JP2018172981A - 予混合圧縮着火式エンジンの制御装置 - Google Patents

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Abstract

【課題】排気性能が良好に維持され且つ冷却損失が少なく抑えられた予混合圧縮着火燃焼を幅広いエンジン負荷域で実現可能な圧縮着火式エンジンの制御装置を提供する。
【解決手段】エンジン負荷が第2基準負荷T2以上となる第1領域A1_aでは、燃焼室10の中央部分の方が外周部分よりも燃焼開始直前の燃料濃度が高くなるように圧縮行程後半に燃焼室10内に燃料を噴射するとともに水噴射弁57によって圧縮行程後半に燃焼室10内に水を噴射させる一方、エンジン負荷が第2基準負荷T2未満の第2領域A1_bでは、燃焼室10の中央部分の方が外周部分よりも燃焼開始直前の燃料濃度が高くなるように圧縮行程後半に燃焼室10内に燃料を噴射する一方水噴射弁57による水の噴射を停止する。
【選択図】図14

Description

本発明は、燃料を空気と混合しつつ自着火させる予混合圧縮着火燃焼が可能なエンジンに関する。
従来より、ガソリンエンジン等において、予め混合された燃料と空気の混合気を燃焼室内で自着火させるいわゆる予混合圧縮着火燃焼を実施することが検討されている。予混合圧縮着火燃焼では、圧縮比を高めることができるため、および、燃焼温度を低く抑えることができ冷却損失を低減できるため、熱効率つまり燃費性能を高めることができる。
しかしながら、予混合圧縮着火燃焼においても、燃焼時には燃焼室の壁面を介して高温の燃焼ガスから外部に熱エネルギーが放出されることで比較的大きな冷却損失が生じる。そのため、燃費性能をさらに高めるべく、この冷却損失を低減することが望ましい。
これに対して、例えば、特許文献1には、燃焼室内に導入する吸気にオゾンを添加して燃焼室の中央付近に形成された混合気の燃焼速度を速くして、火炎が燃焼室の壁面に到達する前に燃焼を終了させるようにしたエンジンが開示されている。このエンジンによれば、燃焼室の壁面と高温の火炎とが接触してこの火炎から燃焼室の壁面を介して熱エネルギーが外部に放出されるのを抑制することができる。
特開2013−194712号公報
予混合圧縮着火燃焼は前記のように空気と燃料との混合気が自着火する燃焼である。そのため、特許文献1の装置を用いて混合気の燃焼速度を早くしても、混合気が燃焼室の壁面近傍に存在している状態では燃焼ガスと壁面との接触を十分に回避できない。
これに対して、混合気を燃焼室の壁面から離れた一部の領域に形成することが考えられるが、この場合には、エンジン負荷が高くなって燃焼室に供給される燃料の量が多くなると燃焼室の中央等の燃料濃度が過度に高くなる結果、CO、HCやスート(煤)が増大して排気性能が悪化するおそれがある。
本発明は、前記のような事情に鑑みてなされたものであり、排気性能が良好に維持され且つ冷却損失が少なく抑えられた予混合圧縮着火燃焼を幅広いエンジン負荷域で実現可能な圧縮着火式エンジンの制御装置を提供することを目的とする。
前記課題を解決するためのものとして、本発明は、気筒に往復動可能に収容されたピストンと、気筒の壁面とピストンとにより画成された燃焼室にガソリンを含有する燃料を噴射する燃料噴射弁と、燃焼室に水を噴射する水噴射弁とを備え、前記燃料噴射弁から噴射された燃料を空気と混合しつつ自着火により燃焼させる予混合圧縮着火燃焼が可能なエンジンを制御する装置であって、前記燃料噴射弁からの燃料の噴射量および噴射タイミングを制御する燃料噴射制御部と、前記水噴射弁からの水の噴射量および噴射タイミングを制御する水噴射制御部とを備え、エンジン負荷が所定の第1基準負荷未満かつ第2基準負荷以上の第1領域でエンジンが運転されているとき、前記燃料噴射制御部および前記水噴射制御部は、前記燃焼室の中央部分の方が外周部分よりも燃焼開始直前の燃料濃度が高くなるように圧縮行程後半に前記燃料噴射弁から燃料を噴射させるとともに、圧縮行程後半に前記水噴射弁から水を噴射させ、エンジン負荷が前記第2基準負荷未満の第2領域でエンジンが運転されているとき、前記燃料噴射制御部および前記水噴射制御部は、前記燃焼室の中央部分の方が外周部分よりも燃焼開始直前の燃料濃度が高くなるように圧縮行程後半に前記燃料噴射弁から燃料を噴射させるとともに、前記水噴射弁からの水噴射を停止する、ことを特徴とする予混合圧縮着火式エンジンの制御装置を提供する(請求項1)。
本発明によれば、エンジン負荷が第1基準負荷未満であって燃料噴射量が少ない領域において、圧縮行程の後半という燃焼が開始される時期に比較的近いタイミングで燃料噴射が実行されるので、噴射量が少なく燃料のペネトレーションが弱いこととの相乗効果により、燃料が自着火する前の時点で燃焼室の壁面まで飛翔する燃料の量を少なく抑えてこの壁面近傍の燃料濃度を少なくすることができる。従って、予混合圧縮着火燃焼を実施しながら、燃焼室の壁面近傍での燃焼ガスの生成を抑制することができ壁面を介して燃焼ガスから外部に放出されるエネルギーつまり冷却損失を効果的に低減できる。
ただし、このように燃焼室の壁面から離間するように燃料を偏在させると、エンジン負荷が高く燃料噴射量が多い運転条件では混合気が過剰にリッチ(燃料濃度が高い状態)になりHC、CO、スートの発生量が増大するおそれがある。
これに対し、本発明では、エンジン負荷の高い第1領域において、圧縮行程後半に実施される水噴射によって、同じく圧縮行程後半に実施される燃料噴射により形成される混合気に水が供給されてこの水が気化し水蒸気になることで燃焼反応に寄与するOHラジカルが増加するので、当該OHラジカルによる強力な酸化作用により、HC、CO、スート炭素(C)の酸化を促進してこれらのエンジン外部への排出を抑制することができる。従って、本発明によれば、エンジン負荷の高い領域においても排気性能を良好にし、且つ、冷却損失の低減が可能な予混合圧縮燃焼を実現することができる。つまり、本発明によれば、排気性能が良好でかつ冷却損失を効果的に低減できる予混合圧縮燃焼をエンジン負荷がより高い領域まで実現することが可能となる。
ここで、燃焼室に水を供給すれば水の気化潜熱によって燃焼室内の温度が低下して混合気が自着火しにくくなるおそれがある。これに対して、本発明では、エンジン負荷が低いことに伴って特に燃焼室の温度が低くなる第2領域において水噴射を停止している。そのため、第2領域でも適正な予混合圧縮着火燃焼を実現することができる。
前記構成において、エンジンに吸入される吸気を過給可能な過給機を備え、前記第1領域での運転時、前記過給機による過給が行われるのが好ましい(請求項2)。
この構成によれば、過給によって燃焼室内により多くの空気が導入されることで第1領域において未燃HC等の生成をさらに低減することができる。
