(第1実施例)
以下、本発明の実施形態を示す第1実施例について図面を用いて説明する。本第1実施例は、本発明をいわゆるセブン機と呼ばれるパチンコ遊技機(以下、単に遊技機という)に適用した実施例である。
図1は、本実施例の遊技機1の正面図である。図1に示すように、遊技機1の前面部は、本体枠2、中枠3、前面枠4、上皿部5、下皿部6、施錠装置9、遊技盤20等を備えている。なお、図1では遊技盤20の詳細な図示を省略している。また、中枠3は前面枠4等が前面側に配置されているため、図1においては明示されていない。
本体枠2は木製の板状体を略長方形の枠状に組立てたものであり、遊技機1の外枠を構成している。中枠3はプラスチック製であり、本体枠2の内側にはめ込まれて設置されており、外枠2に対して開閉可能に左端で軸支されている。中枠3は、上側2/3程度を占める枠体部と下側1/3程度を占める下板部とから構成されている。枠体部の前面側には遊技盤20と前面枠4とが重なるように設けられており、下板部の前面側には上皿部5と下皿部6が設けられている。
下板部には、遊技球を遊技盤20に発射する発射手段を構成する発射装置ユニット(図示略)、遊技球を発射装置ユニットに供給する球送り装置(図示略)が設けられている。さらに下板部には、図示を省略しているが、発射装置ユニット10に供給される遊技球を検知する球送りカウントスイッチ、発射装置ユニット10から発射される遊技球を検知する発射球カウントスイッチ、発射装置ユニット10から発射された遊技球のうち遊技盤20面に到達しなかった遊技球を検知するファール球検出スイッチが設けられている。さらに、下板部には、遊技状態に応じた効果音等を発生させるスピーカ266(図12参照)が設けられている。なお、本実施例のスピーカ266は、中高音用スピーカ(ツィータ)及び低音用スピーカ(ウーファ)とを含んで構成されている。
前面枠4は、中枠3の前面側に配置され、中枠3の左端で開閉可能に支持されている。前面枠4はプラスチック製であり、奥側に配置される遊技盤20の盤面を視認可能にするために、円形状の開口部4aが形成されている。前面枠4の裏面には、開口部4aに対応したガラス板等の透明板を備える略長方形状の透明板枠(図示略)が装着されている。
前面枠4には、遊技効果等のためのランプ類として、左LED表示部4b、右LED表示部4c、左上LED表示部4d、右上LED表示部4e、上LED表示部4fが設けられている。左LED表示部4bと右LED表示部4cは、開口部4aの周囲の右側と左側にそれぞれ円弧状に設けられている。左上LED表示部4dは左LED表示部4aの左上方に設けられ、右上LED表示部4eは右LED表示部4cの右上方に設けられている。上LED表示部4fは円形状に形成され、左LED表示部4bの上端部と右LED表示部4cの上端部との間に2個設けられている。これらのLED表示部4a〜4fは、遊技効果を高めるためにゲーム進行に応じて点灯・消灯あるいは点滅する。
また、2個の上LED表示部4fの間には、2個の賞球LED表示部4gが設けられている。賞球表示LED表示部4gの上方には、扇形のエラーLED表示部4hが設けられている。
上皿部5は、前面枠4の下側に設けられ、中枠3の左端に開閉可能に支持されている。上皿部5は、遊技球の貸球ボタン、返却ボタン等が配設された皿外縁部5aと、遊技機1の内部から遊技球を排出するための排出口5bと、上皿部5の遊技球を下皿部6に排出する球抜きボタン5cとを備えている。
また、上皿部5には、2つの演出スイッチ5d、5eが設けられている。遊技者は、これらの演出スイッチ5d、5eを用いて演出用キャラクタの選択等を行い、演出に変化を付与することができる。
上皿部5の略中央部には複数の長孔とその上部に多数の小穴が形成された第1音声出力部5fが形成されている。第1音声出力部5fは、スピーカ266のうち中高音用スピーカ(ツィータ)とダクトを介して接続されており、中高音用スピーカからの音声がダクトを介して出力される。上皿部5の裏面には音量スイッチ基板267(図12参照)が設けられている。
下皿部6は、上皿部5の下方に設けられている。下皿部6の略中央には、遊技機1の内部から遊技球を排出するための排出口6aが設けられている。また、下皿部6の底面には図示しない球抜き穴が設けられている。球抜き穴は通常時には閉鎖しており、下皿部6に貯留された遊技球を外部(例えば、ドル箱と呼ばれる遊技球収容箱など)に排出する際に開放する。下皿部6の略中央手前側には、球抜き穴を開閉させる排出ノブ6bが設けられている。なお、本実施例の下皿部6が本発明の受皿部に相当している。
下皿部6における排出ノブ6bの右側および左側の下面には、第2音声出力部6cが設けられている。第2音声出力部6cは、スピーカ266のうち低音用スピーカ(ウーファ)とダクトを介して接続されており、低音用スピーカからの音声が下方に向かって出力される。
下皿部6の右端には、遊技者が発射装置ユニット(図示略)を操作するための発射ハンドル8が設けられている。発射ハンドル8には、遊技者が触れていることを検出する接触検知手段としてのタッチスイッチ8aが設けられている。発射ハンドル8の左側面には、遊技者が操作して遊技球の発射を一時的に停止する発射停止スイッチ8bが配置されている。なお、本実施例の発射停止スイッチ8bは、タッチスイッチ回路内に設けられており、タッチスイッチ8aと電気的に直列接続されている。
施錠装置9は、中枠3の右端中央に設けられており、前面枠4を閉じた場合にこれを施錠するためのものである。また、遊技機1の左側には、プリペイドカードユニット13(CRユニット)が装着されている。
次に、本実施例の遊技盤20の表面構造について図2を参照して説明する。図2は遊技盤20の正面図である。遊技盤20は、略長方形の木製の板状体であって中枠3に表面側に着脱可能に取り付けられているとともに、後述する裏機構盤102(図4参照)によりその背面側が覆われている。
