JP3812302B2 - 内燃機関の排気浄化装置 - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
この発明は、内燃機関から排出された排気を浄化するための排気浄化装置に関し、特に、酸素を過剰に含むリーンバーン排気中の窒素酸化物(NOX)およびパティキュレート(排気微粒子,特に煤;PM)を浄化する装置に関する。
【0002】
【従来の技術】
圧縮着火を行うディーゼル内燃機関等では、CO2の排出量が少ないという利点がある反面、NOX及びこのNOXとトレードオフの関係にあるPMの低減が大きな課題となっている。
【0003】
このような課題に対し、特開平9−53442号公報には、PMを浄化するディーゼルパティキュレートフィルタ(以下、単にDPFと呼ぶ)の上流に酸化触媒、下流にNOX吸収触媒を配置し、上流の酸化触媒で排気中のNOをNO2に酸化してDPFに供給し、このNO2を利用してDPFに堆積したPMを燃焼,除去するとともに、DPFの下流へ排出されるNOXをNOX吸収触媒で吸収,浄化する技術が開示されている。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、この特開平9−53442号公報のものでは、酸化触媒におけるNO→NO2の酸化が活発な温度領域ではPMが連続的に燃焼,浄化されるものの、NO→NO2反応が起こり難い状況、つまり酸化触媒が十分活性化していない温度領域等では、DPFへのNO2流入量が少なくなり、DPFにおけるPMの連続燃焼による自己再生が良好に行われない。このために、DPFのPM堆積量が過度に増加し、PMを良好に浄化できない、という事態が起こり得る。
【0005】
本発明の一つの目的は、NOXの浄化とPMの浄化とを高いレベルで両立し得る新規な内燃機関の排気浄化装置を提供することにある。
【0006】
【課題を解決するための手段】
そこで、請求項1に係る発明は、内燃機関の排気通路に配設される排気浄化装置であって、流入する排気中のパティキュレートを捕集するパティキュレートフィルタと、このパティキュレートフィルタよりも上流側に配設され、排気中のNOをNO2に酸化する機能を有する酸化触媒と、上記パティキュレートフィルタよりも上流側に配設され、流入する排気成分に応じて、排気中のNOXをトラップするとともに、トラップしたNOXを脱離する上流側NOXトラップ(例えば上流側NOXトラップ触媒)と、を有することを特徴としている。
【0007】
このように、パティキュレートフィルタ(ディーゼルパティキュレートフィルタ;DPF)の上流に、酸化触媒と上流側NOXトラップとを配置したため、上流側NOXトラップから脱離するNOXの量を適宜に調整することにより、上流側NOXトラップにトラップされているNOXトラップ量を所望の範囲に調整できることに加え、DPFへ供給されるNO2の量を調整することが可能である。このため、例えば酸化触媒が所定の活性温度以下であり、この酸化触媒からのNO2の供給量が十分でないような条件下においても、DPFへのNO2の供給量を十分に確保することができ、このような高酸化力のあるNO2により、DPFに堆積するパティキュレート(PM)の燃焼反応を促進し、そのパティキュレート堆積量を効果的に低減することが可能である。このようにして、NOXトラップ量やPM堆積量を所望の範囲に調整することにより、上流側NOXトラップやDPFを所望の性能が得られる状態に保持することができ、結果として、PMとNOXとを高いレベルで安定して浄化することが可能となる。
【0008】
特に、上述したような深層濾過方式のDPFでは、PM堆積量によって、PM浄化性能が大きく変化する。具体的には、PM堆積量が多すぎても少なすぎても、DPFにおけるPM浄化性能が低下してしまう。従って、好ましくは請求項2に係る発明のように、上記パティキュレートフィルタに堆積しているパティキュレート推積量に基づいて、上記上流側NOXトラップからのNOX脱離量を制御する。これにより、パティキュレート堆積量を所望の範囲に正確に調整することが可能となる。
【0009】
より好ましくは請求項3に係る発明のように、上記上流側NOXトラップにトラップされているNOXトラップ量と、上記パティキュレートフィルタに堆積しているパティキュレート堆積量と、に基づいて、上記上流側NOXトラップからのNOX脱離量と、上記パティキュレートフィルタへ供給されるNO2供給量と、を制御する。これにより、NOXトラップ量及びパティキュレート堆積量を所望の範囲に正確に調整することができる。
【0010】
このようにNOX脱離量やNO2供給量を制御するために、例えば上流側NOXトラップへ流入する排気の空燃比(空気過剰率)が調整され、あるいは排気中の還元成分濃度が調整される。より具体的には、主燃料の噴射後に副燃料が噴射制御され(post噴射)、EGR率が調整され、上流側NOXトラップの上流側にバーナが配置され、あるいはバーナの使用と共に追加燃料が噴射制御される。
【0011】
上記のPM堆積量を直接的に検出することは難しいので、好ましくは請求項4に係る発明のように、上記パティキュレートフィルタの入口の排圧を検出する排圧検出手段を有し、この排圧検出手段により検出される排圧に基づいて、上記パティキュレート堆積量を推定する。
【0012】
