JP6111986B2 - 予混合圧縮着火式エンジンの制御装置 - Google Patents

予混合圧縮着火式エンジンの制御装置 Download PDF

Info

Publication number
JP6111986B2
JP6111986B2 JP2013235719A JP2013235719A JP6111986B2 JP 6111986 B2 JP6111986 B2 JP 6111986B2 JP 2013235719 A JP2013235719 A JP 2013235719A JP 2013235719 A JP2013235719 A JP 2013235719A JP 6111986 B2 JP6111986 B2 JP 6111986B2
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
cylinder
engine
fuel
ignition
combustion
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Active
Application number
JP2013235719A
Other languages
English (en)
Other versions
JP2015094334A (ja
Inventor
和弘 長津
和弘 長津
荒木 啓二
啓二 荒木
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
Mazda Motor Corp
Original Assignee
Mazda Motor Corp
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by Mazda Motor Corp filed Critical Mazda Motor Corp
Priority to JP2013235719A priority Critical patent/JP6111986B2/ja
Publication of JP2015094334A publication Critical patent/JP2015094334A/ja
Application granted granted Critical
Publication of JP6111986B2 publication Critical patent/JP6111986B2/ja
Active legal-status Critical Current
Anticipated expiration legal-status Critical

Links

Images

Classifications

    • FMECHANICAL ENGINEERING; LIGHTING; HEATING; WEAPONS; BLASTING
    • F02COMBUSTION ENGINES; HOT-GAS OR COMBUSTION-PRODUCT ENGINE PLANTS
    • F02NSTARTING OF COMBUSTION ENGINES; STARTING AIDS FOR SUCH ENGINES, NOT OTHERWISE PROVIDED FOR
    • F02N11/00Starting of engines by means of electric motors
    • F02N11/08Circuits or control means specially adapted for starting of engines
    • F02N11/0814Circuits or control means specially adapted for starting of engines comprising means for controlling automatic idle-start-stop
    • F02N11/0818Conditions for starting or stopping the engine or for deactivating the idle-start-stop mode
    • F02N11/0822Conditions for starting or stopping the engine or for deactivating the idle-start-stop mode related to action of the driver
    • FMECHANICAL ENGINEERING; LIGHTING; HEATING; WEAPONS; BLASTING
    • F02COMBUSTION ENGINES; HOT-GAS OR COMBUSTION-PRODUCT ENGINE PLANTS
    • F02DCONTROLLING COMBUSTION ENGINES
    • F02D41/00Electrical control of supply of combustible mixture or its constituents
    • F02D41/02Circuit arrangements for generating control signals
    • F02D41/04Introducing corrections for particular operating conditions
    • F02D41/06Introducing corrections for particular operating conditions for engine starting or warming up
    • F02D41/062Introducing corrections for particular operating conditions for engine starting or warming up for starting
    • FMECHANICAL ENGINEERING; LIGHTING; HEATING; WEAPONS; BLASTING
    • F02COMBUSTION ENGINES; HOT-GAS OR COMBUSTION-PRODUCT ENGINE PLANTS
    • F02DCONTROLLING COMBUSTION ENGINES
    • F02D41/00Electrical control of supply of combustible mixture or its constituents
    • F02D41/30Controlling fuel injection
    • F02D41/3011Controlling fuel injection according to or using specific or several modes of combustion
    • F02D41/3017Controlling fuel injection according to or using specific or several modes of combustion characterised by the mode(s) being used
    • F02D41/3035Controlling fuel injection according to or using specific or several modes of combustion characterised by the mode(s) being used a mode being the premixed charge compression-ignition mode
    • FMECHANICAL ENGINEERING; LIGHTING; HEATING; WEAPONS; BLASTING
    • F02COMBUSTION ENGINES; HOT-GAS OR COMBUSTION-PRODUCT ENGINE PLANTS
    • F02DCONTROLLING COMBUSTION ENGINES
    • F02D41/00Electrical control of supply of combustible mixture or its constituents
    • F02D41/30Controlling fuel injection
    • F02D41/38Controlling fuel injection of the high pressure type
    • F02D41/40Controlling fuel injection of the high pressure type with means for controlling injection timing or duration
    • F02D41/401Controlling injection timing
    • YGENERAL TAGGING OF NEW TECHNOLOGICAL DEVELOPMENTS; GENERAL TAGGING OF CROSS-SECTIONAL TECHNOLOGIES SPANNING OVER SEVERAL SECTIONS OF THE IPC; TECHNICAL SUBJECTS COVERED BY FORMER USPC CROSS-REFERENCE ART COLLECTIONS [XRACs] AND DIGESTS
    • Y02TECHNOLOGIES OR APPLICATIONS FOR MITIGATION OR ADAPTATION AGAINST CLIMATE CHANGE
    • Y02TCLIMATE CHANGE MITIGATION TECHNOLOGIES RELATED TO TRANSPORTATION
    • Y02T10/00Road transport of goods or passengers
    • Y02T10/10Internal combustion engine [ICE] based vehicles
    • Y02T10/12Improving ICE efficiencies
    • YGENERAL TAGGING OF NEW TECHNOLOGICAL DEVELOPMENTS; GENERAL TAGGING OF CROSS-SECTIONAL TECHNOLOGIES SPANNING OVER SEVERAL SECTIONS OF THE IPC; TECHNICAL SUBJECTS COVERED BY FORMER USPC CROSS-REFERENCE ART COLLECTIONS [XRACs] AND DIGESTS
    • Y02TECHNOLOGIES OR APPLICATIONS FOR MITIGATION OR ADAPTATION AGAINST CLIMATE CHANGE
    • Y02TCLIMATE CHANGE MITIGATION TECHNOLOGIES RELATED TO TRANSPORTATION
    • Y02T10/00Road transport of goods or passengers
    • Y02T10/10Internal combustion engine [ICE] based vehicles
    • Y02T10/40Engine management systems

