以下では、上述した本願発明の内容を明確にするために、次のような順序に従って実施例を説明する。
A.組合せ式遊技機(アレンジボール遊技機)の装置構成:
A−1.全体構成:
A−2.ガイドレールおよび発射装置ユニットの構造:
A−3.遊技盤の構成:
A−3.裏面構造:
B.電子制御装置の構成:
B−1.全体構成:
B−2.払出制御部の構成:
B−3.発射制御部の構成:
B−4.音ランプ制御部の構成:
B−5.図柄制御部の構成:
B−6.遊技確認時間:
C.遊技球発射制御の概要:
D.遊技機全体の制御の概要:
D−1.メインジョブの概要:
D−2.電源投入処理:
D−3.遊技開始処理:
D−4.ゲーム管理処理:
D−5.入賞図柄処理:
D−6.役物遊技処理:
D−7.得点増加装置処理:
D−8.誘導増加装置処理:
D−9.誘導図柄および役物誘導装置処理:
D−10.電源断発生処理:
E.チャンスボール制御:
E−1.上皿部の構造:
E−2.予備球供給動作:
E−3.チャンスボール処理の内容:
F.遊技球排出動作:
G.変形例:
A.アレンジボール遊技機の装置構成 :
A−1.全体構成 :
図1は、本実施例のアレンジボール遊技機(以下、単に遊技機という)1の正面図である。図1に示すように、遊技機1の前面部は、本体枠2、中枠3、前面枠4、上皿部5、下皿部6、施錠装置9、遊技盤20等を備えている。なお、図1では遊技盤20の詳細な図示を省略している。また、中枠3は前面枠4等が前面側に配置されているため、図1においては明示されていない。
本体枠2は、木製の板状体を略長方形の枠状に組立てて形成されており、遊技機1の外枠を構成する。本体枠2の内側には、プラスチック製の中枠3が左端で軸支されて、本体枠2に対して開閉可能な状態ではめ込まれている。この中枠3の上側2/3程度を占める部分は枠体部となっており、下側1/3程度を占める部分は下板部となっている。
中枠3の下側を占める下板部には、上皿部5および下皿部6に加えて、発射装置ユニット10(図2、図4参照)や、球送り装置12(図7参照)、球送りカウントスイッチ、発射球カウントスイッチ、検出スイッチ、スピーカ266(図29参照)などが設けられている。発射装置ユニット10は、遊技球を遊技盤20に発射する遊技球発射手段を構成しており、球送り装置12は、この発射装置ユニットに遊技球を供給する。発射装置ユニット10に供給される遊技球は、球送りカウントスイッチによって検知され、発射される遊技球は、発射球カウントスイッチによって検知される。また、発射装置ユニット10から発射された遊技球のうち遊技盤20面に到達しなかった遊技球(すなわちファール球)は、ファール球検出スイッチによって検知される。本実施例のスピーカ266は、中高音用スピーカ(ツイータ)および低音用スピーカ(ウーフア)とを含んで構成されていて、遊技状態に応じた効果音等を発生させることができる。上皿部5および下皿部6の詳細については後述する。
一方、中枠3の上側を占める枠体部には、その前面側に遊技盤20が、更にその前面側に前面枠4が設けられており、前面枠4は中枠3の左端で開閉可能に軸支されている。前面枠4は、奥側に配置される遊技盤20の盤面を視認可能にするために、円形状の開口部4aが形成されており、この開口部4aにはガラス板等の透明板がはめ込まれている。
前面枠4は、プラスチック材料で形成されており、遊技効果等のためのランプ類として、左LED表示部4b、右LED表示部4c、左上LED表示部4d、右上LED表示部4e、上LED表示部4fが設けられている。左LED表示部4bと右LED表示部4cとは、開口部4aの周囲の右側と左側にそれぞれ円弧状に設けられている。左上LED表示部4dは左LED表示部4aの左上方に設けられ、右上LED表示部4eは右LED表示部4cの右上方に設けられている。上LED表示部4fは円形状に形成され、左LED表示部4bの上端部と右LED表示部4cの上端部との問に2個設けられている。これらのLED表示部4a〜4fは、遊技効果を高めるためにゲーム進行に応じて点灯・消灯あるいは点滅する。
また、2個の上LED表示部4fの間には、2個の賞球LED表示部4gが設けられている。賞球表示LED表示部4gの上方には、扇形のエラーLED表示部4hが設けられている。本実施例のエラーLED表示部4hは、重度のエラー発生の場合は赤色に、軽度のエラー発生の場合はオレンジ色に点灯あるいは点滅する。ここで、重度のエラーとは、例えば復旧のために前面枠4を開放して作業を行う必要があったり、あるいは部品を交換したりする必要があるような場合のエラーであり、軽度のエラーとは、それ以外のエラーである。
