JP4480801B2 - 吸収困難な薬剤の生物学的利用能を改善する製剤およびそれを生成する方法 - Google Patents

吸収困難な薬剤の生物学的利用能を改善する製剤およびそれを生成する方法 Download PDF

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Description

【0001】
【産業上の利用分野】
本発明は、正電荷の多糖体で被覆したゲル化ヒドロコロイドをミリ球体にカプセル化して経口投与することによって摂取した薬剤の吸収を改善する新規の方法および製剤に関する。
【0002】
【従来の技術】
経口投与は、投与に攻撃的かつ投与困難であるかあるいはその一方である他の経路(静脈、非経口、皮下)に比較して有利であるため、患者のタイプを問わず薬剤投与をする際に好ましい。しかし、胃腸経由での吸収が容易な薬剤ばかりではない。胃腸経由での薬剤吸収は、他の因子間で、薬剤に対する胃腸粘膜透過性および薬剤が胃腸内にある間に受ける酸分解過程または酵素分解過程に影響される。従って、因子を問わず薬剤吸収速度を改善するか、上述の分解過程から薬剤を保護した場合、その薬剤の臨床効率を改善することができる。
【0003】
近年、吸収し難い産物に対する粘膜透過性を上昇させることができる薬剤を同定することに相当な努力がなされてきた。tensioactives(George, Sutter, Fincgold, J. Infec. Dis. 136, 822(1977))、chellating agents(Cassidy, Tidball, J. Cell. Biol. 32, 672(1967))、salicylates(Higuchi らの米国特許第4,462,991号), anti−inflammatory agents(Yaginuma et al., Chem. Pharm.−−Bull.29 1974(1961))、phenothiazines(Alexander and Fixの米国撤去第4,425,357号(1984))、acyl carnitines (Alexander andFix, USSN 606,054)、fatty acids(Yamazaki, et al., J. Pharm. Phramacol., 42, 441,(1990))は、非常に多くの化合物に対する胃腸透過性を上昇させることができるものとして記載されている。また、胃腸内分解過程から薬剤を保護するシステムの考案にも、相当な努力が費やされてきた。Coverings of farinose (WO 89/11269))、Polymers of lactic and glycolic acid(EP 0202159)およびCalcium alginate(Chong−Kook K., Eun−Jin L., Int. J. Pharm., 79, 11,(1992))は、胃腸経由で薬剤を投与するシステムを記載している。
【0004】
PCT WO 87/03197は、200μ未満の大きさで薬剤から得られる微小球と、次エチルアミノエチル−デキストランなどのイオン交換特性を有する材料について記載している。
【0005】
PCT WO 88/090163、WO 89/032207、WO 91/02545およびWO 91/06282は200μm未満の大きさで、中心部がデンプン、デンプン誘導体、ゼラチン、アルブメン、コラーゲン、デキストランまたはデキストラン誘導体から成り、アルギン酸塩またはジエチルアミノエチル−デキストランなどのポリマーで選択的に被覆することができる微小球について記載している。
【0006】
EP 391803は、以前の文献(Grant, G.I., et al.,; FEBS Lett. 32, 195 (1973))に記載した方法で継続処理をしてアルギン酸塩のカプセルを生成する工業的方法について記載している。
【0007】
