何れかに記載のインクジェット式記録装置である。
【0014】
請求項7に記載のものは、前記駆動信号発生手段は、所定量のインク滴を吐出させる駆動パルスを含んだ駆動信号を発生し、
吐出量変更手段は、圧力発生素子に供給する駆動パルスの波高値を高めることによりインク吐出量を増やすことを特徴とする請求項1から請求項4の何れかに記載のインクジェット式記録装置である。
【0015】
請求項8に記載のものは、前記記録ヘッドの待機時間を計測する待機時間計測手段を設け、
吐出量変更手段は、記録ヘッドの待機時間が所定時間以上のとき、インク吐出量をさらに増やすことを特徴とする請求項1から請求項7の何れかに記載のインクジェット式記録装置である。
【0016】
請求項9に記載のものは、前記吐出量変更手段は、ノズル開口から吐出されるインクが淡色系のインクであった場合にはインク滴の増量を行わないことを特徴とする請求項1から請求項8の何れかに記載のインクジェット式記録装置である。
【0017】
ここで、「淡色系のインク」とは、例えば、イエロー,ライトシアン,ライトマゼンタなどの淡い色のインクのことである。
【0018】
【発明の実施の形態】
以下、本発明のインクジェット式記録装置の実施形態を図面に基づいて説明する。ここで、図1は、代表的なインクジェット式記録装置であるインクジェット式プリンタ1の斜視図である。例示したインクジェット式プリンタ1(以下、プリンタ1と呼ぶ)は、複数のインクカートリッジ2(2K,2C,2M,2Y)を保持するカートリッジホルダ部3及び記録ヘッド4を有するキャリッジ5を備えている。このキャリッジ5は、ハウジング11に架設したガイド部材6に対して移動可能に取り付けられており、ヘッド走査機構によりこのガイド部材6に沿って(つまり、主走査方向に沿って)往復移動される。
【0019】
ヘッド走査機構は、ハウジング11の左右一端部に設けたパルスモータ7と、このパルスモータ7の回転軸に接続した駆動プーリー8と、ハウジング11の左右他端部に設けた遊転プーリー9と、駆動プーリー8と遊転プーリー9との間に架け渡されると共にキャリッジ5に接続されたタイミングベルト10と、パルスモータ7の回転を制御するプリンタコントローラ44(図3参照)等を備えて構成してある。即ち、このヘッド走査機構は、パルスモータ7を動作させることにより、キャリッジ5、つまり記録ヘッド4を、印刷記録媒体の一種である記録紙12の幅方向に往復移動させる。また、プリンタ1は、記録紙12を主走査方向とは直交する副走査方向に送り出す紙送り機構を備えている。この紙送り機構は、紙送りモータ13及び紙送りローラ14等から構成されており、記録ヘッド4の主走査に連動させて記録紙12を順次送り出す。なお、これらのヘッド走査機構と紙送り機構は、例えば、B0判程度の大判の記録紙12に対応する構成とされる。
【0020】
キャリッジ5(記録ヘッド4)の移動範囲内であって記録領域よりも外側の端部領域には、本願発明における待機位置である待機ポジションとホームポジションとを設定してあり、当該位置の下側には、記録ヘッド4のノズルプレート28(図2参照)を封じるキャップ部材15等を設けている。このキャップ部材15は、ゴム等の弾性部材であって略四角形の上面中央に窪みを持つトレー形状に形成してあり、窪みの内側にはフェルト等の保湿材を取り付けてある。従って、キャップ部材15によりノズルプレート28を封止することで、キャップ内部が高湿度に保たれ、ノズル開口25からのインク溶媒の蒸発が防止される。そして、図5に示すように、ホームポジションはヘッド移動範囲の最も端部に設定されており、待機ポジションはホームポジションよりも記録領域側に隣り合わせて設定されている。
【0021】
ホームポジションは、長時間に亘って記録が行われない場合や電源オフ時において記録ヘッド4を位置付ける場所であり、ホームポジションに位置した記録ヘッド4には、図6(D)に示すように、前述したキャップ部材15がノズルプレート28に押し当てられて、ノズル開口25を封止する。
【0022】
待機ポジションは、記録ヘッド4を主走査する際の起点となる位置である。即ち、記録ヘッド4は、通常、この待機ポジションで待機しており、記録動作に際して待機ポジションから記録領域側へ移動され、記録動作の終了に伴って待機ポジションに戻される。この待機ポジションには、インク受け部材を配設する。このインク受け部材は、フラッシング動作において記録ヘッド4から吐出されたインクを回収するための部材であり、本実施形態ではキャップ部材15により構成している。即ち、キャップ部材15は、通常、図6(A)に示すように、待機ポジション側であって、記録ヘッド4よりも少し下側に配置される。そして、記録ヘッド4のホームポジションへの移動に伴い、図6(D)に示すように、ホームポジション側へと移動され、このホームポジションでノズルプレート28に押し当てられてノズル開口25を封止する。なお、本実施形態では、待機ポジションと記録領域との間に加速領域を設定してある。この加速領域は、記録ヘッド4を所定の走査速度まで加速させるための領域である。