図2に示すように、遊技盤20には、遊技盤20の表面に設けられた外レール22と内レール23とにより略円形状の遊技領域21が形成されている。遊技領域21内には、演出図柄表示装置24、普通図柄作動ゲート26、普通図柄表示装置27、始動口(普通電動役物)28、特別図柄表示装置29、大入賞装置(特別電動役物)33、左入賞口34、35、右入賞口36、37等の遊技装置が配設されている。なお、図示を省略しているが、遊技領域21には各遊技装置との位置バランスを考慮して多数の障害釘が配設されている。
図2に示すように、演出図柄表示装置24は遊技領域21の略中央部に配置されている。演出図柄表示装置24は任意の図柄を表示可能な図柄表示部25を備えている。本例では、演出図柄表示装置24として大型の液晶表示装置を用いている。なお、演出図柄表示装置24が本発明の図柄表示手段の一具体例を示している。
普通図柄作動ゲート26は、演出図柄表示装置24の左側に設けられている。普通図柄作動ゲート26の内部には、遊技球の通過を検知する普通図柄作動ゲート検知スイッチ26sが設けられている。普通図柄作動ゲート26を遊技球が通過することにより、普通図柄表示装置27は普通図柄の変動表示を開始する。普通図柄表示装置27は、遊技領域21の左側において普通図柄作動ゲート26の下方に設けられている。
図3は、普通図柄表示装置27および特別図柄表示装置29の拡大図である。図3に示すように、普通図柄表示装置27は、特別図柄表示装置29の下方に位置しており、左普通図柄が表示される左普通図柄表示領域27aと右普通図柄が表示される右普通図柄表示領域27bとから構成されている。左普通図柄表示領域27aと右普通図柄表示領域27bには、それぞれ普通図柄を表示するためのLEDが設けられており、左普通図柄表示領域27aは緑色に点灯可能であり、右普通図柄表示領域27bは赤色に点灯可能となっている。
普通図柄表示装置27で表示される普通図柄の表示態様は、左普通図柄および右普通図柄が点灯、左普通図柄が点灯して右普通図柄が消灯、左普通図柄が消灯して右普通図柄が点灯、左普通図柄および右普通図柄が消灯の4態様がある。本実施例では、左普通図柄が消灯して右普通図柄が点灯する普通図柄の組合せが普通図柄の当り図柄の組合せとなっており、これ以外の組合せが普通図柄の外れ図柄の組合せとなっている。
本実施例では、普通図柄当否判定用乱数が用意されており、遊技球が普通図柄作動ゲートを通過した際に、始動口(普通電動役物)28を作動させるか否かの普通図柄当否判定に用いられる。普通図柄当否判定用乱数には、予め当り値が設定されており、遊技球が普通図柄作動ゲート26を通過したタイミングで取得された普通図柄当否判定用乱数が、当り値と一致する場合に当りと判定される。そして、当りと判定された場合には、普通図柄表示装置27で停止表示される普通図柄は、上記当り普通図柄の組合せに決定される。ここで、本実施例では、当り特別図柄の組合せとして、上述した確変図柄の組合せが決定される確率(いわゆる確変突入率)を、80%に設定している。一方、外れと判定された場合には、普通図柄表示装置27で停止表示される普通図柄は外れ図柄の組合せのいずれかに決定される。なお、普通図柄当否判定および普通図柄の停止図柄の決定は、後述の主制御部200によって行われる。
普通図柄表示部27では、普通図柄作動ゲート26を遊技球が通過することにより普通図柄が変動開始し、所定時間経過後に普通図柄が当り図柄の組合せあるいは外れ図柄の組合せで停止表示される。そして、普通図柄が予め設定された当り図柄の組合せで停止表示すると、始動口(普通電動役物)28が所定時間(例えば0.5秒)開放される。
始動口28は、図2に示すように演出図柄表示装置24の中央位置の下方に設けられている。始動口28は、いわゆるチューリップ式で左右に一対の翼片部が開閉するように形成されている。始動口28の内部には、遊技球の通過を検知する始動口入賞検知スイッチ28s(図6参照)と、翼片部を作動させるための始動口ソレノイド28c(図8参照)とが備えられている。この一対の翼片部が左右に開くと、遊技球の入球可能性が大きくなる開放状態となり、一対の翼片部が立設され、遊技球の入球可能性が小さくなる通常状態となる。
遊技球が始動口28に入球することで、特別図柄が変動表示を開始する。本実施例の特別図柄は、特別図柄表示装置29で表示される本特別図柄と演出図柄表示装置24で表示される疑似特別図柄とからなる。
特別図柄表示装置29は、図3に示すように長方形状の図柄表示領域29aを備えており、図柄表示領域28aには7セグメントからなる7セグ表示部29bと点表示部29cとが設けられている。本特別図柄は、7セグ表示部29aの表示と点表示部29bの表示を組み合わせて構成されている。7セグ表示部29aでは、「A」「y」「−(バー)」の3種類が点灯表示される。「A」は赤色、緑色、橙色のいずれかで表示され(それぞれ「赤A」「緑A」「橙A」という。)、「y」と「−(バー)」はそれぞれ緑色または赤色で表示される(それぞれ「緑y」「赤y」「緑バー」「赤バー」という。)。点表示部28bは、赤色、緑色、橙色のいずれかで点灯表示される。
本実施例の本特別図柄には、赤A橙点、赤A赤点、緑A赤点、緑A緑点、橙A赤点、橙A橙点、緑y赤点、緑y緑点、赤y橙点、赤y緑点、緑バー、赤バーの12種類の組合せがある。これらの本特別図柄の組合せのうち、赤A橙点、赤A赤点、緑A赤点、緑A緑点、橙A赤点、橙A橙点、緑y赤点、緑y緑点、赤y橙点、赤y緑点の10種類の組合せが大入賞装置(特別電動役物)33および条件装置が作動することとなる当り特別図柄の組合せ(特定の組合せ)であり、これら以外の組合せが外れ特別図柄の組合せである。
条件装置とは、役物連続作動装置が作動するための条件となる装置である。具体的には、条件装置は、後述の主制御部200を主体として構成され、本特別図柄が大当り図柄で停止表示することで作動を開始し、役物連続作動装置を作動させるものである。役物連続作動装置とは、後述の主制御部200を主体として構成され、後述の大入賞装置33を連続して作動させ、大入賞口33aを連続して開放状態とする装置である。役物連続作動装置の作動開始により、大入賞口33aが連続して開放する特別遊技状態が開始される。
