JP3959704B2 - 液体噴射装置 - Google Patents

液体噴射装置 Download PDF

Info

Publication number
JP3959704B2
JP3959704B2 JP2000158926A JP2000158926A JP3959704B2 JP 3959704 B2 JP3959704 B2 JP 3959704B2 JP 2000158926 A JP2000158926 A JP 2000158926A JP 2000158926 A JP2000158926 A JP 2000158926A JP 3959704 B2 JP3959704 B2 JP 3959704B2
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
fine vibration
control signal
signal
reservoir
ink
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Expired - Fee Related
Application number
JP2000158926A
Other languages
English (en)
Other versions
JP2001334660A (ja
Inventor
窪 周 二 米
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
Seiko Epson Corp
Original Assignee
Seiko Epson Corp
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by Seiko Epson Corp filed Critical Seiko Epson Corp
Priority to JP2000158926A priority Critical patent/JP3959704B2/ja
Publication of JP2001334660A publication Critical patent/JP2001334660A/ja
Application granted granted Critical
Publication of JP3959704B2 publication Critical patent/JP3959704B2/ja
Anticipated expiration legal-status Critical
Expired - Fee Related legal-status Critical Current

Links

Images

Landscapes

  • Particle Formation And Scattering Control In Inkjet Printers (AREA)

Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、ノズル開口から液体を噴射させるヘッド部材を備えた液体噴射装置、例えば、ノズル開口からインク滴を吐出させて記録を行う記録ヘッドを備えたインクジェット式記録装置に係り、とりわけ、ノズル開口における液体の増粘を防止するようにした液体噴射装置に関する。
【0002】
【従来の技術】
インクジェット式プリンタやインクジェット式プロッタ等のインクジェット式記録装置は、記録ヘッドを主走査方向に沿って移動させると共に記録紙(印刷記録媒体の一種)を副走査方向に沿って移動させ、この移動に連動して記録ヘッドのノズル開口からインク滴を吐出させることにより、記録紙上に画像(文字)を記録する。このインク滴の吐出は、例えば、ノズル開口に連通した圧力発生室を膨張・収縮させることで行われる。
【0003】
ところで、記録ヘッドのノズル開口部分では、インクが空気に曝されているので、インク溶媒(例えば、水)が徐々に蒸発する。このインク溶媒の蒸発によりノズル開口部分のインク粘度が上昇し、記録画像の画質を悪化させる。即ち、当該部分のインク粘度が上昇すると、吐出されたインク滴が正規の方向からずれた方向に飛翔し得る。
【0004】
このため、インクジェット式記録装置では、ノズル開口部分のインクの増粘を防止する対策がなされている。この増粘対策の一つに、メニスカスの微振動によるインクの撹拌がある。ここで、メニスカスとは、ノズル開口にて露出したインクの自由表面のことである。
【0005】
このインクの撹拌では、インク滴が吐出されないように、インク滴の吐出方向と、この吐出方向とは反対側の引込方向と、にメニスカスを交互に移動させる。このメニスカスの移動もまた、圧力発生室を膨張・収縮させることにより行う。メニスカスを微振動させることにより、ノズル開口部分のインクが撹拌されるので、インクの増粘が防止される。
【0006】
このインクの撹拌は、記録動作に連動して行われる。例えば、記録ヘッドを搭載したキャリッジの主走査開始直後における加速期間中や、1行の記録期間中(即ち、印字中)において行われる。そして、加速期間中における撹拌では、メニスカスを微振動させるための微振動駆動信号を記録ヘッドに供給し、全てのノズル開口のメニスカスを微振動させる。また、印字中における撹拌では、インク滴を吐出させるための吐出駆動信号から微振動パルスを生成し、この生成した微振動パルスを記録ヘッドに供給する。これにより、インク滴を吐出しないノズル開口についてインクの撹拌が行われる。
【0007】
また、特願2000−21507号には、インク滴を吐出させる直前の適宜のタイミングから所定の時間、あるいは、インク滴を吐出させる直前の適宜のタイミングまで、ノズル開口のインクのメニスカスを微振動させることが記載されている。
【0008】
一方、特開平9−314836号公報に見られるように、リザーバと圧力発生室を区画する基板のリザーバに対向する領域を、インクの圧力により変動可能な薄肉部として、薄肉部の変形によりリザーバの圧力変動を吸収させ、もってリザーバの圧力変動に起因するクロストークを防止する技術が提案されている。
【0009】
本件発明者は、薄肉部の変形によってリザーバの圧力変動を吸収させることが、インクの安定な吐出にとって極めて有効であることを確認している。薄肉部のコンプライアンスは、大きいことが好ましい。
【0010】
【発明が解決しようとする課題】
本件発明者は、薄肉部のコンプライアンスによって、ノズル開口部分のインクの増粘を防止するための微振動制御の好適な条件が変わることを知見した。
【0011】
より具体的には、薄肉部のコンプライアンスが小さいと、リザーバの圧力変動を十分に吸収することができないため、微振動の振幅を所定のレベル以下に抑制するような微振動制御を行わないと、ノズル開口の周囲が濡れて、その後の吐出性能を著しく損なう場合があることを知見した。
【0012】
本発明は、このような点を考慮してなされたものであり、リザーバの薄肉部のコンプライアンスに対応した微振動制御を行うことができるインクジェット式記録装置を提供すること、より広くは、ノズル開口から液体を噴射させるヘッド部材を備えた液体噴射装置において、リザーバの薄肉部のコンプライアンスに対応した微振動制御を行うことができる液体噴射装置を提供すること、を目的とする。
【0013】
【課題を解決するための手段】
本発明は、ノズル開口と、一部が薄肉部によって区画されたリザーバと、リザーバからノズル開口に液体を供給するための液体流路と、を有するヘッド部材と、ノズル開口部分の液体を微振動させる微振動手段と、前記リザーバの薄肉部のコンプライアンスに基づいて微振制御信号を生成する微振制御信号発生手段と、前記微振制御信号に基づいて、前記微振動手段を駆動させる微振動制御手段と、を備えたことを特徴とする液体噴射装置である。
【0014】
本発明によれば、微振制御信号発生手段が、リザーバの薄肉部のコンプライアンスに基づいて微振制御信号を生成するため、リザーバの薄肉部のコンプライアンスに対応した好適な微振動制御を行うことができる。
【0015】
好ましくは、ヘッド部材の液体流路は、圧力発生室と、圧力発生室の両端部に連通する第1連通孔及び液体供給口と、を有しており、リザーバは、前記液体供給口を介して前記圧力発生室に連通しており、ノズル開口は、前記連通孔を介して前記圧力発生室に連通している。このような配置の場合、薄肉部を大面積に形成することができ、結果的に薄肉部のコンプライアンスを大きくすることができる。
【0016】
さらに好ましくは、ヘッド部材は、振動部材としての蓋部材と、蓋部材の下面側に配置され、蓋部材により上面が封止され圧力発生室を形成する開口部を有するスペーサと、スペーサの下面側に配置され、スペーサの開口部の下面を封止すると共に当該開口部の両端部に連通する第1連通孔及び液体供給口を有する液体供給口形成基板と、液体供給口形成基板の下面側に配置され、前記液体供給口に連通すると共に液体供給口形成基板により上面が封止されリザーバを形成する開口部と、前記第1連通孔に連通する第2連通孔と、を有するリザーバ形成基板と、リザーバ形成基板の下面側に配置され、リザーバ形成基板の開口部の下面を封止すると共に、前記第2連通孔に連通するノズル開口を有するノズルプレートと、を有しており、リザーバの薄肉部は、液体供給口形成基板の下面側の一部によって形成されている。このような構成は、焼成による一体形成に適している。
【0017】
例えば、微振動手段は、圧力発生室を加圧するための圧力発生素子を有している。前記のような構成の場合、微振動手段は、蓋部材に設けられた圧電振動板を有していることが好ましい。圧電振動板は、たわみ振動モードのタイプであっても、縦振動モードのタイプであってもよい。
【0018】
微振制御信号は、所定のパルス波形を有する周期信号であり、前記パルス波形の電位差が、前記リザーバの薄肉部のコンプライアンスに基づいて決定されていることが好ましい。
【0019】
さらには、ノズル開口部分の液体を吐出させる液体吐出手段と、吐出制御信号を生成する吐出制御信号発生手段と、吐出制御信号に基づいて、前記液体吐出手段を駆動させる吐出制御手段と、をさらに備え、吐出制御信号は、所定の波形を有する信号であり、前記パルス波形の電位差の、前記吐出制御信号の最大電圧に対する比率が、リザーバの薄肉部のコンプライアンスに基づいて決定されていることが好ましい。
【0020】
本件発明者による実験の結果、前記パルス波形の電位差の、前記吐出制御信号の最大電圧に対する比率R[%]は、リザーバの薄肉部のコンプライアンスがCO[m/N]である時に、
R≦(10/0.55)×(CO×1017 −1.24)+45
となっていることが好ましいことが知見された。
【0021】
また、ヘッド部材は、複数のノズル開口を有し得ると共に、リザーバは複数のノズル開口に対して共通に形成され得る。この場合、前記パルス波形の電位差の、前記吐出制御信号の最大電圧に対する比率R[%]は、リザーバの薄肉部の1ノズルあたりのコンプライアンスがCO/N[m/N]である時に、
R≦(10/0.55)×(CO/N×1017 −1.24)+45
となっていることが好ましい。
【0022】
さらには、ヘッド部材の温度を判別する温度判別部と、前記温度判別部により判別されたヘッド部材の温度に基づいて、微振制御信号の振幅補正率を決定する補正率決定部と、をさらに備え、微振信号発生手段は、リザーバの薄肉部のコンプライアンスと、補正率決定部により決定された振幅補正率とに基づいて、微振制御信号を生成するようになっていることが好ましい。
【0023】
なお、液体は、例えばインクであり、ヘッド部材は、例えば記録ヘッドである。
【0024】
また、リザーバの薄肉部のコンプライアンスに基づいて微振制御信号を生成する微振制御信号発生手段と、微振制御信号に基づいて前記微振動手段を駆動させる微振動制御手段と、は、コンピュータシステムによって実現され得る。
【0025】
なお、コンピュータシステムに各手段を実現させるためのプログラム及び当該プログラムを記録したコンピュータ読取り可能な記録媒体も、本件の保護対象である。
【0026】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の実施の形態を、図面を参照して説明する。図1に示すように、本実施の形態の液体噴射装置は、インクジェット式プリンタ(インクジェット式記録装置)であり、プリンタコントローラ1とプリントエンジン2とを備えている。
【0027】
プリンタコントローラ1は、外部インターフェース(外部I/F)3と、各種データを一時的に記憶するRAM4と、制御プログラム等を記憶したROM5と、CPU等を含んで構成された制御部6と、クロック信号を発生する発振回路7と、記録ヘッド8(ヘッド部材)へ供給するための駆動信号を発生する駆動信号発生部9と、駆動信号や、印刷データに基づいて展開されたドットパターンデータ(ビットマップデータ)等をプリントエンジン2に送信する内部インターフェース(内部I/F)10と、を備えている。
【0028】
外部I/F3は、例えば、キャラクタコード、グラフィック関数、イメージデータ等によって構成される印刷データを、図示しないホストコンピュータ等から受信する。また、ビシー信号(BUSY)やアクノレッジ信号(ACK)が、外部I/F3を通じて、ホストコンピュータ等に対して出力される。
【0029】
さらに、本実施の形態の外部I/F3は、後述するリザーバ49の薄肉部(薄膜部)40tのコンプライアンスCOに関する情報を入力するための入力部としての、キーボード等のインタフェース機器130に接続されている。
【0030】
RAM4は、受信バッファ4A、中間バッファ4B、出力バッファ4C及びワークメモリ(図示せず)を有している。そして、受信バッファ4Aは、外部I/F3を介して受信された印刷データを一時的に記憶し、中間バッファ4Bは、制御部6により変換された中間コードデータを記憶し、出力バッファ4Cは、ドットパターンデータを記憶する。ここで、ドットパターンデータとは、中間コードデータ(例えば、階調データ)をデコード(翻訳)することにより得られる印字データである。
【0031】
ROM5には、各種データ処理を行わせるための制御プログラム(制御ルーチン)の他に、フォントデータ、グラフィック関数等が記憶されている。
【0032】
制御部6は、ROM5に記憶された制御プログラムに従って各種の制御を行う。例えば、受信バッファ4A内の印刷データを読み出すと共にこの印刷データを変換して中間コードデータとし、当該中間コードデータを中間バッファ4Bに記憶させる。また、制御部6は、中間バッファ4Bから読み出した中間コードデータを解析し、ROM5に記憶されているフォントデータ及びグラフィック関数等を参照して、ドットパターンデータに展開(デコード)する。そして、制御部6は、必要な装飾処理を施した後に、このドットパターンデータを出力バッファ4Cに記憶させる。
【0033】
記録ヘッド8の1回の主走査により記録可能な1行分のドットパターンデータが得られたならば、当該1行分のドットパターンデータが、出力バッファ4Cから内部I/F10を通じて順次記録ヘッド8に出力される。出力バッファ4Cから1行分のドットパターンデータが出力されると、展開済みの中間コードデータが中間バッファ4Bから消去され、次の中間コードデータについての展開処理が行われる。
【0034】
本実施の形態の駆動信号発生部9は、記録のため及び印字中のメニスカス52(図5(b)参照)の微振動のために使用される吐出駆動信号(印字内微振制御信号を含む)を発生する主信号発生部11と、印字外のメニスカス52(図5(b)参照)の微振動のために使用される印字外共通微振動信号を発生する微振信号発生部12と、主信号発生部11からの吐出駆動信号と微振信号発生部12からの印字外共通微振動信号とが入力され、吐出駆動信号または印字外共通微振動信号を内部I/F10に出力する選択部13と、を含んで構成してある。
