JP4432386B2 - 内燃機関 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、内燃機関に関する。
【0002】
【従来の技術】
内燃機関の燃焼状態は運転空燃比によって大きく変化する。一般に空燃比が低下して理論空燃比よりリッチになると機関の燃焼状態は空燃比の低下とともに悪化して不安定になる。
【0003】
特にディーゼル機関では、燃焼状態が最も安定するのはリーン空燃比の領域であり、リーン空燃比であっても空燃比が低下するにつれて燃焼状態が悪化し、多量の煤が発生するようになる。また、リッチ空燃比の領域では燃焼は更に不安定になり失火が生じやすくなる。このため、従来ディーゼル機関を理論空燃比またはリッチ空燃比で安定して運転することは困難であると考えられていた。
【0004】
一方、機関排気を浄化する排気浄化触媒には一定の時間毎にリッチ空燃比の排気を供給する必要があるものがある。
例えば、流入する排気の空燃比がリーン空燃比のときに排気中のNOXを吸収、吸着またはその両方により吸蔵し、流入する排気の空燃比が理論空燃比またはリッチ空燃比になったときに排気中のCO等の還元成分や未燃HC成分により吸蔵したNOXを還元浄化するNOX吸蔵還元触媒が知られている。
【0005】
ところが、このようなNOX吸蔵還元触媒を排気浄化触媒としてディーゼル機関の排気通路に配置して排気中のNOXを浄化する場合には、通常運転時のリーン空燃比排気中のNOXを吸蔵した後に、一時的にリッチ空燃比の排気をNOX吸蔵還元触媒に供給して、吸蔵したNOXを浄化する必要が生じる。
ところが、前述したように、リッチ空燃比の排気を触媒に供給するためにディーゼル機関の運転空燃比を低下させていくと、リーン空燃比の領域であっても多量の煤が発生したり、燃焼が不安定になる問題がある。
【0006】
例えば、特許文献1は、ディーゼル機関においていわゆる低温燃焼を行うことにより、煤の発生を阻止しながら機関空燃比を理論空燃比或いはリッチ空燃比まで低下させることを可能とする技術を開示している。
特許文献1は、ディーゼル機関のように、燃焼室内の不活性ガス量を増大していくと煤の発生が次第に増大する内燃機関において、煤の発生量が増大してピークに達するある特定の不活性ガス量が存在し、燃焼室内の不活性ガス量を上記特定不活性ガス量より更に増大させることにより、燃焼室内における燃焼時の燃料およびその周囲のガス温度を煤が生成される温度よりも低い温度に抑制することが可能であることを開示している。すなわち、特許文献1の機関は、燃焼室内の不活性ガス量を煤の発生量がピークに達する上記特定不活性ガス量より更に多い量にすることにより、燃焼室内における煤の生成を阻止しながら理論空燃比またはリッチ空燃比の運転を行うことを可能としている。(本明細書では、燃焼室内の不活性ガス量を上記特定不活性ガス量より増大させた状態で行う、煤の発生を伴わない機関の運転を「低温燃焼運転」と呼んでいる。)
【0007】
【特許文献1】
特開平11−36923号公報
【特許文献2】
特開平11−351016号公報
【特許文献3】
特開2000−64879号公報
【0008】
【発明が解決しようとする課題】
上記のように、低温燃焼を行うことにより煤の発生を伴うことなくディーゼル機関の運転空燃比を低下させることが可能となる。しかし、ディーゼル機関をリッチ空燃比で運転する場合には、上記の煤の問題以外にも問題が生じる。
【0009】
ディーゼル機関等では、通常大幅なリーン空燃比運転が行われているため吸入空気量を変えずに燃料の増量のみで空燃比をリッチにしようとすると、大幅な燃料の増量が必要となる。このため、ディーゼル機関の運転空燃比を低下させる際には、吸気絞りやEGR(排気ガス還流)、若しくはその両方を行うことにより燃焼室内に吸入される新気量を低下させる必要がある。(なお、本明細書に言う運転空燃比とは、燃焼室に供給される新気の量と燃焼室に供給(噴射)される燃料量との比として定義される。)
ところが、吸気絞りやEGRにより新気量を低減すると燃焼室内での燃焼が不安定になる。このため、ディーゼル機関の空燃比を低下させながら安定した運転を維持するためには燃焼室内の新気の量をある程度以下に低下させることができない。このことは、低空燃比運転時にも新気の量に見合っただけの量の燃料を燃焼させる必要があるため、燃料量もある程度以上減少させることができないこと、すなわち、安定な低空燃比運転を行うためには機関出力トルクをある程度高く維持する必要があることを意味している。
【0010】