PCT WO 92/00732は、多価陽イオンを有するコアセルベートを形成し薬剤を含み同じ種類の多糖体によって再度被覆されることができる(特定のペクチン内の)多糖体から成るペレットについて記載している。これらの粒子は、経口投与され、多糖体被覆が細菌によって溶解された後、薬剤が結腸内で遊離される。
【0008】
【発明が解決しようとする課題】
大半の胃腸粘膜表面に特定の負電荷密度が存在することが知られているので、発明者らは、陽イオン多糖体で被覆され表面に特定のレベルの正電荷を有するミリ球体から成る薬剤を経口投与し、胃腸粘膜表面に生物学的粘着効果をもたらすシステムに研究を注いできた。
【0009】
この研究の結果、胃腸吸収が困難な薬剤を陽イオン多糖体で網状にされたゲル化ヒドロコロイドのミリ球体に取込んで経口投与した場合、この薬剤の生物学的利用能の増大が著しく、この結果、粘膜経由の吸収プロモーターが薬剤と同時にカプセル化させた場合、遊離薬剤の生物学的利用能に対して、カプセル化した薬剤の生物学的利用能は増強されることがわかった。
【0010】
従って、本発明の目的は、表面が陽イオン多糖体で被覆したゲル化ヒドロコロイド基質内部に薬剤をカプセル化し経口投与によって投与した場合に吸収困難な薬剤の生物学的利用能を改善し、カプセル化された薬剤に対する胃腸粘膜透過性を調整することができる薬剤生成物とともに選択的に取込むことにある。
【0011】
また、本発明の目的は、表面が陽イオン多糖体によって被覆されるゲル化ヒドロコロイド塩から成るミリ球体、ナノ球体または配列型粒子から構成される薬剤を経口投与する新規の方法を提供し薬理学的能動薬剤を取込むことにある。
【0012】
さらに、本発明の目的は、表面が陽イオン多糖体によって被覆されるゲル化ヒドロコロイド塩から成るミリ球体、ナノ球体または配列型粒子から構成される薬剤を経口投与する新規の方法を提供し薬理学的能動薬剤を粘膜経由で吸収される1つまたは複数のプロモーターとともに取込むことにある。
【0013】
本発明の別の目的は、表面が陽イオン多糖体によって被覆されるゲル化ヒドロコロイド塩から成るミリ球体、ナノ球体または配列型粒子から構成される薬剤を経口投与する新規の方法を提供し薬理学的能動薬剤を取込み、胃の化学的条件または酵素的条件に感受性がある薬剤の場合に、特に選択的に、これらの粒子を十二指腸に至るまで保護する腸溶剤皮を有するゼラチンカプセル内部に供給することにある。
【0014】
【課題を解決するための手段および作用】
上記目的を達成するために、本発明に係る製剤は、陽イオン多糖体膜を付着させたゲル化ヒドロコロイド核から成る脱水ミリ球体、脱水マイクロ球体、脱水ナノ球体または配列型脱水粒子から構成され、薬物学的に有用な薬剤を内部に取込んだことを特徴とする。
【0015】
本発明に係る製剤は、前記ゲル化ヒドロコロイド核が粘膜経由で吸収プロモーターを選択的に取込むことを特徴とする。
【0016】
本発明に係る製剤は、前記ゲル化ヒドロコロイドが水溶性であり、特にアルカリ土類金属塩およびカルシウム塩である金属元素塩を用いて相互作用させることによって、水溶液のpHを変更することによって、または、化学的細網化によって、固体ゲルを生成することができる生物学的由来ポリマーまたは合成的由来ポリマーであることを特徴とする。
【0017】
本発明に係る製剤は、前記ゲル化ヒドロコロイドが、寒天、ペクチン、キサンテンガム、グアーガム、イナゴマメガム、ヒアルロン酸、カゼイン、特にアルギン酸ナトリウムである水溶性アルギン酸塩およびそれらの混合物であることが好ましい。
【0018】
本発明に係る製剤は、前記陽イオン多糖体が正電荷を保持できる残基を有する天然の多糖類および正電荷を保持できる残基を有し化学的に官能基化した天然多糖類であり、特に、アミノ多糖類およびそれらの酸塩、第一アミン、第二アミン、第三アミンおよび第四アミンまたはそのいずれかならびにそれらの酸塩で官能基化したデキストランであることを特徴とする。
【0019】
本発明に係る製剤は、前記陽イオンが、好ましくはジエチルアミノエチル−デキストラン、ジメチルアミノエチル−デキストラン、それらの酸塩およびそれらの混合物であることを特徴とする。