上記の当り特別図柄の組合せのうち、緑y赤点、赤y緑点、橙A赤点、緑A緑点、橙A橙点の5種類の図柄の組合せが、役物連続作動装置の作動終了後、確率変動機能が作動することとなる確変図柄の組合せである。確率変動機能は、次回条件装置が作動するまでの間、または本特別図柄の変動回数が所定回数(本例では10000回)に到達するまで作動する。ここで、確率変動機能とは、役物連続作動装置の作動終了後、特別図柄当否判定の確率、すなわち特別図柄が特定図柄で停止表示する確率を変更(向上)させる主制御部200の機能をいう。
本実施例では、特別図柄当否判定用乱数が用意されている。特別図柄当否判定用乱数は、遊技球が始動口28に入球した際に、条件装置を作動させるか否かの特別図柄当否判定に用いられる。具体的には、特別図柄当否判定用乱数には、予め当否判定用の当り値が設定されており、遊技球が始動口28に入球したタイミングで取得された特別図柄当否判定用乱数が、当り値と一致する場合に当りと判定される。そして、当りと判定された場合には、特別図柄表示装置29で停止表示される本特別図柄は、上記当り特別図柄の組合せのいずれかに決定される。一方、外れと判定された場合には、特別図柄表示装置29で停止表示される本特別図柄は、上記外れ図柄の組合せのいずれかに決定される。なお、特別図柄当否判定、本特別図柄の変動態様の決定、本特別図柄の停止図柄の決定は、後述の主制御部200によって行われる。
特別図柄表示部28では、始動口27を遊技球が通過することにより本特別図柄が変動開始し、所定時間経過後に本特別図柄が当り図柄の組合せあるいは外れ図柄の組合せで停止表示される。そして、本特別図柄が予め設定された当り図柄の組合せで停止表示すると、後述の大入賞装置(特別電動役物)33が作動開始する。
ここで、演出図柄表示装置24で表示される疑似特別図柄について説明する。図2に示す演出図柄表示装置24の図柄表示部25には、図示を省略しているが、複数の疑似特別図柄(識別図柄)を所定の方向に次々と変動させながら表示した後、停止表示する疑似特別図柄表示領域(識別情報表示領域)が設けられている。具体的には、左図柄を表示する左図柄表示領域、中図柄を表示する中図柄表示領域、及び右図柄を表示する右図柄表示領域が、略横一列に設定された配置方向においてこの順序で並んで形成されている。各疑似特別図柄表示領域は、これらの表示領域の配置方向と略直交する向き、この場合、上下方向に図柄変動方向が設定されている。各図柄表示領域は、例えば「0」〜「7」からなる図柄をそれぞれ表示可能となっている。
演出図柄表示装置24は、遊技球が始動口28に入球することにより、図柄表示部25に表示される各疑似特別図柄の変動表示を開始し、所定時間経過後に停止表示させる。図柄表示部25で停止表示される疑似特別図柄は、特別図柄当否判定にて当りと判定された場合には、例えば「7・7・7」からなる疑似当り図柄の組合せに決定され、特別図柄当否判定にて外れと判定された場合には、上記疑似当り図柄以外の組合せからなる疑似外れ図柄に決定される。なお、疑似特別図柄の変動態様の決定、疑似特別図柄の停止図柄の決定は、後述の音ランプ制御部260によって行われる。
特別図柄表示装置29の右側には、普通図柄保留表示部30が設けられ、特別図柄表示装置29の左側には、特別図柄保留表示部31が設けられている。
普通図柄保留表示部30は4個のLEDからなり、普通図柄変動中に普通図柄作動ゲート26を通過した遊技球の数を4個まで保留可能とし、通過毎にLEDが1つずつ点灯し普通図柄保留数を表示するものである。次回の変動表示が開始するたびに未始動回数(保留数)が消化され、普通図柄保留表示部30のLEDが1つずつ消灯し普通図柄保留数が1個ずつ減少する。
特別図柄保留表示部31は4個のLEDからなり、特別図柄変動中に始動口28に入球した遊技球の数を4個まで保留可能とし、入球毎に通過毎にLEDが1つずつ点灯し特別図柄保留数を表示するものである。次回の特別図柄の変動が開始するたびに未始動回数が消化され、特別図柄保留表示部31のLEDが1つずつ消灯し特別図柄保留数が1個ずつ減少する。
普通図柄保留表示部30の下方には第1の状態表示部32aが設けられ、特別図柄保留表示部31の下方には第2の状態表示部32bが設けられている。これらの状態表示部32a、32bは、それぞれLEDから構成されている。
図2に戻り、大入賞装置33は、上記始動口31の下方に配設されている。ここで、大入賞装置33は、帯状に開口された大入賞口33aと、この大入賞口33aを開放・閉鎖する開閉板33bと、この開閉板33bを開閉するための大入賞口ソレノイド33c(図8参照)と、入賞球を検知する入賞球検知スイッチ33s(図8参照)とから主に構成されている。なお、大入賞口33aが本発明の可変入球口に相当し、大入賞装置33が本発明の可変入球装置に相当している。
特別図柄表示装置29で停止表示した本特別図柄が特定図柄であった場合、主制御部200は遊技者に相対的に有利な特別遊技機状態を発生させる。特別遊技機状態は、大入賞装置33を作動させることで、大入賞口33aへの遊技球の入球に関して遊技者に利益を付与するものである。なお、主制御部200が本発明の特別遊技状態発生手段に相当している。
大入賞装置33の作動開始により、大入賞口33aが開放して遊技球受入状態となる。この遊技球受入状態は、所定の終了条件成立により終了し、開放していた大入賞口33aが閉鎖状態となる。所定の終了条件として、遊技球受入状態の開始後における大入賞口33aの開放時間が所定開放時間(本実施例では30秒)に達したとき、もしくは遊技球受入状態の開始後、大入賞口33aに入球した遊技球数が所定数(本実施例では9個)に達したときとすることができる。
この遊技球受入状態の開始から終了までを1ラウンドとした場合、上述の役物連続作動装置は、所定ラウンド数(本実施例では4ラウンド)が終了したときに作動終了する。大入賞装置33では、遊技球受入状態が終了してから所定時間(例えば0.5秒)が経過した後に、大入賞口33aが開放して再び遊技球受入状態となり、次のラウンドが開始する。このような遊技球受入状態は、所定ラウンドが終了して役物連続作動装置の作動が終了するまで繰り返し継続される。
