JP4481553B2 - プリント配線基板穿孔用シート及びかかるシートを用いたプリント配線基板の穿孔方法 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、多層プリント配線基板等の積層板にスルーホールを形成させるための孔あけ(穿孔)加工に有用なプリント配線基板穿孔用シート、該シートを用いたプリント配線基板の穿孔方法に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
プリント配線基板等の積層基板にスルーホールを穿孔する場合は、孔径が大きい場合は基板に直接ドリルを当てて穿孔が行われるが、孔径の小さい汎用品の基板では、一般に上記基板上にアルミニウム箔等の金属薄膜と各種の水溶性化合物の層を配置し、ドリル、錐、あるいはパンチャー等を用いて貫孔している。
上記方法において、水溶性化合物膜の使用は、基板表面の凹凸が原因となるドリルビット部の逃げを防止して目的とするスルーホール部の位置にドリル先端部を正確に設定する、つまり加工位置精度の確保の目的で用いられ、更にアルミニウム箔の使用は基板の穿孔終了後、ドリルの引抜きの際に基板上の銅面の剥離防止、いわゆるバリ防止と共に穿孔時に発生するスルーホール部の発熱に帰因するスルーホール部の目づまりや切削クズの付着のトラブルを避けるためのもので、かかるアルミニウム箔/水溶性化合物膜の積層利用によって効率よくスルーホール加工を実施している。その上、水溶性化合物は、穿孔終了後に基板を水洗することによって、基板からの除去が可能であるというメリットも持っている。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】
しかし、上記のようにバリ防止効果を期待するとき、実用的にはアルミニウム箔はその膜厚を100μ以上とするのが現状であり、一層の効果を得るために硬質アルミニウムを使用する場合もある。
かかる場合、アルミニウム箔との摩擦によりドリルの消耗が激しくなる等の不具合が生じていた。
【0004】
また、近年のプリント配線のファイン化はドリル径にも反映しており、0.15mm以下の細いスルーホールをより多数穿孔する必要が生じており、バリの発生以上にドリル寿命が非常に重要となってきている。
かかる、問題を避けるためアルミニウム箔に変えて、ポリエチレンテレテタレート等の各種のプラスチックシートが使用されているが、加工位置精度やめっき付きまわり性、つまりスルーホール内にめっきを施したときの、均一なめっき加工性等がいずれも低下することが懸念され、その対応が望まれている。
【0005】
【課題を解決するための手段】
上記の課題を解決するため、本発明者らが鋭意検討した結果、膜厚が16〜300μmであり、伸度が100%以下である未延伸のプラスチックシートに、水溶性高分子と下記一般式(1)で示される化合物を共重合成分とする共重合体とを含有する樹脂組成物(C)、水溶性高分子と水溶性滑剤とを含有する樹脂組成物(D)の群から選ばれる成分からなる少なくとも一つの層を、積層してなるプリント配線基板穿孔用シートが、かかる問題を解決しうることを見いだし本発明を完成した。
(ここでRは水素又はメチル基で、nは10〜22の整数である。)
【0006】
【発明の実施の形態】
まず、本発明のプリント配線基板穿孔用シートについて以下に述べる。
本発明のプリント配線基板穿孔用シートは、上記の(C)、(D)成分を積層するプラスチックシートに特徴があり、該プラスチックシートは膜厚が16〜300μmの未延伸であり、かつ伸度が100%以下、好ましくは90%以下であることが必要である。
【0007】
本発明において未延伸とは流延、押出し等の任意の製膜法でシートを製造する際にシートをドラムやベルト等の流延面基材、押出し面基材からの剥離時に生ずるシートの伸びを20%以下、好ましくは15%以下に留めることを意味する。20%を越えて延伸がかけられると本発明の効果が低下する。