また請求項1に係る発明では、所定のNO低減条件のときに、主として上記上流側NOトラップにトラップされているNOトラップ量を低減させるNO低減運転を行うとともに、所定のパティキュレート低減条件のときに、主としてパティキュレートフィルタに堆積しているパティキュレート堆積量を低減させるパティキュレート低減運転を行う。
【0013】
上記のNOX低減運転を行う場合には、上述した排気のリッチ化等により上流側NOXトラップからのNOX脱離量を増やせば良い。一方、PM低減運転を行う場合、上流側NOXトラップからのNOX脱離量を単に増加させても、この脱離したNO2が高効率でN2に浄化されてしまうと、DPFへのNO2供給量をあまり増加させることができない。
【0014】
そこで請求項に係る発明では、上記NO低減運転を行う場合、上記上流側NOトラップへ流入する排気の空気過剰率を1よりも小さくし、上記パティキュレート低減運転を行う場合、上記空気過剰率を略1とする。
【0015】
これにより、空気過剰率λが1よりも十分に小さい場合(λ<<1)、つまりスパイク深さが十分に深い場合、還元雰囲気下にある上流側NOXトラップからのNOXの脱離が十分に促進されるとともに、排気中に含まれる還元成分(HC,CO)の量が多いため、NOXの浄化が促進される。
【0016】
一方、上記空気過剰率が略1の場合(λ≒1)、つまりスパイク深さが相対的に浅い場合、還元雰囲気下にある上流側NOXトラップからのNOXの脱離が促進される一方、排気中に含まれる還元成分の量が比較的抑制される。従って、NOXからN2への浄化反応が抑制され、その分、DPFへ供給されるNO2の量が増える。この結果、十分な量のNO2をDPFへ供給することができ、PM堆積量を効果的に低減させることが可能となる。
【0017】
あるいは請求項7に係る発明のように、上記上流側NOXトラップは、流入する排気の還元成分濃度が低いときにNOXをトラップし、上記還元成分濃度が高いときにNOXを脱離する還元成分濃度変動型のNOXトラップであり、上記NOX低減運転を行う場合、上記パティキュレート低減運転を行う場合に比して、上記還元成分濃度を大きくする。
【0018】
この場合、還元成分としてのHCやCO等の濃度を変動させることにより、上流側NOXトラップからのNOX脱離量及びDPFへのNO2供給量を調整することができ、請求項6のように排気中の空気過剰率を必ずしも変化させる必要がないことから、燃費悪化を抑制することが可能となる。
【0019】
この還元成分濃度変動型の上流側NOXトラップは、好ましくは請求項8に係る発明のように、カリウム、ナトリウム、リチウム、セシウムからなるアルカリ金属、バリウム、カルシウム、ストロンチウムからなるアルカリ土類金属、ランタン、イットリウム、プラセオジウム、ネオジウム、サマリウムからなる希土類、マンガン、鉄、ニッケル、コバルトから選ばれた少なくとも一つと、白金、パラジウム、ロジウムから選ばれた少なくとも一つとを含んでいる。
【0020】
好ましくは請求項9に係る発明のように、上記NOX低減条件が、上記NOXトラップ量が所定の飽和量以上であることを含んでおり、上記パティキュレート低減条件が、上記パティキュレート堆積量が所定の下限値を越えていることを含んでいる。つまり、NOXトラップ量が飽和状態にあるときにNOX低減運転を実行し、パティキュレート堆積量が少なすぎる場合にはPM低減運転を行わない。
【0021】
また請求項10に係る発明では、上記パティキュレート低減条件が、上記酸化触媒へ流入する排気温度が所定の活性温度以下であることを含んでいる。つまり、酸化触媒が所定の活性温度以下であり、この酸化触媒でNO→NO2の反応が起き難いような運転状態の場合にも、供給されるNO2を利用してPM堆積量を低減させるPM低減運転を行うことができる。
【0022】
請求項11に係る発明は、上記NOX低減運転を行う場合、その直前に、上記上流側NOXトラップへ流入する排気の温度を所定の触媒活性温度以上に上昇させることを特徴としている。
【0023】
この場合、NOX低減運転を行う直前に排気温度を上昇させて、上流側NOXトラップを活性温度に上昇させることで、NOX低減運転中のNOX浄化率の向上を図ることができる。
【0024】
請求項12に係る発明は、上記パティキュレートフィルタの下流側に配設され、流入する排気成分に応じて、排気中のNOXをトラップするとともに、トラップされているNOXを脱離する下流側NOXトラップ(例えば下流側NOXトラップ触媒)を有することを特徴としている。
【0025】
この場合、DPFの下流側に排出されるNOXを下流側NOXトラップでトラップ,浄化することができるため、外部へ排出されるNOXをより確実に低減することができる。
【0026】
請求項13に係る発明は、上記パティキュレートフィルタの芯部材上に、上記酸化触媒の成分と上記上流側NOXトラップの成分とを含む触媒層が設けられていることを特徴としている。
【0027】
この場合、パティキュレートフィルタの筐体内に酸化触媒と上流側NOX触媒とが収容されることとなるため、装置の簡素化,小型化を図ることができる。また、パティキュレートフィルタを加熱することにより酸化触媒と上流側NOXトラップも同時に加熱される形となるため、活性化に必要な熱容量の低減化を図ることもできる。
【0028】
【発明の効果】
