JP4479789B2 - 可変圧縮比エンジン - Google Patents

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Description

本発明は、エンジンの圧縮比を変更する可変圧縮比エンジンに関する。
可変圧縮比エンジンでは、運転負荷に応じた圧縮比変更を行うことで、種々の利点が得られている。例えば、低負荷時では圧縮比を高めると、混合気温度の上昇を招いて燃料の燃焼性が高まる。このため、負荷変動を起こしやすい加速走行時等にあっては、負荷変動(低負荷から高負荷に変動)に応じて圧縮比を高圧縮比から低圧縮比に変更制御することが行われている。こうした負荷変動に応じた圧縮比制御を行うことで、燃費の向上やドライバビリティの向上を実現している。
こうした従来の可変圧縮比エンジンでは、負荷に応じて一律に圧縮比を変更するほか、エンジン暖機の完了前には、圧縮比を高圧縮比に変更してこの期間における燃費の向上やドライバビリティの向上を図ることが提案されている(例えば、特許文献1参照)。
特開昭63−131838号公報
ところで、エンジンでの燃料の燃焼性は、エンジン性能に関与することが知られており、こうした燃焼性に基づいて、種々のエンジン制御を行うことがなされている(例えば、特許文献2)。
特開2002−70624号公報
この特許文献2は、燃焼性の良否を燃料の気化および燃焼性の良否に関与する燃料の性状として捕らえ、この燃料性状(重質燃料、軽質燃料)に応じて吸気流を強弱させ、これにより燃料性状に拘わらず燃料の燃焼性を高めている。また、圧縮比と関連した制御手法も種々提案されている(例えば、特許文献3ないし5)。
特開昭63−68728号公報 特開平3−164538号公報 特開昭63−159642号公報
これら文献のうち、特許文献3は、ガソリン燃料とこれよりオクタン価の高い天然ガス燃料とを燃料として利用可能なエンジンにおいて、燃料に応じて圧縮比を高低変更することで、上記の燃料の併用を可能としている。特許文献4は、アルコールとガソリンといった混合燃料を燃料として利用可能なエンジンにおいて、燃料組成と冷却水温に応じて圧縮比を高低変更することで、混合燃料使用時の始動性を高めている。また、特許文献5は、圧縮比変更と空燃比制御の整合を低負荷状況では高圧縮比とリーン制御とすることで採り、これにより噴射された燃料の温度を高めて燃焼性を高めている。
このほか、エンジンの排気浄化のために触媒を排気系に設置することも多用されつつあり、こうした触媒との関連で圧縮比を制御することも提案されている(例えば、特許文献6)。
特開平2−163429号公報
こうした従来技術の知見があったとしても、圧縮比の変更に際しては、未だ改善の余地が残されている。
例えば、燃料が重質燃料であるときには、燃料気化が軽質燃料より劣り燃料の燃焼性が低下するが、上記した特許文献には、こうした場合における圧縮比設定についての示唆は見られない。この場合、特許文献4では、混合燃料のアルコール濃度に応じて圧縮比を変更しているが、重質燃料ではあってもアルコールとの混合燃料ではないので、特許文献4の技術をそのまま適用することはできないのが現状である。
また、燃料性状によって、或いはエンジンの運転条件(例えば、低回転数・高負荷)によって燃料の燃焼性が悪化した場合には、特許文献5に提案された圧縮比制御(低負荷状況での高圧縮比)では、対処できない。
近年になり、窒素酸化物の浄化効率が高められた浄化装置、例えば窒素酸化物の吸蔵・放出が可能な触媒を有する浄化装置が多用されつつある。こうした浄化装置では、その触媒暖機期間において、窒素酸化物の放出を図ってその後の吸蔵に備えた機能回復のため、一時的に空燃比を理論空燃比から大きく異なる値としたりする場合がある。こういった状況では、燃料の燃焼性が悪化することになり、触媒に至る排気中の酸素濃度が不安定となる。さらに特許文献6のような触媒暖機の機関に亘って圧縮比を低圧縮比とすると、燃焼が不安定になる。
本発明は、上記問題点を解決するためになされ、可変圧縮比エンジンにおける燃料の燃焼の安定化をもたらす圧縮比変更手法を提供することを目的とする。
