JP5050897B2 - 内燃機関の制御装置 - Google Patents

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Description

本発明は、内燃機関の制御装置に関する。
内燃機関の排気エミッションの低減及び燃費向上を図る技術として、内燃機関からの排気の一部をEGRガスとして吸気系に戻すEGR装置が知られている。また、燃費向上を図る技術として、減速時等において内燃機関への燃料供給を停止する燃料カット制御を行うことが知られている。
EGR装置を備えた内燃機関において、EGR装置による吸気系へのEGRガスの導入が行われている時に燃料カット制御が行われると、燃料カット制御中吸気系及び排気系内にEGRガスが残留し、この残留しているEGRガスが燃料カット制御から通常の燃料噴射制御への復帰時に内燃機関に吸入される。この通常制御への復帰時に内燃機関に吸入される残留EGRガスが、排気浄化触媒によって十分に浄化されないまま車外に排出されてしまう場合があった。これに対し、動力源として内燃機関及び電動モータを備えたハイブリッドシステムにおいて、減速時に電動モータと内燃機関との間のクラッチを締結してモータリングを行うと共に、スロットルバルブを全開にして残留EGRガスを排気浄化触媒に送ることにより、残留EGRガスの浄化を行うことを図る技術が特許文献1に記載されている。
特開2002−256919号公報 特開平6−257518号公報 特開2004−68755号公報
EGR装置を備えた内燃機関において、EGR装置による吸気系へのEGRガスの導入が行われている時に燃料カット制御が行われると、燃料カット制御の開始時に吸気系に流入していたEGRガスが燃料カット制御中吸気系や筒内に残留する。燃料カット制御から通常の燃料噴射制御への復帰時(減速状態からの加速時等)には、まずこの残留EGRガスが気筒に吸入されるため、この残留EGRガスの量が過剰に多い場合、燃料カット制御からの復帰時における燃焼が不安定になる可能性があった。
本発明はこのような問題点に鑑みてなされたものであり、EGR装置を備えた内燃機関において、燃料カット制御から通常の燃料噴射制御への復帰時における燃焼を安定化させる技術を提供することを目的とするものである。
上記目的を達成するため、本発明の内燃機関の制御装置は、
内燃機関からの排気の一部をEGRガスとして前記内燃機関の吸気系に流入させるEGR装置と、
前記内燃機関に燃料を噴射供給する燃料噴射手段と、
前記燃料噴射手段による燃料噴射を停止する燃料カット制御を行う燃料カット制御手段と、
前記燃料カット制御から通常の燃料噴射制御への復帰時における前記燃料噴射手段により噴射される燃料の霧化を促進する燃料霧化促進手段と、
を備えることを特徴とする。
ここで、「燃料霧化促進手段」は、燃料噴射手段により内燃機関に噴射供給される燃料が霧化し易い条件を成立させる手段である。「燃料霧化促進手段」は、燃料噴射手段から噴射された後の燃料に対して当該燃料が霧化し易くなるようにする手段、すなわち、燃料噴射手段から噴射された燃料が霧化し易い環境を作り出す手段とすることができる。また、「燃料霧化促進手段」は、燃料噴射手段から噴射される前の段階で予め燃料が霧化し易くなるようにしておく手段、すなわち、燃料噴射手段から噴射される前の燃料が霧化し易い環境を作り出す手段とすることができる。
また、「燃料カット制御から通常の燃料噴射制御への復帰時における燃料噴射手段により噴射される燃料の霧化を促進する」とは、燃料カット制御から通常の燃料噴射制御への復帰時に、燃料が霧化し易い条件を成立させることや、燃料カット制御からの復帰時において、燃料が霧化し易い条件が成立している状態にしておくことを意味する。
すなわち、「燃料霧化促進手段」は、燃料カット制御開始時又は燃料カット制御中において燃料が霧化し易い条件を成立させ、その状態で燃料カット制御から通常の燃料噴射制御への復帰要求を待機する手段であっても良いし、燃料カット制御から通常の燃料噴射制御への復帰時において燃料が霧化し易い条件を成立させる手段であっても良い。
本発明によれば、燃料カット制御からの復帰時において、燃料霧化促進手段により、燃料が霧化し易い条件が成立するため、燃料カット制御からの復帰時における燃料の燃焼安定性が向上し、吸気へのEGRガスの導入に対する燃焼耐性が向上する。従って、燃料カット制御からの復帰時において内燃機関に噴射供給される燃料が失火等の燃焼不安定を生じることなく安定的に燃焼可能な吸気のEGR率の上限値を高めることができる。これにより、燃料カット制御からの復帰時に、燃料カット制御中に吸気系内に残留しているEGRガスが気筒に吸入されたとしても、失火等の燃焼不安定が生じることを抑制し、安定した燃焼状態を実現することが可能となる。
本発明において、「燃料霧化促進手段」を燃料が霧化し易い条件が成立した状態で燃料カット制御から通常の燃料噴射制御への復帰要求を待機する手段とした場合には、「燃料霧化促進手段」が燃料が霧化し易い条件を成立させるために実行する何らかの動作や制御に動作遅れが存在するような場合においても、燃料カット制御から通常の燃料噴射制御への復帰要求が発生した時点で即座に燃料が霧化し易い条件を成立させることができる。
本発明においては、
前記内燃機関の吸気バルブの閉弁タイミングを変更可能な可変動弁機構を更に備え、
前記燃料霧化促進手段は、前記燃料カット制御からの復帰時における前記吸気バルブの閉弁タイミングが通常制御時よりも早いタイミングになるように前記可変動弁機構を制御する手段とすることができる。
吸気バルブの閉弁タイミングが通常よりも早いタイミングとなることにより、吸気行程において吸入される空気量が増加するとともに、圧縮行程における実効的な圧縮ストロークが長くなるため、実質的な圧縮比(実圧縮比、有効圧縮比)が高くなり、結果として高い圧縮端温度を実現することができる。これにより、燃料が噴射される筒内温度を高くなり、噴射燃料が霧化し易くなるので、燃料の燃焼が安定的に行われるようになる。燃料の燃焼安定性が高まることにより、燃料カット制御からの復帰時における気筒吸入ガス中に燃料カット制御中の吸気系内の残留EGRガスが含まれている場合であっても、失火等の燃焼不安定やそれに起因するトルク変動の発生を抑制することができる。
本発明においては、
前記内燃機関の吸気バルブの閉弁タイミングを変更可能な可変動弁機構を更に備え、
前記燃料霧化促進手段は、前記燃料カット制御からの復帰時における前記吸気バルブの閉弁タイミングが下死点近傍のタイミングになるように前記可変動弁機構を制御する手段としても良い。
吸気バルブの閉弁タイミングが下死点近傍のタイミングとなることにより、吸気行程において吸気系に噴き戻される空気量が少なくなり、吸入空気量が増加する。また、実質的な圧縮行程における圧縮ストロークが長くなる。このため、有効圧縮比が高くなり、結果として高い圧縮端温度を実現することができる。これにより、燃料が噴射される筒内温度を高くすることができる。
本発明においては、
前記内燃機関の吸気バルブの開弁タイミングを変更可能な可変動弁機構を更に備え、
前記燃料霧化促進手段は、前記燃料カット制御からの復帰時における前記吸気バルブの開弁タイミングが通常制御時よりも遅いタイミングになるように前記可変動弁機構を制御する手段としても良い。
吸気バルブの開弁タイミングが通常よりも遅いタイミングとなることにより、吸気バルブが開弁する時点での筒内負圧が大きくなるため、吸気の気筒内への流入速度が増加する。これにより気筒内に流入する吸気の運動エネルギーが増加するため、結果として筒内ガスの温度が高くなる。これにより、圧縮端温度も高くなるので、燃料が噴射される筒内温度を高くすることができる。
本発明においては、
前記内燃機関は複数の気筒を備え、
前記複数の気筒のうち少なくとも1の気筒について吸気バルブ及び排気バルブの少なくとも一方を閉状態とすることで当該気筒を休止させる気筒休止手段を更に備え、
前記燃料霧化促進手段は、前記燃料カット制御からの復帰時における休止気筒が少なくとも1つ存在するように前記気筒休止手段を制御する手段としても良い。
複数の気筒のうちの一部の気筒を休止させることにより、休止させられていない気筒に吸入される吸気量は、要求トルクが等しければ、一部気筒の休止を行わない場合に運転気筒に吸入される吸気量と比較して増加する。これにより、運転気筒における吸入空気量が増加し、当該運転気筒の有効圧縮比が高くなり、結果として高い圧縮端温度を実現することができる。このような減筒運転をすることにより、燃料が噴射される筒内温度を高くすることができる。
本発明においては、
前記燃料噴射手段により噴射される燃料を加熱する燃料加熱手段を更に備え、
前記燃料霧化促進手段は、前記燃料カット制御からの復帰時における前記燃料噴射手段により噴射される燃料が加熱された状態となるように前記燃料加熱手段を制御する手段としても良い。
燃料カット制御からの復帰時における燃料噴射手段により噴射される燃料が加熱された状態となることにより、燃料の温度が上昇するため、燃料が霧化し易くなる。これにより、燃料の燃焼安定性が向上するので、燃料カット制御からの復帰時における吸入ガス中に残留EGRガスが存在している場合であっても、失火等の燃焼不安定を生じることを抑制でき、燃料カット制御からの復帰時における燃焼の安定性を向上させることが可能となる。
本発明においては、
前記内燃機関の機械圧縮比を可変とする可変圧縮比機構を更に備え、
前記燃料霧化促進手段は、前記燃料カット制御から通常の燃料噴射制御への復帰時における前記内燃機関の機械圧縮比が通常制御時よりも高くなるように前記可変圧縮比機構を制御する手段としても良い。
内燃機関の機械圧縮比が高くなることにより、圧縮行程における圧縮端温度が上昇するので、燃料カット制御からの復帰時において燃料が噴射される時の筒内温度を高くすることができる。これにより、燃料の霧化を促進し、燃焼の安定性を向上させることが可能となる。
内燃機関の燃費を向上させる技術として、通常よりも吸気バルブの閉弁タイミングを遅くする技術が知られている。吸気バルブの遅閉じを行うことにより、ポンプ損失が低減するため、燃費の向上を図ることができる。一方、吸気バルブの閉弁タイミングが遅くなることにより、吸入ガスの吸気系への吹き返しのために吸入空気量が少なくなるため、吸気バルブの遅閉じを行う場合、トルクを得にくくなる。従って、要求トルクの大きい高負荷運転状態においては、吸気バルブの遅閉を行わない通常のサイクルで燃焼を行い、低中負荷運転状態においては吸気バルブの遅閉じを行って燃費特性に優れた燃焼を行うようにした内燃機関の制御方法が知られている。
このような、吸気バルブの遅閉じを行う燃費特性に優れたバルブ特性と、当該バルブ特性よりも吸気閉弁タイミングが早くトルク特性に優れたバルブ特性とを切替可能に構成された内燃機関に対して、本発明を適用することができる。具体的には、上記本発明の構成において、
前記内燃機関の吸気バルブのバルブ特性を変更可能な可変動弁機構を更に備え、
前記可変動弁機構は、前記吸気バルブのバルブ特性を、第1のバルブ特性と、該第1のバルブ特性と比較して少なくとも吸気バルブの閉弁タイミングが早い通常サイクルで運転するための第2のバルブ特性と、
のいずれかに設定する機能を有し、
前記燃料霧化促進手段は、前記燃料カット制御から通常の燃料噴射制御への復帰時における前記吸気バルブのバルブ特性が前記第2のバルブ特性となるように前記可変動弁機構を制御する手段としても良い。
吸気バルブのバルブ特性を第2のバルブ特性に設定することにより、第1のバルブ特性の場合と比較して、吸入空気量が増加すると共に実質的な圧縮ストロークが長くなるので、有効圧縮比が高くなる。従って、燃料カット制御から通常の燃料噴射制御への復帰時において吸気バルブのバルブ特性が第2のバルブ特性に設定されることで、第1のバルブ特性に設定される場合より圧縮行程における圧縮端温度が高くなる。これにより、通常の燃料噴射が行われた場合の当該燃料の燃焼を安定化させることができる。
吸気バルブのバルブ特性を上述した第1のバルブ特性又は第2のバルブ特性に切替可能な可変動弁機構としては、例えば、
前記吸気バルブのバルブ特性が前記第1のバルブ特性となるように前記吸気バルブを開閉する遅閉じカムと、
前記吸気バルブのバルブ特性が前記第2のバルブ特性となるように前記吸気バルブを開閉する通常カムと、
前記吸気バルブを開閉するカムを前記遅閉じカム又は前記通常カムのいずれかに切り替える手段と、
を有する構成としても良い。