前記構成において、前記第1領域での運転時、前記水噴射制御部は、圧縮行程後半且つ前記燃料噴射制御弁による燃料噴射の終了後に前記水噴射弁から水を噴射させるのが好ましい(請求項3)。
この構成によれば、圧縮上死点に近く筒内圧(燃焼室内の圧力)が高いために噴霧の飛翔距離が短く抑えられるタイミングで水が噴射される。そのため、燃料よりも気化しにくくペネトレーションが高くなりやすい水の拡散領域が、燃料の拡散領域に対して過度に広くなるのを抑制でき、燃料とOHラジカルとの接触および反応を促進できる。
前記構成において、前記水噴射弁の噴射圧を変更可能な水噴射圧変更装置を備え、前記第1領域での運転時、前記水噴射制御部は、エンジン回転数が高い方が前記水噴射弁の噴射圧が高くなるように前記水噴射圧変更装置を制御するのが好ましい(請求項4)。
この構成によれば、水の噴射量を所定量確保しながらエンジン回転数の増大に伴って水噴射の噴射期間(クランク角における期間)が過剰に長くなるのを回避できる。従って、エンジン回転数の大小によらず、水噴射の噴射開始時期と水噴射の終了時期とを適切な時期に維持することができる。つまり、水噴射の開始時期が早くなること伴って水の拡散領域が広がるのを抑制することができるとともに、水噴射の終了時期が遅くなることに伴って噴射された水が燃焼開始までに気化し、水蒸気となる時間が短くなるのを抑制できる。そして、これにより、エンジン回転数の大小によらず、燃料とOHラジカルとの接触および反応を促進できる。
前記構成において、前記第1領域での運転時、前記燃料噴射制御部は、前記燃料噴射弁から噴射された燃料が前記キャビティの外周縁を指向するように燃料を噴射する第1噴射と、当該第1噴射の終了後に燃料を噴射する第2噴射と、当該第2噴射が終了してから圧縮上死点までの間に燃料を噴射する第3噴射とが、前記混合気の燃焼が開始する前に実施され、且つ、前記第2噴射の噴射期間が、前記第1噴射の噴射期間および第3噴射の噴射期間よりも長くなるように、前記燃料噴射弁を制御するのが好ましい(請求項5)。
このようにすれば、前記のように構成された第1噴射と第2噴射と第3噴射とを実施するという簡単な構成で、燃焼室の外周部分、中央部分、上部といった互いに異なる空間にそれぞれ各噴射により供給された燃料を偏在させることができる。従って、第1領域において、噴射に係る燃料噴霧が燃焼室の壁面に付着するのを抑制しながら燃焼室内に燃料濃度が過度にリッチな混合気が形成されるのを抑制することができる。
以上説明したように、本発明の予混合圧縮着火式エンジンによれば、排気性能を良好にしつつ冷却損失を小さくすることのできる予混合圧縮着火燃焼を幅広いエンジン負荷域で実現することができる。
本発明の一実施形態にかかる予混合圧縮着火式エンジンの全体構成を示す図である。 エンジン本体の概略断面図である。 燃料噴射弁の概略断面図である。 エンジンの制御系統を示すブロック図である。 エンジンの運転領域を示す図である。 低負荷領域における燃料および水の噴射パターンと熱発生率とを示した図である。 第1燃料噴射の燃料噴霧の様子を模式的に示した図である。 エンジン負荷と、第1、第2、第3燃料噴射の各噴射タイミングとの関係を示した図である。 第1燃料噴射終了後の燃焼室内の様子を模式的に示した図である。 第2燃料噴射実施時の燃焼室内の様子を模式的に示した図である。 第2燃料噴射の燃料噴霧が偏在している様子を模式的に示した図である。 第3燃料噴射終了後の燃焼室内の燃料噴霧の様子を模式的に示した図である。 第1領域におけるエンジン回転数と水噴射の噴射圧との関係を示したグラフである。 低負荷領域における、水噴射圧、噴射水の量、平均A/F、水の噴射タイミングと、エンジン負荷との関係を示したグラフである。
(1)エンジンの全体構成
図1および図2は、本発明の制御装置が適用された予混合圧縮着火式エンジン(以下、単にエンジンともいう)の好ましい実施形態を示す図である。本図に示されるエンジンは、走行用の動力源として車両に搭載された4サイクルのガソリンエンジンであり、列状に並ぶ4つの気筒2を含む直列多気筒型のエンジン本体1と、エンジン本体1に導入される吸気が流通する吸気通路20と、エンジン本体1から排出される排気が流通する排気通路30と、排気通路30を流通する排気の一部を吸気通路20に還流するEGR装置40と、排気通路30を流通する排気から取り出した水をエンジン本体1の各気筒2に供給する水供給システム50と、排気のエネルギーを利用して吸気を過給する過給機70とを備えている。
エンジン本体1は、図2に示すように、気筒2が内部に形成されたシリンダブロック3と、気筒2を上から塞ぐようにシリンダブロック3の上面に取り付けられたシリンダヘッド4と、各気筒2にそれぞれ往復動可能に収容されたピストン5とを有している。
ピストン5の上方には燃焼室10が画成されている。燃焼室10には、後述する燃料噴射弁11から噴射される燃料(ガソリンを主成分とする燃料)が供給される。そして、供給された燃料が燃焼室10で燃焼し、その燃焼による膨張力で押し下げられたピストン5が上下方向に往復運動するようになっている。
ピストン5の下方には、エンジン本体1の出力軸であるクランク軸15が配設されている。クランク軸15は、ピストン5とコネクティングロッド14を介して連結され、ピストン5の往復運動に応じて中心軸回りに回転する。シリンダブロック3には、クランク軸15の回転角度(クランク角)およびエンジン回転数(エンジンエンジン回転数)を検出するクランク角センサSN1が設けられている。
ピストン5の冠面(上面)5bには、その中央部をシリンダヘッド4とは反対側(下方)に凹ませたキャビティ5aが形成されている。キャビティ5aは、ピストン5が上死点まで上昇したときの燃焼室10の大部分を占める容積を有するように形成されている。
シリンダヘッド4には、図外の燃料ポンプから供給されるガソリンを主成分とする燃料を各気筒2の燃焼室10に噴射する燃料噴射弁11が、気筒2ごとに1つずつ(合計4つ)設けられている。各燃料噴射弁11は、その軸心が気筒2の中心軸とほぼ一致する姿勢でシリンダヘッド4に取り付けられている。なお、図1に示すように、燃料噴射弁11の上方には、前記燃料ポンプから供給された燃料を蓄圧状態で貯留する燃料レール16が設けられている。この燃料レール16に貯留された燃料は、燃料噴射弁11と同数の(4つの)分配管17を通じて各燃料噴射弁11に供給される。
図3は、燃料噴射弁11の概略断面図である。図3に示すように、燃料噴射弁11は、先端(燃焼室10側の端部)にノズル口11bが形成された燃料管11cと、燃料管11cの内側に配設されてノズル口11bを開閉する外開き弁11aとを有する。燃料噴射弁11の先端部つまりノズル口11bは、ピストン5が圧縮上死点にあるときに当該ピストン5のキャビティ5aを臨むような位置に配置されている。