Description

本発明は、低燃費および低NOxを実現する予混合圧縮着火式エンジンに関し、アイドルストップ中の予混合圧縮着火式エンジンを再始動させる際の技術分野に属する。
従来、ピストンの圧縮によりつくり出される高温・高圧の環境下で混合気を自着火により燃焼させる予混合圧縮着火(HCCI:Homogeneous Charge Compression Ignition)燃焼を自動車用ガソリンエンジンに適用するため、自着火時期の制御、HCCI運転領域の拡大、HCCI運転と火花点火(SI:Spark Ignition)運転との円滑な切替えといった種々の技術開発が進められている(例えば特許文献1参照)。
HCCI燃焼は、燃料噴射量が少なく熱発生量が少ないエンジンの低負荷域では起き難い。そのため、上記のような予混合圧縮着火式エンジンを始動させる際、特にアイドルストップさせた予混合圧縮着火式エンジンを再始動させる際は、SI燃焼で再始動させることが通例である。
特許文献2には、アイドルストップ中のディーゼルエンジンを再始動させる技術として、停止時圧縮行程気筒(エンジン停止時に圧縮行程にある気筒のこと。以下これに準じて同じ)のピストン停止位置が適正停止位置よりも上死点側にある場合は、停止時吸気行程気筒に最初に燃料を噴射し、停止時圧縮行程気筒のピストン停止位置が適正停止位置にある場合は、停止時圧縮行程気筒に最初に燃料を噴射することが開示されている。
特開2007−154859号公報 特開2009−62960号公報
ところで、自動車の運転中は、信号待ち、踏み切り、渋滞中等、高い頻度でアイドルストップが実行される。そのため、アイドルストップさせた予混合圧縮着火式エンジンをHCCI燃焼で再始動させることができれば、燃費性能およびエミッション性能が大幅に向上する。
そこで、本発明は、アイドルストップ中の予混合圧縮着火式エンジンを再始動させる際、HCCI燃焼で安定して再始動させることができる予混合圧縮着火式エンジンの制御装置の提供を目的とする。
上記課題を解決するためのものとして、本発明は、複数の気筒と、各気筒に燃料を噴射する複数のインジェクタとを備えるとともに、所定の運転領域において各気筒で予混合圧縮着火燃焼が行われるように構成された予混合圧縮着火式エンジンの制御装置であって、エンジン温度が所定の基準温度以上であるという要件を含む所定の自動停止条件が成立したときにエンジンを自動停止させ、その後所定の再始動条件が成立したときにエンジンを再始動させる制御手段が備えられ、上記制御手段は、上記エンジンを再始動させる制御として、運転者の発進要求がない場合は、各気筒ともに2回目の圧縮上死点を迎えるときから予混合圧縮着火燃焼が開始するように、排気弁を排気行程だけでなく吸気行程でも開く2度開きを行いつつ、各気筒の最初の吸気行程中に、着火に至らない量の燃料を各気筒に噴射する1回目の燃料噴射を行い、かつ各気筒の2回目の吸気行程中に、着火に至る量の燃料を各気筒に噴射する2回目の燃料噴射を行い、運転者の発進要求がある場合は、各気筒ともに1回目の圧縮上死点を迎えるときから予混合圧縮着火燃焼が開始するように、各気筒の最初の圧縮行程の後半に各気筒に燃料を噴射し、かつそのときの燃料噴射量を上記運転者の発進要求がない場合の各気筒の1回目の燃料噴射量よりも多くすることを特徴とする予混合圧縮着火式エンジンの制御装置である(請求項1)。
本発明において、排気弁について「2度開き」とは、排気行程で開いた排気弁をいったん閉じて再び吸気行程で開く態様だけでなく、排気行程から吸気行程にかけて排気弁を一度も閉じることなく継続的に開き続ける態様も含むものである。
本発明によれば、運転者の発進要求がない場合(例えばバッテリ電圧が低下した等、車両のシステム上の都合でエンジンを稼動しなければならなくなったような場合)、つまりエンジンを迅速に再始動させる必要がない場合は、排気弁の2度開きを行いつつ、各気筒の最初の吸気行程中および2回目の吸気行程中にそれぞれ1回目および2回目の燃料噴射を行う。ただし、1回目の燃料噴射では、燃料が着火に至らない程度の少量の燃料が噴射されるので、それによって形成される混合気は比較的薄いものとなる。このため、各気筒に1回目に噴射された燃料は、各気筒の1回目の圧縮上死点を迎えるときには自着火せず、各気筒の1回目の排気行程で筒内から未燃のまま排気通路に排出される。排出された未燃混合気は圧縮を受けたことにより気化霧化が促進され、また幾分昇温している。そして、排気弁の2度開きにより、上記のように気化霧化が促進された未燃混合気の一部が次の吸気行程で筒内に戻され、そこに各気筒の2回目の燃料噴射が行われるので、混合気は1回目よりもリッチ化し、混合気全体の着火性が高められる。そのため、エンジンが暖機状態にあることと相まって、各気筒ともに2回目の圧縮上死点を迎えるときからHCCI燃焼(予混合圧縮着火燃焼)が開始し、アイドルストップ中の予混合圧縮着火式エンジンをHCCI燃焼で安定して再始動させることができる。しかも、混合気が均質リーンなのでエミッション性能が向上する。
また、各気筒の最初の吸気行程中に1回目の燃料噴射が行われるので、各気筒の2回目の圧縮上死点を迎えてHCCI燃焼が開始するまでに、吸気→圧縮→膨張→排気→吸気→圧縮と相対的に長い時間が経過する。これにより、例えば各気筒の最初の圧縮行程中に1回目の燃料を噴射した場合と比べて、燃料と空気とが十分に混合され、より均質な混合気が形成されて、HCCI燃焼がより一層起こり易くなる。
一方、運転者の発進要求がある場合(例えばブレーキペダルの踏込量が減少したような場合)、つまりエンジンを迅速に再始動させる必要がある場合は、各気筒の最初の圧縮行程の後半に燃料を噴射し、かつ、そのときの燃料噴射量を上記運転者の発進要求がない場合の各気筒の1回目の燃料噴射量よりも多くする。これにより、初回の燃料噴射で形成された混合気は筒内で成層化し、局所リッチの状態となって、着火性が高められる。そのため、エンジンが暖機状態にあることと相まって、各気筒ともに1回目の圧縮上死点を迎えるときからHCCI燃焼が開始し、アイドルストップ中の予混合圧縮着火式エンジンをHCCI燃焼で安定して迅速に再始動させることができる。
以上のように、本発明によれば、アイドルストップさせた予混合圧縮着火式エンジンをHCCI燃焼で安定して再始動させることができ、SI燃焼で再始動させる場合に比べて燃費性能等を大幅に向上させることができる。
本発明において、上記制御手段は、運転者の発進要求の有無に拘らず、各気筒の初回燃焼時の空燃比が理論空燃比よりもリーンとなるように各燃料噴射量を設定することが好ましい(請求項2)。
この構成によれば、各気筒の初回燃焼時の空燃比(運転者の発進要求がある場合は各気筒の初回の燃料噴射量に基く空燃比、運転者の発進要求がない場合は各気筒の初回の燃料噴射量と2回目の燃料噴射量との合算量に基く空燃比)が理論空燃比よりもリーンになるので、燃費性能およびエミッション性能がより一層向上する。
本発明において、上記制御手段は、運転者の発進要求がある場合は、各気筒の1回目の圧縮上死点を迎えるときに混合気の自着火を促進するための着火アシスト制御を実行することが好ましい(請求項3)。
この構成によれば、エンジンを迅速に再始動させる必要がある場合に、着火アシストにより確実にエンジンをHCCI燃焼で迅速に再始動させることができる。
本発明において、各気筒に点火プラグが備えられ、上記着火アシスト制御は、上記点火プラグに火花点火を行わせることであることが好ましい(請求項4)。
この構成によれば、着火アシストとして混合気が点火されるので、混合気の着火が確実に促進される。
本発明において、各気筒にオゾンを供給するオゾン供給手段が備えられ、上記着火アシスト制御は、上記オゾン供給手段にオゾンを供給させることであることが好ましい(請求項5)。
この構成によれば、着火アシストとして混合気にオゾンが供給されるので、混合気の着火が確実に促進される。
本発明は、アイドルストップ中の予混合圧縮着火式エンジンを再始動させる際、HCCI燃焼で安定して再始動させることができる予混合圧縮着火式エンジンの制御装置を提供するので、低燃費および低NOxを実現する予混合圧縮着火式エンジンの技術の発展向上に寄与する。
本発明の実施形態にかかる予混合圧縮着火式エンジンの全体構成図である。 リフト量が変更可能な吸気弁のリフトカーブと、開弁動作が切替可能な排気弁のリフトカーブとを示す図である。 オゾン生成器の構成を示す斜視図である。 上記エンジンの制御系を示すブロック図である。 上記エンジンの運転領域を燃焼形態の相違によって複数の領域に分けたマップである。 運転者の発進要求がない場合に上記エンジンを再始動させる際のタイムチャートである。 運転者の発進要求がある場合に上記エンジンを再始動させる際のタイムチャートである。 上記エンジンを自動停止させる際のフローチャートである。 上記エンジンを再始動させる際のフローチャートの一部である。 上記エンジンを再始動させる際のフローチャートの他の一部である。 上記エンジンを再始動させる際のフローチャートの残部である。 運転者の発進要求がない場合に上記エンジンを再始動させる際の変形例のタイムチャートである。
(1)全体構成
図1は、本発明の実施形態にかかる予混合圧縮着火式エンジンの全体構成図である。このエンジンは、走行用の動力源として車両に搭載される4サイクルのガソリンエンジンである。具体的に、このエンジンは、紙面に直交する方向に列状に並ぶ4つの気筒2(図1にはそのうちの1つの気筒のみを示す)を有するエンジン本体1と、エンジン本体1に空気を導入するための吸気通路20と、エンジン本体1で生成された排気ガスを排出するための排気通路30と、排気通路30を流通する排気ガスの一部を吸気通路20に還流するためのEGR装置40とを備えている。
エンジン本体1は、上記4つの気筒2が内部に形成されたシリンダブロック3と、シリンダブロック3の上部に設けられたシリンダヘッド4と、各気筒2に往復摺動可能に挿入されたピストン5とを有している。ピストン5の頂面には、ディーゼルエンジンでのリエントラント型のようなキャビティ5aが形成されている。
ピストン5の上方には燃焼室10が形成されており、この燃焼室10には、後述するインジェクタ11からの噴射によって燃料が供給される。そして、噴射された燃料が燃焼室10で燃焼し、その燃焼による膨張力で押し下げられたピストン5が上下方向に往復運動する。なお、本実施形態のエンジンはガソリンエンジンであるため、燃料としてはガソリンが用いられる。ただし、燃料の全てがガソリンである必要はなく、例えばアルコール等の副成分が燃料に含まれていてもよい(例えばE3等の混合燃料等)。
ピストン5は、エンジン本体1の出力軸であるクランク軸15とコネクティングロッド16を介して連結されており、上記ピストン5の往復運動に応じてクランク軸15が中心軸回りに回転する。
各気筒2の幾何学的圧縮比、つまり、ピストン5が下死点にあるときの燃焼室10の容積とピストン5が上死点にあるときの燃焼室10の容積との比は、ガソリンエンジンとしてはかなり高めの値である15以上20以下に設定されている。これは、ガソリンを自着火により燃焼させるHCCI燃焼を実現するために、燃焼室10を大幅に高温・高圧化する必要があるからである。
