JP7272285B2 - エンジンの制御方法およびエンジンの制御装置 - Google Patents

エンジンの制御方法およびエンジンの制御装置 Download PDF

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Description

本発明は、ピストンが往復動可能に収容された気筒と、気筒とピストンとによって区画された燃焼室に燃料を供給する燃料供給装置と、燃焼室に水を噴射する水噴射装置と、燃焼室に空気を導入するための吸気ポートを開閉する吸気弁と、燃焼室から既燃ガスを排出するための排気ポートを開閉する排気弁とを備えたエンジンを制御する方法および装置に関する。
従来より、車両に搭載されるエンジン等において、その熱効率を向上させるべく燃焼室に水を噴射することが検討されている。
燃焼室に水を噴射するように構成されたエンジンとして、下記特許文献1のものが知られている。特許文献1のエンジンは、排気上死点を挟んで排気弁と吸気弁とがネガティブオーバーラップするように、且つ、このネガティブオーバーラップ期間中に燃焼室に燃料と水が噴射されるように構成されている。このエンジンでは、高温の既燃ガスを燃焼室に残留させて、この既燃ガスの温度が高く維持されるタイミングで燃焼室に燃料と水を供給することで、燃料をエンタルピーの高い燃料に改質して、これにより熱効率の向上を図っている。
特開2018-040260号公報
前記特許文献1のエンジンでは、排気弁と吸気弁とをネガティブオーバーラップさせ、且つ、このネガティブオーバーラップ期間中に燃料と水を噴射する必要があり、吸排気弁の開閉時期や燃料の噴射時期に大きな制約がかかる。
これに対して、エンジンの熱効率を高めるための水の他の利用方法として、水により燃焼室内の吸気の温度を低減する方法が挙げられる。具体的には、燃焼室内に水を供給すれば燃焼室内の吸気が冷却されて吸気の温度が低減される。吸気の温度が低減されれば、その量を低減することなく燃焼室内の圧力を低くしてピストンの圧縮仕事を低減できる。これより、水により燃焼室内の吸気の温度を低減する方法によれば、吸排気弁の開閉時期や燃料の噴射時期に制約がかかるのを抑制しつつ、エンジンの熱効率を高くできる。しかしながら、この方法においても、ピストンの圧縮途中に水が気化してしまうと、ピストンの圧縮仕事が水の気化に消費されてしまう結果、熱効率の向上効果を充分に得られないおそれがある。
本発明は、前記のような事情に鑑みてなされたものであり、水を利用して熱効率を確実に向上させることが可能なエンジンの制御方法および制御装置を提供することを目的とする。
前記課題を解決するためのものとして、本発明は、ピストンが往復動可能に収容された気筒と、前記気筒と前記ピストンとによって区画された燃焼室に燃料を供給する燃料供給装置と、前記燃焼室に水を噴射する水噴射装置と、前記燃焼室に空気を導入するための吸気ポートを開閉する吸気弁と、前記燃焼室から既燃ガスを排出するための排気ポートを開閉する排気弁とを備えたエンジンを制御する方法であって、前記燃料供給装置から供給された燃料と空気とが混合した混合気を燃焼させる燃焼ステップと、前記排気弁の閉弁時期から前記吸気弁の閉弁時期までの期間中に前記水噴射装置から前記燃焼室内に水を噴射させる水噴射ステップとを含み、前記水噴射ステップによる水噴射の終了時期を、当該終了時期から前記吸気弁の閉弁時期までの時間が、前記水噴射装置から噴射される水の全量が気化する時間になるように設定するとともに、前記水噴射ステップによる水噴射の開始時期を、エンジン負荷が高いときの方が低いときよりも前記排気弁の閉弁時期に近いクランク角になるように設定する、ことを特徴とするエンジンの制御方法を提供する(請求項1)。
本発明では、排気弁の閉弁時期から、吸気弁の閉弁時期に対して噴射された水の全量が気化する時間だけ早い時期までにかけて、燃焼室に水が噴射される。そのため、噴射された水が排気通路に導入されて排気ガスひいては触媒を冷却するのを防止できるとともに、吸気閉弁後に燃焼室内で水が気化すること、つまり、ピストンの圧縮仕事が水の気化に消費されるのを抑制でき、水によって燃焼室内の吸気の温度が低減されることに伴うピストンの圧縮仕事の低減効果を確実に得ることができる。
ここで、排気弁の閉弁時期つまり排気上死点に近い時期に燃焼室内に水を噴射すると、噴射された水がピストンや燃焼室に付着してこれらの間の隙間に入り込む、あるいは、噴射された後に気化した水が吸気弁の閉弁時期までに再度凝縮して前記隙間に入り込むおそれがある。ピストンと燃焼室との間の隙間に水が入り込むと、当該隙間を潤滑するためのオイルが希釈される。これに対して、本発明では、吸気弁の閉弁時期に対して水の全量が気化する時間分だけ早い時期に水噴射が終了するように水を噴射する。つまり、水の気化時間を確保できる範囲で排気弁の閉弁時期に対してより遅い時期に水が噴射される。そのため、前記のように熱効率を向上しつつピストンと燃焼室との間の隙間に水が入り込むのを抑制できる。
しかも、エンジン負荷が高いときの方が低いときよりも燃焼室内の温度および吸気の温度は高くなりやすいのに対して、本発明では、エンジン負荷が高いときの方が低い時よりも水噴射の開始時期が排気弁の閉弁時期により近いクランク角にされて、水が噴射される期間が長くされる。そのため、エンジン負荷が高いときには、多量の水を燃焼室に噴射させて、吸気の温度を充分に低減できるとともに、エンジン負荷が低いときには、多量の水が燃焼室に噴射されることで吸気の温度が過度に低下して燃焼安定性が悪化するのを抑制できる。従って、燃焼安定性を確保しつつエンジンの熱効率を確実に向上できる。
また、本発明は、ピストンが往復動可能に収容された気筒と、前記気筒と前記ピストンとによって区画された燃焼室に燃料を供給する燃料供給装置と、前記燃焼室に水を噴射する水噴射装置と、前記燃焼室に空気を導入するための吸気ポートを開閉する吸気弁と、前記燃焼室から既燃ガスを排出するための排気ポートを開閉する排気弁とを備えたエンジンの制御装置であって、前記燃料供給装置から供給された燃料と空気とが混合した混合気を燃焼させる燃焼制御部と、前記排気弁の閉弁時期から前記吸気弁の閉弁時期までの期間中の水噴射開始時期に前記水噴射装置からの水の噴射が開始されて、前記期間中の水噴射終了時期に前記水噴射装置からの水の噴射が終了するように、前記水噴射装置を制御する水噴射制御部を備え、前記水噴射制御部は、前記水噴射終了時期から前記吸気弁の閉弁時期までの時間が前記水噴射装置から噴射される水の全量が気化する時間になるように前記水噴射終了時期を設定するとともに、前記水噴射開始時期を、エンジン負荷が高いときの方が低いときよりも前記排気弁の閉弁時期に近いクランク角になるように設定する、ことを特徴とするエンジンの制御装置を提供する(請求項4)。
この制御装置によっても、前記の方法と同様に燃焼安定性を確保しつつエンジンの熱効率を確実に向上できる。