【0035】
吐出駆動信号は、例えば図2に示すように、基準電圧から所定電圧上がった後基準電圧以下に一旦下がり、再び所定電圧まで上がってから、再び基準電圧以下に下がる波形61tを有する第1波形部61と、基準電圧から所定電圧だけ下がって戻る台形状の波形62tを有する第2波形部62と、第1波形部61の最低電圧と略同程度の電圧下がった後基準電圧よりも所定電圧上がってから戻る波形63tを有する第3波形部63と、を一連に接続した周期信号によって構成されている。
【0036】
ここで、第2波形部62tが、印字内微振動用の信号を構成する。本実施の形態では、第2波形部62tの電位差Vg’の第1波形部61t及び第3波形部63tの最大電圧VhNに対する比率Rが、後述する薄肉部40tのコンプライアンスCOに応じて設定されるようになっている。
【0037】
一方、印字外共通微振動信号は、例えば図3に示すように、最低電位と最大電位との間で電位が切り替わる台形状のパルス201を略等間隔に一連に接続した周期信号によって構成されている。
【0038】
ここで、パルス201の電位差Vgは、前記の第2波形部62tの電位差Vg’と同様、第1波形部61t及び第3波形部63tの最大電圧VhNに対する比率Rが、後述する薄肉部40tのコンプライアンスCOに応じて設定されるようになっている。
【0039】
なお、駆動信号発生部9は、ロジック回路によって構成することもできるし、CPU,ROM,RAM等によって構成した制御回路によって構成することもできる。
【0040】
プリントエンジン2は、紙送り機構16と、キャリッジ機構17と、記録ヘッド8とを含んで構成してある。
【0041】
紙送り機構16は、紙送りモータと紙送りローラ等から構成してあり、図4(a)に示すように、記録紙18(印刷記録媒体の一種)を記録ヘッド8の記録動作に連動させて順次送り出す。即ち、この紙送り機構16は、記録紙18を副走査方向である記録紙送り方向に移動させる。
【0042】
キャリッジ機構17は、図4(a)乃至図4(c)に示すように、ガイド部材20に移動自在に取り付けられ記録ヘッド8及びインクカートリッジ19を搭載可能なキャリッジ21と、駆動プーリー22と従動プーリー23との間に架け渡されると共にキャリッジ21に接続されたタイミングベルト24と、駆動プーリー22を回転させるパルスモータ25と、記録紙幅方向に平行な状態で(主走査方向に沿って)プリンタ筐体26に架設されたリニアエンコーダ27と、キャリッジ21に取り付けられリニアエンコーダ27の複数のスリット28を検出可能なスリット検出器29と、を備えている。
【0043】
本実施の形態のリニアエンコーダ27は、透明な薄板状部材であり、図4(b)に示すように、スリット28は360dpiのピッチで形成されている。スリット検出器29は、例えば、フォトインタラプタによって構成され得る。
【0044】
このようなキャリッジ機構17によれば、パルスモータ25の作動により、記録紙18の幅方向(主走査方向)に沿ってキャリッジ21が往復移動する。これにより、キャリッジ21に搭載された記録ヘッド8が、主走査方向に沿って移動する。このキャリッジ21の移動は、ホームポジション側の基準位置を起点にして行われる。ここでホームポジションとは、電源が投入されていない場合や、記録を行わない状態が長時間に亘る場合等において、キャリッジ21を待機させる位置である。本実施の形態では、図4(a)における右端部にホームポジションが設けられている。
【0045】
当該ホームポジションには、記録ヘッド8のノズル開口51(後述)におけるインク溶媒の蒸発を防止するキャッピング機構30が設けられている。
【0046】
一方、基準位置は、ホームポジションから少し左側の位置に設定されている。具体的には、記録紙18の右側縁とキャッピング機構30との間に、基準位置が設定されている。
【0047】
キャリッジ21が移動すると、キャリッジ21と共にスリット検出器29も移動する。この移動に伴って、スリット検出器29は、リニアエンコーダ27の複数のスリット28を順次検出し、スリット28のピッチに応じたパルス状の検出信号を出力する。このスリット検出器29からの検出信号に基づいて、制御部6は記録ヘッド8の位置を認識する。
【0048】
具体的には、制御部6は、キャリッジ21が基準位置に位置付けられた状態で位置カウンタのカウント値をリセットし、キャリッジ21の移動に伴って出力されるスリット検出器29からの立ち上がりパルス(検出信号)を受信し、パルスの受信毎に位置カウンタをカウントアップする。これにより、位置カウンタのカウント値が、キャリッジ21の位置、即ち、記録ヘッド8の走査位置を示すヘッド位置情報となる。ここで、位置カウンタは、例えば、RAM4のワークメモリ(図示せず)に設けられ得るが、カウンタを別個に設けても良い。
【0049】
従って、リニアエンコーダ27及びスリット検出器29は、走査位置情報出力手段として機能する、すなわち、キャリッジ21(記録ヘッド8)の主走査に伴って記録ヘッド8の位置に関する情報(検出信号)を出力する。また、制御部6及び位置カウンタ(RAM4)は、走査位置保持手段として機能する、すなわち、スリット検出器29からの検出信号に基づいて位置カウンタのカウント値(ヘッド位置情報)を更新した後の当該更新されたカウント値を保持する。
【0050】
次に、記録ヘッドについて説明する。例示した記録ヘッド8は、図5(a)に示すように、アクチュエータユニット33と、流路ユニット34とから概略構成されている。また、例示した記録ヘッド8は、たわみ振動モードの圧電振動子35を圧力発生素子として用いている。
【0051】
ここで、たわみ振動モードの圧電振動子35とは、その充電により収縮して、圧力発生室36をその容積が少なくなるように変形させ、その放電により伸長して、圧力発生室36をその容積が増えるように変形させるものである。
【0052】
アクチュエータユニット33は、第1の蓋部材37、スペーサ部材38、第2の蓋部材39、圧電振動子35等から構成されている。流路ユニット34は、インク供給口形成基板40、リザーバ形成基板41及びノズルプレート42等から構成されている。そして、アクチュエータユニット33と流路ユニット34とを接着層43によって一体化することにより、記録ヘッド8が構成されている。なお、接着層43は、熱溶着フィルムや適宜の接着剤等で構成され得る。
【0053】
第1の蓋部材37は、一般に弾性を有するセラミックの薄板であり、本実施の形態では、厚さが10マイクロメートル程度のジルコニア(ZrO)によって構成されている。第1の蓋部材37の裏面(上面)には、圧電振動子35の共通電極44が形成され、この共通電極44にPZT等からなる圧電振動子35が積層されている。この圧電振動子35の裏面(上面)には、圧電振動子35の駆動電極45が設けられている。
【0054】
スペーサ部材38は、圧力発生室36となる通孔(開口部)を有するセラミック板であり、この場合、厚さが150マイクロメートル程度の板状のジルコニアによって構成されている。
【0055】
第2の蓋部材39は、図5(a)における左側に供給側連通孔(インク供給口)46としての通孔を有しており、同図における右側に第1ノズル連通孔47としての通孔を有するセラミック材である。第2の蓋部材39は、例えば、板状のジルコニアによって構成される。
【0056】
スペーサ部材38の裏面(上面)には第1の蓋部材37が、前面(下面)には第2の蓋部材39が、それぞれ配置されている。すなわち、第1の蓋部材37と第2の蓋部材39とで、スペーサ部材38を挟んでいる。なお、これらの第1の蓋部材37、第2の蓋部材39及びスペーサ部材38は、粘土状のセラミックス材料を所定の形状に成型した後に積層して焼成することにより、一体化した態様で形成される。
【0057】
上記したインク供給口形成基板40は、左側にインク供給口48としての通孔を有し、右側に第1ノズル連通孔47としての通孔を有する板状部材である。図5(a)に示すように、インク供給口形成基板40の圧力発生室36側の一部に凹部40rが形成されて、薄肉部40tとなっている。
【0058】
本実施の形態の場合、インク供給口形成基板40は、2枚の不錆鋼を接着フィルムによって接合した板材で形成されており、接着フィルムをエッチングストッパとして一方の不錆鋼にエッチング処理が施されることによって凹部40rが形成されている。もっとも、薄肉部40tは、プレス等でエンボス加工して他方の突出面を研磨することによっても形成され得る。
【0059】
また、リザーバ形成基板41は、リザーバ49としての通孔(開口部)を有すると共に、右側に第2ノズル連通孔50としての通孔を有する板状部材である。この場合、厚さが150マイクロメートル程度の板状のステンレスによって構成されている。リザーバ49としての開口部は、インク供給口形成基板40の薄肉部40tの下方領域に位置している。
【0060】
ノズルプレート42は、右側に多数、例えば48個、のノズル開口51を副走査方向に沿って開設した薄い板状部材であり、例えば、ステンレス板によって構成され得る。このノズル開口51は、ドット形成密度に対応した所定ピッチで開設されている。
【0061】
リザーバ形成基板41の前面側(下面側)にはノズルプレート42が、裏面側(上面側)にはインク供給口形成基板40が、それぞれ配置されている。リザーバ形成基板41とノズルプレート42との間、及び、リザーバ形成基板41とインク供給口形成基板40との間には、それぞれ接着層43が設けられており、結果として、インク供給口形成基板40、リザーバ形成基板41及びノズルプレート42が一体化されて、流路ユニット34が構成されている。
【0062】
このような構成を有する記録ヘッド8では、流路ユニット34のリザーバ49と、アクチュエータユニット33の供給側連通孔46とが、インク供給口48を通じて連通する。また、供給側連通孔46と第1ノズル連通孔47とが、圧力発生室36を介して連通する。さらに、第2ノズル連通孔50を介して、ノズル開口51と第1ノズル連通孔47が連通する。これにより、リザーバ49から圧力発生室36を通ってノズル開口51に至る一連のインク流路が形成される。なお、リザーバ49には、図示しないインク供給通路を通じて、インクカートリッジ19からのインクが供給される。本実施の形態においては、各ノズル開口51に供給されるインクは、全て共通のリザーバ49を介して供給される。
【0063】
圧力発生室36の容積を変化させることにより、ノズル開口51からインク滴を吐出させることができる。具体的には、圧電振動子35を充電すると、圧電振動子35が電界とは直交する方向に縮み、第1の蓋部材37が変形し、この第1の蓋部材37の変形に伴って圧力発生室36が収縮する。一方、充電された圧電振動子35を放電すると、圧電振動子35が電界とは直交する方向に伸長し、第1の蓋部材37が戻り方向に変形して圧力発生室36を膨張させる。圧力発生室36を一旦膨張させた後に急激に収縮させると、圧力発生室36内におけるインク圧力が急激に上昇し、図5(b)に一点鎖線で示すように、ノズル開口51からインク滴が吐出される。
【0064】
この時、圧力発生室36のインクの一部が、インク供給口46、48を経由してリザーバ49に逆流する。リザーバ49に逆流したインクは、リザーバ49内のインクに圧力変動を生じさせる。しかし、この圧力変動は、インク供給口形成基板40の薄肉部40tによって吸収される。
【0065】
また、インク滴が吐出されない程度に圧力発生室36を膨張・収縮させることにより、ノズル開口51の開口部分のインクを撹拌することができ、当該部分におけるインクの粘度の増加を防止できる。即ち、インク滴が吐出されない程度に圧力発生室36を膨張・収縮させると、図5(b)に示すように、メニスカス52(ノズル開口51にて露出したインクの自由表面)が、インク吐出方向である下方向とインク引き込み方向である上方向とに交互に移動して微振動し、結果的にノズル開口部分のインクが撹拌され得る。
【0066】
次に、記録ヘッド8の電気的構成について説明する。この記録ヘッド8は、図1に示すように、順に電気的に接続されたシフトレジスタ55、ラッチ回路56、レベルシフタ57、スイッチ58及び圧電振動子35を備えている。さらに、図6に示すように、これらのシフトレジスタ55、ラッチ回路56、レベルシフタ57、スイッチ58及び圧電振動子35は、それぞれ、記録ヘッド8の各ノズル開口51毎に設けたシフトレジスタ素子55A〜55N、ラッチ素子56A〜56N、レベルシフタ素子57A〜57N、スイッチ素子58A〜58N及び圧電振動子35A〜35Nから構成されている。
