JP4479141B2 - エンジンの排気浄化装置及び排気浄化方法 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、エンジンの排気浄化装置及び排気浄化方法に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
自動車用エンジンの燃焼室から排気通路に排出される排ガスには、NOx(窒素酸化物)、HC(炭化水素)、CO(一酸化炭素)、PM(大気浮遊物質)等の大気汚染物質が含まれているので、これらの大気汚染物質を浄化するため、排気通路には排気浄化触媒を用いた排気浄化装置が設けられる。そして、かかる排気浄化触媒を用いて、NOxは還元により浄化され、HC、CO及びPMは酸化により浄化される。なお、NOxは還元により浄化される関係上、その浄化にはNOxから酸素を奪う還元剤が不可欠であるが、自動車用エンジンでは、排ガス中のHCが還元剤として利用される。
【0003】
そして、NOxは、排ガス中のO2濃度が低いときに還元剤を利用してN2に還元され、浄化される。しかしながら、従来の普通の排気浄化触媒(例えば、三元触媒)では、排ガス中のO2濃度が高いときにはNOxを還元するのが困難である。そこで、近年、排ガス中のO2濃度が高いときにNOxを吸収する一方、排ガス中のO2濃度が低くなったときにNOxを放出するNOx吸収材を用いたNOxトラップ触媒が普及しつつある。
【0004】
かかるNOxトラップ触媒は、通常の運転時、すなわち排ガス中のO2濃度が比較的高くNOxを還元するのが困難なときにはNOx吸収材にNOxを吸収させ、NOxの大気中への放出を防止する。そして、NOx吸収材のNOx吸収量が飽和状態に達したときに、例えば膨張行程噴射を行うなどして排ガス中のO2濃度を低下させるとともにHC濃度を高め、NOx吸収材にNOxを放出させ、この放出されたNOxを排ガス中の還元剤を利用してN2に還元するようにしている(例えば、特開平11−050894号公報参照)。なお、特開平11−050894号公報に開示された排気浄化装置では、NOxトラップ触媒の上流に酸化触媒を配置し、NOxトラップ触媒の熱劣化を抑制しつつ排気空燃比をリッチにして、NOx吸収材から放出されたNOxを還元するようにしている。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、例えば特開平11−050894号公報に開示されているNOxトラップ触媒を用いた従来の排気浄化装置では、NOx吸収材からNOxを放出させる際、排ガス中のO2濃度を低下させ、ないしはHC濃度を高めるために膨張行程で余分な燃料を噴射しなければならないので、燃費性能が低下するといった問題がある。また、膨張行程で噴射された燃料によって煤が発生するといった問題もある。
なお、NOx吸収材からNOxを放出させる際に、膨張行程噴射ではなく、点火時期の遅角あるいは排気系への燃料噴射などを行うことによっても排ガス中のO2濃度を低下させることができるが、これらの場合でも、燃費性能の低下ないしは煤の発生が起こる。
【0006】
本発明は、上記従来の問題を解決するためになされたものであって、燃費性能の低下あるいは煤の発生などといった不具合を招くことなく、NOxトラップ触媒を用いてNOxを有効に浄化することができるエンジンの排気浄化装置ないしは排気浄化方法を提供することを解決すべき課題とする。
【0007】
【課題を解決するための手段】
上記課題を解決するためになされた本発明にかかるエンジンの排気浄化装置は、(i)排ガス中のO2濃度が高いとき(例えば、3%以上)に、すなわちO2過剰雰囲気で、NOxを吸収し、この後排ガス中のO2濃度が低下したとき(例えば、1%以下)に、吸収したNOxを放出するNOx吸収材と、(ii)NOx吸収材の上流で排ガスに還元剤(HC等)を供給する主還元剤供給手段とを備えたエンジンの排気浄化装置において、(iii)NOx吸収材の上流に配置され、所定の着脱反転温度以下では排ガス中のHCを吸着する一方着脱反転温度を超えると吸着しているHCを放出するHC吸着材と触媒金属とを含有するHC吸着触媒を備えていて、(iv)主還元剤供給手段が、少なくともNOx吸収材にNOxが吸収され、かつHC吸着触媒にHCが吸着されている状態で、HC吸着触媒に吸着されているHCの燃焼によって排ガス中のO2濃度が低下したときに、NOx吸収材からNOxを放出させるべく還元剤(HC等)を増量するようになっていることを特徴とするものである。
【0008】
ここで、主還元剤供給手段は、例えば、膨張行程噴射、点火時期の遅角、空燃比のリッチ化、排気系への燃料噴射等により、排ガスに還元剤(HC等)を供給する。また、NOx吸収材は、貴金属等の触媒金属を含有していてもよい。
この排気浄化装置では、HC吸着触媒に吸着されているHCが燃焼して排ガス中のO2濃度が大きく低下したときに、NOx吸収材からNOxを放出させ、ひいては還元させるために主還元剤供給手段によって還元剤が増量される。したがって、HCの燃焼により排ガス中のO2濃度が低下した分だけ、排ガス中のO2濃度を低下させ、ないしは還元剤濃度を高めるための還元剤の増量を抑制することができる。このため、燃費性能の低下あるいは煤の発生を抑制ないしは防止しつつ、NOxを有効に浄化することができる。
【0009】
上記エンジンの排気浄化装置においては、主還元剤供給手段が、HC吸着触媒の上流で排ガスに還元剤(HC等)を供給するようになっていて、HC吸着触媒の温度が、該HC吸着触媒(HC吸着材)に吸着されているHCが燃焼するような所定の吸着HC燃焼温度範囲内にあるときに、排ガス中の還元剤を増量状態から減量させる副還元剤供給手段を備えているのが好ましい。なお、主還元剤供給手段が副還元剤供給手段を兼ねるようにしてもよい。この場合、排ガス中の還元剤を増量状態から減量状態に早急に切り替えることにより、HC吸着触媒に吸着されているHCを急激に燃焼させることができ、排ガス中のO2濃度を大幅に低下させることができる。
【0010】
上記エンジンの排気浄化装置において、副還元剤供給手段は、HC吸着触媒の触媒金属による酸化触媒性能が所定度合い以下であり、かつHC吸着触媒の温度が吸着HC燃焼温度範囲内にあるとき(すなわち、HC吸着触媒のHC浄化率が所定値となる温度(ライトオフ)より低い所定温度範囲のとき)に、還元剤を増量させ、その後減量させるようになっているのが好ましい。この還元剤の増量ないしは減量は、NOx吸収量が多いとき、又は触媒温度が上昇して吸着HC燃焼温度範囲を移行する毎に行われる。この場合も、排ガス中の還元剤を増量状態から減量状態に早急に切り替えることにより、HC吸着触媒に吸着されているHCを急激に燃焼させることができ、排ガス中のO2濃度を大幅に低下させることができる。
【0011】
上記エンジンの排気浄化装置において、主還元剤供給手段は、副還元剤供給手段による還元剤の上記減量の開始から所定期間経過後(すなわち、排ガス中のO2濃度が低下したとき)に、NOx吸収材に吸収されたNOxを放出させるべく還元剤を増量するようになっているのが好ましい。この場合、排ガス中のO2濃度の低下時に限って還元剤の増量が行われるので、燃費性能の低下をより有効に抑制ないしは防止することができる。