シリンダヘッド4には、吸気通路20から供給される空気(以下「吸気」ともいう)を各気筒2の燃焼室10に導入するための吸気ポート6と、各気筒2の燃焼室10で生成された排気ガスを排気通路30に導出するための排気ポート7と、吸気ポート6の燃焼室10側の開口を開閉する吸気弁8と、排気ポート7の燃焼室10側の開口を開閉する排気弁9とが設けられている。
吸気弁8および排気弁9は、それぞれ、シリンダヘッド4に配設された一対のカムシャフト等を含む動弁機構18,19により、クランク軸15の回転に連動して開閉駆動される。
吸気弁8用の動弁機構18には、吸気弁8のリフト量を連続的に(無段階で)変更することが可能な可変機構18aが組み込まれている。このような可変機構18aは、連続可変バルブリフト機構(CVVL)等として既に公知であり、具体的な構成例として、吸気弁8駆動用のカムをカム軸の回転と連動して往復揺動運動させるリンク機構と、リンク機構の配置(レバー比)を可変的に設定するコントロールアームと、コントロールアームを電気的に駆動することによって上記カムの揺動量(吸気弁8を押し下げる量と期間)を変更するステッピングモータとを備えたものを挙げることができる。
このような可変機構18aにより、図2に実線Inと破線Inとで示すように、吸気弁8のリフト量が大リフト(実線)と小リフト(破線)との間で無段階に変更される。
排気弁9用の動弁機構19には、吸気行程中に排気弁9を押し下げる機能を有効または無効にする切替機構19aが組み込まれている。すなわち、この切替機構19aは、排気弁9を排気行程だけでなく吸気行程でも開弁可能にするとともに、この吸気行程中の排気弁9の開弁動作(いわゆる排気弁9の2度開き)を実行するか停止するかを切り替える機能を有している。
このような切替機構19aは既に公知であり、具体的な構成例として、排気弁9駆動用の通常のカム(排気行程中に排気弁9を押し下げるカム)とは別に吸気行程中に排気弁9を押し下げるサブカムと、このサブカムの駆動力が排気弁9に伝達されるのを有効または無効にするいわゆるロストモーション機構とを備えたものを挙げることができる。
このような切替機構19aにより、図2に実線Exと破線Exとで示すように、排気弁9の開弁動作が、排気弁9が排気行程だけで開弁する通常動作(実線)と、排気弁9が排気行程だけでなく吸気行程でも開弁する2度開き動作(破線)とに切り替えられる。そのため、上記切替機構19aのサブカムによる排気弁9の押し下げが有効にされると、つまり2度開き動作が行われると、排気弁9が排気行程だけでなく吸気行程中にも開弁するので、高温の排気ガス(これを「ホットEGRガス」という)が排気ポート7から燃焼室10に逆流する、いわゆる内部EGRが実現される。その結果、燃焼室10の高温化ひいては圧縮端温度(ピストン5が圧縮上死点に至ったときの気筒2内の温度のこと。以下同じ)の高温化が図られるとともに、燃焼室10に導入される吸気の量が低減される。
シリンダヘッド4には、燃焼室10に向けて燃料を噴射するインジェクタ11と、インジェクタ11から噴射された燃料と空気との混合気に対し火花放電による点火エネルギーを供給する点火プラグ12とが、各気筒2につきそれぞれ1組ずつ設けられている。
インジェクタ11は、ピストン5の頂面を臨むような姿勢でシリンダヘッド4に設けられている。各気筒2のインジェクタ11にはそれぞれ燃料供給管13が接続されており、各燃料供給管13を通じて供給される燃料が、インジェクタ11の先端部に設けられた複数の噴孔(図示省略)から噴射される。
燃料供給管13の上流側に、クランク軸15の回転により駆動されるプランジャー式の燃料ポンプであるサプライポンプ14が設けられている。サプライポンプ14と燃料供給管13との間に、全気筒に共通の蓄圧用のコモンレール(図示省略)が設けられている。コモンレール内で蓄圧された燃料が各気筒2のインジェクタ11に供給されることにより、各インジェクタ11から最大で120MPa程度の高い圧力の燃料が噴射される。
インジェクタ11から噴射される燃料の噴射圧力(燃圧)は、サプライポンプ14から圧送された燃料の一部を燃料タンク側に戻す量(燃料の逃がし量)を増減させることにより調節可能である。すなわち、サプライポンプ14には、燃料の逃がし量を調節するための燃圧制御弁14a(図4参照)が内蔵されており、この燃圧制御弁14aを用いて燃圧を所定範囲内(例えば30〜120MPaの間)で調節することが可能である。
吸気通路20は、単一の共通通路21と、共通通路21の上流端部に配設されたエアクリーナ22と、共通通路21の下流端部に接続された所定容積のサージタンク24と、サージタンク24から下流側に延びて各気筒2の吸気ポート6とそれぞれ連通する4つの独立通路25(図1にはそのうちの1つの独立通路のみを示す)とを有している。共通通路21のサージタンク24寄りに、共通通路21を流通する吸気の流量を調節するスロットル弁29と、気筒2に導入する吸気ひいては燃焼室10内の混合気にオゾン(O)を供給するオゾン生成器76とが、上流側からこの順に配設されている。
オゾン生成器76は、図3に示すように、共通通路21の横断面上で、上下または左右方向に所定間隔を設けて並列された複数の電極を備えて構成されている。オゾン生成器76は、吸気に含まれる酸素(O)を原料ガスとして、無声放電によりオゾンを生成する。つまり、電極に対して、図外の電源から高周波交流高電圧を印加することにより、放電間隙において無声放電が発生し、そこを通過する吸気中の酸素がオゾン化される。こうしてオゾンが供給された吸気は、サージタンク24から独立通路25を介して、各気筒2に導入される。オゾン生成器76の電極に対する電圧の印加態様を変更し、あるいは電圧を印加する電極の数を変更することによって、オゾン生成器76を通過した後の吸気中のオゾン濃度を調節することができる。後述するECU60(図4参照)は、こうしたオゾン生成器76に対する制御を通じて、気筒2に導入する吸気中のオゾン濃度の調節を行う。吸気ないし混合気にオゾンを供給することにより、混合気の着火性およびHCCI燃焼の安定性の向上を図ることができる。
排気通路30は、各気筒2の排気ポート7とそれぞれ連通する4つの独立通路31(図1にはそのうちの1つの独立通路のみを示す)と、各独立通路31の下流端部が集合した集合部32と、集合部32から下流側に延びる単一の共通通路33とを有している。共通通路33の集合部32寄りに、排気ガス中の有害成分を浄化する排気浄化装置として、第1触媒装置34と第2触媒装置35とが、上流側からこの順に配設されている。各触媒装置34,35は、それぞれ、筒状ケース内の流路に配置された三元触媒等を備えて構成されている。本実施形態では、上記触媒装置34,35は、温度が600K以上であると、触媒活性状態であるとともに、オゾンを熱で分解させることができる。
EGR装置40は、排気通路30と吸気通路20とを互いに連通するEGR通路41と、EGR通路41の途中部に配設されたEGRクーラ42およびEGR弁43とを有している。
EGR通路41は、排気通路30を流通する排気ガスの一部を吸気通路20に還流するための通路であり、本実施形態では、排気通路30の排気集合部32と吸気通路20の各独立通路25とを相互に連通している。なお、図示しないが、EGR通路41の下流部(吸気通路20側の端部)は、気筒2ごとに設けられた4つの独立通路25に対応して4つに分岐しており、各独立通路25と1対1で接続されている。
EGRクーラ42は、EGR通路41を流通する排気ガスを冷却するための水冷式の熱交換器である。すなわち、EGRクーラ42では、その内部に導入される冷却水との熱交換によって排気ガスが冷却される(これを「クールドEGRガス」という)。EGRクーラ42で用いられる冷却水は、エンジン本体1を冷却するための冷却水(エンジン冷却水)と同じものを用いてもよく、また、より高い冷却効果を得るために、エンジン冷却水とは別の冷却水を用いてもよい。
EGR弁43は、EGR通路41におけるEGRクーラ42よりも下流側に設けられた電動式のバルブであり、その開閉動作に応じて、EGR通路41を通じて吸気通路20に還流される排気ガス、つまりクールドEGRガスの量が調節される。
(2)制御系
次に、図4を参照して、エンジンの制御系について説明する。本実施形態のエンジンは、その各部がECU(エンジン制御ユニット)60によって統括的に制御される。ECU60は、周知のとおり、CPU、ROM、RAM等を含むマイクロプロセッサからなるものであり、本発明にかかる「制御手段」に相当する。
ECU60は、エンジンおよびこれを搭載する車両に設けられた下記のセンサSN1〜SN12と電気的に接続されており、各センサから入力される信号に基づいて、各種情報を取得する。
・ エンジン本体1のクランク軸15の回転速度(つまりエンジン回転速度)を検出するエンジン速度センサSN1
・ エンジン冷却水の温度(つまりエンジン本体1の温度)を検出する水温センサSN2
・ サージタンク24を通過する吸気の温度を検出する吸気温センサSN3
・ サージタンク24を通過する吸気の流量を検出するエアフローセンサSN4
・ 外気の温度を検出する外気温センサSN5
・ 運転者により操作される図外のアクセルペダルの開度(踏込量)を検出するアクセル開度センサSN6
・ 車室内空間の温度を検出する室温センサSN7
・ バッテリの電圧を検出するバッテリ電圧センサSN8
・ 運転者により操作される図外のブレーキペダルの開度(踏込量)を検出するブレーキペダル開度センサSN9
・ 車両の走行速度を検出する車速センサSN10
・ 第1触媒装置34または第2触媒装置35の温度を検出する触媒温度センサSN11
・ 運転者により選択されるレンジを検出するレンジセンサSN12
また、ECU60は、車室内空間の空調を行うエアコン52およびイグニッションスイッチ53とも電気的に接続されており、エアコンからは空調の設定温度に関する情報を取得し、イグニッションスイッチ53からはイグニッションスイッチ53のオン・オフに関する情報を取得する。
そして、ECU60は、取得した各種情報に基づいて、種々の演算等を実行しつつ、エンジンの各部を制御する。すなわち、ECU60は、インジェクタ11、点火プラグ12、サプライポンプ14の燃圧制御弁14a、吸気弁8用の可変機構18a、排気弁9用の切替機構19a、スロットル弁29、EGR弁43、エンジンを始動させる際にクランク軸15を回転させる(クランキングする)スタータモータ51、およびオゾン生成器76と電気的に接続されており、上記演算の結果等に基づいて、これらの機器にそれぞれ駆動用の制御信号を出力する。
例えば、ECU60は、次に説明するように、予混合圧縮着火燃焼を行うCIモード(HCCI運転)と、火花点火燃焼を行うSIモード(SI運転)とを切り替えるモード切替制御を実行するようにプログラミングされている。
また、ECU60は、所定の自動停止条件が成立したときにエンジンを自動停止させ、その後所定の再始動条件が成立したときにエンジンを再始動させるアイドルストップ制御を実行するようにプログラミングされている。
