JP6583338B2 - 予混合圧縮着火式エンジン - Google Patents

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Description

本発明は、燃料と空気の混合気を自着火により燃焼させる予混合圧縮着火燃焼が可能なエンジンに関する。
従来より、ガソリンエンジン等において、予め混合された燃料と空気の混合気を燃焼室内で自着火させるいわゆる予混合圧縮着火燃焼を実施することが検討されている。予混合圧縮着火燃焼では、圧縮比を高めることができること等に伴い熱効率つまり燃費性能を高めることができる。
しかしながら、予混合圧縮着火燃焼では燃焼室の各所において混合気が略同時に燃焼するため燃焼ガスと燃焼室の壁面との接触量が多くなりやすい。そのため、燃費性能をより効果的に高めるには、予混合圧縮着火燃焼の実施時において燃焼ガスと燃焼室の壁面との接触を抑制してこの接触に伴う冷却損失を低減することが望ましい。
前記接触に伴う冷却損失を低減する技術としては、例えば、特許文献1に、燃焼室内に導入する吸気にオゾンを添加して混合気の燃焼速度を速くして、火炎が燃焼室の壁面に到達する前に燃焼を終了させるようにしたエンジンが開示されている。このエンジンによれば、燃焼室の壁面と高温の火炎とが接触してこの火炎から燃焼室の壁面を介して熱エネルギーが外部に放出されるのを抑制することができる。
特開2013−194712号公報
特許文献1のエンジンでは、吸気にオゾンを添加するために吸気管内等にオゾン発生装置を設ける必要があり、構造が複雑化するとともにコスト面で不利になる。
また、予混合圧縮着火燃焼は前記のように空気と燃料との混合気が自着火する燃焼である。そのため、特許文献1の装置を用いて混合気の燃焼速度を早くしても、混合気が燃焼室の壁面近傍に存在している状態では燃焼ガスと壁面との接触を十分に回避できず、冷却損失の低減効果が限定的になる。
本発明は、前記のような事情に鑑みてなされたものであり、簡単な構成で燃焼室内に過度に燃料濃度が高い領域が形成されるのを防止しつつ冷却損失を低減できる予混合圧縮着火式エンジンを提供することを目的とする。
前記課題を解決するために、本発明は、ピストンが上下方向に往復動可能に嵌装されて内側に燃焼室が形成された気筒と、前記ピストンの冠面に向かって燃料を放射状に噴射するように前記燃焼室の天井面の中央部分に取り付けられた燃料噴射装置と、前記燃料噴射装置を制御する制御部とを備え、燃料と空気の混合気を自着火により燃焼させる予混合圧縮着火燃焼が可能なエンジンであって、前記ピストンの冠面には、前記燃焼室の天井面の中央部分と対向して下方に凹むキャビティが形成されており、エンジン負荷が所定値未満の特定領域でエンジンが運転されているとき、前記制御部は、前記燃料噴射装置から噴射された燃料が前記キャビティの外周縁を指向するように圧縮行程の後半に燃料を噴射する第1噴射と、当該第1噴射の終了後に燃料を噴射する第2噴射と、当該第2噴射が終了してから圧縮上死点までの間に燃料を噴射する第3噴射とが、前記混合気の燃焼が開始する前に実施され、且つ、前記第2噴射の噴射期間が、前記第1噴射の噴射期間および第3噴射の噴射期間よりも長くなるように、前記燃料噴射装置を制御し、前記特定領域での運転時、前記制御部は、前記第1噴射の噴射期間、前記第2噴射の噴射期間および前記第3噴射の噴射期間がそれぞれエンジン負荷が高くなるほど長くなるとともに、前記第1噴射の噴射開始時期のエンジン負荷に対する進角量の方が当該第1噴射の噴射終了時期のエンジン負荷に対する遅角量よりも大きくなり、且つ、前記第3噴射の噴射開始時期のエンジン負荷に対する進角量の方が当該第3噴射の噴射終了時期のエンジン負荷に対する遅角量よりも小さくなるように、前記燃料噴射装置を制御する、ことを特徴とする予混合圧縮着火式エンジンを提供する(請求項1)。
本発明によれば、前記のように構成された第1噴射と第2噴射と第3噴射とを実施するという簡単な構成で、燃焼室の外周部分、中央部分、上部といった互いに異なる空間にそれぞれ各噴射により供給された燃料を偏在させることができ、燃焼室に燃料濃度が過度に高い混合気が形成されるのを抑制することができるとともに、これら噴射に係る燃料噴霧が燃焼室の壁面に付着するのを抑制して燃焼室の壁面付近に燃料濃度の低いガス層を形成することができ、このガス層によって高温の燃焼ガスとの接触を抑制して冷却損失を低減することができる。
しかも、前記第1噴射の噴射期間、前記第2噴射の噴射期間および前記第3噴射の噴射期間は、それぞれエンジン負荷が高くなるほど長くなるように設定されるとともに、前記第1噴射の噴射開始時期のエンジン負荷に対する進角量の方が当該第1噴射の噴射終了時期のエンジン負荷に対する遅角量よりも大きくなり、且つ、前記第3噴射の噴射開始時期のエンジン負荷に対する進角量の方が当該第3噴射の噴射終了時期のエンジン負荷に対する遅角量よりも小さくなるように設定される。