【0023】
次に、記録ヘッド4の構造について説明する。例示した記録ヘッド4は、図2に示すように、箱体状のケース21の先端面に流路ユニット22を接合している。そして、ケース内部の収容室26に収納した振動子ユニット23によって流路ユニット22内の圧力室24に圧力変動を生じさせて、ノズル開口25からインク滴を吐出する構成である。ケース21は、上記収容室26が内部に形成されたブロック状の部材であり、例えば樹脂材を成型することで作製される。そして、収容室26は、流路ユニット22との接合面側の開口から反対面まで連なっている。流路ユニット22は、流路基板27の一方の面にノズルプレート28を、流路基板27の他方の面に振動板29をそれぞれ接合した構成とされる。
【0024】
流路基板27は、例えば、シリコンウエハーにエッチング加工を施すなどによって所定パターンに区画された板状の部材であり、各ノズル開口25…と連通する複数の圧力室24…、共通インク室31、及び、共通インク室31と各圧力室24とを連通する複数のインク供給路32…が適宜に形成されている。なお、共通インク室31には、インク供給管33と接続される接続口が設けられており、インクカートリッジ2に蓄えられたインクがインク供給管33を通じて共通インク室31に供給される。
【0025】
ノズルプレート28には、ドット形成密度に対応したピッチで複数のノズル開口25…が列状に開設されている。そして、記録ヘッド4は、ノズル開口25…の列(ノズル列)が副走査方向に対して略平行に配置されるように取り付けられている。
【0026】
振動板29は、ステンレス板35にPPS膜等の弾性体膜36を積層した二重構造を採り、各圧力室24に対応する部分はステンレス板35側が環状にエッチング加工されて、環内にアイランド部37が形成されている。
【0027】
振動子ユニット23は、本願発明の圧力発生素子の一種である圧電振動子40と、この圧電振動子40の基端部分が接合される固定基板41とから構成されている。圧電振動子40は、圧電体と電極層とを交互に積層した一枚の圧電振動子板に、流路ユニット22の各圧力室24…に対応した所定ピッチでスリット部を形成することにより櫛歯状に形成される。この振動子ユニット23は、圧電振動子40の先端が開口から臨む姿勢でケース21の収容室26内に挿入され、固定基板41を収容室26の内壁へ固着させることにより収容される。この収容状態において、圧電振動子40の各先端は、振動板29の対応するアイランド部37に固着される。
【0028】
各圧電振動子40は、対向する電極間に電位差を与えることにより、積層方向と直交する素子長手方向に伸縮し、圧力室24を区画する弾性体膜36を変位させる。即ち、この記録ヘッド4では、圧電振動子40を素子長手方向に伸長させることにより、アイランド部37がノズルプレート28側へ押され、アイランド部37周辺の弾性体膜36が変形して圧力室24が収縮する。また、圧電振動子40を素子長手方向に収縮させると、弾性体膜36の変位により圧力室24が膨張する。この圧力室24の膨張,収縮に伴って圧力室24内の充填インクに圧力変動が生じ、ノズル開口25からインク滴が吐出される。
【0029】
そして、本実施形態では、この記録ヘッド4は、異なる複数種類の色を吐出するカラー記録用に構成している。即ち、ノズルプレート28には、ノズル開口25の列(ノズル列)を複数設けてあり、これらの各ノズル列に対応させて圧力室24…や振動子ユニット23等の構成要素を複数組設けている。また、カートリッジホルダ部3には、図1に示すように、ブラックインクを貯留したブラックインクカートリッジ2K、シアンインクを貯留したシアンインクカートリッジ2C、マゼンタインクを貯留したマゼンタインクカートリッジ2M、及び、イエローインクを貯留したイエローインクカートリッジ2Yからなる複数のインクカートリッジを装着している。
【0030】
次に、プリンタ1の電気的構成について説明する。このプリンタ1は、図3に示すように、プリンタコントローラ44と、プリントエンジン45等を備えている。
【0031】
まず、プリンタコントローラ44について説明する。このプリンタコントローラ44は、図示しないホストコンピュータ等からの各種データを受信するインターフェイス46(以下、外部I/F46という)と、各種データを一時的に記憶するRAM47と、制御プログラム等を記憶したROM48と、CPU等を含んで構成した制御部49と、クロック信号を発生する発振回路50と、記録ヘッド4の圧電振動子40へ供給するための駆動信号COMを発生する駆動信号発生回路51と、ドット毎に展開された印字データや駆動信号COM等をプリントエンジン45に送信するインターフェイス52(以下、内部I/F52という)等を備えている。