(3)運転状態に応じたエンジン制御
次に、図5を参照して、運転状態に応じたエンジン制御の具体的内容について説明する。
図5は、エンジンの負荷および回転速度を縦軸および横軸として表したエンジンの運転領域を燃焼形態の相違によって複数の領域に分けたマップである。
本実施形態のエンジンは、燃費性能およびエミッション性能の向上を目的として、エンジン負荷が最低負荷域を含む低負荷側の領域では、点火プラグ12による火花点火燃焼(SI燃焼)ではなく、予混合圧縮着火燃焼(HCCI燃焼)が行われる。しかし、エンジン負荷が高くなるに従い、HCCI燃焼では燃焼が急峻になりすぎて、異常燃焼や燃焼騒音等の問題が生じる。そのため、本実施形態のエンジンでは、エンジン負荷が最高負荷域を含む高負荷側の領域では、燃焼形態がHCCI燃焼からSI燃焼に切り替えられる。このように、本実施形態のエンジンは、エンジンの運転状態、特にエンジン負荷に応じて、予混合圧縮着火燃焼を行うCIモード(HCCI運転)と、火花点火燃焼を行うSIモード(SI運転)とが切り替えられるように構成されている。ただし、モード切替え(運転切替え)の境界線は、図5に例示されたものに限定されるものではない。
CIモードが実行されるCI領域は、エンジン負荷の高低に応じてさらに2つの領域に分けられる。具体的に、CI領域は、CI領域内の低中負荷側の領域(「CI低中負荷域」という)(1)と、CI領域内の高負荷側の領域(「CI高負荷域」という)(2)とに分けられる。なお、モード切替えの境界線は、CI高負荷域(2)に含まれる。
CI低中負荷域(1)では、混合気の着火性およびHCCI燃焼の安定性を高めるために、相対的に温度の高いホットEGRガスが気筒2に導入される。このホットEGRガスの導入は、上述したように、排気弁9を2度開き動作させ(図2の破線Ex参照)、内部EGRを行うことで実現される。ホットEGRガスの導入は、気筒2内の圧縮端温度を高め、CI低中負荷域(1)において、混合気の着火性およびHCCI燃焼の安定性を高める上で有利となる。また、CI低中負荷域(1)では、吸気行程のいずれかの時期にインジェクタ11から気筒2内に燃料が噴射される。これにより、均質な混合気が形成され、その均質混合気は圧縮上死点付近において自着火する。
一方、CI高負荷域(2)では、気筒2内の温度が高くなるので、過早着火等の異常燃焼を抑制するために、ホットEGRガスの導入量が減少されるとともに、EGRクーラ42で冷却されたクールドEGRガスが気筒2に導入される。また、CI高負荷域(2)では、CI低中負荷域(1)と同じように吸気行程のいずれかの時期に燃料を噴射すると過早着火等の異常燃焼が生じ易いので、圧縮行程後期から膨張行程初期の間のいずれかの時期にインジェクタ11から気筒2内に燃料が噴射される(これを「リタード噴射」という)。これにより、過早着火等の異常燃焼が抑制され、HCCI燃焼の安定化が図られる。また、CI領域全体の高負荷側への拡大が図られる。
なお、本発明において、行程の「初期」とは、行程開始のクランク角CAを0°CA、行程終了のクランク角CAを180°CAとした場合に、クランク角CAが0°〜60°CAの範囲にある時期をいい、「中期」とは、クランク角CAが60°〜120°CAの範囲にある時期をいい、「後期」とは、クランク角CAが120°〜180°CAの範囲にある時期をいう。
このようなCI領域に対し、SIモードが実行されるSI領域では、排気弁9を通常動作に切り替え(図2の実線Ex参照)、ホットEGRガスの気筒2への導入を停止するとともに、クールドEGRガスの気筒2への導入は継続する。その場合、スロットル弁29を全開としつつ、EGR弁43の開度を調節することにより、気筒2に導入する新気の量とクールドEGRガスの量との割合を調節する。これにより、ポンピングロスが減るとともに、大量のクールドEGRガスを気筒2に導入することによる異常燃焼の回避、SI燃焼の燃焼温度を低く抑えることによるRawNOxの生成抑制、および冷却損失の低減が図られる。なお、全開負荷域つまり最高負荷域では、EGR弁43を閉弁することにより、クールドEGRガスの気筒2への導入も停止する。
以上に加え、CI領域内のCI低中負荷域(1)において、燃料噴射量が相対的に少なく、熱発生量が相対的に少ないCI低負荷域、特にその低回転域(3)では、混合気の着火性およびHCCI燃焼の安定性をより一層高めるために、オゾン生成器76を作動させて、気筒2に導入する吸気にオゾンを供給するようにしてもよい。気筒2に導入する吸気ひいては燃焼室10内の混合気にオゾンを供給することにより、混合気の着火性およびHCCI燃焼の安定性の向上を図ることができる。このようなオゾンの供給は、外気温が低いときに特に有利に働く。その理由は、外気温が低いときは、新気の温度が低くなり、圧縮開始時の混合気の温度が低くなり、その結果、圧縮端温度が低下して、混合気が自着火し難くなるからである。
なお、オゾンを供給する領域を、上記CI低負荷・低回転域(3)に限らず、状況に応じて、回転速度に拘らずCI低中負荷域(1)のCI低負荷域全域としてもよく、あるいはCI低中負荷域(1)全域としてもよく、さらにはCI高負荷域(2)を含めたCI領域全域としてもよい。
上述したように、オゾン濃度は、ECU60がオゾン生成器76の電極に対する電圧の印加態様を変更したり、電圧を印加する電極の数を変更することによって調節される。その場合、オゾン濃度は、エンジン負荷が低下するに従い連続的または段階的に高まるように調節されてもよい。こうすることで、着火性および燃焼安定性を確保する上で必要最低限のオゾン濃度に調節することが可能となり、オゾンの生成に必要な電力消費を最低限に抑えることができて、燃費の面で有利となる。また、オゾン濃度は、エンジン負荷に拘らず一定濃度に調節されてもよい。さらに、その場合、最大のオゾン濃度は、例えば5〜30ppm程度に制限されてもよい。
オゾンは500〜600Kの温度下では数秒で分解する。そのため、燃焼室10内の混合気に供給されたオゾンは、HCCI燃焼で発生する気筒2内の熱で容易に分解する。
(4)アイドルストップ制御
次に、図6〜図11を参照して、アイドルストップ制御の具体的内容について説明する。
本実施形態においては、アイドルストップ中の予混合圧縮着火式エンジンを再始動させる際、HCCI燃焼で安定して再始動させることができるように対策されている。これにより、SI燃焼で再始動させる場合に比べて、燃費性能およびエミッション性能が大幅に向上する。ただし、本実施形態にかかるアイドルストップ制御は、水温センサSN2で検出されるエンジン冷却水の温度(エンジン本体1の温度)が所定の基準温度(例えば50℃)以上であること、つまりエンジンが暖機状態であることを前提に行われる。
(4−1)概要
[発進要求がない場合]
図6は、運転者の発進要求がない場合に上記エンジンを再始動させる際のタイムチャートである。
例えば、バッテリ電圧センサSN8で検出されるバッテリ電圧が低下したので、エンジンでオルタネータを駆動して発電する必要が生じたときや、エンジンの自動停止とともにエアコン52のコンプレッサが停止した結果、エアコン52の空調設定温度と室温センサSN7で検出される車室内空間の温度との差が大きくなったので、エンジンで上記コンプレッサを駆動してエアコン52を作動させる必要が生じたとき等、車両のシステム上の都合でエンジンを稼動しなければならなくなったような場合に、運転者が発進要求をしていなくても、アイドルストップ中のエンジンが再始動される。これを便宜上「システム始動」という。
この場合は、エンジンを迅速に再始動させる必要がないので、各気筒2ともに2回目の圧縮上死点を迎えるときからHCCI燃焼が開始するように、インジェクタ11、吸気弁8用の可変機構18a、排気弁9用の切替機構19a、およびスタータモータ51が制御される。
図6において、「Ex」は、図2の破線Exと同様、2度開き動作に切り替えられたときの排気弁9のリフトカーブを示し、「In」は、図2の破線Inと同様、小リフトに変更されたときの吸気弁8のリフトカーブを示す。また、「F」は、燃料噴射を示し、その位置が燃料噴射時期を表し、その幅が燃料噴射量の大小を表現している。
図示したように、排気弁9は、膨張行程後期から開き始め、排気行程中期にリフト量が最大となり、排気上死点でリフト量が所定の小リフト量まで小さくなり、その小リフト量が維持された後、吸気行程後期に閉弁する。吸気弁8は、吸気行程中期から開き始め、圧縮行程初期に閉弁する。排気弁9および吸気弁8は、吸気行程中期から後期にかけて、双方が開いたオーバーラップ状態となる。排気行程で気筒2内から排気ポート7を介して排気通路30に排出されたガスは、排気弁9の2度開き動作により、その一部が吸気行程で逆流して気筒2内に戻される。
図6は、停止時圧縮行程気筒、停止時吸気行程気筒、停止時排気行程気筒、および停止時膨張行程気筒の各ピストン5の停止位置が各行程の略中期にあることを示している。エンジン全体として最初の燃料噴射は、符号(i)で示すように、停止時吸気行程気筒に対して行われる。その後、スタータモータ51によるクランキングに伴い、各気筒2とも、初回の燃料噴射および2回目の燃料噴射が吸気行程で行われる。各気筒2の初回の燃料噴射量および2回目の燃料噴射量は相対的に少なく、それぞれ、空燃比で100相当である(λ≒6.8)。
各気筒2において、初回に噴射された燃料は、吸気行程中に排気ポート7および吸気ポート6を介して気筒2内に導入される空気と混じり合い、均質な混合気が形成される。しかし、A/F=100相当と燃料が薄いこと(リーン)に加え、前回の燃焼がなく、上述のように排気弁9が2度開き動作しても、ホットEGRガスがないから圧縮端温度が不足し、上記混合気は各気筒2の1回目の圧縮上死点を迎えるときには自着火しない。そのため、上記混合気は各気筒2の1回目の排気行程で未燃のまま気筒2内から排気通路30に排出される。
排出された未燃混合気は各気筒2の1回目の圧縮行程で圧縮を受けているから気化霧化が促進された状態にある。また幾分昇温もしている。そして、上述のように排気弁9が2度開き動作することにより、気化霧化が促進された上記未燃混合気の一部が次の吸気行程で気筒2内に戻される。そして、そこに各気筒2の2回目の燃料噴射が行われるので、混合気は全体として1回目よりもリッチ化し(ただし依然として理論空燃比よりもリーンである)、混合気全体の着火性が高められる。そのため、エンジンが暖機状態であることと相まって、符号(ii)で示すように、各気筒2ともに2回目の圧縮上死点を迎えるときからHCCI燃焼が開始し(各気筒2の初回燃焼)、アイドルストップ中の予混合圧縮着火式エンジンをHCCI燃焼で安定して再始動させることができる。
ここで、排気弁9の2度開き動作により気筒2内に戻される未燃混合気は全量が戻ってくるわけではなく一部のみが戻ってくる。よって、初回の燃料噴射量を増やすと、燃料の未燃損失が多くなる。一方、初回の燃料噴射量を減らすと、気化霧化が促進された混合気がリーンになりすぎ、2回目の燃料噴射が行われた後でも混合気全体の着火性がそれほど高められない。これらのことを総合して、本実施形態では、各気筒2の初回の燃料噴射量および2回目の燃料噴射量をそれぞれA/F=100相当に設定している。