図2に示すように、大入賞装置33の左斜め上方には、第1の左入賞口34及び第2の左入賞口35がそれぞれ設けられている。これらの内部には、それぞれ左入賞口通過検知スイッチ34s、35s(図8参照)が設けられている。大入賞装置33の右斜め上方には、第2の右入賞口36と第2の右入賞口37とが設けられている。これらの内部には、右入賞口通過検知スイッチ36s、37b(図8参照)が設けられている。
次に、本実施例の遊技機1の裏面構造について図4に基づいて説明する。図4は遊技機1の裏機構盤102の正面図である。
図4に示すように、裏機構盤102は中枠3における遊技盤20の反対面に設けられており、一対のヒンジ103により中枠3に開閉可能に取り付けられている。裏機構盤102の左上方部には、タンク球切れ検知スイッチ104を底部に備えた賞球タンク105が設けられている。タンク球切れ検知スイッチ104は、賞球タンク105内に遊技球が存在する場合にはオン出力となり、賞球タンク105内に遊技球が存在しない場合にはオフ出力となる。賞球タンク105には、外部の補給装置から供給される払い出し用の遊技球が貯留されている。賞球タンク105の下方には、賞球タンク105と接続したタンクレール106が設けられている。タンクレール106は、賞球タンク105の底部から遊技球払出装置109の上方まで傾斜して形成されている。賞球タンク105内の遊技球は、賞球タンク105の底部からタンクレール106を流下する。
タンクレール106の右側には、球抜きレバー107が設けられている。球抜きレバー107の下流側には、遊技球払出装置109が設けられている。また、タンクレール106の下流側であって、遊技球払出装置109の上方には、タンクレール106を流下してきた遊技球の進行方向を変えて遊技球払出装置109に誘導するためのケースレール(遊技球誘導通路)108が設けられている。
タンクレール106の下方には、前面側に演出図柄表示装置24が取り付けられ、背面側にランプインターフェース基板ケース112、図柄制御基板ケース113、音ランプ制御基板ケース114がそれぞれ取り付けられた裏ケース111が設けられている。裏ケース111の下方には主制御基板ケース115が設けられ、主制御基板ケース115の下方には電源基板ケース116が設けられ、裏機構盤102の右下方部には、払出制御基板ケース118が設けられている。これらの基板ケースには、後述の各種制御基板が格納されている。
裏機構盤102の右上方部には、大当り、発射装置制御、球切れ、扉開放、賞球、貸球用等の遊技機枠用外部接続端子を備えた枠用外部端子基板122が設けられている。
また、遊技球払出装置109から払い出される遊技球を上皿部5と下皿部6に誘導する遊技球通路120が設けられている。遊技球払出装置109から払い出される遊技球は、遊技球通路120を介して上皿部5に優先的に誘導され、上皿部5が満タンになった場合に、上皿部5から溢れた遊技球が下皿部6に誘導される。なお、本実施例の遊技機1では、上皿部5および下皿部6に貯留可能な遊技球の総数は700個程度となっている。
図5は、遊技球経路120における上皿部5から溢れた遊技球が下皿部6に誘導される部位を示している。図5(a)は下皿部6が遊技球で満杯になっていない状態、図5(b)は下皿部6が遊技球で満杯になっている状態を示している。
図5(a)(b)に示すように、遊技球通路120には、壁の一部に可動壁121が設けられている。可動壁121は、下端が固定され下端を中心として揺動可能に構成されている。図5(a)に示すように、下皿部6が遊技球で満杯になっていない状態では、可動壁121は遊技球通路120の壁面と同一面に位置しており、図5(b)に示すように、下皿部6が遊技球で満杯になった状態では、遊技球通路120に満たされた遊技球で可動壁121が外側に押されて移動する。
可動壁121の近傍には下皿満タンスイッチ233(図7参照)が配置されている。下皿満タンスイッチ233は、可動壁121が揺動することで、オン状態とオフ状態とが切り替わるようになっており、図5(a)に示す状態ではオフ状態となり、図5(b)に示す状態ではオン状態となる。なお、下皿部6が遊技球で満杯となる満タン状態となった場合の処理については後述する。
次に、本実施例の遊技機1の電子制御装置について、図6に基づいて説明する。図6は、電子制御装置の概略構成を示すブロック図である。
図6に示すように、電子制御装置は、主制御部200と、その主制御部200に接続された副制御部230、260及び280とを含んで構成されている。副制御部は、払出制御部(賞球制御部)230、音ランプ制御部260及び図柄制御部280から構成される。主制御部200は主制御基板200aを備え、副制御部230、260及び280は周辺制御基板として払出制御基板230a、音ランプ制御基板260a及び図柄制御基板280aをそれぞれ備えている。
主制御部200は、遊技の進行を司る主制御手段を構成するものであり、各副制御部230、260及び280に処理内容を指示する指令信号(コマンドデータ)を送信し、各副制御部230、260及び280は指令信号に基づいて各種制御を行うように構成されている。
例えば、主制御部200から払出制御部230には、賞球払出を指示する賞球指示信号、遊技開始許可を指示する遊技開始許可信号、各種発射制御コマンド等のコマンドが送信される。各種発射制御コマンドには、球送り許可・禁止、発射許可・禁止、遊技開始許可等が含まれている。また、主制御部200から音ランプ制御部260には、各種ランプ制御コマンド及び各種音声制御コマンドが送信される。
本実施例では、主制御部200から払出制御部230に、上記コマンドに加えて遊技状態に関する遊技状態情報が送信される。遊技状態情報には、大当り中の何ラウンド目かを示す大当りラウンド情報と、大当り中の各ラウンドにおける大入賞口33aへの入球数を示す大入賞口カウント情報と、確率変動機能が作動している確変状態であることを示す確変状態情報等が含まれている。
主制御部200から図柄制御部280には、音ランプ制御部260を介して、普通図柄の表示制御を指示する普通図柄表示制御コマンドや本特別図柄の表示制御を指示する本特別図柄表示制御コマンドを含む各種図柄制御コマンドが送信される。音ランプ制御部260は、主制御部200からの本特別図柄表示制御コマンドに基づいて疑似特別図柄の変動態様および停止図柄を決定し、疑似特別図柄の表示制御を指示する疑似特別図柄表示制御コマンドを図柄制御部280に送信する。