また、前面枠4には、図示しないドアスイッチが設けられている。ドアスイッチにて前面枠4が所定時間(本例では1秒)以上開放していることが検知された場合には、後述する払出制御部230は前面枠開放エラーが発生したと判断し、エラーLED表示部4hをオレンジ色に点灯させ、発射装置ユニット10による発射停止を行う。前面枠開放エラーは、ドアスイッチにて前面枠4が所定時間(例えば1秒)以上閉鎖していることが検知された場合に解除される。なお、前面枠4開放に関するエラー信号は、払出制御部230から後述の主制御部200には送信されない。
前面枠4の下方には、中枠3の下板部に設けられた上皿部5が、中枠3に対して開閉可能に左端側で軸支されている。この上皿部5には、皿状の凹部と、凹部を取り巻くように形成された皿外縁部5aとが設けられており、皿状の凹部の一部には後述する遊技球投入部が形成されている。遊技球は、上皿部5に形成された凹部から遊技球投入部に投入されて、発射装置ユニット10に供給される。また、皿外縁部5aには、遊技球の貸球ボタン、返却ボタン等に加えて、遊技球を排出するための排出ボタン5bが設けられており、上皿部5の内部には、遊技球を発射位置に供給するための機構や、遊技球を排出するための機構などが設けられている。これら上皿部5に設けられた各種機構については後述する。また、上皿部5の略中央部には複数の長孔とその上部に多数の小穴が形成された第1音声出力部5yが形成されている。第1音声出力部5yは、スピーカ266のうち中高音用スピーカ(ツイータ)とダクトを介して接続されており、中高音用スピーカからの音声がダクトを介して出力される。上皿部5の裏面には音量スイッチ基板267(図29参照)が設けられている。
下皿部6は、上皿部5の下方に設けられている。下皿部6の略中央には、遊技機1の内部から遊技球を排出するための排出口6aが設けられている。また、下皿部6の底面には図示しない球技き穴が設けられている。球抜き穴は通常時には閉鎖しており、下皿部6に貯留された遊技球を排出する際に開放する。
下皿部6の略中央手前側には、球抜き穴を開閉させる排出ノブ6bが設けられている。排出ノブ6bは、下皿部6の周縁部の一部を構成している。排出ノブ6bは、通常時は直立状態であり、下端を回転軸として上端を手前側に倒すように回転可能となっている。球抜き穴は排出ノブ6bに連動しており、排出ノブ6bが直立状態のときには球技き穴は閉鎖しており、排出ノブ6bを手前側に倒すことで球抜き穴は開放する。
排出ノブ6bは、プルロック式に構成されている。遊技者が下皿部6に溜まった遊技球を手前側に掻き出すように動作することで、排出ノブ6bが回転軸を中心に手前側に回転し、この状態でロックされる。同時に球抜き穴が排出ノブ6bの回転に連動して開放し、遊技球が下皿部6から排出される。排出ノブ6bをもう一度押すことでロックが解除され、排出ノブ6bを元の状態に戻すことができ、球抜き穴は閉鎖する。
下皿部6における排出ノブ6bの右側および左側の下面には、第2音声出力部6cが設けられている。第2音声出力部6cは、スピーカ266のうち低音用スピーカ(ウーフア)とダクトを介して接続されており、低音用スピーカからの音声が下方に向かって出力される。また、下皿部6の左側には灰皿7も設けられている。
一方、下皿部6の右端には、遊技者が発射装置ユニット10(図2、図3参照)を操作するための発射ハンドル8が設けられている。発射ハンドル8には、遊技者が触れていることを検出するタッチスイッチ8aが設けられている。発射ハンドル8の左側面には、遊技者が操作して遊技球の発射を一時的に停止する発射停止スイッチ8bが配置されている。なお、本実施例の発射停止スイッチ8bは、タッチスイッチ回路内に設けられており、タッチスイッチ8aと電気的に接続されている。また、下皿部6には、発射ハンドル8の上方に、チャンスボタン8cが設けられている。詳細には後述するが、本実施例の遊技機1は、遊技者がチャンスボタン8cを押すことによって、1ゲームにつき1球だけ遊技球を余分に発射することが可能となっている。ゲーム中に得られた図柄の組合せが、所定の組合せに惜しくも満たない場合など、例え1球であっても余分に遊技球を発射することができれば、遊技機の興趣を大きく高めることが可能である。このようなことを可能とするための具体的な構造および制御については、別図を参照しながら後ほど詳しく説明する。