前記方法において、好ましくは、前記水噴射装置は、前記ピストンの冠面に向けて放射状に水を噴射するように前記燃焼室の天井に取り付けられており、ノッキングが発生しやすい領域として予め設定されたノック領域でエンジンが運転されているか否かを判定する運転領域判定ステップと、前記運転領域判定ステップにてエンジンが前記ノック領域で運転されていると判定されたときに実施されて、前記排気弁の閉弁時期よりも後、且つ、前記水噴射ステップによる水噴射の開始前に前記水噴射装置から水を噴射させる前段水噴射ステップとをさらに含む(請求項2)。
また、前記制御装置において、好ましくは、前記水噴射装置は、前記ピストンの冠面に向けて放射状に水を噴射するように前記燃焼室の天井に取り付けられており、ノッキングが発生しやすい領域として予め設定されたノック領域でエンジンが運転されているか否かを判定する運転領域判定部を備え、前記水噴射制御部は、前記運転領域判定部によって前記ノック領域でエンジンが運転されていると判定されたときは、前記排気弁の閉弁時期から前記吸気弁の閉弁時期までの期間中の前段噴射開始時期から、前記水噴射開始時期よりも前の前段噴射終了時期までの間、水を噴射する前段水噴射と、前記水噴射開始時期から前記水噴射終了時期までの間、水を噴射する後段水噴射とが実施されるように、前記水噴射装置を制御し、前記運転領域判定部によって前記ノック領域でエンジンが運転されていないと判定されたときは、前記前段水噴射の実施が停止され且つ前記後段水噴射が実施されるように、前記水噴射装置を制御する(請求項5)。
前記のように、排気弁の閉弁時期つまり排気上死点に近い時期に水を噴射すると、ピストンと燃焼室との隙間に水が入り込んでオイルが希釈されるおそれがある。ただし、ノッキングが生じやすい運転領域であって燃焼室の壁面やピストンの温度が高い領域では、燃焼室の壁面やピストンに水が付着しても早期に気化し、過度なオイル希釈は抑制される。そして、このときには、水によって燃焼室の壁面やピストンが効果的に冷却されてノッキングの発生が抑制される。
これより、この構成によれば、ノック領域において、一部の水が排気弁の閉弁時期つまり排気上死点に近い時期に燃焼室に水が噴射され、残りの水がこれよりも遅い時期に燃焼室に噴射されることで、オイル希釈を抑制しつつノッキングの発生を抑制できる。特に、燃焼室の天井付近から放射状に水が噴射されるので、燃焼室の壁面に水を付着させてこれを効果的に冷却でき、ノッキングの発生を確実に抑制できる。そして、ノッキングが発生しにくい領域においては、オイル希釈を確実に抑制できる。
前記方法において、好ましくは、前前記水噴射装置によって噴射される水の温度が低いときの方が高いときよりも前記水噴射ステップにて前記燃焼室内に噴射する水の総量を少なくする(請求項3)。
また、前記制御装置において、好ましくは、前記水噴射装置によって噴射される水の温度である噴射水温を検出する噴射水温検出装置を備え、前記水噴射制御部は、前記噴射水温検出装置によって検出された前記噴射水温が低いときの方が高いときよりも前記水噴射装置から前記燃焼室内に噴射される水の総量を少なくする(請求項6)。
この構成によれば、噴射される水の温度が低い場合に、燃焼室内の吸気の温度が過度に低減するのを抑制して燃焼安定性を確保できるとともに、噴射される水の温度が高い場合に、吸気の温度を確実に低減して熱効率をより一層確実に高めることができる。
以上説明したように、本発明のエンジンの制御方法および制御装置によれば、水を利用してエンジンの熱効率を確実に向上できる。
本発明の一実施形態にかかるエンジンを示す図である。 エンジンの制御系統を示すブロック図である。 エンジンの運転状態に応じた制御の相違を示すマップ図である。 非ノック領域の制御内容を説明するためのタイムチャートである。 ノック領域の制御内容を説明するためのタイムチャートである。 水噴射の制御手順の一部を示したフローチャートである。 水噴射の制御手順の一部を示したフローチャートである。 エンジン負荷と水噴射の実施時期との関係を示した図である。 各パラメータと総水噴射量との関係を示したグラフであって、(a)はエンジン負荷と総水噴射量との関係、(b)吸気温と総水噴射量との関係、(c)噴射水温と総水噴射量との関係を示している。 各パラメータと完全気化時間との関係を示したグラフであって、(a)はエンジン水温および水噴射量と完全気化時間との関係、(b)は吸気温および水噴射量と完全気化時間との関係、(c)は噴射水温および水噴射量と完全気化時間との関係を示している。
(1)エンジンの全体構成
図1は、本発明の制御方法および制御装置が適用されたエンジンの好ましい実施形態を示す図である。本図に示されるエンジンは、走行用の動力源として車両に搭載される4サイクルのエンジンであり、エンジン本体1と、エンジン本体1に導入される吸気が流通する吸気通路20と、エンジン本体1から排出される排気が流通する排気通路30とを備える。
エンジン本体1は、気筒2が内部に形成されたシリンダブロック3と、気筒2を上から閉塞するようにシリンダブロック3の上面に取り付けられたシリンダヘッド4と、気筒2にそれぞれ往復摺動可能に嵌装されたピストン5とを有する。エンジン本体1は、典型的には複数の気筒2(例えば、図1の紙面と直交する方向に並ぶ4つの気筒2)を有する多気筒型のものであるが、ここでは簡略化のため、1つの気筒2のみに着目して説明を進める。
ピストン5の上方には、燃焼室10が画成されている。燃焼室10には、後述する燃料噴射弁11からの噴射によって燃料が供給される。供給された燃料は燃焼室10で空気と混合して燃焼し、この燃焼による膨張力で押し下げられたピストン5が上下方向に往復運動する。ピストン5の下方には、エンジン本体1の出力軸であるクランク軸15が設けられている。クランク軸15は、ピストン5とコネクティングロッド14を介して連結され、ピストン5の往復運動に応じて中心軸回りに回転する。本実施形態では、エンジンは、主たる燃料をガソリンとするガソリンエンジンであり、エンジン本体1には、ガソリンのみ、あるいは、ガソリンにバイオエタノール等の副成分が含まれた燃料が供給される。また、本実施形態では、全運転領域において、燃料をピストン5の圧縮作用のみによって自着火させて燃焼させるように構成されており、この自着火燃焼を実現するべく、気筒2の幾何学的圧縮比、つまり、ピストン5が上死点にあるときの燃焼室10の容積とピストン5が下死点にあるときの燃焼室10の容積との比が、高い値に設定されている。例えば、気筒2の幾何学的圧縮比は、15以上であってガソリンエンジンとしては高い値となっている。
シリンダヘッド4には、燃焼室10に吸気を供給するための吸気ポート6と、燃焼室10内の既燃ガス(排気ガス)を排出するための排気ポート7が形成されている。これら吸気ポート6と排気ポート7とは燃焼室10に開口している。シリンダヘッド4には、吸気ポート6を開閉する吸気弁8と、排気ポート7を開閉する排気弁9が設けられている。なお、本実施形態のエンジンのバルブ形式は、吸気2バルブ×排気2バルブの4バルブ形式であり、吸気ポート6、排気ポート7、吸気弁8および排気弁9は、1つの気筒2についてそれぞれ2つずつ設けられている。吸気弁8および排気弁9は、図外の弁駆動装置により、クランク軸15の回転に連動して開閉駆動される。