このように構成された可変動弁機構を備えた内燃機関に上記本発明を適用する場合、本
発明において、
前記燃料霧化促進手段は、前記燃料カット制御から通常の燃料噴射制御への復帰時における前記吸気バルブを開閉するカムが前記通常カムとなるように前記可変動弁機構を制御する手段としても良い。
この場合、吸気カムを通常カムに設定することにより、吸入空気量が増加すると共に、圧縮ストロークが遅閉じカムの場合より長くなり、有効圧縮比が遅閉じカムの場合より高くなる。従って、燃料カット制御からの復帰時において吸気カムとして通常カムが使用されるようにすることで、吸気カムとして遅閉じカムを使用する場合より圧縮端温度が高くなるため、燃焼を安定化させることが可能となる。
燃料カット制御を行う内燃機関の制御装置においては、燃料カット制御が行われている期間中に内燃機関の回転を維持するために、内燃機関の回転数が一定の回転数(燃料噴射復帰回転数)を下回った場合に、内燃機関の回転を維持することが可能な程度の燃焼を行わせるための燃料噴射が実行されることがある。このような燃焼に係る燃費特性を改善することを目的として、上記の本発明の構成において、
前記内燃機関の気筒に吸入されるガスのEGR率が、前記吸気バルブのバルブ特性を第1のバルブ特性とした場合において燃焼が成立する所定の基準値以下であるか否かを判定する判定手段と、
前記燃料カット制御中、前記判定手段により前記EGR率が前記基準値以下であると判定された場合には、前記可変動弁機構により前記吸気バルブのバルブ特性を第1のバルブ特性に設定する燃料カット時バルブ制御手段と、
を更に備えるようにしても良い。
ここで、「燃焼が成立する」とは、失火等の燃焼不安定を生じることなく燃焼が行われることを意味する。「所定の基準値」は、燃焼不安定を生じることなく燃料が燃焼し得るEGR率の上限値に基づいて定められる。すなわち、内燃機関の気筒に吸入されるガスのEGR率がこの基準値を上回った場合には、燃料噴射を実行しても当該噴射された燃料が安定的な燃焼を行うことは難しいと判断できる。逆に、判定手段によりEGR率が基準値以下であると判定された場合には、燃料カット制御の実行中に内燃機関の回転維持のために行われる燃焼が、失火等の燃焼不安定を生じることなく行われ得ることを意味する。
上記構成によれば、EGR率が基準値以下であると判定される場合には、吸気バルブのバルブ特性が第1のバルブ特性に設定される。これは、燃料霧化促進手段により吸気バルブのバルブ特性が第2のバルブ特性に設定されている場合であっても、第1のバルブ特性に切り替えられることを意味する。
これにより、燃費特性に優れる吸気バルブ特性に設定された上で、上記内燃機関の回転維持のための燃焼が行われることになるため、当該燃焼に係る燃費特性を向上させることが可能となる。なお、気筒吸入ガスのEGR率が基準値を上回る場合には、燃焼不安定を生じることなく燃料の燃焼を行わせること自体が困難であるので、燃費を考慮したバルブ特性に変更する必要性がない。そのため、上記構成では、良好な燃焼を行い得ると判定された場合に限って、燃費を考慮したバルブ特性(第1のバルブ特性)に切り替えるようにしたのである。
なお、このように燃料カット制御中に気筒吸入ガスのEGR率が基準値以下であると判定されて吸気バルブのバルブ特性が第1のバルブ特性に切り替えられた場合であっても、燃料カット制御通常の燃料噴射制御への復帰する復帰条件が成立した時(例えば減速状態からの加速要求時)には、吸気バルブのバルブ特性を第2のバルブ特性に切り替えることが好ましい。
これにより、吸気バルブを第2のバルブ特性とすることで、吸入空気量が増加し、筒内温度が上昇し、燃料霧化が促進され、燃焼安定性が向上し、燃焼のEGRガスに対する耐性が向上するという効果が得られるので、減速状態からの加速時などの大きなトルクを要求される状況においても、良好なドライバビリティを確保することが可能になる。
本発明により、EGR装置を備えた内燃機関において燃料カット制御から通常の燃料噴射制御への復帰時における燃焼を安定化させることが可能になる。
以下に図面を参照して、この発明を実施するための最良の形態を例示的に詳しく説明する。本実施例に記載されている構成部品の寸法、材質、形状、その相対配置等は、特に記載がない限りは、発明の技術的範囲をそれらのみに限定する趣旨のものではない。
図1は、本実施例における内燃機関1とその吸排気系及び制御系の概略構成を示す図である。内燃機関1は、複数の気筒18を有するガソリンエンジンである(図1には複数のうち1の気筒18の模式図を示している。他の気筒についても同様の構成を有する)。気筒18の内部には摺動可能にピストン3が挿入され、ピストン3と気筒18の内壁とにより気筒18内部に燃焼室2が形成されている。
燃焼室2は、吸気ポート11を介して吸気通路5と連通している。吸気ポート11は吸気バルブ12によって開閉される。吸気通路5には、吸気の量を制御可能なスロットル弁14が設けられている。また、吸気通路5には、吸気通路5に導入される空気の量(吸入空気量)を検出するエアフローメータ13及びサージタンク16が設けられている。吸気ポート11には、吸気ポート11内に燃料を噴射供給する燃料噴射弁10が設けられている。また、気筒18の上部には、燃焼室2内に吸入される混合気に点火するための点火プラグ15が設けられている。
燃焼室2は、排気ポート8を介して排気通路6と連通している。排気ポート8は排気バルブ9によって開閉される。排気通路6には、排気中に含まれる窒素酸化物(NOx)、炭化水素(HC)、一酸化炭素(CO)、微粒子物質(PM)等を浄化する排気浄化装置7が設けられている。
内燃機関1には、吸気バルブ12のバルブ特性を変更可能な可変動弁機構4が備えられている。本実施例の可変動弁機構4は、吸気バルブ12のバルブ特性を、図2に示すような2種類のバルブ特性に切り替える機能を有する可変動弁機構である。図2(A)は第1のバルブ特性を表している。第1のバルブ特性は大作用角のバルブ特性であり、吸気開弁タイミングは上死点近傍の時期、吸気閉弁タイミングは下死点後の時期(例えば下死点後60〜70°)である。図2(B)は第2のバルブ特性を表している。第2のバルブ特性は小作用角のバルブ特性であり、吸気開弁タイミングは上死点後の時期(例えば上死点後60〜70°)、吸気閉弁タイミングは下死点近傍の時期である。
吸気バルブ12のバルブ特性を上記第1のバルブ特性と第2のバルブ特性に切り替えるための可変動弁機構4の具体的な構成としては、例えば、吸気バルブ12の開閉をカムの回転により行うように構成し、吸気バルブ12を開閉するカム(吸気カム)として、第1のバルブ特性に対応するカムプロフィールを有する第1の吸気カムと、第2のバルブ特性に対応するカムプロフィールを有する第2の吸気カムと、を備え、第1の吸気カムと第2の吸気カムとを切り替えることで、吸気バルブ12のバルブ特性を第1のバルブ特性と第
2のバルブ特性とに切替可能に可変動弁機構4を構成することができる。また、吸気バルブ12の開閉タイミングや作用角を連続的に変更可能に構成された可変動弁機構4を用いて、上記第1のバルブ特性及び第2のバルブ特性を実現するようにしても良い。その他、可変動弁機構4の具体的な構成としては公知の種々の構成を用いることができるので、可変動弁機構4の詳細な構成についてここでは説明を省略する。第1のバルブ特性と第2のバルブ特性との切替制御の詳細については後述する。
吸気通路5と排気通路6とはEGR通路30により接続されている。排気通路6を流れる排気の一部はEGR通路30を介して吸気通路5に流入する。EGR通路30によって内燃機関1の吸気系に流入する排気を「EGRガス」と称する。EGR通路30には、EGR通路30内を流れるEGRガスの流れ方向(図1中において矢印で示す)に沿って上流からEGRクーラ31及びEGR弁32が順に配置されている。EGRクーラ31は、EGR通路30の周囲を取り巻くように設けられ、EGR通路30内を流れるEGRガスを冷却する。EGR弁32は、無段階に開閉される電子制御弁(開閉弁)であり、EGR通路30内を流れて吸気通路5に流入するEGRガス量を自在に調整することができる。
内燃機関1は、前述のエアフローメータ13の他、図示しないクランクシャフトの回転角度に応じた電気信号を出力するクランクポジションセンサ21、図示しないアクセルペダルの踏み込み量(アクセル開度)に応じた電気信号を出力するアクセルポジションセンサ22を備えている。これら各種センサから出力される信号は、内燃機関1を制御するコンピュータであるECU20に入力されるようになっている。ECU20は、これら各種センサから入力される信号に基づいて、燃料噴射弁10、EGR弁32、点カプラグ15、スロットル弁14、可変動弁機構4を含む各種機器の動作を制御することにより、内燃機関1の運転状態を制御する。
EGR弁32が開弁されることにより、EGRガスが吸気通路5に流入する。このようにして内燃機関1の吸気系にEGRガスを導入することにより、冷却損失やポンピングロスが低減するので、燃費を向上させることができる。また、排気に含まれるNOx等の有害物質の量が低減するので、排気性能を向上させることができる。しかしながら、吸気のEGR率が過剰に高くなると、燃焼が不安定化し、失火やトルク変動等の問題が生じる場合がある。
図3を用いて、このEGR率と燃焼不安定及び燃費との関係について説明する。図3において横軸はEGR率、縦軸は燃費及びトルク変動を表す。EGR率が増加していくと、EGRガス中の不活性ガスにより吸気の熱容量が増大し、燃焼温度が低下することにより、冷却損失が低下する。また、EGRガスの量が増加することでトルクが出なくなり、スロットル弁14の開度が増加しポンプ損失が減少する。その結果、領域Aにおいては、EGR率が増加するとともに燃費は向上(燃料消費量が減少)する。
さらにEGR率が増加すると、不活性ガスの比率が高くなるため燃焼が悪化するので、領域Bにおいては燃費が悪化(燃料消費量が増加)し始めるとともに、燃焼が不安定化してトルク変動が急激に悪化する。本実施例では、過度の燃焼不安定が発生せず、且つ燃費が最高となる点(領域AとBの境界)をEGRの限界値としている。このような限界値を以下「限界EGR率」と称する。
一般に、内燃機関1の運転条件が低負荷低回転の場合、新気量及び燃料噴射量が少ないため、EGRガスの導入に対して燃焼不安定が生じ易い。一方、内燃機関1の運転条件が高負荷高回転の場合、安定した燃焼が行われるので、大量のEGRガスを導入しても燃焼不安定を生じにくい。図4に、内燃機関1の運転条件が低負荷低回転の場合と高負荷高回転の場合との各場合における、吸気のEGR率とトルク変動との関係を示す。例えば図4
のEGR率REGRのように、内燃機関1の運転条件が高負荷高回転の場合にはトルク変動が生じにくいEGR率であっても、内燃機関1の運転条件が低負荷低回転の場合には大きなトルク変動が生じる場合がある。
このように、燃焼が不安定化しない吸気のEGR率の上限値(限界EGR率)が内燃機関1の運転条件に応じて異なる点に鑑み、本実施例では、内燃機関1の運転条件が高負荷高回転になるほど吸気のEGR率が高くなるようにEGR制御を行うこととした。図5に、内燃機関1の運転条件(図5の例では回転数及び負荷)毎に定められるEGR率のマップを示す。図5に示すように、内燃機関1の回転数及び/又は負荷が高くなるほど、EGR率は高くされる。また、図5において斜線で示す所定の低負荷低回転領域ではEGRガスの導入が停止される。
本実施例のシステムでは、内燃機関1の所定の運転条件において、燃料噴射弁10による燃料噴射を停止する燃料カット制御を行う。所定の運転条件としては、減速時等を例示できる。この所定の運転条件を本実施例では「燃料カット条件」と称する。燃料カット条件が成立する時に燃料カット制御を行うことにより、余計な燃料消費を抑制することができ、燃費を向上させることができる。燃料カット制御時には、EGR弁32は閉弁され、吸気系へのEGRガスの導入も停止される。
燃料カット制御から通常の燃料噴射制御への復帰すべき条件(復帰条件)が成立した場合、燃料カット制御を停止して通常の燃料噴射制御を開始する。通常の燃料噴射制御への復帰条件としては、例えば減速状態からの加速時等を例示できる。