以上のように本発明によれば、パティキュレートフィルタの上流に酸化触媒及び上流側NOXトラップを配置しているため、上流側NOXトラップからのNOX脱離量を調整することにより、この上流側NOXトラップのNOXトラップ量を調整できることに加え、パティキュレートフィルタへ供給されるNO2の量を調整することが可能で、このNO2を利用したパティキュレートフィルタの燃焼反応を促進することができる。このため、上流側NOXトラップのNOXトラップ量やパティキュレートフィルタのパティキュレート堆積量を適正な範囲に保持することが可能で、この結果、NOXの浄化とパティキュレートの浄化とを高いレベルで両立することができる。
【0029】
【発明の実施の形態】
以下、本発明に係る排気浄化装置を、直列4気筒のディーゼル内燃機関の排気通路に適用した実施の形態について、図面を参照して詳細に説明する。
【0030】
図1は、本発明の第1実施例に係る排気浄化装置を示す構成図である。この内燃機関(エンジン)1は、いわゆるコモンレール型の燃料噴射装置2を備えており、一方の側面に、吸気マニホールド3と排気マニホールド4とが上下に重ねて配置されている。排気マニホールド4に連なる排気管(排気通路)5には、上流側より順に、後述するNOX浄化触媒7とディーゼルパーティキュレートフィルタ(DPF)9とが配設されている。NOX浄化触媒7の入口には、流入する排気温度を検出する排気温度センサ6が設けられ、DPF9の入口には、排圧(背圧)を検出する排圧センサ8が設けられている。
【0031】
また、排気管5から吸気マニホールド3へ排気の一部を還流させる排気還流通路10が設けられており、この排気還流通路10に、排気還流率を調整する例えば電子制御型の排気還流制御弁(EGRバルブ)11が介装されている。更に、排気を利用して吸気管12内の吸気を予圧する可変ノズル式のターボ過給機13が設けられている。このターボ過給機13は、過給効率を変化させて過給圧を調整可能であって、このターボ過給機13の下流側に、水冷式もしくは空冷式のインタークーラ14が設けられている。
【0032】
制御ユニット(エンジンコントロールユニット)15は、各種演算処理を記憶,実行するメモリ,CPU等を備えた周知のコンピュータシステムであって、上記のセンサ6,8の他、機関回転数Neを検出するエンジン回転数センサ16や、アクセル開度Lを検出するアクセル開度センサ17等の機関運転状態を検出する各種センサが接続されており、これら各種センサからの検出信号等に基づいて、様々なエンジン制御を行う。つまり制御ユニット15は、アクセル開度Lや機関回転数Ne等に基づいて、燃料の噴射時期及び噴射量を演算し、その演算結果に基づいて燃料噴射装置2を駆動制御し、同様に、機関運転状態に応じて排気還流制御弁11やターボ過給機13を駆動制御して、排気還流率(EGR率)や過給圧を制御する。
【0033】
上記のNOX浄化触媒7は、機関排気中のHC,COを高い効率で酸化して浄化するとともに、機関排気中のNOを酸化してNO2を生成する酸化触媒としての機能と、流入する排気成分に応じて、排気中のNOXをトラップするとともに、トラップしたNOXを脱離する上流側NOXトラップ触媒としての機能を併せ持っている。つまり、NOX浄化触媒7は、酸化触媒の機能を有する上流側NOXトラップ触媒と言い換えることもできる。
【0034】
このNOX浄化触媒7は、例えばコージェライト製のモノリス担体上に、酸化触媒の成分とNOXトラップ触媒の成分とを混ぜてコーティングさせたものである。なお、それぞれを層別にコーティングしてもよい。酸化触媒としては、例えばPt、Pd等の貴金属成分を担持した活性アルミナが用いられる。NOXトラップ触媒としては、後述する第3実施例と同様の還元成分濃度変動型のNOXトラップ触媒を用いることもできる。
【0035】
DPF9は、排気中のPMを捕集し、捕集したPMを排気中のNO2と反応させるPMの捕集・処理用のフィルタであり、一端が閉塞した中空円筒形状で深層濾過方式のものが用いられている。具体的には、周面部分に多数の孔を設けた有底円筒状をなす芯部材と、この芯部材にセラミックファイバーを幾層にも巻き回して形成される外層部とで構成されており、底部として閉塞されている端部が下流側となるように配置され、芯部材の他方の開口端から排気が導入されるように取り付けられている。従って、排気は内層部から外層部へと半径方向外周側へ流れ、排気中のPMがセラミックファイバーによって捕集される。なおDPF9としては、このタイプのものに限らず、従来より公知のニット状のファイバー、もしくはセラミックフォームタイプのもの、あるいはこれらを組み合わせて用いてもよい。
【0036】
このDPF9に用いるセラミックファイバーの性質について述べると、一般的にセラミックファイバーは、単位容積当りに用いる繊維表面積が非常に大きい(約10000cm2/cc)のが一つの特徴である。これは、例えば一般的な触媒の担体に用いるコージェライト製のモノリス担体の単位容積当りの表面積(約20〜30cm2/cc)と比べて圧倒的に大きく、つまり、少ない容積で大きな表面積が得られるため、触媒化には好適な材料である。
【0037】
図2は、この第1実施例に係る制御の流れを示すフローチャートで、このルーチンは、上記の制御ユニット15により所定時間毎に繰り返し実行される。
【0038】