外開き弁11aは、印加された電圧に応じて変形するピエゾ素子11dに接続されている。外開き弁11aは、ピエゾ素子11dに電圧が印加されていない状態でノズル口11bと当接してノズル口11bを閉弁し、ピエゾ素子11dが電圧の印加に伴って変形することで、ノズル口11bから先端側に突き出してノズル口11bを開弁する。
ノズル口11bおよび外開き弁11aのうちノズル口11bと当接する部分は、先端側ほど径が大きくなるテーパ状を有しており、ノズル口11bからは、ノズル口11bの中心軸すなわち気筒2のほぼ中心軸を中心として、燃料が放射状(コーン状、詳しくはホローコーン状)に噴射される。例えば、このコーンのテーパ角は90°〜100°(ホローコーンにおける内側の中空部のテーパ角は70°程度)となっている。
外開き弁11aの開弁期間およびリフト量(リフト量は、外開き弁11aの閉弁位置からの突出量でありノズル口11bの開口量である)は、ピエゾ素子11dへの電圧の印加期間および電圧の大きさに応じて変化する。
シリンダヘッド4には、さらに燃焼室10内に形成された燃料と空気の混合気を点火するための点火プラグ81が取り付けられている。点火プラグ81は、その先端が、燃料噴射弁11の側方であって後述する吸気弁8と排気弁9との間に位置するように配置されている。本実施形態では、燃料としてガソリンを用いた場合に一般的に採用される火花点火燃焼(混合気を火花点火により強制着火させる燃焼)ではなく、燃料と空気との混合気をピストン5による圧縮に伴い自着火させるHCCI燃焼(予混合圧縮着火燃焼)がエンジンの全ての運転領域において実行されるようになっている。このため、本実施形態のエンジンでは基本的に点火プラグは不要であるが、例えばエンジンが冷間始動された直後のような自着火が困難な状況下においてHCCI燃焼に代えて火花点火燃焼を実行したり、あるいは暖機後であってもHCCI燃焼の促進のためにいわゆるスパークアシストを実行することがあり、そのような目的のために点火プラグ81が設けられている。
前記のようなHCCI燃焼を可能にするために、本実施形態のエンジンでは、火花点火燃焼が採用される一般的なガソリンエンジンと比べて、各気筒2の圧縮比が高めに設定されている。具体的に、本実施形態では、各気筒2の幾何学的圧縮比、つまり、ピストン5が上死点にあるときの燃焼室10の容積とピストン5が下死点にあるときの燃焼室10の容積との比が、16以上35以下、より好ましくは18以上30以下(例えば25程度)に設定されている。
図2に示すように、シリンダヘッド4には、気筒2ごとに、吸気通路20から供給される空気を燃焼室10に導入するための吸気ポート6と、燃焼室10で生成された排気を排気通路30に導出するための排気ポート7と、吸気ポート6の燃焼室10側の開口を開閉する吸気弁8と、排気ポート7の燃焼室10側の開口を開閉する排気弁9とがそれぞれ設けられている。
図1に示すように、吸気通路20は、単管状の共通吸気管22と、共通吸気管22の下流端から枝分かれするように形成された吸気マニホールド21とを有している。吸気マニホールド21の各枝管は、各気筒2の燃焼室10と吸気ポート6を介して連通するようにエンジン本体1(シリンダヘッド4)に接続されており、共通吸気管22の下流端部は、吸気マニホールド21の枝管の集合部(各枝管の上流端どうしが集合した部分)に接続されている。なお、本明細書において、吸気通路20における上流(または下流)とは、吸気通路20を流通する吸気の流れ方向の上流(または下流)のことをいう。
共通吸気管22には、吸気中に含まれる異物を除去するエアクリーナ25と、共通吸気管22を流通する吸気の流量を調整する開閉可能なスロットル弁27とが、上流側からこの順に設けられている。共通吸気管22におけるスロットル弁27よりも下流側には、共通吸気管22を流通する吸気の流量を検出するエアフローセンサSN2が設けられている。
なお、本実施形態のエンジンでは全ての運転領域でHCCI燃焼が実行されるため、スロットル弁27は、減速運転時やエンジン停止時等を除いて、基本的に全開相当の開度に維持される。
共通吸気管22には、スロットル弁27よりも下流側の部分に、過給機70を構成するコンプレッサ71が設けられている。コンプレッサ71は後述するタービン72により駆動されて共通吸気管22を流通する空気を過給する。
排気通路30は、単管状の共通排気管32と、共通排気管32の上流端から枝分かれするように形成された排気マニホールド31とを有している。排気マニホールド31の各枝管は、各気筒2の燃焼室10と排気ポート7を介して連通するようにエンジン本体1(シリンダヘッド4)に接続されており、共通排気管32の上流端部は、排気マニホールド31の枝管の集合部(各枝管の下流端どうしが集合した部分)に接続されている。なお、本明細書において、排気通路30における上流(または下流)とは、排気通路30を流通する排気の流れ方向の上流(または下流)のことをいう。
共通排気管32には、タービン72、触媒装置35、熱交換器54、およびコンデンサ51が、上流側からこの順に設けられている。
タービン72は、排気のエネルギーを受けてコンプレッサ71を回転駆動するものであり、コンプレッサ71と連結された状態で共通排気管32に設けられている。共通排気管32には、タービン72をバイパスするバイパス通路73およびバイパス通路73を開閉するウエストゲートバルブ74が設けられている。ウエストゲートバルブ74の閉弁時、エンジンから排出された排気はタービン72に流入してコンプレッサ71を回転させる。一方、ウエストゲートバルブ74の開弁時は、排気は主としてバイパス通路73に流入し、タービン72を迂回する。
触媒装置35は、排気中に含まれる有害成分を浄化するためのものであり、三元触媒、酸化触媒を含む。触媒装置35は、NOx触媒を内蔵してもよい。また、このような触媒に加えて、排気中に含まれるPMを捕集するためのフィルターが含まれていてもよい。
コンデンサ51は、排気中に含まれる水蒸気を凝縮させるものであり、熱交換器54は、コンデンサ51で生成された凝縮水を昇温させるものである。これら熱交換器54およびコンデンサ51は、水供給システム50の一部を構成する要素である(詳細は後述する)。
EGR装置40は、共通排気管32と共通吸気管22とを連通するEGR通路41と、EGR通路41に設けられたEGR弁42およびEGRクーラ43とを有している。
EGR通路41は、共通排気管32におけるタービン72よりも上流側の部分と、共通吸気管22におけるコンプレッサ71よりも下流側の部分とを接続している。EGR弁42は、EGR通路41を通じて共通排気管32から共通吸気管22に還流される排気(EGRガス)の流量を調整するための開閉弁である。EGRクーラ43は、EGR通路41を流通するEGRガスを所定の冷媒(例えばエンジンの冷却水)との熱交換により冷却する熱交換器である。