なお、各気筒2とも、3回目以降の燃料噴射が継続して吸気行程で行われる。また、各気筒2の3回目以降の燃料噴射量も継続して空燃比で100相当に設定される。ただし、前回の燃焼が起きているので、排気弁9の2度開き動作により、ホットEGRガスが気筒2に導入される。そのため、圧縮端温度が高められ、各気筒2の3回目以降の燃料噴射で形成された均質混合気は各気筒2の次の3回目以降の圧縮上死点を迎えるときに安定して自着火し、HCCI燃焼が安定して起きる。
その後、エンジン速度センサSN1で検出されるエンジン回転速度が所定のモータ停止判定回転速度(例えば400rpm)に到達すれば、スタータモータ51の駆動が停止され、さらに所定の完爆判定回転速度(例えば500rpm)に到達すれば、始動完了と判定されて、上述したCI低負荷・低回転域(3)の運転に移行する。すなわち、ホットEGRガス導入のための排気2度開きと、均質混合気形成のための吸気行程噴射と(状況に応じて着火性および燃焼安定性向上のためのオゾン供給がさらに加わる)によるHCCI燃焼が行われる。その場合の燃料噴射量は、作動ガス燃料比(G/F)で100相当に設定される。なお、作動ガス燃料比(G/F)とは、燃焼室10内に供給される燃料の重量に対する、燃焼室10内の既燃ガスを含むガスの全重量の割合である。
以上のことから明らかなように、エンジンを再始動させる際の制御からCI低負荷・低回転域(3)の運転に移行するとき、排気弁9は2度開き動作のままでよく、排気弁9の開弁動作を切り替える必要がないので、エンジン制御が易化するという利点がある。
[発進要求がある場合]
図7は、運転者の発進要求がある場合に上記エンジンを再始動させる際のタイムチャートである。
例えば、ブレーキペダル開度センサSN9で検出されるブレーキペダルの開度(踏込量)が減少したような場合に、運転者が発進要求をしていると判定されて、アイドルストップ中のエンジンが再始動される。これを便宜上「迅速始動」という。
この場合は、エンジンを迅速に再始動させる必要があるので、各気筒2ともに1回目の圧縮上死点を迎えるときからHCCI燃焼が開始するように、インジェクタ11、吸気弁8用の可変機構18a、排気弁9用の切替機構19a、およびスタータモータ51が制御される。
図7において、「Ex」、「In」、「F」は、それぞれ図6と同様である。ただし、各気筒2とも、初回の燃料噴射量は、運転者の発進要求がない場合の各気筒2の初回の燃料噴射量および2回目の燃料噴射量(A/F=100相当)よりも増量され(A/F=50相当)、2回目の燃料噴射量は、減量される(A/F=150相当)。
また、「SA」は、スパークアシストを示す。つまり、点火プラグ12の火花放電により混合気を点火する。図示したように、スパークアシストは、各気筒2の1回目の圧縮上死点を迎える時期に行われる。これにより、混合気の着火が促進され、確実にHCCI燃焼が起きる。
図7は、停止時圧縮行程気筒、停止時吸気行程気筒、停止時排気行程気筒、および停止時膨張行程気筒の各ピストン5の停止位置が各行程の略中期にあることを示している。エンジン全体として最初の燃料噴射は、符号(v)で示すように、停止時圧縮行程気筒に対して行われる。その後、スタータモータ51によるクランキングに伴い、各気筒2とも、初回の燃料噴射が圧縮行程後半で行われる。各気筒2の初回の燃料噴射量は相対的に多く、上述したように、空燃比で50相当である(λ≒3.4)。
なお、本発明において、行程の「後半」とは、行程開始のクランク角CAを0°CA、行程終了のクランク角CAを180°CAとした場合に、クランク角CAが90°〜180°CAの範囲にある時期をいい、「前半」とは、クランク角CAが0°〜90°CAの範囲にある時期をいう。
各気筒2において、初回に噴射された燃料は、ピストン5が圧縮上死点に近づきつつある圧縮行程後半の気筒2内で成層化し、混合気は燃焼室10内で局所リッチの状態となる。しかも、初回に噴射された燃料は、A/F=50相当と運転者の発進要求がない場合に比べて燃料が増量(リッチ化)されているから(ただし依然として理論空燃比よりもリーンである)、混合気は局所リッチの度合いが強くなり、着火性が高められる。そのため、エンジンが暖機状態にあることと相まって、符号(vi)で示すように、各気筒2ともに1回目の圧縮上死点を迎えるときからHCCI燃焼が開始し(各気筒2の初回燃焼)、アイドルストップ中の予混合圧縮着火式エンジンをHCCI燃焼で安定して迅速に再始動させることができる。
その場合に、各気筒2の1回目の圧縮上死点を迎える時期、つまり各気筒2の初回燃焼が起きる時期に、点火プラグ12によるスパークアシスト(SA)が行われるから、混合気の着火が促進され、確実にHCCI燃焼が開始する。
各気筒2とも、2回目以降の燃料噴射は吸気行程で行われる。また、各気筒2の2回目の燃料噴射量は、空燃比で150相当に大幅に減量される。それは次のような理由による。各気筒2の初回燃焼で生成されたホットEGRガスは、排気弁9の2度開き動作により、その一部が次の吸気行程で気筒2に導入される(つまり内部EGRが実現される)。そのため、圧縮端温度が高められ、このことはHCCI燃焼にとって有利に働く。しかも、各気筒2とも、初回の燃料噴射量がA/F=50相当に増量されているから、ホットEGRガスとともに気筒2内に戻ってくる未燃燃料の量も比較的多い。そのため、各気筒2の2回目の燃料噴射量を大幅に減量しても、混合気はそれほどリーンにならない。以上により、各気筒2の2回目の燃料噴射で形成された均質混合気は各気筒2の次の2回目の圧縮上死点を迎えるときに安定して自着火し、HCCI燃焼が安定して起きる。これらのことを総合して、本実施形態では、各気筒2の初回の燃料噴射量をA/F=50相当に設定し、2回目の燃料噴射量をA/F=150相当に設定している。
なお、各気筒2の3回目以降の燃料噴射については、運転者の発進要求がない場合と略同様なので、ここではその説明は省略する。
(4−2)制御動作
上記予混合圧縮着火式エンジンをHCCI燃焼で再始動させることができるように対策されたアイドルストップ制御をECU60の制御動作の観点からフローチャートに基いて説明する。
[自動停止制御]
図8に示すように、アイドルストップ制御においてエンジンを自動停止させる際は、ECU60は、ステップS101で、各種データを読み込んだ後、ステップS102で、エンジン停止条件(自動停止条件)の成立・不成立を判定し、成立している場合は、ステップS103に進み、成立していない場合は、ステップS101に戻る。
上記エンジン停止条件としては、例えば、水温センサSN2で検出されるエンジン冷却水の温度(エンジン本体1の温度)が所定の基準温度(例えば50℃)以上であること(つまりエンジンが暖機状態であること)、車速が略ゼロであること、ブレーキペダルの開度(踏込量)が大きいこと、Dレンジ(前進走行レンジ)が選択されていること、イグニッションスイッチ53がオンであること等が挙げられ、ECU60は、これらの全てが満足されているときにエンジン停止条件が成立していると判定する。
ECU60は、ステップS103で、インジェクタ11からの燃料噴射を停止する(エンジン停止のための燃料カットを開始する)とともに、掃気のためにスロットル弁29を全開とする。
ECU60は、ステップS104で、エンジン回転速度がエンジン停止直前の所定回転速度Ne0以下であるか否かを判定し、Ne0以下である場合は、ステップS105に進み、Ne0以下でない場合は、ステップS104に戻る。
ECU60は、ステップS105で、スロットル弁29を全閉とする。
ECU60は、ステップS106で、エンジンが完全停止したか否かを判定し、完全停止した場合は、ステップS107に進み、完全停止していない場合は、ステップS106に戻る。
ECU60は、ステップS107で、ピストン5の停止位置を記憶し、このアイドルストップ制御の自動停止制御を終了する。
ここで、ピストン5の停止位置とは、エンジンが停止したときにピストン5が属する行程のことであり、例えば、エンジンが停止したときにピストン5が吸気行程または圧縮行程に属する場合は、そのピストン5が挿入されている気筒2のことを「停止時吸気行程気筒」または「停止時圧縮行程気筒」という(図6および図7参照)。このピストン5の停止位置は、図9〜図11に示すエンジンの再始動制御で用いられる。
[再始動制御]
図9〜図11に示すように、アイドルストップ制御においてエンジンを再始動させる際は(なお、この再始動制御では、排気弁9が当初から2度開き動作に切り替えられている)、ECU60は、ステップS1で、各種データを読み込んだ後、ステップS2で、再始動条件の成立・不成立を判定し、成立している場合は、ステップS3に進み、成立していない場合は、ステップS1に戻る。
上記再始動条件としては、例えば、ブレーキペダルの開度(踏込量)が減少したこと、バッテリ電圧が所定電圧未満に低下したこと、エアコン52の空調設定温度と車室内空間の温度との差が所定値以上に大きくなったこと等が挙げられ、ECU60は、これらのうちの1つでも満足されているときに再始動条件が成立していると判定する。
ECU60は、ステップS3で、運転者の発進要求の有無を判定し、発進要求がある場合、すなわち、ブレーキペダルの開度(踏込量)が減少したことでステップS3に進んできた場合は、ステップS15に進み(迅速始動)、発進要求がない場合、すなわち、ブレーキペダルの開度(踏込量)が減少したこと以外の理由でステップS3に進んできた場合は、ステップS4に進む(システム始動)。
まずシステム始動を説明する。
ECU60は、ステップS4で、スタータモータ51の駆動を開始し、ステップS5で、停止時吸気行程気筒から各気筒2とも吸気行程で所定量(A/F=100相当)の燃料を噴射する。これにより、このステップS5が2回行われたときに、図6を参照して説明したように、各気筒2ともに2回目の圧縮上死点を迎えるときからHCCI燃焼が開始する。
ECU60は、ステップS6で、フラグFがF1にセットされているか否かを判定し、セットされている場合は、ステップS11に進み、セットされていない場合は、ステップS7に進む。
なお、上記フラグFは、スタータモータ51の駆動を停止した場合にF1にセットされ(ステップS10,S21参照)、このアイドルストップ制御の再始動制御の終了時に0にリセットされる(ステップS13参照)フラグである。
ECU60は、ステップS7で、エンジン回転速度が所定のモータ停止判定回転速度Ne1(例えば400rpm)以上であるか否かを判定し、Ne1以上である場合は、ステップS8に進み、Ne1以上でない場合は、ステップS5に戻る。
ECU60は、ステップS8で、スタータモータ51が駆動中か否かを判定し、駆動中である場合は、ステップS9に進み、駆動中でない場合は、ステップS11に進む。
ECU60は、ステップS9で、スタータモータ51の駆動を停止し、ステップS10で、フラグFをF1にセットし、ステップS11で、エンジン回転速度が所定の完爆判定回転速度Ne2(例えば500rpm)以上であるか否かを判定し、Ne2以上である場合は、ステップS12に進み、Ne2以上でない場合は、ステップS5に戻る。