S(ステップ)1では、エンジン運転状態を読み込む。具体的には、エンジン回転数センサ16から機関回転数Neを、アクセル開度センサ17からアクセル開度Lを、排圧センサ8から排圧Pfを読み込む。S2では、機関回転数Ne及びアクセル開度L等に基づいて、燃料噴射量Qを演算する。S3では、上流側NOXトラップ触媒7にトラップされているNOXトラップ量を算出する。このNOXトラップ量は、例えば特許公報2600492号公報の第6頁に記載されているように、エンジン回転数Neの積算値から推測することができる。
【0039】
S4では、DPF9に堆積するPM堆積量を検知する。DPF9のPM堆積量を直接検知することは困難であるので、この実施例では、排圧センサ8により検出されるDPF9の入口の排圧に基づいて、PM堆積量を推定している。なお、吸入空気量に基づいて上記の排圧を推定するようにしても良い。DPF9の入口の排圧は、PM堆積量以外の因子によっても変化し、例えば触媒7へ流入する排気量が増えれば排圧も上昇する。このため、実際には、図3,4に示すようなPM堆積量推定用のマップを参照して、PM堆積量の上限値ACC2や下限値ACC1に対応する排圧を、機関回転数Ne及び燃料噴射量Qに基づいて推定する。
【0040】
S5ではDPF9の強制再生運転状態フラグreg.が0であるかを判定する。このフラグreg.が1の場合はS25へ進み、後述する強制再生運転を続行する。S6では、DPF9ヘのPM堆積量が所定の上限値ACC2未満であるかを判定する。実際には、現在の機関回転数Ne及び燃料噴射量Qに基づいて図3のマップを参照することにより、PM堆積量の上限値ACC2に対応する排圧上限値を算出し、現在の排圧値Pfが排圧上限値未満であるかを判定する。
【0041】
S7では、主にDPF9に堆積しているPM堆積量を低減するためのスライトリッチ運転(PM低減運転)の状態フラグrich1が0であるかを判定する。このフラグrich1が1の場合はS14へ進み、スライトリッチ運転を続行する。S8では、上流側NOXトラップ触媒7にトラップされているNOXトラップ量を低減するためのリッチ運転(NOX低減運転)の状態フラグrich2が0であるかを判定する。このフラグrich2が1の場合にはS20へ進み、リッチ運転を続行する。S8aでは、排気温度センサ6で検出される排気温度Tが所定の活性温度Ts(図8)以下であるかを判定する。なお、このS8aは省略することも可能である。
【0042】
S9では、上流側NOXトラップ触媒7に流入する排気の空気過剰率λが1以下のリッチ運転状態が可能であるかを判定する。ディーゼルエンジン等では、理論空燃比よりも希薄な空燃比で通常の運転が行われているため、図5に示すように、アイドル等の低回転低負荷条件のように燃焼が不安定となる運転領域で、リッチ運転が成立しない場合がある。このため、S9においてリッチ運転が可能でないと判定されれば、本ルーチンを終了する。
【0043】
S10では、DPF9のPM堆積量が所定の下限値ACC1より多いかを判定する。実際には、現在の機関回転数Ne及び燃料噴射量Qに基づいて図4のマップを参照することにより、下限値ACC1に対応する排圧下限値を決定し、現在の排圧値Pfが上記の排圧下限値を越えているかを判定する。
【0044】
S11では、S3で算出されるNOXトラップ量に基づいて、NOX浄化触媒(上流側NOXトラップ触媒)7に所定量N2’以上のNOXがトラップされているかを判定する。NOXトラップ量が所定量N2’未満であれば、PM堆積量やNOXトラップ量を低減する必要がないと判断して、本ルーチンを終了する。
【0045】
上記S5〜S11の条件(PM低減条件)を全て満たしていれば、S12へ進み、主にDPF9に堆積しているPM堆積量を低減させるスライトリッチ運転を開始する。より具体的には、浅いリッチスパイクを入れることにより、空気過剰率が略1のスライトリッチ運転を所定時間行い、上流側NOXトラップ触媒7からNO2の形で脱離するNO2をDPF9へ積極的に供給し、この高酸化力のあるNO2を酸化剤として、DPF9に堆積しているPMの連続燃焼反応を促進し、PM堆積量の低減化を図る。
【0046】
この点について、図6の特性図を参照して詳述する。図6(a)は、上流側NOXトラップ触媒7から脱離するNOX濃度を示し、図6(b)は、上流側NOXトラップ触媒7へ流入する排気の空気過剰率λを示している。排気中の空気過剰率λ(空燃比,あるいはリッチスパイクの深さ)の変化に応じて、上流側NOXトラップ触媒7から脱離するNOXの量が変化するとともに、DPF9へ供給されるNO2の供給量も大きく変化する。図6(1)に示すように、空気過剰率λが1よりも十分に小さい(スパイク深さが深い)場合、還元雰囲気下にある上流側NOXトラップ触媒7からのNOXの脱離が促進されるとともに、排気中の空燃比が大きくリッチ化し、還元剤(還元成分)として働くCO,HCの排出量が多くなるため、この還元剤を用いて脱離したNOXが高効率で浄化される。従って、最終的にDPF9へ供給されるNO2の量は比較的少なくなる。
【0047】
一方、図6(2)に示すように、空気過剰率λが略1の場合、つまりスパイク深さが浅い場合、還元雰囲気下にある上流側NOXトラップ触媒7からのNOXの脱離が促進される一方で、排気の空燃比が略ストイキとなり、還元剤の量が相対的に少なくなるために、脱離したNOXがN2に浄化される割合が少なくなり、言い換えると、DPF9へ供給されるNO2の量が相対的に多くなる。このため、NO2を利用したDPF9のPM連続燃焼が促進され、PM堆積量が効率的に低減される。