各制御部200、230、260及び280には、主電源129と接続された電源受電基板128から電源基板127と電源中継基板121とを介して電源が供給されている。また、電源立上げ時には、システムリセット信号が電源基板127および電源中継基板121を介して各制御部200、230、260及び280に送信される。なお、本実施例の遊技機1は、電源断時に主制御部200及び払出制御部230に作動電圧を供給する図示しないバックアップ電源部(図示略)を備えており、電源断時にも主制御部200及び払出制御部230のRAMデータが保持される。
図7は、主制御部200の主制御基板200aに設けられたCPU400の構成を示すブロック図である。図7に示すように、CPU400は、CPUコア401、内蔵RAM402(以下、単にRAMともいう)、内蔵ROM403(以下、単にROMともいう)、メモリ制御回路404、クロック発生器405、アドレスデコーダ406、ウォッチドッグタイマ407、カウンタ/タイマ408、パラレル入出力ポート409、リセット/割り込みコントローラ410、外部バスインターフェース411及び出力制御回路412を備えている。
CPU400は、ROM403に格納された制御プログラムにより、RAM402をワークエリアとして遊技機1全体の作動制御(遊技の基本進行制御)を司る。また、主制御部200は、CPU400が主体となって、ROM403に格納された当否判定プログラムにより当否判定を行う当否判定手段を構成している。なお、本実施例の主制御部200の制御周期は4msに設定されている。
図6に戻り、主制御部200には、盤用外部端子基板201、始動口入賞検知スイッチ28s、普通図柄作動ゲート検知スイッチ26s、盤面中継基板210及び遊技枠中継基板220が接続されている。始動口入賞検知スイッチ28sは、始動口28に遊技球が入球したことを検知するものである。普通図柄作動ゲート検知スイッチ26sは、普通図柄作動ゲート26を遊技球が通過したことを検知するものである。
盤用外部端子基板201には、図示しない外部の試験装置を接続するための試験信号端子が複数設けられている。これらの試験信号端子は、遊技機用として使用されるものであり、賞球信号、入球口入球信号などの信号を試験装置に送出することができる。
次に、盤面中継基板210を図8に基づいて説明する。図8は、盤面中継基板210に接続された各種遊技装置を示すブロック図である。盤面中継基板210は、遊技盤20面に設けられた各種スイッチ等と主制御部200との間で、スイッチ信号等を中継するものである。
図8に示すように、盤面中継基板210には、入賞口通過検知スイッチ34s、35s、36s、37s、大入賞口入球検知スイッチ33s、各種ソレノイド28c、33cが接続されている。
入賞口通過検知スイッチ34s、35s、36s、37sは、各入賞口34、35、36、37への遊技球の入球を検知するものである。大入賞口入球検知スイッチ33sは、大入賞口33aに遊技球が入球したことを検知するものである。これらの遊技球検知スイッチは、近接スイッチあるいはフォトセンサ等により構成することができる。各種ソレノイド28c、33cとしては、始動口28を開閉するための始動口ソレノイド28c、大入賞口33aを開閉するための大入賞口ソレノイド33c等がある。
次に、遊技枠中継基板220を図9に基づいて説明する。図9は、遊技枠中継基板220に対する信号の入出力を示すブロック図である。遊技枠中継基板220は、主に中枠3に設けられた各種スイッチ等と主制御部200との間で、スイッチ信号等を中継するものである。
図9に示すように、枠中継基板220には、発射球カウントスイッチ221、ファール球検出スイッチ222が接続されている。さらに枠中継基板220には、後述の球送り中継基板251を介して球送りカウントスイッチ254が接続されている。
発射球カウントスイッチ221は、発射装置ユニットにて発射された遊技球を検知するものである。ファール球検出スイッチ222は、発射装置ユニットから発射された遊技球が遊技領域21に到達しないで、下皿部6に戻ってきた遊技球を検知するものである。球送りカウントスイッチ254は、上皿部5から発射装置ユニットに送られた遊技球をカウントするものである。
次に、図6に戻り、払出制御部230について説明する。図6に示すように、払出制御部230には、枠用外部端子基板122、スイッチ中継端子基板231、CR接続基板234、発射制御部250等が接続されている。スイッチ中継端子基板231には、タンク球切れスイッチ232、下皿満タンスイッチ233が接続されている。タンク球切れスイッチ232は、枠用外部端子基板122にも接続されている。
タンク球切れスイッチ232は、賞球タンク105内の遊技球が球切れとなったことを検知するものである。タンク球切れスイッチ232の球切れ信号は、枠用外部端子基板122を介して外部の補給装置に送信され、補給装置から賞球タンク105に遊技球が補給される。下皿満タンスイッチ233は、下皿部6の下受け皿が満タン状態になったことを検知するものである。なお、下皿満タンスイッチ233が本発明の受皿満タン検出手段に相当している。
払出制御部230の払出制御基板230aは、上記図7で示した主制御基板200aのCPU400と同様の構成を有するCPUを備えている。本実施例の払出制御部230の制御周期は、主制御部200より短い1msに設定されている。
払出制御部230を図10に基づいてさらに説明する。図10は、払出制御部230に対する信号の入出力を示すブロック図である。図10に示すように、払出制御部230には、CR接続基板234を介してプリペイドカードユニット13及びCR表示基板235が接続されている。CR表示基板235には、貸球ボタン236と返却ボタン237が接続されている。CR表示基板235は、CRユニット13との間で貸球やカード残り数等の信号を入出力するための基板である。