【0067】
微振信号発生部12、シフトレジスタ55、ラッチ回路56、レベルシフタ57、スイッチ58及び制御部6は、微振制御信号発生手段として機能する、即ち、微振信号発生部12からの印字外共通微振動信号を微振制御信号として記録ヘッド8(圧電振動子35)に供給したり、或いは、吐出駆動信号から印字内微振制御信号を生成して記録ヘッド8に供給したりする。
【0068】
また、主信号発生部11、シフトレジスタ55、ラッチ回路56、レベルシフタ57、スイッチ58及び制御部6は、駆動パルス供給手段(吐出制御信号発生手段)として機能する、すなわち、主信号発生部11からの吐出駆動信号から駆動パルス(吐出制御信号)を生成し、記録ヘッド8の圧電振動子35(インク吐出手段)に供給する。
【0069】
次に、微振信号発生部12からの印字外共通微振動信号によりメニスカス52を微振動させてインクを撹拌する場合について説明する。
【0070】
まず、印字外共通微振動信号のパルス201の電位差Vgの、第1波形部61t及び第3波形部63tの最大電圧VhNに対する比率Rが、薄肉部40tのコンプライアンスCOに応じて設定される。
【0071】
ここで、直方体状の薄肉部についてのコンプライアンス導出式は、薄肉部の幅をW、長さをL、厚さをt、ヤング率をEとした場合、
【数1】
Figure 0003959704
である。
【0072】
もっとも、薄肉部40tのコンプライアンスCOは、一般には有限要素解析によって求められる。
【0073】
本実施の形態の場合、厚さt=14μm、幅W=1.24mm、長さL=10mm、ヤング率E= であるが、有限要素解析により、
CO=5.95×10−16
が得られる。
【0074】
本実施の形態では、薄肉部40tにより規定されるリザーバ49が48個のノズル開口51に対応しているため、1ノズルあたりの薄肉部40tのコンプライアンスCO/Nは、前記の値を48で割った値、すなわち、1.24×10−17 である。
【0075】
本件発明者は、比率R(Vg/VhN)をパラメータとして、微振動制御実験を行い、微振動制御後の印字安定性について、表1に示すような結果を得た。
【0076】
【表1】
Figure 0003959704
インクの増粘防止のためには、微振制御信号の電位差(振幅)Vg、Vg’は大きい方がよいが、リザーバ49の薄肉部40tの振動吸収性能を上回ってしまうと、その後の印字安定性が不良となる。本実施の形態の場合、表1に示す結果から、比率Rは45%までが許容され得ることがわかる。
【0077】
従って、微振信号発生部12は、入力部としてのインタフェース機器130から入力される1ノズルあたりのコンプライアンスCO/N=1.24×10−17 に基づいて、比率R(Vg/VhN)が45%となるような印字外共通微振動信号を発生する。信号発生の具体的な方法としては、例えば特許第2940542号に記載された方法を利用することができる。
【0078】
そして、各スイッチ素子58A〜58Nには、微振信号発生部12からの印字外共通微振動信号が印加される。そして、スイッチ素子58A〜58Nが接続状態になると、このスイッチ素子58A〜58Nに接続された圧電振動子35A〜35Nに、微振制御信号として印字外共通微振動信号が供給される。
【0079】
微振制御信号が圧電振動子35に供給されると、圧力発生室36が僅かに膨張・収縮し、図5(b)を用いて説明したように、ノズル開口51の開口縁付近の吐出側位置(図中点線で示す)と、この吐出側位置よりも圧力発生室36側の引き込み側位置(図中実線で示す)との間で、メニスカス52が微振動する。即ち、ノズル開口部分のインクが撹拌される。この時、リザーバ49内のインクも振動するが、その振動(圧力変動)は薄肉部40tによって吸収され、ノズル開口51の側に振動が「はねかえる」ことによる悪影響が確実に回避される。
【0080】
次に、圧電振動子35に駆動パルスを印加する手順について説明する。なお、以下の説明では、ドットパターンデータを構成する各印字データ(1ドットのデータに相当)を、3ビットで構成した場合について説明する。
【0081】
この場合、制御部6は、印字データ(SI)の内の最上位ビットのデータを、発振回路7からのクロック信号(CK)に適宜に同期させて、出力バッファ4Cからシリアル伝送させてシフトレジスタ素子55A〜55Nに順次セットさせる。全ノズル開口51分の印字データが各シフトレジスタ素子55A〜55Nにセットされたならば、制御部6は、所定のタイミングで、ラッチ回路56、即ち各ラッチ素子56A〜56Nヘ、ラッチ信号(LAT)を出力させる。このラッチ信号により、各ラッチ素子56A〜56Nは、各シフトレジスタ素子55A〜55Nにセットされた印字データをラッチする。このラッチされた印字データは、電圧増幅器であるレベルシフタ57、即ち各レベルシフタ素子57A〜57Nに供給される。
【0082】
各レベルシフタ素子57A〜57N(主モード信号発生手段)は、印字データが例えば「1」の場合に、スイッチ58が駆動可能な電圧値、例えば、数十ボルトまで、この印字データを昇圧して主モード信号とする(図2参照)。そして、この昇圧された主モード信号は、スイッチ58、即ちスイッチ素子58A〜58Nに印加される。スイッチ素子58A〜58Nは、当該主モード信号により接続状態になる。一方、印字データが例えば「0」の場合には、対応する各レベルシフタ素子57A〜57Nは昇圧を行わない。
【0083】
各スイッチ素子58A〜58Nには、主信号発生部11からの吐出駆動信号(COM)が印加されている。本実施の形態の主信号発生部11は、入力部としてのインタフェース機器130から入力される1ノズルあたりのコンプライアンスCO/N=1.24×10−17 に基づいて、第2波形部62tの電位差Vg’の第1波形部61t及び第3波形部63tの最大電圧VhNに対する比率R(Vg/VhN)が、45%となるような吐出駆動信号を発生する。この場合の信号発生の方法についても、前記の特許第2940542号に記載された方法を利用することができる。
【0084】
そして、スイッチ素子58A〜58Nが接続状態になると、このスイッチ素子58A〜58Nに接続された圧電振動子35A〜35Nに吐出駆動信号が供給される。
【0085】
最上位ビットのデータに基づいて吐出駆動信号を印加させたならば、続いて、制御部6は、1ビット下位のデータをシリアル伝送させてシフトレジスタ素子55A〜55Nにセットする。そして、シフトレジスタ素子55A〜55Nにデータがセットされたならば、ラッチ信号を印加させることにより、セットされたデータをラッチさせ、吐出駆動信号を圧電振動子35A〜35Nに供給させる。以後は、1ビットずつ印字データを下位ビットにシフトしながら最下位ビットまで同様の動作を繰り返し行う。
【0086】
このように、例示したプリンタでは、圧電振動子35に吐出駆動信号を供給するか否かを、印字データによって制御できる。即ち、印字データのビット「1」がラッチされ昇圧されてなる矩形パルス状の主モード信号と、吐出駆動信号と、のANDによって生成される駆動パルス信号が、圧電振動子35に供給される。印字データのビットが「0」の場合には、吐出駆動信号の圧電振動子35への供給が遮断される。なお、印字データのビットを「0」にした場合、圧電振動子35は直前の電荷(電位)を保持する。
【0087】
従って、吐出駆動信号を時間軸方向に分割し、印字データの各ビットを分割部分に対応させて設定することにより、一つの吐出駆動信号から複数の駆動パルス及び印字内微振動信号を選択的に生成することができ、生成した駆動パルスあるいは印字内微振動信号を圧電振動子35に供給することができる。これにより、印字中にメニスカス52を適宜の強度で微振動させて濡れ曲がり等の弊害なく十分なインクの攪拌効果を得たり、インク滴の量(即ち、ドット径)が異なる複数の駆動パルスを記録ヘッド8の圧電振動子35に供給させることができる。
【0088】
例えば、図2に示す例では、吐出駆動信号を、第1波形部61、第2波形部62、第3波形部63に分割し、第1波形部61により小ドット駆動パルスを生成し、第3波形部63により中ドット駆動パルスを生成し、第1波形部61と第3波形部63とを組み合わせて大ドット駆動パルスを生成し、第2波形部(パルス部)62により印字内微振制御信号を生成するようになっている。
【0089】
ここで、小ドット駆動パルスは、小ドットを形成し得るインク滴を吐出させる駆動パルスであり、中ドット駆動パルスは、中ドットを形成し得るインク滴を吐出させる駆動パルスであり、大ドット駆動パルスは、大ドットを形成し得るインク滴を吐出させる駆動パルスである。また、印字内微振制御信号は、インク滴を吐出しないノズル開口51についてメニスカス52を微振動させる駆動パルスである。
【0090】
印字内微振動信号を圧電振動子35に供給すると、圧力発生室36が僅かに膨張・収縮し、図5(b)を用いて説明したように、ノズル開口51の開口縁付近の吐出側位置(図中点線で示す)と、この吐出側位置よりも圧力発生室36側の引き込み側位置(図中実線で示す)との間で、メニスカス52が微振動する。即ち、ノズル開口部分のインクが撹拌される。この時、リザーバ49内のインクも振動するが、その振動(圧力変動)は薄肉部40tによって吸収され、ノズル開口51の側に振動が「はねかえる」ことによる悪影響が確実に回避される。
【0091】
この例では、印字データが3ビットのデータD1,D2,D3により構成され、各データをD1=1,D2=0,D3=0に設定することで小ドット駆動パルスを生成し、各データをD1=0,D2=0,D3=1に設定することで中ドット駆動パルスを生成し、各データをD1=1,D2=0、D3=1に設定することで大ドット駆動パルスを生成し、各データをD1=0,D2=1,D3=0に設定することで印字内微振動パルスを生成するようになっている。また、各データをD1=0,D2=0,D3=0に設定すると、印字内微振動制御さえ実施されない。
【0092】
次に、上記した構成を有するプリンタの記録動作について説明する。このプリンタでは、インクの増粘を防止するために、記録ヘッド8の1回の主走査(1行の記録動作)に連動してメニスカス52を適宜微振動させる。具体的には、記録ヘッド8(キャリッジ21)の加速期間中、記録開始直前、記録動作中の各状態で、メニスカス52を微振動させる。
【0093】
なお、以下の説明では、図7に示すように、記録紙18におけるホームポジションHP側とは反対側の領域、即ち、1行における後半部分に画像18Xを記録する場合について説明する。
【0094】
ここで、図7は、1行分の記録(印字)を説明するためのタイミングチャートである。図7には、記録紙18も図示されており、記録ヘッド8の記録位置と時間との対応関係も示してある。また、図8は、ドットパターン展開処理を説明するフローチャートであり、図9はドットパターン記録処理及びこのドットパターン記録処理に割り込んでなされる位置情報取得処理を説明するフローチャートである。
【0095】
この記録動作は、中間コードデータから1行のドットパターンデータを生成するドットパターン展開処理と、展開されたドットパターンデータに基づいて記録紙18上に記録を行うドットパターン記録処理とに大別される。
【0096】
以下、これらの各処理について説明する。
【0097】
図8に示すドットパターン展開処理では、制御部6は、まず、ドットパターンデータ生成手段として機能し、1行分のドットパターンデータを生成する。即ち、中間バッファ4Bに記憶された中間コードデータを読み出し(S1)、この読み出した中間コードデータを、ROM5のフォントデータ及びグラフィック関数等に基づいてドットパターンデータに展開し(S2)、展開したドットパターンデータを出力バッファ4Cに格納する(S3)。そして、この展開作業を1行分のドットパターンが格納されるまで繰り返し実行する(S4)。
【0098】
1行分のドットパターンデータを出力バッファ4Cに格納したならば(S4)、制御部6は、記録開始位置情報設定手段として機能し、1行の印字範囲における記録開始位置を示す記録開始位置情報を設定する(S5)。記録開始位置とは、主走査方向において最初のインク滴を吐出させる位置である。図7の例においては、記録開始位置は符号P1で示されている。
【0099】
なお、本実施の形態における記録開始位置情報は、リニアエンコーダ27のスリット28に対応したカウント値、すなわち、スリット検出器29から出力されるパルスPSのカウント値に対応して設定される。
【0100】