【0012】
上記エンジンの排気浄化装置において、HC吸着触媒の吸着HC燃焼温度範囲を判定する燃焼温度判定手段を備えているのが好ましい。吸着HC燃焼温度範囲は、HC吸着触媒の劣化に伴って高温側に移行する。このため、HC吸着触媒のモニタシステムにより、あるいは該エンジンを搭載した車両の走行距離等により、HC吸着触媒の劣化状況を判定し、これに基づいて吸着HC燃焼温度範囲を把握するのが好ましい。このようにすれば、吸着HC燃焼温度範囲を的確に検出して、還元剤の増減を実行することができるので、還元剤の消費量をより有効に抑制することができる。
【0013】
上記エンジンの排気浄化装置においては、NOx吸収材に吸収されているNOx量を推定するNOx量推定手段を備えていて、副還元剤供給手段(ないしは主還元剤供給手段)が、NOx量の推定値が所定量以上のときに還元剤の供給を実行するようになっているのが好ましい。このようにすれば、NOx吸収材のNOx吸収量が大きいときにのみ、NOxを放出するための還元剤の増量を実行することができるので、還元剤の消費量をさらに有効に抑制することができる。
【0014】
上記エンジンの排気浄化装置においては、HC吸着触媒の触媒金属がPtであり、HC吸着材がゼオライトであるのが好ましい。この場合、Ptはゼオライト(サポート材)に担持される。すなわち、ゼオライトはサポート材として機能する。
【0015】
本発明にかかるエンジンの排気浄化方法は、(i)排ガス中のO2濃度が高いときにNOxを吸収しこの後吸収したNOxを排ガス中のO2濃度が低下したときに放出するNOx吸収材と、NOx吸収材の上流で排ガスに還元剤を供給する主還元剤供給手段と、NOx吸収材の上流に配置され所定の着脱反転温度以下では排ガス中のHCを吸着する一方着脱反転温度を超えると吸着しているHCを放出するHC吸着材と触媒金属とを含有するHC吸着触媒とを用いて排ガスを浄化するようにしたエンジンの排気浄化方法であって、(ii)少なくともNOx吸収材にNOxが吸収され、かつHC吸着触媒にHCが吸着されている状態で、HC吸着触媒に吸着されているHCの燃焼によって排ガス中のO2濃度が低下したときに、NOx吸収材からNOxを放出させるべく、還元剤を増量するようにしたことを特徴とするものである。
【0016】
この排気浄化方法によれば、上記排気浄化装置の場合と同様に、HCの燃焼により排ガス中のO2濃度低下した分だけ、排ガス中のO2濃度を低下させ、ないしは還元剤濃度を高めるための還元剤の増量を抑制することができ、燃費性能の低下あるいは煤の発生を抑制ないしは防止しつつ、NOxを有効に浄化することができる。
【0017】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の実施の形態を具体的に説明する。
図1に示すように、自動車用の多気筒ディーゼルエンジン1(以下、「エンジン1」という。)の各気筒(1つのみ図示)おいては、吸気行程で吸気通路2から燃焼室3内に燃料燃焼用のエアが吸入される。この燃焼室3内のエアは、圧縮行程でピストン4によって圧縮され、高温・高圧状態となる。そして、圧縮行程上死点付近ないし膨張行程で、燃料噴射弁5から燃焼室3内の高温・高圧のエア中に燃料(軽油等)が噴射され、この燃料は自己着火して燃焼する。なお、後で説明するように、燃料噴射は基本噴射(メイン噴射)とポスト噴射とに2分割して行われる。燃料の燃焼によって生じた燃焼ガスすなわち排ガスは、排気行程で排気通路6に排出される。このような行程が繰り返されてピストン4が往復運動し、このピストン4の往復運動はクランク軸7の回転運動に変換される。
【0018】
燃料噴射弁5は噴射口が燃焼室3に臨むように配置され、燃焼室3内に直接燃料を噴射する。ここで、燃料噴射弁5は燃料供給通路8に接続されている。燃料供給通路8には、クランク軸7によって駆動される高圧燃料ポンプ9と、各気筒に燃料を分配する燃料分配器10とが介設されている。高圧燃料ポンプ9は、燃料供給通路8内の燃料圧が所定値以上に保持されるように作動する。
【0019】
吸気通路2には、該吸気通路2から燃焼室3へのエアの流れを調整する調整弁11(開閉弁)が設けられている。また、図示していないが、吸気通路2には、エアの流れ方向にみて、上流側から順に、エア中のダスト等を除去するエアクリーナと、エア流量を検出するエアフローセンサとが設けられている。なお、エンジン1には、エンジン水温(エンジン温度)を検出する水温センサ19が設けられている。
【0020】
排気通路6には、排ガス中のHC、CO、NOx等を浄化するために、排ガス流れ方向にみて上流側から順に、第1排気浄化装置12(触媒コンバータ)と第2排気浄化装置13(触媒コンバータ)とが介設されている。第1排気浄化装置12には、その触媒温度を検出する触媒温度センサ14が付設されている。そして、第1排気浄化装置12(触媒)の上流には、排気通路6内の排ガス中のO2濃度を検出する上流側O2センサ15(リニアO2センサ)が設けられている。また、第1排気浄化装置12の下流(第2排気浄化装置13の上流)にも、排気通路6内の排ガス中のO2濃度を検出する下流側O2センサ16(リニアO2センサ)が設けられている。
【0021】
第1排気浄化装置12には、酸化性能を有し、主として排ガス中のHC及びCOを酸化して浄化するHC吸着触媒が用いられている。このHC吸着触媒においては、触媒金属がサポート材であるゼオライトに担持されている。そして、触媒金属担持ゼオライトは、コージェライト製ハニカム担体の表面にコートされる。また、サポート材であるゼオライトは、HC吸着材として機能し、所定温度範囲(着脱反転温度範囲)以下では排ガス中のHCを吸着する一方、該所定温度範囲を超えると吸着しているHCを放出する。
【0022】
具体的には、HC吸着触媒のサポート材(母材)には、多孔性のMFI(ゼオライト)が用いられている。そして、このMFIは、触媒金属としてPt(白金)、Rh(ロジウム)、Pd(パラジウム)等を担持している。なお、HC吸着触媒のサポート材として、MFIに代えて、多孔性のβ型ゼオライト、あるいは多孔性のY型ゼオライトを用いてもよい。MFI、βゼオライト、Y型ゼオライト等のゼオライトは、いずれも、所定温度(例えば、200〜240℃)以下ではHCを吸着(トラップ)する一方、該所定温度を超えるとこのHCを放出するといった性質を有している。
【0023】
また、第2排気浄化装置13には、還元性能を有し、主として排ガス中のNOxを還元して浄化するNOxトラップ触媒が用いられている。このNOxトラップ触媒は、触媒金属と、排ガス中のO2濃度が高いときにNOxを吸収しこの後排ガス中のO2濃度が低下したときに、吸収したNOxを放出するNOx吸収材とを含有している。
【0024】