【0048】
ここで、上記のS8a及び図7,8に示すように、酸化触媒に流入する排気温度Tが活性温度Ts(例えば300℃)を越えている場合、酸化触媒の作用によりPM連続燃焼(自己再生)に必要な量のNO2がDPFへ供給される。しかしながら、活性温度Ts以下の場合には、酸化触媒からDPFへ十分な量のNO2が供給されず、そのままではPMの連続燃焼反応が行われない。そこで本実施例では、このようにDPFへのNO2の供給量が不足するような運転状態のときに、スライトリッチ運転を行う。これにより、このような状況においても、DPFへ十分な量のNO2が供給され、PM堆積量の低減化を図ることができる。
【0049】
これに対し、特開平9−53442号公報の装置のように、DPFの上流側にNOXトラップ触媒が設けられていない構成の場合、酸化触媒が活性化しないような状況下において、DPFのPM堆積量を低減するためには、post噴射等によって排気温度をDPFの自己燃焼温度である600℃程度まで上昇させる強制再生を実施しなければならないので、燃費悪化等を招聘してしまう。
【0050】
なお、上記のように排気の空燃比を一時的にリッチ化する手法としては、例えば特開平9−53442号公報の第4頁に記載されているように、主燃料の噴射後に副燃料を後噴射するpost噴射を行うことや、吸気絞り弁やスロットルチャンバを利用して必要な空気量だけをエンジンに送り込む制御を行うこと等が挙げられる。
【0051】
続く、S13では、スライトリッチ運転が続行中であることを示すために、上記フラグrich1を1にする。このλ≒1のスライトリッチ運転が所定時間t1経過すると、S14からS15へ進み、スライトリッチ運転を終了する。具体的には、排気の空燃比を通常のリーン状態へ復帰させる。このスライトリッチ運転時間t1は、後述するリッチ運転時間t2に比して長くなる傾向にある。
【0052】
上記のS10において、DPF9のPM堆積量が所定の下限値ACC1を越えていないと判定され、かつ、S17において、S3で算出された上流側NOXトラップ触媒7のNOXトラップ量が所定の飽和量N2に達していると判定された場合、つまりNOXトラップ量を低減すべき条件にある場合、主に上流側NOXトラップ触媒7にトラップされているNOXを低減するためのリッチ運転を開始する。なお、S17における飽和量N2は、上述したS11における所定量N2’と同じか、あるいは大きく設定されている。
【0053】
より具体的には、図6の(1)に示すように、深いリッチスパイクを入れることにより、上流側NOXトラップ触媒7へ流入する排気の空燃比を一時的にリッチ側へ大きく変化させて(空気過剰率λ<<1)、上流側NOXトラップ触媒7にトラップされたNOXを積極的に脱離させる。
【0054】
このように排気の空燃比を一時的にリッチ化する手法としては、上述したように、post噴射を行うことや、吸気絞り弁やスロットルチャンバを利用して必要な吸入空気量だけを機関に送り込む制御を行うことや、燃料噴射量を一時的に増量制御すること等が挙げられる。
【0055】
続くS19では、λ<<1のリッチ運転が続行中であることを示すために、上記フラグrich2を1にする。このリッチ運転が所定時間t2を経過すると、S20からS21へ進み、リッチ運転を終了する。つまり、排気の空燃比を通常のリーン状態へ復帰させる。そして、S22において、上記のフラグrich2を0に戻し、本ルーチンを終了する。
【0056】
上記のS6において、DPF9のPM堆積量が上限値ACC2以上であり、NO2を用いたPM連続燃焼だけでは排圧上昇を回避できず、PM堆積量をより確実に減らす必要があると判定された場合には、S23へ進み、強制的にDPF9を再生する強制再生運転を開始する。具体的には、吸入空気量やEGR率を制御したり、post噴射を行う等によって、DPF9へ流入する排気温度をPMの自己燃焼温度である600℃程度まで上昇させる。
【0057】
続くS24では、強制再生運転が続行中であることを示すために、上記フラグreg.を1とする。この強制再生運転が所定時間t3経過したと判定されると、S25からS26へ進み、強制再生運転を終了する。そして、S27において、上記のフラグreg.を0に戻し、本ルーチンを終了する。
【0058】
このように本実施例では、PM堆積量が下限値ACC1から上限値ACC2までのPM連続燃焼可能範囲内にあり、酸化触媒が活性化しておらず、かつ、上流側NOXトラップ触媒7にNOXがある程度(N2’)トラップされているような場合には、空気過剰率λ≒1のスライトリッチ運転が所定時間t1行われる。これにより、上流側NOXトラップ触媒7からNOXが脱離してNOXトラップ量が低減されるとともに、脱離したNOXがNO2の形で下流側のDPF9へ十分に供給され、この酸化力の強いNO2でDPF9に堆積しているPMが効率よく燃焼され、PM堆積量を効果的に低減することができる。
【0059】