ECU60は、ステップS12で、エンジンの始動が完了したと判定し、ステップS13で、フラグFを0にリセットする。
そして、ECU60は、ステップS14で、各気筒2とも吸気行程で所定量(G/F=100相当)の燃料を噴射するCI低負荷・低回転域(3)の運転に移行し、このアイドルストップ制御の再始動制御を終了する。
次に迅速始動を説明する。
ECU60は、ステップS15で、スタータモータ51の駆動を開始し、ステップS16で、停止時圧縮行程気筒から各気筒2とも初回燃焼サイクルに限り圧縮行程後半で所定量(初回燃焼サイクルのA/F=50相当)の燃料を噴射する。これにより、図7を参照して説明したように、各気筒2ともに1回目の圧縮上死点を迎えるときからHCCI燃焼が開始する。
なお、各気筒2の1回目の圧縮上死点を迎える時期に、混合気の着火を促進し、確実にHCCI燃焼が起きるように、スパークアシストを行ってもよい。
ECU60は、ステップS17で、フラグFがF1にセットされているか否かを判定し、セットされている場合は、ステップS22に進み、セットされていない場合は、ステップS18に進む。
ECU60は、ステップS18で、エンジン回転速度が所定のモータ停止判定回転速度Ne1(例えば400rpm)以上であるか否かを判定し、Ne1以上である場合は、ステップS19に進み、Ne1以上でない場合は、ステップS23に進む。
ECU60は、ステップS19で、スタータモータ51が駆動中か否かを判定し、駆動中である場合は、ステップS20に進み、駆動中でない場合は、ステップS22に進む。
ECU60は、ステップS20で、スタータモータ51の駆動を停止し、ステップS21で、フラグFをF1にセットし、ステップS22で、エンジン回転速度が所定の完爆判定回転速度Ne2(例えば500rpm)以上であるか否かを判定し、Ne2以上である場合は、ステップS12に進み、Ne2以上でない場合は、ステップS23に進む。
ECU60は、ステップS12で、エンジンの始動が完了したと判定し、ステップS13で、フラグFを0にリセットする。
そして、ECU60は、ステップS14で、各気筒2とも吸気行程で所定量(G/F=100相当)の燃料を噴射するCI低負荷・低回転域(3)の運転に移行し、このアイドルストップ制御の再始動制御を終了する。
一方、ECU60は、ステップS23で、全気筒2とも初回燃焼サイクルを経過したか否かを判定し、経過した場合は、ステップS24に進み、経過していない場合は、ステップS16に戻る。
ECU60は、ステップS24で、各気筒2とも2回目燃焼サイクルにおいて吸気行程で所定量(2回目燃焼サイクルのA/F=150相当)の燃料を噴射する。これにより、図7を参照して説明したように、各気筒2ともに2回目の燃料噴射量を大幅に減量しても2回目の圧縮上死点を迎えるときにHCCI燃焼が安定して起きる。
ECU60は、ステップS25で、エンジン回転速度が所定の完爆判定回転速度Ne2(例えば500rpm)以上であるか否かを判定し、Ne2以上である場合は、ステップS12に進み、Ne2以上でない場合は、ステップS26に進む。
ECU60は、ステップS26で、全気筒2とも2回目燃焼サイクルを経過したか否かを判定し、経過した場合は、ステップS13に進み、経過していない場合は、ステップS24に戻る。
ECU60は、ステップS13で、フラグFを0にリセットする。
そして、ECU60は、ステップS14で、各気筒2とも吸気行程で所定量(G/F=100相当)の燃料を噴射するCI低負荷・低回転域(3)の運転に移行し、このアイドルストップ制御の再始動制御を終了する。
以上のことから明らかなように、ECU60は、システム始動では、エンジン回転速度が実際にモータ停止判定回転速度Ne1および完爆判定回転速度Ne2に到達したことをもって(ステップS7,S11でYES)、CI低負荷・低回転域(3)の運転に移行する(ステップS14)のに対し、迅速始動では、エンジン回転速度がモータ停止判定回転速度Ne1および完爆判定回転速度Ne2に到達しなくても(ステップS18,S22,S25でNO)、全気筒2とも初回燃焼サイクルおよび2回目燃焼サイクルを経過していれば(ステップS23,S26でYES)、CI低負荷・低回転域(3)の運転に移行する(ステップS14)。この点においても、運転者の発進要求がなく、エンジンを迅速に再始動させる必要がないシステム始動と、運転者の発進要求があり、エンジンを迅速に再始動させる必要がある迅速始動との違いが表れている。
(5)作用等
以上のように、本実施形態にかかる予混合圧縮着火式エンジンの制御装置は、CI領域(図5参照)で予混合圧縮着火燃焼が行われるように構成された予混合圧縮着火式エンジンの制御装置であって、水温センサSN2で検出されるエンジン冷却水の温度(エンジン本体1の温度)が50℃以上であるという要件を含む所定の自動停止条件が成立したとき(ステップS102でYES)にエンジンを自動停止させ、その後所定の再始動条件が成立したとき(ステップS2でYES)にエンジンを再始動させるECU60が備えられている。
上記ECU60は、上記エンジンを再始動させる際、運転者の発進要求がある迅速始動の場合は(ステップS3でYES)、各気筒2ともに1回目の圧縮上死点を迎えるときからHCCI燃焼が開始するように(図7の符号(vi))、各気筒2の初回の燃料噴射時期を圧縮行程後半とし(図7の符号(v))、かつ、各気筒2の初回の燃料噴射量を相対的に多く(A/F=50相当)する(ステップS16)。
一方、上記ECU60は、上記エンジンを再始動させる際、運転者の発進要求がないシステム始動の場合は(ステップS3でNO)、各気筒2ともに2回目の圧縮上死点を迎えるときからHCCI燃焼が開始するように(図6の符号(ii))、排気弁9を排気行程だけでなく吸気行程でも開く2度開きを行いつつ、各気筒2の初回および2回目の燃料噴射時期を吸気行程とし(図6の符号(i))、かつ、各気筒2の初回および2回目の燃料噴射量をそれぞれ迅速始動の場合の各気筒2の初回の燃料噴射量よりも少なく(A/F=100相当)する(ステップS5)。
この構成によれば、アイドルストップ中の予混合圧縮着火式エンジンを再始動させる際、エンジン本体1の温度が50℃以上であるので、エンジンは暖機状態にあり、このことはエンジン始動およびHCCI燃焼の双方に有利に働く。そのため、エンジンが暖機状態にあることと相まって、運転者の発進要求がある迅速始動時は、各気筒2ともに1回目の圧縮上死点を迎えるときからHCCI燃焼が開始し、アイドルストップ中の予混合圧縮着火式エンジンをHCCI燃焼で安定して迅速に再始動させることができ、一方、運転者の発進要求がないシステム始動時は、各気筒2ともに2回目の圧縮上死点を迎えるときからHCCI燃焼が開始し、アイドルストップ中の予混合圧縮着火式エンジンをHCCI燃焼で安定して再始動させることができる。このように、アイドルストップさせた予混合圧縮着火式エンジンをHCCI燃焼で再始動させることができるので、SI燃焼で再始動させる場合に比べて、燃費性能およびエミッション性能が大幅に向上する。
また、システム始動時は、各気筒2の初回の燃料噴射時期を吸気行程とするから、各気筒2の初回に噴射された燃料が各気筒2の2回目の圧縮上死点を迎えるときにHCCI燃焼するまでに、吸気→圧縮→膨張→排気→吸気→圧縮と相対的に長い時間が経過する。そのため、燃料と空気とが十分に混合され、より均質な混合気が形成されて、HCCI燃焼がより一層起こり易くなる。
本実施形態においては、上記ECU60は、迅速始動かシステム始動かに拘らず、各気筒2の初回燃焼時の空燃比が理論空燃比よりもリーンとなるように各燃料噴射量を設定する(ステップS5,S16)。具体的に、各気筒2の初回燃焼時とは、迅速始動の場合は、各気筒2ともに1回目の圧縮上死点を迎えるときであり、システム始動の場合は、各気筒2ともに2回目の圧縮上死点を迎えるときであるから、図6および図7から明らかなように、各気筒2の初回燃焼時の空燃比とは、迅速始動の場合は、各気筒2の初回の燃料噴射量(A/F=50相当)に基く空燃比であり、システム始動の場合は、各気筒2の初回の燃料噴射量(A/F=100相当)と2回目の燃料噴射量(A/F=100相当)との合算量に基く空燃比である。そして、それらが理論空燃比よりもリーンになるので、この構成によれば、燃費性能およびエミッション性能がより一層向上する。
本実施形態においては、上記ECU60は、迅速始動時は、各気筒2の1回目の圧縮上死点を迎えるときに、点火プラグ12の火花放電で混合気を点火することにより(スパークアシスト)、混合気の自着火を促進するための着火アシスト制御を実行する。
この構成によれば、エンジンを迅速に再始動させる必要がある場合に、着火アシストにより確実にエンジンをHCCI燃焼で迅速に再始動させることができる。しかも、着火アシストとして混合気が点火されるので、混合気の着火が確実に促進される。
なお、上記実施形態では、ECU60は、システム始動時は、各気筒2の初回の燃料噴射時期を吸気行程としたが(図6の符号(i))、これに代えて、吸気行程から圧縮行程の間のいずれかの時期、例えば圧縮行程としてもよい(図12の符号(iii))。これによっても、初回の燃料噴射で形成された混合気は圧縮を受けて気化霧化が促進され、また幾分昇温もするので、2回目の圧縮上死点を迎えるときからHCCI燃焼が開始する(図12の符号(iv))。
もっとも、全気筒2で初回の燃料噴射時期を圧縮行程とする必要はない。エンジン全体として最初の燃料噴射を行う気筒だけ、初回の燃料噴射時期を圧縮行程とすることも考えられる。つまり、着火性の確保等の面で特に問題なければ、エンジン全体として最初の燃料噴射を停止時圧縮行程気筒に対して行い、他の気筒2に対しては、初回の燃料噴射を吸気行程で行うようにしてもよい。これによっても、エンジン全体として初回燃焼が1行程早くなるという利点が得られる。
また、上記実施形態では、ECU60は、迅速始動時は、スパークアシストにより、混合気の着火を促進したが(図7の「SA」)、これに代えて、またはこれとともに、図示しないが、各気筒2にオゾンを供給するオゾン生成器(本発明にかかる「オゾン供給手段」に相当する)を備えて、気筒2毎に直接オゾンを供給可能に構成し、各オゾン生成器を作動させて、混合気にオゾンを供給することにより、混合気の着火を促進するようにしてもよい。
この構成によっても、エンジンを迅速に再始動させる必要がある場合に、着火アシストにより確実にエンジンをHCCI燃焼で迅速に再始動させることができる。しかも、着火アシストとして混合気にオゾンが供給されるので、混合気の着火が確実に促進される。
また、上記実施形態で記述された種々の数値は一例であり、それらに限定されないことはいうまでもない。
1 エンジン本体
2 気筒
6 吸気ポート
7 排気ポート
8 吸気弁
9 排気弁
11 インジェクタ
12 点火プラグ
18a 可変機構
19a 切替機構
20 吸気通路
30 排気通路
51 スタータモータ
60 ECU(制御手段)