シリンダヘッド4には、燃焼室10に燃料を噴射する燃料噴射弁11が、各気筒2につき1組ずつ設けられている。燃料噴射弁11は、燃焼室10に吸気側の側方から燃料を噴射するように設けられている。この燃料噴射弁11は、請求項の「燃料供給装置」に相当する。
シリンダヘッド4には、さらに、燃焼室10に水を噴射する水噴射弁12が、各気筒2につき1組ずつ設けられている。水噴射弁12は、その先端部が燃焼室10の天井面10aの中央部分に位置して、燃焼室10の天井面10aの中央部分からピストン5に向けて放射状に水を噴射するように設けられている。本実施形態では、水噴射弁12は、その先端部に複数の噴孔を有する多噴孔型の噴射弁であり、各噴孔から放射状に水が噴射される。詳細には、水噴射弁12の各噴孔は、その開口端がボア径方向外側の斜め下方を向くように穿孔されており、これにより、各噴孔から噴射された燃料は、ピストン5の冠面5aに近づくほどボア径方向の外側に拡がるように放射状に噴射される。この水噴射弁12は、請求項の「水噴射装置」に相当する。
水噴射弁12は、内側に水が貯留された水タンク51に接続されており、水タンク51から供給された水を噴射する。具体的には、車両には、水を貯留するための水タンク51が搭載されている。水タンク51と水噴射弁12とは、内側を水が流通する水供給管52によって接続されている。水供給管52には水ポンプ53が設けられている。水ポンプ53が水タンク51内の水を水噴射弁12に圧送することで水噴射弁12に水が供給される。なお、水タンク51には、車外から水が供給されてもよいし、排気ガスから生成された水が供給されてもよい。
(2)制御系
図2は、エンジンの制御系統を示すブロック図である。本図に示されるECU100は、エンジンを統括的に制御するためのマイクロプロセッサであり、周知のCPU、ROM、RAM等から構成されている。このECU100は、請求項の「制御装置」に相当する。
ECU100は各種センサと電気的に接続されており、ECU100にはこれらセンサによる検出情報が入力される。例えば、シリンダブロック3には、クランク軸15の回転角度つまりエンジン回転数(エンジンの回転速度)を検出するクランク角センサSN1が設けられている。吸気通路20には、気筒2に導入される空気の量である吸気量を検出するためのエアフローセンサSN2および気筒2に導入されるガス(吸気)の温度である吸気温を検出するための吸気温センサSN3が設けられている。エンジン本体1のシリンダブロック3やシリンダヘッド4の内部には、エンジン冷却水が流通するウォータジャケット(図示省略)が設けられており、シリンダブロック3には、このウォータジャケット内のエンジン冷却水の温度であるエンジン水温を検出するためのエンジン水温センサSN4が設けられている。水タンク51には、水タンク51に貯留されている水、つまり、水噴射弁12に供給されて水噴射弁12から燃焼室10に噴射される水の温度である噴射水温を検出するための噴射水温センサSN5が設けられている。車両には、当該車両を運転するドライバーにより操作されるアクセルペダルの開度であるアクセル開度を検出するアクセル開度センサSN6が設けられている。ECU100には、少なくとも、これら各センサSN1~SN6により検出された情報、つまり、エンジン回転数、吸気量、吸気温、エンジン水温、噴射水温、アクセル開度が逐次入力される。前記の噴射水温センサSN5は、請求項の「噴射水温検出装置」に相当する。
ECU100は、各センサSN1~SN6から入力された情報等に基づいて種々の判定や演算を実行し、前記判定および演算の結果等に基づいて燃料噴射弁11や水噴射弁12といったエンジンの各部にそれぞれ制御用の信号を出力する。
図3は、エンジン回転数/エンジン負荷に応じた制御の相違を説明するためのマップ図である。本図に示すように、エンジンの運転領域は、2つの領域A1、A2(非ノック領域A1、ノック領域A2)に大別される。
非ノック領域A1は、エンジン負荷が予め設定された切替負荷Tq1以下の領域である。ノック領域A2は、非ノック領域A1を除く残余の高負荷の領域である。ノック領域A2は、エンジン負荷が高いことに伴って非ノック領域A1に比べてノッキングが生じやすい領域であり、ノッキングを抑制するために後述する前段水噴射F1が実施される領域である。ここで、エンジン負荷が同じであっても、燃焼室10の壁面の温度や吸気温が低いときはノッキングは生じにくい。これより、ノック領域A2を規定する切替負荷Tq1は、図3に破線で示したように、燃焼室10の壁面の温度が低い方が切替負荷Tq1は高くされ、吸気温が低い方が切替負荷Tq1は高くされる。
ECU100は、機能的に、運転領域判定部101と、水噴射制御部102と、燃焼制御部103とを備える。
燃焼制御部103は、燃料噴射弁11から燃焼室10に噴射された燃料と空気とが混合した混合気が燃焼室10内で燃焼するように、燃料噴射弁11、吸気弁8および排気弁9等を制御する。前記のように、本実施形態では、全運転領域において、混合気を自着火燃焼させるように構成されており、燃焼制御部103は、混合気の自着火燃焼が実現されるようなタイミングで燃料噴射弁11から燃料を噴射させるとともに吸気弁8および排気弁9を開閉させる。なお、シリンダヘッド4に点火プラグを取り付けて、点火プラグから混合気に点火エネルギーを付与し、これにより混合気の温度をさらに高めることで混合気の自着火を促進させてもよい。
運転領域判定部101は、エンジンが非ノック領域A1とノック領域A2のいずれの領域で運転されているかを判定する。
運転領域判定部101は、まず、燃焼室10の壁面の温度および吸気温に基づいて切替負荷Tq1を設定する。具体的には、燃焼室10の壁面の温度とエンジン水温との相関が高いことから、運転領域判定部101は、エンジン水温が低い方が切替負荷Tq1が高くなり、且つ、吸気温が低い方が切替負荷Tq1が高くなるように、切替負荷Tq1を設定する。次に、運転領域判定部101は、現在のエンジン負荷と切替負荷Tq1とを比較して、エンジン負荷が切替負荷Tq1以下であればエンジンが非ノック領域A1で運転されていると判定し、エンジン負荷が切替負荷Tq1よりも高ければエンジンがノック領域A2で運転されていると判定する。なお、エンジン負荷は、アクセル開度、エンジン回転数等に基づいてECU100により算出される。また、ノック領域A2であるか否かの具体的な判定はこれに限らず、例えば、ノッキングの生じやすさと特に相関の高い燃焼室10の上部の壁面温度を推定して、この推定温度が所定値以上の場合にノック領域A2でエンジンが運転されていると判定してもよい。