続いて、制御部6は、展開されたドットパターンデータを記録ヘッド8に転送する(S6)。このドットパターンデータの転送を契機にして、1行分の画像の記録動作が開始され、記録ヘッド8が主走査される。そして、この主走査に連動して、メニスカス52を微振動させてインクを撹拌する微振動制御がなされる。なお、この微振動制御の実行時において、制御部6は、微振動制御手段として機能する。
【0101】
ドットパターンデータの転送に伴い、制御部6はドットパターン記録処理を行う。このドットパターン記録処理では、制御部6は、まず、印字外微振動制御手段(微振動制御手段の一種)として機能し、キャリッジ21の加速期間中におけるインクの撹拌(微振動)を行わせる。即ち、ドットパターンデータの転送を契機にして、制御部6は、微振信号発生部12からの印字外共通微振動信号(微振制御信号)を記録ヘッド8の圧電振動子35に供給する。
【0102】
この処理では、図10及び図12に示すように、制御部6は印字外共通微振動信号の供給を開始し(S11,t0)、その後、記録ヘッド8の走査を開始する(S12,t1)。さらに、例えば、この記録ヘッド8が加速状態から定速状態に切り替わる直前のタイミングで、印字外共通微振動信号の供給を停止する(S13,t2)。
【0103】
この一連の処理で、制御部6は、まず、選択部13に制御信号を出力して、微振信号発生部12からの印字外共通微振動信号を供給可能な状態にする。その後、制御部6は、パルスモータ25に作動パルスを供給し、キャリッジ21を主走査方向に沿って移動させることにより、記録ヘッド8を走査する。印字外微振動信号の停止タイミングになったら、微振信号発生部12からの印字外共通微振動信号の供給を停止することによって、印字外微振動を停止する。印字外微振制御信号の停止タイミングは、印字外微振制御信号のパルス波形201が所定の発数だけ供給されたタイミングとして設定されてもよい。
【0104】
ところで、記録ヘッド8が走査されると、この走査に伴ってキャリッジ21に設けられたスリット検出器29がリニアエンコーダ27のスリット28を検出し、パルス状の検出信号(図7に符号PSで示す信号)を出力する。制御部6は、この検出信号を監視しており、検出信号の受信を契機にして位置情報取得処理を実行する。この位置情報取得処理は、ドットパターン記録処理に割り込んで実行される処理であり、図9(b)に示すように、位置カウンタをカウントアップ(+1)する処理である(S21)。具体的には、スリット検出器29からの検出信号に基づいて、ヘッド位置情報としての位置カウンタのカウント値を+1して更新する。位置カウンタをカウントアップしたならば、ドットパターン記録処理に復帰する。なお、この位置カウンタのカウント値は、記録ヘッド8の1行分の走査が停止した場合や、記録ヘッド8が基準位置へ戻った場合等に、リセットされる。
【0105】
印字外共通微振動信号の供給を停止させたならば、制御部6は、駆動信号発生部9の選択部13に制御信号を出力して、主信号発生部11からの吐出駆動信号を供給可能な状態にする(S14)。
【0106】
吐出駆動信号を供給可能な状態にしたならば、制御部6は、記録開始タイミング判定手段として機能し、記録開始タイミングが到来したか否かを判定する(S15)。本実施形態では、制御部6は、位置カウンタのカウント値を監視しており、このカウント値が記録開始位置P1に相当するカウント値に達したことにより、記録開始タイミングが到来したと判定する(t4)。
【0107】
記録開始タイミングが到来したと判定したならば、制御部6は、吐出駆動信号を供給して、記録紙18上に画像を記録させる(S16)。この場合、図2を用いて説明したように、ドットパターンデータに基づいて、小ドット駆動パルス、中ドット駆動パルス、大ドット駆動パルス、印字内微振動パルスの何れかの駆動パルスが各圧電振動子35A〜35Nに供給される。
【0108】
これらの駆動パルスが供給されることにより、各ノズル開口51からは、小ドット、中ドットあるいは大ドットを形成し得るインク滴が吐出される。また、インク滴を吐出しないノズル開口51については、印字内微振動信号が供給されることにより、メニスカス52の微振動がなされ、ノズル開口部分のインクが撹拌される。
【0109】
1行分の記録動作が終了したならば、パルスモータ25を停止させる(S17)。その後、記録ヘッド8をホームポジションHP側に移動させて基準位置に位置付ける。その後、次の1行について、同様の記録動作を繰り返し行う。
【0110】
さて、前記の実施の形態においては、薄肉部40tの1ノズルあたりのコンプライアンスCO/Nが、1.24×10−17 であり、そのため、比率R(Vg/VhN)が45%となるような制御が実施されている。
【0111】
ここで、本件発明者は、薄肉部40tの厚さtを変えることによって薄肉部40tの1ノズルあたりのコンプライアンスCO/Nを変えて、それらの場合のそれぞれの好適な比率Rを求めた。その結果を表2に示す。
【0112】
【表2】
Figure 0003959704
表2の結果に基づいて、印字安定性が保証される条件についてのグラフを作成すると、図10のようになる。図10から、比率R[%]は、リザーバの薄肉部の1ノズルあたりのコンプライアンスがCO/N[m/N]である時に、
R≦(10/0.55)×(CO/N×1017−1.24)+45
となっていることが好ましいことがわかる。
【0113】
なお、上記の実施の形態では、いわゆるたわみ振動モードの圧電振動子35を使用した記録ヘッド8を例示したが、この記録ヘッド8に代えて、縦振動モードの圧電振動子を使用した記録ヘッドを用いてもよい。
【0114】
また、上記した実施の形態では、微振動制御手段として機能する制御部6は、駆動信号発生部9(主信号発生部11,微振信号発生部12)が発生した駆動信号を記録ヘッド8に供給させるものであったが、微振動制御手段はこの構成に限定されない。
【0115】
また、上記した実施の形態では、記録開始位置情報設定手段は、ドットパターンデータに基づいて記録ヘッド8の記録開始位置を設定するが、記録開始位置を設定させるためのデータはこれに限定されない。例えば、記録開始位置を、ホストコンピュータからの印刷データ(記録データの一種に相当)に基づいて設定してもよく、中間データ(記録データの一種に相当)に基づいて設定してもよい。
【0116】
なお、以上の説明は、圧電振動子35を用いて圧力発生室36を膨張・収縮させる記録ヘッド8を備えたプリンタを例示したが、本発明は、圧力発生室内に気泡を発生させ、この気泡の大きさを変化させることでノズル開口からインク滴を吐出させる所謂バブルジェット方式の記録ヘッドを備えたプリンタやプロッタにも適用することができる。
【0117】
また、プリンタが使用される際の環境温度は、例えば、摂氏数度から40数度と幅広い。このため、低温時と高温時とでは、同一種類のインクであってもインク粘度にかなりの差が生じ、低温時にはインク粘度が高くなり、高温時にはインク粘度が低くなる。このインク粘度の差異に起因して、低温時と高温時とで同じ波形の微振動信号を印加した場合、低温時にはメニスカス52の移動量が少なくインクの撹拌効果が得られ難い一方、高温時にはメニスカス52の移動量が過剰に大きくなり必要以上にメニスカス52を振動させてしまう。
【0118】
この点を考慮して、図1に示すように、本実施の形態のインクジェット式記録装置は、環境温度を計測するサーミスタ100(本願発明における温度判別部の一種)を備え、このサーミスタ100が検出した環境温度に基づいて、微振動信号(印字外微振動信号及び印字内微振動信号)の電位差を環境温度に応じて変化させるようにしている。サーミスタ100は、例えば、記録ヘッド8のプリント基板(図示せず)に実装されて、記録ヘッド8の温度を正確に検出するようになっている。
【0119】
駆動信号発生部9は、第1補正率決定部9bに接続されており、当該第1補正率決定部9bが、サーミスタ100の計測値に基づいて、環境温度が低くインク粘度が高い場合には比較的強い力でメニスカス52を振動させるように微振動共通信号のパルス201の電位差を補正する(例えば掛け合わせる)ための振幅補正率を設定し、環境温度が高くインク粘度が低い場合には比較的弱い力でメニスカス52を振動させるように微振動共通信号の電位差を補正するための振幅補正率を設定する。そして、微振信号発生部12は、リザーバ49の薄肉部40tのコンプライアンスと第1補正率決定部9bにより設定された振幅補正率とに基づいて、微振動共通信号を生成する。
【0120】
これにより、環境温度の変化に拘らず、印字外微振動時のメニスカス52の振幅を一定にすることができ、ノズル開口部分のインクに対し最適な撹拌効果を与えることができる。
【0121】
同様に、駆動信号発生部9は、第2補正率決定部9aを有しており、当該第2補正率決定部9aが、サーミスタ100の計測値に基づいて、環境温度が低くインク粘度が高い場合には比較的強い力でメニスカス52を振動させるように吐出駆動信号の第2パルス部62の電位差を補正するための振幅補率を設定し、環境温度が高くインク粘度が低い場合には比較的弱い力でメニスカス52を振動させるように吐出駆動信号の第2パルス部62の電位差を補正するための振幅補正率を設定する。そして、主信号発生部11は、リザーバ49の薄肉部40tのコンプライアンスと第2補正率決定部9aにより設定された振幅補正率とに基づいて、吐出駆動信号を生成する。
【0122】
これにより、環境温度の変化に拘らず、印字内微振動時のメニスカス52の振幅を一定にすることができ、ノズル開口部分のインクに対し最適な撹拌効果を与えることができる。
【0123】
なお、第1パルス部61及び第3パルス部63の振幅及び波形についても、第2補正率決定部9aにより設定された振幅補正率によって補正されてもよい。
【0124】
さて、以上の実施の形態においては、各ノズル開口51に供給されるインクは全て共通であるが、多色印刷の場合等、各ノズル開口51に供給されるインクの種類が複数種類ある場合には、各インクのリザーバ毎、すなわち、各リザーバの薄肉部のコンプライアンス毎に各微振制御信号が生成されることが好ましい。
【0125】
多色印刷用の記録ヘッドの一例を、図11及び図12に示す。図11は、多色印刷用の記録ヘッドの一例の概略平面図であり、図12は図11の記録ヘッドの各リザーバの薄肉部を示す概略図である。この例の場合、BK(ブラック)、C(シアン)、M(マゼンタ)及びY(イエロウ)の各インク用のリザーバ49の形状が互いに異なっており、各リザーバ49の一部を区画する各薄肉部40tの形状、結果として各薄肉部40tのコンプライアンスも異なっている。
【0126】
このように、インク流路の配置の関係等によって各インク色の流路毎にリザーバが異なる形状で形成され、当該リザーバの薄肉部のコンプライアンスが異なっている場合でも、各インクのリザーバ毎、すなわち、各リザーバの薄肉部のコンプライアンス毎に各微振制御信号が生成されれば、インク色毎に好適な微振動制御を実現することができる。
【0127】
また、薄肉部のコンプライアンスの値は、ヘッドID等の形態でインタフェース機器130から入力可能であるため、記録ヘッドの交換や小型化等の改良に柔軟に対応することができる。
【0128】
また、制御信号の波形に関するデータについても、これを記憶した記録媒体を利用することができる。このような例について、図13及び図14を用いて説明する。
【0129】
図13は、このようなインクジェット式記録装置の電気的構成を説明するためのブロック図であり、この記録装置はプリンタコントローラ161と、プリントエンジン162とを備えている。プリンタコントローラ161は、ホストコンピュータ(図示せず)等から印刷データ等を受信するインターフェース163と、各種データの記憶等を行うRAM164と、各種データ処理のための制御ルーチン等を記憶したROM165と、CPU等から成る制御部182と、発振回路166と、記録ヘッドへ供給する駆動信号を発生する駆動信号発生回路183と、ドットパターンデータ(ビットマップデータ)に展開された印字データや駆動信号等をプリントエンジン162に送信するためのインターフェース167とを備えている。
【0130】
この他に、プリンタコントローラ161は、メモリカード176を着脱可能に保持し、記録媒体保持部として機能するカードスロット177と、メモリカード176に記録された情報を制御部182に送信するカードインターフェース178とを備えている。上記のメモリカード176は、本発明における記録媒体の一種であり、駆動信号の波形に関するデータが記録されている。なお、本発明における記録媒体は、このメモリカード176に限定されるものではなく、種々のものが使用可能である。例えば、フロッピーディスク、ハードディスク、光磁気ディスク等も使用することができる。
【0131】