従って、エンジン負荷に応じた量の燃料を燃焼室に供給しつつ、第1噴射と第2噴射との間のインターバルおよび第2噴射と第3噴射との間のインターバルを確保して、各噴射をより確実に異なる領域に偏在させることができる。
前記構成において、前記特定領域での運転時、前記制御部は、前記第1噴射の噴射期間が前記第3噴射の噴射期間よりも長くなるように、前記燃料噴射装置を制御するのが好ましい(請求項2)。
このようにすれば、第3噴射が終了してから燃焼が開始するまでの期間を長く確保することができ、第3噴射に係る燃料を燃焼開始までに確実に気化させて適切に燃焼させることができる。
以上説明したように、本発明の予混合圧縮着火式エンジンによれば、簡単な構成で効果的に冷却損失を小さくすることができる。
本発明の一実施形態にかかるエンジンシステムの構成を示した図である。 エンジン本体の概略断面図である。 燃焼室の天井面の概略平面図である。 燃料噴射装置の概略断面図である。 エンジンの制御系統を示すブロック図である。 エンジンの運転領域を示す図である。 中負荷領域における噴射パターンと熱発生率とを示した図である。 第1噴射の燃料噴霧の様子を模式的に示した図である。 エンジン負荷と、第1、第2、第3噴射の各噴射タイミングとの関係を示した図である。 第1噴射終了後の燃焼室内の様子を模式的に示した図である。 第2噴射実施時の燃焼室内の様子を模式的に示した図である。 第2噴射の燃料噴霧が偏在している様子を模式的に示した図である。 第3噴射終了後の燃焼室内の燃料噴霧の様子を模式的に示した図である。 (a)〜(e)は燃焼室内の混合気の分布の演算結果を示した図であり、(a)は本実施形態に係る図、(b)は比較例1に係る図、(c)は比較例2に係る図、(d)は比較例3に係る図、(e)は比較例4に係る図である。
(1)エンジンシステムの全体構成
図1は、本発明の実施形態にかかる予混合圧縮着火式エンジンを含むエンジンシステムの構成を示した図である。本実施形態のエンジンシステムは、4ストロークのエンジン本体1と、エンジン本体1に燃焼用の空気を導入するための吸気通路30と、エンジン本体1で生成された排ガスを排出するための排気通路40と、排ガスの一部を吸気に還流するEGR装置50とを備える。エンジン本体1は、例えば、4つの気筒2を有する4気筒エンジンであり、ガソリンを含む燃料によって駆動される。このエンジンシステムは車両に搭載され、エンジン本体1は車両の駆動源として利用される。
吸気通路30には、上流側から順に、エアクリーナ31、スロットルバルブ32、サージタンク33が設けられており、これらを通過した後の空気がエンジン本体1に導入される。
スロットルバルブ32は、吸気通路30を開閉するものである。ただし、本実施形態では、エンジンの運転中、スロットルバルブ32は基本的に全開もしくはこれに近い開度に維持されており、エンジンの停止時等の限られた運転条件のときにのみ閉弁されて吸気通路30を遮断する。
排気通路40には、三元触媒等を含み排ガスを浄化するための触媒装置41が設けられている。
EGR装置50は、EGR通路51と、これを開閉するEGRバルブ52と、EGRクーラ53とを有する。EGR通路51は、排気通路40のうち触媒装置41の上流側の部分と吸気通路30のうちスロットルバルブの下流側の部分(図1の例では、サージタンク33)とを接続しており、排気通路40を流通する排ガスの一部は、EGR通路51を通って吸気通路30に還流する。吸気通路30に還流する排ガスすなわちEGRガスの量は、EGRバルブ52の開弁量によって調整される。EGRクーラ53は、EGRガスを冷却するためのものであり、EGRガスはEGRクーラ53にて冷却された後、吸気通路30に還流される。
(2)エンジン本体の構成
エンジン本体1の構成について次に説明する。
図2は、エンジン本体1の一部を拡大して示した断面図である。以下では、図2に示す上下方向を単に上下方向といい、図2の上、下を単に上、下として説明する。
図2に示すように、エンジン本体1は、気筒2が内部に形成されたシリンダブロック3と、シリンダブロック3の上面に設けられたシリンダヘッド4と、気筒2に往復動可能に嵌装されたピストン5とを有している。以下では、気筒2の径方向を単に径方向という。また、気筒2の径方向についての外周側、内周側を単に外周側、内周側という。
ピストン5の上方には燃焼室8が形成されている。具体的には、燃焼室8は、気筒2の壁面(内側面)と、ピストン5の冠面6(以下、単に、ピストン冠面6という)と、シリンダヘッド4の下面8aとで区画されている。燃焼室8の天井面(シリンダヘッド4の下面)8aは外周側から中央に向かって上方に傾斜するいわゆるペントルーフ状を呈しており、この天井面8aは、後述する吸気弁13が設けられる吸気側と、後述する排気弁14が設けられる排気側との2つの傾斜面からなる三角屋根状をなしている。