水噴射制御部102は、水噴射弁12による水噴射の開始時期や終了時期および噴射する水の量を決定して、これらが実現されるように水噴射弁12を制御する。水噴射制御部102による制御内容について以下に説明する。なお、以下で説明する、吸気弁8、排気弁9の開閉時期や、水噴射の開始、終了に係る各種の時期は、クランク角での時期である。
(水噴射制御部による制御の概要)
図4は非ノック領域A1での水噴射のパターンの一例を示したタイムチャート、図5はノック領域A2での水噴射のパターンの一例を示したタイムチャートである。これら図4および図5には、上から順に、発生する熱発生率(J/deg)と、水噴射の実施時期と、吸気弁8および排気弁9のリフト特性とを示している。
本実施形態では、全領域(非ノック領域A1とノック領域A2の双方の領域)で、熱効率を高めるべく水噴射弁12から燃焼室10内に水が噴射される。
具体的には、燃焼室10内に液体の水を噴射すれば、水の気化潜熱の作用によって燃焼室10内のガスの温度が低減される。ピストン5による圧縮開始時(以下、単に、圧縮開始時という場合がある)の燃焼室10内のガスの温度が低減されれば、燃焼室10内の空気量を低減することなく圧縮開始時の燃焼室10内の圧力が低減される。そのため、燃焼室10内に液体の水を噴射すれば、燃焼室10内の空気量を確保しつつピストン5による圧縮仕事を低減して熱効率を高めることができる。
ただし、吸気弁8が閉弁した後のピストン5の上昇中に水が気化してしまうと、ピストン5によってガスに加えられた圧縮エネルギーが水の気化に消費されてしまい、熱効率の低減効果が充分に得られない。また、排気弁9が開弁している状態で燃焼室10内に液体の水を噴射すると、噴射された水の一部が排気通路30に流出するおそれがある。排気通路30に低温の水が流出すると、排気通路30に設けられた触媒が冷却されて触媒によって排気ガスが充分に浄化されないおそれがある。
これより、水噴射制御部102は、水噴射弁12から噴射される水の全量が気化する時間分、吸気弁8の閉弁時期IVCよりも早い時期までに、水噴射弁12からの水の噴射が完了し、且つ、排気弁9の閉弁時期EVC(以下、排気閉弁時期EVCという)以降に水噴射弁12からの水噴射が開始されるように、水噴射弁12を制御する。つまり、図4に示すように、水噴射弁12から噴射される水の全量が気化する時間を完全気化時間dt_vとすると、水噴射制御部102は、排気閉弁時期EVCから、吸気閉弁時期IVCよりも完全気化時間dt_vだけ進角側の時期(早い時期)tw_limitまでの期間Tmax内でのみ、水噴射弁12から水を噴射させる。以下では、適宜、吸気閉弁時期IVCよりも完全気化時間dt_vだけ進角側の時期tw_limitを水噴射限界時期tw_limitといい、排気閉弁時期EVCから水噴射限界時期tw_limitまでの期間を水噴射可能期間Tmaxという。
ここで、水噴射可能期間Tmax内であっても早い時期に燃焼室10内に水を噴射すると、つまり、排気閉弁時期EVCおよび排気上死点に近い時期に液体の水を燃焼室10内に噴射すると、噴射された水は燃焼室10の壁面やピストン5の冠面5aに付着する。燃焼室10内の温度が比較的低い状態(例えば、エンジン負荷の低い状態)で水がこれらに付着すると、付着した水が気化せずにピストン5と燃焼室10の壁面との間に流入するおそれがある。仮に、一旦気化したとしても、燃焼室10内の温度が低い状態では、吸気弁8の閉弁時期IVCまでの期間が長いことで吸気弁8の閉弁時期IVCまでに水が再度凝縮して、やはりピストン5と燃焼室10の壁面との間に水が流入するおそれがある。ピストン5と燃焼室10の壁面との間に水が流入すると、これらの間を潤滑するオイルが希釈されてしまい好ましくない。一方、燃焼室10内の温度が高い状態であれば、液体の水が燃焼室10の壁面やピストン5の冠面5aに付着することで、付着した水によりピストン5や燃焼室10の壁面を効果的に冷却することができる。
これより、非ノック領域A1であって燃焼室10内の温度が比較的低い領域では、水によるオイル希釈を抑制するべく、図4に示すように、水噴射可能期間Tmax内に1回だけ水を噴射する(W)とともに、この水噴射の終了時期tw_eを水噴射限界時期t_limitにする。
一方、ノック領域A2では、燃焼室10内の温度を低下させてノッキングを抑制するべく、図5に示すように、水噴射可能期間Tmax内の早い時期に一部の水を燃焼室10に噴射する(W1)。そして、水噴射可能期間Tmax内の遅い時期に残りの水を燃焼室10内に噴射して(W2)、この水噴射の終了時期tw2_eを、水噴射限界時期tw_limitにする。つまり、ノック領域A2では、水噴射可能期間Tmax内の早い時期に水を噴射する前段水噴射W1と、遅い時期に水を噴射する後段水噴射W2とが実施されて、水噴射可能期間Tmaxに2回に分けて水が噴射されるとともに、後段水噴射W2の終了時期tw2_eが水噴射限界時期tw_limitとされる。ここで、前段水噴射W1と後段水噴射W2とが実施される場合において、後段水噴射W2を実施するステップが請求項の「水噴射ステップ」に相当する。また、この場合において、後段水噴射W2が開始される時期である後段水噴射開始時期tw2_sが、請求項の「水噴射開始時期」に相当し、後段水噴射W2が終了される時期である後段水噴射終了時期tw2_eが、請求項の「水噴射終了時期」に相当する。
本実施形態では、前段水噴射W1の開始時期(前段噴射開始時期)tw1_sは、排気閉弁時期EVCとされ、水噴射可能期間Tmaxのうち最も早い時期に前段水噴射W1が実施される。なお、後述するように、ノック領域A2においても、エンジン回転数が高いこと等に伴って水噴射可能期間Tmax中に2回に分けて水を噴射するのが困難な場合は、水噴射可能期間Tmaxにわたって1回だけ水が噴射される。
(水噴射弁の制御の詳細)
図6および図7のフローチャート、図8~図10を用いて、ECU100により実施される水噴射弁12の制御の詳細について次に説明する。図8は、エンジン負荷と水噴射の実施時期との関係を示した図であり、縦軸をクランク角とした図である。図9は、各パラメータ((a)はエンジン負荷、(b)は吸気温、(c)は噴射水温)と総水噴射量との関係を示したグラフである。図10は、各パラメータ((a)はエンジン水温、(b)は吸気温、(c)は噴射水温)と水の噴射量と完全気化時間との関係を示したグラフである。
ECU100は、まず、ステップS1にて、各種センサの検出値を読み込む。また、ECU100は、エンジン回転数やエンジン負荷等に基づいて別途設定した吸気閉弁時期IVCおよび排気閉弁時期EVC等を取得する。
次に、EUC100(水噴射制御部102)は、ステップS2にて、燃焼室10内に噴射する水の総量である総水噴射量を決定する。総水噴射量は、1燃焼サイクル中に1の気筒2の燃焼室10に噴射される水の総量である。
総水噴射量が多い方が、圧縮開始時の燃焼室10内の吸気の温度および圧力ひいてはピストン5の圧縮仕事を低減できる。ただし、圧縮開始時の燃焼室10内の吸気の温度が過度に低くなると圧縮上死点付近での混合気の温度が過度に低くなって適切な燃焼が実現されないおそれがある。これより、適切な燃焼が実現される範囲で、総水噴射量はできるだけ多い量とされる。