施錠装置9は、中枠3の右端中央に設けられており、前面枠4を閉じた場合にこれを施錠するためのものである。また、遊技機1の左側には、プリペイドカードユニット13〈CRユニット)が装着されている。
A−2.ガイドレールおよび発射装置ユニットの構造 :
次に、図2〜図6を参照しながら、遊技球を誘導するガイドレールおよび発射装置ユニットについて説明する。図2は中枠3を正面側からみた斜視図であり、図3は中枠3を背面側からみた斜視図である。また、図4は発射レール11の拡大図である。尚、本実施例では、発射装置ユニット10と発射レール11とで遊技球発射手段を構成している。
図2に示すように、中枠3には外レール22が設けられている。外レール22は、遊技盤20上に形成される後述の中レール23(図8参照)とともに遊技盤20上に遊技球を誘導するガイドレールを構成している。外レール22は、板状部材を円弧状に曲げることによって形成されている(図3参照)。外レール22は、両端部の一部が板面に対して直角に折り曲げられ、取付部(ネジ止め部)22a、22bが形成されている。取付部22a、22bにはネジ穴が形成されている。
中枠3には、略円弧状のレール取付部3aが形成されている。このレール取付部3aの内側に外レール22をはめ込んで、取付部22a、22bをレール取付部3aにネジ止めすれば、外レール22を中枠3に固定することができる。このように外レール22の一部を折り曲げて形成した取付部22a、22bを利用して中枠3に取り付けることとすれば、外レール22を中枠3に固定するための固定部材を別途用いる必要がなくなるので、部品点数を削減できるとともに、組み付け作業も容易に行うことが可能となる。
図2に示すように、外レール22の右下には発射レール11が設けられている。また、図4に示すように、発射レール11における遊技球の発射位置には、上述した発射球カウントスイッチ221が設けられている。
図2、図3には、上述した発射装置ユニット10が中枠3に取り付けられている様子が示されている。発射装置ユニット10には、回転軸を中心にして往復移動して遊技球を打撃する槌10a(図2参照)や、槌10aの回転を規制するストッパ部10b、10c(図2)、槌10aに打撃力を付与するバネ部10d(図3)、モータ部10f(図3)などが設けられている。モータ部10fには、発射モータが内蔵されており、モータの回転軸に固定されたカム10eが回転することによって、槌10aに連続的に打撃力を発生させる。
また、ハンドル軸10g(図2)は、前述した発射ハンドル8に連結されている。遊技者がハンドル8を回転させると、ピニオン10hとラック10i(図3)によって、その回転運動が直線運動に変換される。そしてラック10iは、遊技者による発射ハンドル8の操作量をバネ部10dに伝達する。
図5は、発射ハンドル8を回転させていない場合のピニオン10hとラック10iの拡大図である。また、図6は、発射ハンドル8を回転させている場合のピニオン10hとラック10iの拡大図である。図5、図6に示されているように、ラック10iの近傍には発射スタートスイッチ10jが設けられている。発射スタートスイッチ10jは、直線運動するラック10iの移動によって、出力がオンとオフとに切り替わるように構成されている。本実施例では、発射スタートスイッチ10jとしてリミットスイッチを用いている。
発射スタートスイッチ10jは、遊技者が発射ハンドル8を所定角度以上回転させ、ラック10iが遊技球の打ち出しに最も適した所定の発射スタート位置にきたときにオン/オフが切り替わるような位置に設けられている。本実施例の発射スタートスイッチ10jは、発射ハンドル8を操作していない場合にオン出力(High)であり、遊技者が発射ハンドル8を操作すると、すなわち所定角度以上回転させるとオフ出力(Low)に切り替わる。
バネ部10dには、弾性体としてのゼンマイバネが内蔵されており、ゼンマイバネの一端は槌10aの回転軸に接続され、他端はラック10iに接続されている。ラック10iは、直線運動によりゼンマイバネ(渦巻きバネ)のバネ力(反発力)を調整するバネスライダ部を構成している。ゼンマイバネのバネ力は、槌10aの先端を発射位置方向に移動させる方向に働く。槌10aは、遊技球の発射を行っていない定常時には、ゼンマイバネのバネ力によりストッパ部10b、10cに押しつけられている。このとき、槌10aの先端は遊技球直前の発射位置に位置する。槌10aの先端は、図4に示すように発射球カウントスイッチ221の手前に位置している。なお、ストッパ部10b、10cにおける槌10aとの接触部は、弾性部材から構成されている。