(2)水供給システムの具体的構成
図1に示すように、水供給システム50は、上述したコンデンサ51および熱交換器54と、コンデンサ51で生成された凝縮水を貯留する水タンク52と、水タンク52に貯留された凝縮水を熱交換器54に向けて圧送する送水ポンプ53と、熱交換器54で昇温された水を加圧する高圧ポンプ58と、熱交換器54で加熱され且つ高圧ポンプ58で加圧された高温・高圧の水を保温しつつ蓄圧状態で貯留する蓄圧レール56と、蓄圧レール56に貯留された水を各気筒2の燃焼室10に供給するために気筒2ごとに1つずつ(合計4つ)設けられた水噴射弁57と、コンデンサ51と水タンク52とを接続する第1水配管61と、水タンク52と熱交換器54とを接続する第2水配管62と、熱交換器54と蓄圧レール56とを接続する第3水配管63と、蓄圧レール56と各水噴射弁57とを接続する複数の(4つの)分配管64とを有している。
コンデンサ51は、共通排気管32を流通する排気中に含まれる水蒸気を凝縮させるための熱交換器であり、所定の冷媒(例えばエンジンの冷却水)との熱交換により排気を冷却することで、当該排気中に含まれる水蒸気を凝縮させる。コンデンサ51で生成された凝縮水は、第1水配管61を通じて下流側に流出し、水タンク52内に貯留される。
送水ポンプ53は、第2水配管62の途中部に設けられており、水タンク52に貯留された水を熱交換器54に圧送する。
熱交換器54は、送水ポンプ53から供給された水を、コンデンサ51に流入する前の排気との熱交換により加熱するように設けられている。詳細な図示は省略するが、熱交換器54は、共通排気管32のうち触媒装置35とコンデンサ51との間に位置する部分に挿入された小径且つ長尺形状の細管54aと、この細管54aが挿入される部分の共通排気管32を覆うように設けられた保温ケース54bとを有している。
高圧ポンプ58は第3水配管63と蓄圧レール56とを連結する部分に設けられている。高圧ポンプ58は、熱交換器54において昇温された水を加圧して蓄圧レール56に導入する。
熱交換器54で加熱され且つ高圧ポンプ58により加圧された水は、第3水配管63を通じて下流側に送り出され、蓄圧レール56に貯留される。蓄圧レール56には、内部の水の圧力を検出する水圧センサSN3が設けられている。
蓄圧レール56に貯留された水は、前記のような熱交換器54による加熱と高圧ポンプ58による加圧とを経て、その温度/圧力が100℃以上/20MPa以上にまで高められている。圧力が20MPa以上と高いため、100℃以上に加熱されても水は沸騰せず、液体の状態を維持している。
このような状態で蓄圧レール56に貯留された水は、必要時に水噴射弁57を通じて各気筒2の燃焼室10に噴射される。ここで、水噴射弁57の噴射圧は蓄圧レール56に貯留された水の圧力と同じである。従って、水噴射弁57からは、100℃以上の温度と20MP以上の圧力とを有した高温・高圧の液体である。
水噴射弁57は、蓄圧レール56に貯留された水を燃焼室10内に噴射する。水噴射弁57は、気筒2の中心軸に対しやや傾いた姿勢で、燃料噴射弁11と隣接するように設けられている。水噴射弁57は、ピストン5のキャビティ5aをやや斜め上方から臨むように燃焼室10の天井面中央付近において燃焼室10に露出する先端部を有し、当該先端部に設けられた複数の噴孔(図示省略)を通じて放射状に水を噴射することが可能である。
(3)エンジンの制御系統
図4は、エンジンの制御系統を示すブロック図である。本図に示されるPCM(パワートレイン・コントロール・モジュール、制御部)100は、エンジンを統括的に制御するためのマイクロプロセッサであり、周知のCPU、ROM、RAM等から構成されている。
PCM100には各種センサによる検出信号が入力される。例えば、PCM100は、上述したクランク角センサSN1、エアフローセンサSN2、および水圧センサSN3と電気的に接続されており、これらのセンサによって検出された情報(つまりクランク角、筒内圧力、吸気流量、水圧等)が電気信号としてPCM100に逐次入力されるようになっている。
また、車両には、当該車両を運転するドライバーにより操作されるアクセルペダル(図示省略)の開度を検出するアクセルセンサSN4が設けられており、このアクセルセンサSN4による検出信号もPCM100に入力される。
PCM100は、前記各センサからの入力信号に基づいて種々の判定や演算等を実行しつつエンジンの各部を制御する。すなわち、PCM100は、燃料噴射弁11、スロットル弁27、EGR弁42、送水ポンプ53、水噴射弁57、およびウエストゲートバルブ74等と電気的に接続されており、演算結果等に基づいてこれらの機器にそれぞれ制御用の信号を出力する。
前記制御に関する機能的要素として、PCM100は、燃料噴射制御部101と、水噴射制御部102と、EGR制御部103と、過給圧制御部104とを含んでいる。
燃料噴射制御部101は、クランク角センサSN1により検出されるエンジンエンジン回転数と、アクセルセンサSN4の検出値(アクセル開度)から特定されるエンジン負荷(要求トルク)と、エアフローセンサSN2により検出される吸気流量とに基づいて、燃料噴射弁11からの燃料の噴射量および燃料噴射のタイミングを決定し、その決定に従って燃料噴射弁11を制御する。
水噴射制御部102は、エンジン負荷およびエンジン回転数等に基づいて水噴射弁57からの水の噴射量および水の噴射タイミングを決定し、その決定に従って水噴射弁57を制御する。また、水噴射制御部102は、エンジン負荷およびエンジン回転数等に基づいて水噴射弁57の噴射圧(以下、適宜、噴射水圧という)を決定し、その決定に従って高圧ポンプ58を制御する。例えば、水噴射制御部102は、水圧センサSN3により検出される蓄圧レール56の内部圧力(蓄圧レール56内に貯留されている水の圧力)に基づいて高圧ポンプ58を駆動する。
EGR制御部103は、燃焼室10内の全ガス量に占めるEGRガスの割合であるEGR率の目標値(目標EGR率)を前記エンジン負荷およびエンジン回転数等に基づいて決定し、その目標EGR率に対応した量のEGRガスが気筒2に導入されるようにEGR弁42を制御する。なお、目標EGR率としては、適正なHCCI燃焼が達成されるようなEGR率がエンジンの運転条件ごとに予め定められている。
(4)運転条件に応じた制御
次に、PCM100により実施される制御内容について説明する。
図5は、横軸をエンジン回転数、縦軸をエンジン負荷とした制御マップであり、本実施形態では、燃料噴射弁11の制御の相違により、エンジンの運転領域が、エンジン負荷が予め設定された第1基準負荷T1未満の低負荷領域A1と、エンジン負荷が第1基準負荷T1以上の中負荷領域A2とに大別されている。また、水噴射弁57の制御の相違により、低負荷領域A1が、エンジン負荷が第1基準負荷T1より小さい値に予め設定された第2基準負荷T2未満の第2領域A1_bと、第2基準負荷T2以上の第1領域A1_aとに分けられている。本発明は、低負荷領域A1での制御を特徴とするものであり、以下では、低負荷領域A1での制御内容について説明する。