エンジン負荷が高いときの方が低いときよりも燃焼エネルギーが大きいことで燃焼室内の温度は高く、燃焼安定性が高い。そのため、エンジン負荷が高いときは、適切な燃焼が実現される範囲での圧縮開始時の吸気の温度の低減量を大きくできる。これより、ECU100は、図9(a)に示すように、エンジン負荷が高いほど総水噴射量を多くする。
また、吸気温が高いときも、適切な燃焼が実現される範囲での圧縮開始時の吸気の温度の低減量を大きくできる。これより、ECU100は、図9(b)に示すように、吸気温が高いほど総水噴射量を多くする。また、また、噴射水温が低いときの方が高いときよりも、吸気の温度を所定量低減するのに必要な水の量は少なくてよい。これより、ECU100は、図9(c)に示すように、噴射水温が低いほど総水噴射量を少なくする。
例えば、ECU100は、予め設定されたエンジン負荷と総水噴射量との関係をマップで記憶しており、エンジン負荷に基づいて総水噴射量の基本値を算出し、この基本値を、吸気温および噴射水温で補正することで総水噴射量を算出する。なお、図9(a)は、吸気温および噴射水温が一定であるときのエンジン負荷と総水噴射量との関係を示しており、図9(b)はエンジン負荷および噴射水温が一定であるときの吸気温と総水噴射量との関係を示しており、図9(c)はエンジン負荷および吸気温が一定であるときの噴射水温と総水噴射量との関係を示している。また、エンジン負荷、吸気温、噴射水温に加えて、あるいは、吸気温や噴射水温に代えて、高度や湿度に応じて総水噴射量を変更してもよい。
次に、ECU100(水噴射制御部102)は、ステップS3にて、水噴射弁12から噴射される水の全量(つまり、ステップS1で算出した総水噴射量の水)が気化する時間である完全気化時間dt_vを算出する。水が気化する時間は、その量が多い方が長くなり、燃焼室10の壁面の温度および吸気温が低い方が長くなり、噴射水温が低い方が長くなる。これより、ECU100は、図10(a)に示すように、総水噴射量が多いほど完全気化時間dt_vを長い時間に算出する。また、燃焼室10の壁面の温度と相関の高いエンジン水温が低いほど完全気化時間dt_vを長い時間に算出する。また、図10(b)に示すように、吸気温が低いほど完全気化時間dt_vを長い時間に算出する。また、図10(c)に示すように、噴射水温が低いほど完全気化時間dt_vを長い時間に算出する。例えば、ECU100は、予め設定された総水噴射量およびエンジン水温と完全気化時間dt_vとの関係をマップで記憶しており、このマップから総水噴射量およびエンジン水温に基づいて完全気化時間dt_vの基本値を算出し、この基本値を、吸気温および噴射水温で補正することで完全気化時間dt_vを算出する。なお、図10(a)は、吸気温および噴射水温が一定であるときのエンジン水温および総水噴射量(水噴射量)と完全気化時間dt_vとの関係を示しており、図10(c)はエンジン水温および噴射水温が一定であるときの吸気温および総水噴射量(水噴射量)と完全気化時間dt_vとの関係を示しており、図10(c)はエンジン水温および吸気温が一定であるときの噴射水温および総水噴射量(水噴射量)と完全気化時間dt_vとの関係を示している。
次に、ECU100(水噴射制御部102)は、ステップS4にて、水噴射限界時期tw_limitを決定する。ステップS4にて、ECU100は、水噴射限界時期tw_limitを、吸気閉弁時期IVCからステップS3算出した完全気化時間dt_vだけ進角側の時期(遅い時期)に決定する。
前記のように、エンジン負荷が高いほど総水噴射量は多くされる。これより、図8に示すように、完全気化時間dt_vは、エンジン負荷が高いほど長くなり、水噴射限界時期tw_limitは、エンジン負荷が高いほど進角側となる。なお、図8は、エンジン回転数、エンジン水温、吸気温、噴射水温、吸気閉弁時期IVCおよび排気閉弁時期EVCがそれぞれ一定のときの前記関係を示した図である。
次に、ステップS5にて、ECU100(運転領域判定部101)は、エンジンの現在の運転ポイントがノック領域A2であるか否かを判定する。前記のように、ECU100は、切替負荷Tq1を設定した後、エンジン負荷に基づいて現在の運転ポイントがノック領域A2であるか否かを判定する。
ステップS5の判定がNOであってノック領域A2でエンジンが運転されていないと判定した場合(非ノック領域A1でエンジンが運転されていると判定した場合)、ECU100(水噴射制御部102)は、ステップS6を実施する。
ステップS6にて、ECU100(水噴射制御部102)は、水噴射を開始させる時期である水噴射開始時期tw_sの仮値(以下、仮水噴射開始時期という)を決定する。
ここで、後述するステップS10およびステップS30が実施される場合を除き、水噴射弁12の噴射圧は予め設定された基本噴射圧とされている。つまり、水噴射弁12の噴射圧が基本噴射圧となるように、ECU100は水ポンプ53を制御している。仮水噴射開始時期は、水噴射弁12の噴射圧が基本噴射圧の状態で当該仮水噴射開始時期から水噴射限界時期tw_limitまで水噴射を実施すると、噴射された水の総量がステップS2で決定した総水噴射量になる、という時期である。これより、ECU100は、ステップS4で決定した水噴射限界時期tw_limitと、ステップS2で算出した総水噴射量とに基づいて、仮水噴射開始時期を決定する。
ステップS6にて、ECU100は、まず、総水噴射量に基づき、この総水噴射量の水を噴射するのに必要な噴射時間dt_wを算出する。次に、ECU100は、水噴射限界時期tw_limitから噴射時間dt_wだけ進角側の時期を、仮水噴射開始時期として決定する。
噴射圧が一定の状態では、噴射時間dt_wは総水噴射量が多い方が長くなる。これより、ステップS6にて、ECU100は、総水噴射量が多いほど噴射時間dt_wを長い時間に算出する。例えば、水噴射弁12の噴射圧が基本噴射圧のときの総水噴射量と噴射時間との関係が予め設定されてECU100にマップで記憶されており、ECU100はこのマップから総水噴射量に対応する値を抽出する。前記のように、総水噴射量は、エンジン負荷が高いほど多くされる。従って、図8に示すように、エンジン負荷が高いほど噴射時間dt_wは長くなる。このように、エンジン負荷が高いほど噴射時間dt_wが長くなること、および、前記のように、エンジン負荷が高いほど水噴射限界時期tw_limitiが進角側の時期になることから、エンジン負荷が高いほど仮水噴射開始時期は進角側の時期に決定される。
次に、ステップS7にて、ECU100(水噴射制御部102)は、仮水噴射開始時期が、排気閉弁時期EVCよりも進角側であるか否かを判定する。つまり、ECU100は、水噴射弁12の噴射圧が基本噴射圧の状態で、排気閉弁時期EVCから水噴射限界時期tw_limitまでの期間に総水噴射量の水を噴射できるか否かを判定する。