ピストン冠面6には、その中心部を含む領域を下方に凹ませたキャビティ7が形成されている。詳細には、ピストン冠面6には、その中央部分を囲むように上方に隆起する部分が設けられており、この隆起部分の径方向内側にキャビティ7が区画されている。キャビティ7は、その中心と燃焼室8の天井面8aの頂部P1とがほぼ対向するように形成されている。キャビティ7は、ピストン5が上死点まで上昇したときの燃焼室8の大部分を占める容積を有するように形成されている。本実施形態では、エンジン本体1の幾何学的圧縮比、つまり、ピストン5が下死点にあるときの燃焼室8の容積とピストン5が上死点にあるときの燃焼室8の容積との比は、16以上35以下、より好ましくは18以上30以下(例えば25程度)に設定されている。
ピストン冠面6のうち前記隆起部分よりも径方向外側の部分すなわちキャビティ7の外周縁7aから径方向外側の部分6a(以下、適宜、ピストン傾斜面部という)は、全体として径方向外側に向かって下方に傾斜している。ピストン傾斜面部6aは、ピストン5が上死点まで上昇したときに燃焼室8の天井面8aにほぼ沿って延びる。
シリンダヘッド4には、吸気通路30から供給される空気を気筒2内に導入するための吸気ポート11と、気筒2内で生成された燃焼ガスを排気通路40に導出するための排気ポート12とが設けられている。各ポート11,12は、それぞれ燃焼室8の天井面8aに開口している。シリンダヘッド4には、燃焼室8の天井面8aに形成された吸気ポート11の開口部分を開閉する吸気弁13と、燃焼室8の天井面8aに形成された排気ポート12の開口部分を開閉する排気弁14とが設けられている。
本実施形態では、1つの気筒2に対して吸気ポート11と排気ポート12とがそれぞれ2つずつ設けられており、図3(燃焼室8の天井面8aの概略平面図)に示すように、燃焼室8の天井面8aには吸気ポート11と排気ポート12とがそれぞれ2つずつ開口している。そして、1つの気筒2に対して、吸気弁13と排気弁14とがそれぞれ2つずつ設けられている。図3に示すように、吸気弁13と排気弁14(吸気ポート11の開口部分と排気ポート12の開口部分)とは、燃焼室8の天井面8aの頂部P1を通る直線を挟んで互いに反対側(図3の右側と左側)となる部分に設けられている。
吸気弁13は、吸気弁開閉機構15によって開閉される。吸気弁開閉機構15には、吸気弁13の開閉時期を変更可能な吸気開閉時期変更機構15aが設けられている。
排気弁14は、排気弁開閉機構16によって開閉される。吸気弁開閉機構15には、吸気弁13の開閉時期を変更可能な排気開閉時期変更機構16aが設けられている。
シリンダヘッド4には、燃焼室8内に燃料を噴射する燃料噴射装置(燃料噴射手段)21が取り付けられている。燃料噴射装置21は、図外の燃料ポンプにより圧送された燃料を燃焼室8内に噴射する。本実施形態では外開き弁式の燃料噴射装置21が用いられている。
図4は、燃料噴射装置21の概略断面図である。図4に示すように、燃料噴射装置21は、先端(燃焼室8側の端部)にノズル口21bが形成された燃料管21cと、燃料管21cの内側に配設されてノズル口21bを開閉する外開き弁21aとを有する。
燃料噴射装置21は、ノズル口21bが燃焼室8の天井面8aの頂部P1に位置してキャビティ7の中央部分を臨むように配置されている。また、燃料噴射装置21は、ノズル口21bおよび燃料管21cの中心軸が、燃焼室8の天井面8aの頂部P1を通り気筒2の中心軸と平行に延びるように配置されている。
外開き弁21aは、印加された電圧に応じて変形するピエゾ素子21dに接続されている。外開き弁21aは、ピエゾ素子21dに電圧が印加されていない状態でノズル口21bと当接してノズル口21bを閉弁し、ピエゾ素子21dが電圧の印加に伴って変形することでノズル口21bから先端側に突き出してノズル口21bを開弁する。
ノズル口21bおよび外開き弁21aのうちノズル口21bと当接する部分は、先端側ほど径が大きくなるテーパ状を有しており、ノズル口21bからは、ノズル口21bの中心軸すなわち気筒2のほぼ中心軸を中心として、燃料が放射状(コーン状、詳しくはホローコーン状)に噴射される。例えば、このコーンのテーパ角は90°〜100°(ホローコーンにおける内側の中空部のテーパ角は70°程度)となっている。
外開き弁21aの開弁期間およびリフト量(リフト量は、外開き弁21aの閉弁位置からの突出量でありノズル口21bの開口量である)は、ピエゾ素子21dへの電圧の印加期間および電圧の大きさに応じて変化する。