【0020】
本発明に係る製剤は、前記粘膜経由の吸収プロモータがコリンエステル、キレート化剤、サリチレート、フェノチアジン、アシルカルチニン、α−セトアルデヒド、界面活性剤、コレート(collate)、リゾレシチンおよびそれらの混合物であることを特徴とする。
【0021】
本発明に係る製剤は、前記粘膜経由の吸収プロモーターが、リゾレシチンおよび脂肪酸であり、特にナトリウムカプロエート(ナトリウムヘキサノエート)、ナトリウムカプリレート(ナトリウムオクタノエート)、ナトリウムカプレート(ナトリウムデカノエート)およびナトリウムラウレート(ナトリウムドデカノエート)であることが好ましい。
【0022】
本発明に係る製剤は、前記取込まれる薬剤が、
非分画ヘパリン、低分子量ヘパリン、およびそれらの薬学的に許容しうる塩から選ばれるグリコサミノグリカンであることを特徴とする。
【0023】
本発明に係る前記製剤を生成する製剤生成方法は、前記薬剤をゲル化ヒドロコロイド溶液に溶解、懸濁または乳化し、生成する溶液、懸濁液または乳液をヒドロコロイドのゲル化を生じる媒体(ゲル溶液)に添加し、生成されるミリ球体、マイクロ球体、ナノ球体または配列型粒子の被覆表面を分離、洗浄および乾燥させた後、該球体の表面に陽イオン多糖体付着が生じる陽イオン多糖体溶液中で分離し、懸濁することを特徴とする。
【0024】
本発明に係る製剤生成方法は、前記薬剤および前記吸収プロモーターをゲル化ヒドロコロイド溶液に溶解、懸濁または乳化し、生成する溶液、懸濁液または乳液をヒドロコロイドのゲル化を生じる媒体(ゲル溶液)に添加し、生成されるミリ球体、マイクロ球体、ナノ球体または配列型粒子の被覆表面を分離、洗浄および乾燥させた後、該球体表面に陽イオン多糖体付着が生じる陽イオン多糖体溶液中で分離し懸濁することを特徴とする製剤生成方法。
【0025】
本発明に係る製剤製剤生成方法は、前記吸収プロモーターをゲル化ヒドロコロイド溶液に溶解、懸濁または乳化し、生成する溶液、懸濁液または乳液をヒドロコロイドのゲル化を生じる媒体(ゲル溶液)に添加し、生成されるミリ球体、マイクロ球体、ナノ球体または配列型粒子を薬剤が該球体内部に拡散する前記薬剤の濃厚溶液で分離および懸濁し、前記ミリ球体、マイクロ球体、ナノ球体または配列型粒子の被覆表面を分離、洗浄および乾燥させた後、該球体表面に陽イオン多糖体付着が生じる陽イオン多糖体溶液中で分離し懸濁することを特徴とする。
【0026】
本発明に係る製剤生成方法は、前記ゲル化ヒドロコロイド溶液をヒドロコロイドのゲル化を生じる媒体(ゲル溶液)に添加し、生成されるミリ球体、マイクロ球体、ナノ球体または配列型粒子を薬剤が該球体内部に拡散する前記薬剤の濃厚溶液で分離および懸濁し、前記ミリ球体、マイクロ球体、ナノ球体または配列型粒子の被覆表面を分離、洗浄および乾燥させた後、該球体表面に陽イオン多糖体付着が生じる陽イオン多糖体溶液中で分離し、懸濁することを特徴とする。
【0027】
本発明に係る製剤は、胃の化学的条件または酵素的条件に感受性がある薬剤の場合、特に選択的に、前記粒子を十二指腸に至るまで保護する腸溶剤皮を有するゼラチンカプセル内部に提供することを特徴とする。
【0028】
【実施例】
本発明は、陽イオン多糖体膜を付着させたゲル化ヒドロコロイド核またはゲル化ヒドロコロイド基質から成るミリ球体、マイクロ球体、ナノ球体または配列型粒子の製剤およびその使用法を含み、ゲル化コロイドの基質は1つまたは複数の薬理学的能動剤を取込むことができ、1つ以上の薬剤とともに1つまたは複数の吸収プロモータを粘膜経由で選択的に取込むことができる。
【0029】
ゲル化ヒドロコロイド基質内部に対する薬剤の取込みは、主に以下の2つの方法で実施することができる。
【0030】
1)−−薬剤をゲル化する前にゲル化コロイド溶液に溶解する。
【0031】
2)−−基質をゲル化し薬剤を薬剤を含む濃厚溶液からヒドロコロイド基質に拡散することによって取込み、陽イオン多糖体で被覆する。
【0032】