これは、低温燃焼を行った場合も同じであり、不活性ガスとしてのEGR供給量を増大すると(すなわち新気量を低減して機関出力トルクを低下させると)燃焼が不安定になるため、低出力時に安定したリッチ空燃比燃焼を得ることは困難である。
ところが、実際の運転においては市街地走行などでは機関の低負荷運転が続く場合がある。このような場合に、安定したリッチ空燃比運転を行うことができないと、排気浄化にリッチ空燃比の排気を必要とするNOX吸蔵還元触媒などのような排気浄化触媒を使用している場合には排気浄化が不十分になる問題がある。
【0011】
通常、このような場合には、燃焼不安定による失火などが生じても運転に大きな支障がでないように、例えば機関減速時などに一時的に機関空燃比をリッチ空燃比にするようにすることが行われる。しかし、この場合にも燃焼が不安定であるため出力トルクの変動が生じたり運転者の予期しないトルク変動(増大)が発生するため、車両用機関では運転性が悪化する等の問題が生じる。
本発明は上記従来技術の問題に鑑み、低負荷運転時においても安定したリッチ空燃比の運転を行うことにより、排気浄化触媒の排気浄化作用を良好に維持することが可能な内燃機関を提供することを目的としている。
【0012】
【課題を解決するための手段】
請求項1に記載の発明によれば、燃焼室に不活性ガスとしてのEGRガスが供給された状態において、運転空燃比が理論空燃比近傍のリーン空燃比からリッチ空燃比の領域では運転空燃比を低下させるにつれて燃焼状態の不安定の度合が増大し、更に運転空燃比を低下させていくと空燃比が10近傍の特定リッチ空燃比までは燃焼状態の不安定の度合いが増大し、空燃比が前記特定リッチ空燃比より下回ると急激に燃焼状態の不安定の度合が減少する圧縮着火内燃機関であって、必要に応じて、EGRガスを供給しつつ前記特定リッチ空燃比以下の空燃比での安定した運転を行うようにした圧縮着火内燃機関が提供される。
【0013】
前述したように、ディーゼル機関においては低負荷(低出力トルク)領域において安定したリッチ空燃比燃焼を行うことは困難な問題があった。また、低温燃焼運転を行うことにより、ある程度煤の発生を伴わないリッチ空燃比の運転は可能であるものの、リッチ空燃比運転可能な機関負荷領域は比較的狭く、特に低負荷領域でのリッチ運転を行うことは困難である。
【0014】
ところが、本発明者はある条件の下ではディーゼル機関での安定した低負荷リッチ空燃比運転が可能となることを実験的に見出した。
例えば吸気絞りまたはEGRを用いた低空燃比運転時に、吸気条件は変化させずに徐々に機関への燃料噴射量を増大して空燃比を低下させると燃焼状態は空燃比の低下とともに徐々に悪化して不安定になり、失火が生じやすくなる。このため、従来燃焼状態の悪化が始まる空燃比(例えば理論空燃比近傍の空燃比)以下でのディーゼル機関の運転は困難であると考えられていた。
【0015】
ところが、実際には上記燃焼状態の悪化が始まる空燃比から更に燃料を増量して空燃比を低下させて行くと、空燃比が10近傍のある特定のリッチ空燃比に到達するまでは空燃比の低下とともに燃焼状態は悪化するものの、空燃比が上記特定空燃比を更に下回ると燃焼状態が急激に変化して燃焼が極めて安定することが判明したのである。この燃焼が安定する空燃比は、従来ディーゼル機関では失火が生じると考えられていたリッチ限界空燃比(例えば理論空燃比近傍の空燃比)より遙かにリッチ空燃比となることが判明している。
【0016】
すなわち、燃焼室内に供給する新気量を少なくした状態で例えばリーン空燃比の安定した機関の運転を行っている状態から、新気量は変えずに燃料量のみを増大して空燃比を前記特定リッチ空燃比以下に低下させると、新気量の少ない状態のままでリッチ空燃比の安定した運転が可能となる。
この場合、供給した燃料の全量が燃焼に寄与する訳ではなく、一部のみが燃焼し、残りは未燃HCやCO等として排気とともに燃焼室から排出されることになるが、このため機関出力は燃料供給量ではなく実際に燃焼する燃料量、すなわち供給する新気量により定まるようになり、新気量が少ない場合には機関出力トルクも小さくなる。また、燃焼状態は極めて安定しており煤の発生も非常に少ないことが判明している。
【0017】
すなわち、上記のように従来の限界と考えられていた空燃比より遙かに低い空燃比で燃焼を行うことにより、従来より低負荷の領域でも安定したリッチ空燃比燃焼を行うことが可能となるのである。
本明細書では、前述の特定空燃比より低い空燃比で得られる安定したリッチ空燃比燃焼を通常の不安定なリッチ空燃比燃焼と区別するために「超リッチ空燃比燃焼」と呼ぶことにする。
【0018】
すなわち、請求項1の発明では、上記のように空燃比を特定リッチ空燃比以下まで低下させた超リッチ空燃比燃焼を行うことにより、低負荷での安定したリッチ空燃比運転を行うことが可能となる。