(4−1)低負荷領域全体の制御
低負荷領域A1全体で実施される制御について説明する。
低負荷領域A1では、混合気の発熱量が小さく燃焼温度が比較的低いために燃焼により生成されるNOx(いわゆるRaw NOx)が少なく抑えられる。そのため、この領域A2では、三元触媒35によりNOxを浄化させる必要がなく、空燃比を三元触媒によるNOx浄化が可能な理論空燃比にする必要がない。そこで、中負荷領域A2では、混合気の空燃比がリーンすなわち空気過剰率λ>1とされる。
本実施形態では、低負荷領域A1において過給を行うことで混合気の空燃比を十分にリーンに(燃料濃度を小さく)する。つまり、低負荷領域A1では、過給圧制御部104は、ウエストゲートバルブ74を開弁する。これにより、排気はタービン72に流入し、コンプレッサ71が駆動されて過給が行われる。
また、低負荷領域A1では、EGRガスが気筒2内に還流される。すなわち、EGRバルブ52が開弁されて、排気通路30内の排ガスの一部がEGRガスとして吸気通路20に還流される。
また、低負荷領域A1では、圧縮行程の後半(圧縮上死点前(BTDC)90°CA〜圧縮上死点(TDC)まで)に燃料噴射弁11によって燃焼室10内に燃料が噴射される。これは、燃焼室10の中央部分に燃料を偏在させて冷却損失を小さく抑えるためである。
具体的に、圧縮行程の後半に燃料噴射を行えば、燃料が噴射されてから燃料が自着火するまでの時間を短く抑えて燃料の拡散を抑制することができる。また、圧縮行程の後半は筒内圧(燃焼室10内の圧力)が高いため、燃料のペネトレーションを弱くすることができ、これによっても燃料の拡散を抑制することができる。従って、前記のように圧縮行程の後半に燃料噴射を実施すれば、燃料を燃焼室10の中央部分に偏在させて燃焼室10の壁面近傍の燃料濃度を小さくすることができる。そして、これにより、燃焼室10の壁面近傍での燃焼ガスの量を少なく抑えて、燃焼ガスから壁面を介して外部に放出される熱エネルギーを小さくすることができる。つまり、燃焼室10の壁面に燃料濃度が小さいあるいは燃料を含まないガス層を形成することができ冷却損失を小さくできる。
さらに、本実施形態では、低負荷領域A1において、前記のように燃料濃度が小さいガス層を燃焼室10の壁面付近に形成しながら、燃料濃度が過度に高い領域が燃焼室10内に形成されないように次のような噴射パターンで燃料噴射を行う。
(噴射パターンの詳細)
図6は、低負荷領域A1における燃料噴射パターン、後述する水噴射パターン、熱発生率を示した図である。図6に示すように、低負荷領域A1において、本実施形態では、圧縮行程後半に燃料噴射弁11からすべての燃料(1燃焼サイクルで噴射される総燃料量)が3回に分けて噴射される。これら燃料は空気と混合し、前記のように、圧縮上死点付近において自着火する。
図7は、最初に実施される第1燃料噴射Q1の燃料噴霧F1の様子を模式的に示した図である。図7に示すように、第1燃料噴射Q1は、第1燃料噴射Q1により噴射された燃料の噴霧F1(以下、適宜、第1燃料噴霧F1という)がキャビティ5aの外周縁5dを指向するタイミングで実施される。つまり、第1燃料噴霧F1の噴霧軸(噴霧の飛翔方向に延びる噴霧の中心軸)L1上にキャビティ5aの外周縁5dが位置するタイミングで、第1燃料噴射Q1は実施される。本実施形態では、第1燃料噴射Q1の開始時点において第1燃料噴霧F1の噴霧軸L1上にキャビティ5aの外周縁5dが位置するように、第1燃料噴射Q1が実施される。なお、第1燃料噴射Q1の噴射タイミグは、第1燃料噴霧F1の噴霧軸L1上にキャビティ5aの外周縁5dが位置するタイミングが第1燃料噴射Q1の実施期間に含まれるように設定されればよく、第1燃料噴射Q1の噴射終了時点で第1燃料噴霧F1の噴霧軸L1上にキャビティ5aの外周縁5dが位置するように設定されてもよい。さらに、前記タイミングは、第1燃料噴霧F1の噴霧軸L1上に厳密にキャビティ5aの外周縁5dが位置するように設定される必要はなく、キャビティ5aの外周縁5d付近が第1燃料噴霧F1の噴霧軸L1上に位置すればよい。例えば、第1燃料噴射Q1は、圧縮上死点前40°CA〜圧縮上死点前70°CAの間に開始される。
図6に示すように、第2燃料噴射Q2は、第1燃料噴射Q1の終了後所定のインターバルtint1をあけて開始される。例えば、第2燃料噴射Q2は第1燃料噴射Q1が終了してから10°CA程度後に開始される。
第2燃料噴射Q2の噴射期間dt2は第1燃料噴射Q1の噴射期間dt1よりも長く、第2燃料噴射Q2の燃料噴射量Qm2は第1燃料噴射Q1の燃料噴射量Qm1よりも多くなっている。
第3燃料噴射Q3は、第2燃料噴射Q2の終了後所定のインターバルtint2をあけて開始される。例えば、第3燃料噴射Q3は、第2燃料噴射Q2が終了してから10°CA程度後に開始される。
第3燃料噴射Q3の噴射期間dt3は第2燃料噴射Q2の噴射期間dt2よりも短く設定されており、第3燃料噴射Q3の燃料噴射量Qm3は第2燃料噴射Q2の燃料噴射量Qm2よりも少なくなっている。
さらに、第3燃料噴射Q3の噴射期間dt3は第1燃料噴射の噴射期間dt1以下に設定されている。つまり、各燃料噴射Q1、Q2,Q3の噴射期間および燃料噴射量の関係は、第3燃料噴射Q3の噴射期間dt3≦第1燃料噴射Q1の噴射期間dt1<第2燃料噴射Q2の噴射期間dt2、および、第3燃料噴射Q3の燃料噴射量Qm3≦第1燃料噴射Q1の燃料噴射量Qm1<第2燃料噴射Q2の燃料噴射量Qm2となっている。本実施形態では、第1燃料噴射Q1の燃料噴射量Qm1、第2燃料噴射Q2の燃料噴射量Qm2、第3燃料噴射Q3の燃料噴射量Qm3の比率は、この順で、3:5:2に設定されている。
このように、低負荷領域A1では、各燃料噴射Q1、Q2、Q3が前記の関係を満たしつつ、各燃料噴射Q1、Q2、Q3の燃料噴射量Qm1、Qm2、Qm3を合わせた総燃料噴射量がアクセル開度等から求められるエンジン負荷の要求値に対応した燃料量とされる。
ここで、エンジン負荷が増加すると総燃料噴射量も増加する。これに対応して各燃料噴射Q1、Q2、Q3の燃料噴射量Qm1、Qm2、Qm3および噴射期間dt1、dt2、dt3は、前記比率が維持されるように総燃料噴射量に比例して増大される。一方、各燃料噴射Q1、Q2、Q3の噴射タイミングは、図8に示すように変更される。図8は、横軸をエンジン負荷とし縦軸に燃料噴射タイミングを示した図であって、各燃料噴射Q1、Q2、Q3の噴射開始時期SOIと噴射終了時期EOIとを示している。