また、払出制御部230には、払出ユニット中継端子板239を介して払出モータ109f及び払出センサ109j、109kが接続され、状態表示LED中継端子板240を介して賞球表示LED基板241及びエラー表示LED基板242が接続されている。払出センサ109j、109kは、遊技球払出装置109で払い出された遊技球数を計数するものである。遊技球払出装置109で払い出される遊技球には、入賞に対して払い出す賞球と、遊技者に貸し出す貸球とが含まれている。
入賞に対する賞球払出は、入賞口33a、34、35、36、37のいずれかに遊技球が入球した場合に行われる。各入賞口33a、34、35、36、37に対する賞球数は予め定められており、例えば大入賞口33aに対する入賞数は15個に設定されている。
賞球表示LED基板241及びエラー表示LED基板242は、それぞれ賞球表示LED表示部4g及びエラーLED表示部4h(図1参照)に対応している。賞球表示LED基板241のLEDは賞球獲得の際に点灯あるいは点滅し、エラーLED基板242のLEDはエラー発生の際に点灯あるいは点滅する。エラー表示LED基板242は複数種類のLEDを備えており、エラーLED表示部4hは複数種類のエラー報知を行うことができる。さらに、払出制御部230には、図示しない音声出力部が設けられており、音声によるエラー報知を行うことができる。なお、払出制御部230が本発明の下皿満タン報知手段に相当している。
次に、発射制御部250を図11に基づいて説明する。図11は、発射制御部250に接続された各種遊技装置を示すブロック図である。図11に示すように、発射制御部250には、発射ハンドル8、原点センサ251、発射モータ252、球送り中継端子板253等が接続されている。発射ハンドル8から発射制御部250には、遊技者が発射ハンドル8を所定量以上回動させたかどうかを示す発射スタートスイッチ(図示略)からの発射スタート信号、遊技者が発射ハンドル8に触れているかどうかを示すタッチスイッチ8aからのタッチ信号等が入力する。
原点センサ251は、発射モータ252の回転軸が所定の原点位置(原点角度)にあるかどうかを検知するものである。発射モータ252は、発射位置に送り込まれた遊技球を遊技領域21に打ち込むための槌を稼働させるものであり、遊技者が発射ハンドル8を操作することにより作動する。
球送り中継端子板253には、上皿部5に貯留された遊技球を1個ずつ発射装置ユニットの発射位置に送り込むための球送りソレノイド(図示略)、球送りカウントスイッチ254が接続されている。上述のように、球送りカウントスイッチ254からの信号は遊技枠中継基板220を介して主制御部200に送信される。上記原点センサ251の信号は、発射制御部250を介して、払出制御部230に送信される。
次に、音ランプ制御部260を図12に基づいて説明する。図12は、音ランプ制御部260に接続された各種遊技装置を示すブロック図である。音ランプ制御部260に設けられた音ランプ制御基板260aには、CPU、ROM、RAM、入出力ポート等を有する演算回路構成要素(図示略)とサウンドジェネレータ(図示略)が設けられており、入出力ポートにおいて主制御部200に接続されている。
図12に示すように、音ランプ制御部260には、ランプインタフェース基板261を介して、16連入球口LED基板262、各種盤面LED基板263、各種遊技枠部LED基板264等が接続されている。ランプインターフェース基板261は、各種ランプ類の駆動回路が設けられており、音ランプ制御基板260aから独立した別基板として構成されている。
16連入球口LED基板262は、16連入球口24のいずれかに入球した際に、対応する16連入球口LED表示部25のLEDを点灯させるためのものである。盤面LED基板263および遊技枠LED基板264には、遊技効果LED基板等が接続されている。これらのランプ類はゲームの進行に対応して点灯・消灯又は点滅し、遊技効果を高めている。
さらに、音ランプ制御部260にはアンプ基板265が接続されている。アンプ基板265にはスピーカ266および音量スイッチ基板267が接続されている。スピーカ266からは、遊技の進行に対応して各種サウンド、音声等が出力される。音量スイッチ基板267は、図示しない音量スイッチの操作に従ってスピーカ266の出力音量の設定を行うものである。
また、音ランプ制御部260には、モード切替スイッチ268および演出スイッチ5d、5eが接続されている。モード切替スイッチ268はディップスイッチとして構成されており、電源投入時に遊技場従業員が操作する。モード切替スイッチ268により、演出図柄表示装置24における背景や出現するキャラクタの変更等を行うことができる。演出スイッチ5d、5eは、遊技者が遊技中に操作することで、演出図柄表示装置24における背景や出現するキャラクタの変更等を行うことを可能とするものである。
次に、図柄制御部280を図13に基づいて説明する。図13は、図柄制御部280に接続された各種遊技装置を示すブロック図である。図柄制御部280に設けられた図柄制御基板280aには、CPU、RAM、ROM、入出力ポート、VDP(ビデオディスプレイプロセッサ)等を有する演算回路構成要素(図示略)が設けられ、入出力ポートにおいて主制御部200に接続されている。
図13に示すように、図柄制御部280には、演出図柄表示装置24を作動させる演出図柄表示装置基板281と、普通図柄表示装置27および特別図柄表示装置29を作動させる図柄表示装置基板282とが接続されている。図柄制御部280は、CPUがROMに格納された制御プログラムに従ってRAMをワークエリアとして演出図柄表示装置24、普通図柄表示装置27、特別図柄表示装置29の表示制御を行う。また、図柄制御基板280aのROMには、特別図柄画像データやリーチ表示態様画像データが格納されている。
次に、本実施例の下皿部6が満タン状態となった場合の報知処理を図14に基づいて説明する。図14は、払出制御部230のCPUがROM等に格納されたプログラムにしたがって行う下皿満タン報知処理を示すフローチャートである。
まず、下皿満タンスイッチ233がオンになったか否かを判定する(S10)。この結果、下皿満タンスイッチ233がオンになっていないと判定された場合には(S10:NO)、そのまま終了する。一方、下皿満タンスイッチ233がオンになっていると判定された場合には(S10:YES)、所定時間(本例では2秒間)経過したか否かを判定し(S11)、2秒間経過していない場合には(S11:NO)、S10の処理に戻る。