【0019】
請求項2に記載の発明によれば、前記機関は更に、燃焼室内の不活性ガス量を増大するにつれて煤の発生量が増大してある特定不活性ガス量になったときに煤の発生量がピークになり前記特定不活性ガス量より燃焼室内の不活性ガス量を多くすることにより煤の生成が阻止されるようになる内燃機関であり、前記特定リッチ空燃比以下の空燃比での運転は、燃焼室内の不活性ガス量が前記特定不活性ガス量より多い状態で行う、請求項1に記載の圧縮着火内燃機関が提供される。
【0020】
すなわち、請求項2の発明では低温燃焼を行う機関で、低温燃焼中に超リッチ空燃比燃焼が行われる。これにより、低温燃焼時の低負荷時にも安定したリッチ空燃比運転を行うことが可能となる。
【0023】
請求項3に記載の発明によれば、前記特定リッチ空燃比より高い空燃比の運転からの前記特定リッチ空燃比以下の空燃比での運転への切換は、前記特定リッチ空燃比より高い空燃比での運転から、燃焼室内の新気量を変化させずに燃料を増加することにより実行する、請求項1または請求項2に記載の圧縮着火内燃機関が提供される。
【0024】
すなわち、請求項3の発明では特定リッチ空燃比以上の空燃比での運転(リーン空燃比運転を含む)から、機関への燃料供給量を増大させることにより超リッチ空燃比燃焼への移行を行う。これにより、EGRガス量や吸入空気量を変化させる場合より迅速に、しかも機関出力トルクの変動を伴わずに超リッチ空燃比燃焼への移行を行うことが可能となる。
【0025】
請求項4に記載の発明によれば、前記特定リッチ空燃比以下の空燃比での運転を、機関低負荷運転領域で実行する、請求項1から請求項3のいずれか1項に記載の圧縮着火内燃機関が提供される。
【0026】
すなわち、請求項4の発明では超リッチ空燃比燃焼による運転は機関低負荷運転領域で実行する。このため、機関低負荷運転時にもリッチ空燃比の燃焼を行い、リッチ空燃比の機関排気を発生させることが可能となる。
【0027】
請求項5に記載の発明によれば、前記機関低負荷運転領域は、機関出力トルク15Nmまたはそれ以下の領域である、請求4に記載の圧縮着火内燃機関が提供される。
【0028】
すなわち、例えば自動車用機関の場合、法規制によるテスト走行モードで15Nm以下の低負荷領域での連続運転を行った場合の排気ガスの性状テストが要求される場合がある。請求項5の発明では、例えばNOX吸蔵還元触媒のような排気浄化触媒を用いた場合にも、要求される低負荷運転モードでリッチ空燃比の排気を排気浄化触媒に供給することができる。
【0029】
請求項6に記載の発明によれば、前記機関は、燃焼室内に直接燃料を噴射する燃料噴射弁を備え、前記燃料噴射弁の燃料噴射圧は、60MPaまたはそれ以上である、請求項1または請求項2に記載の圧縮着火内燃機関が提供される。
【0030】
請求項7に記載の発明によれば、前記燃料噴射圧は130MPaまたはそれ以上である、請求項6に記載の圧縮着火内燃機関が提供される。
【0031】
実験により確認された事実では、燃焼室に燃料噴射を行う場合には、噴射圧が60MPa、好ましくは130MPa以上の場合に良好な超リッチ空燃比燃焼を得ることができる。請求項6、請求項7の発明では燃料噴射圧力を60MPaまたは130MPa以上とすることにより超リッチ空燃比燃焼を得ている。
【0032】
請求項8に記載の発明によれば、更に、機関排気通路に排気浄化のためにリッチ空燃比の排気を必要とする排気浄化触媒を備え、前記排気浄化触媒が排気浄化のためにリッチ空燃比排気を必要とするときに前記特定リッチ空燃比以下の空燃比での運転を行うようにした、請求項1から請求項7のいずれか1項に記載の圧縮着火内燃機関が提供される。
【0033】
すなわち、請求項8の発明では例えば、NOX吸蔵還元触媒等のように排気浄化のためにリッチ空燃比の排気を必要とする排気浄化触媒を用いた排気浄化が行われる。この場合、排気浄化触媒がリッチ空燃比の排気を必要とするときに超リッチ空燃比燃焼を行うことにより、機関低負荷運転時にも排気浄化触媒の排気浄化性能の低下を防止することができる。
【0034】
【発明の実施の形態】
以下、添付図面を用いて本発明の実施形態について説明する。
図1は、本発明を適用した内燃機関の概略構成の一例を示す図である。