図8に示すように、各燃料噴射Q1、Q2、Q3において、それぞれ、エンジン負荷が高くなるほどその噴射開始時期SOI1、SOI2、SOI3が進角され、且つ、その噴射終了時期EOI1、EOI2、EOI3が遅角されて、各噴射期間dt1、dt2、dt3および燃料噴射量Qm1、Qm2、Qm3は大きくされる。
ただし、第1燃料噴射Q1では、エンジン負荷の増大に対する噴射開始時期SOI1の進角量は、エンジン負荷の増大に対する噴射終了時期EOI1の遅角量よりも大きくされる。一方、第2燃料噴射Q2では、エンジン負荷の増大に対する噴射開始時期SOI2の進角量はと噴射終了時期EOI2の遅角量とはほぼ同等とされる。そして、第3燃料噴射Q3では、エンジン負荷の増大に対する噴射開始時期SOI3の進角量が、エンジン負荷の増大に対する噴射終了時期EOI3の遅角量よりも小さくされる。
このように、本実施形態では、エンジン負荷が増大しても第1燃料噴射Q1の噴射終了時期EOI1の遅角量が比較的小さくされ、第3燃料噴射Q3の噴射開始時期SOI3の進角量が比較的小さくされ、第2燃料噴射Q2の噴射開始時期SOI2および噴射終了時期EOI2が同程度に進角および遅角されることで、エンジン負荷の大小によらず各燃料噴射Q1、Q2、Q3のインターバルtint1、tint2、tint3は長く確保される。
次に、以上の噴射パターンの作用について説明する。
図9は、燃焼室10内における第1燃料噴霧F1の様子を模式的に示した図である。第1燃料噴射Q1の燃料噴霧F1は、噴射直後は破線で示すようにノズル口11bから下方および外周側に移動する。しかしながら、ピストン5の上昇に伴ってピストン冠面5b付近には上昇流U1が生じている。そのため、第1燃料噴射Q1の燃料噴霧F1は、この上昇流U1の影響を受けて図10の鎖線に示すように燃焼室10の外周側に向かおうとする。しかし、圧縮上死点に近づくと、今度は、燃焼室10内にその外周部分のいわゆるスキッシュエリア(ピストン冠面5bのうちキャビティ5aよりも外周側の部分と燃焼室10の天井面とに挟まれた領域)10aからキャビティ5a側に向かういわゆるスキッシュ流U2が発生する。そのため、外周側に向かいつつあった第1燃料噴射Q1の燃料噴霧F1は、このスキッシュ流U2によって内周側に押されてキャビティ5aの内側且つキャビティ5aの外周部分に導入される。このようにして、第1燃料噴霧F1の多くは燃焼室10の外周部分に偏在することになる。
また、第1燃料噴射Q1の燃料噴射量は少なく、そのペネトレーションは小さい。そのため、第1燃料噴射Q1は比較的早期であって筒内圧が比較的低い状態で実施されるが、1燃料噴射Q1の燃料噴霧F1の飛翔距離は短く抑えられ、この燃料噴霧F1の燃焼室10の壁面への付着は抑制される。
第2燃料噴射Q2は、その実施時においてピストン5がある程度上昇していることで、その燃料噴霧F2はキャビティ5a内に向かう。しかしながら、キャビティ5aの外周部分には第1燃料噴霧F1が既に偏在しているため、この外周部分にさらに燃料噴霧F2が供給されるとこの部分の燃料濃度が高くなるとともに、第1燃料噴射Q1の燃料噴霧F1が第2燃料噴射Q2の燃料噴霧F2によって外周側および下側に押されて燃焼室10の壁面に付着するおそれがある。
これに対して、第2燃料噴射Q2の燃料噴射量Qm2が多くさえて燃料噴霧F2のペネトレーションおよび速度が高められている。そのため、図10に示すように、第2燃料噴射Q2の燃料噴霧F2で囲まれた部分(ホローコーンの内側部分)Xに高い負圧を生成させることができ、第2燃料噴射Q2の燃料噴霧F2を、燃焼室10の中央側に引き寄せて、図11に示すように第1燃料噴霧F1が存在する領域とは異なる領域、具体的には、燃焼室10の中央部分に偏在させることができる。そのため、第2燃料噴射Q2の燃料噴霧F2によって燃料濃度の高い混合気が形成されるのを抑制できる。
ここで、ペネトレーションを高くすれば第2燃料噴射Q2の燃料噴霧F2とピストン冠面5bとは接触しやすくなる。しかしながら、第2燃料噴射Q2の燃料噴霧F2は、キャビティ5aが形成された燃焼室10の中央部分であって燃料噴射弁11のノズル口11bからピストン冠面5b(キャビティ5aの底面)までの距離が長く確保された部分に向かう。そのため、燃料噴霧F2の多くをピストン冠面5bから離間させることができ、これらの接触を抑制することができる。
このように、本実施形態では、第2燃料噴射Q2の燃料噴霧F2が燃焼室10の中央部分に偏在することになる。また、第2燃料噴射Q2によって燃焼室10の壁面10a近傍に燃料濃度の高い混合気が形成されるのが、抑制される。
次に、第3燃料噴射Q3を実施するが、前記の第1燃料噴射Q1と第2燃料噴射Q2との関係と同様に、第3燃料噴射Q3の燃料噴霧F3のペネトレーションが高いと第2燃料噴射Q2の燃料噴霧F2をピストン冠面5bに向かって押し出してしまうおそれがある。
これに対して、本実施形態では、第3燃料噴射Q3の噴射期間dt3および燃料噴射量Qm3が、第2燃料噴射Q2の噴射期間dt2および燃料噴射量Qm2、さらには、第1燃料噴射Q1の噴射期間dt1および燃料噴射量Qm1よりも小さくされている。そのため、第3燃料噴射Q3の燃料噴霧F3のペネトレーションを小さく抑えることができる。特に、第3燃料噴射Q3は、圧縮上死点に近く筒内圧が高いタイミングで実施されるので、第3燃料噴射Q3のペネトレーションは十分に小さくされる。従って、第3燃料噴射Q3の燃料噴霧F3と第2燃料噴射Q2の燃料噴霧F2との干渉を抑制することができ、第2燃料噴霧F2がピストン冠面5bに向かって押し出されるのを抑制できる。また、ペネトレーションが小さいことに伴い、第3燃料噴射Q3の燃料噴霧F3は、図12に示すように燃焼室10の上部に滞留することになる。
また、前記のように第3燃料噴射Q3の燃料噴射量Qm3が小さく抑えられていることで、本実施形態では、第3燃料噴射Q3を圧縮上死点近傍で実施しながらその燃料噴霧F3を混合気の燃焼開始までに確実に気化させて適切に燃焼させることができる。
このように、本実施形態では、前記の噴射パターンで燃料を噴射することで、低負荷領域A1にて、燃焼室10の壁面付近に燃料濃度の小さいガス層を形成し、且つ、図12に示すように、第1燃料噴射Q1、第2燃料噴射Q2、第3燃料噴射Q3に係る燃料噴霧F1、F2、F3をそれぞれ異なる領域に偏在させて、局所的に燃料濃度が高い混合気が形成されるのを抑制できる。そして、この局所的に燃料濃度が高い混合気が形成されることに伴って未燃のHC、CO,スートが多量に生成されるのを抑制できる。
(4−2)第1領域の水噴射の制御
前記の噴射制御を行えば、低負荷領域A1において、基本的には、燃焼室10の壁面付近に燃料濃度の小さいガス層を形成し、さらに、燃焼室10内に局所的に燃料濃度が高い領域が形成されるのを抑制できる。しかしながら、エンジン負荷が高く燃焼室10に供給される燃料の総量が多いとやはり局所的に燃料濃度が高くなりやすい。そして、酸素不足によって未燃のHC、CO、スートの排出量が増大しやすい。