本実施例では、モータ部10fの発射モータとしてマイクロステップ駆動のステッピングモータを用いている。ステッピングモータは、所定周波数の駆動パルス信号により駆動される。このようなマイクロステップ駆動のステッピングモータを採用することにより、低振動化を図ることが可能となる。
また、槌10aの回転軸には、カム10eと接触する係合部(図示せず)が設けられている。発射モータが回転することで、カム10eが槌10aの係合部を押圧し、槌10aがゼンマイバネを圧縮しながら発射位置から離れる方向に引っ張られる。カム10eが所定の発射角度まで回転すると、カム10eと槌10aの係合部との係合が外れ、ゼンマイバネのバネ力により槌10aが振り出される。この結果、槌10aの先端は発射位置にある遊技球を打撃(発射)することができる。槌10aは、ストッパ部10b、10cに接触するまで回転し、ストッパ部10b、10cは槌10aが衝突すると弾性変形しながら、槌10aの回転運動を停止させる。
このように、発射モータが1回転する毎に遊技球が1球発射される。発射モータが連続して回転することで上記動作を繰り返し、遊技球を連続的に発射することができる。
モータ部10fには、発射モータ回転軸が原点位置(原点角度)にあることを検出するための原点センサ(図示せず)が設けられている。原点センサとしては、例えば光センサを用いることができる。本実施例では、槌10aが振り出される所定の発射角度から所定角度(例えば15〜200)だけ回転した位置を原点と定めている。
遊技者は、発射ハンドル8の回転量を調整することで、槌10aによる遊技球の打撃力(発射力)を調整することができる。すなわち、遊技者が発射ハンドル8を回転させると、ハンドル軸10gとハンドル軸10gに連結されたピニオン10hを介して、ラック10iが直線運動する。ラック10iはバネ部10dのゼンマイバネに接続されているので、ラック10iの移動量に応じてゼンマイバネのバネ力を変化させることで、槌10aによる遊技球の発射力を変化させることができる。
ここで、球送り装置12について図7に基づいて説明する。球送り装置12は、前述した上皿部5の遊技球投入部から投入された遊技球を、発射レール11上の発射位置に供給する機能を有している。図7(a)〜(c)は球送り装置12の正面図およびA−A断面図を示している。図示されているように、球送り装置12は、ケース内に収納された球送りソレノイド12aと、該ソレノイドによって駆動される球送りカム12bなどから構成されている。球送りソレノイド12aをオン/オフさせるとケース内で球送りカム12bが揺動して、カムが1回揺動するごとに、上皿部5から投入された遊技球が1球ずつ供給されて発射位置に球込めされる。以下、図7(a)ないし図7(c)を参照しながら、球送り動作について説明する。
図7(a)は、球送りソレノイド12aがオフとなった状態を示している。図示されているように、球送りソレノイド12aがオフのときには、球送りカム12bは直立状態となっている。この状態では、球送りカム12bの頂部と球送り装置12のケース内壁との間には、遊技球が通過するだけの隙間が無いために、上皿部5から球送り装置12に投入された遊技球は、球送りカム12bの頂部に留まった状態となる。
次いで、球送りソレノイド12aがオンになると、球送りカム12bが一方向に所定角度だけ回転する。図7(b)は、球送りソレノイド12aがオンとなった状態を表している。図示されているように、球送りカム12bが回転すると、カムの頂部と球送り装置12のケース内壁との隙間が大きくなって、カムの頂部に留まっていた遊技球が、球送りカム12bの凹部に転がり落ちる。もっとも、凹部は遊技球1球分を保持する大きさしかないので、頂部に滞留していた遊技球が1球だけ凹部に流入すると、それ以上は遊技球が流入しないようになっている。結局、球送りソレノイド12aがオンになると、遊技球が1球だけ、球送りカム12aの凹部に供給されることになる。