かかる課題の少なくとも一部を解決するため、本発明の可変圧縮比エンジンでは、圧縮比がエンジンの運転状態に応じて設定した目標圧縮比となるよう圧縮比変更機構を制御しつつ、浄化装置がその有する触媒からの窒素酸化物放出のための触媒暖機制御を実行している状況において目標圧縮比を高圧縮比側に変更する。この高圧縮比側への圧縮比変更の際の圧縮比変更程度を、前記浄化装置が設定した前記目標空燃比に応じて定める
従って、この本発明の可変圧縮比エンジンによれば、特許文献6で提案されたように一律に圧縮比を低圧縮比とするものに比して、燃料の燃焼性の安定化を図ることが可能となる。燃焼の安定化は、触媒に至る排気のガス組成の安定化をもたらすので、触媒の暖機を通した触媒機能の回復にも有益である。特に、浄化装置が触媒の暖機制御を実行している状況において目標空燃比が予め定めた設定値を超えたリッチ空燃比またはリーン空燃比であると、目標空燃比が予め定めた設定値の間の場合より、目標圧縮比をより高圧縮比側に変更するようにすることもできる。こうすれば、既述したように、圧縮行程後期の時期の圧縮端における気体温度のより一層の上昇とスキッシュ乱れのより強化をもたらして燃料を安定して燃焼させることができるので、より好ましい。
次に、本発明の形態を実施例に基づき説明する。図1は実施例に係る可変圧縮比エンジン10を含むエンジンシステム100の構成を概略的に示す説明図である。
図示するように、本実施例に係るエンジンシステム100は、可変圧縮比エンジン10を備えており、可変圧縮比エンジン10は、シリンダヘッド20とシリンダブロック30とを備えている。
シリンダブロック30は、シリンダとして機能する上部ブロック31と、クランクケースとして機能する下部ブロック32と、を含んでいる。シリンダ内には、上下に往復運動するピストン41が設けられており、クランクケース内には、回転運動するクランクシャフト43が設けられている。ピストン41とクランクシャフト43とは、コネクティングロッド42を介して接続されている。この構成によって、ピストン41の往復運動とクランクシャフト43の回転運動との変換が行われる。なお、シリンダヘッド20とシリンダブロック30とピストン41とで囲まれた領域は、燃焼室を形成する。
また、上部ブロック31と下部ブロック32との間には、上部ブロック31を下部ブロック32に対して上下方向に移動させるためのアクチュエータ33が設けられている。上部ブロック31を上方に移動させると、シリンダヘッド20も上方に移動する。このとき、燃焼室の容積が大きくなるため、圧縮比は小さくなる。逆に、上部ブロック31を下方に移動させると、シリンダヘッド20も下方に移動する。このとき、燃焼室の容積が小さくなるため、圧縮比は大きくなる。つまり、これら上下のブロックとアクチュエータは、圧縮比を変更する圧縮比変更機構を構成する。
シリンダヘッド20には、吸気ポート23と排気ポート24とが形成されている。吸気ポート23には、吸気弁21が配置されており、排気ポート24には、排気弁22が配置されている。吸気弁21と排気弁22とは、それぞれ、ピストン41の往復運動に応じて動作する動弁機構(カム機構)25,26によって駆動される。
吸気ポート23には、吸気管50が接続されており、排気ポート24には、排気管58が接続されている。吸気管50には、スロットル弁52と燃料噴射弁55とが設けられている。吸気管50の上流側からはエアクリーナ51を介して空気が供給される。電動アクチュエータ53によって制御されるスロットル弁52は、燃焼室に導かれる空気量を調整する。燃料噴射弁55は、図示しない燃料ポンプから供給される燃料(ガソリン)を吸気ポート23内に噴射する。これにより、空気と燃料との混合気が生成される。混合気は、燃焼室内に供給された後、点火プラグ27が形成する電気火花によって、燃焼する。燃焼済みの排気ガスは、燃焼室から排出される。排気管58には、排気ガスを浄化するための浄化装置70が設けられている。浄化装置70には、温度センサ71が設けられている。また、浄化装置70の上流側および下流側には、それぞれ酸素センサ(または空燃比センサ)81,82が設けられている。