燃料カット条件が成立して燃料噴射弁10による燃料噴射が停止されると、内燃機関1の回転数は徐々に低下していく。内燃機関1の回転数が所定の回転数(燃料噴射復帰回転数)以下になった場合に、内燃機関1の回転を維持するために燃料噴射を復帰させる制御を行う。この燃料噴射は、復帰条件の成立の有無とは関わりなく行われる。本明細書において、「燃料カット制御」といった場合、燃料カット条件が成立してから復帰条件が成立するまでの間に内燃機関1の回転を維持するために行われる上記の燃料噴射制御も含むものとする。すなわち、上記の「通常の燃料噴射制御」には、内燃機関1の回転を維持するための燃料噴射は含まないものとする。
ここで、吸気系にEGRガスが導入される運転条件で内燃機関1が運転されている時に燃料カット制御が開始されると、燃料カット制御中、EGR弁32より下流側のEGR通路30、EGR通路30の接続箇所より下流側の吸気通路5、サージタンク16、及び吸気ポート11から成る吸気系領域内にEGRガスが残留する。吸気系領域内に残留しているEGRガスの一部は、燃料カット制御開始後に内燃機関1の回転が低下していく間に気筒2に吸入されて掃気されるが、燃料カット制御の開始直前の内燃機関1の運転条件等により十分に吸気系領域内から掃気されない場合がある。
このような吸気系領域内にEGRガスが残留している状態で、燃料カット制御から通常の燃料噴射制御(通常制御)への復帰条件が成立した場合、まず吸気系領域内に残留しているEGRガスが燃焼室2内に吸入されることになる。ここで、燃料カット制御から通常の燃料噴射制御への復帰条件としては、減速状態からの加速時等を例示できる。
特に、大量のEGRガスが導入される高負荷高回転領域に属する運転条件から燃料カット制御が開始された場合、通常制御への復帰条件が成立した時に吸気系領域内に大量のEGRガスが残留している可能性がある。そのような場合、通常制御への復帰条件が成立した時に即座に通常制御への復帰が行われると、吸気系領域内の高EGR率の残留ガスが内燃機関1の燃焼室2に吸入されるとともに、燃料噴射弁10による内燃機関1への燃料供
給が行われる。そのため、復帰条件成立時の内燃機関1の運転条件に対応する限界EGR率を超えて気筒吸入ガスのEGR率が過剰に高くなり、失火等の燃焼不安定を生じる可能性がある。
このような燃料カット制御中の吸気系領域内に残留するガスのEGR率の変化について、図6を参照して説明する。図6のグラフの横軸は時間を表し、縦軸は限界EGR率、吸気系領域内のガスのEGR率、EGR弁32の開度、及び、スロットル弁14の開度を表す。図6において、燃料カット制御の開始前(時刻tより前)の通常制御が行われている時は、吸気のEGR率は図5のマップで定められるような目標EGR率REGRTRGに制御される。すなわち、時刻t以前では、気筒吸入ガスのEGR率REGR(実線B)は限界EGR率REGRC(破線A)以下である。これにより、通常制御時においてはEGRによる燃費向上効果及び排気性能向上効果を実現しつつ、燃焼不安定が生じることを抑制できる。
時刻tにおいて燃料カット条件が成立すると、燃料カット制御が開始される。同時に、EGR弁32が閉弁され、スロットル弁14が閉弁される。これにより、限界EGR率は時刻t以降急激に減少する。また、時刻t以降、燃料カット制御により燃料噴射が停止されるが、暫くの間は慣性により内燃機関1の回転が継続し、それにより吸気系領域内の残留ガスが燃焼室2内に吸入され、吸気系領域から掃気されていく。これにより、気筒吸入ガスのEGR率REGRも時刻t以降徐々に低下していく。
ところが、図6に示すように、時刻t以降の限界EGR率REGRCの低下と比較して気筒吸入ガスのEGR率REGRの低下は遅く、燃料カット制御開始後(時刻t以降)において、気筒吸入ガスのEGR率が限界EGR率を超える場合がある(図6の例では時刻t〜tの期間)。燃料カット制御の継続時間が長くなると(例えば減速状態が長期に亘って継続する場合等)、図6の時刻t以降のように、吸気系領域内の残留ガスのEGR率が十分に低下して限界EGR率以下となる場合もある。
燃料カット制御中に通常制御への復帰条件が成立した場合、再びスロットル弁14が開弁されるとともに内燃機関1に対して燃料供給が再開されるが、復帰条件成立時にはまず吸気系領域内に残留しているガスが燃焼室2内に吸入される。気筒吸入ガスのEGR率が限界EGR率以下まで低下している期間内(図6の例では時刻t以降)の時点(例えば図6の時刻t)において、燃料カット制御から通常制御への復帰条件が成立して通常の燃料噴射制御が開始された場合、適切な燃焼が行われると考えられる。しかしながら、気筒吸入ガスのEGR率が限界EGR率を超えている期間内(時刻t〜t)の時点(例えば図6の時刻t)において燃料カット制御から通常制御への復帰条件が成立して通常の燃料噴射制御が開始された場合、安定的に燃料が燃焼可能なEGR率に対して過剰にEGR率の高いガスが燃焼室2内に吸入されることになるため、失火等の燃焼不安定が生じる虞がある。
そこで、本実施例のシステムでは、燃料カット制御の開始時に吸気バルブ12のバルブ特性が第2のバルブ特性となるように可変動弁機構4の制御を行うようにした。これにより、燃料カット制御の開始時に、吸気バルブ12の開弁タイミングが上死点後の時期となるとともに、吸気バルブ12の閉弁タイミングが下死点近傍の時期となる。
吸気バルブ12の開弁タイミングが上死点後の時期になることにより、燃焼室2内の圧力が低下した状態で吸気バルブ12が開弁されることになるので、吸気バルブ12の開弁時における吸気通路5と燃焼室2内との圧力差が大きくなる。従って、吸気通路5内のガスの燃焼室2内への流入速度が増大し、筒内温度が高くなる。
また、吸気バルブ12の閉弁タイミングが下死点近傍の時期となることにより、燃焼室2内に吸入されたガスの吸気通路5への吹き返しの量が減少するため、吸入空気量が増加する。また、実質的な圧縮ストロークが長く確保されることになる。従って、実質的な圧縮比(実圧縮比、有効圧縮比)が高くなり、圧縮行程における圧縮端温度が高くなるので、筒内温度が高くなる。
このように、吸気バルブ12のバルブ特性が第2のバルブ特性に設定されることにより、筒内温度を上昇させることができる。筒内温度が高い環境下で燃料噴射が行われれば、燃焼室2内で当該噴射された燃料の霧化が好適に促進されるので、安定した燃焼を行うことができる。換言すると、吸気バルブ12のバルブ特性が第1のバルブ特性である場合と比較して、気筒吸入ガスのEGR率が等しい条件で発生するトルク変動がより小さくなり、EGRガスの導入に対する燃焼耐性が向上することを意味する。このことを図3を参照して説明すると、図3の破線Tが第1のバルブ特性の場合のEGR率とトルク変動との関係を表しているとすれば、第2のバルブ特性の場合の当該関係は破線T’のように表されることになる。つまり、第2のバルブ特性に切り替えることにより、限界EGR率が高くなる。
本実施例に拠れば、燃料カット制御開始時に、吸気バルブ12のバルブ特性が第2のバルブ特性に設定される。これは、燃料噴射が行われた場合に当該噴射燃料が霧化し易い環境が、燃料カット制御の開始時から整えられることを意味する。このことにより、燃料カット制御から通常の燃料噴射制御への復帰条件が成立する時点で、通常の燃料噴射制御により噴射された燃料が好適に霧化し安定的な燃焼を行うことが可能な環境が作り出されていることになる。従って、燃料カット制御からの復帰時に、燃料カット制御中に吸気系領域内に残留しているEGRガスが燃焼室2内に吸入されたとしても、当該吸入ガスのEGR率が限界EGR率を超えることが抑制され、燃料カット制御からの復帰時に応答性良く燃焼不安定が生じることを抑制できる。
上記のような燃料カット制御からの復帰時の燃料霧化を促進する制御を実行した場合の、限界EGR率、気筒吸入ガスのEGR率、燃料噴射量、EGR弁開度、吸気バルブの開弁タイミング、及び吸気バルブの閉弁タイミングの変化の一例について、図7を参照して説明する。図7に示すように、燃料カット制御の開始前(時刻tより前)の通常制御が行われている時には、吸気バルブ12は第1のバルブ特性に設定される。すなわち、吸気開弁タイミングは上死点近傍の時期であり、吸気閉弁タイミングは下死点後の時期である。
時刻tにおいて燃料カット条件が成立して燃料カット制御が開始されると、吸気バルブ12のバルブ特性は第2のバルブ特性に切り替えられる。すなわち、吸気開弁タイミングは上死点後の時期になり、吸気閉弁タイミングは下死点近傍の時期に設定される。これにより、上記のように筒内温度が上昇し、燃料の燃焼安定性が向上するため、限界EGR率が第1のバルブ特性の場合の限界EGR率(破線A)より高くなる(破線A’)。限界EGR率が高くなることにより、燃料カット制御中における気筒吸入ガスのEGR率(実線B)が限界EGR率を上回ることが抑制される。
従って、第1のバルブ特性であれば気筒吸入ガスのEGR率が限界EGR率を超えているようなタイミング(時刻t)において燃料カット制御からの復帰条件が成立し、燃料噴射が再開されたとしても、燃焼不安定が生じることを抑制できる。
図7に示すように、燃料カット制御からの復帰後、気筒吸入ガスのEGR率が安定し、且つ第1のバルブ特性の場合の限界EGR率が十分に高くなった時点(時刻t)で、吸気バルブ12のバルブ特性を第2のバルブ特性から第1のバルブ特性に切り替える。気筒
吸入ガスのEGR率が安定する時期は、燃料カット制御からの復帰時において吸気系領域内に残留しているガスが全て掃気される時期に基づいて判定することができる。この時期は、燃料カット制御開始直前の運転状態や、燃料カット制御が行われた時間、燃料カット制御からの復帰後の運転状態等に基づいて判定しても良いし、燃料カット制御からの復帰後、予め定められた一定時間が経過した時点で、気筒吸入ガスのEGR率が安定したと判定するようにしても良い。
上記のような燃料カット制御からの復帰時の燃料霧化を促進する制御を行うためのルーチンについて、図8のフローチャートを参照して説明する。このルーチンは内燃機関1の稼働中ECU20によって繰り替え時実行される。
ステップS101において、ECU20は、内燃機関1の運転状態を取得する。具体的には、クランクポジションセンサ21から入力される信号に基づいて回転数を取得したり、アクセルポジションセンサ22から入力される信号に基づいて負荷を取得したり、図示しない各種センサによって水温や吸気温等を取得する。
ステップS102において、ECU20は、燃料カット条件が成立したか否かを判定する。具体的には、アクセルポジションセンサ22から入力されるアクセル開度の変化や、ステップS101で取得した内燃機関1の運転状態に基づいて判定する。例えば、通常運転状態から減速状態へ変化する時や、減速状態である場合に燃料カット条件が成立したと判定する。ステップS102において肯定判定された場合、ECU20はステップS103に進み、否定判定された場合、ステップS106に進む。ステップS102で否定判定される場合とは、例えば、通常走行状態である場合や、減速状態から再加速する時(燃料カット制御から通常の燃料噴射制御への復帰条件が成立する時)等である。
ステップS103において、ECU20は、燃料カット制御を実行する。すなわち、燃料噴射弁10による内燃機関1への燃料供給を停止する。なお、上述したように、燃料カット制御中に内燃機関1の回転数が燃料噴射復帰回転数を下回った場合には、内燃機関1の回転を維持するための燃料噴射を行うが、ここではこの制御については省略する。
ステップS104において、ECU20は、EGR弁32を全閉にする。
ステップS105において、ECU20は、吸気バルブ12のバルブ特性が第2のバルブ特性となるように、可変動弁機構4を制御する。
ステップS106において、ECU20は、燃料カット制御から通常の燃料噴射制御への復帰条件が成立したか否かを判定する。例えば、減速状態からの加速時に、復帰条件が成立したと判定される。ステップS106において肯定判定された場合、ECU20はステップS107に進み、否定判定された場合、ステップS111に進む。ステップS106で否定判定される場合とは、例えば、燃料カット条件が成立しない通常走行時、すなわち定速走行時や加速時等である。ステップS106で否定判定された場合には、ECU20はステップS111及びステップS112において通常の燃料噴射制御及びEGR弁開度の制御を行う。
ステップS107において、ECU20は、通常の燃料噴射制御を行う。
ステップS108において、ECU20は、EGR弁32の開度を通常の目標開度に開弁する。
ステップS109において、ECU20は、気筒吸入ガスのEGR率が安定したか否か