また、PM堆積量が下限値ACC1に達しておらず、かつ、NOXトラップ量が飽和量N2に達しているような場合には、空気過剰率<<1のリッチ運転が所定時間t2行われる。これにより、還元雰囲気内で上流側NOXトラップ触媒7から良好にNOXが脱離し、NOXトラップ量が低減されるとともに、この脱離したNOXが還元剤を用いて高効率で浄化される。
【0060】
このようにリッチ運転を行う場合、脱離したNOXが高効率で浄化されるため、上記のスライトリッチ運転を行う場合に比して、下流側のDPF9へ供給されるNO2の量は少なくなる。しかしながら、微粒子を捕捉するDPFが本実施例のように深層濾過方式の場合、DPF9のPM堆積量が少なすぎる、つまり下限値ACC1以下であると、かえってPM浄化率が低下してしまうので、PM堆積量を増加させる必要があり、この点からも、上記のようにDPF9へ供給されるNO2の量が少なくなる方が良い。
【0061】
このように本実施例では、DPF9のPM堆積量や上流側NOXトラップ触媒7のNOXトラップ量に応じて、上流側NOXトラップ触媒7へ流入する排気中の空気過剰率を制御することにより、必要に応じて上流側NOXトラップ触媒7のNOXトラップ量を有効に低減できるとともに、DPF9のPM堆積量を適宜に調整することができる。この結果、NOX及びPMの双方を高いレベルで浄化することができる。
【0062】
更に、PM堆積量が上限値ACC2以上の場合には、上流側NOXトラップ触媒7のNOXトラップ量にかかわらず、DPF9へ流入する排気温度をPM自己燃焼温度(約600℃)程度まで上昇させる等により、DPF9に堆積しているPM堆積量を強制的に低減させる強制再生運転が所定時間t3行われるため、確実にPM堆積量を低減することができる。
【0063】
図9は本発明の第2実施例に係る制御の流れを示すフローチャートの一部であり、図2に示すフローチャートに対し、S17aとS17bとが追加されている。つまり、S18においてリッチ運転(NOX低減運転)を行う直前に、S17aにおいて、上流側NOXトラップ触媒7へ流入する排気温度Tが、このNOXトラップ触媒が活性化する活性温度T1(≒Ts)を越えているかを判定する。越えていなければ、S17bにおいて、触媒昇温手段を作動させて、上流側NOXトラップ触媒7の温度を活性温度T1を越えるまで上昇させる。これにより、リッチ運転を行う際のNOX浄化率が更に向上する。この触媒昇温手段としては、吸気絞り弁等により吸入空気量を制御することや、post噴射を行うこと等が挙げられる。
【0064】
図10は、本発明の第3実施例に係る内燃機関の排気浄化装置を示す概略構成図である。この第3実施例では、排気通路5におけるDPF9の下流側に、下流側NOXトラップ触媒21が配設されている点で、上記第1実施例と異なっている。つまり、DPF9の上流に上流側NOXトラップ触媒20が配設されるとともに、DPF9の下流に下流側NOXトラップ触媒21が配置されている。
【0065】
下流側NOXトラップ触媒21は、第1実施例の上流側NOXトラップ触媒7と同様、流入する排気成分に応じて、排気中のNOXをトラップするとともに、トラップしたNOXを脱離するようになっている。
【0066】
また、上流側NOXトラップ触媒20は、流入する排気ガスの還元成分濃度が低いときにNOXをトラップし、流入する排気ガスの還元成分濃度が高いときにNOXを脱離,浄化する還元成分濃度変動型のNOXトラップ触媒となっている。つまり、この上流側NOXトラップ触媒20は、本出願人が先に出願した特願平10−319689号に記載されているものと同様、La等を主成分としており、HCの濃度変動に応じてNOXをトラップ又は脱離する特性を有している。より具体的には、上流側NOXトラップ触媒20は、カリウム、ナトリウム、リチウム、セシウムからなるアルカリ金属、バリウム、カルシウム、ストロンチウムからなるアルカリ土類金属、ランタン、イットリウム、プラセオジウム、ネオジウム、サマリウムからなる希土類、マンガン、鉄、ニッケル、コバルトから選ばれた少なくとも一つと、白金、パラジウム、ロジウムから選ばれた少なくとも一つとを含んでいる。
【0067】
このような還元成分濃度変動型の上流側NOXトラップ触媒20では、NOX脱離時の還元成分濃度(HC濃度)が高くなると、脱離したNOXの浄化率が高くなって、DPFへ供給されるNO2の量が相対的に減少し、逆に還元成分濃度が低くなると、脱離したNOXの浄化率が低くなり、DPFへ供給されるNO2供給量が相対的に増加する。このような特性を利用し、排気中の還元成分濃度を調整することによって、第1実施例と同様、NOXトラップ量及びPM堆積量の双方を効果的に調整することができる。
【0068】
また、DPF9の下流に下流側NOXトラップ触媒21を配置することで、DPF9の下流に排出されるNOXをトラップ・浄化することができるため、NOX浄化性能が一段と向上する。
【0069】
図11は、この第3実施例の制御の流れを示すフローチャートで、このルーチンは、制御ユニット15により所定時間毎に繰り返し実行される。なお、図2の第1実施例と実質的に同じステップについては適宜説明を省略する。
【0070】
S31〜S36は、図2のS1〜S6とほぼ同様である。なお、S33では、上流側NOXトラップ触媒20及び下流側NOXトラップ触媒21の双方のNOXトラップ量が算出される。また、S36において、PM堆積量が上限値ACC2以上であると判定された場合には、S53以降へ進み、PM堆積量を強制的に低減する強制再生制御が行われる。このS53〜57は、図2のS23〜27とほぼ同様である。