具体的には、NOxトラップ触媒は、触媒成分であるPtと、NOx吸収材であるBaと、サポート材であるAl2O3とを含んでいる。ここで、Baは排ガス中のO2濃度が比較的低いとき(リーン)は、排ガス中のNOx(NO、NO2)を吸収する。なお、Baは、Ba(NO3)2の形態でNOxを吸収することが多い。他方、Baは、排ガス中のO2濃度が高いとき(リッチ)は、吸収しているNOxを、排気ガス中にNOあるいはNO2の形態で放出する。そして、このときPtは、排ガス中のHCを還元剤として利用し、NOxをN2に還元する。なお、Baは、その温度(触媒温度)がおおむね200℃未満ではNOxをよく吸収するが、200℃以上となると、吸収しているNOxを放出する傾向が強くなる。なお、NOxトラップ触媒は、NOxトラップ性能が活性状態のときにHC吸着触媒がHCを脱離する温度域となるようにHC触媒と近接して配置されるか、あるいは低温活性に優れるNOxトラップ材と高温でHCを脱離するHC吸着材とが使用される。
【0025】
また、エンジン1には、排気通路6内の排気ガスの一部をEGRガスとして吸気通路2に還流させるEGR通路17が設けられている。このEGR通路17には、EGRガス流量を制御するEGR制御弁18が介設されている。これにより、排気通路6内の排気ガスの一部を、EGR制御弁18により流量調節しながら吸気通路2に還流させることができる。したがって、燃焼室3にはエンジン外部から導入されるエア(新気)と、EGR制御弁18を経由するEGRガス(排気ガス)とが吸入される。
【0026】
さらに、エンジン1には、燃料制御等の各種エンジン制御を行うとともに、第1排気浄化装置12(HC吸着触媒)のモニタ制御を行い、かつ第2排気浄化装置13(NOxトラップ触媒)のNOxトラップ制御を行うコントロールユニット20が設けられている。このコントロールユニット20は、特許請求の範囲に記載された第1還元剤供給手段、第2還元剤供給手段、HC燃焼温度判定手段等を含むエンジン1の総合的な制御装置であって、各種制御情報に基づいて、後で説明するモニタ制御、燃料制御(NOxトラップ制御を含む)等の各種制御を行うようになっている。以下、図2〜図8に示すフローチャートを参照しつつ、コントロールユニット20によって実行されるモニタ制御及び燃料制御(NOxトラップ制御を含む)の具体的な制御手法を説明する。
【0027】
まず、図2〜図3に示すフローチャートを参照しつつ、HC吸着触媒のモニタ制御の制御手法を説明する。このモニタ制御では、第1排気浄化装置12内のHC吸着触媒の吸着HC燃焼温度(範囲)が判定される。吸着HC燃焼温度範囲は、HC吸着触媒の劣化に伴って高温側に移行する。そこで、HC吸着触媒の劣化状況に応じて、吸着HC燃焼温度範囲を正確に判定するようにしている。
【0028】
このモニタ制御では、ステップS1で、触媒温度センサ14によって検出される第1排気浄化装置12内のHC吸着触媒の温度Tcat(以下、単に「触媒温度Tcat」という。)、上流側O2センサ15によって検出される上流側O2濃度Oxup(n)、下流側O2センサ16によって検出される下流側O2濃度Oxdn(n)等の各種制御情報(データ)が入力される。
【0029】
次に、ステップS2で、触媒温度Tcatが、第1触媒温度Tcat10より高くかつ第2触媒温度Tcat2 0より低い(Tcat10<Tcat<Tcat2 0)か否かが判定される。
図9(b)に示すように、フレッシュ触媒(全く劣化していないHC吸着触媒)は、触媒温度Tcatが活性化開始温度(例えば、200℃)より低いときには不活性状態にあり、HC浄化率はほぼ0であるが、触媒温度Tcatが活性化開始温度以上になると触媒温度Tcatの上昇に伴って触媒活性ないしはHC浄化率が上昇する。そして、HC吸着触媒は、触媒温度Tcatが活性化完了温度(例えば、220℃)以上になると完全に活性状態となり、HC浄化率はほぼ100%となる。なお、HC浄化率が所定値(例えば、50%)に達するライトオフ温度は、活性化開始温度と活性化完了温度の間となる(例えば、210℃)。
【0030】
そして、HC吸着触媒が劣化すると、その劣化度が大きくなるほど、活性化開始温度、活性化完了温度及びライトオフ温度が高くなる。例えば、完全に劣化したHC吸着触媒では、活性化開始温度、活性化完了温度及びライトオフ温度は、フレッシュ触媒に比べて数10℃(例えば、40℃)高くなる。なお、劣化触媒では、触媒温度が活性化完了温度以上となっても、HC浄化率は100%には達しない。
ここで、第1触媒温度Tcat10は、フレッシュ触媒のライトオフ温度よりやや低い温度に設定され、第2触媒温度Tcat2 0は、ほぼ完全に劣化したHC吸着触媒のライトオフ温度、あるいはこれよりやや高い温度に設定される。
【0031】
ステップS2で、Tcat10<Tcat<Tcat2 0であると判定された場合は(YES)、ステップS3〜S14で、O2濃度変化量差ΔOxが所定の閾値ΔOxav0を超える場合の触媒温度Tcat(n)を記憶するといったデータ処理が行われる。
まず、ステップS3〜S6では、モニタ制御開始後に第1基準時間t10が経過するまでの期間(HC濃度が高濃度状態にある期間)における上流側O2濃度平均値Oxup1avと下流側O2濃度平均値Oxdn1avとが算出される。
【0032】
図9(a)に示すように、モニタ制御が行われているときには、HC添加制御信号が所定の周期でオン・オフされ、これに伴って触媒上流のHC濃度は、高濃度状態と低濃度状態とを所定の周期で交代させる。ここで、HC添加制御信号がオンとなりHC吸着触媒上流のHC濃度が高濃度状態となる時間幅をτ1(例えば、0.5〜5s)とし、HC添加制御信号がオフとなり触媒上流のHC濃度が低濃度状態となる時間幅をτ2(例えば、0.5〜5s)とすれば、第1基準時間t10は、時間幅τ1に対応する。なお、後で説明する第2基準時間t20は、時間幅(τ1+τ2)に対応する。
【0033】
具体的には、ステップS3で、モニタ制御開始後の経過時間tが第1基準時間t10未満であるか否かが判定され、第1基準時間t10未満であれば(YES)、第1基準時間t10に達するまでステップS4で繰り返し上流側O2濃度Oxup(n)と下流側O2濃度Oxdn(n)とが記憶される。
【0034】
そして、ステップS5で、経過時間tが第1基準時間t10に達したか否かが判定され、第1基準時間t10に達していれば(YES)、ステップS6で、期間(0〜t10)すなわちHC濃度が高濃度状態である期間における上流側O2濃度平均値Oxup1avと下流側O2濃度平均値Oxdn1avとが算出される(平均化)。
【0035】
次に、ステップS7〜S10では、第1基準時間t10が経過した後、第2基準時間t20が経過するまでの期間(HC濃度が低濃度状態にある期間)における上流側O2濃度平均値Oxup2avと下流側O2濃度平均値Oxdn2avとが算出される。
具体的には、ステップS7で、モニタ制御開始後の経過時間tが第1基準時間t10を超えかつ第2基準時間t20未満である(t10<t<t20)か否かが判定され、t10<t<t20であれば(YES)、第2基準時間t20に達するまでステップS8で繰り返し上流側O2濃度Oxup(n)と下流側O2濃度Oxdn(n)とが記憶される。
【0036】
そして、ステップS9で、経過時間tが第2基準時間t20に達したか否かが判定され、第2基準時間t20に達していれば(YES)、ステップS10で、期間(t10〜t20)すなわちHC濃度が低濃度状態である期間における上流側O2濃度平均値Oxup2avと下流側O2濃度平均値Oxdn2avとが算出される(平均化)。
【0037】