図1において、符号1は内燃機関全体を示す。本実施形態では機関1として4サイクルディーゼル機関が使用される。図1において、2はエンジン1の吸気通路、20は吸気通路2に設けられたサージタンク、21はサージタンク20と各気筒の吸気ポートとを接続する吸気枝管である。本実施形態では、吸気通路2には吸気通路2を流れる吸入空気の流量を絞るスロットル弁27、および吸気を冷却するインタクーラ26が設けられている。スロットル弁27はソレノイド、バキュームアクチュエータ等の適宜な形式のアクチュエータ27aを備え、後述する電子制御ユニット(ECU)30からの制御信号に応じた開度をとる。
吸気通路2に流入した大気は、排気過給機(ターボチャージャ)35の圧縮機により昇圧され、吸気通路2に設けたインタクーラ26により冷却された後サージタンク20、枝管21を経て各気筒に吸入される。
【0035】
図1に111で示すのは、各気筒内に直接燃料を噴射する燃料噴射弁である。燃料噴射弁111は、高圧燃料を貯留する共通の蓄圧室(コモンレール)115に接続されている。機関1の燃料は高圧燃料ポンプ113により昇圧されてコモンレール115に供給され、コモンレール115から各燃料噴射弁111を介して直接各気筒内に噴射される。
【0036】
また、図1に31で示すのは各気筒の排気ポートと排気通路3とを接続する排気マニホルド、35で示すのはターボチャージャである。ターボチャージャ35は排気通路3の排気により駆動される排気タービン35aと、この排気タービンにより駆動される吸気圧縮機35bとを備えている。図1に37で示すのは排気通路に配置された、排気の空燃比を検出する空燃比センサである。空燃比センサ37からの排気空燃比に対応した出力信号は、ECU30の入力ポートに供給されている。
【0037】
更に、本実施形態ではエンジン排気の一部を吸気系に循環させるEGR装置が設けられている。EGR装置は、排気マニホルド31と吸気サージタンク20とを連通するEGR通路33、およびEGR通路33上に配置されたEGR弁23、およびEGR弁23上流側のEGR通路に設けられたEGRクーラ45を備えている。EGR弁23は図示しないステッパモータ、ソレノイドアクチュエータ等のアクチュエータを備え、ECU30からの制御信号に応じた開度をとり、EGR通路33を通って吸気サージタンク20に流入するEGRガス流量を制御する。
【0038】
図1に30で示すのは、エンジン1の電子制御ユニット(ECU)である。本実施形態のECU30は、公知の構成のマイクロコンピュータとして構成され、CPU、RAM、ROM、入力ポート、出力ポートを双方向性バスで相互に接続した構成とされている。ECU30はエンジン1の燃料噴射量、回転数の制御を行うとともに、本実施形態では後述するように必要に応じて機関1の超リッチ空燃比燃焼を行う。
【0039】
これらの制御を行うため、ECU30の入力ポートには、前述の排気空燃比センサ37が図示しないA/D変換器を介して接続されているほか、各気筒の燃料噴射弁111に接続され、各燃料噴射弁111からの燃料噴射量及び燃料噴射次期を制御している。
本実施形態では、機関1の排気通路3の過給機下流側には、NOX吸蔵還元触媒41が配置されている。NOX吸蔵還元触媒41は、流入する排気空燃比がリーンのときに排気中のNOXを吸収、吸着またはその両方により触媒内燃機関に吸蔵し、流入する排気の空燃比がリッチ空燃比になったときに、排気中のCO等の還元成分や未燃HCを用いて吸蔵したNOXを還元浄化する触媒である。
【0040】
本実施形態の機関1はディーゼル機関であり、大部分の機関運転状態においてリーン空燃比燃焼を行う。このため、通常の運転中、NOX吸蔵還元触媒41は排気中のNOXを吸蔵する。従って、機関1のリーン空燃比運転がある時間続くと触媒41のNOX吸蔵量は増大して、触媒41が吸蔵したNOXで飽和してしまうおそれがある。NOX吸蔵還元触媒41が吸蔵したNOXで飽和すると触媒41はもはや排気中のNOXを吸蔵することができなくなり、排気中のNOXが触媒41を通過してそのまま大気に放出されてしまうようになる。
【0041】
従って、NOX吸蔵還元触媒41を用いて機関排気を浄化している場合には、NOX吸蔵還元触媒41が吸蔵したNOXで飽和する前に機関排気をリッチ空燃比にして、触媒41に吸蔵されたNOXを還元浄化する事により触媒41のNOX吸蔵量を低下させる必要がある。
そこで、本実施形態ではリーン空燃比運転中にNOX吸蔵還元触媒41の吸蔵NOXを還元浄化する必要が生じた時には、機関1で前述の超リッチ空燃比運転をおこなった後、NOX吸蔵還元触媒41にリッチ空燃比の排気を供給するようにしている。
【0042】
ディーゼル機関の空燃比を低下させるためには、燃料噴射量を増量する必要があるが、通常運転時の空燃比はかなりリーンであるため燃焼室内に吸入される空気量を維持したままで燃料噴射量増量のみにより空燃比を低下させると、大幅な機関出力増大を生じる。