を判定する。具体的には、上述したように、燃料カット制御開始直前の運転状態や燃料カット制御の実施期間に基づいて判定しても良いし、燃料カット制御からの復帰条件が成立してからの経過時間が所定時間を超えた場合に、EGR率が安定したと判定するようにしても良い。ステップS109で肯定判定された場合、ECU20はステップS110に進み、否定判定された場合、ステップS105に進む。
ステップS110において、ECU20は、吸気バルブ12のバルブ特性が第1のバルブ特性になるように、可変動弁機構4を制御する。
なお、本実施例では、燃料カット制御開始時に、吸気バルブ12のバルブ特性を第2のバルブ特性に切り替えるようにした例について説明したが、吸気バルブ12を第2のバルブ特性に切り替える時期はこれに限られない。
例えば、図6も参照して説明したように、吸気バルブ12のバルブ特性が第1のバルブ特性であっても、燃料カット制御中において常に気筒吸入ガスのEGR率が限界EGR率を上回るわけではく、図6の場合は時刻t以降のように、気筒吸入ガスのEGR率が限界EGR率以下になる場合も考えられる。そのような状況で燃料カット制御からの復帰条件が成立した場合、第1のバルブ特性に設定したまま通常の燃料噴射制御へ復帰しても燃焼不安定が生じる虞は少ないと考えられる。
従って、上記のように燃料カット制御開始時に即座に吸気バルブ12のバルブ特性を第2のバルブ特性に切り替えるのではなく、燃料カット制御中に、気筒吸入ガスのEGR率が限界EGR率を上回っていることを条件に、吸気バルブ12のバルブ特性を第2のバルブ特性に切り替えるようにしても良い。その場合、図6のタイムチャートにおいて、吸気開弁タイミングが上死点近傍の時期から上死点後の時期に切り替えられる時期及び吸気閉弁タイミングが下死点後の時期から下死点近傍の時期に切り替えられる時期は、時刻tとなる。
また、燃料カット制御からの復帰条件が成立する前の任意の時点又は燃料カット制御からの復帰条件が成立した時点で、吸気バルブ12のバルブ特性を第2のバルブ特性に切り替えるようにしても良い。すなわち、本質的には、燃料カット制御からの復帰条件が成立し、通常の燃料噴射制御が実行される時に、吸気バルブ12のバルブ特性が第2のバルブ特性であれば、燃料カット制御中のどの時点で吸気バルブ12のバルブ特性の切替が行われても良い。
ここで、可変動弁機構4の構成によっては、吸気バルブ12のバルブ特性を第1のバルブ特性から第2のバルブ特性に切り替えるために、ある程度の応答時間が必要な場合がある。そのような場合であっても、燃料カット制御開始時又は燃料カット制御中に吸気バルブ12のバルブ特性を第2のバルブ特性に切り替えておくようにすれば、予め吸気バルブ12のバルブ特性が第2のバルブ特性に切り替えられた状態で、燃料カット制御からの復帰条件の成立を待機することになるので、燃料カット制御からの復帰時に、応答性良く、燃料霧化が好適に促進され得る環境で通常の燃料噴射制御を再開することが可能となる。
また、本実施例では、燃料霧化を促進可能な吸気バルブ12のバルブ特性として、吸気開弁タイミングが上死点後の時期且つ吸気閉弁時期が下死点近傍の時期であるような第2のバルブ特性を設定したが、燃料霧化を促進可能な吸気バルブ12のバルブ特性としては、吸気開弁タイミングのみが上死点後まで遅らせられたバルブ特性であっても良いし、吸気閉弁タイミングのみが下死点近傍の時期に設定されたバルブ特性であっても良い。これは、上述したように、吸気開弁タイミングを上死点後の時期まで遅らせることによって得られる筒内温度上昇効果と、吸気閉弁タイミングを下死点近傍の時期に設定することによ
って得られる筒内温度上昇効果とは、互いに独立して得られる効果だからである。但し、吸気開弁タイミングと吸気閉弁タイミングとを共に変化させる本実施例の第2のバルブ特性とすることによって、より効果的に筒内温度を上昇させ、好適に燃料霧化を促進可能な環境を作り出すことができる。
また、本実施例では、第2のバルブ特性として吸気バルブ12の閉弁タイミングを下死点近傍の時期にする例を説明したが、第1のバルブ特性における吸気バルブ12の閉弁タイミングよりも早い時期であれば第1のバルブ特性の場合よりも有効圧縮比を高めて筒内温度を高める効果が期待できるので、第2のバルブ特性における吸気バルブ12の閉弁タイミングは下死点近傍の時期に限らず、単に第1のバルブ特性の場合の吸気閉弁タイミング(本実施例の場合下死点後60〜70°)より早い時期としても良い。
また、ここでいう「下死点近傍の時期」とは、本質的には、圧縮行程における圧縮端温度が高まり燃料の霧化が促進される効果が最も効果的に得られる吸気閉弁タイミングの一例である。内燃機関の運転状態に応じて、そのような燃料霧化効果が最大限得られる吸気閉弁タイミングが、下死点である場合や、下死点の前後に若干ずれる場合も考えられる。従って、下死点近傍のタイミング(例えば下死点前後5〜10°)であって、所望の燃料霧化促進効果が得られる吸気閉弁タイミングを、適合作業や学習制御によって求めて、運転状態に応じた可変値として設定するようにしても良い。
また、本実施例において、非常に大きなトルクが要求される運転状態以外の通常の運転状態においては、吸気バルブの閉弁タイミングが下死点後の時期(例えば下死点後20〜100°)或いは下死点前の時期(例えば下死点前50〜60°)に設定されるような場合を考えても良い。すなわち、一般的な走行状態では下死点近傍のタイミングに吸気閉弁タイミングが設定されることはないが、特に燃料カット制御から通常の燃料噴射制御への復帰時における吸気閉弁タイミングは下死点近傍の時期に設定される構成としても良い。
本実施例においては、EGR通路30及びEGR弁32が、本発明におけるEGR装置に相当する。燃料噴射弁10が、本発明における燃料噴射手段に相当する。燃料カット条件が成立する時に燃料噴射弁10による燃料噴射を停止する制御(ステップS102、ステップS103)を実行するECU20が、本発明における燃料カット制御手段に相当する。吸気バルブ12のバルブ特性を変更する可変動弁機構4及び燃料カット制御開始時に可変動弁機構4を制御して吸気バルブ12のバルブ特性を第2のバルブ特性に切り替える制御(ステップS102、ステップS105)を実行するECU20が、本発明における燃料霧化促進手段に相当する。
次に、本発明の第2の実施例について説明する。実施例1では、燃料カット制御からの復帰時の燃料霧化を促進する制御として、燃料カット制御の開始時に吸気バルブ12のバルブ特性を変更する制御を行う例について説明したが、本実施例では、燃料カット制御の開始時に複数の気筒のうち一部の気筒について休止する気筒休止制御を行うようにした点で、実施例1と相違する。それ以外の点については実施例1と概略共通であるから、以下の説明では実施例1と実質的に同一の構成要素については実施例1と同一の名称及び符号を用い、詳細な説明を省略する。
本実施例の内燃機関1は、4つの気筒18を備えた4気筒エンジンとする。なお、備える気筒の数は4に限られない。本実施例の内燃機関1に備えられている可変動弁機構4は、4つの気筒18毎に独立に吸気バルブ12のバルブ特性を変更する機能を有する。可変動弁機構4により、吸気バルブ12のバルブ特性は、図2(A)に示すような、吸気バルブ12の開弁タイミングが上死点近傍の時期であり、吸気バルブ12の閉弁タイミングが
下死点後60〜70°の時期である第1のバルブ特性と、吸気バルブ12を閉弁状態で固定する第2のバルブ特性と、のいずれかに切り替えることができる。
吸気バルブ12のバルブ特性を上記第1のバルブ特性と第2のバルブ特性とに切り替えるための可変動弁機構4の具体的な構成としては、実施例1で説明した可変動弁機構4と同様の構成とすることができる。すなわち、吸気バルブ12を開閉するカム(吸気カム)として、第1のバルブ特性に対応するカムプロフィールを有する第1の吸気カムと、第2のバルブ特性に対応するカムプロフィールを有する第2の吸気カムと、のいずれかに切り替える構成とすることができる。その他、種々の公知の可変動弁機構の構成を用いることができる点も実施例1と同様である。吸気バルブ12を閉弁状態で固定する第2の吸気カムとしては、ノーズの高さが略ゼロであるようなカムプロフィールを有するカムを用いることができる。
本実施例では、燃料カット条件が成立して燃料カット制御が開始されると同時に、4つの気筒18のうち2つについて吸気バルブ12のバルブ特性を第2のバルブ特性に切り替えるように可変動弁機構4を制御する。これにより、当該2つの気筒18について吸気バルブ12が閉弁状態で固定されるので、当該2つの気筒18について吸気の吸入が休止される。このように、吸気バルブ12を閉弁状態で固定することにより気筒18への吸気の吸入を休止する制御を気筒休止制御と称する。
4つの気筒18のうち2つについて気筒休止制御が行われることにより、要求トルクが等しければ、気筒休止制御を行わない場合(すなわち、4つの気筒18全てについて吸気の吸入が行われる場合)と比較して、1気筒当たりの吸入空気量が休止気筒分だけ増大することになる。これにより、気筒休止制御が行われていない気筒18について有効圧縮比が高くなり、圧縮端温度が高くなるので、筒内温度を高くすることができる。
このように、燃料カット制御開始時に複数気筒のうちの一部について気筒休止制御を行うことにより、筒内温度を高めた状態で燃料カット制御からの復帰条件の成立を待機することになる。従って、燃料カット制御からの復帰条件が成立して通常の燃料噴射制御が再開された時に、当該燃料噴射制御により噴射された燃料が高温の筒内環境下で霧化し易くなるので、燃焼安定性が向上する。これにより、燃料カット制御からの復帰時に燃料カット制御中に吸気系領域内に残留していたEGRガスが燃焼室2内に吸入されたとしても、燃焼不安定が生じることを抑制し、安定的な燃焼を行わせることが可能となる。
本実施例においても、実施例1と同様に、燃料カット制御からの復帰後、EGR率が安定したと判断されるまでの期間、一部気筒についての気筒休止制御を継続し、EGR率が安定したと判定された時点で、気筒休止制御を解除し、全気筒の吸気バルブ12について第1のバルブ特性に設定するようにしても良い。これにより、燃料カット制御からの復帰後の加速時等における燃焼安定性を確保することができる。
上記のような燃料カット制御からの復帰時の燃料霧化を促進する制御を行うためのルーチンについて、図9のフローチャートを参照して説明する。このルーチンは内燃機関1の稼働中ECU20により繰り返し実行される。なお、図9において、図8で説明したステップと実質的に同一内容のステップについては図8と同じ番号を付し、詳細な説明を省略する。
ステップS101で内燃機関1の運転状態を取得し、ステップS102で燃料カット条件が成立したと判定された場合には、ステップS103で燃料カット制御が行われると共に、ステップS104でEGR弁32が閉弁される。そして、ステップS201において、ECU20は、一部の気筒18について気筒休止制御を行う。具体的には、4つの気筒
18のうち2つについて、吸気バルブ12のバルブ特性を第2のバルブ特性に切り替えるように可変動弁機構4が制御される。
一方、ステップS102で燃料カット条件が成立していないと判定され、ステップS106で復帰条件が成立したと判定された場合には、ステップS107で通常の燃料噴射制御が再開されると共に、ステップS108でEGR弁32が通常の目標開度に開弁される。そして、ステップS109で気筒吸入ガスのEGR率が安定して目標EGR率に一致したと判定された場合には、ステップS202において、ECU20は、一部の気筒18に対する気筒休止制御を停止し、全気筒18について通常の制御を行う。具体的には、4つの気筒18の全てについて、吸気バルブ12のバルブ特性を第1のバルブ特性に切り替えるように可変動弁機構4が制御される。ステップS109で気筒吸入ガスのEGR率が未だ安定していないと判定された場合には、ステップS201が実行され、一部気筒の気筒休止制御が継続される。ステップS106で否定判定された場合、すなわち燃料カット条件が成立する場合や燃料カット制御から復帰して気筒吸入ガスのEGR率が安定するまでの過渡期である場合以外の通常の運転状態(通常走行時)は、ECU20はステップS111及びステップS112において通常の燃料噴射制御及び通常のEGR弁開度の制御を行う。