浄化装置70は、NOx吸蔵還元触媒(リーンNOx触媒とも呼ばれる)を含んでいる。NOx吸蔵還元触媒は、周知の三元触媒を酸化バリウムなどの塩基性物質で修飾したものである。NOx吸蔵還元触媒は、理論空燃比で燃焼が実行される場合には、三元触媒として機能する。すなわち、排気ガス中の還元性成分(HC,CO,H2 )と酸化性成分(NOx,O2 )とを反応させ、無害の成分(CO2 ,H2 O,N2 )を生成することによって、排気ガスを浄化する。また、NOx吸蔵還元触媒は、リーン空燃比で燃焼が実行される場合には、排気ガス中のNOxを硝酸塩として吸蔵することによって、排気ガスを浄化する。ただし、触媒のNOx吸蔵量には、限界がある。このため、適時、触媒のNOx浄化能力を回復させる必要がある。具体的には、リーン空燃比での燃焼が継続される場合には、断続的にリッチ空燃比で燃焼を実行する必要がある。このような回復処理(以下、リッチスパイクとも呼ぶ)を実行することによって、吸蔵されたNOxを窒素に還元することができ、この結果、触媒のNOx浄化能力を回復させることができる。
なお、本実施例のNOx吸蔵還元触媒は、酸化セリウムなどの助触媒を含んでいる。酸化セリウムは、リーン空燃比で燃焼が実行される場合には、酸素を貯蔵し、リッチ空燃比で燃焼が実行される場合には、貯蔵した酸素を放出する機能を有している。これにより、NOx吸蔵還元触媒は、理論空燃比付近の比較的広い範囲で高い浄化率を発揮することができる。
また、エンジンシステム100は、エンジン全体を制御するための電子制御ユニット(ECU:electrical control unit )60を備えている。ECU60は、バスで互いに接続されたCPUとROMとRAMと入出力回路とを備えている。ECU60には、クランクシャフト43に設けられたクランク角センサ61や、アクセルペダルに設けられたアクセル開度センサ62、吸気管50に設けられた吸気圧センサ56、排気管58に設けられた温度センサ71、酸素センサ81,82およびエンジンの冷却水温度を検出する冷却水温センサ90などが接続されている。そして、ECU60は、これらの検出結果に基づいて、圧縮比変更機構のアクチュエータ33や、点火プラグ27、燃料噴射弁55などを制御する。
次に、本実施例のエンジンシステム100がECU60を介して行う種々の制御について説明する。図2は、エンジンの制御の概要を示すフローチャートである。なお、ECU60は、ステップS101,S102の処理を繰り返し実行する。
ステップS101では、エンジンの運転条件が検出される。具体的には、ECU60は、運転条件として、エンジン回転数とエンジン負荷(要求トルク)とを検出する。なお、エンジン回転数は、クランク角センサ61の検出結果に基づいて決定され、エンジン負荷は、アクセル開度センサ62の検出結果に基づいて決定される。
ステップS102では、ステップS101で検出された運転条件に基づいて、種々の制御が実行される。
ステップS102aでは、圧縮比の制御が実行される。具体的には、ECU60は、目標圧縮比の設定と、アクチュエータ33を駆動させることによって、エンジンの圧縮比を目標圧縮比に変更する制御とを行う。この際の目標圧縮比の設定では、検出された運転条件(エンジン回転数およびエンジン負荷)に基づいて行う処理と、他の制御要求に基づいて行う処理とを行う。図3は圧縮比制御を行う場合の処理の様子を示すフローチャートである。
図示するように、この圧縮比制御では、まず、後述する燃料性状判定制御等の他の制御から圧縮比の変更要求があるかを判定する(ステップS200)。この判定は、例えば、他の制御にてセットされるフラグのセット状態や、他の制御での目標圧縮比の設定の有無により下される。ここで、他の制御からの要求がないと否定判定すれば、検出された運転条件(エンジン回転数およびエンジン負荷)に基づいた目標圧縮比を設定する(ステップS210)。図4は運転条件に基づく目標圧縮比の設定手法を説明する説明図である。
ECU60は、運転条件と目標圧縮比とを対応させた図4のようなマップを予め記憶しており、検出した運転条件をマップに対応させて目標圧縮比を設定する。こうして目標圧縮比を設定すると、続くステップS230で、ECU60は、アクチュエータ33を駆動させることによって、エンジンの圧縮比を、ステップS210で定めた目標圧縮比に変更する。
その一方、ステップS20で他の制御から圧縮比変更の要求があると判定すれば、目標圧縮比を当該他の制御で要求された目標圧縮比に設定し(ステップS220)、続くステップS230で、ECU60は、エンジンの圧縮比を、ステップS220で定めた目標圧縮比に変更する。他の制御での目標圧縮比の設定については後述する。