これに対して、本発明者らは、燃焼室10内に水を噴射すれば多くのOHラジカルを生成でき、排気行程が開始するまでの間にこのOHラジカルによってHC、CO、スートを酸化させてHO、COとし、HC、CO、スートの排出を効果的に低減できることを突き止めた。具体的には、燃焼室10にOHラジカルが存在すれば、燃焼中にHC、CO、スートが生成されるのを抑制できるとともに、燃焼によって生成されたHC、COを燃焼後(膨張行程中)に酸化することができ、これらの排出を抑制できる。
そこで、本実施形態では、低負荷領域A1のうちエンジン負荷が高い第1領域A1_aにおいて水噴射を実施する。つまり、水噴射弁57から燃焼室10内に水を噴射する。
ここで、前記のように、本実施形態では混合気は主としてキャビティ5aの内側(燃焼室10の中央部分)に形成される。そのため、混合気の燃焼開始時期に対して過剰に早期に水噴射を実施すると、水が燃焼室10全体に拡散してしまいOHラジカルを混合気ひいては未燃のHC等に効果的に作用させることができない。そこで、本実施形態では、図6に示すように、圧縮行程後半に水噴射Wを実施する。
また、水は燃料に比べて気化しにくいためペネトレーションが高くなって拡散しやすい。そこで、本実施形態では、水の拡散範囲が、混合気(混合気から生成される燃焼ガス)の存在範囲に対して過剰に広くならないように、燃料噴射の終了後つまり第3燃料噴射Q3の終了後に水噴射を実施して、水ひいてはOHラジカルと燃焼ガス(HC等)との反応を促進する。
また、第1領域A1_aにおいて、水噴射の噴射圧である水噴射圧は図13に示すようにエンジン回転数が高いほど高くされる。具体的には、エンジン回転数と水噴射圧の目標値との関係が予め設定されてマップ等でPCM100(水噴射制御部104)に記憶されており、PCM100はエンジン回転数に応じてこの目標値を抽出し、水圧センサSN3で検出された蓄圧レール56の圧力に基づいて前記目標値が実現されるように高圧ポンプ58を駆動する。
エンジン回転数に対してこのように水噴射圧を制御するのは、エンジン回転数の大小によらず噴射水の総量を所定量確保しながら水噴射の終了時期を同程度に抑えて、水が気化に要する時間を確保するためである。つまり、エンジン回転数が高くなるほど1クランク角あたりの時間は短くなるため、エンジン回転数が高い運転条件では噴射水の総量を所定量確保するためにエンジン回転数が低い運転条件に比べて噴射水の噴射期間を長くするか水噴射圧を高める必要がある。しかし、前記のように、噴射水の噴射開始時期を早くすると水の拡散範囲が広がってしまう。また、噴射水の噴射終了時期を遅くすると水噴射が終了してから燃焼が開始するまでの間に水が気化する時間が確保できないおそれがある。そこで、本実施形態では、前記のようにエンジン回転数が高いほど水噴射圧を高め、これにより、噴射水の噴射開始時期と終了時期とをエンジン回転数によらずに同程度として、噴射水の総量を確保しながら水の拡散範囲を小さく抑え且つ水の気化時期を確保する。水の噴射圧は、例えば、20〜50MPa程度の範囲で変更される。
なお、本実施形態では前記のように排気を利用して噴射水を昇温しているため、エンジン回転数が高くなると排気の温度が高くなるのに伴って噴射水の温度も高くなる。そして、噴射水の温度が高くなれば噴射後の水の気化時間も短縮される。ただし、排気の温度が上昇してから噴射水の温度が上昇するまでには比較的長い時間がかかる。そのため、本実施形態では、前記のように噴射水の圧力を変更することで水の気化時間を確保する。
一方、図14に示すように、第1領域A1_aでは、エンジン負荷に応じて水噴射圧は一定に維持される。図14は、低負荷領域A1における、水噴射圧、噴射水の量、平均A/F(燃焼室10内に存在する空気の総量を燃焼室10内に存在する燃料の総量でわった値)、水の噴射タイミングと、エンジン負荷との関係を示したグラフである。
図14に示すように、第1領域A1_aでは、エンジン負荷が増大するほど噴射水の量を増大させる。これは、燃料量の増大ひいては未燃HC等の増大に合わせてOHラジカルを増大させるためである。
また、第1領域A1_aでは、エンジン負荷が増大するほど水の噴射開始時期を進角側にして、水の噴射期間を長くする。これは、エンジン負荷によらず水噴射の終了時期をほぼ同じとして水の分解時間を確保しながら噴射水の量をエンジン負荷に応じて多くするためである。
ここで、図14に示すように、第2領域A1_bと第1領域A1_aとを含む低負荷領域A1全体において、エンジン負荷が高くなって燃料噴射量が増大するのに伴って平均空燃比は小さくなり(平均空気過剰率λは大きくなり)、本実施形態では、第1領域A1_aと第2領域A1_bとを区画する第2基準負荷T2における平均空気過剰率λは2.5程度となる。換言すると、本実施形態では、平均空気過剰率λが2.5未満となると局所的に燃料濃度が高い領域(例えば、空燃比で2.0以上の領域)が形成されることに伴い水噴射を実施する。
(4−3)第2領域の水噴射の制御
第1領域A1_aとは異なり第2領域A1_bではエンジン負荷が小さく燃焼室10に供給される燃料の総量が小さいため未燃のHC等が生成および排出されにくい。従って水噴射を実施する必要性は小さい。また、水噴射を実施すると水の気化潜熱によって燃焼室10の温度が低下するため、エンジン負荷が小さく混合気が自着火しにくい第2領域A1_bにおいて水噴射を実施すると混合気の適正な自着火が困難になるおそれがある。
そこで、第2領域A1_bでは、水噴射は停止する。つまり、水噴射弁57の駆動を停止する。
(5)作用効果
以上説明したとおり、本実施形態では、低負荷領域A1において、圧縮行程の後半という混合気が自着火するまでの時間が短く且つ燃料のペネトレーションを弱くすることができるタイミングで燃料を噴射することで、燃焼室10の壁面まで飛翔する燃料の量を少なく抑えてこの壁面近傍の燃料濃度を少なくすることができる。従って、燃焼ガスから燃焼室10の壁面を通じて外部に放出される熱エネルギーを少なく抑えて、冷却損失を効果的に低減することができる。
また、本実施形態では、前記のような分割噴射を行うことで、燃焼室の壁面近傍の燃料濃度を少なくしつつ燃焼室内に局所的にリッチ(燃料濃度が高い)な混合気が形成されるのを抑制することができる。従って、HC,CO,スート等の生成が少なく抑えられた予混合圧縮燃焼を実現できる。
ただし、前記説明したように、このような燃料噴射を行ってもエンジン負荷が高く燃料噴射量が多い運転条件では局所的なリッチ化を十分に抑えることができない。これに対して、本実施形態では、低負荷領域A1のうちエンジン負荷の高い第1領域A1_aにおいて水噴射を実施しており、これによって、燃焼室10内に多くのOHラジカルを生成し、このOHラジカルの強い酸化力によってHC、CO、スートを酸化してHOおよびCOにすることができる。従って、エンジン負荷が高い第1領域A1_aにおいても、エンジンから排出されるHC、CO、スートの量を少なく抑えることができる。