【0032】
外部I/F46は、例えばキャラクタコード,グラフィック関数,イメージデータ等によって構成される印刷データを、ホストコンピュータ等から受信する。また、この外部I/F46を通じてビジー信号(BUSY)や、アクノレッジ信号(ACK)がホストコンピュータ等に対して出力される。
【0033】
RAM47は、受信バッファ,中間バッファ,出力バッファ及び図示しないワークメモリとして機能する。そして、受信バッファは外部I/F46を介して受信した印刷データを一時的に記憶し、中間バッファは制御部49が変換した中間コードデータを記憶し、出力バッファはドット(画素)毎の印字データ(ドットパターンデータ)を記憶する。
【0034】
この印字データは、例えば、印刷データに含まれる階調データをデコードすることにより得られ、図4に示す駆動信号COMから駆動パルスDP1,DP2,DP3を選択するための選択信号となっている。本実施形態では、1ドット分の印字データを3ビットデータ(D1,D2,D3)で構成してあり、最上位ビットD1が中ドット駆動パルスDP1の選択ビット,2番目のビットD2が小ドット駆動パルスDP2の選択ビット,最下位ビットD3が大ドット駆動パルスDP3の選択ビットに設定されている。
【0035】
ROM48には、各種データ処理を行わせるための制御プログラム(制御ルーチン),フォントデータ,グラフィック関数等を記憶させてある。また、このROM48には、記録ヘッド4のメンテナンス動作を行わせるための各種の設定データも記憶させてある。
【0036】
制御部49は、プリンタ1の動作を制御するものであり、本願発明における吐出制御手段としても機能する。つまり、制御部49は、ドット毎の印字データに基づき記録ヘッド4への駆動信号COMの供給を制御する。
【0037】
この制御部49は、受信バッファ内の印刷データを読み出し、この読み出した印刷データを変換して得た中間コードデータを中間バッファに記憶させる。また、中間バッファから読み出した中間コードデータを解析し、ROM48に記憶されているフォントデータ及びグラフィック関数等を参照してドット毎の印字データに展開する。そして、展開した印字データに必要な装飾処理を施し、この装飾処理後の印字データを出力バッファに記憶させる。
【0038】
そして、1回の主走査である単位走査に必要な印字データが得られたならば、制御部49は、本願発明の非吐出期間取得手段として機能し、記録ヘッド4の主走査に先立って、インク滴を吐出しない期間である非吐出期間を、印字データから取得する。非吐出期間を取得したならば、制御部49は、本願発明の吐出量変更手段として機能し、非吐出期間が所定期間以上であるノズル開口について、非吐出期間経過後の少なくとも初回の吐出動作におけるインク吐出量を、印字データで規定された所定量よりも多く設定する。なお、非吐出期間の取得、並びに、インク吐出量の変更については、後で詳しく説明する。
【0039】
こうして必要な設定が終了したならば、単位走査分の印字データを出力バッファから内部I/F52を通じて順次に記録ヘッド4の電気駆動系39に出力し、この出力に同期させてキャリッジ5を移動させて単位走査分の印刷を行う。出力バッファから単位走査分の印字データが出力されると、展開済みの中間コードデータは中間バッファから消去され、次の単位走査に係わる中間コードデータの展開処理が行われる。
【0040】
駆動信号発生回路51は、本願発明の駆動信号発生手段として機能するものであり、本実施形態では、それぞれが異なる量のインク滴を吐出させる複数の駆動パルスを一連に並べた駆動信号COMを発生する。即ち、図4に示すように、所定の印刷周期T内に、中ドット駆動パルスDP1,小ドット駆動パルスDP2,大ドット駆動パルスDP3の順で一連に並べた信号を生成する。この印刷周期Tは、1ドットを記録するための設定時間であり、記録動作(主走査)における同期合わせの基本タイミングとなる。上記の小ドット駆動パルスDP2は、小ドットを形成し得るインク滴をノズル開口25から吐出させる波形である。中ドット駆動パルスDP1は、中ドットを形成し得るインク滴をノズル開口25から吐出させる波形である。大ドット駆動パルスDP3は、大ドットを形成し得るインク滴をノズル開口25から吐出させる波形である。
【0041】
次に、プリントエンジン45について説明する。このプリントエンジン45は、ヘッド走査機構の一部を構成するパルスモータ7と、紙送り機構の一部を構成する紙送りモータ13と、記録ヘッド4の電気駆動系39等を備えている。記録ヘッド4の電気駆動系39は、シフトレジスタ回路54,ラッチ回路55,レベルシフタ回路56,スイッチ回路57,及び圧電振動子40を備え、これらを順に接続した回路構成とされる。そして、これらのシフトレジスタ回路54,ラッチ回路55,レベルシフタ回路56,スイッチ回路57は、各圧電振動子40…に対応させて複数設けられている。