こうした圧縮比の制御に続くステップS102bでは、空燃比の制御が実行される。具体的には、ECU60は、検出された運転条件(エンジン回転数およびエンジン負荷)に基づいて、目標空燃比を決定する。なお、目標空燃比にあっても、こうした運転条件に基づいた設定の他、浄化装置70における触媒の機能回復処理等により設定(リッチスパイク発生等)されるが、圧縮比の変更を図る本発明の要旨とは直接関係しないので、その説明を省略する。
空燃比の制御には、吸入空気量の制御と燃料噴射の制御とが含まれている。吸入空気量の制御は、例えば、スロットル弁52の開度を調整することによって実行可能である。吸入空気量は、吸気圧センサ56の検出結果に基づいて求められる。そして、目標空燃比と吸入空気量とに基づいて、燃料供給量が決定される。本実施例では、単位時間あたりの燃料噴射量と燃料噴射終了時期とは予め定められている。このため、燃料供給量は、燃料噴射開始時期を調整することによって、変更される。燃料噴射弁55による燃料噴射は、クランク角センサ61からの検出結果に基づいて適切なタイミングで実行される。
こうした空燃比制御に続くステップS102c(図2)では、検出された運転条件に応じて点火時期の制御が実行される。本実施例では、点火時期は、ECU60のROM内に格納された運転条件に応じた目標点火時期を示すマップを用いて決定される。点火プラグ27による点火は、クランク角センサ61からの検出結果に基づいて適切なタイミングで実行される。
次に、上記した圧縮比制御において他の制御要求に基づき圧縮比を変更する様子について説明する。図5は燃料性状に基づいて圧縮比を変更する制御の内容を示すフローチャートである。
図示する燃料性状に基づく圧縮比変更制御は、所定時間ごとにECU60にて割込処理され、まず、燃料性状(重質燃料・軽質燃料)の判定のためのセンサをスキャンし(ステップS300)、そのスキャン結果に基づいて燃料が重質燃料であるか否かを判別する(ステップS310)。
重質燃料は、その燃料気化が軽質燃料に比して劣って燃焼性が悪くなる。よって、重質燃料使用時には、回転数の低下や、回転変動の悪化、燃焼速度の低下、低出力、低NOx等の現象が起きる。このため、これら現象の有無を適宜なセンサの出力で判定でき、その結果に基づいて燃料性状が重質燃料であるかを判別できる。
本実施例では、ECU60は、クランク角センサ61からのセンサ出力に基づき回転数の低下現象の有無を判定し、これにより燃料性状を演算することとした。このほか、クランク角センサ61のセンサ出力の変動の様子から回転変動の悪化を、図示しない気筒内圧センサの出力から燃焼速度の低下を、図示しないトルクセンサの出力から低出力を、排気系に設置した図示しないNOxセンサからの出力により低NOxをそれぞれ調べ、その結果により燃料性状を判別するように構成することもできる。なお、低出力については、クランク角センサ61からのセンサ出力により回転数の変化速度を演算し、その演算結果から低出力現象の有無を調べるようにすることもできる。
ステップS310で重質燃料ではないと判別すると、何の処理も行うことなく本ルーチンを終了する。従って、燃料性状に基づく圧縮比制御からの圧縮比変更の要求がないことになるので、既述したステップS102aでは、図4のマップを用いた運転状態に基づく圧縮比変更がなされる(ステップS210)。
その一方、ステップS310で重質燃料であると判別すると、目標圧縮比を高圧縮比化して(ステップS320)、本ルーチンを終了する。この場合は、燃料性状に基づく圧縮比制御からの圧縮比変更の要求があるので、既述したステップS102aでは、図4のマップを用いた運転状態に基づく目標圧縮比に替わり、この燃料性状に基づく目標圧縮比が採用され(ステップS220)、当該目標圧縮比となるよう圧縮比が変更される。
図6は燃料性状に基づく目標圧縮比の変更に伴う圧縮比の変更の様子を示す説明図である。
図示するように、時刻t1でエンジンがONとされると、ECU60は、エンジン回転数がアイドル回転数に至るまでの推移を観察し(ステップS300)、回転数の落ち込みがあると、燃料性状が重質燃料であると判別する(ステップS310)。これにより、目標圧縮比が高圧縮比化されるので(ステップS320)、圧縮比は図示するように高圧縮比に変更される(図2;ステップS220、230)。なお、本実施例では、エンジン始動時を例に挙げて重質燃料の判定を行ったが、一時停止等のアイドル運転中等にあっても、回転数変動等に基づいて重質燃料の判定を行うことができる。