Claims (5)

  1. 複数の気筒と、各気筒に燃料を噴射する複数のインジェクタとを備えるとともに、所定の運転領域において各気筒で予混合圧縮着火燃焼が行われるように構成された予混合圧縮着火式エンジンの制御装置であって、
    エンジン温度が所定の基準温度以上であるという要件を含む所定の自動停止条件が成立したときにエンジンを自動停止させ、その後所定の再始動条件が成立したときにエンジンを再始動させる制御手段が備えられ、
    上記制御手段は、上記エンジンを再始動させる制御として、
    運転者の発進要求がない場合は、各気筒ともに2回目の圧縮上死点を迎えるときから予混合圧縮着火燃焼が開始するように、排気弁を排気行程だけでなく吸気行程でも開く2度開きを行いつつ、各気筒の最初の吸気行程中に、着火に至らない量の燃料を各気筒に噴射する1回目の燃料噴射を行い、かつ各気筒の2回目の吸気行程中に、着火に至る量の燃料を各気筒に噴射する2回目の燃料噴射を行い
    運転者の発進要求がある場合は、各気筒ともに1回目の圧縮上死点を迎えるときから予混合圧縮着火燃焼が開始するように、各気筒の最初の圧縮行程の後半に各気筒に燃料を噴射し、かつそのときの燃料噴射量を上記運転者の発進要求がない場合の各気筒の1回目の燃料噴射量よりも多くすることを特徴とする予混合圧縮着火式エンジンの制御装置。
  2. 請求項1に記載の予混合圧縮着火式エンジンの制御装置において、
    上記制御手段は、運転者の発進要求の有無に拘らず、各気筒の初回燃焼時の空燃比が理論空燃比よりもリーンとなるように各燃料噴射量を設定することを特徴とする予混合圧縮着火式エンジンの制御装置。
  3. 請求項1または2に記載の予混合圧縮着火式エンジンの制御装置において、
    上記制御手段は、運転者の発進要求がある場合は、各気筒の1回目の圧縮上死点を迎えるときに混合気の自着火を促進するための着火アシスト制御を実行することを特徴とする予混合圧縮着火式エンジンの制御装置。
  4. 請求項3に記載の予混合圧縮着火式エンジンの制御装置において、
    各気筒に点火プラグが備えられ、
    上記着火アシスト制御は、上記点火プラグに火花点火を行わせることであることを特徴とする予混合圧縮着火式エンジンの制御装置。
  5. 請求項3に記載の予混合圧縮着火式エンジンの制御装置において、
    各気筒にオゾンを供給するオゾン供給手段が備えられ、
    上記着火アシスト制御は、上記オゾン供給手段にオゾンを供給させることであることを特徴とする予混合圧縮着火式エンジンの制御装置。
JP2013235719A 2013-11-14 2013-11-14 予混合圧縮着火式エンジンの制御装置 Active JP6111986B2 (ja)