また、上記プラスチックシートの伸度は100%以下、好ましくは90%以下であることが必要である。
伸度が100%を越えるシートでは、穿孔時にドリルへの屑付着量が多くなり、穿孔壁面の粗度が高まりめつき不良等の不具合の原因となる。
伸度の測定は、プラスチックフィルム及びシート引っ張り試験方法(JIS C 2111)に準じて測定した値である。本発明で対象とするシートの膜厚範囲では、伸度の値は膜厚に左右されない。
【0008】
本発明のシートの膜厚は16〜300μmであることが必要であり、好ましくは20〜200μm、特に好ましくは25〜190μmである。
膜厚が16μm未満では穿孔時にカールや撓みが発生し易く、ハンドリング性が劣ったり、加工位置精度を悪化させる原因となる恐れがある。
逆に膜厚が300μmを越えると、穿孔時にプリント配線板を多段階に重ねて作業をしようとする際に、枚数に制約が生ずる等の不具合が発生するほか、ドリルへの屑付着樹脂量が増える。
【0009】
上記のプラスチックシートとしてはトリアセチルセルロース(TAC)シート、非晶質シクロオレフィンシート、ポリスチロールシート、ポリメチル(メタ)クリレートシート、硬質ポリカーボネートシート等が例示される。
【0010】
かかるプラスチックシートに積層する(C)、(D)成分について、以下に説明する。
本発明で用いる樹脂組成物(C)は、水溶性高分子と下記一般式(1)で示される化合物を共重合成分とする共重合体とを含有するものであり、樹脂組成物(D)は、水溶性高分子と水溶性滑剤とを含有するものである。
水溶性滑剤としてはポリオキシアルキレン化合物が有用で、具体的にはポリアルキレングリコール及びポリアルキレングリコールのモノエーテル化物、モノエーテルモノエステル化物、ジエーテル化物、モノエステル化物、ジエステル化物等が挙げられ、かかるポリアルキレングリコールとしては、ポリエチレングリコール、ポリプロピレングリコール、ポリブチレングリコール等が例示される。
【0011】
モノエーテル化物としては、ポリオキシエチレンモノオレイルエーテル、ポリオキシエチレンモノセチルエーテル、ポリオキシエチレンモノステアリルエーテル、ポリオキシエチレンモノラウリルエーテル、ポリオキシエチレンモノドデシルエーテル、ポリオキシエチレンモノノニルフェノールエーテル、ポリオキシエチレンモノオクチルフェニルエーテルが例示される。モノエーテルモノエステル化物としてはメトキシポリエチレングリコール(メタ)アクリレート、エトキシポリエチレングリコール(メタ)アクリレート、プロポキシポリエチレングリコール(メタ)アクリレートが挙げられる。ジエテール化物としては、ポリオキシエチレンジオレイルエーテル、ポリオキシエチレンジセチルエーテル、ポリオキシエチレンジステアリルエーテル、ポリオキシエチレンジラウリルエーテル、ポリオキシエチレンジドデシルエーテル、ポリオキシエチレンジノニルフェノールエーテル、ポリオキシエチレンジオクチルフェニルエーテル等が使用される。
【0012】
モノエステル化物としては、ポリオキシエチレンモノ(メタ)アクリレート、ポリオキシエチレンモノオレエート、ポリオキシエチレンモノラウレート、ポリオキシエチレンモノステアレート、ポリオキシエチレンモノ牛脂肪酸エステル、ポリグルセリンモノステアレート等が例示され、ジエステル化物としては、ポリオキシエチレンジ(メタ)アクリレート、ポリオキシエチレンジオレエート、ポリオキシエチレンジラウレート、ポリオキシエチレンジステアレート、ポリオキシエチレンジ牛脂肪酸エステル、ポリグルセリンジステアレート等が例示される。
【0013】
上記ポリオキシアルキレン化合物の重量平均分子量としては、300以上10000未満が有利である。重量平均分子量が300未満では、水溶性滑剤(A)層をフイルム又はシート状にして長期間放置する場合に、ブリードアウトがおこる原因となり、重量平均分子量が10000以上になると水溶性低下の恐れが出る。