なお、上記の説明では、燃料カット制御開始時に一部気筒についての気筒休止制御を開始する例について説明したが、気筒休止制御の開始時期については、実施例1と同様に、燃料カット制御開始時に限らず、燃料カット制御中、燃料カット制御から通常の燃料噴射制御への復帰条件成立時、気筒吸入ガスのEGR率が限界EGR率を超えている時等に設定することもできる。燃料カット制御時又は燃料カット制御中に予め気筒休止制御を実行しておくことにより、燃料カット制御からの復帰時に応答遅れなく燃料霧化が好適に促進される環境で通常の燃料噴射制御へ復帰することができる点についても、実施例1と同様である。
また、上記の説明では、4つの気筒18のうち2つについて気筒休止制御を行う例について説明したが、気筒休止制御の対象となる気筒の数は2つに限られない。また、気筒休止制御の対象となる気筒が決まった気筒であっても良いし、気筒休止制御の実行毎に異なる気筒が休止の対象とされても良い。休止されない気筒が少なくとも1つ存在すれば、休止される気筒の数に特に制限はなく、ドライバビリティ等の他の条件によって休止気筒数を決定しても良い。
また、気筒休止制御は、吸気バルブ12を閉弁状態で固定する方法に限らず、排気バルブ15を閉弁状態で固定する方法や、吸気バルブ12及び排気バルブ15の両方を閉弁状態で固定する方法や、その他公知の気筒休止の実現方法によって実行することができる。排気バルブ15を閉弁状態で固定する方法を採る場合、排気バルブ15のバルブ特性を変更可能な可変動弁機構を備えた構成とすればよい。吸気バルブ12及び排気バルブ15の両方を閉弁状態で固定する方法を採る場合、吸気バルブ12及び排気バルブ15のバルブ特性を変更可能な可変動弁機構を備えた構成とすればよい。
本実施例においては、吸気バルブ12のバルブ特性を変更する可変動弁機構4及び可変動弁機構4を制御して吸気バルブ12のバルブ特性を第2のバルブ特性に切り替えるECU20が、本発明における気筒休止手段に相当する。燃料カット制御開始時に可変動弁機構4を制御して吸気バルブ12のバルブ特性を第2のバルブ特性に切り替える制御(ステップS102、ステップS201)を実行するECU20が、本発明における燃料霧化促進手段に相当する。
次に、本発明の第3の実施例について説明する。図10は、本実施例の内燃機関のその吸排気系及び制御系の概略構成を示す図である。本実施例のシステムでは、燃料噴射弁10によって噴射される燃料を加熱する燃料加熱装置19が備えられている。燃料加熱装置19はECU20によって制御される。実施例1又は実施例2における可変動弁機構は備えられていない。これ以外の点については図1に示した実施例1又は実施例2のシステム構成と略同一であるので、図1に示した実施例1又は実施例2の構成と実質的に同一の構成要素については同一の名称及び符号を用い、詳細な説明を省略する。
本実施例のシステムでは、燃料カット制御の開始時に燃料加熱装置19による燃料の加熱を行うようにした。これにより、燃料噴射弁10から噴射される燃料の温度が上昇するので、燃料噴射弁10から噴射された燃料が霧化し易くなる。これにより、燃料の燃焼安定性が向上するので、燃料カット制御からの復帰時における気筒吸入ガス中に残留EGRガスが存在している場合であっても、失火等の燃焼不安定を生じることを抑制でき、燃料カット制御からの復帰時における燃焼の安定性を向上させることが可能となる。
燃料加熱装置19としては、種々の公知の構成のものを用いることができる。例えば、燃料タンク内の燃料をポンプにより加圧して燃料デリバリ配管に供給し、該燃料デリバリ配管と各燃料噴射弁10とを個別の燃料供給通路により連通し、当該各燃料供給通路を介して各燃料噴射弁10に燃料を分配し、当該分配された燃料を燃料噴射弁10により吸気ポート11に噴射するようにした構成において、燃料デリバリ配管の周囲に、燃料デリバリ配管内の燃料と内燃機関1を冷却する冷却水との間で熱交換可能に構成された熱交換器を配置し、内燃機関1の冷却により加熱された冷却水により燃料デリバリ配管内の燃料を加熱することにより、各燃料噴射弁10に供給される燃料を均一に加熱するようにした燃料加熱装置19の構成を例示できる。
このような構成の燃料加熱装置19を用いた場合には、本実施例のECU20によって、熱交換器へ導入される冷却水流量を制御したり、冷却水のラジエータ通過の有無を切り替えたりすることによって、燃料の加熱の実行の有無や燃料の加熱度合を調整する。そして、ECU20は、燃料カット制御が開始された時点で、燃料加熱装置19による燃料の加熱を実行する。例えば、上記熱交換器への冷却水の導入を開始する。
上記のような燃料カット制御からの復帰時の燃料霧化を促進する制御を行うためのルーチンについて、図11のフローチャートを参照して説明する。このルーチンは内燃機関1の稼働中ECU20によって繰り返し実行される。なお、図11において、図8で説明したステップと実質的に同一内容のステップについては図8と同じ番号を付し、詳細な説明を省略する。
ステップS101で内燃機関1の運転状態を取得し、ステップS102で燃料カット条件が成立したと判定された場合には、ステップS103で燃料カット制御が行われると共に、ステップS104でEGR弁32が閉弁される。そして、ステップS301において、ECU20は、燃料加熱装置19による燃料の加熱を開始する。
一方、ステップS102で燃料カット条件が成立していないと判定され、ステップS106で復帰条件が成立したと判定された場合には、ステップS107で通常の燃料噴射制御が再開されると共に、ステップS108でEGR弁32が通常の目標開度に開弁される。そして、ステップS109で気筒吸入ガスのEGR率が安定して目標EGR率に一致したと判定された場合には、ステップS302において、ECU20は、燃料加熱装置19による燃料の加熱を停止する。ステップS109で気筒吸入ガスのEGR率が未だ安定していないと判定された場合には、ステップS301が実行され、燃料加熱装置19による燃料の加熱が行われる。ステップS106で否定判定された場合、すなわち燃料カット条
件が成立する場合や燃料カット制御から復帰して気筒吸入ガスのEGR率が安定するまでの過渡期である場合以外の通常走行時は、ECU20はステップS111及びステップS112において通常の燃料噴射制御及び通常のEGR弁開度の制御を行う。
なお、上記の説明では、燃料カット制御開始時に燃料加熱装置19による燃料の加熱を開始する例について説明したが、燃料加熱制御の開始時期については、実施例1と同様に、燃料カット制御開始時に限らず、燃料カット制御中、燃料カット制御から通常の燃料噴射制御への復帰条件成立時、気筒吸入ガスのEGR率が限界EGR率を超えている時等に設定することもできる。燃料カット制御時又は燃料カット制御蛛に予め燃料加熱制御を実行しておくことにより、燃料カット制御からの復帰時に応答遅れなく燃料霧化が好適に促進される環境で通常の燃料噴射制御へ復帰することができる点についても、実施例1と同様である。
また、本実施例において可変動弁機構が備えられているか否かは、燃料加熱装置19による燃料の加熱の実行に基本的に関係しない。つまり、本実施例において実施例1又は実施例2におけると同様の可変動弁機構を備え、実施例1又は実施例2における燃料霧化促進制御(実施例1にあっては、吸気バルブのバルブ特性を切り替える制御、実施例2にあっては、複数の気筒のうちの一部について行われる気筒休止制御)を併用しても良い。こうすることにより、本実施例の燃料加熱制御による燃料の霧化促進効果と、実施例1や実施例2の筒内温度を上昇させる制御による燃料の霧化促進効果との両方の効果を得ることもできる。すなわち、本実施例と実施例1又は実施例2とを組み合わせて本発明を実施することができる。
本実施例においては、燃料加熱装置19が本発明における燃料加熱手段に相当する。燃料カット制御開始時に燃料加熱装置19を制御して燃料噴射弁10から噴射される燃料の加熱制御(ステップS102、ステップS301)を実行するECU20が、本発明における燃料霧化促進手段に相当する。
本発明を実施するための燃料を加熱する装置としては、上記の本実施例の装置に限られない。例えば、燃料噴射弁10から燃料が噴射される箇所近傍(吸気ポート11)にヒータ等の加熱装置を設置しても良いし、或いは、燃料噴射弁10より上流側の吸気通路5にヒータ等の加熱装置を設けて燃料噴射弁10から燃料が噴射される箇所(吸気ポート11)に流入する吸気の温度が高くなるようにしても良い。また、インタークーラ及びインタークーラをバイパスする吸気の経路を備えた内燃機関において、吸気の流通経路といsてインタークーラを通過しない経路を選択することによって高温の吸気を燃料噴射弁10から噴射される燃料に供給するようにしても良い。
次に、本発明の第4の実施例について説明する。本実施例に係る内燃機関の吸排気系及び制御系の概略構成は図1に示したものと略同様である。本実施例のシステムにおける可変動弁機構4は、吸気バルブ12のバルブ特性を、図12に示すような2種類のバルブ特性に切り替える機能を有する可変動弁機構である。この点で本実施例のシステムは実施例1又は実施例2と相違している。図12(A)は第1のバルブ特性を表している。第1のバルブ特性は、ミラーサイクルによる燃焼を行うための吸気バルブ特性である。図12(B)は第2のバルブ特性を表している。第2のバルブ特性は、通常サイクルによる燃焼を行うための吸気バルブ特性である。
本実施例の可変動弁機構4は、吸気バルブ12のバルブ特性を図12に示した2種類のバルブ特性のいずれかに切り替えるための機構として、図12(A)の吸気バルブ特性に対応するカムプロフィールを有する第1の吸気カム(以下、ミラーカムという)と、図1
2(B)の吸気バルブ特性に対応するカムプロフィールを有する第2の吸気カム(以下、通常カムという)と、を備え、吸気バルブ12を開閉する吸気カムをミラーカム又は通常カムに切り替える構成を有する。
図12に示すように、吸気カムをミラーカムに設定した場合、通常カムに設定した場合と比較して吸気バルブ12の閉弁タイミングが遅い。吸気バルブ12を遅閉じすることにより、ポンプ損失が低減するため、吸気カムをミラーカムに設定して運転することによって、吸気カムを通常カムに設定して運転する場合よりも燃費性能を向上させることができる。一方、吸気カムをミラーカムに設定すると、吸気バルブ12の閉弁タイミングが遅くなることにより、気筒吸入ガスの吸気系への吹き返しのために吸入空気量が少なくなるため、吸気カムを通常カムに設定して運転する場合よりもトルクが得にくくなる。
このようなミラーカムと通常カムとの特性の相違に鑑み、本実施例のシステムでは、内燃機関1の運転条件に応じてミラーカムと通常カムとを切り替えるように可変動弁機構4の制御を行う。図13は、内燃機関1の運転条件毎に、燃費性能とドライバビリティとの最適なバランスが得られるように定められた、ミラーカムと通常カムとの切替制御マップを表す図である。図13に示すように、低中負荷の運転条件では燃費性能に優れるミラーカムに設定してミラーサイクルによる燃焼を行い、大きいトルクが要求される高負荷の運転条件では通常カムに設定して通常サイクルによる燃焼を行う。
上記のように、吸気カムを通常カムに設定した場合、吸気カムをミラーカムに設定した場合と比較して吸入空気量が多く、また実質的な圧縮ストロークが長いため、有効圧縮比が高くなる。従って、吸気カムを通常カムに設定した場合、ミラーカムに設定した場合と比較して圧縮行程における圧縮端温度が高くなり、筒内温度が高くなる。よって、吸気カムを通常カムに設定することにより、燃焼室2内で燃料が霧化し易くなるので、燃料の燃焼を安定化させることができる。
そこで、本実施例のシステムでは、燃料カット制御の開始時に吸気カムを通常カムに切り替えるように可変動弁機構4を制御することとした。これにより、燃料噴射弁10による燃焼室2内への燃料供給が行われた場合に当該噴射供給された燃料が霧化し易い環境が、燃料カット制御の開始の時点において準備されることになる。これにより、燃料カット制御から通常の燃料噴射制御への復帰条件が成立した時に、燃焼室2内への燃料供給の開始とともに吸気系領域内の残留EGRガスが多量に燃焼室2内に吸入された場合においても、燃料の安定的な燃焼を実現することができ、燃料カット制御からの復帰時における失火等の燃焼不安定の発生を抑制することができる。
上記のような燃料カット制御からの復帰時の燃料霧化を促進する制御を実行した場合の、エンジン回転数、スロットル開度、燃料噴射量、気筒吸入ガスのEGR率、EGR弁開度、吸気バルブ特性、有効圧縮比の時間変化の一例について、図14を参照して説明する。