Priority Applications (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2013235719A JP6111986B2 (ja) 2013-11-14 2013-11-14 予混合圧縮着火式エンジンの制御装置

Applications Claiming Priority (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2013235719A JP6111986B2 (ja) 2013-11-14 2013-11-14 予混合圧縮着火式エンジンの制御装置

Publications (2)

Publication Number Publication Date
JP2015094334A JP2015094334A (ja) 2015-05-18
JP6111986B2 true JP6111986B2 (ja) 2017-04-12

Family

ID=53196900

Family Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP2013235719A Active JP6111986B2 (ja) 2013-11-14 2013-11-14 予混合圧縮着火式エンジンの制御装置

Country Status (1)

Country Link
JP (1) JP6111986B2 (ja)

Families Citing this family (6)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP6292209B2 (ja) * 2015-11-12 2018-03-14 マツダ株式会社 エンジンの制御装置
JP2017186984A (ja) * 2016-04-07 2017-10-12 トヨタ自動車株式会社 内燃機関の制御装置
JP6848346B2 (ja) * 2016-10-28 2021-03-24 いすゞ自動車株式会社 内燃機関の制御装置、及び内燃機関システム
JP6555539B2 (ja) * 2016-11-22 2019-08-07 マツダ株式会社 圧縮自己着火式エンジンの制御装置
JP6555538B2 (ja) * 2016-11-22 2019-08-07 マツダ株式会社 圧縮自己着火式エンジンの制御装置
EP3418542B1 (en) * 2016-11-22 2020-07-08 Mazda Motor Corporation Control device for compression self-ignition engine

Family Cites Families (8)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2002276404A (ja) * 2001-03-14 2002-09-25 Nissan Motor Co Ltd 圧縮着火式内燃機関
JP4075679B2 (ja) * 2003-05-06 2008-04-16 株式会社デンソー 内燃機関の始動制御装置
JP4175200B2 (ja) * 2003-07-07 2008-11-05 マツダ株式会社 車両の制御装置
JP5313819B2 (ja) * 2009-09-16 2013-10-09 日立オートモティブシステムズ株式会社 内燃機関の制御装置
JP2011214417A (ja) * 2010-03-31 2011-10-27 Mazda Motor Corp ディーゼルエンジンの始動制御装置
JP5895407B2 (ja) * 2011-09-08 2016-03-30 マツダ株式会社 ハイブリッド自動車
JP5910125B2 (ja) * 2012-02-02 2016-04-27 マツダ株式会社 圧縮自己着火式エンジンの始動制御装置
JP5842678B2 (ja) * 2012-03-09 2016-01-13 マツダ株式会社 圧縮自己着火式エンジンの始動制御方法および装置

Also Published As

Publication number Publication date
JP2015094334A (ja) 2015-05-18

Similar Documents

Publication Publication Date Title
JP5741352B2 (ja) 圧縮自己着火式エンジンの始動制御装置
JP6111986B2 (ja) 予混合圧縮着火式エンジンの制御装置
US8417437B2 (en) Control method and system of engine
US8036817B2 (en) Method of starting spark ignition engine without using starter motor
KR101704064B1 (ko) 복합 착화방식의 디젤-가솔린 혼합연소엔진과 그 제어방법 및 복합 착화방식의 디젤-가솔린 혼합연소시스템
KR101693895B1 (ko) 복합 착화방식의 디젤-가솔린 혼합연소엔진과 그 제어방법 및 복합 착화방식의 디젤-가솔린 혼합연소시스템
US7240480B1 (en) Dual Combustion Mode Engine
US7305955B2 (en) Dual combustion engine
JPH08312401A (ja) 筒内噴射型火花点火式内燃機関の燃料噴射制御装置
JP6171746B2 (ja) エンジンの始動制御装置
JP3496593B2 (ja) 火花点火式直噴エンジンの制御装置
JP4207635B2 (ja) 圧縮比の変更方法と可変圧縮比エンジン
JP6291751B2 (ja) エンジンの始動制御装置
JP6111985B2 (ja) 予混合圧縮着火式エンジンの制御装置
JP4341475B2 (ja) エンジンの始動装置
JP2006052695A (ja) エンジンの始動装置
JP2002138908A (ja) 筒内噴射火花点火式内燃機関
JP3817820B2 (ja) 筒内噴射式エンジン
JP5206288B2 (ja) ディーゼルエンジンの制御方法及びその装置
JP3945206B2 (ja) 圧縮着火式内燃機関
JP4978322B2 (ja) 燃料供給装置
JP2010121568A (ja) 内燃機関の制御装置
JP2018172981A (ja) 予混合圧縮着火式エンジンの制御装置
JP2005344653A (ja) エンジンの始動装置
JP2022165103A (ja) エンジンの制御装置

Legal Events

Date Code Title Description
A621 Written request for application examination

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A621

Effective date: 20160225

A131 Notification of reasons for refusal

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A131

Effective date: 20161115

A977 Report on retrieval

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A971007

Effective date: 20161117

A521 Written amendment

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A523

Effective date: 20161228

TRDD Decision of grant or rejection written
A01 Written decision to grant a patent or to grant a registration (utility model)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A01

Effective date: 20170214

A61 First payment of annual fees (during grant procedure)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A61

Effective date: 20170227

R150 Certificate of patent or registration of utility model

Ref document number: 6111986

Country of ref document: JP

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R150