【0014】
水溶性高分子としては、ポリビニルアルコール系樹脂、高分子量ポリアルキレングリコール(重量平均分子量が10000を越える以外は、上記で説明したオキシアルキレン化合物と同様のものである)、澱粉、ポリアクリル酸ナトリウム、セルロース誘導体、カゼイン、アルギン酸ナトリウム、ペクチン、ポリアクリルアミド、ポリエチレンイミン、ポリビニルピロリドン、ポリビニルカプロラクトン等が例示されるが、ポリビニルアルコール系樹脂がドリル穿孔時の加工位置精度が良好な点で好ましい。
【0015】
かかるポリビニルアルコール系樹脂としては、ポリビニルアルコール、変性ポリビニルアルコールいずれでもよく、該ポリビニルアルコールは酢酸ビニルを単独重合し、更にそれをケン化して製造される。また変性ポリビニルアルコールは酢酸ビニルと他の不飽和単量体との重合体をケン化して製造されたり、ポリビニルアルコールを後変性して製造される。
【0016】
上記で他の不飽和単量体としては、例えばエチレン、プロピレン、イソブチレン、α−オクテン、α−ドデセン、α−オクタデセン等のオレフィン類、アクリル酸、メタクリル酸、クロトン酸、マレイン酸、無水マレイン酸、イタコン酸等の不飽和酸類あるいはその塩あるいはモノ又はジアルキルエステル等、アクリロニトリル、メタアクリロニトリル等のニトリル類、アクリルアミド、メタクリルアミド等のアミド類、エチレンスルホン酸、アリルスルホン酸、メタアリルスルホン酸等のオレフィンスルホン酸あるいはその塩、アルキルビニルエーテル類、N−アクリルアミドメチルトリメチルアンモニウムクロライド、アリルトリメチルアンモニウムクロライド、ジメチルアリルビニルケトン、N−ビニルピロリドン、塩化ビニル、塩化ビニリデン、ポリオキシエチレン(メタ)アリルエーテル、ポリオキシプロピレン(メタ)アリルエーテルなどのポリオキシアルキレン(メタ)アリルエーテル、ポリオキシエチレン(メタ)アクリレート、ポリオキシプロピレン(メタ)アクリレート等のポリオキシアルキレン(メタ)アクリレート、ポリオキシエチレン(メタ)アクリルアミド、ポリオキシプロピレン(メタ)アクリルアミド等のポリオキシアルキレン(メタ)アクリルアミド、ポリオキシエチレン(1−(メタ)アクリルアミドー1,1−ジメチルプロピル)エステル、ポリオキシエチレンビニルエーテル、ポリオキシプロピレンビニルエーテル、ポリオキシエチレンアリルアミン、ポリオキシプロピレンアリルアミン、ポリオキシエチレンビニルアミン、ポリオキシプロピレンビニルアミン等がいずれも例示される。
【0017】
又後変性の方法としては、ポリビニルアルコールをアセト酢酸エステル化、アセタール化、ウレタン化、エーテル化、グラフト化、リン酸エステル化、オキシアルキレン化する方法等が挙げられる。
【0018】
かかるポリビニルアルコール系樹脂の中でも、ケン化度が65モル%以上のものが好ましく、更には70〜100モル%、特には75〜99モル%が有利である。かかるケン化度が65モル%未満では、穿孔後の水洗等による除去に労力を要し好ましくない。
【0019】
又、20℃、4重量%水溶液の粘度は2.5〜100mPa・sが好ましく、更には2.5〜70mPa・s、特には2.5〜60mPa・sが有利である。該粘度が2.5mPa・s未満では、タックが強くなり穿孔時にビットへの屑付着が起こる恐れがあり、一方100mPa・sを越えるとシートへの製膜性が悪くなったり水洗性が低下することがあり好ましくない。尚、上記粘度はJIS K 6726に準じて測定されるものである。
【0020】
一般式(1)で示される化合物は以下の構造を有している。
(ここでRは水素又はメチル基で、nは10〜22の整数である。)
【0021】