図14において、時刻tより前は、第1の運転状態に対応する通常の制御(すなわち、燃料カット条件が成り立つ運転状態や、燃料カット制御からの復帰条件が成り立つ運転状態や、燃料カット制御からの復帰条件が成立してから気筒吸入ガスのEGR率が安定するまでの過渡的な運転状態において行われる制御以外の制御)が行われている。時刻tにおいて減速状態となり、燃料カット条件が成立する。これにより、燃料カット制御が開始される。すなわち、燃料噴射量が第1の運転状態に対応する燃料噴射量Qから0とされる。これと同時に、スロットル弁14及びEGR弁32は全閉とされる。燃料カット制御が行われることにより、エンジン回転数が徐々に低下するとともに、この間のエンジン回転により吸気系領域内のガスが掃気され、気筒吸入ガスのEGR率も徐々に低下してい
く。
この燃料カット制御の開始時(時刻t)において、吸気カムがミラーカムから通常カムに切り替えられる。これにより、吸気バルブ12のバルブ特性が第1のバルブ特性(閉弁タイミング90〜100°ABDC)から第2のバルブ特性(閉弁タイミング60〜70°ABDC)に変化し、上述したように、有効圧縮比が、ミラーカムの場合の有効圧縮比εよりも高い有効圧縮比εに変化する。これにより、上述したように圧縮端温度が上昇して筒内温度が上昇するため、もし燃料噴射が行われた場合には当該燃料が霧化し易い環境が整えられることになる。
本実施例の燃料カット制御では、エンジン回転数が燃料噴射復帰回転数NE以下になった時点(時刻t)で、内燃機関1の回転を維持するための燃焼を行うための燃料噴射量Qの燃料噴射が行われるとともに、当該噴射燃料を燃焼させることができる程度の空気を供給可能な開度にスロットル弁14が開弁される。本実施例における「燃料カット制御」には、このような、燃料カット条件が成立してから燃料カット制御から通常の燃料噴射制御への復帰条件が成立するまでの期間において内燃機関1の回転を維持するために行われる燃料噴射を含むものとする。
時刻tにおいて減速状態からの加速(第2の運転状態に向かっての加速)が開始され、燃料カット制御から通常の燃料噴射制御への復帰条件が成立する。これにより、燃料噴射量が燃料カット制御中において内燃機関1の回転を維持するための燃料噴射量Qから、第2の運転状態に対応する目標燃料噴射量Qに向かって徐々に増量されていき、通常の燃料噴射制御が再開される。これと同時に、EGR弁32が全閉から第2の運転状態に対応する目標開度DEGR2に制御され、スロットル弁14が第2の運転状態に対応する目標開度DS2に向かって徐々に開弁されていく。これにより、エンジン回転数が徐々に増加し、気筒吸入ガスのEGR率も徐々に増加していく。
この時、吸気カムは通常カムに設定された状態であり、吸気バルブ12が第2のバルブ特性で開閉されている状態であるため、上述したように、圧縮行程における圧縮端温度が高く、筒内温度が高い状態となっている。従って、徐々に増量される燃料は燃焼室2内の高温環境下で好適に霧化し、安定的に燃焼することができる。従って、燃料カット制御から通常の燃料噴射制御への復帰条件が成立した時点で、吸気系領域内の残留EGRガスが大量に燃焼室2内に吸入された場合であっても、燃料の燃焼安定性が向上しているため、失火等の燃焼不安定を生じることを抑制しつつ、燃焼を行わせることが可能となる。
また、本実施例では、燃料カット制御から通常の燃料噴射制御へ復帰して以後(時刻t以後)も、吸気カムを通常カムに維持するように可変動弁機構4を制御する。すなわち、燃料カット制御から通常の燃料噴射制御へ復帰して以降も、吸気バルブ12のバルブ特性が第2のバルブ特性に維持され、通常サイクルによる燃焼が継続される。この状態は、図14に示すように、気筒吸入ガスのEGR率が安定し、第2の運転状態に対応する目標EGR率REGR2に一致する時点(時刻t)まで維持される。上述したように、吸気バルブ12のバルブ特性を第2のバルブ特性に設定して通常サイクルによる燃焼を行う場合、第1のバルブ特性に設定してミラーサイクルによる燃焼を行う場合と比較して、吸入空気量が多く、トルクを得やすい。従って、燃料カット制御からの復帰直後の加速時において通常サイクルによる燃焼を行うことにより、加速に要求されるトルクを好適に発生させることができ、加速時のドライバビリティを向上させることができる。
そして、気筒吸入ガスのEGR率が第2の運転状態に対応する目標EGR率に一致した時点(時刻t)において、吸気カムをミラーカムに切り替えるように可変動弁機構4を制御する。ここでは、第2の運転状態は図13の吸気カムの切替制御マップにおいてミラ
ーサイクルを行う運転領域に属する運転状態であるとする。吸気カムがミラーカムに切り替えられ、ミラーサイクルによる燃焼が行われるようになることで、燃費性能に優れた燃焼が行われることになる。気筒吸入ガスのEGR率が安定し、第2の運転状態に対応する目標EGR率に一致する時期は、燃料カット制御からの復帰条件成立時において吸気系領域内に残留しているガスが全て掃気される時期に基づいて判定することができる。この時期は、燃料カット制御開始直前の運転状態や、燃料カット制御が行われた期間、燃料カット制御からの復帰後の運転状態等に基づいて判定しても良いし、燃料カット制御からの復帰条件が成立した時点から予め定めらた一定時間が経過した時点で、気筒吸入ガスのEGR率が安定したと判定するようにしても良い。また、気筒吸入ガスのEGR率に相関を有する物理量を測定し、その測定値に基づいて判定しても良い。
上記のような燃料カット制御からの復帰時の燃料霧化を促進する制御を行うためのルーチンについて、図15のフローチャートを参照して説明する。このルーチンは内燃機関1の稼働中ECU20によって繰り替えし実行される。なお、図15において、図8で説明したステップと実質的に同一内容のステップについては図8と同じ番号を付し、詳細な説明を省略する。
ステップS101で内燃機関1の運転状態を取得し、ステップS102で燃料カット条件が成立したと判定された場合には、ステップS103で燃料カット制御が行われると共に、ステップS104でEGR弁32が閉弁される。そして、ステップS401において、ECU20は、吸気カムが通常カムとなるように可変動弁機構4を制御する。
一方、ステップS102で燃料カット条件が成立していないと判定され、ステップS106で復帰条件が成立したと判定された場合には、ステップS107で通常の燃料噴射制御が再開されると共に、ステップS108でEGR弁32が通常の目標開度に開弁される。そして、ステップS109で気筒吸入ガスのEGR率が安定して目標EGR率に一致したと判定された場合には、ステップS402において、ECU20は、内燃機関1の運転状態に応じた通常のカム切替制御を行う。すなわち、図13の吸気カム切替制御マップに従って、現在の運転状態が属する運転領域に応じた吸気カムを選択して切り替えるように可変動弁機構4の制御を行う。一方、ステップS109で気筒吸入ガスのEGR率が未だ安定していないと判定された場合には、ステップS401が実行され、吸気カムとして通常カムが選択された状態が継続される。ステップS106で否定判定された場合、すなわち燃料カット条件が成立する場合や燃料カット制御から復帰して気筒吸入ガスのEGR率が安定するまでの過渡期である場合以外の通常の運転状態(通常走行時)は、ECU20はステップS111及びステップS112において通常の燃料噴射制御及び通常のEGR弁開度の制御を行う。
なお、上記本実施例の説明では、燃料カット制御開始時に吸気カムを通常カムに切り替える制御を実行する例について説明したが、吸気カムの通常カムへの切替を実行する時期については、実施例1と同様に、燃料カット制御開始時に限らず、燃料カット制御中、燃料カット制御から通常の燃料噴射制御への復帰条件が成立する時、気筒吸入ガスのEGR率が限界EGR率を超えている時等に設定することもできる。燃料カット制御時又は燃料カット制御中に予め吸気カムを通常カム切り替えておくことにより、燃料カット制御からの復帰条件が成立した時点で応答遅れなく燃料霧化が好適に促進される環境下で通常の燃料噴射制御へ復帰することができる点も、実施例1と同様である。
また、図14では、第1の運転状態及び第2の運転状態が図13の吸気カム切替制御マップにおいてミラーカムが選択される運転領域に属する場合について説明したが、第1の運転状態(燃料カット制御開始直前の運転状態)や第2の運転状態(燃料カット制御から通常の燃料噴射制御へ復帰直後の運転状態)はこれに限られない。例えば、第1の運転状
態が図13の吸気カム切替制御マップにおいて通常カムが選択される運転領域に属する場合には、燃料カット条件が成立する時刻tの時点で吸気カムは通常カムに設定されているため、時刻tにおいて吸気カムを変更するための可変動弁機構4の制御を行う必要はなく、そのまま吸気カムとして通常カムが選択された状態を維持すればよい。
また、可変動弁機構4としては、上記の2種類の吸気カムを切り替える構成のものに限られない。吸気バルブ12のバルブ特性を少なくとも図12(A)の第1のバルブ特性又は図12(B)の第2のバルブ特性に設定することが可能な構成であればどのような構成の可変動弁機構を用いることもできる。例えば、吸気バルブ12のバルブ特性(作用角、リフト量、開閉タイミング等)を任意に連続的に変化させることが可能に可変動弁機構を構成し、燃料カット制御開始時及び燃料カット制御からの復帰条件が成立してからの一定時間吸気バルブ12のバルブ特性が図12(B)の第2のバルブ特性となるように可変動弁機構を制御し、それ以外の場合には運転状態に応じたバルブ特性の可変制御を行うようにしても良い。本実施例は、燃料カット制御開始時、燃料カット制御中、燃料カット制御からの復帰条件が成立してから気筒吸入ガスのEGR率が安定するまでの過渡期間において、燃料カット制御からの復帰時における燃料の霧化が促進されるような吸気バルブ12のバルブ特性の制御を行うことを趣旨とするものであって、これら以外の通常の運転状態において行われる可変動弁機構の制御については、上記本実施例に例示した制御の他どのような制御を行うこともできる。
例えば、内燃機関1の運転条件に応じたミラーカムと通常カムとの切替制御は、上述の図13に示したものに限られない。内燃機関1に要求する機関性能に応じて図13とは異なる切替制御マップに従った可変動弁機構4の制御を行うこともできる。例えば、低負荷運転条件のうち、期間始動時やアイドル運転時には通常カムを選択して通常サイクルによる燃焼を行うことで、燃焼安定性の向上を図る等といった種々の変形例が考えられる。
本実施例においては、吸気バルブ12を開閉する吸気カムをミラーカム又は通常カムに切り替える可変動弁機構4が及び燃料カット制御開始時に可変動弁機構4を制御して吸気カムを通常カムに切り替える制御(ステップS102、ステップS401)を実行するECU20が、本発明における燃料霧化促進手段に相当する。
次に、本発明の第5の実施例について説明する。本実施例における燃料カット制御からの復帰時の燃料霧化を促進する制御は、基本的には実施例4と同一である。すなわち、吸気バルブ12を開閉する吸気カムとして実施例4で説明したミラーカムと通常カムとを切り替え可能な可変動弁機構4を備え、吸気バルブ12のバルブ特性を図12(A)の第1のバルブ特性又は図12(B)の第2のバルブ特性に切り替えることが可能な構成を有する。そして、燃料カット制御開始時に吸気カムを通常カムに切り替える可変動弁機構4の制御を行う。また、燃料カット制御から通常の燃料噴射制御への復帰条件が成立してから気筒吸入ガスのEGR率が安定するまでの過渡的な期間にも、吸気カムを通常カムに設定して運転を行う。これにより、燃料カット制御からの復帰時及び燃料カット制御から復帰後において燃料が霧化し易くなり、燃焼が安定するので、燃料カット制御からの復帰時に吸気系領域内のEGRガスが大量に燃焼室2内に吸入された場合においても失火等の燃焼不安定が生じることを抑制することができると共に、燃料カット制御からの復帰後の過渡的な運転状態(例えば減速状態からの加速等)において十分なトルクが得られ、好適なドライバビリティを確保できるという効果が得られる。
ここで、上述したように、実施例4の燃料カット制御では、燃料カット制御中にエンジン回転数が燃料噴射復帰回転数NE以下になった時点で、内燃機関1の回転を維持するための燃料噴射が行われる。実施例4の制御では、燃料カット制御中は吸気カムが通常カ
ムに設定されるので、この燃料カット制御中に行われる内燃機関1の回転維持のための燃焼は通常サイクルによって行われることになる。しかしながら、上述したように、通常サイクルと比較してミラーサイクルの方が燃費特性に優れている。