特に、本実施形態では、燃料噴射の終了後に水噴射を行っている。そのため、効果的に噴射水およびOHラジカルを混合気に供給することができOHラジカルとHC等との反応を促進できる。
また、本実施形態では、第1領域A1_aで過給が行われている。そのため、燃焼室10内により多くの空気を導入して、これによっても局所的なリッチ化を抑制することができ、未燃HC等の生成をさらに低減できる。
そして、このようにエンジン負荷が高くても水噴射によってHC、CO,スートの量を少なく抑えられることで、本実施形態では、エンジン負荷のより高い領域まで冷却損失を低減しながら排気性能が良好な予混合圧縮燃焼を実現することができる。
しかも、本実施形態では、エンジン負荷が低く混合気が比較的自着火し難い第2領域A1_bでは、水噴射を停止している。そのため、第2領域A1_bにおいては、噴射水の気化潜熱によって燃焼室10内の温度が低下するのを回避することができ、混合気を適切に自着火させることができる。従って、低負荷領域A1全体で適切な予混合圧縮着火燃焼を実現することができる。
(6)変形例
前記実施形態では、第1領域A1_aにて過給を行った場合について説明したが、第1領域A1_aでの過給は停止してもよい。つまり、本実施形態では、水噴射の実施によって第1領域A1_aにおいて未燃のHC等の排出を抑制することができるため、過給によってエンジンの背圧が高くなることに伴うポンピングロスが過給によって得られる冷却損失低減効果を上回る場合には、過給を停止する、あるいは、過給力を弱めるようにしてもよい。
また、前記実施形態では、第1領域A1_aにおいて前記のような分割噴射を行った場合について説明したが、圧縮行程後半に燃料噴射が実施されればよくその具体的な噴射パターンはこれに限らない。
また、前記実施形態では第1領域A1_aにおいて、において燃料噴射の後に水噴射を行った場合について説明したが、燃料噴射の前に水噴射を行ってもよい。例えば、水噴射弁57が燃焼室10の側面に設けられるいわゆるサイド噴射式の場合には、キャビティ5aの内側に水を供給するためには比較的早期に水噴射を実施する必要がある。そのため、このような場合には燃料噴射の前に水噴射を行ってもよい。ただし、前記のように、燃料噴射の後に水噴射を行えば、噴射水およびOHラジカルと混合気との反応を促進できる。
また、前記実施形態では、ガソリンと空気との混合気を圧縮して自着火させるHCCI燃焼が全ての運転領域で実行されるガソリンエンジンに本発明を適用した例について説明したが、本発明が適用可能なエンジンはこのようなエンジンに限られない。例えば、低負荷領域A1を含む一部の運転領域でHCCI燃焼が実行され且つ残りの運転領域で火花点火燃焼が実行されるガソリンエンジンや、ガソリン以外の副成分(アルコール等)が含有された燃料をHCCI燃焼させるエンジンにも本発明を適用可能である。
また、燃焼室10に噴射される水は、374.2°以上/22.12Mpa以上の超臨界水あるいはこれに温度・圧力が近い亜臨界水であってもよい。
また、前記実施形態では、排気に含まれる水を噴射水として利用した場合について説明したが、これに限らず別途外部から水を供給してこれを貯留し、この貯留された水を燃焼室10に噴射してもよい。
2 気筒
5 ピストン
10 燃焼室
11 燃料噴射弁
57 水噴射弁
60 過給機
101 燃料噴射制御部
102 水噴射制御部
A1_a 第1領域
A1_b 第2領域

Claims (5)

  1. 気筒に往復動可能に収容されたピストンと、気筒の壁面とピストンとにより画成された燃焼室にガソリンを含有する燃料を噴射する燃料噴射弁と、燃焼室に水を噴射する水噴射弁とを備え、前記燃料噴射弁から噴射された燃料を空気と混合しつつ自着火により燃焼させる予混合圧縮着火燃焼が可能なエンジンを制御する装置であって、
    前記燃料噴射弁からの燃料の噴射量および噴射タイミングを制御する燃料噴射制御部と、
    前記水噴射弁からの水の噴射量および噴射タイミングを制御する水噴射制御部を備え、
    エンジン負荷が所定の第1基準負荷未満かつ第2基準負荷以上の第1領域でエンジンが運転されているとき、前記燃料噴射制御部および前記水噴射制御部は、前記燃焼室の中央部分の方が外周部分よりも燃焼開始直前の燃料濃度が高くなるように圧縮行程後半に前記燃料噴射弁から燃料を噴射させるとともに、圧縮行程後半に前記水噴射弁から水を噴射させ、
    エンジン負荷が前記第2基準負荷未満の第2領域でエンジンが運転されているとき、前記燃料噴射制御部および前記水噴射制御部は、前記燃焼室の中央部分の方が外周部分よりも燃焼開始直前の燃料濃度が高くなるように圧縮行程後半に前記燃料噴射弁から燃料を噴射させるとともに、前記水噴射弁からの水噴射を停止する、ことを特徴とする予混合圧縮着火式エンジンの制御装置。
  2. 請求項1に記載の予混合圧縮着火式エンジンの制御装置において、
    エンジンに吸入される吸気を過給可能な過給機を備え、
    前記第1領域での運転時、前記過給機による過給が行われる、ことを特徴とする予混合圧縮着火式エンジンの制御装置。
  3. 請求項1または2に記載の予混合圧縮着火式エンジンの制御装置において、
    前記第1領域での運転時、前記水噴射制御部は、圧縮行程後半且つ前記燃料噴射制御弁による燃料噴射の終了後に前記水噴射弁から水を噴射させる、ことを特徴とする予混合圧縮着火式エンジンの制御装置。
  4. 請求項1〜3のいずれかに記載の予混合圧縮着火式エンジンの制御装置において、
    前記水噴射弁の噴射圧を変更可能な水噴射圧変更装置を備え、
    前記第1領域での運転時、前記水噴射制御部は、エンジン回転数が高い方が前記水噴射弁の噴射圧が高くなるように前記水噴射圧変更装置を制御する、ことを特徴とする予混合圧縮着火式エンジンの制御装置。
  5. 請求項1〜4のいずれかに記載の予混合圧縮着火式エンジンの制御装置において、
    前記第1領域での運転時、前記燃料噴射制御部は、前記燃料噴射弁から噴射された燃料が前記キャビティの外周縁を指向するように燃料を噴射する第1噴射と、当該第1噴射の終了後に燃料を噴射する第2噴射と、当該第2噴射が終了してから圧縮上死点までの間に燃料を噴射する第3噴射とが、前記混合気の燃焼が開始する前に実施され、且つ、前記第2噴射の噴射期間が、前記第1噴射の噴射期間および第3噴射の噴射期間よりも長くなるように、前記燃料噴射弁を制御する、ことを特徴とする予混合圧縮着火式エンジンの制御装置。
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