【0042】
記録ヘッド4は、プリンタコントローラ44から電気駆動系39に送られた印字データに基づき、インク量が異なるインク滴を適宜に吐出する。即ち、インク滴の吐出制御において、制御部49は、まず、発振回路50からのクロック信号CLKに同期して、1番目のドットの印字データにおける最上位ビットのデータD1を出力バッファからシリアル伝送させ、シフトレジスタ回路54…に順次にセットさせる。
【0043】
全てのノズル開口25…分の最上位ビットのデータD1がシフトレジスタ回路54…にセットされたならば、制御部49は、所定のタイミングでラッチ回路55…へラッチ信号LATを出力する。このラッチ信号LATにより、ラッチ回路55…は、シフトレジスタ回路54…にセットされたデータD1をラッチする。このラッチしたデータD1は、電圧増幅器であるレベルシフタ回路56…に供給される。
【0044】
レベルシフタ回路56…は、セットされたデータD1が例えば「1」の場合に、スイッチ回路57…が駆動可能な電圧値、例えば、数十ボルトまでこのデータを昇圧する。この昇圧したデータD1はスイッチ回路57…に印加され、この昇圧データによりスイッチ回路57…が導通状態になる。一方、セットされたデータD1が例えば「0」の場合には、対応するレベルシフタ回路56…は昇圧を行わない。そして、スイッチ回路57…には駆動信号発生回路51からの駆動信号COMも印加されており、スイッチ回路57…が導通状態になると、駆動信号COMの中ドット駆動パルスDP1が選択されて圧電振動子40…に供給される。
【0045】
続いて、制御部49は、印字データにおける2番目のビットD2をシリアル伝送させてシフトレジスタ回路54…にセットする。そして、シフトレジスタ回路54…にデータD2がセットされたならば、ラッチ信号LATを出力することにより、この2番目のデータD2をラッチ回路にラッチさせ、駆動信号COMの小ドット駆動パルスDP2を選択的に圧電振動子40…に供給させる。
【0046】
続いて、制御部49は、印字データにおける最下位ビットD3をシリアル伝送させてシフトレジスタ回路54…にセットする。そして、シフトレジスタ回路54…にデータD3がセットされたならば、ラッチ信号LATを出力することにより、この最下位ビットのデータD3をラッチ回路にラッチさせ、駆動信号COMの大ドット駆動パルスDP3を選択的に圧電振動子40…に供給させる。
【0047】
上記のようにして1番目のドットを記録したならば、以後、2番目以降のドットについて同様な動作を繰り返し実行する。
【0048】
このように、例示した記録ヘッド4では、圧電振動子40に駆動信号COMを印加するか否かを、制御部49からの印字データによって制御できる。即ち、印字データ(D1,D2,D3)を、D1=1,D2=0,D3=0に設定すると、中ドット駆動パルスDP1のみが圧電振動子40に印加されて、ノズル開口25からは中インク滴が吐出される。また、印字データをD1=0,D2=1,D3=0に設定すると、小ドット駆動パルスDP2のみが圧電振動子40に印加されて、ノズル開口25からは小インク滴が吐出される。また、印字データをD1=0,D2=0,D3=1に設定すると、大ドット駆動パルスDP3のみが圧電振動子40に印加されて、ノズル開口25からは大インク滴が吐出される。
【0049】
このように、圧電振動子40に印加する駆動パルスを選択することで、量が異なる複数種類のインク滴を同一のノズル開口25から吐出させることができ、バリアブルドットによる記録を行うことができる。
【0050】
次に、プリンタ1の動作について説明する。電源が投入されると必要な初期化動作が行われ、この後記録ヘッド4は、待機ポジションで待機する〔図6(A)〕。また、プリンタコントローラ44は、パソコン等のホストコンピュータからの印刷データを待つ。印刷データを受信したならば、制御部49(吐出制御手段)は、この印刷データをドット毎の印字データに展開してRAM47の出力バッファに記憶させる。単位走査に必要な印字データが得られたならば、制御部49(非吐出期間取得手段)は、インク滴を吐出しない期間である非吐出期間をノズル開口25毎に取得する。
【0051】
本実施形態において、ノズル開口25毎の非吐出期間は、上記したように、RAM47の出力バッファに記憶させたドット毎の印字データに基づいて取得する。つまり、このドット毎の印字データは、記録紙12における記録領域に対応しており、また、各ドットを形成するインク滴の吐出動作は単位走査における記録ヘッド4の移動に同期してなされている。さらに、記録領域内における記録ヘッド4の移動速度は一定速度であるため、印字データ同士の間隔(つまりドット同士の間隔)は、単位走査における時間と見なすことができる。
【0052】