このため、本実施形態では吸気通路2に配置したスロットル弁27を絞り燃焼室に吸入される空気(新気)量を低減させ、大幅な燃料噴射量増量を伴わずに空燃比を低下させている。また、吸気行程で燃焼室に充填されるガス量全体が大幅に減ってしまうと圧縮時の燃焼室内温度が低下して圧縮着火が困難になる場合がある。
【0043】
このため、本実施形態ではスロットル弁27を絞るとともにEGR弁23を開き排気マニホルド内の排気の一部をEGRクーラー45で冷却後EGR通路33を通じてサージタンク20から燃焼室内に導入して、燃焼室内に吸入されるガス量(新気量とEGRガス量との合計量)が大幅に低下することを防止している。
このように、吸気絞りとEGRとを併用することによりディーゼル機関であっても空燃比をある程度低下させた状態で安定した運転を行うことができる。ところが、更に燃料噴射量を増量して空燃比を理論空燃比付近まで低下させると燃焼が次第に不安定になり、空燃比がリッチになると更に、燃料噴射量の増大(空燃比の低下)とともに燃焼の不安定が増大し失火が生じやすくなる。
【0044】
このため、従来ディーゼル機関のリッチ空燃比での安定した運転は困難であると考えられていた。
ところが、本発明者はディーゼル機関の燃焼研究の過程で、リッチ空燃比側で空燃比の低下とともに悪化する燃焼状態が、空燃比が更に低下してある特定のリッチ空燃比以下になると急激に変化して、極めて安定した燃焼状態になることを発見した。
【0045】
すなわち、空燃比が低下するにつれて燃焼は不安定になり、リッチ空燃比領域では空燃比の低下による燃焼の悪化が大きくなるものの、空燃比を更に低下させたある特定リッチ空燃比以下の空燃比では極めて安定したリッチ空燃比運転、すなわち前述したように超リッチ空燃比燃焼運転が可能となるのである。
図2及び図3は空燃比低下による燃焼状態変化の実験結果の一例を説明する図である。
【0046】
図2、図3では、図1の機関1として直列4気筒、排気量1995cm3(ボア82.2mm×ストローク94mm)のターボチャージャ直噴ディーゼル機関(インタークーラ付き)を用いて、機関回転数を一定(約2000rpm)に維持して運転を行っている。また、スロットル弁27とEGR弁23との開度は固定して吸入空気量(新気量)を一定(0.3グラム/回転)に維持したままで、燃料噴射量を増量することにより空燃比を変化させている。本測定においては燃料噴射圧は130MPa(一定)、燃料噴射タイミングは−18度ATDC(一定)とされ、燃料噴射量は8.8〜19.9mm3の範囲で変化している。
図2、図3でA〜Hで示した点の空燃比(A/F)は、AからHの順に、A/F=17.6(A)、15.7(B)、13.9(C)、13.1(D)、12.0(E)、11.0(F)、10.2(G)、9.0(H)となっている。
【0047】
図2は、上記の状態で燃料噴射量を変化させることにより空燃比を変化させた場合のδPiの変化を示している。
ここで、δPiは、各サイクルの図示平均有効圧力の標準偏差を表しており、δPiが大きいほど各サイクルの平均有効圧力の変動が大きいことを意味する。
従って、δPiの値は、燃焼状態の安定の度合いを表す指標として用いることができ、δPiの値が小さいほど燃焼が安定しており、大きいほど不安定になっている。経験的にはδPiの値が10kPa以下の領域では燃焼状態が安定していると言うことができる。
【0048】
図2では、まずリーン空燃比側で安定した低負荷運転状態(出力トルク15Nm程度)を維持しながら最も空燃比が低下するようにスロットル弁27開度とEGR弁23開度、及び燃料噴射量を調整した。この状態では、空燃比は17.6となり図2に示すようにδPiは8kPa程度であり、安定した運転状態が得られている(図2、A点)。
【0049】
しかし、上記の空燃比17.6の運転状態から、機関回転数、スロットル弁27開度、EGR弁23開度を一定に維持したまま徐々に燃料噴射量を増大して空燃比を低下させると燃焼状態は不安定になり、図2、点B(A/F=15.7)付近ではδPiは20kPa付近まで上昇して失火寸前になる。
また、空燃比がリッチになるとδPiは多少低下するものの(点C)、空燃比の低下とともに再度δPiの値が増大して燃焼状態が不安定になって行く。
【0050】
すなわち、この例では、従来の考え方では安定した運転が可能な空燃比の下限値(リッチ限界)は17.6(点A)である。
ところが、上記の点C(A/F=13.9)から更に燃料噴射量を増大させて行くと、燃焼状態は徐々に悪化するものの、図2の点G(A/F=10.2)付近から急激にδPiの値が減少し、点H(A/F=9.0)ではδPiの値は6kPa程度となり、極めて安定した運転状態を得ることができることが判明した。この運転点の空燃比は、従来運転限界と考えられていた下限値(リッチ限界)より遙かに低い値となっている。