上記一般式(1)においてnは、10〜22であるが、好ましくは15〜20で、かかるnが9以下の化合物を共重合して得られる共重合体は製膜性が劣り、逆に23以上では共重合体と水溶性高分子との相溶性が悪くなる恐れがある。
【0022】
上記一般式(1)で示される化合物の具体例としては、ステアリル(メタ)アクリレート、ペンタデカ(メタ)アクリレート、パルミチル(メタ)アクリレート、ヘプタデカン(メタ)アクリレート等を挙げることができ、好適にはステアリル(メタ)アクリレートが用いられる。
【0023】
また、上記一般式(1)で示される化合物と共重合される他の化合物としては特に限定されることはないが、アクリル系化合物が好ましくその具体例としては、(メタ)アクリル酸、メチル(メタ)アクリレート、エチル(メタ)アクリレート、プロピル(メタ)アクリレート、ブチル(メタ)アクリレート、ヘキシル(メタ)アクリレート、2−エチルヘキシル(メタ)アクリレート、シクロヘキシル(メタ)アクリレート、ベンジル(メタ)アクリレート、ジメチルアミノエチル(メタ)アクリレート、ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、グリシジル(メタ)アクリレート等が例示され、好適にはアクリル酸が用いられる。
【0024】
本発明においてかかる共重合体を得る際に、上記一般式(1)で示される化合物と他の化合物との共重合比は50/50〜95/5(重量比)の範囲とすることが好ましく、更には70/30〜90/10である。かかる共重合比が50/50未満では、樹脂組成物をシート状にして長期放置した時に可塑性が低下したり、それを用いて穿孔した時にめっき付きまわり性が低下することがあり、95/5を越えると穿孔用シートの保存時にシート中にゲル状物が析出することがあり好ましくない。
共重合は通常溶液重合が実施され、得られる共重合体反応液がそのまま用いられることがあるが、通常は樹脂濃度を調整して用いられる。
共重合体の重量平均分子量としては1000〜200000であることが好ましく、更には3000〜100000である。
重量平均分子量が1000未満では水溶性高分子との相溶性に劣ることがあり、200000を越えると穿孔シートを作製して長期放置した時に可塑性が低下することがあり好ましくない。
【0025】
上記共重合体の市販品は溶剤溶液として提供されることがあり、例えばステアリルメタクリレート/アクリル酸共重合体の溶剤溶液である新中村化学社製「バナレジン2203」、「バナレジン2205」、「バナレジン2206」、「バナレジン2207」等が挙げられる。
【0026】
樹脂組成物(C)における水溶性高分子及び共重合体の配合量は水溶性高分子が30〜95重量%が好ましく、更には30〜85重量%である。水溶性高分子の配合量が30重量%未満では樹脂組成物の分散性が低下することがあり、配合量が95重量%を越えると、高湿度下でドリルでの穿孔を連続的に行う時にドリルが欠損する場合があり好ましくない。
【0027】
水溶性高分子と水溶性滑剤とを含有する樹脂組成物(D)において、使用する水溶性高分子及び水溶性滑剤は前記水溶性高分子及び水溶性滑剤と同様である。
樹脂組成物(D)における水溶性高分子及び水溶性滑剤の配合量は水溶性高分子が20〜90重量%が好ましく、更には30〜80重量%である。水溶性高分子の配合量が20重量%未満では樹脂組成物の水溶性が低下することがあり、配合量が90重量%を越えると、高湿度下でドリルでの穿孔を連続的に行う時にドリルが欠損する場合があり好ましくない。
【0028】
本発明で使用する前記(C)、(D)には、必要に応じて非イオン界面活性剤等の滑剤、防錆剤、リン酸エステル類等の安定剤の他、金属粉体、無機粉体等の公知の添加剤等を添加しても差し支えない。
【0029】
本発明の穿孔用シートは上記(C)、(D)成分を前記の未延伸シートに積層したものであり、例えば次の方法により製造される。