ゲル化ヒドロコロイドは、水溶性であり、水溶液を冷却することによって、特にアルカリ土類金属塩およびカルシウム塩である金属元素塩を用いて相互作用させることによって、水溶液のpHを変更することによって、または、科学的細網化によって、固体ゲルを生成することができる生物学的由来ポリマーまたは合成的由来ポリマーすべてを示す。特に、ゲル化ヒドロコロイドは、寒天、ペクチン、キサンテンガム、ガールガム、イナゴマメガム、ヒアルロン酸、カゼインおよびそれらの混合物であるバイオポリマーであり、さらに言及すれば、特にアルギン酸ナトリウムである水溶性アルギン酸塩、カラゲネートおよびそれらの混合物であるバイオポリマーである。
【0033】
陽イオン多糖体は、正電荷を保持でき化学的に官能基化した天然多糖類である。特に、陽イオン多糖体は、アミノ多糖類およびそれらの酸塩、特に、第一アミン、第二アミン、第三アミンおよび第四アミンまたはそのいずれかならびにそれらの酸塩で官能基化したデキストランであり、さらに詳しくは、ジエチルアミノエチル−デキストラン、ジメチルアミノエチル−デキストランおよびそれらの酸塩である。
【0034】
粘膜経由の吸収プロモータは、鼻腔粘膜、胃腸粘膜もしくは腟粘膜に投与することによってまたは経皮投与によって薬剤とともに投与された場合の薬剤に対する生物学的利用能を増大させることができるすべての化合物のことである。特に、吸収プロモーターは以下のことを言う。
−−コリンエステル
−−キレート化剤
−−サリチレート
−−フェリノチアジン
−−アシルカルチニン
−−α−セトアルデヒド
−−界面活性剤
−−コレート(collate)
−−リゾレシチン
【0035】
特に、吸収プロモーターは、リゾレシチンおよび脂肪酸であり、より詳しくは、ナトリウムカプロエート(ナトリウムヘキサノエート)、ナトリウムカプリレート(ナトリウムオクタノエート)、ナトリウムカプレート(ナトリウムデカノエート)およびナトリウムラウレート(ナトリウムドデカノエート)であることである。
【0036】
本発明に係る薬剤を投与する新規の方法に採用される薬剤には、以下のものが挙げられるが、この限りではない。
【0037】
−−ゲンタマイシンなどの抗菌剤、シプロフロキサシンなどのキノロン、ペニシンリン、セファロスポリン、
−−リファンピシン、アシクロビルなどの抗ウイルス剤、
−−アムフォテレシンB、ミコナゾール、テルコナゾール、エコナゾール、イソコナゾール、チオコナゾール、ビフォナゾール、クロトリマゾール、ケトコナゾール、ブタコナゾール、イトラコナゾール、オキシコナゾール、フェンチコナゾール、ナイスタチン、ナフチフェン、ジノコナゾール、シクロピロキソアミン、フルコナゾールなどの抗真菌性化合物*、
−−アンチモン誘導体などの駆虫化合物、
−−アドリアマイシン、ビンブラスチン、ビンクリスチン、マイトマイシンC、ドキソルビシン、ダウノルビシン、メトトレキサート、シスプラチンなどの抗腫瘍化合物、
−−抗代謝剤、
−−胚乳などのタンパク質、
−−ジフテリアトキシンなどの毒素
−−カタラーゼなどの酵素、
−−ヒルジン、ソマトスタチン、チモペンチンなどのペプチド、
−−エストロゲンなどのホルモン剤、
−−ヒト成長ホルモン、ブタ成長ホルモン、ウシ成長ホルモン、ヒトカルシトニン、サケカルシトニン、カルボカルシトニン、インシュリン、LHRHおよびその類似体などのペプチドホルモン、
−−ホルモン拮抗剤、
−−アセチルコリンなどの神経伝達物質、
−−神経伝達物質拮抗剤、
−−ヒアルロン酸などの糖タンパク質、α−リポタンパク質などのリポタンパク質、
−−IgGなどの免疫グロブリン、
−−インターフェロンまたはインターロイキンなどの免疫修飾物質、
−−シクロスポリン−Aなどの免疫抑制剤、
−−血管拡張剤、
−−アルゼナーゼ III(Arsenaze III)などの呈色剤、
−−14Cなどの放射性標識、
−−90Teなどの放射線不透過化合物、
−−カルボキシフルオロスセインなどの蛍光化合物、
−−エストロゲン受容体タンパク質などの細胞受容体、
−−インドメタシン、イブプロフェン、スリンダク、ジクロフェナク、ケトロラク、ナプロキサセンなどの非ステロイド系抗炎症剤、