シリンダヘッド4には、さらに燃焼室8内に形成された燃料と空気の混合気を点火するための点火プラグ22が取り付けられている。点火プラグ22は、その先端が、燃料噴射装置21の側方であって吸気弁13と排気弁14との間に位置するように配置されている。本実施形態では、燃料としてガソリンを用いた場合に一般的に採用される火花点火燃焼(混合気を火花点火により強制着火させる燃焼)ではなく、燃料と空気との混合気をピストン5による圧縮に伴い自着火させるHCCI燃焼(予混合圧縮着火燃焼)がエンジンの全ての運転領域において実行されるようになっている。このため、本実施形態のエンジンでは基本的に点火プラグは不要であるが、例えばエンジンが冷間始動された直後のような自着火が困難な状況下においてHCCI燃焼に代えて火花点火燃焼を実行したり、あるいは暖機後であってもHCCI燃焼の促進のためにいわゆるスパークアシストを実行することがあり、そのような目的のために点火プラグ22が設けられている。
(3)制御系統
(3−1)システム構成
図5は、エンジンの制御系統を示すブロック図である。本図に示すように、本実施形態のエンジンシステムは、PCM(パワートレイン・コントロール・モジュール、制御部)100によって統括的に制御される。PCM100は、周知のとおり、CPU、ROM、RAM等から構成されるマイクロプロセッサである。
PCM100は、エンジンの運転状態を検出するための各種センサと電気的に接続されている。例えば、シリンダブロック3には、クランク軸の回転角度および回転速度すなわちエンジン回転数を検出するクランク角センサSN1が設けられている。また、吸気通路30には、エアクリーナ31を通過して各気筒2に吸入される空気量(新気量)を検出するエアフローセンサSN2が設けられている。また、車両には、運転者により操作される図外のアクセルペダルの開度(アクセル開度)を検出するアクセル開度センサSN3が設けられている。
PCM100は、前記各種センサからの入力信号に基づいて種々の判定や演算等を実行しつつエンジンの各部を制御する。すなわち、PCM100は、スロットルバルブ32、燃料噴射装置21、EGRバルブ52、点火プラグ22等と電気的に接続されており、演算の結果等に基づいてこれらの機器にそれぞれ駆動用の制御信号を出力する。
例えば、PCM100は、アクセル開度とエンジン回転数等から求められるエンジン負荷の要求値に応じて燃焼室8に供給すべき燃料量を算出して、これに対応する燃料を燃料噴射装置21に噴射させる。
(3−2)中負荷領域
次に、本発明の特徴である中負荷領域(特定領域)A2での制御内容について説明する。図6は、横軸がエンジン回転数、縦軸がエンジン負荷の制御マップであり、本実施形態では、運転領域として、エンジン負荷が予め設定された第1基準負荷T1未満の低負荷領域A1と、エンジン負荷が第1基準負荷T1以上且つ第2基準負荷(所定値)T2未満の中負荷領域A2と、エンジン負荷が第2基準負荷T2以上の高負荷領域A3とに分けられている。
(i)基本制御
中負荷領域A2で実施される基本的な制御について説明する。
中負荷領域A2では、混合気の発熱量が小さく燃焼温度が比較的低いことで燃焼により生成されるNOx(いわゆるRaw NOx)が少なく抑えられる。そのため、この領域A2では、三元触媒41によりNOxを浄化させる必要がなく、空燃比を三元触媒によるNOx浄化が可能な理論空燃比にする必要がない。そこで、中負荷領域A2では、燃費性能を高めるべく混合気の空燃比がリーンすなわち空気過剰率λ>1とされる。
また、中負荷領域A2では、EGRガスが気筒2内に還流される。すなわち、EGRバルブ52が開弁されて、排気通路40内の排ガスの一部がEGRガスとして吸気通路30に還流される。
(ii)燃料噴射制御
次に、中負荷領域A2で実施される燃料噴射の制御について説明する。
図7は、中負荷領域A2での燃料噴射パターンと熱発生率とを示した図である。図7に示すように、中負荷領域A2では、圧縮行程後半(圧縮上死点前(BTDC)90°CA〜圧縮上死点(TDC)まで)に燃料噴射装置21からすべての燃料(1燃焼サイクルで噴射される燃料の全量)が3回に分けて噴射される。これら燃料は空気と混合し、前記のように、圧縮上死点付近において自着火する。