例えば溶液流延法、Tダイやインフレーションでの溶融押出法、またはカレンダー法等の汎用の製膜手段を採用して(C)、(D)成分をシート状とし、これと未延伸シートをドライラミしたり、未延伸シート用樹脂と(C)、(D)成分を共押出成型したり、未延伸シート上に(C)、(D)成分を溶融コート、溶液コートすれば良い。
【0030】
該穿孔用シートにおける(C)、(D)成分層の厚みは、10〜700μmの範囲に設定することが好ましい。
本発明の穿孔用シートはその使用時のプリント配線基板間の横ズレを防止しするためにシート面に粘着加工を、また穿孔後の水による溶解除去に先立って重ね合わされたプリント配線基板を個々に分離する際の剥離容易性のために、離型加工を施しておくことも可能である。
更に加工位置精度の向上のためシートの片面あるいは両面に梨地加工、エンボス加工を行い、シート表面に凹凸模様を形成させることも可能である。凹凸模様としては格子模様、絹目模様、亀甲模様、菱形模様を挙げることができる。梨地加工の際は表面粗さ(レーザー顕微鏡で測定)が1〜5μm程度に、凹凸加工は200メッシュ以下で深さが1〜5μm程度(JIS B 0601で測定)にするのが実用的である。
【0031】
上記穿孔用シートを用いてプリント配線基板を穿孔する方法は、次の様にして行われる。
まず用いられるプリント配線基板は、通常は銅等の金属箔と電気絶縁体とが積層され一体化した基板であり、例えば外層に金属箔を配置したエポキシ基板等の金属箔張積層板,内層にプリント配線回路を有する多層積層板,内層にプリント配線回路を有する金属箔張積層板,金属箔張プラスチックフィルム等が挙げられる。
【0032】
上記基板の片面又は両面に本発明の穿孔用シートを配置し、このシートを介してプリント配線基板の所定の位置に、ドリルあるいは錐等により所定の大きさのスルーホールを穿孔する。
シートの基材面とプリント配線基板面が接するように配置するのが加工位置精度を上げる点で好ましい。また、複数枚のプリント配線基板を積層して同時に穿孔することも可能である。
【0033】
【実施例】
以下、実施例を挙げて本発明を具体的に説明する。
なお、例中「%」、「部」とあるのは、断りのない限り重量基準である。
【0034】
実施例1
ケン化度78モル%、4%水溶液の粘度が13mPa・sのポリビニルアルコール(日本合成化学工業社製「ゴーセノールKM−11」)71部を水400部に溶解し、更に重量平均分子量600のポリエチレングリコール(キシダ化学社製「PEG600」)29部を添加して溶解し、水溶性樹脂組成物の水溶液を得た。
【0035】
上記水溶液を伸度35%、厚さ80μmの未延伸トリアセチルセルロースシート(LONZA社製)上に、10ミルのアプリケーターを用いてコーティングして、90℃で6時間乾燥して膜厚50μmの塗膜を形成させ、該層の含水率が2%の穿孔用シートを得た。
【0036】
次に厚さ18μmの銅箔が両面に積層された全厚0.4mmのプリント配線基板を2枚重ね、その上に穿孔用シートをそのトリアセチルセルロース面が銅面と接触するように配置して、室温、30%RHの条件下で0.15mmφのドリルにて2枚の基板を貫通する1000穴のスルーホールを形成した。得られた穿孔基板についてスルーホールの加工位置精度、めっき付きまわり性、水溶性樹脂組成物層の除去性を以下の様に評価した。
【0037】
(加工位置精度)
穴の中心部を実測し、予め決められた位置とのズレをデジタル測長機(大日本スクリーン社製「DR−555−D」)にて測定し1枚目、2枚目の1、500、1000穴目の平均値を算出して、標準偏差σを求め、(平均値+3σ)値を算出し以下の様に評価した。
○・・・ドリル径の20%未満
△・・・ドリル径の20〜30%未満
×・・・ドリル径の30%以上
【0038】
(めっき付きまわり性)
穿孔基板に銅めっき(めっき浴:メルテックス社製「カパーグリーム125 」)を付け、1、2枚目の基板750穴、1000穴目の断面を確認し以下のように評価した。