次に、ステップS11で、次の式1、式2により、HC濃度が低濃度状態であるときの上流側O2濃度平均値Oxup2avと高濃度状態であるときの上流側O2濃度平均値Oxup1avとの差ΔOxup(以下、「上流側O2濃度差ΔOxup」という。)と、HC濃度が低濃度状態であるときの下流側O2濃度平均値Oxdn2avと高濃度状態であるときの下流側O2濃度平均値Oxdn1avとの差ΔOxdn(以下、「下流側O2濃度差ΔOxdn」という)とが算出される。
ΔOxup←Oxup2av− Oxup1av…………………………………式1
ΔOxdn←Oxdn2av− Oxdn1av…………………………………式2
【0038】
続いて、ステップS12で、次の式3により、上流側O2濃度差ΔOxupと下流側O2濃度差ΔOxdnとに基づいて、O2濃度変化量差ΔOxが算出される。
ΔOx←ΔOxup−ΔOxdn…………………………………………式3
【0039】
そして、ステップS13で、O2濃度変化量差ΔOxが所定の閾値ΔOxav0を超えているか否かが判定され、超えていれば(YES)、ステップS14で今回の触媒温度Tcat(n)が記憶される。なお、O2濃度変化量差ΔOxが閾値ΔOxav0以下であれば、ステップS14をスキップして、ステップS1に復帰する。
このように、ステップS2〜S14では、Tcat10〜Tcat20の範囲内で、O2濃度変化量差ΔOxが閾値ΔOxav0を超える場合の触媒温度Tcat(n)が記憶され続ける。
【0040】
ところで、前記ステップS2で、触媒温度Tcatが、第1触媒温度Tcat10以下であるか、又は第2触媒温度Tcat2 0以上であると判定された場合は(NO)、ステップS15〜S18で、HC吸着触媒の劣化度合いに応じた吸着HC燃焼温度が判定ないし設定される。
具体的には、ステップS15でO2濃度変化量差ΔOxがリセットされた後、ステップS16で、前回はTcat10<Tcat<Tcat2 0であったか否かが判定される。そして、前回Tcat10<Tcat<Tcat2 0であった場合は(YES)、ステップS17〜S18で、吸着HC燃焼温度が判定ないし設定される。なお、前回Tcat10<Tcat<Tcat2 0でなかった場合は(NO)、ステップS1に復帰する。
【0041】
ステップS17では、前記のステップS14で記憶された各触媒温度Tcat(n)が読み出される。続いて、ステップS18で、これらの触媒温度Tcat(n)の中から最小値が選択され、この最小値が吸着HC燃焼温度Tcat(n)min(以下、「HC燃焼温度Tcat(n)min」という。)とされる。これにより、今回のモニタ制御は終了する。つまり、この判定は、1回の走行で1回だけ行われる。HC吸着触媒はさほど急速に劣化することはないからである。
【0042】
HC吸着触媒においては、触媒温度TcatがHC燃焼温度Tcat(n)minないしはその近傍範囲より低いときには、ゼオライト(HC吸着材)はHCを吸着する。この後、触媒温度Tcatが上昇して、HC燃焼温度Tcat(n)min近傍の吸着HC燃焼温度範囲内に入っているときに、排ガス中のHC濃度が急低下すると、触媒金属であるPtの周囲に吸着されていたHCは着火して急激に燃焼する。そして、この着火により生成された熱により、Ptから離れた部位でゼオライトに吸着されているHCが着火(延焼)し、燃焼する。なお、単に触媒温度Tcatの上昇によりHCが着火することもありうる。このようなHCの燃焼により、排ガス中のO2が急激に消費され、排ガス中のO2濃度は急激にかつ大幅に低下する。そして、後記のNOxトラップ制御(燃料制御)においては、このようなHCの燃焼により排ガス中のO2濃度が急低下したときに、NOxトラップ触媒からNOxを放出させて還元するようにしている。
【0043】
図10(a)〜(c)に、それぞれ、図9(b)に示す浄化特性をもつフレッシュ触媒について、触媒上流のHC濃度を図9(a)に示すようなパターンで増減させた場合における、160℃付近、200℃付近及び240℃付近での上流側O2濃度Oxup及び下流側O2濃度Oxdnの時間に対する変化特性を示す。なお、図10(a)〜(c)は、上流側O2濃度と下流側O2濃度とについて、O2濃度が低い状態を基準としてそろえて相対比較したものである(図11(a)〜(c)も同様)。つまり、ライトオフ時や活性時には、HC吸着触媒が活性化しているため、上流側O2濃度に対する下流側O2濃度の平均O2濃度の絶対値は平均的に減少しているので、これを是正してΔOxの判断が容易となるようにデータに加工処理を施している。
【0044】
図9(b)から明らかなとおり、このフレッシュ触媒は、160℃付近では不活性状態であり、200℃付近ではほぼライトオフ状態であり、240℃付近では完全な活性状態である。また、図10(a)〜(c)から明らかなとおり、このフレッシュ触媒では、そのライトオフ温度付近(200℃付近)、すなわち吸着HC燃焼温度範囲では、O2濃度変化量差ΔOx(=ΔOxup−ΔOxdn)が非常に大きくなっている。これは、HC吸着触媒のサポート材であるゼオライトに吸着されていたHCが急激に燃焼したことを示している。
【0045】
また、図11(a)〜(c)に、それぞれ、図9(b)に示す浄化特性をもつ劣化触媒について、触媒上流のHC濃度を図9(a)に示すようなパターンで増減させた場合における、200℃付近、240℃付近及び280℃付近での上流側O2濃度Oxup及び下流側O2濃度Oxdnの時間に対する変化特性を示す。図9(b)から明らかなとおり、この劣化触媒は、200℃付近では不活性状態にあり、240℃付近ではほぼライトオフ状態にあり、280℃付近では完全な活性状態にある。また、図11(a)〜(c)から明らかなとおり、この劣化触媒では、そのライトオフ温度付近(240℃付近)では、O2濃度変化量差ΔOx(=ΔOxup−ΔOxdn)が非常に大きくなっている。これは、HC吸着触媒のサポート材であるゼオライトに吸着されていたHCが急激に燃焼したことを示している。
【0046】
このように、HC吸着触媒においては、その劣化度合いにかかわらず、そのライトオフ温度付近、すなわち吸着HC燃焼温度範囲では、HC吸着触媒のサポート材であるゼオライトに吸着されていたHCが急激に燃焼し、その結果排ガス中のO2濃度が急激にかつ大幅に低下する。
【0047】
図12(a)、(b)に、HC吸着触媒上流のHC濃度を所定の周期で繰り返し増減させた場合における、上流側O2濃度及び下流側O2濃度の変化特性を示す。なお、図12(a)、(b)、(d)は、上流側及び下流側のO2濃度を、それぞれ、HC増量時の値を基準としてそろえて、相対比較したものである。ここで、図12(a)はライトオフ時のものであり、図12(b)は活性時のものである。また、図12(c)に、HC吸着触媒上流のHC濃度を所定の周期で繰り返し増減させつつ触媒温度を上昇させた場合における、O2濃度変化量差ΔOxの時間に対する変化特性を示す。
【0048】