そこで、制御部49は、印字データの配列から初回の吐出を行う印字データ(初回吐出データ)を各ノズル開口25…毎に取得し、取得した初回吐出データまでの間隔、言い換えれば、主走査の開始時点から初回のインク滴の吐出時点までの経過時間を、インク滴の非吐出期間として取得する。さらに、制御部49は、印字データの配列から隣り合う吐出データ同士の間隔を各ノズル開口25…毎に取得し、先の吐出データから後の吐出データまでの間隔、言い換えれば、1回の主走査における先のインク滴の吐出時点から後のインク滴の吐出時点までの経過時間を、インク滴の非吐出期間として取得する。
【0053】
インク滴の非吐出期間を取得したならば、制御部49(非吐出期間判定手段)は、所定期間以上の非吐出期間の有無を判定する。ここで、所定期間以上の非吐出期間があると判定された場合には、制御部49(吐出量変更手段)は、所定期間以上の非吐出期間の経過後において最初に吐出されるインク滴の量を、印字データで規定されるたインク量よりも多く設定する。
【0054】
このインク吐出量の増量は、例えば、印字データの書き換えにより行う。つまり、圧電振動子40に供給する駆動パルスを、印字データで規定された駆動パルスよりも吐出量が多い駆動パルスに変更することにより行う。例えば、書き換え対象となる印字データが小ドット駆動パルスDP2を指示しているとき、つまり、D1=0,D2=1,D3=0のときは、この印字データを、中ドット駆動パルスDP1の印字データ(D1=1,D2=0,D3=0)、或いは、大ドット駆動パルスDP3の印字データ(D1=0,D2=0,D3=1)に書き換える。
【0055】
そして、本実施形態では、印字データの書き換え条件を2段階に設定してある。例えば、図7に示すように、非吐出期間が第1の所定時間T1以上であって第2の所定時間T2未満のときは、書き換え対象となる元の印字データが小ドット駆動パルスDP2の印字データであった場合のみ、この印字データを中ドット駆動パルスDP1の印字データに書き換える。さらに、非吐出期間が第2の所定時間T2以上のときは、元の印字データが小ドット駆動パルスDP2の印字データ、或いは、中ドット駆動パルスDP1の印字データであった場合に、この印字データを書き換え対象として大ドット駆動パルスDP3に書き換える。なお、元の印字データが大ドット駆動パルスDP3の印字データであった場合には、書き換えは行わないでこの印字データを使用する。これは、大ドットのインク滴は、ノズル開口付近のインクが多少増粘していても、この増粘によるインク量や飛行軌跡のばらつきが少ないためである。こうして必要な印字データを書き換えたならば、制御部49は、書き換え後の印字データを出力バッファから記録ヘッド4の電気駆動系39に出力する。
【0056】
そして、単位走査分の印字データ配列がRAM47の出力バッファから出力されると、記録ヘッド4は、待機ポジションから記録領域側へと移動を開始する〔図6(B)〕。ここで、制御部49は、記録ヘッド4のインク滴の吐出能力を維持するために、記録動作に先立ってメンテナンス動作を指示する。このメンテナンス動作には、例えば、フラッシング動作と微振動動作とがあり適宜に選択される。
【0057】
このようにしてメンテナンス動作がなされた後に、印字データに基づく記録動作(単位走査)が記録領域で行われる。この単位走査では、所定期間以上に亘ってインク滴を吐出しないノズル開口25に関し、この非吐出期間経過後の初回の吐出動作におけるインク吐出量を、印字データで規定された吐出量よりも増やしている。このように、単位走査中の非吐出期間が所定期間以上であった場合、つまり、そのノズル開口25のメニスカス部分でインクの増粘が懸念される場合には、この非吐出期間経過後における最初のインク滴の吐出時にインク滴が増量される。
【0058】
これにより、ノズル開口近傍でインクの増粘が生じていたとしても、インク吐出量が増やされているので、この増粘インクに起因するインク滴の大きさのばらつきや軌道の乱れを少なく抑えることができる。その結果、待機位置から遠い側の端部領域での画質を改善することができる。さらに、主走査中に微振動動作を行わなくても済むので、駆動信号COMには微振動動作のための駆動パルスを含ませる必要がなくなる。このため、駆動信号COMにおける印刷周期Tを短くすることができ、記録ヘッド4を高速で走査することができる。その結果、印刷時間の短縮化を図ることができる。
【0059】
なお、本実施形態でのインク滴の増量は、所定期間以上と判定された非吐出期間が経過した後において、最初に吐出されるインク滴を対象としているが、これに限定されるものではない。例えば、初回に吐出されるインク滴から数回目に吐出されるインク滴までを増量の対象にしてもよい。
【0060】