図8は、最初に実施される第1噴射Q1の燃料噴霧F1の様子を模式的に示した図である。図8に示すように、第1噴射Q1は、第1噴射Q1により噴射された燃料の噴霧F1(以下、適宜、第1燃料噴霧F1という)がキャビティ7の外周縁7aを指向するタイミングで実施される。つまり、第1燃料噴霧F1の噴霧軸(噴霧の飛翔方向に延びる噴霧の中心軸)L1上にキャビティ7の外周縁7aが位置するタイミングで、第1噴射Q1は実施される。本実施形態では、第1噴射Q1の開始時点において第1燃料噴霧F1の噴霧軸L1上にキャビティ7の外周縁7aが位置するように、第1噴射Q1が実施される。なお、第1噴射Q1の噴射タイミグは、第1燃料噴霧F1の噴霧軸L1上にキャビティ7の外周縁7aが位置するタイミングが第1噴射Q1の実施期間に含まれるように設定されればよく、第1噴射Q1の噴射終了時点で第1燃料噴霧F1の噴霧軸L1上にキャビティ7の外周縁7aが位置するように設定されてもよい。さらに、前記タイミングは、第1燃料噴霧F1の噴霧軸L1上に厳密にキャビティ7の外周縁7aが位置するように設定される必要はなく、キャビティ7の外周縁7a付近が第1燃料噴霧F1の噴霧軸L1上に位置すればよい。例えば、第1噴射Q1は、圧縮上死点前40°CA〜圧縮上死点前70°CAの間に開始される。
図7に示すように、第2噴射Q2は、第1噴射Q1の終了後所定のインターバルtint1をあけて開始される。例えば、第2噴射Q2は第1噴射Q1が終了してから10°CA程度後に開始される。
第2噴射Q2の噴射期間dt2は第1噴射Q1の噴射期間dt1よりも長く、第2噴射Q2の燃料噴射量Qm2は第1噴射Q1の燃料噴射量Qm1よりも多くなっている。
第3噴射Q3は、第2噴射Q2の終了後所定のインターバルtint2をあけて開始される。例えば、第3噴射Q3は、第2噴射Q2が終了してから10°CA程度後に開始される。
第3噴射Q3の噴射期間dt3は第2噴射Q2の噴射期間dt2よりも短く設定されており、第3噴射Q3の燃料噴射量Qm3は第2噴射Qm2の燃料噴射量Qm2よりも少なくなっている。
さらに、第3噴射Q3の噴射期間dt3は第1噴射の噴射期間dt1以下に設定されている。つまり、各噴射Q1、Q2,Q3の噴射期間および燃料噴射量の関係は、第3噴射Q3の噴射期間dt3≦第1噴射Q1の噴射期間dt1<第2噴射Q2の噴射期間dt2、および、第3噴射Q3の燃料噴射量Qm3≦第1噴射Q1の燃料噴射Qm1<第2噴射Q2の燃料噴射量Qm2となっている。本実施形態では、第1噴射Q1の燃料噴射量Qm1、第2噴射Q2の燃料噴射量Qm2、第3噴射Q3の燃料噴射量Qm3の比率は、この順で、3:5:2に設定されている。
このように、中負荷領域A2では、各噴射Q1、Q2、Q3が前記の関係を満たしつつ、各噴射Q1、Q2、Q3の燃料噴射量Qm1、Qm2、Qm3を合わせた総燃料噴射量がアクセル開度等から求められるエンジン負荷の要求値に対応した燃料量とされる。
ここで、エンジン負荷が増加すると総燃料噴射量も増加する。これに対応して各噴射Q1、Q2、Q3の燃料噴射量Qm1、Qm2、Qm3および噴射期間dt1、dt2、dt3は、前記比率が維持されるように総燃料噴射量に比例して増大される。一方、各噴射Q1、Q2、Q3の噴射タイミングは、図9に示すように変更される。図9は、横軸をエンジン負荷とし縦軸に噴射タイミングを示した図であって、各噴射Q1、Q2、Q3の噴射開始時期SOIと噴射終了時期EOIとを示している。
図9に示すように、各噴射Q1、Q2、Q3において、それぞれ、エンジン負荷が高くなるほどその噴射開始時期SOI1、SOI2、SOI3が進角され、且つ、その噴射終了時期EOI1、EOI2、EOI3が遅角されて、各噴射期間dt1、dt2、dt3および燃料噴射量Qm1、Qm2、Qm3は大きくされる。
ただし、第1噴射Q1では、エンジン負荷の増大に対する噴射開始時期SOI1の進角量は、エンジン負荷の増大に対する噴射終了時期EOI1の遅角量よりも大きくされる。一方、第2噴射Q2では、エンジン負荷の増大に対する噴射開始時期SOI2の進角量はと噴射終了時期EOI2の遅角量とはほぼ同等とされる。そして、第3噴射Q3では、エンジン負荷の増大に対する噴射開始時期SOI3の進角量が、エンジン負荷の増大に対する噴射終了時期EOI3の遅角量よりも小さくされる。
このように、本実施形態では、エンジン負荷が増大しても第1噴射Q1の噴射終了時期EOV1の遅角量が比較的小さくされ、第3噴射Q3の噴射開始時期SOI3の進角量が比較的小さくされ、第2噴射Q2の噴射開始時期SOI2および噴射終了時期EOV2が同程度に進角および遅角されることで、エンジン負荷の大小によらず各噴射Q1、Q2、Q3のインターバルint1、int2、int3は長く確保される。
(3−3)他の領域
他の領域A1、A3での制御は限定されるものではないが、例えば、低負荷領域A1では、燃料噴射制御を除き中負荷領域A2と同様の制御が実施される。一方、低負荷領域A1では、例えば一括噴射つまり一回の噴射で燃焼室8内に燃料の全量を供給する制御が実施される。また、高負荷領域A2においても例えば一括噴射が実施される。
(4)作用等
以上のように設定された第1噴射Q1、第2噴射Q2、第3噴射Q3が実施されることで、本実施形態では、中負荷領域A2において、燃焼室8内に局所的に燃料濃度が高い混合気が形成されるのを回避し、且つ、燃焼室8の壁面近傍の燃料濃度を小さくすることができる。