燃料性状が重質燃料である場合における目標圧縮比の高圧縮比化の程度は、種々設定できる。例えば、図4に示したマップにおける高圧縮比の領域をエンジン負荷軸方向に一律に拡大する手法の他、こうした拡大をエンジン回転数に応じて変えるようにすることもできる。例えば、エンジン回転数が低回転数域では、目標圧縮比の拡大程度を大きく、高回転数域では小さくするようにすることもできる。或いは、重質燃料でない場合(軽質燃料)にステップS210で決定した目標圧縮比を所定圧縮比だけ高圧縮とするような手法を採ることができる。
以上説明したように、本実施例では、使用燃料が重質燃料であるために燃料の燃焼性が悪化すると予想されると(ステップS310肯定判定)、目標圧縮比を高圧縮比側に変更してその圧縮比となるようにする。従って、圧縮行程後期の時期の圧縮端における気体温度は上昇し、燃焼室におけるスキッシュ乱れも強くなる。このため、重質燃料はこうした状況で燃焼するので、燃料気化に劣る重質燃料であっても安定して燃焼させることができる。よって、重質燃料使用時における燃費向上やドライバビリティ向上を図ることができる。
上記した図5の圧縮比制御(目標圧縮比の設定)は、燃料性状に基づく燃焼性の良否に着目して行ったが、燃料の燃焼性の悪化は、燃料性状以外の要因でも起きるので、こうした場合の圧縮比制御(目標圧縮比の設定)について説明する。図7は燃料の燃焼性の良否に基づいて圧縮比を変更する制御の内容を示すフローチャートである。
図示する燃料の燃焼性の良否に基づく圧縮比変更制御にあっても、所定時間ごとにECU60にて割込処理され、まず、燃料の燃焼性の判定のためのセンサをスキャンする(ステップS400)。ついで、そのスキャン結果に基づいて、燃焼性が悪化する条件の成立状態を判定する(ステップS410、420)。
第1の燃焼性悪化条件は、エンジンの回転数が低回転数域でエンジン負荷が高いことである。エンジン回転数が低いと、気筒内の燃料混合気の流動性は低いので、こうした場合にエンジン負荷が高まると燃料の燃焼は不安定となる。また、第2の条件は、エンジン冷却水温度が低くエンジンが冷えていれば、その分、燃料混合気の温度が低下するので、燃料の燃焼は不安定となる。
よって、ステップS410とステップS420では、エンジンの回転数が低回転数域でエンジン負荷が高い状態か否か、エンジンが冷えている状態か否かを判定し、いずれか一方でも否定判定すれば、燃料の燃焼は安定している或いは比較的安定しているとして、何の処理も行うことなく本ルーチンを終了する。これにより、燃焼性の良否に基づく圧縮比制御からの圧縮比変更の要求がないことになるので、既述したステップS102aでは、燃料性状の場合と同様、図4のマップを用いた運転状態に基づく圧縮比変更がなされる。
なお、ステップS400でのセンサスキャンは、上記した条件成立の判定に必要なセンサ、例えばクランク角センサ61、冷却水温センサ90、アクセル開度センサ62等のセンサについて行われる。
その一方、ステップS410とステップS420で共に肯定判定すれば、エンジンの回転数が低回転数域でエンジン負荷が高く、しかも、エンジンが冷えていることになるので、燃料の燃焼の安定性に欠けるとして、目標圧縮比を高圧縮比化して(ステップS420)、本ルーチンを終了する。この場合は、燃料の燃焼性に基づく圧縮比制御からの圧縮比変更の要求があるので、既述したステップS102aでは、図4のマップを用いた運転状態に基づく目標圧縮比に替わり、この燃料の燃焼性に基づく目標圧縮比が採用され(ステップS220)、当該目標圧縮比となるよう圧縮比が変更される。
本実施例では、燃料燃焼の安定性に欠ける場合における目標圧縮比の高圧縮比化を、次のように行うことができる。図8は燃料燃焼の安定性に欠ける場合における目標圧縮比の高圧縮比化の様子を示す説明図である。