【0051】
図2から判るように、この燃焼状態の急激な変化は空燃比10付近を境に生じ、空燃比10以下では燃焼状態は急激に安定する。
図3は、この時の機関出力変化を示す。図3から判るように機関出力トルクは、安定したリーン空燃比運転(点A)から空燃比が低下するにつれて(燃料噴射量が増大するにつれて)増大するが、理論空燃比よりややリッチになると逆に減少を始め、空燃比10付近で燃焼状態の急激な変化が生じると急激に低下し、13Nm以下になる(点H)。
【0052】
すなわち、安定した低負荷運転が可能なリーン空燃比限界(点A)から新気量を変えずに燃料噴射量を増大させることにより大幅に空燃比を低下させて超リッチ燃焼運転(点H)に移行すると、リーン空燃比限界(点A)と同等若しくはそれ以下の出力トルクで安定したリッチ空燃比運転を行うことが可能となるのである。
図4は、図2、図3の各点での運転における筒内圧線図と、この筒内圧に基づいて算出した熱発生率とを示しており、筒内圧カーブA〜H、及び熱発生率カーブA′〜H′は、それぞれ図2、図3の点A〜Hの運転における筒内圧と熱発生率との変化を示している。
【0053】
図4においてカーブ0は、燃焼室内で燃焼が生じていない状態における筒内圧変化(すなわち、モータリング時の圧縮/膨張のみによる圧力変化)を示している。いま、筒内圧について見ると、空燃比17.6(点A)の筒内圧変化(カーブA)では明瞭な燃焼による圧力上昇(カーブAの点P近傍)ピークが見られ、熱発生率カーブ(図4、カーブA′)では上死点後の熱発生率の増加率(傾き)も比較的大きく、燃焼が安定していることが判る。
【0054】
ところが、この状態から空燃比が低下して15.7(図2、点B)になると、燃焼による筒内圧の圧力上昇はほとんどなくなってしまい(カーブB)、熱発生率の傾きも小さくなる(カーブB′)。すなわち、この状態では燃焼は極めて不安定であり、失火が生じる寸前になっていることが判る。
しかし、その後更に空燃比を低下させていくと、筒内圧カーブにおける燃焼による圧力上昇、熱発生率カーブの傾斜とはともに増大し(カーブC、C′)、超リッチ燃焼運転時(カーブH、H′)では、ほぼ点Aと同じ状態まで回復している。すなわち、空燃比を低下させて行き、燃焼不安定なリッチ空燃比領域を通過して超リッチ空燃比燃焼領域に到達すると、再び燃焼状態は安定するのである。また、この状態では燃焼が安定するため発生する煤の量も極めて少なくなる。
【0055】
上記は、比較的EGRガス量が少ない運転状態からの超リッチ空燃比燃焼での計測結果を示しているが、煤の発生を抑制するためにEGRガス供給量を通常より増大させた低温燃焼運転から超リッチ空燃比燃焼に移行した場合も上記と同様に安定した低負荷リッチ空燃比運転を得ることができる。
上述のように、実際に機関の空燃比を低下させて行くと従来運転が不可能と考えられていたリッチ空燃比領域(例えばA/F≦10の領域)では、現実に安定した低負荷運転を行うことができる。しかし、現在のところ、何故超リッチ空燃比燃焼領域では燃焼が安定するメカニズムは明らかになっていない。
【0056】
この、超リッチ空燃比燃焼領域で燃焼が安定する理由として発明者により以下に説明するいくつかの仮説が立てられているものの、いずれも未だ実証されておらず仮説の域を出ていない。
以下、超リッチ空燃比燃焼領域で燃焼が安定するメカニズムの仮説について説明する。
【0057】
(1)高圧燃料噴射による混合気形成状態の改善
図5は、燃料噴射圧を低下させた場合の筒内圧及び熱発生率の変化を示す図4と同様な図である。前述したように、図2から図4の計測は、燃料噴射圧130MPaの条件下で行っている。これに対して、図5の例では燃料噴射圧を60MPaとした場合を示している。
【0058】
前述したように、図4(燃料噴射圧130MPa)の場合には、空燃比を低下させていくと一旦A/F=15.7(カーブB及びB′)付近で失火寸前まで燃焼状態が悪化するものの、更に空燃比を低下していくと燃焼状態は回復する。
これに対して、燃料噴射圧を60MPaまで低下した図5の場合には、筒内圧の燃焼によるピーク、熱発生率の傾斜はともに空燃比が低下するにつれて小さくなってしまい、回復することがない。このため、図5の場合には空燃比を12より低下させると失火が生じている。
【0059】
すなわち、超リッチ空燃比燃焼を行うためには、筒内燃料噴射圧は少なくとも60MPa以上であることが必要とされ、更に130MPa以上であることが好ましいと言える。