以下具体的に説明する。
圧縮行程後半であっても比較的早いタイミングでは筒内圧(燃焼室8内の圧力)は低い。そのため、このタイミングで燃料噴射を行うと、燃料噴霧の飛翔距離が長くなって燃料噴霧は燃焼室8の底面つまりピストン冠面6に付着する、あるいは、ピストン冠面6付近に滞留する。
これに対して、本実施形態では、圧縮行程後半の比較的早いタイミングで実施する第1噴射Q1の噴射期間dt1および噴射量Qm1が小さい。そのため、第1噴射Q1の燃料噴霧F1のペネトレーションを低く抑えてこれの飛翔散離を短くでき、燃料噴霧F1がピストン冠面6に付近まで飛翔するのを抑制することができる。
しかも、前記のように、第1噴射Q1はその燃料噴霧F1がキャビティ7の外周縁7aを指向するように実施される。そのため、第1噴射Q1の燃料噴霧F1をキャビティ7の外周部分に偏在させることができる。
図10を用いて具体的に説明する。図10は、第1噴射Q1が終了してから所定時間が経過したときの燃焼室8内の様子を模式的に示した図である。この図10に示すように、第1噴射Q1の燃料噴霧F1は、噴射直後は破線で示すようにノズル口21bから下方および外周側に移動する。しかしながら、ピストン5の上昇に伴ってピストン冠面6付近には上昇流U1が生じている。そのため、第1噴射Q1の燃料噴霧F1は、この上昇流U1の影響を受けて図10の鎖線に示すように燃焼室8の外周側に向かおうとする。しかし、圧縮上死点に近づくと、今度は、燃焼室8内にその外周部分のいわゆるスキッシュエリア(ピストン傾斜面部6aと燃焼室8の天井面8aとに挟まれた領域)6bからキャビティ7側に向かういわゆるスキッシュ流U2が発生する。そのため、外周側に向かいつつあった第1噴射Q1の燃料噴霧F1は、このスキッシュ流U2によって内周側に押されてキャビティ7の内側且つキャビティ7の外周部分に導入される。
このようにして、本実施形態では、第1噴射Q1の燃料噴霧F1の多くを、ピストン冠面6に到達させることなく燃焼室8の外周部分に偏在させることができる。
第1噴射Q1の後に実施される第2噴射Q2は、その実施時においてピストン5がある程度上昇していることで、その燃料噴霧F2はキャビティ7に向かう。しかし、前記のようにキャビティ7の外周部分には既に第1噴射Q1の燃料噴霧F1が偏在している。そのため、この外周部分にさらに燃料噴霧F2が供給されると、この部分の燃料濃度が高くなってしまうとともに第1噴射Q1の燃料噴霧F1が第2噴射Q2の燃料噴霧F2によって外周側および下側に押されて燃焼室8の壁面に付着するおそれがある。
これに対して、本実施形態では、第2噴射Q2の燃料噴射量Qm2が多くされて燃料噴霧F2のペネトレーションおよび速度が高められている。そのため、図11に示すように、第2噴射Q2の燃料噴霧F2で囲まれた部分(ホローコーンの内側部分)Xに高い負圧を生成させることができる。そして、これにより、第2噴射Q2の燃料噴霧F2を燃焼室8の中央側に引き寄せて、第2噴射Q2の燃料噴霧F2を図12に示すように第1燃料Q1の燃料噴霧F1が存在する領域とは異なる領域、具体的には、燃焼室8の中央部分に偏在させることができる。そのため、第2噴射Q2の燃料噴霧F2によって燃料濃度の高い混合気が形成されることを回避することができる。
ここで、ペネトレーションを高くすれば燃料噴霧F2とピストン冠面6とは接触しやすくなる。しかしながら、第2噴射Q2の燃料噴霧F2は、キャビティ7が形成された燃焼室8の中央部分であって燃料噴射装置21のノズル口21bからピストン冠面6(キャビティ7の底面)までの距離が長く確保された部分に向かう。そのため、燃料噴霧F2の多くをピストン冠面6から離間させることができ、これらの接触を抑制することができる。
このようにして、本実施形態では、第2噴射Q2の燃料噴霧F2を、燃料濃度の高い混合気を燃焼室8の壁面8a近傍に形成することなく燃焼室8の中央部分に偏在させることができる。
次に、第3噴射Q3を実施するが、前記の第1噴射Q1と第2噴射Q2との関係と同様に、第3噴射Q3の燃料噴霧F3のペネトレーションが高いと第2噴射Q2の燃料噴霧F2をピストン冠面6に向かって押し出してしまうおそれがある。
これに対して、本実施形態では、第3噴射Q3の噴射期間dt3および噴射量Qm3が、第2噴射Q2の噴射期間dt2および噴射量Qm2、さらには、第1噴射Q1の噴射期間dt1および噴射量Qm1よりも小さくされている。そのため、第3噴射Q3の燃料噴霧F3のペネトレーションを小さく抑えることができる。特に、第3噴射Q3は、圧縮上死点に近く筒内圧が高いタイミングで実施されるので、第3噴射Q3のペネトレーションは十分に小さくされる。従って、第3噴射Q3の燃料噴霧F3と第2噴射Q2の燃料噴霧F2との干渉を抑制することができ、第2噴霧F2がピストン冠面6に向かって押し出されるのを回避できる。また、ペネトレーションが小さいことに伴い、第3噴射Q3の燃料噴霧F3は、図13に示すように燃焼室8の上部に滞留することになる。