【0071】
S37では、主にDPF9のPM堆積量を低減するためのPM低減運転である還元成分濃度変動運転(HC変動運転)の状態を表すフラグHC1が0であるかを判定する。フラグHC1が0でない(1である)と判定された場合には、S45へ進み、HC変動運転を続行する。
【0072】
S38,S38a,S39は、図2のS8,S8a,S9とほぼ同様である。すなわち、PM堆積量が上限値ACC2未満であり、酸化触媒が活性温度Ts以下にあり、強制再生制御,HC変動運転,又はリッチ運転が続行中ではなく、かつ、空気過剰率が1以下のリッチ運転が可能であると判定された場合には、S40へ進み、下流側NOXトラップ触媒21のNOXトラップ量が所定の飽和量N1以下であるかを判定する。
【0073】
続くS41において、DPF9のPM堆積量が所定の下限値ACC1を越えていると判定され、かつ、S42において、HC濃度変動型の上流側NOXトラップ触媒20のNOXトラップ量が所定量N2以上と判定された場合、S43へ進み、HC変動運転を開始する。それ以外の場合には、本ルーチンを終了する。
【0074】
HC濃度の変動は、post噴射、早期pilot噴射、EGR濃度の変動等により行うことができる。一例として、post噴射でHC濃度を変動させる場合について説明すると、上死点から100〜180°後に筒内に1mm3/stcyl(1気筒1ストローク)程度の燃料を噴射することで、排気中のHC濃度は数百ppm増加する。このようにしてHC濃度を適切に増加させることにより、上流側NOXトラップ触媒20にトラップされているNOXがNO2となって触媒から脱離し、DPF9へ効率的に供給される。この高酸化力のあるNO2でDPF9に堆積しているPMを効率よく燃焼させて除去させることができる。
【0075】
続くS44では、HC変動運転が続行中であることを示すために、上記のフラグHC1を1とする。このHC変動運転が所定時間t1経過したと判定されると、S45からS46へ進み、HC変動運転を終了する。つまり、HC濃度を通常の制御状態に復帰させる。そして、S47で上記のフラグHC1を0に戻し、本ルーチンを終了する。
【0076】
S40において、下流側NOXトラップ触媒21のNOXトラップ量が飽和量N1を越えていると判定された場合には、S48へ進み、主として下流側NOXトラップ触媒21にトラップされているNOXトラップ量を低減するためのリッチ運転(NOX低減運転)を開始する。つまり、空気過剰率λ<<1として、上述したHC変動運転の場合よりも還元成分濃度を更に大きくする。これにより、下流側NOXトラップ触媒21にも十分に還元剤(HC,CO)が供給され、この下流側NOXトラップ触媒21を高効率で浄化することができる。なお、S48〜S52は、図2のS18〜S22とほぼ同様である。
【0077】
図12は、DPFの他の例を示している。このDPF30は、上記実施例のDPF9と同様、一端が閉塞した中空円筒形状をなす深層濾過方式の構成となっており、有底円筒状をなす芯部材31と、この芯部材にセラミックファイバーを幾層にも巻き回して形成される外層部32と、を有している。そして、DPF30の芯部材31の外周上に、NOをNO2に酸化する機能を有する酸化触媒の成分と、流入する排気成分に応じてNOXをトラップ又は脱離する上流側NOXトラップ触媒の成分と、が混入された触媒層33が層状に配設されている。つまり、DPF30の芯部材31と外層部32との間に触媒層33が介装されている。
【0078】
また、このDPF30は、底部として閉塞されている端部が下流側となるように配置され、芯部材31の他方の開口端から排気が導入されるように取り付けられている。従って、排気は内側の触媒層33から外層部32へと半径方向外周側へ流れ、触媒層33によって排気中のNOがNO2に酸化されるとともに、NOXが適宜にトラップ又は脱離され、かつ、下流側の外層部(セラミックファイバー)32によって排気中のPMが捕集される。
【0079】
この場合、DPF30の筐体内に酸化触媒と上流側NOX触媒とが収容されることとなるため、装置の簡素化,小型化を図ることができる。また、DPF30を加熱することにより酸化触媒と上流側NOXトラップ触媒も加熱される形となり、活性化に必要な熱容量の低減化を図ることもできる。
【0080】
以上のように本発明を具体的な実施例に基づいて説明してきたが、本発明は上記実施例に限定されるものではなく、例えば排気温度を上昇させるために、触媒の上流側にバーナを配置したり、このバーナの使用と共に追加燃料を噴射しても良い。また、上流側NOXトラップ触媒と酸化触媒とを別々の筐体に配置しても良い。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の第1実施例に係る内燃機関の排気浄化装置を示す概略構成図。
【図2】第1実施例の制御の流れを示すフローチャート。
【図3】PM堆積量の上限値ACC2に対応する排圧推定用のマップ。
【図4】PM堆積量の下限値ACC1に対応する排圧推定用のマップ。
【図5】リッチ運転可能領域判定用のマップ。
【図6】上流側NOXトラップ触媒に流入する排気の空気過剰率と、この排気中のNOX濃度との関係を示す説明図。