このことから、図2から図4に示す場合に空燃比10以下で燃焼が安定することに、燃料噴射圧が何らかの形で寄与している可能性がある。
【0060】
すなわち、燃料噴射圧が60MPaより高い範囲では、高い噴射圧により燃焼室内に噴射された燃料が微粒化し、空気との混合が促進されるため、低空燃比領域においても燃焼に適した混合気が形成されるため超リッチ空燃比燃焼が可能となっている可能性があるのである。
(2)未燃ガスの燃焼室への還流
図6は、機関1のサージタンク20に空燃比センサを仮設して運転中の吸気の空燃比を計測した結果を示す。図6の縦軸は吸気空燃比(吸気中の新気量と未燃燃料などの可燃成分量との比)を横軸は排気の空燃比を、それぞれ示している。
【0061】
本実施形態では、図1に示すようにEGR通路33により排気マニホルド31内の排気の一部がEGRガスとしてサージタンク20に還流されている。このため、各気筒から排出される排気中に可燃物(未燃燃料など)が含まれている場合には、その可燃物の一部も排気とともに還流することとなる。
一方、運転空燃比がリッチになればなるほど排気中の可燃物(HC、CO等)は増大するため、EGRガスとともにサージタンクに戻る可燃物の量も増大する。
【0062】
このため、この可燃物を多量に含む排気はサージタンクに流入する新気と混合して混合気を形成する。この混合気の空燃比はEGRガスとともにサージタンクに還流する可燃物の量が多いほど、言い換えれば運転空燃比が低下すれほど低く(リッチに)なる。図6は、排気空燃比と吸気空燃比との関係を示すものであるが、図6に示すようにサージタンク20内の吸気空燃比は排気空燃比が低下するにつれて低下し、超リッチ空燃比燃焼実施時(排気空燃比で10以下)には燃焼室に吸入される吸気の空燃比は既に17程度まで低下しており可燃空燃比の範囲に入っている。
【0063】
しかも、この吸気は、HC、CO等の可燃物と新気との極めて良好な混合気であり燃焼しやすい状態になっている。このため、超リッチ空燃比燃焼時には吸気行程から燃焼しやすい状態の混合気が既に燃焼室内に充填されていることになる。超リッチ空燃比燃焼時には、圧縮行程上死点近傍で噴射された燃料が着火すると燃焼室全体に形成された上記の可燃混合気が燃焼室全体で燃焼するようになるため、失火が生じず極めて安定した燃焼が可能となっている可能性がある。
【0064】
すなわち、超リッチ空燃比燃焼時には機関のEGR通路を介して未燃燃料などの可燃物を含む未燃ガスが燃焼室に回り込み再吸入され、この未燃ガスが良好な燃焼状態を作り出すとも考えられるのである。
いずれにせよ、上記2つの説はまだ仮設の域を出ていないため超リッチ空燃比燃焼のメカニズムについては今後の研究による解明を待つ必要があるが、現実にディーゼル機関を燃焼不安定なリッチ空燃比領域より更に低い空燃比で運転すると極めて安定した低負荷運転が可能になるのである。
【0065】
本実施形態の機関では、上述したように超リッチ空燃比燃焼を行うことにより安定した低負荷リッチ空燃比運転を行うことが可能となるため、低負荷運転時にもNOX吸蔵還元触媒41の吸蔵したNOXを効率的に還元浄化することが可能となる。
実際の機関運転状態では市街地走行時などで低負荷(低出力トルク)運転が行われる機会が多い。例えば図7は通常の市街地走行を模したEC(欧州共同体)規則による車両走行テストモードの一例を示している。図7に示すように市街地走行モードでは出力トルク15Nm以下の低負荷領域での運転の機会が多くなっている。このため、市街地走行モードで運転中にNOX吸蔵還元触媒等の吸蔵したNOXを効率的に還元浄化するためには、ディーゼル機関においても例えば出力トルク15Nm以下の低負荷運転時に安定したリッチ空燃比燃焼運転を行う必要が生じるのである。
【0066】
前述したように、従来ディーゼル機関をリッチ空燃比で(特に低負荷時にリッチ空燃比で)安定して運転することは困難と考えられていた。このため、従来市街地走行モードにおいてNOX吸蔵還元触媒などの排気浄化にリッチ空燃比排気を必要とする排気浄化装置を使用する場合には、多少燃焼状態が不安定になったり失火が生じても運転には大きな障害を生じない減速運転(エンジンブレーキ)中に短時間理論空燃比近傍のリッチ空燃比運転を行っていた。
【0067】
ところが、上述した超リッチ空燃比燃焼時より空燃比の高い(リーンな)従来のリッチ空燃比運転では、燃焼状態が不安定であり安定してリッチ空燃比排気を触媒に供給できない問題があるだけでなく、減速運転中にリッチ空燃比への切換を行うことにより大きな機関出力トルク変動(増大)が生じる問題がある。