−−デキサメタゾンなどの抗炎症剤、
−−ピロカルビン、チモロールなどの抗緑内障剤、
−−散瞳剤、
−−リドカインなどの局所麻酔剤、
−−コデインなどの麻酔剤、
−−α−トコフェノールなどのビタミン剤、
−−チミンなどの核酸、
−−RNAなどのポリヌクレオチド、
−−ジアゼパムなどの精神活性剤または抗不安剤、
−−グリコーゲンなどの単糖類、二糖類および多糖類、
−−非分画ヘパリン、低分子量ヘパリン、五糖類、デルマタン硫酸およびその誘導体、ヘパラン硫酸およびその誘導体、コンドロイチン−4−硫酸またはコンドロイチン−6−硫酸ならびにそれらの誘導体などのグリコサミノグリカン、
−−α遮断剤、β遮断剤、カルシウムチャンネル遮断剤、ACE阻害剤、ヒスタミンH2レセプター阻害剤、セロトニンH3Tレセプター阻害剤などの心血管系作用薬、
−−プロスタグランジン、
【0038】
胃の化学的条件または酵素的条件に感受性がある薬剤の場合、特に選択的に、前記粒子を十二指腸に至るまで保護する腸溶剤皮を有するゼラチンカプセル内部に提供する。
【0039】
以下、本発明について、発明の範囲内の例を用いて説明するが、この限りではない。
【0040】
【例1】
低分子量ヘパリンナトリウム(SLMWH)を取込むDEAEデキストランで被覆したアルギン酸カルシウムカプセルの生成。
【0041】
500mgのSLMWH(4kダルトン)を10mlの1%アルギン酸ナトリウム溶液中で穏やかに振盪させて溶解する。生成溶液を0.8mm孔を通じて滴下させ穏やかに振盪させた0.25モルの塩化カルシウム水溶液に添加する。ミリ球体を添加を完了後、振盪塩化カルシウム水溶液の容積に10分間維持し、その後ミリ球体をろ過し25mlの脱イオン水で洗浄する。
【0042】
このようにして生成したアルギン酸カルシウム球体を20mlの8%ジエチル網のエチル−デキストランヒドロコロイド(Mr=500000)水溶液で再懸濁し、系を30分間穏やかに振盪させる。
【0043】
アルギン酸カルシウム球体をろ過し、20mlの脱イオン水で2回洗浄して分離した後、乾燥させる。
【0044】
【例2】
低分子量ヘパリンナトリウム(SLMWH)およびカプリン酸ナトリウムを取込むDEAEデキストランで被覆したアルギン酸カルシウムカプセルの生成。
【0045】
500mgのSLMWH(4kダルトン)および200mgのカプリン酸ナトリウムを10mlのアルギン酸ナトリウム溶液を穏やかに振盪して溶解する。生成溶液を0.8mm孔を通じて滴下し、穏やかに振盪した0.25モルの塩化カルシウム水溶液40mlに添加する。ミリ球体の添加完了後、10分間振盪塩化カルシウム水溶液の容積に維持し、その後ミリ球体をろ過し25mlの脱イオン化水で洗浄し分離する。
【0046】
このようにして生成したアルギン酸カルシウム球体を20mlの8%ジエチルアミノ−デキストランヒドロコロイド(Mr=500000)水溶液で再懸濁し、系を30分間穏やかに振盪させる。
【0047】
アルギン酸カルシウム球体をろ過し、20mlの脱イオン水で2回洗浄して分離した後、乾燥させる。
【0048】
【例3】
低分子量ヘパリンナトリウム(SLMWH)を取込むDEAEデキストランで被覆したアルギン酸カルシウムカプセルの生成。拡散によるカプセル化方法。
【0049】
10mlの1%アルギン酸ナトリウム溶液を0.8mm孔を通じて40mlの0.25モル塩化カルシウム溶液に添加し、系を10分間維持する。
【0050】
生成球体をろ過し、25mlの脱イオン化水で洗浄し、その後、100mg/ml濃度のヘパリン溶液で再懸濁し、ヘパリン溶液に維持し6時間穏やかに振盪させてカプセル内に薬剤を拡散させる。このカプセルをろ過し、25mlの水で3回洗浄する。
【0051】
このようにして生成したSLMWHを取込むアルギン酸カルシウム球体を20mlの8%ジエチルアミノ−デキストランヒドロコロイド(Mr=500000)水溶液で再懸濁し、系を30分間穏やかに振盪させる。
【0052】
アルギン酸カルシウム球体をろ過し、20mlの脱イオン水で2回洗浄して分離した後、乾燥させる。