ステップS410、420で否定判定した場合は、エンジンの回転数が低回転数域でエンジン負荷が高い状態であるので、図4に示したマップにおける低回転・高負荷の領域を、圧縮比を高圧縮比とすべき領域に変更した。つまり、図4に示すマップに替わって図8に示すマップを使うようにして、エンジンの回転数が低回転数域でエンジン負荷が高く、しかも、エンジン冷却時には、目標圧縮比を大きく変更するようにした。この図8は、目標圧縮比を高圧縮比化するエンジンの運転領域が拡大されていることを意味する。そして、低回転・高負荷の領域以外の領域では、燃料燃焼の安定性に特段の悪化がないので、図4と同様にして目標圧縮比を設定している。
図9は燃料の燃焼性に基づく目標圧縮比の変更に伴う圧縮比の変更の様子を示す説明図である。なお、説明の便宜上、エンジン冷却水温度は設定値より低く、エンジンは冷却されているとする。
図示するように、時刻t1でエンジンがONとされると、ECU60は、エンジン回転数がアイドル回転数に至るまでの推移を観察する。図示する場合には、図6で示したような回転数の落ち込みがないので、アイドル回転数への推移時に、図5の処理による圧縮比変更(高圧縮比化)は起きない。時刻t2では、低回転数のアイドル回転時に、ニュートラルからドライブレンジにシフト変更がされるので、自動変速機のトルクコンバータの引きずり抵抗によりエンジン負荷が上がる。そうすると、燃料の燃焼性が不安定となるとして(ステップS410、420の肯定判定)、目標圧縮比が高圧縮比化されるので(ステップS430)、圧縮比は図示するように高圧縮比に変更される(図2;ステップS220、230)。
なお、既述したように重質燃料を使用していると、エンジン冷間時における低回転・高負荷の領域では、燃料の安定性はより欠けることになる。よって、こうした場合には、重質燃料であるとして設定した目標圧縮比とステップS430で設定した目標圧縮比のうちの大きい方を採用したり、両目標圧縮比から新たな高圧縮比の目標圧縮比を演算設定するようにすることもできる。また、重質燃料を使用している場合、エンジン冷間時における低回転・高負荷の領域以外の領域であっても、燃料燃焼の安定性に欠ける場合があるが、その場合は、図5の処理により、目標圧縮比の高圧縮比化を図ることができる。
以上説明したように、本実施例によれば、エンジン回転数や負荷、或いはエンジンの冷却の様子等により燃料の燃焼性が不安定となれば、圧縮比を高める。よって、こういった運転状態により燃焼性が不安定となっても、圧縮端における気体温度のより一層の上昇とスキッシュ乱れのより強化をもたらし、燃料を安定して燃焼させることができる。
次に、また別の制御の要求から圧縮比制御(目標圧縮比の設定)を行う場合について説明する。図10は浄化装置70の触媒暖機制御の様子に基づいて圧縮比を変更する制御の内容を示すフローチャートである。
図示する浄化装置70の触媒暖機制御の様子に基づく圧縮比変更制御にあっても、所定時間ごとにECU60にて割込処理され、まず、浄化装置70の暖機制御を実行中であるか否かを判定する(ステップS500)。この判定は、例えば、図示しない触媒暖機制御にてセットされるフラグのセット状態や、この触媒暖機制御での目標空燃比の設定の有無により下される。ここで、触媒暖機制御の実行中でないと判定すると、何の処理も行うことなく本ルーチンを終了する。従って、触媒暖機制御の様子に基づく圧縮比制御からの圧縮比変更の要求がないことになるので、既述したステップS102aでは、図4のマップを用いた運転状態に基づく圧縮比変更がなされる(ステップS210)。
一方、触媒暖機制御中であれば、その制御で設定される空燃比(目標空燃比AF0)の状態を判定する(ステップS510)。ここで、強リッチ状況(AF0>設定AF1)か強リーン状況(AF0<設定AF2)であると判定すると、目標圧縮比を高圧縮比に設定し(ステップS520)、本ルーチンを終了する。ステップS510で否定判定すれば、目標圧縮比をステップS520で設定した目標圧縮比より小さい圧縮比に設定し(ステップS530)、本ルーチンを終了する。
以上説明した実施例によれば、次の利点がある。
強リッチ状況(AF0>設定AF1)や強リーン状況(AF0<設定AF2)では、燃料の極端な過不足があるため、燃料の燃焼が不安定となり得る。しかしながら、こうした状況下では、目標圧縮比を高圧縮比として圧縮比を高めるので、既述したように、圧縮行程後期の時期の圧縮端における気体温度を上昇させると共に、スキッシュ乱れをより強化する。よって、燃料を安定して燃焼させることができる。しかも、排気のガス組成も、触媒暖機制御で求められる強リーン或いは強リッチに対応した安定した組成となるので、触媒暖機制御についても強リーン或いは強リッチとしたことの制御意図、即ち強リッチに基づく触媒機能回復や触媒温度上昇、或いは強リーンに基づく窒素酸化物の急吸蔵を達成でき、好ましい。