そして、制御部182は本発明におけるコンピュータの一種であり、メモリカード176に記録された駆動信号の波形データやROM165に記録された制御ルーチン等を参照してインク滴の吐出制御を行う。
【0132】
インターフェース163は、例えばキャラクタコード、グラフィック関数、イメージデータのいずれか1つのデータ又は複数のデータからなる印刷データをホストコンピュータから受信する。また、インターフェース163は、ホストコンピュータに対してビジー(BUSY)信号やアクノレッジ(ACK)信号等を出力することができる。
【0133】
RAM164は、受信バッファ、中間バッファ、出力バッファ及びワークメモリ(図示せず)等として利用されるものである。受信バッファにはホストコンピュータからの印刷データが一時的に記憶され、中間バッファには中間コードデータが記憶され、出力バッファにはドットパターンデータが展開される。
【0134】
ROM165は、制御部182によって実行される各種制御ルーチン、フォントデータ、及びグラフィック関数等を記憶している。
【0135】
なお、このROM165には、変更されずに継続的に使用される制御ルーチン(制御プログラム)が記憶されている。そして、駆動信号の波形に関するデータ等、バージョンアップや変更が予定されるものは、上記のメモリカード176に記録される。
【0136】
制御部182は、メモリカード176から読み取った駆動信号の波形に関するデータに基づいて駆動信号発生回路183を制御して所定の駆動信号を生成させる。すなわち、制御部182と駆動信号発生回路183とが、微振制御信号発生手段として機能する。このときの駆動信号は、上記実施形態において説明したものと同様である。
【0137】
プリントエンジン162は、キャリッジ機構180、紙送り機構181、及び記録ヘッドの電気駆動系171とから構成されている。記録ヘッドの電気駆動系171は、シフトレジスタ172、ラッチ回路173、レベルシフタ174、スイッチ175、及び圧電振動子184等を備えている。
【0138】
図14は、駆動信号発生回路183の一例を示すものであって、この駆動信号発生回路183は、波形生成回路191と電流増幅回路92とを備えている。
【0139】
波形生成回路191は、波形メモリ193と、第1波形ラッチ回路194と、第2波形ラッチ回路195と、加算器196と、デジタルアナログ変換器197と、電圧増幅回路198とを備えている。
【0140】
波形メモリ193は、制御部182から出力された複数種類の電圧変化量のデータを個別に記憶する変化量データ記憶手段として機能する。この波形メモリ193には第1波形ラッチ回路194が電気的に接続されている。そして、第1波形ラッチ回路194は、第1タイミング信号に同期して波形メモリ193の所定アドレスに記憶された電圧変化量のデータを保持する。加算器196には第1波形ラッチ回路194の出力と第2波形ラッチ回路195の出力が入力され、この加算器196の出力側には上記の第2波形ラッチ回路195が電気的に接続されている。そして、この加算器196は、変化量データ加算手段として機能して、出力信号同士を加算して出力する。
【0141】
第2波形ラッチ回路195は、第2タイミング信号に同期して加算器196から出力されたデータ(電圧情報)を保持する出力データ保持手段である。D/A変換器197は、第2波形ラッチ回路195の出力側に電気的に接続されており、第2波形ラッチ回路195が保持する出力信号をアナログ信号に変換する。電圧増幅回路198は、D/A変換器197の出力側に電気的に接続されており、D/A変換器197で変換されたアナログ信号を駆動信号の電圧まで増幅する。
【0142】
電流増幅回路192は、電圧増幅回路198の出力側に電気的に接続されており、電圧増幅回路198で電圧が増幅された信号に対する電流増幅を行って駆動信号(COM)として出力する。
【0143】
上記の構成を有する駆動信号発生回路183では、駆動信号の生成に先立って、電圧変化量を示す複数の変化量データを波形メモリ193の記憶領域に個別に記憶させる。例えば、制御部182は、変化量データとこの変化量データに対応するアドレスデータとを波形メモリ193に出力する。そして、波形メモリ193は、変化量データをアドレスデータで指定される記憶領域に記憶する。なお、変化量データは正負の情報(増減情報)を含んだデータで構成され、アドレスデータは例えば4ビットのアドレス信号で構成される。
【0144】
このようにして、複数種類の変化量データが波形メモリ193に記憶されると、駆動信号の生成が可能になる。
【0145】
駆動信号の生成は、変化量データを第1波形ラッチ回路194にセットし、所定の更新周期毎に、第1波形ラッチ回路194にセットした変化量データを第2波形ラッチ回路195からの出力電圧に加算することで行う。
【0146】
このような駆動信号発生回路183を用いることによって、メモリカード176のような記録媒体に記憶させた制御信号の波形に関する情報を有効に利用することができる。
【0147】
なお、前述のように、プリンタコントローラ1はコンピュータシステムによって構成されているが、コンピュータシステムに前記各要素を実現させるためのプログラム及び当該プログラムを記録したコンピュータ読取り可能な記録媒体も、本件の保護対象である。
【0148】
さらに、前記の各要素が、コンピュータシステム上で動作するOS等のプログラムによって実現される場合、当該OS等のプログラムを制御する各種命令を含むプログラム及び当該プログラムを記録した記録媒体も、本件の保護対象である。
【0149】
また、コンピュータシステムは、単体のホストコンピュータであっても良いし、ネットワークを介して接続された多数のコンピュータのうちの1つのコンピュータであっても良い。
【0150】
なお、本発明は、インクジェット式記録装置以外の任意の液体噴射装置に適用され得る。液体の例としては、インクの他に、グルー、マニキュア等が使用され得る。
【0151】
【発明の効果】
以上説明したように、本発明によれば、微振制御信号発生手段が、リザーバの薄肉部のコンプライアンスに基づいて微振制御信号を生成するため、リザーバの薄肉部のコンプライアンスに対応した好適な微振動制御を行うことができる。
【0152】
好ましくは、ヘッド部材の液体流路は、圧力発生室と、圧力発生室の両端部に連通する第1連通孔及び液体供給口と、を有しており、リザーバは、前記液体供給口を介して前記圧力発生室に連通しており、ノズル開口は、前記連通孔を介して前記圧力発生室に連通している。このような配置の場合、薄肉部を大面積に形成することができ、結果的に薄肉部のコンプライアンスを大きくすることができる。
【0153】
さらに好ましくは、ヘッド部材は、振動部材としての蓋部材と、蓋部材の下面側に配置され、蓋部材により上面が封止され圧力発生室を形成する開口部を有するスペーサと、スペーサの下面側に配置され、スペーサの開口部の下面を封止すると共に当該開口部の両端部に連通する第1連通孔及び液体供給口を有する液体供給口形成基板と、液体供給口形成基板の下面側に配置され、前記液体供給口に連通すると共に液体供給口形成基板により上面が封止されリザーバを形成する開口部と、前記第1連通孔に連通する第2連通孔と、を有するリザーバ形成基板と、リザーバ形成基板の下面側に配置され、リザーバ形成基板の開口部の下面を封止すると共に、前記第2連通孔に連通するノズル開口を有するノズルプレートと、を有しており、リザーバの薄肉部は、液体供給口形成基板の下面側の一部によって形成されている。このような構成は、焼成による一体形成に適している。
【0154】
微振制御信号は、所定のパルス波形を有する周期信号であり、前記パルス波形の最大電圧が、前記リザーバの薄肉部のコンプライアンスに基づいて決定されていることが好ましい。
【0155】
さらには、ノズル開口部分の液体を吐出させる液体吐出手段と、吐出制御信号を生成する吐出制御信号発生手段と、吐出制御信号に基づいて、前記液体吐出手段を駆動させる吐出制御手段と、をさらに備え、吐出制御信号は、所定の波形を有する信号であり、前記パルス波形の最大電圧の、前記吐出制御信号の最大電圧に対する比率が、リザーバの薄肉部のコンプライアンスに基づいて決定されていることが好ましい。
【0156】
さらには、前記パルス波形の最大電圧の、前記吐出制御信号の最大電圧に対する比率R[%]は、リザーバの薄肉部のコンプライアンスがCO[m/N]である時に、
R≦(10/0.55)×(CO×1017 −1.24)+45
となっていることが好ましい。この場合、リザーバ内のインクの振動がノズル開口側に「はねかえる」ことによる悪影響が回避され、最大限の増粘防止効果を得ることができる。
【0157】
また、ヘッド部材は、複数のノズル開口を有し、リザーバは複数のノズル開口に対して共通に形成され得る。この場合、前記パルス波形の最大電圧の、前記吐出制御信号の最大電圧に対する比率R[%]は、リザーバの薄肉部の1ノズルあたりのコンプライアンスがCO[m/N]である時に、
R≦(10/0.55)×(CO×1017 −1.24)+45
となっていることが好ましい。この場合、リザーバ内のインクの振動がノズル開口側に「はねかえる」ことによる悪影響が回避され、最大限の増粘防止効果を得ることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の一実施の形態によるインクジェット式プリンタの構成を説明する概略ブロック図である。
【図2】吐出駆動信号及び、この吐出駆動信号に基づいて生成される駆動パルスを説明する図である。
【図3】微振制御信号を説明する図である。
【図4】図1のインクジェット式プリンタの斜視図である。
【図5】記録ヘッドの構造を説明する図であり、(a)は断面図、(b)は(a)におけるA部の拡大断面図である。
【図6】記録ヘッドにおける電気的構成を説明するブロック図である。
【図7】1行の記録動作を説明するタイミングチャートである。
【図8】ドットパターン展開処理を説明するフローチャートである。
【図9】(a)はドットパターン記録処理を説明するフローチャート、(b)は位置情報取得処理を説明するフローチャートである。
【図10】薄肉部のコンプライアンスに対する好適な微振制御信号の条件を説明する図である。
【図11】多色印刷用の記録ヘッドの一例の概略平面図である。
【図12】図11の記録ヘッドの各リザーバの薄肉部を示す概略図である。
【図13】制御信号の波形に関するデータをメモリカードから読取る態様のインクジェット式記録装置の構成を説明する概略ブロック図である。
【図14】図13の駆動信号発生回路の一例を示すブロック図である。
【符号の説明】
1 プリンタコントローラ
2 プリントエンジン
3 外部インターフェース
4 RAM
5 ROM
6 制御部
7 発振回路
8 記録ヘッド
9 駆動信号発生部
9a 第2補正率決定部
9b 第1補正率決定部
10 内部インターフェース
11 主信号発生部
12 微振信号発生部
13 選択部
16 紙送り機構
17 キャリッジ機構
18 記録紙
19 インクカートリッジ
20 ガイド部材
21 キャリッジ
22 駆動プーリ
23 従動プーリ
24 タイミングベルト
25 パルスモータ
26 プリンタ筐体
27 リニアエンコーダ
28 スリット
29 スリット検出器
30 キャッピング機構
33 アクチュエータユニット
34 流路ユニット
35 圧電振動子
36 圧力発生室
37 第1の蓋部材
38 スペーサ部材
39 第2の蓋部材
40 インク供給口形成基板
40r 凹部
40t 薄肉部
41 リザーバ形成基板
42 ノズルプレート
43 接着層
44 共通電極
45 駆動電極
46 供給側連通孔
47 第1ノズル連通孔
48 インク供給口
49 リザーバ
50 第2ノズル連通孔
51 ノズル開口
52 メニスカス
55 シフトレジスタ
56 ラッチ回路
57 レベルシフタ
58 スイッチ
61 第1パルス部
62 第2パルス部
63 第3パルス部
100 サーミスタ
130 インタフェース機器
161 プリンタコントローラ
162 プリントエンジン
163 外部インターフェース
164 RAM
165 ROM
166 発振回路
167 インターフェース
171 電気駆動系
172 シフトレジスタ
173 ラッチ回路
174 レベルシフタ
175 スイッチ
176 メモリカード
177 カードスロット
178 カードインターフェース
180 キャリッジ機構
181 紙送り機構
182 制御部
183 制御信号発生回路
184 圧電振動子
191 波形生成回路
192 電流増幅回路
193 波形メモリ
194 第1波形ラッチ回路
195 第2波形ラッチ回路
196 加算器
197 デジタルアナログ変換器
198 電圧増幅回路