そして、2秒間継続して下皿満タンスイッチ233がオンになっている場合には(S11:YES)、特別遊技状態発生中であるか否かを判定する(S12)。なお、払出制御部230は、主制御部200から送信される大当りラウンド情報に基づいて、特別遊技状態発生中であるか否かを判定することができる。
この結果、特別遊技状態発生中であると判定された場合には(S12:YES)、現在のラウンド数と当該ラウンドにおける大入賞口33aへの入球数を取得する(S13)。なお、払出制御部230は、現在のラウンド数を主制御部200から送信される大当りラウンド情報から取得でき、大入賞口33aへの入球数は主制御部200から送信される大入賞口カウント情報から取得できる。
ここで、本実施例において上記S12の処理で特別遊技状態発生中であると判定されるのは、特別遊技が少なくとも2回以上連続して発生している場合である。つまり、本実施例の遊技機1は、特別遊技の最大ラウンド数が4ラウンドであり、1ラウンド中に大入賞口33aに入球可能な遊技球数が9個であることから、1回の特別遊技で払い出される賞球数は15×9×4=540個となり、特別遊技中に発射された遊技球を考慮すると、1回の特別遊技で獲得できる賞球数(差玉)は約500個となる。したがって、最初の特別遊技の終了時では、上皿部5は満杯となるが、下皿部6には少量の遊技球が貯留されるだけで満杯とならず、下皿部6が満杯になるまで余裕のある状態となる。このような状態で2回目の特別遊技が発生すると、再度540個の賞球が払い出され、差玉は約500個となることから、2回目の特別遊技の終了が近くなるにつれて、下皿部6が満杯になって遊技球が溢れ出すか否かといった状態となる。このことから、本実施例では、少なくとも2回目以降の特別遊技発生中に、上記S12の処理が肯定判断されることとなる。
次に、上記S13の処理に続いて、現在のラウンド数と当該ラウンドにおける大入賞口33aへの入球数とから賞球獲得見込数Znを算出する(S14)。賞球獲得見込数Znは、特別遊技状態が終了するまでに払い出されると予想される遊技球数である。賞球獲得見込数Znは、例えば以下の数式1で算出することができる。
Zn=(RMAX−RP)×NMAX+(IMAX−IP)×NA …(1)
ただし、RMAXは特別遊技状態発生中における最大継続ラウンド数(本例では4)であり、RPは特別遊技状態発生中における現在のラウンド数であり、NMAX(=NA×IMAX)は1ラウンドで獲得可能な最大賞球数(本例では135)であり、IMAXは1ラウンドで大入賞口33aに入球可能な最大遊技球数(本例では9)であり、IPは現在のラウンドでの大入賞口33aへの入球数であり、NAは大入賞口33aへの入球に対する賞球数(本例では15)である。
ここで、本実施例の遊技機1は、特別遊技の最大ラウンド数を4ラウンドとしているが、例えば、特別遊技中の最終ラウンドである4ラウンド目で、大入賞口33aに3個の遊技球が入賞した時点で下皿部6の満タンが検知されたとすると、今回の特別遊技で払い出される残り賞球数(賞球獲得見込数)Znは、90個(=残り入賞可能数6個×賞球数15)となる。
次に、賞球獲得見込数Znが所定値を超えているか否かを判定する(S15)。この所定値は、下皿満タンスイッチ233がオンになった後に、下皿部6から遊技球が溢れ出すことなく遊技を継続することが可能であると考えられる遊技球払出数であり、任意に設定することができる。本実施例では、所定値を100個としている。
この結果、賞球獲得見込数Znが所定値を超えていると判定された場合には(S15:YES)、大量の賞球が払い出されると予測できる。このため、遊技者に下皿部6が満タン状態であることを報知し(S16)、遊技球払出装置109による遊技球の払い出しを停止する(S17)。満タン状態の報知は、エラーLED基板242のLED(ランプ)や図示しない音声出力部の音声を用いて行うことができる。
一方、上記S15で賞球獲得見込数Znが所定値を超えていないと判定された場合には(S15:NO)、当否判定時の当り図柄が確変図柄であるか否かを判定する(S18)。この結果、当り図柄が確変図柄であると判定された場合には(S18:YES)、特別遊技状態の終了後に確率変動機能が作動するので、再び特別遊技状態が発生する可能性が高く、大量の賞球が払い出されると予測できる。このため、遊技者に下皿部6が満タン状態であることを報知し(S16)、遊技球払出装置109による遊技球の払い出しを停止する(S17)。なお、満タン状態報知の解除および賞球払い出し停止の解除は、遊技者が下皿部6に貯留された遊技球をドル箱に移して、満タン状態の検知が解除された時点で行われる。
一方、当り図柄が確変図柄でないと判定された場合には(S18:NO)、満タン状態であることを報知することなく、遊技球払出装置109による遊技球の払い出しを停止する(S17)。
ここで、上記S15の処理で賞球獲得見込数Znの値が所定値(本例では100)を超えていないと判定される時期は、本実施例では特別遊技の終了間際となる。つまり、本実施例の遊技機1は、特別遊技の最大ラウンド数が4ラウンドであり、1ラウンド中に大入賞口33aに入球可能な遊技球数が9個である。したがって、上記S14の処理で所定値(本例では100)を超えないZn(上記数式1参照)の値が算出されるのは、特別遊技中の4ラウンド目に3個以上の遊技球が大入賞口33aに入賞している場合である。
また、上記S18の処理によって今回の特別遊技が確変図柄以外の通常図柄によるものであると判定された場合には(S18:NO)、満タン状態の報知を行わず、賞球払い出しの停止のみを行うものとしている。これは、今回の特別遊技終了後に大量の賞球が払い出される可能性(特別遊技が連続して発生する可能性)が低く、特別遊技の終了後しばらく遊技を継続すれば、上皿部5および下皿部6の遊技球が消費されて満タン状態の検知と賞球払い出しの停止が解除されるからであり、残りの賞球(例えば、Zn=90であれば90個の賞球)が払い出されたとしても、下皿部6から遊技球が溢れ出すことなく遊技を継続できると考えられるからである。