○・・・すべての穴の銅めっきが均一に付いている
△・・・いずれか1つの穴の銅めっきの均一性が劣る
×・・・2つ以上の穴の銅めっきの均一性が劣る
【0039】
(除去性)
穿孔基板上に配置している穿孔用シート面に20℃の水をフルコーン型スプレーノズルより0.1MPaで噴射して、水の当り始めから水溶性樹脂組成物層が目視で完全に溶解するまでの時間を測定し、以下の様に評価した。
○・・・90秒未満
△・・・90〜120秒未満
×・・・120秒以上
【0040】
実施例2
実施例1のトリアセチルセルロースシートを伸度45%、厚みを190μmに変更した以外は実施例1と同様に実験を行い同様に評価した。
【0041】
実施例3
実施例1で用いたポリビニルアルコールに変えて、ステアリン酸メタクリレートとアクリル酸を85/15(重量比)の割合で、トルエンとイソプロピルアルコールとの混合溶媒[混合重量比は70/30]中で共重合して得た組成物溶液(樹脂分:55%、樹脂の重量平均分子量:14,000)90gとケン化度78モル%、4%水溶液の粘度が13mPa・sのポリビニルアルコール(日本合成化学工業社製「ゴーセノールKM−11」)を水で溶解させて得た水溶液(樹脂分:15%)210gとをスリーワンモーターで良く攪拌混合した液を6ミルのアプリケーターを使用して塗工し、乾燥後膜厚を30μmとした以外は実施例1と同様にして穿孔用シートを作製して同様に評価した。
【0042】
実施例4
実施例1で用いたトリアセチルセルロースシートを日本ゼオン社製「ゼオネック250」(伸度52%、膜厚80μm)に変えた以外は実施例1と同様に水溶性樹脂組成物及び穿孔用シートを作製して同様に評価した。
【0043】
実施例5〜6
実施例1で用いたトリアセチルセルロースシートに変えて、大倉工業社製ポリスチロールシート「セロマーS2」(伸度20%、膜厚40μm)[実施例5]、三菱レーヨン社製ポリメタクリレートシート「アクリブレンHBC」(伸度35%、膜厚25μm)[実施例6]に変えた以外は、実施例1と同様に水溶性樹脂組成物及び穿孔用シートを作製して同様に評価した。
【0044】
比較例1
実施例1のトリアセチルセルロースシートをポリ塩化ビニルシート(膜厚50μm、伸度260%)に変更して実施例1と同様に穿孔用シートを作製し、実施例1と同様に評価した。
【0045】
比較例2
実施例5のポリスチロールシートを二軸延伸したポリスチロールシート(伸度5%)に変更した以外は実施例1と同様に穿孔用シートを作製して、実施例1と同様に評価した。
【0046】
実施例、比較例の評価結果を表1に示した。
〔表1〕
【0047】
【発明の効果】
本発明のプリント配線基板穿孔用シートは、膜厚が16〜300μmであり、伸度が100%以下である未延伸のプラスチックシートに、水溶性高分子と下記一般式(1)で示される化合物を共重合成分とする共重合体とを含有する樹脂組成物(C)、水溶性高分子と水溶性滑剤とを含有する樹脂組成物(D)の群から選ばれる成分からなる少なくとも一つの層を積層してなるのでプリント配線基板の穿孔を行う時、穿孔時の加工位置精度やめっき付きまわり性に優れ、穿孔後の該シートの除去性も良好である。
Claims (4)
- プラスチックシートがトリアセチルセルロース、ポリスチロール、ポリ(メチル)メタクリレートから選ばれることを特徴とする請求項1記載のプリント配線基板穿孔用シート。
- 請求項1または2記載のシートをプリント配線基板上に配置して、ドリルで基板を穿孔することを特徴とするプリント配線基板の穿孔方法。
- 穿孔用シートをそのプラスチックシート面がプリント配線基板面と接する様に配置して、ドリルで基板に穿孔することを特徴とする請求項3記載のプリント配線基板の穿孔方法。
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