図12(a)〜(c)から明らかなとおり、HC吸着触媒では、O2濃度変化量差ΔOxは、そのライトオフ温度付近で最も大きくなっている。つまり、ゼオライトに吸着されていたHCが急激に燃焼している。なお、これより低温側及び高温側では、いずれもO2濃度変化量差ΔOxは小さくなっている。このように、O2濃度変化量差ΔOxがライトオフ温度付近で最大となるのは、必ずしも明らかではないが、およそ次の理由によるものと考えられる。すなわちライトオフ時には、触媒金属(Pt)は完全には活性化しておらず、HC増量時にゼオライト上に一時的に取り込まれたHCが燃焼せずにたまる。この後HCカットによりO2濃度が増加することにより、たまったHCが一気にO2と反応する。このたまったHCが燃焼する分だけ多くO2が反応して減少する。
これに対して、活性時は、触媒金属も完全に活性化しており、HC増量時にゼオライト上にたまるHCも少ないので、上流側と下流側とでO2濃度に大きな差はなくなるものと考えられる。
【0049】
図12(d)に、ライトオフ時においてHC吸着触媒上流のHC濃度を低濃度状態から高濃度状態に変化させた後、高濃度状態を継続した場合における、上流側O2濃度及び下流側O2濃度の変化特性の相対比較を示す。図12(d)から明らかなとおり、O2濃度を高濃度状態にした直後からしばらくは下流側O2濃度は大きく低下している。これは、O2濃度を高濃度状態にした直後は、HC吸着触媒の表面に付着していたHCの放出により急激な燃焼が起こるからである。しかしながら、この後、時間の経過に伴って下流側O2濃度は上昇し、最終的には上流側O2濃度と下流側O2濃度の差はほとんでなくなる。これは、HC吸着触媒に付着していたHCが次第になくなり、O2消費量が減少するからである。
【0050】
以下、図4〜図8に示すフローチャートを参照しつつ、燃料制御(NOxトラップ制御を含む)の制御手法を説明する。
この燃料制御では、まずステップS21で、触媒温度センサ14によって検出される触媒温度Tcat、上流側O2センサ15によって検出される上流側O2濃度Oxup(n)、下流側O2センサ16によって検出される下流側O2濃度Oxdn(n)、水温センサ19によって検出されるエンジン水温Tw等の各種制御情報(データ)が入力される。
【0051】
次に、ステップS22で、アクセル開度(負荷)とエンジン回転数とに応じて、燃料の基本噴射量Qmb(メイン噴射量)と基本噴射時期Imb(メイン噴射時期)とが演算(セット)される。続いて、ステップS23で、燃料のポスト噴射量Qpbとポスト噴射時期Ipbとが演算(セット)される。燃料の基本噴射とポスト噴射とは、0.05〜1.0msの休止間隔でもって実行される。ポスト噴射は、高負荷・高回転時におけるスモークの発生を低減するためのフォローアップ噴射として行われ、あるいはNOx還元触媒に対してNOx還元用のHCを供給するために行われる。なお、燃料を多段噴射してもよく、またポスト噴射を行わない(1段噴射)ようにしてもよい。
【0052】
そして、ステップS24で、第2排気浄化触媒13内のNOxトラップ触媒(NOx吸収材)のNOxトラップ量NOが推定(検出)される。続いて、ステップS25で、推定されたNOxトラップ量NOが所定の閾値NO0を超えているか否かが判定される。ここで、NO≦NO0であれば(NO)、後記のステップS44以下の各ステップが実行される。
【0053】
他方、ステップS25で、NO>NO0であると判定された場合は(YES)、ステップS26で、触媒温度Tcatが、HC燃焼温度Tcat(n)minから所定値ΔTcat1を引いた値を超え、かつHC燃焼温度Tcat(n)minに所定値ΔTcat2を加えた値未満であるか否かが判定される。つまり、触媒温度Tcatが、HC燃焼温度Tcat(n)minをはさむ所定の温度範囲内、すなわち吸着HC燃焼温度範囲内に入っているか否かが判定される。もし、触媒温度Tcatが吸着HC燃焼温度範囲内に入っていれば、以下の各ステップで、NOxトラップ触媒に吸収されているNOxが放出され、還元される。なお、NOxトラップ量NOにかかわりなく、触媒温度Tcatが吸着HC燃焼温度範囲内に入っているときには必ずNOx放出を行うようにしてもよい。この場合、例えば、触媒温度Tcatが上昇する場合にだけ、NOx放出を行うようにしてもよい。また、(Tcat<Tcat(n)min+ΔTcat2)であれば、所定期間毎にNOx放出を行うようにしてもよい。
【0054】
ここで、(Tcat(n)min−ΔTcat1<Tcat<Tcat(n)min+ΔTcat2)であれば(YES)、さらにステップS27で、前回は、Tcatが(Tcat(n)min−ΔTcat1)以下であったか否かが判定される。つまり、触媒温度Tcatが上昇して、今回初めて吸着HC燃焼温度範囲内に入ったか否かが判定される。ここで、(Tcat(n)min−ΔTcat1≧Tcat)であれば(YES)、触媒温度Tcatは今回初めて吸着HC燃焼温度範囲内に入ったことになるので、ステップS28で昇温フラグFRに1がセットされ、後記のステップS29が実行される。この昇温フラグFRは、触媒温度Tcatが上昇して吸着HC燃焼温度範囲内に入ったときに1がセットされる一方、吸着HC燃焼温度範囲から離脱したときに0にリセットされるフラグである。
【0055】
ステップS27で、前回は(Tcat>Tcat(n)min−ΔTcat1)であると判定された場合は(NO)、ステップS30で昇温フラグFRが1であるか否かが判定され、昇温フラグFRが1であれば(YES)、ステップS28をスキップして、後記のステップS29が実行される。他方、昇温フラグFRが1でなければ(NO)、後記のステップS44以下の各ステップが実行される
【0056】
前記のステップS26で、(Tcat(n)min−ΔTcat1≧Tcat)又は(Tcat≧Tcat(n)min+ΔTcat2)であると判定された場合は(NO)、触媒温度Tcatが吸着HC燃焼温度範囲から離脱しているので、ステップS31で昇温フラグFRが0にリセットされた後、後記のステップS44以下の各ステップが実行される。
【0057】
ステップS29では、カウンタTupが1だけインクリメントされる。カウンタTupは、O2濃度を低減するためにHCを増量すべき時間を設定ないしはカウントするためのカウンタである。つまり、カウンタTupがインクリメントを繰り返して設定値Tup10を超えるまでHCの増量が継続される。続いて、ステップS32で、カウンタTupが設定値Tup10を超えているか否かが判定される。ここで設定値Tup10は、例えば0.5〜10秒に設定される(図13参照)。
【0058】
ステップS32でTup≦Tup10であると判定された場合は(NO)、ステップS34で、HCを増量するために、ポスト噴射増量値Qpprに設定値α’がセットされ、又は基本噴射時期遅角値Imprに設定値γ’がセットされる(両方セットしてもよい)。なお、ポスト噴射増量値Qppr又は基本噴射時期遅角値Imprを用いるのではなく、基本噴射増量値Qmprに設定値β’をセットし、又はポスト噴射時期遅角値Ipprに設定値δ’をセットしてもよい。これにより、HC吸着触媒上流の排ガス中のHC濃度が高濃度状態にセットされる。この後、後記のステップS59〜S61で燃料噴射が実行される。
【0059】