また、前記のように第3噴射Q3の噴射量Qm3が小さく抑えられていることで、本実施形態では、第3噴射Q3を圧縮上死点近傍で実施しながらその燃料噴霧F3を混合気の燃焼開始までに確実に気化させて適切に燃焼させることができる。
以上のように、本実施形態では、圧縮行程後半に第1噴射Q1、第2噴射Q2、第3噴射Q3を実施し、第1噴射Q1を燃料噴霧がキャビティ7の外周縁7aを指向するタイミングで実施し、第2噴射Q2の噴射期間dt2および噴射量Qm2を、第1噴射Q1の噴射期間dt1および噴射量Qm1と第3噴射Q3の噴射期間dt3および噴射量Qm3よりも大きくすることで、燃焼室8にエンジン出力を確保可能な量の燃料を供給しながら、燃焼室8の壁面8a近傍の燃料濃度を小さく抑え、且つ、図13に示すように、第1噴射Q1、第2噴射Q2、第3噴射Q3の各燃料噴霧F1、F2、F3をそれぞれ異なる領域に偏在させ、これにより、局所的に燃料濃度が高い混合気が燃焼室8内に形成されるのを抑制することができる。そして、これにより、適切な予混合圧縮燃焼を実施して煤等の発生を回避しながら、高温の燃焼ガスと燃焼室の壁面との接触を抑制して冷却損失を低減できる。
この効果をシミュレーションにより確認した結果を図14(a)〜(e)に示す。図14(a)〜(e)は、圧縮上死点における燃焼室内の混合気の分布の演算結果を示した図であり、(a)は本実施形態に係る図、(b)は比較例1に係る図、(c)は比較例2に係る図、(d)は比較例3に係る図、(e)は比較例4に係る図である。比較例1は、全ての燃料を一度に噴射する一括噴射を行った場合、比較例2は、燃料を3回に分けて噴射し且つ各噴射の噴射期間(噴射量)を均等とした場合、比較例3は、燃料を3回に分けて噴射し且つ各噴射の噴射期間(噴射量)が遅角側の噴射ほど大きくなるようにした場合、比較例4は、燃料を3回に分けて噴射し且つ各噴射の噴射期間(噴射量)が進角の噴射ほど大きくなるようにした場合である。図14(a)〜(e)では、燃料濃度が高いほど色が濃く表されている。
図14の(b)に示すように、一括噴射を行った場合には、ピストン冠面6近傍の領域Xb1、Xb2において燃料濃度が高くなる。これは、一括噴射では長い期間にわたって継続して燃料が噴射されるために後から噴射された燃料が先に噴射された燃料を押し下げていくために生じると考えられる。
図14(c)に示すように、燃料を3回に分けて且つ均等に噴射した場合には、キャビティ7の底面の外周部分Xc2において燃料濃度が高くなる。また、燃焼室8の上側部分Xc1に燃料濃度が高い領域が生じる。外周部分Xc2において燃料濃度が高くなるのは、筒内圧が低いタイミングで行われる最初の噴射の噴射量が多いことで、この噴射の噴霧がキャビティ7の底面に到達してしまったためと考えられる。燃焼室8の上側部分Xc1の燃料濃度が高くなるのは、2回目の噴射の噴射量およびペネトレーションが小さく2回目の噴射の噴霧が燃焼室8の上側部分に滞留している状態で、比較的多い燃料が3回目の噴射によってさらに追加されるためと考えられる。
図14(d)に示すように、燃料を3回に分けて噴射し且つ各噴射の噴射量が遅角側の噴射ほど大きくなるようにした場合には、キャビティ7の底面付近且つキャビティ7の外周よりの部分Xd2に燃料濃度が高い領域Xd2が形成される。これは、2回目の噴射の噴射量およびペネトレーションが相対的に小さくなることで2回目の噴射の噴霧が外周側に拡散して1回目の噴射の噴霧と重なったためと考えられる。また、燃焼室8の中央および上部にも燃料濃度が高い領域Xd1が形成される。これは、3回目の噴射の噴射量およびペネトレーションが大きいことで、この噴射の噴霧が2回目の噴射の噴霧と重なったためと考えられる。
図14(e)に示すように、燃料を3回に分けて噴射し且つ各噴射の噴射量が進角の噴射ほど大きくなるようにした場合には、キャビティ7の底面付近Xe2に燃料濃度の高い領域が形成される。これは、図14(c)に示した比較例2と同様に、筒内圧が低いタイミングで行われる最初の噴射の噴射量およびペネトレーションが大きいことで、この噴射の噴霧がキャビティ7の底面に到達してしまったためと考えられる。特に、この比較例4では、最初の噴射の噴射量が最も多く、その燃料噴霧のペネトレーションが特に高いために比較例2よりも広い範囲において燃料濃度が高くなったと考えられる。また、比較例4では、燃焼室8の上部にも燃料濃度の高い混合気が形成される。これは、2回目の噴射の噴射量およびペネトレーションが小さいためにこの噴霧の飛翔が抑制され、この噴霧に3回目の噴射の噴霧が合わさったためと考えられる。