ところで、上記の第1実施形態では、駆動信号発生回路51に、それぞれが異なる量のインク滴を吐出させる複数の駆動パルスDP1,DP2,DP3を一連に接続した駆動信号COMを発生させ、制御部49は、圧電振動子40に供給する駆動パルスを、印字データで規定された駆動パルスよりも吐出量が多い駆動パルスに変更することで吐出量を増やしているが、本発明は、この構成に限定されるものではない。例えば、所定量のインク滴を吐出させる駆動パルスを複数一連に接続した駆動信号を駆動信号発生回路51から発生させ、圧電振動子40への駆動パルスの供給数を、印字データで規定された供給数よりも多く設定することで、吐出量を増やすようにしてもよい。以下、このように構成した第2実施形態について説明する。
【0061】
ここで、図8は、第2実施形態における駆動信号COMを説明する図である。この第2実施形態において、駆動信号発生回路51は、同じ波形形状とされた3個の駆動パルスDP0…を一印刷周期T内に一連に配置した駆動信号COMを発生する。そして、この駆動パルスDP0の圧電振動子40への供給数を増減することにより駆動パルスDP0による吐出動作の回数を可変し、異なるサイズのドットを形成する。
【0062】
この駆動パルスDP0は、小ドットを形成し得る量のインク滴をノズル開口25から吐出させる波形である。そこで、小ドットを記録する場合には、印字データをD1=0,D2=1,D3=0にして印刷周期Tにおける駆動パルスDP0の供給数を「1」に設定することで、この駆動パルスDP0による吐出動作を1回行わせる。また、中ドットを記録する場合には、印字データをD1=1,D2=0,D3=1にして印刷周期Tにおける駆動パルスDP0の供給数を「2」に設定することで、この駆動パルスDP0による吐出動作を2回行わせる。これにより、記録紙12上で2つのインク滴が重ね合わされて中ドットが記録される。さらに、大ドットを記録する場合には、印字データをD1=1,D2=1,D3=1にして印刷周期Tにおける駆動パルスDP0の供給数を「3」に設定することで、この駆動パルスDP0による吐出動作を3回行わせる。これにより、記録紙12上で3つのインク滴が重ね合わされて大ドットが記録される。
【0063】
そして、本実施形態でも、吐出量変更手段としての制御部49は、所定期間以上の非吐出期間の経過後において最初に吐出されるインク滴の量を、印字データで規定されるたインク量よりも多く設定する。この場合、制御部49は、圧電振動子40への駆動パルスDP0の供給数を、印字データで規定された供給数よりも増やすことによりインク吐出量を増やす。
【0064】
例えば、書き換え対象(増量対象)となる元の印字データが小ドットの印字データ(D1=0,D2=1,D3=0)であった場合には、この印字データを中ドットの印字データ(D1=1,D2=0,D3=1)や大ドットの印字データ(D1=1,D2=1,D3=1)に書き換える。なお、この書き換えの条件は、上記した第1実施形態と同様にしてなされる。
【0065】
このように、本実施形態でも、単位走査中の非吐出期間が所定期間以上であった場合には、この非吐出期間経過後における最初のインク滴の吐出時にインク滴が増量される。これにより、ノズル開口25の近傍でインクの増粘が生じていたとしても、この増粘インクに起因するインク滴の大きさのばらつきや軌道の乱れを少なく抑えることができる。従って、駆動信号COM中に微振動用の波形を含ませずに済み、印刷周期Tを短くすることができる。その結果、本実施形態でも待機位置から遠い側の端部領域での画質を改善することができると共に、印刷時間の短縮化を図ることができる。
【0066】
特に、本実施形態では、駆動パルスの供給数、つまり、インク滴の吐出回数を増やすことにより、インク吐出量を印字データで規定された所定量よりも増やしているので、先に吐出されたインク滴のインク量や着弾位置がばらついたとしても、後に吐出されたインク滴が先に吐出されたインク滴に重なり、先のインク滴におけるインク量や着弾位置のばらつきを目立たなくすることができる。
【0067】
ところで、上記の各実施形態では、ドット毎に展開された印字データに基づいてノズル開口25毎に非吐出期間を取得し、取得した非吐出期間に所定期間以上の非吐出期間が存在した場合には、この非吐出期間経過後において最初に吐出されるインク滴を増量している。しかし、これらの実施形態では、CPUに対する負担が大きい。そこで、待機位置から遠い側の端部領域での画質を改善しつつも制御部49に対する負担を軽減できるようにした第3実施形態について説明する。
【0068】
この第3実施形態では、記録ヘッド4の待機位置から遠い側の端部領域に増量範囲(吐出量変更領域)を設定し、制御部49は、この増量範囲で吐出されるインク滴について、印字データで規定されたインク量が所定量未満であった場合、このインク量を増量する。
【0069】