ステップS32でTup>Tup10であると判定された場合は(YES)、HCを増量すべき期間を経過しているので、ステップS33で、HCを減量するため、ポスト噴射増量値Qpprに0がセットされ、又は基本噴射時期遅角値Imprに0がセットされる。なお、ポスト噴射増量値Qppr又は基本噴射時期遅角値Imprを用いるのではなく、基本噴射増量値Qmpr又はポスト噴射時期遅角値Ipprを用いる場合は、これらに0がセットされる。
【0060】
このようにして、ステップS33でHCの増量が停止された(HCが減量された)後、ステップS35〜S43で、O2濃度変化量差ΔOxが設定値ΔOx1を超えている状態、すなわち第1排気浄化装置12(HC吸着触媒)下流における排ガス中のO2濃度が大きく低下している状態で、NOxトラップ触媒(NOx吸収材)にNOxを放出させるためのHC増量が行われる。
【0061】
具体的には、まずステップS35で、O2濃度変化量差ΔOxが設定値ΔOx1を超えているか否かが判定される。そして、ΔOx>ΔOx1であれば(YES)、NOxを放出させるためのHCの増量が開始される。この場合、まずステップS36で、タイマカウンタTNOが1だけインクリメントされる。このタイマカウンタTNOは、NOxを放出させるためのHC増量を行う期間を設定ないしはカウントするカウンタである(図13参照)。なお、NOxを放出させるためのHCの増量を、ΔOx>ΔOx1となったときに開始するのではなく、ステップS33でHCの増量が停止された後一定時間経過後に開始するようにしてもよい。
【0062】
ここでは、基本的には、タイマカウンタTNOが設定値TNO0を超えるまで、NOxを放出させるためのHC増量を行うようにしている。ただし、後で説明するように、タイマカウンタTNOのカウント値が設定値TNO0を超えていない場合でも、ΔOx≦ΔOx1となったときには、NOxの放出は完了していないのにもかかわらず、NOxを放出させるためのHCの増量は一旦完了させられる。なお、設定値TNO0は、例えば0.5〜5秒に設定される。
【0063】
次に、ステップS37で、タイマカウンタTNOのカウント値が設定値TNO0を超えているか否かが判定される。ここで、TNO≦TNO0であれば(NO)、ステップS40で、空気過剰率λがほぼ1となるように、基本噴射量Qmbが所定値Qmλだけ増量され、又はポスト噴射量Qpbが所定値Qpλだけ増量される。なお、基本噴射量Qmbの増量に代えて、あるいはこれとともに基本噴射時期Imbを遅角させてもよい。これにより、排ガス中のO2濃度が大幅に低下し、また還元剤であるHCの濃度が高くなり、NOxトラップ触媒(NOx吸収材)からNOxが放出される。なお、このとき、触媒温度も上昇する。放出されたNOxは、NOxトラップ触媒の触媒金属によって、HC(還元剤)を利用してN2に還元される。この後、ステップS59〜S61で燃料噴射が実行される。
【0064】
他方、ステップS37で、TNO>TNO0であると判定された場合は(NO)、NOxトラップ触媒のNOx放出ないしは浄化が完了しているので、ステップS38でNOxトラップ量NOが0にリセットされ、続いてステップS39で昇温フラグFRが0にリセットされる。この後、ステップS59〜S61で燃料噴射が実行される。
【0065】
ところで、前記のステップS35で、ΔOx≦ΔOx1であると判定された場合は(NO)、ステップS41で、タイマカウンタTNOがカウント中であるか否かが判定される。ここで、タイマカウンタTNOがカウント中であれば(YES)、ステップS42で、この時点におけるタイマカウンタTNOのカウント値に基づいて、NOxトラップ量NOがリセットされ、続いてステップS43でカウンタTupがリセットされる。この場合、NOxの放出は不完全な状態で一旦完了させられることになるので、NOxトラップ量NOを0にリセットすることは適切ではない。そこで、タイマカウンタTNOのカウント値に応じてNOxトラップ量NOを0より大きい値にリセットするようにしている。なお、このリセット値は、タイマカウンタTNOのカウント値が大きいときほど小さくなるように設定される。この後、後記のステップS59〜S61で、燃料噴射が実行される。
【0066】
図13に、前記のようにNOxトラップ触媒のNOx放出が行われる際の、昇温フラグFR、ポスト噴射増量値Qppr、基本噴射時期遅角値Impr、O2濃度変化量差ΔOx及び所定値Qmλ(Qpλ)の、時間に対する変化特性を示す。なお、図13においては、時刻t1でHCが増量された後、時刻t2でこのHCの増量が停止され(減量され)、時刻t3でNOxトラップ触媒からNOxを放出させるためのHCの増量が開始され、時刻t4でNOxを放出させるためのHCの増量が完了している。
【0067】
ところで、前記のステップS25でNO≦NO0であると判定された場合(NO)、ステップS26で(Tcat(n)min−ΔTcat1≧Tcat)もしくは(Tcat≧Tcat(n)min+ΔTcat2)であると判定された場合(NO)、又はステップS30で昇温フラグFRが1でないと判定された場合(NO)は、ステップS44〜S68が実行される。
【0068】
ステップS44では、ポスト噴射増量値Qpprに0がセットされ、又は基本噴射時期遅角値Imprに0がセットされる。なお、ポスト噴射増量値Qppr又は基本噴射時期遅角値Imprを用いるのではなく、基本噴射増量値Qmpr又はポスト噴射時期遅角値Ipprを用いる場合は、これらに0がセットされる。続いて、ステップS45で、カウンタTupとタイマカウンタTNOとが、0にリセットされる。
【0069】
次に、ステップS46で、モニタ制御(ライトオフモニタ)が終了したか否かが判定される。モニタ制御が終了していなければ(NO)、ステップS47で、触媒温度Tcatが、第1触媒温度Tcat10より高くかつ第2触媒温度Tcat2 0より低い(Tcat10<Tcat<Tcat2 0)か否かが判定される。そして、Tcat10<Tcat<Tcat2 0であれば(YES)、モニタ制御を補助するための燃料制御(以下、「モニタ補助燃料制御」という。)が行われる。つまり、今回の走行(エンジン1の運転)において、モニタ制御がまだ終了しておらず、かつモニタ制御においてステップS1〜S14が繰り返し実行されているときにのみ、モニタ補助燃料制御が行われる。その他の場合は、ステップS59〜S61で、普通の燃料噴射が行われる。
【0070】
モニタ補助燃料制御が行われる場合は、まず、ステップS48で、前回は触媒温度Tcatが第1触媒温度Tcat10以下であったか否かが判定される。前回Tcat≦Tcat10であった場合(YES)、すなわち前回はモニタ補助燃料制御がまだ行われていなかった場合は、ステップS49でフラグFcatinに1がセットされた後、ステップS51〜S61でモニタ補助燃料制御が実行される。フラグFcatinは、モニタ補助燃料制御が行われているときに1がセットされるフラグである。
【0071】
ステップS48で前回Tcat>Tcat10であった場合は(NO)、ステップS50でフラグFcatinが1であるか否かが判定される。そして、フラグFcatinが1であれば(YES)、ステップS51〜S61でモニタ補助燃料制御が実行される。なお、フラグFcatinが1でなければ(NO)、ステップS62が実行される。
【0072】