ステップS7の判定がNOであって、仮水噴射開始時期が排気閉弁時期EVCと同じあるいはこれよりも遅角側であると判定した場合、つまり、水噴射弁12の噴射圧が基本噴射圧の状態で排気閉弁時期EVCから水噴射限界時期tw_limitまでの間に総水噴射量の水を噴射可能であると判定した場合、ECU100は、ステップS8に進む。ステップS8にて、CU100(水噴射制御部102)は、ステップS6で決定した仮水噴射開始時期を水噴射開始時期tw_sとして決定する。前記のように、エンジン負荷が高いほど仮水噴射開始時期は進角側の時期に設定されており、ステップS8において、水噴射開始時期tw_sはエンジン負荷が高いほど進角側の時期に決定される。
ステップS8の後はステップS9に進み、ECU100(水噴射制御部102)は、ステップS8で決定した水噴射開始時期tw_sからステップS4で決定した水噴射限界時期tw_limitまでの期間中、水噴射弁12から水が噴射されるように、水噴射弁12に指令を出す。
一方、ステップS7の判定がYESであって仮水噴射開始時期が排気閉弁時期EVCよりも進角側であると判定した場合、つまり、水噴射弁12の噴射圧が基本噴射圧の状態で排気閉弁時期EVCから水噴射限界時期tw_limitまでの間に総水噴射量の水を噴射できないと判定した場合、ECU100(水噴射制御部102)は、ステップS10にて、排気閉弁時期EVCを水噴射開始時期tw_sとして決定する。
ステップS10の後はステップS11に進み、ECU100(水噴射制御部102)は、水噴射弁12の噴射圧を昇圧して、これを基本噴射圧よりも高くする。具体的には、ECU100は、排気閉弁時期EVCから水噴射限界時期tw_limitにかけての期間でステップS2で決定した総水噴射量の水を噴射可能な噴射圧を算出する。そして、ECU100は、水噴射弁12の噴射圧がこの算出した噴射圧となるように、水ポンプ53に指令を出す。
ステップS11の後は、ステップS9に進む。ステップS10、S11の後に進むステップS9では、排気閉弁時期EVCが水噴射開始時期tw_sとして決定されたことから、ECU100は、排気閉弁時期EVCから水噴射限界時期tw_limitまでの期間中、水噴射弁12から水が噴射されるように、水噴射弁12を制御する。
このように、非ノック領域A2では、排気閉弁時期EVCから水噴射限界時期tw_limitまでの期間中に1回だけ水噴射弁12から水が噴射されるとともに、水噴射が水噴射限界時期tw_limitで終了するように水噴射が実施される。そして、この水噴射限界時期tw_limitが、少なくとも同じエンジン回転数において、エンジン負荷が高いほど進角側の時期とされる。また、水噴射弁12の噴射圧が基本噴射圧の状態で排気閉弁時期EVCから水噴射限界時期tw_limitまでの間に総水噴射量の水を噴射することができない場合を除き、少なくとも同じエンジン回転数において、エンジン負荷が高いほど水噴射開始時期tw_sが進角側の時期、つまり、排気閉弁時期EVCにより近い時期(より近いクランク角)とされる。
ステップS5に戻り、ステップS5の判定がYESであってノック領域A2でエンジンが運転されていると判定した場合、ECU100(水噴射制御部102)は、ステップS21を実施する。
ステップS21にて、ECU100(水噴射制御部102)は、前段水噴射W1によって燃焼室10内に噴射する水の量である前段水噴射量と、後段水噴射W2によって燃焼室10内に噴射する水の量である後段水噴射量とを決定する。ECU100は、前段水噴射量と後段水噴射量の合計に対する前段水噴射量の割合(以下、前段水噴射割合という)を決定し、ステップS2で決定した総水噴射量に前段水噴射割合を乗じた値を、前段水噴射量として決定する。また、ECU100は、決定した前段水噴射量を総水噴射量から差し引いた値を、後段水噴射量として決定する。
前記のように、前段水噴射W1は、ノッキングを抑制するべく燃焼室10の壁面を水で冷却するためのものである。これより、ECU100は、エンジン負荷が高くノッキングが生じやすいときほど、前段水噴射割合を大きい値に決定する。また、前記のように、エンジン負荷が高いほど総水噴射量は多くされる。これに伴い、エンジン負荷が高いほど前段水噴射量は多くされる。ただし、前段水噴射割合は、エンジン負荷が高いほど後段水噴射量が多くなる範囲とされ、前段水噴射量と後段水噴射量とはともにエンジン負荷が高いほど多くされる。なお、前記の構成に代えて、エンジン負荷とエンジン水温等から燃焼室10の上部の壁面の温度を予測して、この予測温度が高いほど前段水噴射割合を大きくしてもよい。
次に、ステップS22にて、ECU100(水噴射制御部102)は、前段水噴射W1を終了させる時期である前段噴射終了時期tw1_eの仮値(以下、仮前段噴射終了時期Xtw1_eという)を決定する。なお、前記のように、前段水噴射W1は、排気閉弁時期EVCから開始させるようになっており、排気閉弁時期EVCが、前段水噴射W1を開始させる時期である前段噴射開始時期として決定される。仮前段噴射終了時期Xtw1_eは、水噴射弁12の噴射圧が基本噴射圧の状態で前段噴射開始時期つまり排気閉弁時期EVCから当該仮前段噴射終了時期Xtw1_eまで水噴射を実施すると、噴射された水の総量がステップS21で決定した前段水噴射量になる、という時期である。
ステップS22にて、ECU100は、まず、水噴射弁12の噴射圧が基本噴射圧である状態で、ステップS21で決定した前段水噴射量の水を噴射するのに必要な噴射時間dt_w1を算出する。ステップS6と同様に、この噴射時間dt_w1は、前段水噴射量が多いほど長い時間に算出される。前記のように、エンジン負荷が高いほど前段水噴射量は多くされる。これより、前記の噴射時間dt_w1はエンジン負荷が高いほど長い時間に算出される。次に、ECU100は、前段噴射開始時期つまり排気閉弁時期EVCから前記の噴射時間dt_w1だけ遅角側の時期を仮前段噴射終了時期Xtw1_eとして決定する。
次に、ステップS23にて、ECU100(水噴射制御部102)は、後段水噴射W2を開始させる時期である後段噴射開始時期tw2_sの仮値(以下、仮後段噴射開始時期Xtw2_sという)を決定する。仮後段噴射開始時期Xtw2_sは、水噴射弁12の噴射圧が基本噴射圧の状態で当該仮後段噴射開始時期Xtw2_sから水噴射限界時期tw_limitまで水噴射を実施すると、噴射された水の総量がステップS21で決定した後段水噴射量になる、という時期である。
ECU100は、まず、水噴射弁12の噴射圧が基本噴射圧である状態で、ステップS21で決定した後段水噴射量の水を噴射するのに必要な噴射時間dt_w2を算出する。ステップS22と同様に、この噴射時間dt_w2は、後段水噴射量が多いほど長い時間に算出される。前記のように、後段水噴射量はエンジン負荷が高いほど多くされる。これより、前記の噴射時間dt_w2は、エンジン負荷が高いほど長い時間に決定される。次に、ECU100は、ステップS4で決定した水噴射限界時期tw_limitから前記の噴射時間dt_w2だけ進角側の時期を、仮後段噴射開始時期Xtw2_sとして決定する。