【0053】
【例4】
低分子量ヘパリンナトリウム(SLMWH)およびカプリン酸ナトリウムを取込むDEAEデキストランで被覆したアルギン酸カルシウムカプセルの生成。拡散によるカプセル化方法。
【0054】
2%カプリン酸ナトリウムを含む10mlの1%アルギン酸ナトリウム溶液を0.8mm孔を通じて40mlの0.25モル塩化カルシウム溶液に添加する。系は、10分間維持する。
【0055】
生成球体をろ過し、25mlの脱イオン化水で洗浄し、その後、150mg/ml濃度のヘパリン溶液で再懸濁し、ヘパリン溶液に維持し6時間穏やかに振盪させてカプセル内に薬剤を拡散させる。このカプセルをろ過し、25mlの水で3回洗浄する。
【0056】
このようにして生成したSLMWHを取込むアルギン酸カルシウム球体を20mlの8%ジエチルアミノ−デキストランヒドロコロイド(Mr=500000)水溶液で再懸濁し、系を30分間穏やかに振盪させる。
【0057】
アルギン酸カルシウム球体をろ過し、20mlの脱イオン水で2回洗浄して分離した後、乾燥させる。
【0058】
【例5】
例1および例2で調整したカプセルに対する生物学的利用能テスト。
【0059】
−−試験計画
動物に40mgのヘパリンを経口投与するか、または、10mgのヘパリン皮下投与を三日間行い、生物学的利用能を試験する。
【0060】
−−試験動物
体重が約15kgの犬4例(各療法に2匹ずつ)。
【0061】
−−測定経過
生物学的検定方法によって、血漿中の濃度を測定した。
【0062】
血漿中の抗Xa活性を市場入手可能なキット(Coatest)を使用する色素テストを用いてex vivoで測定し、IU/mlで表現した。測定値をさまざまな量のSLMWHを犬の血漿に添加することによってin vitroで得られる検量線に基づき計算した。
【0063】
血液は大腿静脈から抽出した。2日目の実験開始に予め試料を収集し、経口投与または皮下投与1時間後、2時間後、3時間後、4時間後および6時間後にも試料を収集し、クエン酸ナトリウムを各試料(血液と3.8%クエン酸ナトリウムの容積比:9対1)に加え、4℃、20分間、1200rpmで遠心分離した。その直後に血漿を分離し、抗Xa活性を試験した。
【0064】
尿試料をコンドロイチナーゼACで処理し、内因性コンドロイチンを除去した。残分をプロトンNMRおよびHPLCによって分析し分子量を測定した。
【0065】
−−結果
実験2日目でも、カプセル形態で経口投与または皮下注射したSLMWHの投与結果としての血液中のヘパリン濃度は、抗Xa活性試験を使用して検出することができた。
【0066】
比較可能なピーク値(0.2−0.4IU/ml)が皮下投与または経口投与後に認められた他、皮下投与後に限り3時間有意に活性(>0.1IU/ml)が継続することが認められた。
【0067】
実験結果3日後、最終投与量以前の抗Xa活性の基底値は、2日目の対応値よりも高かった。
【0068】
ピーク値(0.8−1.2IU/ml)が経口投与または皮下投与後に認められた他、いずれの療法でも6時間後に有意な活性が認められた。
【0069】
尿分析の結果、以下の通りである。
【0070】
1 −NMR試験からは、部分的に二硫化したヘパリンが検出された。
【0071】
HPLC試験からは、5kダルトンの分子量であることがわかった。
【0072】
【例6】
複数薬剤の取込み。
【0073】
【表1】
Figure 0004480801
【発明の効果】
以上説明したように、本発明によれば、薬剤投与する他の経路に比較し経口投与固有の利点を有する。すなわち、これらの方法によって、投与が容易になり、患者に対し快適で攻撃力が少なく安全になる。
さらに、取込まれた薬剤が消化管を通過する間に分解させずに循環系に到達することができ、投与薬剤の生物学的利用能を高くすることができるという効果がある。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明に係り、薬剤を含み陽イオン多糖体被覆膜を付着させたゲル化ヒドロコロイド基質から成るミリ球体である。