モニタ補助燃料制御が行われる場合は、まず、ステップS51とステップS52とで、それぞれ、アクセル開度変化量Δαが所定値Δα01を超えているか否かと、アクセル開度αが所定値α01を超えているか否かとが判定される。ここで、Δα≦Δα01でありかつα≦α01であれば(ステップS51、S52ともNO)、すなわち定常状態(非加速状態)でありかつ中・低負荷状態である場合は、触媒の温度上昇速度が小さいので、ステップS53で、ポスト噴射量Qpbが所定値Qpcqだけ増量され、又は基本噴射時期Imbが所定値Imcqだけ遅角させられ、排ガスないし触媒の温度上昇が促進される。この場合、所定値Qpcqは、排ガス中のO2濃度が低下するよう好ましく設定される。
【0073】
ここで、ポスト噴射量Qpb又は基本噴射時期Imbを変更するのではなく、基本噴射量Qmbを所定値Qmcqだけ増量し、又は排ガス温度が上昇する方向にポスト噴射時期Ipbを所定値Ipcqだけ遅角又は進角させてもよい(IpbがATDC15°CAより進角していれば遅角させ、ATDC15°CAより遅角していれば進角させる。)。この場合、所定値Qmcqは、排ガス中のO2濃度が低下するよう好ましく設定される。また、ポスト噴射がフォローアップ噴射であれば、基本噴射時期Imbの遅角に合わせてポスト噴射時期Ipbも遅角される。
なお、EGR量を増加させ、あるいは調整弁11(スロットル弁)を開弁して触媒温度上昇を促進してもよい。
【0074】
他方、ステップS51でΔα>Δα01であると判定された場合(YES)、又はステップS52でα>α01であると判定された場合(YES)、すなわち加速状態又は高負荷状態である場合は、排気ガス温度ないし触媒温度は自然に上昇するので、ステップS53をスキップする。
【0075】
次に、ステップS54でモニタ制御開始後の経過時間tのカウント値が1だけインクリメントされる(t←t+1)。続いて、ステップS55で、経過時間tが第1基準時間t10を超えているか否かが判定される。経過時間tが第1基準時間t10を超えていなければ(NO)、ステップS58で、HC吸着触媒上流の排ガス中のHC濃度を高めるためにポスト噴射増量値Qpobdに設定値αがセットされ、又は基本噴射時期遅角値Imobdに設定値γがセットされる(両方セットしてもよい)。なお、ポスト噴射増量値Qpobd又は基本噴射時期遅角値Imobdを用いるのではなく、基本噴射増量値Qmobdに設定値βをセットし、又はポスト噴射時期遅角値Ipobdに設定値δをセットしてもよい。これにより、HC吸着触媒上流の排ガス中のHC濃度が高濃度状態にセットされる。
【0076】
ステップS55で、経過時間tが第1基準時間t10を超えていると判定された場合は(YES)、ステップS56で、経過時間tが第2基準時間t20であるか否かが判定される。経過時間tが第2基準時間t20でなければ(NO)、ステップS59で、HC吸着触媒上流の排ガス中のHC濃度を低濃度状態にするため、ポスト噴射増量値Qpobdに0がセットされ、又は基本噴射時期遅角値Imobdに0がセットされる。なお、ポスト噴射増量値Qpobd又は基本噴射時期遅角値Imobdを用いるのではなく、基本噴射増量値Qmobd又はポスト噴射時期遅角値Ipobdを用いる場合は、これらに0がセットされる。
また、ステップS56で、t=t20であると判定された場合は(YES)、ステップS57で経過時間tが0にリセットされる(t←0)。
【0077】
次に、ステップS60で、次の式4〜式7により、最終基本噴射量Qmt、最終基本噴射時期Imt、最終ポスト噴射量Qpt及び最終ポスト噴射時期Iptが設定される。この後、ステップS61で、最終基本噴射量Qmt及び最終基本噴射時期Imtで基本噴射が実行され、最終ポスト噴射量Qpt及び最終ポスト噴射時期Iptでポスト噴射が実行される。
Qmt←Qmb+Qmobd+Qmpr……………………………………式4
Qpt←Qpb+Qpobd+Qppr ………………………………………式5
Imt←Imb+Imobd+Impr…………………………………………式6
Ipt←Ipb+Ipobd+Ippr……………………………………………式7
【0078】
ところで、前記のステップS50で、フラグFcatinが1でないと判定された場合は(NO)、ステップS62で、前回は触媒温度Tcatが第2触媒温度Tcat2 0以上であったか否かが判定される。前回Tcat≧Tcat2 0であった場合(YES)、すなわち触媒温度Tcatが前回以前に第2基準温度Tcat2 0以上となった後、今回再び第2基準温度Tcat2 0未満となっている場合は、ステップS63でフラグFcatdeに1がセットされた後、ステップS65〜S67で排ガス温度ないしは触媒温度が低下するよう、燃料噴射量又は燃料噴射時期が補正される。フラグFcatdeは、かかる補正が行われているときに1がセットされるフラグである。
【0079】
ステップS62で、前回Tcat<Tcat2 0であったと判定された場合は(NO)、ステップS64で、フラグFcatdeが1であるか否かが判定される。そして、フラグFcatdeが1であれば(YES)、ステップS65〜S67で、排ガス温度ないしは触媒温度が低下するよう、燃料噴射量又は燃料噴射時期が補正される。
【0080】
排ガス温度ないし触媒温度が低下するよう、燃料噴射量又は燃料噴射時期が補正される場合は、まず、ステップS65とステップS66とで、それぞれ、アクセル開度変化量Δαが所定値Δα02(負の値)より小さいか否かと、アクセル開度αが所定値α02より小さいか否かとが判定される。ここで、Δα≧Δα02でありかつα≧α02であれば(ステップS65、S66ともNO)、すなわち非減速状態でありかつ中・高負荷状態である場合は、触媒の温度低下速度が小さいので、ステップS67でポスト噴射量Qpbが所定値Qpcq’だけ減量され、又は基本噴射時期Imbが所定値Imcq’だけ進角させられ、触媒の温度低下が促進される。この後、前記のステップS54〜S61が実行され、燃料噴射が実行される。
【0081】
ここで、ポスト噴射量Qpb又は基本噴射時期Imbを変更するのではなく、基本噴射量Qmbを所定値Qmcq’だけ減量し、又は排気ガス温度が低下する方向にポスト噴射時期Ipbを所定値Ipcq’だけ遅角又は進角させてもよい。
なお、2次エアを供給又は増加させて、触媒温度の低下を促進してもよい。
【0082】
また、ステップS65でΔα<Δα02であると判定された場合(YES)、又はステップS66でα<α02であると判定された場合(YES)、すなわち減速状態又は低負荷状態である場合は、排気ガス温度ないし触媒温度は自然に低下するので、ステップS67をスキップする。この後、前記のステップS54〜S61が実行され、燃料噴射が実行される。
なお、前記のステップS64で、フラグFcatdeが1でないと判定された場合は(NO)、ステップS68でフラグFcatinが0にリセットされ、ステップS65〜S67をスキップする。この後、前記のステップS54〜S61が実行され、燃料噴射が実行される。
【0083】