そこで、本実施例では、燃料カット制御中に行われる内燃機関1の回転維持のための燃焼をミラーサイクルによって行うようにした。但し、上述したように、ミラーサイクルでは通常サイクルと比較して吸入空気量が少なく、有効圧縮比が低いため、気筒吸入ガスのEGR率がある程度低い条件下でなければ安定的な燃焼を行うことが難しい。そこで、本実施例では、気筒吸入ガスのEGR率が、ミラーサイクルによって安定的な燃焼を行うことが可能なEGR率の上限値に基づいて定められる規定EGR率以下になったことを条件に、燃料カット制御中の吸気カムを通常カムからミラーカムに切り替えるようにした。これにより、燃料カット制御中の内燃機関1の回転維持のための燃焼をミラーサイクルによって安定的に行うことが可能となるので、当該燃焼に係る燃費を低減することが可能となる。
このように、本実施例では、燃料カット制御中に吸気カムがミラーカムに切り替えられ、その状態で燃料カット制御から通常の燃料噴射制御への復帰条件が成立する場合がある。そのような場合、燃料カット制御から通常の燃料噴射制御への復帰条件が成立した時点で、吸気カムを再び通常カムに切り替える。これにより、燃料カット制御からの復帰時には、筒内温度が高く燃料が霧化し易い環境が作り出されることになるので、燃料カット制御からの復帰時における安定的な燃焼を実現することができる。また、燃料カット制御からの復帰条件が成立してから気筒吸入ガスのEGR率が安定するまでの過渡的な運転状態においても吸気カムを通常カムに設定する。これにより、当該過渡的な運転状態において十分なトルクが得られ、好適なドライバビリティを確保することができる。
上記のような燃料カット制御からの復帰時の燃料霧化を促進する制御を実行した場合の、エンジン回転数、スロットル開度、燃料噴射量、気筒吸入ガスのEGR率、EGR弁開度、吸気バルブ特性、有効圧縮比の時間変化の一例について、図16を参照して説明する。ここでは、主に、図14で説明した実施例4の可変動弁機構4の制御を行った場合の上記各量の時間変化と相違する部分について説明する。
図16において、時刻tにおいて第1の運転状態から減速状態に運転状態が変化し、燃料カット条件が成立する。これに伴い、燃料噴射がカットされ、スロットル弁14及びEGR弁32が全閉される。これにより、エンジン回転数及び気筒吸入ガスのEGR率が徐々に低下していく。また、燃料カット条件の成立時には、更に、吸気カムを通常カムに切り替えるよう可変動弁機構4が制御される。これにより、吸気バルブ12のバルブ特性が第1のバルブ特性(ミラーサイクル)から第2のバルブ特性(通常サイクル)に変化して閉弁タイミングが早くなり(90〜100°ABDC→60〜70°ABDC)、有効圧縮比が高くなる(ε→ε)。
このようにして燃料カット制御が開始された後、気筒吸入ガスのEGR率が上述した規定EGR率REGR4以下になったと判定された時(時刻t)に、吸気カムをミラーカムに切り替えるよう可変動弁機構4が制御される。これにより、吸気バルブ12のバルブ特性が第2のバルブ特性(通常サイクル)から第1のバルブ特性(ミラーサイクル)に切り替えられ、燃料噴射が行われた場合にはミラーサイクルで燃焼が行われる環境が成立することになる。
ここで、燃料カット制御中はEGR弁32は全閉にされることから、燃料カット制御中は、燃料カット制御開始時に吸気系領域(吸気ポート11、サージタンク16、吸気通路5、EGR弁32より下流側のEGR通路30等からなる領域)内残留しているEGRガ
スが気筒に吸入されることになる。この残留EGRガスの量は、上記の吸気系領域の容積と、燃料カット制御開始直前のEGR率と、によって決まり、吸気系領域の容積が大きいほど、また、燃料カット制御開始直前のEGR率が高いほど、燃料カット制御開始時における吸気系領域内の残留EGRガスの量は多い。図17は、吸気系領域の容積と、燃料カット制御開始時における吸気系領域内の残留EGRガス量と、の関係を、燃料カット制御開始直前におけるEGR率毎に示した図である。図17の関係に基づいて、吸気系領域の容積Vと、燃料カット制御開始直前におけるEGR率と、から、燃料カット制御開始時における残留EGRガス量が求められる。
燃料カット制御が開始されると、EGR弁32は全閉にされることから、吸気系領域内の残留EGRガスは徐々に掃気され減少していく。従って、気筒吸入ガスのEGR率は燃料カット制御開始からの経過時間が長いほど(経過サイクル数が多いほど)低下する。また、燃料カット制御開始時における吸気系領域内の残留EGRガスの量が多いほど、燃料カット制御開始からの経過時間が同じ場合の気筒吸入ガスのEGR率は高い。図18は、燃料カット制御開始からの経過時間(経過サイクル数)と、気筒吸入ガスのEGR率と、の関係を、燃料カット制御開始時における吸気系領域内の残留EGRガス量毎に示した図である。図18の関係に基づいて、燃料カット制御開始時における残留EGRガス量(図17の関係から求められる)と、燃料カット制御開始からの経過時間と、から、気筒吸入ガスのEGR率を算出し、算出されたEGR率が規定EGR率REGR4以下であるか否かを判定する。
吸気カムがミラーカムに切り替えられた後、さらに燃料カット制御が継続すると、エンジン回転数が燃料噴射復帰回転数NE以下になり(時刻t)、これに応じて内燃機関1の回転を維持するための燃料噴射が開始されるとともに、当該噴射燃料を燃焼させることができる程度の空気を供給可能な開度にスロットル弁14が開弁される。この時、吸気カムがミラーカムに切り替えられているので、この内燃機関1の回転を維持するために噴射された燃料の燃焼は、ミラーサイクルによって行われる。この時、気筒吸入ガスのEGR率は、ミラーサイクルによる燃焼が安定的に行われ得るEGR率の上限値に基づいて定められる規定EGR率REGR4以下となっているので、吸気カムがミラーカムに切り替えられた状態であっても、安定的な燃焼が行われる。こうして、燃料カット制御中に内燃機関1の回転を維持するために行われる燃焼に係る燃費を低減することが可能となる。
時刻tにおいて減速状態から第2の運転状態へ向けての加速が開始され、これにより燃料カット制御から通常の燃料噴射制御への復帰条件が成立する。これに伴い、燃料噴射量が第2の運転状態に対応する目標燃料噴射量Qに向けて徐々に増加させられ、スロットル弁14の開度が第2の運転状態に対応する目標開度DS2に向けて徐々に増加させられ、EGR弁32の開度が第2の運転状態に対応する目標開度DEGR2に制御される。これにより、エンジン回転数が徐々に高くなり、気筒吸入ガスのEGR率が徐々に高くなる。
この時、更に、吸気カムを通常カムに切り替えるように可変動弁機構4の制御が行われる。これにより、吸気バルブ12のバルブ特性が第1のバルブ特性(ミラーサイクル)から第2のバルブ特性(通常サイクル)に切り替えられ、燃料噴射弁10による供給される燃料が霧化し易い環境が成立することになる。これにより、燃料カット制御からの復帰時における燃料の安定的な燃焼を実現することが可能となる。
また、時刻t以降、気筒吸入ガスのEGR率が安定し、第2の運転状態に対応する目標EGR率REGR2に一致するまでの過渡的な運転状態において、吸気カムを通常カムに設定された状態で維持するよう可変動弁機構4の制御が行われる。これにより、トルクの要求される加速時において、良好なドライバビリティを確保することが可能となる。気
筒吸入ガスのEGR率が安定したと判定された時(時刻t)に、吸気カムを図13の切り替え制御マップに従って切り替える通常の可変動弁機構4の制御に移行する。図16の例では、第2の運転状態が、図13においてミラーサイクルで運転される運転領域に属する運転状態である場合を例示している。すなわち、時刻tにおいて、吸気カムはミラーカムに切り替えられ、吸気バルブ12のバルブ特性は第1のバルブ特性に切り替えられる。燃料カット制御から通常の燃料噴射制御への復帰条件が成立してから、可変動弁機構4の制御にが通常の制御に戻るまでの時間は、燃料カット制御開始前に吸気系領域内に残留していたガスが全て掃気され、気筒吸入ガスのEGR率が運転条件に対応した目標値に一致するようになるまでに要する時間と考えても良い。この時間は一定時間として予め設定しても良いし、燃料カット制御開始直前の運転状態、燃料カット制御の継続時間、燃料カット制御からの復帰後の運転状態等に応じて設定するようにしても良い。これにより、燃料カット制御から通常の燃料噴射制御への復帰直後の燃焼安定性及びドライバビリティの向上を図ることが可能となると共に、良好な燃費特性をも実現することができる。
上記のような燃料カット制御からの復帰時の燃料霧化を促進する制御を行うためのルーチンについて、図19のフローチャートを参照して説明する。このルーチンは内燃機関1の稼働中ECU20によって繰り替えし実行される。なお、図19において、図8で説明したステップと実質的に同一内容のステップについては図8と同じ符号を付し、詳細な説明を省略する。
ステップS101で内燃機関1の運転状態を取得し、ステップS102で燃料カット条件が成立したと判定された場合には、ステップS103で燃料カット制御が行われると共に、ステップS104でEGR弁32が閉弁される。
そして、ステップS501において、ECU20は、燃料カット制御(減速)開始時の吸気系領域内の残留EGRガス量を算出する。具体的には、吸気系領域の容積と、燃料カット制御開始直前におけるEGR率と、から、上述した図17の関係に基づいて、残留EGRガス量を算出する。燃料カット制御開始直前におけるEGR率は、例えば、燃料カット制御開始直前における内燃機関1の運転状態に対応する目標EGR率を取得したり、気筒吸入ガスのEGR率又はそれに相関するなんらかの物理量を測定するセンサ等の装置を備え、燃料カット制御開始時におけるその測定値に基づいて燃料カット制御開始時のEGR率を取得する。
ステップS502において、ECU20は、燃料カット制御(減速)開始からの経過時間(経過サイクル数)を算出する。
ステップS503において、ECU20は、気筒吸入ガスのEGR率を算出する。具体的には、ステップS502で算出した燃料カット制御開始からの経過時間と、ステップS501で算出した燃料カット制御開始時における残留EGRガス量と、から、上述した図18の関係に基づいて、気筒吸入ガスのEGR率を算出する。
ステップS504において、ECU20は、ステップS503で算出した気筒吸入ガスのEGR率が規定EGR率以下であるか否かを判定する。ステップS504で肯定判定された場合(気筒吸入ガスのEGR率≦規定EGR率)、ECU20はステップS505に進み、吸気カムがミラーカムになるように可変動弁機構4を制御する。一方、ステップS504で否定判定された場合(気筒吸入ガスのEGR率>規定EGR率)、ECU20はステップS506に進み、吸気カムが通常カムになるように可変動弁機構4を制御する。
ステップS102で燃料カット条件が成立していないと判定され、ステップS106で復帰条件が成立したと判定された場合には、ステップS107で通常の燃料噴射制御が再
開されると共に、ステップS108でEGR弁32が通常の目標開度に制御される。そして、ステップS109で気筒吸入ガスのEGR率が安定して目標EGR率に一致したと判定された場合には、ECU20はステップS507に進み、図13の制御マップに従って、内燃機関1の運転状態に応じた通常の吸気カムの切り替え制御を行う。一方、ステップS109で気筒吸入ガスのEGR率が未だ安定していないと判定された場合には、ECU20はステップS506を実行し、吸気カムを通常カムに設定する。
ステップS106で否定判定された場合、すなわち、通常の運転状態においては、ECU20はステップS111及びステップS112において通常の燃料噴射制御及び通常のEGR弁開度の制御を行う。
なお、上記本実施例において、気筒吸入ガスのEGR率が規定EGR率以下になった否かの判定は、燃料カット制御開始時における残留EGRガス量から、気筒吸入ガスのEGR率が規定EGR率以下になるまでに要する時間(サイクル数)を算出し、燃料カット制御の開始時刻(時刻t)からの経過時間が当該時間に達したか否かを判定することによって行うようにしても良い。また、気筒吸入ガスのEGR率又はそれに相関する何らかの物理量を測定するセンサを取り付け、当該センサからの出力に基づいて気筒吸入ガスのEGR率を直接取得し、規定EGR率との比較に基づいて、上記判定を行っても良い。その他、気筒吸入ガスのEGR率が規定EGR率以下であるか否かを判定可能などのような方法を用いることもできる。