図14に戻り、上記S12で特別遊技状態発生中でないと判定された場合には(S12:NO)、確率変動機能が作動している確変遊技中であるか否かを判定する(S19)。この結果、確変遊技中であると判定された場合には(S19:YES)、以後の短期間で特別遊技状態が発生する可能性が高く、大量の賞球が払い出されると予測できるので、遊技者に下皿部6が満タン状態であることを報知し(S16)、遊技球払出装置109による遊技球の払い出しを停止する(S17)。一方、確変遊技中でないと判定された場合には(S19:NO)、以後の短期間で特別遊技状態が発生する可能性が低く、大量の賞球が払い出される可能性も低いと予測されるので、満タン状態であることを報知することなく、遊技球払出装置109による遊技球の払い出しを停止する(S17)。なお、この賞球払い出し停止の解除は、上皿部5および下皿部6の遊技球が消費されて満タン状態の検知が解除された時点で行われる。
以上のように、本実施例では下皿部6の満タン状態の報知が、以後の賞球払出数を考慮して行われるので、満タン状態の報知を停止させるために僅かな量の遊技球をドル箱に移して、遊技を継続する必要がない。これにより、遊技者の下皿満タン報知に対する煩わしさを低減でき、下皿部6の球抜き頻度を減らすことができる。このことは、本実施例のように1回の特別遊技ラウンド数が少なく(例えば、5ラウンド以下)、確変突入率が高い機種(例えば、5ラウンド以下)にとって、特に有効である。
(第2実施例)
次に、本発明の第2実施例を、上記第1実施例と異なる部分についてのみ説明する。
本第2実施例の遊技機1は、特別遊技の最大ラウンド数が15ラウンドとなっている。このため、1回の特別遊技で払い出される賞球数は、15×9×15=2025個となる。特別遊技中に発射された遊技球を考慮すると、1回の特別遊技で獲得できる賞球数(差玉)は約1800個となる。したがって、本第2実施例では、1回の特別遊技で、上皿部5と下皿部6の貯留可能量を超える遊技球が払い出されることとなる。
次に、本第2実施例の下皿部6が満タン状態となった場合の報知処理を図15に基づいて説明する。図15は、払出制御部230のCPUがROM等に格納されたプログラムにしたがって行う下皿満タン報知処理を示すフローチャートである。
図15に示すように、本第2実施例では、2秒間継続して下皿満タンスイッチ233がオンになっている状態が、特別遊技状態中でないときに(通常遊技状態中に)発生した場合には(S12:NO)、満タン状態であることを報知することなく、そのまま処理を終了するものとしており、この点が、上記第1実施例と異なる点である。
上記したように、本第2実施例の遊技機1は、特別遊技の最大ラウンド数を15ラウンドとしているので、1回の特別遊技で上皿部5と下皿部6の貯留可能量を超える遊技球が払い出されることは明らかである。このため、特別遊技状態が開始されると、遊技者は、下皿部6に貯留される遊技球を積極的にドル箱へ移すことを行う。したがって、特別遊技状態発生中以外の状態で下皿部6の満タン状態が検知される可能性は非常に低くなる。また、本第2実施例の遊技機1のように、確率変動機能を有する機種であって特別遊技の最大ラウンド数が多く(例えば10ラウンド以上)設定された機種では、上述した第1実施例に比べて確変突入率が低く設定される(例えば、約50%から60%)のが一般的であり、確変状態となる頻度が低くなる。以上のことから、本第2実施例では、図14に示した確変遊技判定処理S19を省略している。
この確変遊技判定処理S19の有無以外については上記第1実施例と同様であり、本第2実施例においても、1回の特別遊技の終了間際、すなわち、Znの値が所定値(本実施例では100)を超えない場合には(S15:NO)、今回の特別遊技の当り図柄に応じて、下皿部6の満タン状態の報知を行うか否かを判断している(S18)。
したがって、本第2実施例においても、満タン状態の報知が以後の賞球払出数を考慮して行われるので、満タン状態の報知を停止させるために僅かな量の遊技球をドル箱に移して、遊技を継続する必要がない。
また、本第2実施例では、下皿満タン報知制御において確変遊技判定処理S19を行わない制御態様を採用しているので、払出制御部230の処理負担を軽減することができる。
(他の実施形態)
なお、上記実施例では、本発明をセブン機と呼ばれるパチンコ遊技機に適用したが、これに限らず、本発明は羽根物や権利物などの異なる種類の遊技機にも適用可能である。
また、上記実施例では、上皿部5と下皿部6が別体の遊技機について説明したが、本発明は上皿部と下皿部が一体となった遊技機についても適用可能である。
また、上記実施例では、下皿満タン報知処理(図14および図15)を払出制御部230のCPUが行うものとして説明したが、下皿満タンスイッチ233(図6参照)の検知信号を主制御部200に入力させて、主制御部200のCPU400が行うものとしてもよい。この場合、下皿満タンスイッチ233にて満タン状態が検知された際に、主制御部200が払出制御部230に払い出し停止のコマンドを送信するとともに、音ランプ制御部260に満タン状態の報知を指示するコマンドを送信することで、賞球払い出しの停止や、音声やランプによる満タン状態の報知を行うことができる。また、主制御部200、払出制御部230もしくは音ランプ制御部260の何れかが、図柄制御部280に向けて満タン状態の報知を指示するコマンドを送信することにより、満タン状態を報知する情報(画像)を演出図柄表示装置24上に表示させることとしてもよい。
1…遊技機、20…遊技盤、21…遊技領域、24…演出図柄表示装置(図柄表示手段)、25…図柄表示部、26…普通図柄作動ゲート、27…普通図柄表示装置、28…特別図柄表示装置、31…始動口(普通電動役物)、33…大入賞装置、33a…大入賞口、120…遊技球通路、200…主制御部(当否判定手段、特別遊技状態発生手段)、230…払出制御部、233…下皿満タンスイッチ(受皿満タン検出手段)、250…発射制御部、260…音ランプ制御部、280…図柄制御部。