ここで、図9に示すように、本実施形態では、記録ヘッド4の待機位置を2つ設けてある。即ち、ホームポジションの隣に設定した第1の待機ポジションP1と、ホームポジションから遠い側の走査領域の端部に設定した第2の待機ポジションP2とを本願発明の待機位置として設けてある。そして、第1の待機ポジションP1から第2の待機ポジションP2へと移動させる往路走査時と、第2の待機ポジションP2から第1の待機ポジションP1へと移動させる復路走査時の双方向で記録動作を行えるように構成してある。さらに、第1の待機ポジションP1から遠い側の端部領域には往路走査時における第1の増量範囲W0を設定し、第2の待機ポジションP2から遠い側の端部領域には復路走査時における第2の増量範囲W0´を設定する。
【0070】
そして、制御部49(吐出量変更手段)は、往路走査時において第1の増量範囲W0内で吐出されるインク滴、並びに、復路走査時において第2の増量範囲W0´内で吐出されるインク滴について、印字データで規定されたインク吐出量が所定量未満であった場合に、その吐出量を印字データで規定された吐出量よりも多く設定する。このインク滴の増量は、上記した第1実施形態及び第2実施形態と同様にしてなされる。例えば、書き換え対象となる印字データが小ドットの印字データであった場合には、制御部49は、この小ドットの印字データを中ドット、或いは、大ドットの印字データに書き換える。同様に、書き換え対象となる印字データが小ドット及び中ドットであった場合には、制御部49は、これらの小ドット及び中ドットの印字データを、大ドットの印字データに書き換える。
【0071】
このように、本実施形態では、記録ヘッド4の待機ポジションP1,P2から遠い側の端部領域に増量範囲W0,W0´を設定し、これらの増量範囲W0,W0´内で吐出されるインク滴については所定量以上(例えば、中インク滴以上)に設定される。これにより、ノズル開口近傍でインクの増粘が生じていたとしても、この増粘インクに起因するインク滴の大きさのばらつきや軌道の乱れを少なく抑えることができる。また、駆動信号COM中に、微振動用の波形を含ませずに済むので、印刷周期Tを短くすることもできる。
【0072】
その結果、本実施形態でも待機ポジションP1,P2から遠い側の端部領域での画質を改善することができると共に、印刷時間の短縮化を図ることができる。特に、本実施形態では、増量範囲W0,W0´内か否かの単純な対応関係に基づいてインクを増量するかどうかを判断するため、制御部49での処理が容易であり、負担が軽い。このため、制御部49に比較的低速なCPUを用いた場合であっても、印刷速度の短縮化が図れる。
【0073】
ところで、本発明は上記の実施形態に限定されるものではなく、特許請求の範囲に記載された範囲内で種々の変形が可能である。
【0074】
例えば、インク吐出量の増量に関し、圧電振動子40に供給する駆動パルスの波高値Vh(図8参照)を高めることで行うようにしてもよい。即ち、インク滴を増量させる場合には、吐出量変更手段としての制御部49は、駆動信号発生手段としての駆動信号発生回路51を制御して、標準の波高値Vhよりも高い波高値の駆動パルスを発生させる。波高値が高められた駆動パルスが圧電振動子40に供給されると、この圧電振動子40は、波高値が高められた分だけ圧力室24の容積を大きく変化させる。これにより、圧力室24内の圧力変動が大きくなり、吐出されるインク滴の量が増える。
【0075】
このように、波高値を高めることでインク滴の増量を行わせる構成を採ると、一印刷周期内に1つの駆動パルスしか備えていない駆動信号COMであっても、インク滴の増量を行うことができる。また、この構成では、インク滴の量を細かく制御することができるので、インクの増粘の度合いに応じた最適なインク量を容易に設定することもできる。
【0076】
また、図1に示すように、記録ヘッド4の待機時間を計測する待機時間タイマ38(待機時間計測手段)を設け、記録ヘッド4の待機時間が所定時間以上であることを条件にして、制御部49(吐出量変更手段)に増量対象のインク滴の量をさらに増加させる制御を行わせてもよい。この場合、例えば、メンテナンス動作の終了時点から単位走査の開始時点までの経過時間を記録ヘッド4の待機時間として取得させたり、前回の記録動作を終了して待機ポジションに戻ってきた記録ヘッド4〔図6(C)〜図6(A)〕が、この待機ポジションで待機している期間を待機時間として取得させたりすることができる。このように、記録ヘッド4の待機時間を加味してインク量を定めるようにすると、ノズル開口25付近におけるインク粘度の上昇度合いをより正確に把握できるので、適切なインク量を設定することができる。
【0077】
また、インクの増粘し易さは、インクの種類によって異なることが知られている。例えば、ブラックインク、シアンインク、マゼンタインク、及び、イエローインクの各インクを比較すると、ブラックインクが最も増粘し易く、イエローインクが最も増粘し難い。また、シアンインクとマゼンタインクは、ブラックインクよりも増粘し難く、イエローインクよりも増粘し易い。また、シアンインクよりも淡い色のライトシアンインクや、マゼンタインクよりも淡い色のライトマゼンタインクは、イエローインクと同様に増粘し難い。