次に、ステップS24にて、ECU100(水噴射制御部102)は、ステップS23で決定した仮後段噴射開始時期Xtw2_sがステップS22で決定した仮前段噴射終了時期Xtw1_eよりも進角側であるか否かを判定する。つまり、水噴射弁12の噴射圧を基本噴射圧に維持したまま、排気閉弁時期EVCから水噴射限界時期tw_limitまでの期間に総水噴射量を前段水噴射W1と後段水噴射W2とに分割して噴射することが可能であるか否かを判定する。例えば、図8においてエンジン負荷が所定の負荷Tq_aよりも高い領域では、仮後段噴射開始時期Xtw2_sが仮前段噴射終了時期Xtw1_eよりも進角側の時期となり、水噴射弁12の噴射圧を基本噴射圧に維持したままでは総水噴射量を分割して噴射することができない。
ステップS24の判定がNOであって仮後段噴射開始時期Xtw2_sが仮前段噴射終了時期Xtw1_eと同じあるいはこれよりも遅角側である場合、ステップS25に進む。ステップS25にて、ECU100(水噴射制御部102)は、仮前段噴射終了時期Xtw1_eを前段噴射終了時期tw1_eとして決定する。また、その後、ステップS26に進み、ECU100(水噴射制御部102)は、仮後段噴射開始時期Xtw2_sを後段噴射開始時期tw2_sとして決定する。
ステップS26の後はステップS27に進み、ECU100(水噴射制御部102)は、排気閉弁時期EVCからステップS25で決定した前段噴射終了時期tw1_eまでの期間中、水噴射弁12から水が噴射されるように水噴射弁12に指令を出して、前段水噴射W1を実施する。また、ステップS28にて、ECU100(水噴射制御部102)は、ステップS26で決定した後段噴射開始時期tw2_sからステップS4で決定した水噴射限界時期tw_limitまでの期間中、水噴射弁12から水が噴射されるように水噴射弁12に指令を出して、後段水噴射W2を実施する。
一方、ステップS24の判定がYESであって、仮後段噴射開始時期Xtw2_sが仮前段噴射終了時期Xtw1_eよりも進角側であると判定した場合、ECU100(水噴射制御部102)は、ステップS29にて、ECU100(水噴射制御部102)は、水噴射弁12の噴射圧を昇圧して、これを基本噴射圧よりも高くする。具体的には、ステップS11と同様に、ECU100は、排気閉弁時期EVCから水噴射限界時期tw_limitにかけての期間でステップS2で決定した総水噴射量の水を噴射可能な噴射圧を算出する。そして、ECU100は、水噴射弁12の噴射圧がこの算出した噴射圧となるように、水ポンプ53に指令を出す。
ステップS29の後はステップS30に進み、ECU100(水噴射制御部102)は、排気閉弁時期EVCから水噴射限界時期tw_limitまでの期間中、水噴射弁12から水が噴射されるように、水噴射弁12を制御する。
このように、ノック領域A2では、基本的に、排気閉弁時期EVCから開始される前段水噴射W1と、前段水噴射W1から所定の期間を開けて開始される後段水噴射W2とが実施される。そして、後段水噴射W2の終了時期であって水噴射の終了時期が非ノック領域A2と同様に、水噴射限界時期tw_limitとされる。また、水噴射限界時期tw_limitにて噴射が終了する後段水噴射W2の開始時期である後段噴射開始時期tw_e2が、少なくとも同じエンジン回転数において、エンジン負荷が高いほど進角側の時期、つまり、排気閉弁時期EVCにより近い時期(より近いクランク角)とされる。
ただし、ノック領域A2においても、水噴射弁12の噴射圧を基本噴射圧に維持したまま、排気閉弁時期EVCから水噴射限界時期w_limitまでの期間に総水噴射量を前段水噴射W1と後段水噴射W2とに分割して噴射することが不可能な場合は、水噴射弁12の噴射圧が昇圧されつつ、排気閉弁時期EVCから水噴射限界時期tw_limitまでにわたって水噴射弁12から一括して水が噴射される。
このように、本実施形態のエンジンでは、燃料噴射弁11から燃焼室10に噴射された燃料と空気が混合した混合気を燃焼させる燃焼ステップに加えて、燃焼室10に水を噴射する水噴射ステップが全運転領域において実施される。また、運転領域判定部101によってノック領域A2でエンジンが運転されているか否かを判定する運転領域判定ステップが実施されて、この判定結果に基づき、基本噴射圧に維持したままで分割噴射が可能な場合において、前段水噴射W1を実施する前段水噴射ステップと、後段水噴射W2を実施する後段水噴射ステップ(水噴射ステップ)とが実施される。
(3)作用等
以上説明したとおり、本実施形態のエンジンでは、燃焼室10に水が噴射される。そのため、水によって燃焼室内の吸気の温度・圧力およびピストン5の圧縮仕事を低減してエンジンの熱効率を高めることができる。しかも、排気閉弁時期EVCから吸気閉弁時期IVCまでの期間中に水が噴射される。そのため、吸気弁8の閉弁後に燃焼室10内で水が気化してこの水の気化にピストン5の圧縮仕事が消費されるのを抑制して熱効率を高めつつ、水が排気通路30に流出して排気ガスひいては触媒を冷却するのを防止できる。
特に、吸気弁8の閉弁時期IVCに対し、総水噴射量の水が気化する時間だけ早い水噴射限界時期tw_limitに水の噴射が終了される。そのため、噴射された水を吸気弁8が閉弁するまでに確実に気化させて、エンジンの熱効率をより確実に向上できる。また、前記のように、燃焼室10内の温度が低い状態で排気閉弁時期EVCおよび排気上死点に近い時期に液体の水を燃焼室10内に噴射すると、オイル希釈が生じるおそれがある。これに対して、燃焼室10内の温度が比較的低い非ノック領域A1において、全ての水の噴射がこの水噴射限界時期tw_limitに終了されて、排気閉弁時期EVCからできるだけ遅い時期に水が噴射されることで、オイル希釈を抑制できる。また、ノック領域A2においても、後段水噴射W2がこの水噴射限界時期tw_limitに終了されることで、オイル希釈を抑制できる。
また、このように水噴射限界時期tw_limitに水の噴射を終了させつつ、水噴射の開始時期、詳細には非ノック領域A1における水噴射開始時期tw_sと、ノック領域A2における後段噴射開始時期tw2_sとが、それぞれエンジン負荷が高いほど排気閉弁時期EVCにより近い時期(クランク角)に設定される。そのため、エンジン負荷が高いときには、多量の水を燃焼室10に噴射させて、吸気の温度を充分に低減できるとともに、エンジン負荷が低いときには、多量の水が燃焼室10に噴射されることで吸気の温度が過度に低下して燃焼安定性が悪化するのを抑制できる。従って、燃焼安定性を確保しつつエンジンの熱効率を確実に向上できる。