Claims (2)

  1. 複数のノズル開口と、一部が薄肉部によって区画されたリザーバと、リザーバからノズル開口に液体を供給するための液体流路とを有し、前記リザーバは複数のノズル開口に対して共通に形成されているヘッド部材と、
    ノズル開口部分の液体を吐出させる液体吐出手段と、
    吐出制御信号を生成する吐出制御信号発生手段と、
    吐出制御信号に基づいて、前記液体吐出手段を駆動させる吐出制御手段と、
    ノズル開口部分の液体を微振動させる微振動手段と、
    微振制御信号を生成する微振制御信号発生手段と、
    前記微振制御信号に基づいて、前記微振動手段を駆動させる微振動制御手段と、
    を備えた液体噴射装置の制御方法であって
    吐出制御信号は、所定の波形を有する信号であり、
    微振制御信号は、所定のパルス波形を有する周期信号であり、
    前記リザーバの薄肉部の1ノズルあたりのコンプライアンスCO/N[m/N]が、
    1.0×10−17以上1.55×10−17以下の場合に、
    前記パルス波形の電位差の、前記吐出制御信号の最大電圧に対する比率R[%]が、
    R≦(10/0.55)×(CO/N×1017−1.24)+45
    となるように前記パルス波形の電位差を決定する
    ことを特徴とする液体噴射装置の制御方法。
  2. ヘッド部材の温度を判別する温度判別部と、
    前記温度判別部により判別されたヘッド部材の温度に基づいて、微振制御信号の振幅補正率を決定する補正率決定部と、
    をさらに備え、
    前記パルス波形の電位差の、前記吐出制御信号の最大電圧に対する比率が、リザーバの薄肉部のコンプライアンスと補正率決定部により決定された振幅補正率とに基づいて決定する
    ことを特徴とする請求項1に記載の液体噴射装置の制御方法。
JP2000158926A 2000-05-29 2000-05-29 液体噴射装置 Expired - Fee Related JP3959704B2 (ja)