【図2】薬剤をゲル化コロイド溶液に溶解してからゲル化することによって、ゲル化コロイド基質内部に薬剤を取込む方法を示すフローシートである。
【図3】薬剤をゲル化コロイド溶液に溶解してからゲル化することによって、ゲル化コロイド基質内部に薬剤を取込む方法を示すフローシートである。
【図4】基質をゲル化した後、薬剤を含む濃厚溶液から基質に対して薬剤を拡散し陽イオン多糖体を用いて被覆することによって、ゲル化ヒドロコロイド基質内部に薬剤を取込む方法を示すフローシートである。
【図5】基質をゲル化した後、薬剤を含む濃厚溶液から基質に対して薬剤を拡散し陽イオン多糖体を用いて被覆することによって、ゲル化ヒドロコロイド基質内部に薬剤を取込む方法を示すフローシートである。

Claims (6)

  1. 第一アミン、第二アミン、第三アミン、及び第四アミン又はそれらの酸塩で官能基化したデキストラン及びそれらの混合物から成る群より選ばれた陽イオン多糖体膜を付着させた、寒天、ペクチン、キサンテンガム、グアーガム、イナゴマメガム、ヒアルロン酸、カゼイン、水溶性アルギン酸塩、及びそれらの混合物から選択されるゲル化ヒドロコロイド、から成り、
    (1)薬物学的に有用な薬剤であるグリコサミノグリカンと、
    (2)コリンエステル、キレート化剤、サリチレート、フェノチアジン、アシルカルニチン、界面活性剤、コール酸塩、リゾレシチン、並びに、ヘキサン酸、オクタン酸、デカン酸及びドデカン酸及びそれらの混合物から成る群より選ばれた脂肪酸塩、から成る群より選ばれた粘膜由来の吸収プロモーターと、
    をその内部に取り込んでいる、脱水ミリ球体、脱水マイクロ球体、脱水ナノ球体または脱水粒子から成ることを特徴とする経口投与製剤。
  2. 前記薬物学的に有用な薬剤であるグリコサミノグリカンが、非分画ヘパリン、低分子量ヘパリン、及びそれらの薬学的に許容しうる塩であることを特徴とする請求項1に記載の経口投与製剤。
  3. 請求項1に記載の製剤を生成する製剤生成方法において、前記薬剤をゲル化ヒドロコロイド溶液に溶解、懸濁または乳化し、生成する溶液、懸濁液または乳液をヒドロコロイドのゲル化を生じる媒体に添加し、生成される微粒子を該微粒子表面に陽イオン多糖体付着が生じる陽イオン多糖体溶液中で分離し、懸濁し、その後、被覆された微粒子を分離、洗浄および乾燥させることを特徴とする製剤生成方法。
  4. 請求項1に記載の製剤を生成する製剤生成方法において、前記薬剤及び前記吸収プロモーターをゲル化ヒドロコロイド溶液に溶解、懸濁または乳化し、生成する溶液、懸濁液または乳液をヒドロコロイドのゲル化を生じる媒体に添加し、生成される微粒子を該微粒子表面に陽イオン多糖体付着が生じる陽イオン多糖体溶液中で分離し、懸濁し、その後、被覆された微粒子を分離、洗浄および乾燥させることを特徴とする製剤生成方法。
  5. 請求項1に記載の製剤を生成する製剤生成方法において、前記吸収プロモーターをゲル化ヒドロコロイド溶液に溶解、懸濁または乳化し、生成する溶液、懸濁液または乳液をヒドロコロイドのゲル化を生じる媒体に添加し、生成される微粒子を薬剤の濃厚溶液で分離および懸濁し、該濃厚溶液から薬剤が前記球体内部に拡散し、それから、生成される微粒子を該微粒子表面に陽イオン多糖体付着が生じる陽イオン多糖体溶液中で分離し、懸濁し、その後、被覆された微粒子を分離、洗浄および乾燥させることを特徴とする製剤生成方法。
  6. 請求項1に記載の製剤を生成する製剤生成方法において、前記ゲル化ヒドロコロイド溶液をヒドロコロイドのゲル化を生じる媒体に添加し、生成される微粒子を薬剤の濃厚溶液で分離および懸濁し、該濃厚溶液から薬剤が前記球体内部に拡散し、それから、生成される微粒子を該微粒子表面に陽イオン多糖体付着が生じる陽イオン多糖体溶液中で分離し、懸濁し、その後、被覆された微粒子を分離、洗浄および乾燥させることを特徴とする製剤生成方法。
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