再び、球送りソレノイド12aがオフになると、球送りカム12bが逆方向に回転して元の直立した状態に復帰する。図7(c)は、球送りソレノイド12aが再びオフとなった状態を示している。カムが直立状態になると、凹部内にあった遊技球は凹部から続いて形成されている斜面に沿って転がりながら、発射レール11に導かれて発射位置に球込めされる。一方、球送りカム12bが直立した状態では、カムの頂部とケース内壁との隙間が狭くなっているので、上皿部5から投入された遊技球は球送りカム12bの頂部に留まった状態となっている。
このように、球送り装置12は、球送りソレノイド12aをオンにすると、球送りカム12bが所定角だけ回転して上皿部5から投入された遊技球が1球だけ凹部に転がり落ち、球送りソレノイド12aをオフに戻すと、凹部に受け入れられた遊技球が発射位置に球込めされることになる。結局、球送りソレノイド12aのオン/オフを繰り返す度に球送りカム12bが揺動して、遊技球が1球ずつ球込めされることになる。また、球送りカム12bの頂部には、次に球込めされる遊技球が待機した状態となっている。
また、詳細には後述するが、本実施例の球送り装置12は、通常の遊技状態では上皿部5から投入された遊技球を受け取って球込めするが、上皿部5からではなく、後述する予備球通路から予備の遊技球を球込めすることも可能となっている。その結果、通常の遊技状態では規定個数の遊技球を発射しながら、特に必要な場合には予備の遊技球を発射することが可能となっている。この点については、別図を用いて後ほど詳しく説明する。
A−3.遊技盤の構成 :
次に、遊技盤2dの構成について図8に基づいて説明する。図8は、遊技盤20の盤面を模式的に示した正面図である。遊技盤20は、中枠3の前面側に着脱可能に取り付けられている。
図8に示すように、遊技盤20は、外レール22と内レール23により形成される略円形状の遊技領域21が設けられている。遊技領域21には、16連入球口(入球領域)24、16連入球口LED表示部25、左入球口(入球領域)26、誘導図柄作動ゲート(始動口)29、第2役物誘導装置作動ゲート30、図柄表示装置31、第1役物作動口(可変入球口)32、第2役物作動口33、特別遊技装置36等が設けられている。また、遊技領域21には、多数の障害釘(図示略)が設けられている。なお、16連入球口24、左入球口26、誘導図柄作動ゲート29、第2役物誘導装置作動ゲート30、第1役物作動口32、第2役物作動口33におけるそれぞれの内部には、遊技球の入球又は通過を検知する入球検知スイッチ(図示略)が設けられている。
16連入球口24は、遊技領域21の下方領域に設けられ、16個の入球口が横方向に一列に並んで配置されている。16連入球口24の前面側には、16連入球口LED表示部25が設けられている。16連入球口LED表示部25は、後述する図柄表示装置31内に設けられた入賞図柄表示部31c(図9)に対応して点灯するものであり、入賞図柄表示手段の一態様を示すものである。16連入球口24のいずれかの入球口に入球した場合には、その入球口に対応する入賞図柄表示部31cの入賞図柄が入賞表示するとともに16連入球口LED表示部25のLEDが点灯表示する。また、図示していないが、少なくとも3番、5番、11番、13番、15番の各入球口の障害釘は、遊技球が直接には入球し難いような状態に設定されており、それ以外の各入球口の障害釘は、比較的入球し易い状態に設定されている。尚、この16連入球口24は、15個の入球口により構成されている15連入球口としてもよく、入球口の数は特に限定されるものではない。
左入球口26は、16連入球口24の上方左側に設けられている。本実施例では、左入球口26に入球すると、16連入球口24における5番の入球口に入球したのと同様の効果が得られ、入賞図柄表示部31cの5番の入賞図柄が入賞表示するとともに、16連入球口LED表示部25の5番のLEDが点灯する。
本実施例の遊技機1は、遊技盤20に設けられた遊技領域21に向けて、所定個数の遊技球を発射することによって行われる。ここで、所定個数の遊技球とは、通常の遊技状態では、上皿部5を経由して投入された規定数の遊技球(代表的には15個)であるが、遊技者が特に望む場合は下皿部6の前面側に設けられたチャンスボタンを押すことにより、規定数の遊技球に予備の遊技球(予備球)を1球加えた個数の遊技球(規定数が15個の場合は16個)となる。こうして所定個数の遊技球を発射して行う遊技が一単位遊技となる。一単位遊技中に点灯表示された入賞図柄の組合せによって賞態様が決定され(得点が成立)、賞態様に対応する賞遊技価値の付与として賞球の払い出しが行われる。