減速運転中の大きな機関出力トルク変動は、運転そのものには大きな障害を生じることはないものの、運転者が予期しない出力トルク変動が生じるために運転性(いわゆる乗り心地)が大幅に悪化する問題が生じていた。
【0068】
これに対して、前述したように、超リッチ空燃比燃焼を行うことにより本実施形態では安定した低負荷リッチ空燃比燃焼を行うことができるため、市街地走行時等にも減速運転中に限定されることなくNOX吸蔵還元触媒等にリッチ空燃比の排気を供給することが可能となる。
更に、超リッチ空燃比燃焼運転は空燃比10以下という従来の常識よりはるかに低い空燃比で行われるため、排気中のHC、CO等の排気浄化に寄与する成分の量も従来よりはるかに多くなる。このため、例えばNOX吸蔵還元触媒の吸蔵したNOXを還元浄化する際にも従来の理論空燃比に比較的近い空燃比でのリッチ空燃比運転の場合に比して短時間で吸蔵NOXの還元浄化を完了することが可能となる。
【0069】
【発明の効果】
各請求項に記載の発明によれば、低負荷運転時に機関の安定したリッチ空燃比燃焼運転を行うことが可能となるため、排気浄化のためにリッチ空燃比排気を供給することが必要な排気浄化装置を使用する場合にも、大きな機関出力トルクの変動を伴うことなく、また機関減速運転中等に限定されることなく低負荷運転中にも排気浄化装置の排気浄化性能を高く維持することが可能となるという共通の効果を奏する。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明を適用した内燃機関の概略構成の一例を示す図である。
【図2】空燃比の変化による燃焼状態の変化を説明する図である。
【図3】空燃比の変化による燃焼状態の変化を説明する図である。
【図4】空燃比の変化による筒内圧と熱発生率との変化を示す図である。
【図5】空燃比の変化による筒内圧と熱発生率との変化を示す図である。
【図6】排気空燃比の変化による吸気空燃比への影響を説明する図である。
【図7】市街地走行モードの一例を示す図である。
【符号の説明】
1…ディーゼル機関本体
20…サージタンク
23…EGR弁
27…スロットル弁
30…ECU
33…EGR通路
41…NOX吸蔵還元触媒
111…燃料噴射弁
Claims (8)
- 燃焼室に不活性ガスとしてのEGRガスが供給された状態において、運転空燃比が理論空燃比近傍のリーン空燃比からリッチ空燃比の領域では運転空燃比を低下させるにつれて燃焼状態の不安定の度合が増大し、更に運転空燃比を低下させていくと空燃比が10近傍の特定リッチ空燃比までは燃焼状態の不安定の度合いが増大し、空燃比が前記特定リッチ空燃比より下回ると急激に燃焼状態の不安定の度合が減少する圧縮着火内燃機関であって、必要に応じて、EGRガスを供給しつつ前記特定リッチ空燃比以下の空燃比での安定した運転を行うようにした圧縮着火内燃機関。
- 前記機関は更に、燃焼室内の不活性ガス量を増大するにつれて煤の発生量が増大してある特定不活性ガス量になったときに煤の発生量がピークになり前記特定不活性ガス量より燃焼室内の不活性ガス量を多くすることにより煤の生成が阻止されるようになる内燃機関であり、前記特定リッチ空燃比以下の空燃比での運転は、燃焼室内の不活性ガス量が前記特定不活性ガス量より多い状態で行う、請求項1に記載の圧縮着火内燃機関。
- 前記特定リッチ空燃比より高い空燃比の運転からの前記特定リッチ空燃比以下の空燃比での運転への切換は、前記特定リッチ空燃比より高い空燃比での運転から、燃焼室内の新気量を変化させずに燃料を増加することにより実行する、請求項1または請求項2に記載の圧縮着火内燃機関。
- 前記特定リッチ空燃比以下の空燃比での運転を、機関低負荷運転領域で実行する、請求項1から請求項3のいずれか1項に記載の圧縮着火内燃機関。
- 前記機関低負荷運転領域は、機関出力トルク15Nmまたはそれ以下の領域である、請求項4に記載の圧縮着火内燃機関。
- 前記機関は、燃焼室内に直接燃料を噴射する燃料噴射弁を備え、前記燃料噴射弁の燃料噴射圧は、60MPaまたはそれ以上である、請求項1または請求項2に記載の圧縮着火内燃機関。
- 前記燃料噴射圧は130MPaまたはそれ以上である、請求項6に記載の圧縮着火内燃機関。
- 更に、機関排気通路に排気浄化のためにリッチ空燃比の排気を必要とする排気浄化触媒を備え、前記排気浄化触媒が排気浄化のためにリッチ空燃比排気を必要とするときに前記特定リッチ空燃比以下の空燃比での運転を行うようにした、請求項1から請求項7のいずれか1項に記載の圧縮着火内燃機関。
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