これに対して、本実施形態では、図14(a)に示すように、燃焼室8の壁面近傍および燃焼室8の全域において、局所的に燃料濃度が高い領域はほとんど形成されない。
(5)変形例
前記実施形態では、第1噴射Q1の燃料噴射量Qm1、第2噴射Q2の燃料噴射量Qm2、第3噴射Q3の燃料噴射量Qm3の比率が、この順で、3:5:2に設定された場合について説明したが、これら燃料噴射量(噴射期間)Qm1、Qm2、Qm3の具体的な比率はこれに限らない。つまり、第2噴射Q2の噴射期間dt2および噴射量Qm2が、第1噴射Q1の噴射期間dt1および噴射量Qm1よりも大きく、且つ、第3噴射Q3の噴射期間dt3および噴射量Qm3よりも大きく設定されていればよい。
ただし、第3噴射Q3の噴射期間dt3および噴射量Qm3を第1噴射Q1の噴射期間dt1および噴射量Qm1以下とすれば、前記のように第3噴射Q3の燃料噴霧F3を燃焼室8の上部により確実に偏在させることができるとともにこれを適切に気化および燃焼させることができる。
前記実施形態では、前記のように設定された第1噴射Q1、第2噴射Q2、第3噴射Q3を実施する領域を中負荷領域A2に限った場合について説明したが、この3つの噴射Q1、Q2、Q3を実施する領域は、エンジン負荷が所定値よりも低い領域であればよく、中負荷領域A2に加えて前記実施形態の低負荷領域A1で実施されてもよい。なお、エンジン負荷が高いときには燃焼室8に供給せねばならない総燃料噴射量が多くなることで、前記の3つの噴射Q1、Q2、Q3を実施しても互いにインターバルを十分に長くすることができず、各燃料噴霧F1、F2、F3を異なる領域に偏在させることが難しくなる。従って、3つの噴射Q1、Q2、Q3を実施する領域は前記のようにエンジン負荷が所定値よりも低い領域に限られる。
また、燃料噴射装置21の具体的な構成は前記に限らない。
また、前記実施形態では、ガソリンと空気との混合気を圧縮して自着火させるHCCI燃焼が全ての運転領域で実行されるガソリンエンジンに本発明を適用した例について説明したが、本発明が適用可能なエンジンはこのようなエンジンに限られない。例えば、低負荷領域A1を含む一部の運転領域でHCCI燃焼が実行されかつ残りの運転領域で火花点火燃焼が実行されるガソリンエンジンや、ガソリン以外の副成分(アルコール等)が含有された燃料をHCCI燃焼させるエンジンにも本発明を適用可能である。
1 エンジン本体
2 気筒
5 ピストン
6 ピストンの冠面
7 キャビティ
7a キャビティの外周縁
8 燃焼室
21 燃料噴射装置(燃料噴射手段)
100 PCM(制御部)
A2 中負荷領域(特定領域)
Q1 第1噴射
Q2 第2噴射
Q3 第3噴射

Claims (2)

  1. ピストンが上下方向に往復動可能に嵌装されて内側に燃焼室が形成された気筒と、前記ピストンの冠面に向かって燃料を放射状に噴射するように前記燃焼室の天井面の中央部分に取り付けられた燃料噴射装置と、前記燃料噴射装置を制御する制御部とを備え、燃料と空気の混合気を自着火により燃焼させる予混合圧縮着火燃焼が可能なエンジンであって、
    前記ピストンの冠面には、前記燃焼室の天井面の中央部分と対向して下方に凹むキャビティが形成されており、
    エンジン負荷が所定値未満の特定領域でエンジンが運転されているとき、前記制御部は、前記燃料噴射装置から噴射された燃料が前記キャビティの外周縁を指向するように圧縮行程の後半に燃料を噴射する第1噴射と、当該第1噴射の終了後に燃料を噴射する第2噴射と、当該第2噴射が終了してから圧縮上死点までの間に燃料を噴射する第3噴射とが、前記混合気の燃焼が開始する前に実施され、且つ、前記第2噴射の噴射期間が、前記第1噴射の噴射期間および第3噴射の噴射期間よりも長くなるように、前記燃料噴射装置を制御し、
    前記特定領域での運転時、前記制御部は、前記第1噴射の噴射期間、前記第2噴射の噴射期間および前記第3噴射の噴射期間がそれぞれエンジン負荷が高くなるほど長くなるとともに、前記第1噴射の噴射開始時期のエンジン負荷に対する進角量の方が当該第1噴射の噴射終了時期のエンジン負荷に対する遅角量よりも大きくなり、且つ、前記第3噴射の噴射開始時期のエンジン負荷に対する進角量の方が当該第3噴射の噴射終了時期のエンジン負荷に対する遅角量よりも小さくなるように、前記燃料噴射装置を制御する、ことを特徴とする予混合圧縮着火式エンジン。
  2. 請求項1に記載の予混合圧縮着火式エンジンにおいて、
    前記特定領域での運転時、前記制御部は、前記第1噴射の噴射期間が前記第3噴射の噴射期間よりも長くなるように、前記燃料噴射装置を制御する、ことを特徴とする予混合圧縮着火式エンジン。
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