上記本実施例において、気筒吸入ガスのEGR率が規定EGR率以下になったと判定される前に、燃料カット制御からの復帰条件が成立した場合には、燃料カット制御中の吸気カムのミラーカムへの切替は行われず、吸気カムは燃料カット制御開始時から燃料カット制御からの復帰条件成立時、そしてその後の過渡運転状態に亘って、実施例4と同様に通常カムに設定された状態となる。
本実施例においては、吸気バルブ12を開閉する吸気カムをミラーカム又は通常カムに切り替える可変動弁機構4が及び燃料カット制御開始時に可変動弁機構4を制御して吸気カムを通常カムに切り替える制御(ステップS102、ステップS506)を実行するECU20が、本発明における燃料霧化促進手段に相当する。また、燃料カット制御時に気筒吸入ガスのEGR率が規定EGR率以下となった場合に吸気カムをミラーカムに切り替える制御(ステップS504、ステップS505)を実行するECU20が、本発明における燃料カット時バルブ制御手段に相当する。
なお、以上述べた実施例は本発明を説明するための一例であって、本発明の本旨を逸脱しない範囲内において上記各実施例は組み合わせて本発明を実施することができる。また、上記実施例では、吸気バルブの閉弁タイミングを早くすることによって有効圧縮比を高め、それによって筒内温度(圧縮端温度)を上昇させる例について説明したが、内燃機関の機械圧縮比を変更可能な可変圧縮比機構を備え、該可変圧縮比機構によって機械圧縮比を高め、それによって筒内温度(圧縮端温度)を上昇させるようにしても良い。すなわち、燃料カット制御から通常の燃料噴射制御への復帰時における内燃機関の機械圧縮比が通常制御時より高くなるように、可変圧縮比機構を制御するようにしても良い。可変圧縮比機構としては、種々の公知のものを用いることができる。例えば、シリンダブロックとクランクケースとを気筒中心軸線に沿って相対移動させることによって燃焼室容積を変更する可変圧縮比機構を用いることができる。
気筒に吸入されるガスのEGR率と燃焼安定性との関係、換言すると、EGRガスの導入に対する燃焼耐性は、内燃機関の運転条件に応じて異なる場合がある。例えば、回転数が高い場合には、気筒に吸入されるガスの気筒への流入速度が速く、燃料が霧化し易いの
で、比較的燃焼耐性が高いと考えられる。また、負荷が高い場合には、吸入空気量が多くなるので、同様に比較的燃焼耐性が高いと考えられる。
このようなEGRガスに対する燃焼耐性の運転状態に応じた相違に鑑み、本実施例において、燃料カット制御から通常の燃料噴射制御への復帰時における内燃機関の運転状態に応じて、燃料霧化促進手段による燃料霧化を促進させる制御を実行するか否かを切り替えるようにしても良い。例えば、燃料カット制御から通常の燃料噴射制御への復帰時における内燃機関の運転状態が所定の高負荷高回転であれば、燃料霧化促進手段による燃料霧化を促進させる制御を実行しないようにしても良い。或いは、内燃機関の運転状態と、失火しない(燃焼不安定が生じない)気筒吸入ガスのEGR率の上限値と、の関係を予め求めておき、燃料カット制御からの復帰時における気筒吸入ガスのEGR率と、当該復帰時における内燃機関の運転状態と、を比較して、燃焼不安定が生じる虞がないと判断される場合には、燃料霧化促進手段による燃料霧化を促進させる制御の実行を行わないようにしても良い。
実施例1における内燃機関の吸気系、排気系、及び制御系の概略構成を表す図である。 実施例1における可変動弁機構によって設定可能な吸気バルブのバルブ特性を示す図である。図2(A)は第1のバルブ特性を表す図である。図2(B)は第2のバルブ特性を表す図である。 EGR率と燃料消費率との関係の一例、EGR率とトルク変動との関係の一例、及び限界EGR率の決定方法を説明するための図である。 EGR率とトルク変動との関係の一例を、内燃機関の運転条件毎に示す図である。 実施例1における内燃機関の運転状態に応じて目標EGR率を変化させるEGR制御の制御マップの一例を示す図である。 従来の燃料カット制御が行われた場合の限界EGR率、気筒吸入ガスのEGR率、EGR弁開度、及びスロットル開度の時間変化の一例を表す図である。 実施例1における燃料カット制御からの復帰時の燃料霧化を促進する制御を実行した場合の限界EGR率、気筒吸入ガスのEGR率、燃料噴射量、EGR弁開度、吸気バルブの開弁タイミング、及び吸気バルブの閉弁タイミングの時間変化の一例を表す図である。 実施例1における燃料カット制御からの復帰時の燃料霧化を促進する制御を実行するためのルーチンを表すフローチャートである。 実施例2における燃料カット制御からの復帰時の燃料霧化を促進する制御を実行するためのルーチンを表すフローチャートである。 実施例3における内燃機関の吸気系、排気系、及び制御系の概略構成を表す図である。 実施例3における燃料カット制御からの復帰時の燃料霧化を促進する制御を実行するためのルーチンを表すフローチャートである。 実施例4における可変動弁機構によって設定可能な吸気バルブのバルブ特性を表す図である。図12(A)は吸気カムをミラーカムに設定した場合の吸気バルブのバルブ特性を示す図である。図12(B)は吸気カムを通常カムに設定した場合の吸気バルブのバルブ特性を示す図である。 実施例4における内燃機関の運転状態に応じて吸気カムをミラーカム又は通常カムに切り替える制御の制御マップの一例を示す図である。 実施例4における燃料カット制御からの復帰時の燃料霧化を促進する制御を実行した場合のエンジン回転数、スロットル開度、燃料噴射量、気筒吸入ガスのEGR率、EGR弁開度、吸気バルブの閉弁タイミング、及び有効圧縮比の時間変化の一例を表す図である。 実施例4における燃料カット制御からの復帰時の燃料霧化を促進する制御を実行するためのルーチンを表すフローチャートである。 実施例5における燃料カット制御からの復帰時の燃料霧化を促進する制御を実行した場合のエンジン回転数、スロットル開度、燃料噴射量、気筒吸入ガスのEGR率、EGR弁開度、吸気バルブの閉弁タイミング、及び有効圧縮比の時間変化の一例を表す図である。 吸気系領域の容積と燃料カット制御開始時における吸気系領域内の残留EGRガス量との関係の一例を、燃料カット制御開始直前のEGR率毎に示した図である。 燃料カット制御開始時からの経過時間と気筒吸入ガスのEGR率との関係の一例を、燃料カット制御開始時における吸気系領域内の残留EGRガス量毎に示した図である。 実施例5における燃料カット制御からの復帰時の燃料霧化を促進する制御を実行するためのルーチンを表すフローチャートである。
符号の説明
1 内燃機関
2 燃焼室
3 ピストン
4 可変動弁機構
5 吸気通路
6 排気通路
7 排気浄化装置
8 排気ポート
9 排気バルブ
10 燃料噴射弁
11 吸気ポート
12 吸気バルブ
13 エアフローメータ
14 スロットル弁
15 点火プラグ
16 サージタンク
18 気筒
19 燃料加熱装置
20 ECU
21 クランクポジションセンサ
22 アクセルポジションセンサ
30 EGR通路
31 EGRクーラ
32 EGR弁

Claims (9)

  1. 内燃機関からの排気の一部をEGRガスとして前記内燃機関の吸気系に流入させるEGR装置と、
    前記内燃機関に燃料を噴射供給する燃料噴射手段と、
    前記燃料噴射手段による燃料噴射を停止する燃料カット制御を行う燃料カット制御手段と、
    前記内燃機関の吸気バルブの閉弁タイミングを変更可能な可変動弁機構と、
    前記燃料カット制御から通常の燃料噴射制御への復帰時における前記吸気バルブの閉弁タイミングが通常制御時よりも早いタイミングになり、開弁タイミングが通常制御時よりも遅いタイミングになるように前記可変動弁機構を制御することにより前記燃料噴射手段により噴射される燃料の霧化を促進する燃料霧化促進手段と、
    を備え
    前記可変動弁機構は、前記吸気バルブのバルブ特性を、第1のバルブ特性と、該第1のバルブ特性と比較して少なくとも吸気バルブの閉弁タイミングが早い第2のバルブ特性と、のいずれかに設定する機能を有し、
    前記燃料霧化促進手段は、前記燃料カット制御から通常の燃料噴射制御への復帰時における前記吸気バルブのバルブ特性が前記第2のバルブ特性となるように前記可変動弁機構を制御する手段であり、
    前記内燃機関の気筒に吸入されるガスのEGR率が、前記吸気バルブのバルブ特性を第1のバルブ特性とした場合において燃焼が成立する所定の基準値以下であるか否かを判定する判定手段と、
    前記燃料カット制御中、前記判定手段により前記EGR率が前記基準値以下であると判定された場合には、前記燃料霧化促進手段により前記吸気バルブのバルブ特性が第2のバルブ特性に設定されている場合であっても、前記可変動弁機構により前記吸気バルブのバルブ特性を第1のバルブ特性に設定する燃料カット時バルブ制御手段と、
    を更に備えることを特徴とする内燃機関の制御装置。
  2. 前記燃料霧化促進手段は、前記燃料カット制御から通常の燃料噴射制御への復帰時において、内燃機関の運転状態が所定の高負荷高回転以外の運転状態である場合に、前記燃料噴射手段により噴射される燃料の霧化を促進する制御を実行する請求項1に記載の内燃機関の制御装置。
  3. 予め求められた、内燃機関の運転状態と、燃焼不安定が生じない気筒吸入ガスのEGR率の上限値と、の関係に基づき、燃料カット制御からの復帰時における気筒吸入ガスのEGR率と、当該復帰時における内燃機関の運転状態と、を比較して、燃焼不安定が生じないと判断される場合以外に、前記燃料噴射手段により噴射される燃料の霧化を促進する制御を実行する請求項1に記載の内燃機関の制御装置。
  4. 請求項1〜3のいずれか1項において、
    前記燃料霧化促進手段は、前記燃料カット制御から通常の燃料噴射制御への復帰時における前記吸気バルブの閉弁タイミングが下死点近傍のタイミングになるように前記可変動弁機構を制御する手段であることを特徴とする内燃機関の制御装置。
  5. 請求項1〜3のいずれか1項において、
    前記内燃機関は複数の気筒を備え、
    前記複数の気筒のうち少なくとも1の気筒について吸気バルブ及び排気バルブの少なくとも一方を閉状態とすることで当該気筒を休止させる気筒休止手段を更に備え、
    前記燃料霧化促進手段は、前記燃料カット制御から通常の燃料噴射制御への復帰時における休止気筒が少なくとも1つ存在するように前記気筒休止手段を制御する手段であることを特徴とする内燃機関の制御装置。
  6. 請求項1〜3のいずれか1項において、
    前記燃料噴射手段により噴射される燃料を加熱する燃料加熱手段を更に備え、
    前記燃料霧化促進手段は、前記燃料カット制御から通常の燃料噴射制御への復帰時における前記燃料噴射手段により噴射される燃料が加熱された状態となるように前記燃料加熱手段を制御する手段であることを特徴とする内燃機関の制御装置。
  7. 請求項1〜3のいずれか1項において、
    前記内燃機関の機械圧縮比を可変とする可変圧縮比機構を更に備え、
    前記燃料霧化促進手段は、前記燃料カット制御から通常の燃料噴射制御への復帰時における前記内燃機関の機械圧縮比が通常制御時よりも高くなるように前記可変圧縮比機構を制御する手段であることを特徴とする内燃機関の制御装置。
  8. 請求項において、
    前記可変動弁機構は、
    前記吸気バルブのバルブ特性が前記第1のバルブ特性となるように前記吸気バルブを開閉する遅閉じカムと、
    前記吸気バルブのバルブ特性が前記第2のバルブ特性となるように前記吸気バルブを開閉する通常カムと、
    前記吸気バルブを開閉するカムを前記遅閉じカム又は前記通常カムのいずれかに切り替える手段と、
    を有し、
    前記燃料霧化促進手段は、前記燃料カット制御から通常の燃料噴射制御への復帰時における前記吸気バルブを開閉するカムが前記通常カムとなるように前記可変動弁機構を制御する手段であることを特徴とする内燃機関の制御装置。
  9. 請求項において、
    前記燃料霧化促進手段は、前記燃料カット制御中、前記燃料カット時バルブ制御手段により前記吸気バルブのバルブ特性が第1のバルブ特性に設定されている場合、前記燃料カット制御からの復帰時に、前記可変動弁機構により前記吸気バルブのバルブ特性を第2のバルブ特性に設定することを特徴とする内燃機関の制御装置。
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