【図7】機関回転数及び燃料噴射量に対するDPFの自己再生領域を示す特性図。
【図8】上流側NOXトラップ触媒へ流入する排気温度と触媒から排出されるNO2濃度との関係を示す特性図。
【図9】本発明の第2実施例に係る制御の流れを示すフローチャート。
【図10】本発明の第3実施例に係る内燃機関の排気浄化装置を示す概略構成図。
【図11】上記第3実施例の制御の流れを示すフローチャート。
【図12】DPFの他の例を示す斜視図。
【符号の説明】
5…排気管(排気通路)
6…排気温度センサ
7…NOX浄化触媒(上流側NOXトラップ触媒)
8…排圧センサ(排圧検出手段)
9…DPF(パティキュレートフィルタ)
15…制御ユニット

Claims (13)

  1. 内燃機関の排気通路に配設される排気浄化装置であって、
    流入する排気中のパティキュレートを捕集するパティキュレートフィルタと、
    このパティキュレートフィルタよりも上流側に配設され、排気中のNOをNOに酸化する機能を有する酸化触媒と、
    上記パティキュレートフィルタよりも上流側に配設され、流入する排気成分に応じて、排気中のNOをトラップするとともに、トラップしたNOを脱離する上流側NOトラップと、を有し、
    所定のNO 低減条件のときに、主として上記上流側NO トラップにトラップされているNO トラップ量を低減させるように、上記上流側NO トラップへ流入する排気の空気過剰率を1よりも小さくするNO 低減運転を行い、
    所定のパティキュレート低減条件のときに、主としてパティキュレートフィルタに堆積しているパティキュレート堆積量を低減させるように、上記空気過剰率を略1とするパティキュレート低減運転を行うことを特徴とする内燃機関の排気浄化装置。
  2. 上記パティキュレートフィルタに堆積しているパティキュレート推積量に基づいて、上記上流側NOトラップからのNO脱離量を制御することを特徴とする請求項1に記載の内燃機関の排気浄化装置。
  3. 上記上流側NOトラップにトラップされているNOトラップ量と、上記パティキュレートフィルタに堆積しているパティキュレート堆積量と、に基づいて、上記上流側NOトラップからのNO脱離量と、上記パティキュレートフィルタへ供給されるNO供給量と、を制御することを特徴とする請求項1に記載の内燃機関の排気浄化装置。
  4. 上記パティキュレートフィルタの入口の排圧を検出する排圧検出手段を有し、この排圧検出手段により検出される排圧に基づいて、上記パティキュレート堆積量を推定することを特徴とする請求項2又は3に記載の内燃機関の排気浄化装置。
  5. 上記パティキュレート低減運転の運転時間を、上記NO 低減運転の運転時間よりも長くすることを特徴とする請求項1〜4のいずれかに記載の内燃機関の排気浄化装置。
  6. 上記内燃機関が、上記パティキュレート低減運転及びNO 低減運転のときに上記排気の空気過剰率を一時的に小さくするディーゼル内燃機関であることを特徴とする請求項1〜5のいずれかに記載の内燃機関の排気浄化装置。
  7. 上記上流側NOトラップは、流入する排気の還元成分濃度が低いときにNOをトラップし、上記還元成分濃度が高いときにNOを脱離する還元成分濃度変動型のNOトラップであり、
    上記NO低減運転を行う場合、上記パティキュレート低減運転を行う場合に比して、上記還元成分濃度を大きくすることを特徴とする請求項1〜6のいずれかに記載の内燃機関の排気浄化装置。
  8. 上記上流側NOトラップは、カリウム、ナトリウム、リチウム、セシウムからなるアルカリ金属、バリウム、カルシウム、ストロンチウムからなるアルカリ土類金属、ランタン、イットリウム、プラセオジウム、ネオジウム、サマリウムからなる希土類、マンガン、鉄、ニッケル、コバルトから選ばれた少なくとも一つと、白金、パラジウム、ロジウムから選ばれた少なくとも一つとを含むことを特徴とする請求項7に記載の内燃機関の排気浄化装置。
  9. 上記NO低減条件が、上記NOトラップ量が所定の飽和量以上であることを含んでおり、
    上記パティキュレート低減条件が、上記パティキュレート堆積量が所定の下限値を越えていることを含んでいることを特徴とする請求項〜8のいずれかに記載の内燃機関の排気浄化装置。
  10. 上記パティキュレート低減条件が、上記酸化触媒へ流入する排気温度が所定の活性温度以下であることを含んでいることを特徴とする請求項〜9のいずれかに記載の内燃機関の排気浄化装置。
  11. 上記NO低減運転を行う場合、その直前に、上記上流側NOトラップへ流入する排気の温度を所定の触媒活性温度以上に上昇させることを特徴とする請求項〜10のいずれかに記載の内燃機関の排気浄化装置。
  12. 上記パティキュレートフィルタの下流側に配設され、流入する排気成分に応じて、排気中のNOをトラップするとともに、トラップされているNOを脱離する下流側NOトラップを有することを特徴とする請求項1〜11のいずれかに記載の内燃機関の排気浄化装置。
  13. 上記パティキュレートフィルタの芯部材上に、上記酸化触媒の成分と上記上流側NOトラップの成分とを含む触媒層が設けられていることを特徴とする請求項1〜12のいずれかに記載の内燃機関の排気浄化装置。
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