また、本実施形態では、ノック領域A2でエンジンが運転されており燃焼室10内の温度が高い場合に、前段水噴射W1を実施して、一部の水を排気上死点近傍で燃焼室10に噴射している。そのため、水噴射によるオイル希釈を抑制しつつ、ピストン5や燃焼室10の壁面を効果的に冷却してノッキングの発生を抑制することができる。特に、水噴射弁12が、ピストン5の冠面5aに向けて放射状に水を噴射するように燃焼室10の天井に取り付けられている。そのため、前段水噴射W1の実施によって燃焼室10の壁面の上部を確実に冷却してノッキングの発生を確実に抑制できる。
また、本実施形態では、図10(c)に示したように、噴射水温が高いほど総水噴射量を多くしている。そのため、燃焼室10内の吸気の温度が過度に低減するのを抑制して燃焼安定性を確保できるとともに、噴射される水の温度が高い場合に、吸気の温度を確実に低減して熱効率をより一層確実に高めることができる。
(4)変形例
前記実施形態では、非ノック領域A1とノック領域A2とで水噴射の制御内容を異ならせた場合を説明したが、エンジンの運転領域全体で非ノック領域A1の制御を実施してもよい。
また、前記実施形態では、総水噴射量を排気閉弁時期EVCから水噴射限界時期tw_limitまでの期間に噴射できない場合に、水噴射弁12の噴射圧を高めて前記の期間に総水噴射量を噴射させる場合を説明した。これに代えて、前記各場合において、水噴射弁12の噴射圧を基本噴射圧に維持して総水噴射量を低減してもよい。
また、前記実施形態では、全運転領域において混合気を自着火させる場合を説明したが、混合気の燃焼形態はこれに限らない。また、前記実施形態では、燃料を燃焼室10に噴射させた場合を説明したが、燃焼室10に燃料を供給するための構成はこれに限らず、吸気ポート6に燃料が噴射されるようにしてもよい。
2 気筒
5 ピストン
6 吸気ポート
7 排気ポート
8 吸気弁
9 排気弁
10 燃焼室
11 燃料噴射弁(燃料供給装置)
12 水噴射弁(水噴射装置)
100 ECU(制御装置)
101 運転領域判定部
102 水噴射制御部
103 燃焼制御部
SN5 噴射水温センサ(噴射水温検出装置)
tw_s 水噴射開始時期
tw_e 水噴射終了時期
tw1_s 前段噴射開始時期
tw1_e 前段噴射終了時期
tw2_s 後段噴射開始時期(水噴射開始時期)
tw2_e 後段噴射終了時期(水噴射終了時期)

Claims (6)

  1. ピストンが往復動可能に収容された気筒と、前記気筒と前記ピストンとによって区画された燃焼室に燃料を供給する燃料供給装置と、前記燃焼室に水を噴射する水噴射装置と、前記燃焼室に空気を導入するための吸気ポートを開閉する吸気弁と、前記燃焼室から既燃ガスを排出するための排気ポートを開閉する排気弁とを備えたエンジンを制御する方法であって、
    前記燃料供給装置から供給された燃料と空気とが混合した混合気を燃焼させる燃焼ステップと、
    前記排気弁の閉弁時期から前記吸気弁の閉弁時期までの期間中に前記水噴射装置から前記燃焼室内に水を噴射させる水噴射ステップとを含み、
    前記水噴射ステップによる水噴射の終了時期を、当該終了時期から前記吸気弁の閉弁時期までの時間が、前記水噴射装置から噴射される水の全量が気化する時間になるように設定するとともに、
    前記水噴射ステップによる水噴射の開始時期を、エンジン負荷が高いときの方が低いときよりも前記排気弁の閉弁時期に近いクランク角になるように設定する、ことを特徴とするエンジンの制御方法。
  2. 請求項1に記載のエンジンの制御方法において、
    前記水噴射装置は、前記ピストンの冠面に向けて放射状に水を噴射するように前記燃焼室の天井に取り付けられており、
    ノッキングが発生しやすい領域として予め設定されたノック領域でエンジンが運転されているか否かを判定する運転領域判定ステップと、
    前記運転領域判定ステップにてエンジンが前記ノック領域で運転されていると判定されたときに実施されて、前記排気弁の閉弁時期よりも後、且つ、前記水噴射ステップによる水噴射の開始前に前記水噴射装置から水を噴射させる前段水噴射ステップとをさらに含む、ことを特徴とするエンジンの制御方法。
  3. 請求項1または2に記載のエンジンの制御方法において、
    前記水噴射装置によって噴射される水の温度が低いときの方が高いときよりも前記水噴射ステップにて前記燃焼室内に噴射する水の総量を少なくする、ことを特徴とするエンジンの制御方法。
  4. ピストンが往復動可能に収容された気筒と、前記気筒と前記ピストンとによって区画された燃焼室に燃料を供給する燃料供給装置と、前記燃焼室に水を噴射する水噴射装置と、前記燃焼室に空気を導入するための吸気ポートを開閉する吸気弁と、前記燃焼室から既燃ガスを排出するための排気ポートを開閉する排気弁とを備えたエンジンの制御装置であって、
    前記燃料供給装置から供給された燃料と空気とが混合した混合気を燃焼させる燃焼制御部と、
    前記排気弁の閉弁時期から前記吸気弁の閉弁時期までの期間中の水噴射開始時期に前記水噴射装置からの水の噴射が開始されて、前記期間中の水噴射終了時期に前記水噴射装置からの水の噴射が終了するように、前記水噴射装置を制御する水噴射制御部を備え、
    前記水噴射制御部は、
    前記水噴射終了時期から前記吸気弁の閉弁時期までの時間が前記水噴射装置から噴射される水の全量が気化する時間になるように前記水噴射終了時期を設定するとともに、
    前記水噴射開始時期を、エンジン負荷が高いときの方が低いときよりも前記排気弁の閉弁時期に近いクランク角になるように設定する、ことを特徴とするエンジンの制御装置。
  5. 請求項4に記載のエンジンの制御装置において、
    前記水噴射装置は、前記ピストンの冠面に向けて放射状に水を噴射するように前記燃焼室の天井に取り付けられており、
    ノッキングが発生しやすい領域として予め設定されたノック領域でエンジンが運転されているか否かを判定する運転領域判定部を備え、
    前記水噴射制御部は、
    前記運転領域判定部によって前記ノック領域でエンジンが運転されていると判定されたときは、前記排気弁の閉弁時期から前記吸気弁の閉弁時期までの期間中の前段噴射開始時期から、前記水噴射開始時期よりも前の前段噴射終了時期までの間、水を噴射する前段水噴射と、前記水噴射開始時期から前記水噴射終了時期までの間、水を噴射する後段水噴射とが実施されるように、前記水噴射装置を制御し、
    前記運転領域判定部によって前記ノック領域でエンジンが運転されていないと判定されたときは、前記前段水噴射の実施が停止され且つ前記後段水噴射が実施されるように、前記水噴射装置を制御する、ことを特徴とするエンジンの制御装置。
  6. 請求項4または5に記載のエンジンの制御装置において、
    前記水噴射装置によって噴射される水の温度である噴射水温を検出する噴射水温検出装置を備え、
    前記水噴射制御部は、前記噴射水温検出装置によって検出された前記噴射水温が低いときの方が高いときよりも前記水噴射装置から前記燃焼室内に噴射される水の総量を少なくする、ことを特徴とするエンジンの制御装置。
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