【0078】
そこで、ノズル開口25から吐出されるインクが、ライトシアンインク、マゼンタインク、及び、イエローインク等の淡色系インクであった場合には、制御部49(吐出量変更手段)にインク滴の増量を行わなわせないように構成してもよい。このように構成すると、インクの増粘が生じ難いインクに対してまでインク滴の増量を行ってしまうことを防止できる。
【0079】
また、圧力室24に圧力変動を生じさせる圧力発生素子としては、圧電振動子40の他に、発熱素子や磁歪素子等を用いることができる。
【0080】
【発明の効果】
以上説明したように本発明によれば、次の効果を発揮する。即ち、非吐出期間が所定期間以上のノズル開口については、当該非吐出期間経過後の少なくとも初回の吐出動作におけるインク吐出量が、印字データで規定された所定量よりも多く設定されるので、インク溶媒の蒸発等によりノズル開口近傍のインク粘度が上昇していたとしても、インク滴が増量されているためにインク粘度の上昇に起因するドットの形状や位置のばらつきを少なくできる。その結果、待機位置から遠い側の端部領域での画質を改善することができる。
【0081】
さらに、記録ヘッドの主走査中においては、微振動動作を行わなくても済むので、駆動信号には微振動動作のための波形を含ませる必要がなくなる。このため、駆動信号における印刷周期を短縮することができ、その分、記録ヘッドの走査速度を高めることができる。その結果、印刷時間の短縮化を図ることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】インクジェット式プリンタの構成を示す斜視図である。
【図2】記録ヘッドの構成を示す断面図である。
【図3】プリンタの電気的構成を示すブロック図である。
【図4】駆動信号と各モードにおける駆動パルスを示すタイミング図である。
【図5】主走査における記録ヘッドの移動範囲を示す側面図である。
【図6】記録ヘッドの移動動作を説明するため図5の要部を拡大した側面図であり、(A)は待機ポジション状態を、(B)は記録領域側への加速状態を、(C)は記録領域側からの戻り状態を、(D)はホームポジションに位置した状態をそれぞれ示す。
【図7】記録紙の記録領域を示し、主走査におけるインク吐出量の増量動作を説明する平面図である。
【図8】本発明の第2実施形態を示し、駆動信号と各モードにおける駆動パルスを説明する図である。
【図9】本発明の第3実施形態を示し、往復走査におけるインク吐出量の増量動作を説明する平面図である。
【符号の説明】
1 インクジェット式プリンタ
2 インクカートリッジ
3 カートリッジホルダ部
4 記録ヘッド
5 キャリッジ
6 ガイド部材
7 パルスモータ
8 駆動プーリー
9 遊転プーリー
10 タイミングベルト
11 ハウジング
12 記録紙
13 紙送りモータ
14 紙送りローラ
15 キャップ部材
21 ケース
22 流路ユニット
23 振動子ユニット
24 圧力室
25 ノズル開口
26 収容室
27 流路基板
28 ノズルプレート
29 振動板
31 共通インク室
32 インク供給路
33 インク供給管
35 ステンレス板
36 弾性体膜
37 アイランド部
38 待機時間タイマ
39 電気駆動系
40 圧電振動子
44 プリンタコントローラ
45 プリントエンジン
46 外部インターフェース
47 RAM
48 ROM
50 発振回路
51 駆動信号発生回路
52 内部インターフェイス
54 シフトレジスタ回路
55 ラッチ回路
56 レベルシフタ回路
57 スイッチ回路

Claims (1)

  1. 圧力発生素子の作動によってノズル開口からインク滴を吐出して複数のサイズのインクドットを形成する記録ヘッドと、当該記録ヘッドを待機位置から主走査方向に移動させるヘッド走査機構と、圧力発生素子を作動させるための駆動信号を発生する駆動信号発生手段と、ドット毎の印字データに基づき記録ヘッドへの駆動信号の供給を制御してインク滴を吐出させる吐出制御手段とを備えたインクジェット式記録装置において、
    前記吐出制御手段は、
    記録ヘッドの主走査に先立ってインク滴の非吐出期間をノズル開口毎に取得する非吐出期間取得手段と、
    該非吐出期間が所定期間以上であったことを条件に、当該非吐出期間経過後の少なくとも初回の吐出動作における吐出動作で吐出するインクドットが前記複数のサイズのうちの最大サイズを除く一部のサイズである場合にのみ、インクドットのサイズが印字データで規定されたサイズよりも大きいサイズになるように設定する吐出量変更手段と、を有することを特徴とするインクジェット式記録装置。
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