また、強リッチ状況や強リーン状況でない場合は、ストイキ近辺での空燃比での運転がなされて燃料の燃焼性は安定するので、こうした場合にまで不用意に高圧縮比とすることがない(ステップS530)。このため、圧縮比による燃料温度の上昇を抑制できることから、高温燃料の燃焼に伴う不用意な振動等を回避できる。
以上本発明の実施例について説明したが、本発明は上記の実施例や実施形態になんら限定されるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲において種々なる態様で実施し得ることは勿論である。
例えば、可変圧縮比エンジンについては、シリンダブロック30の上部ブロック31を下部ブロック32に対して上下動させることによって圧縮比を変更する可変圧縮比機構を有するものとしたが、これに限られるわけではない。つまり、可変圧縮比機構は、コンロッドをピストンとクランクシャフトの間で屈曲可能とし、その屈曲程度を変えることでピストンの上下死点位置を変更して圧縮比を変更する構成等、種々の構成を採ることができる。
実施例に係る可変圧縮比エンジン10を含むエンジンシステム100の構成を概略的に示す説明図である。 エンジンの制御の概要を示すフローチャートである。 圧縮比制御を行う場合の処理の様子を示すフローチャートである。 運転条件に基づく目標圧縮比の設定手法を説明する説明図である。 燃料性状に基づいて圧縮比を変更する制御の内容を示すフローチャートである。 燃料性状に基づく目標圧縮比の変更に伴う圧縮比の変更の様子を示す説明図である。 燃料の燃焼性の良否に基づいて圧縮比を変更する制御の内容を示すフローチャートである。 燃料燃焼の安定性に欠ける場合における目標圧縮比の高圧縮比化の様子を示す説明図である。 燃料の燃焼性に基づく目標圧縮比の変更に伴う圧縮比の変更の様子を示す説明図である。 浄化装置70の触媒暖機制御の様子に基づいて圧縮比を変更する制御の内容を示すフローチャートである。
符号の説明
10...可変圧縮比エンジン
20...シリンダヘッド
21...吸気弁
22...排気弁
23...吸気ポート
24...排気ポート
25,26...動弁機構(カム機構)
27...点火プラグ
30...シリンダブロック
31...上部ブロック
32...下部ブロック
33...アクチュエータ
41...ピストン
42...コネクティングロッド
43...クランクシャフト
50...吸気管
51...エアクリーナ
52...スロットル弁
53...電動アクチュエータ
55...燃料噴射弁
56...吸気圧センサ
58...排気管
61...クランク角センサ
62...アクセル開度センサ
70...浄化装置
71...温度センサ
81,82...酸素センサ
90...冷却水温センサ
100...エンジンシステム

Claims (2)

  1. エンジンの圧縮比を変更可能なエンジンであって、
    圧縮比を変更する圧縮比変更機構と、
    エンジンの排ガスを浄化するために排気系に設けられ、排ガスに含まれる窒素酸化物の吸蔵・放出が可能な触媒を有し、該触媒の暖機制御を実行しつつ目標空燃比を設定する浄化装置と、
    エンジンの運転状態に応じて目標圧縮比を設定し、該目標圧縮比となるよう前記圧縮比変更機構を制御する制御手段とを備え、
    前記制御手段は、
    前記浄化装置が前記触媒からの窒素酸化物放出のための触媒暖機制御を実行している状況において前記目標圧縮比を高圧縮比側に変更すると共に、前記浄化装置が設定した前記目標空燃比に応じて前記高圧縮比側への圧縮比変更程度を定める可変圧縮比エンジン。
  2. 請求項1記載の可変圧縮比エンジンであって、
    前記制御手段は、
    記浄化装置の前記目標空燃比が予め定めた設定値を超えたリッチ空燃比またはリーン空燃比であるときの前記圧縮比変更程度を、前記目標空燃比が前記予め定めた設定値の間の空燃比であるときの前記圧縮比変更程度より大きく定める可変圧縮比エンジン。
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