Priority Applications (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2000158926A JP3959704B2 (ja) 2000-05-29 2000-05-29 液体噴射装置

Applications Claiming Priority (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2000158926A JP3959704B2 (ja) 2000-05-29 2000-05-29 液体噴射装置

Publications (2)

Publication Number Publication Date
JP2001334660A JP2001334660A (ja) 2001-12-04
JP3959704B2 true JP3959704B2 (ja) 2007-08-15

Family

ID=18663326

Family Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP2000158926A Expired - Fee Related JP3959704B2 (ja) 2000-05-29 2000-05-29 液体噴射装置

Country Status (1)

Country Link
JP (1) JP3959704B2 (ja)

Families Citing this family (1)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP4453720B2 (ja) * 2007-06-01 2010-04-21 セイコーエプソン株式会社 液体噴射ヘッドユニット及び液体噴射装置

Also Published As

Publication number Publication date
JP2001334660A (ja) 2001-12-04

Similar Documents

Publication Publication Date Title
JP4273819B2 (ja) 液体噴射装置、及びその制御方法
EP1093916B1 (en) Ink jet recording apparatus
US7374263B2 (en) Liquid ejecting apparatus
EP1138500B1 (en) Apparatus jetting liquid from nozzles with micro vibration unit
JP3659494B2 (ja) 液体噴射装置
EP1024000B1 (en) Controlling unit and use of an ink-jet recording apparatus
JP3844186B2 (ja) インクジェット式記録装置
JP3842568B2 (ja) 液体噴射装置
JP3319733B2 (ja) インクジェット式記録装置及びその制御方法
JP4656125B2 (ja) インクジェット式記録装置
JP2005104107A (ja) 液体噴射装置、及び、その微振動制御方法
JP3919874B2 (ja) 高速印刷モードを備えたインクジェット式記録装置
JP3467695B2 (ja) 液体噴射装置及びその微振動制御方法
JP4529120B2 (ja) 液体噴射装置
JP4296796B2 (ja) 液体噴射装置、及び、その液滴吐出制御方法
JP4484293B2 (ja) インクジェット式記録装置
JP2003103777A (ja) 液体噴射装置
US6905184B2 (en) Liquid jetting apparatus
JP2011088346A (ja) 液体噴射装置、及び、液体噴射装置の制御方法
JP3959704B2 (ja) 液体噴射装置
JP3988130B2 (ja) 液体噴射装置
JP2006272754A (ja) 液体噴射装置
JP4956901B2 (ja) 液体噴射装置
JP3849634B2 (ja) 液体噴射装置
JP2007111946A (ja) 液体噴射装置の製造方法、及び、液体噴射装置

Legal Events

Date Code Title Description
A977 Report on retrieval

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A971007

Effective date: 20041122

A131 Notification of reasons for refusal

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A131

Effective date: 20050510

A521 Written amendment

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A523

Effective date: 20050616

A131 Notification of reasons for refusal

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A131

Effective date: 20070109

A521 Written amendment

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A523

Effective date: 20070312

TRDD Decision of grant or rejection written
A01 Written decision to grant a patent or to grant a registration (utility model)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A01

Effective date: 20070420

A61 First payment of annual fees (during grant procedure)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A61

Effective date: 20070503

R150 Certificate of patent or registration of utility model

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R150

FPAY Renewal fee payment (event date is renewal date of database)

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20110525

Year of fee payment: 4

FPAY Renewal fee payment (event date is renewal date of database)

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20120525

Year of fee payment: 5

FPAY Renewal fee payment (event date is renewal date of database)

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20120525

Year of fee payment: 5

FPAY Renewal fee payment (event date is renewal date of database)

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20130525

Year of fee payment: 6

FPAY Renewal fee payment (event date is renewal date of database)

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20140525

Year of fee payment: 7

S531 Written request for registration of change of domicile

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R313531

R350 Written notification of registration of transfer

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R350

LAPS Cancellation because of no payment of annual fees