なお、上記実施の形態では、NOxトラップ量NOが所定の閾値NO0を超えているか否かと、触媒温度Tcatが(Tcat(n)min−ΔTcat1)から(Tcat(n)min+ΔTcat2)までの範囲内に入っているか否かとを判定した後、HC吸着触媒にHCを吸着させるようにしているが、このようにせず、次のようにしてもよい。
【0084】
すなわち、触媒温度Tcatが、HCを吸着する温度又はHCを吸着する温度域となってから、ポスト噴射を行わない通常の燃焼により供給されるHCの吸着量を推定し、この推定値が所定量以上であって、O2濃度の低減が十分実行できると判断される場合は、前記期間Tup10におけるHCの供給を行わないようにしてもよい。
また、このようなHCの推定量が上記所定量に満たない場合は、その不足量だけHCを供給できるよう、上記期間Tup10を設定してもよい。
さらには、触媒温度Tcatが、HCを吸着する温度域に低下した直後から所定期間、ポスト噴射によりHC吸着触媒にHCを吸着させるようにしてもよい。
【0085】
以上、本発明によれば、燃費性能の低下あるいは煤の発生などといった不具合を招くことなく、NOxトラップ触媒を用いてNOxを有効に浄化することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】 本発明にかかる排気浄化装置を備えたディーゼルエンジンのシステム構成図である。
【図2】 第1排気浄化装置(HC吸着触媒)のモニタ制御の制御手法を示すフローチャートである。
【図3】 第1排気浄化装置(HC吸着触媒)のモニタ制御の制御手法を示すフローチャートである。
【図4】 燃料制御及びNOxトラップ制御の制御手法を示すフローチャートである。
【図5】 燃料制御及びNOxトラップ制御の制御手法を示すフローチャートである。
【図6】 燃料制御及びNOxトラップ制御の制御手法を示すフローチャートである。
【図7】 燃料制御及びNOxトラップ制御の制御手法を示すフローチャートである。
【図8】 燃料制御及びNOxトラップ制御の制御手法を示すフローチャートである。
【図9】 (a)はHC吸着触媒上流のHC濃度の、時間に対する変化特性を示すグラフであり、(b)はフレッシュなHC吸着触媒及び劣化したHC吸着触媒のHC浄化率の、触媒温度に対する変化特性を示す図である。
【図10】 (a)〜(c)は、それぞれ、フレッシュなHC吸着触媒を用いた場合における、不活性状態、ライトオフ状態及び活性状態での、上流側O2濃度及び下流側O2濃度の、時間に対する変化特性を示すグラフである。
【図11】 (a)〜(c)は、それぞれ、劣化したHC吸着触媒を用いた場合における、不活性状態、ライトオフ状態及び活性状態での、上流側O2濃度及び下流側O2濃度の、時間に対する変化特性を示すグラフである。
【図12】 (a)〜(b)はそれぞれHC吸着触媒を用いた場合におけるライトオフ状態及び活性状態での、上流側O2濃度及び下流側O2濃度の、時間に対する変化特性を示すグラフであり、(c)はHC吸着触媒におけるO2濃度変化量差ΔOxの時間に対する変化特性を示すグラフであり、(d)はHC濃度を繰り返し増減させない場合における、ライトオフ状態での上流側O2濃度及び下流側O2濃度の、時間に対する変化特性を示すグラフである。
【図13】 NOxトラップ触媒のNOx放出が行われる際の、フラグFR、ポスト噴射増量値Qppr、基本噴射時期遅角値Impr、O2濃度変化量差ΔOx及び所定値Qmλ(Qpλ)の、時間に対する変化特性を示すグラフである。
【符号の説明】
1…エンジン(ディーゼルエンジン)、2…吸気通路、3…燃焼室、4…ピストン、5…燃料噴射弁、6…排気通路、7…クランク軸、8…燃料供給通路、9…高圧燃料ポンプ、10…燃料分配器、11…調整弁、12…第1排気浄化装置、13…第2排気浄化装置、14…触媒温度センサ、15…上流側O2センサ、16…下流側O2センサ、17…EGR通路、18…EGR制御弁、19…水温センサ、20…コントロールユニット。
Claims (8)
- 排ガス中のO2濃度が高いときにNOxを吸収し、この後排ガス中のO2濃度が低下したときに、吸収したNOxを放出するNOx吸収材と、
NOx吸収材の上流で排ガスに還元剤を供給する主還元剤供給手段とを備えたエンジンの排気浄化装置において、
NOx吸収材の上流に配置され、所定の着脱反転温度以下では排ガス中のHCを吸着する一方着脱反転温度を超えると吸着しているHCを放出するHC吸着材と触媒金属とを含有するHC吸着触媒を備えていて、
主還元剤供給手段が、少なくともNOx吸収材にNOxが吸収され、かつHC吸着触媒にHCが吸着されている状態で、HC吸着触媒に吸着されているHCの燃焼によって排ガス中のO2濃度が低下したときに、NOx吸収材からNOxを放出させるべく還元剤を増量するようになっていることを特徴とするエンジンの排気浄化装置。 - 主還元剤供給手段が、HC吸着触媒の上流で排ガスに還元剤を供給するようになっていて、
HC吸着触媒の温度が、該HC吸着触媒に吸着されているHCが燃焼するような所定の吸着HC燃焼温度範囲内にあるときに、排ガス中の還元剤を増量状態から減量させる副還元剤供給手段を備えていることを特徴とする請求項1に記載のエンジンの排気浄化装置。 - 副還元剤供給手段は、HC吸着触媒の触媒金属による酸化触媒性能が所定度合い以下であり、かつHC吸着触媒の温度が吸着HC燃焼温度範囲内にあるときに還元剤を増量させ、その後減量させるようになっていることを特徴とする請求項2に記載のエンジンの排気浄化装置。
- 主還元剤供給手段は、副還元剤供給手段による還元剤の上記減量の開始から所定期間経過後に、NOx吸収材に吸収されたNOxを放出させるべく還元剤を増量するようになっていることを特徴とする請求項3に記載のエンジンの排気浄化装置。
- HC吸着触媒の吸着HC燃焼温度範囲を判定する燃焼温度判定手段を備えていることを特徴とする請求項1〜4のいずれか1つに記載のエンジンの排気浄化装置。
- NOx吸収材に吸収されているNOx量を推定するNOx量推定手段を備えていて、
副還元剤供給手段が、NOx量の推定値が所定量以上のときに、還元剤の供給を実行するようになっていることを特徴とする請求項1〜5のいずれか1つに記載のエンジンの排気浄化装置。 - HC吸着触媒の触媒金属がPtであり、HC吸着材がゼオライトであることを特徴とする請求項1〜6のいずれか1つに記載のエンジンの排気浄化装置。
- 排ガス中のO2濃度が高いときにNOxを吸収しこの後吸収したNOxをO2濃度が低下したときに放出するNOx吸収材と、NOx吸収材の上流で排ガスに還元剤を供給する主還元剤供給手段と、NOx吸収材の上流に配置され所定の着脱反転温度以下では排ガス中のHCを吸着する一方着脱反転温度を超えると吸着しているHCを放出するHC吸着材と触媒金属とを含有するHC吸着触媒とを用いて排ガスを浄化するようにしたエンジンの排気浄化方法であって、
少なくともNOx吸収材にNOxが吸収され、かつHC吸着触媒にHCが吸着されている状態で、HC吸着触媒に吸着されているHCの燃焼によってO2濃度が低下したときに、NOx吸収材からNOxを放出させるべく、還元剤を増量するようにしたことを特徴とするエンジンの排気浄化方法。
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