ここで、賞遊技価値の付与として払い出される賞球の個数は、その一単位遊技に使用した遊技球の個数に基づいて決定される。例えば、入賞図柄が4個連続して点灯表示された場合に1点が付与されるものとすると、予備球を使用せずに遊技を終了した場合は、1点当たり規定数(代表的には15個)の遊技球が賞球として払い出される。これに対して、予備球を使用した場合は、使用した遊技球の個数が1個多くなるので、規定数を15個とすれば1点当たり16個の遊技球が賞球として払い出されることになる。
また、本実施例では、所定の入賞図柄の連続した組合せに対しては、より多くの得点が付与される。例えば、12,13,14,15番の組合せに対しては3点が付与される設定となっている。更に、後述するように、本実施例の遊技機1には得点増加装置も搭載されている。得点増加装置が作動した場合には、図柄の組合せによって得られた得点の合計が2倍される。ただし、一単位遊技で払い出すことのできる賞球の個数は、そのゲームに使用した遊技球の個数の10倍までとなっている。従って、予備球を使用せずに一単位遊技を終了した場合は、規定数を15個とすれば最大で150個となるのに対し、予備球を使用した場合は最大で160個の払い出しを受けることが可能となる。こうした賞遊技価値を付与する装置は、後述する主制御部200を主体として構成されている。尚、賞球の個数は、一単位遊技に投入した遊技球の個数(規定数)を基に決定するものとして、1点当たり規定数と同数の遊技球を賞球として払い出すこともできる。この場合、規定数を15個とすれば、予備球を使用しない場合と使用した場合とに関わらず、1点当たり15個の遊技球が賞球として払い出され、一単位遊技で最大150個の遊技球を賞球として払い出し可能となる。
16連入球口24の右端部に位置する16番の入賞図柄に対応する入球口24aは、得点増加装置作動口としての機能も有しており、遊技球が入球口24aに入球した場合には、16番の入賞図柄が表示されるとともに得点増加装置が作動する。賞態様増加装置としての得点増加装置は、後述の主制御部200を主体として構成されている。遊技者は、遊技領域21の右方側に設けられた第2役物誘導装置作動ゲート30、第2役物作動口33などを狙って遊技球を打ち出す操作(いわゆる右打ち)を行うことにより、特別遊技状態が発生しているときはもちろんのこと、特別遊技が発生していない通常遊技状態においても、入球口24aに遊技球を容易に入球させることができる。また、得点増加装置は、当該ゲームが終了したときに作動を終了する。
誘導図柄作動ゲート29は、遊技領域21の左上方に設けられている。また、遊技領域21の中央部には、任意の図柄を表示可能な画面を有する図柄表示装置31が設けられている。本実施例の図柄表示装置31は、液晶(LCD)にて構成されている。図柄表示装置31は、ドットマトリクス等のその他の装置を用いて構成することもできる。
図9は、図柄表示装置31の画面構成を示す正面図である。図9に示すように、図柄表示装置31には、誘導図柄表示部31a、31b、入賞図柄表示部31c、残り球表示部31d等が設けられている。本実施例では、誘導図柄表示部として、本図柄表示部31aおよび疑似図柄表示部31bを備えている。本図柄表示部31aは識別図柄としての本図柄を表示するものであり、図柄表示装置31内の右下に配置されている。本図柄表示部31aは、複数(本例では2つ)の図柄表示領域を備え、それぞれ赤色、青色、緑色の3色で表示可能に構成されており、6通りの本図柄の組合せを表示可能となっている。
疑似図柄表示部31bは、図柄表示部31の上側1/3程度を占めており、複数(本例では3つ)の図柄表示領域を備えている。本図柄表示部31aで停止表示された本図柄が、予め定められた当たり図柄(特定の図柄)の組合せである場合には、疑似当たり図柄を表示するとともに、本図柄が当たり図柄以外の組合せである場合には、疑似外れ図柄を表示するようになっている。具体的には、疑似図柄表示部31bの3つの図柄表示領域はそれぞれ「三」「七」「玉」「花」からなる4通りの図柄を表示可能であり、64通りの疑似図柄の組合せを表示可能である。
誘導図柄(本図柄および疑似図柄)は、遊技球が誘導図柄作動ゲート29を通過することにより変動開始し、所定時間変動表示した後で停止表示を行う。誘導図柄変動時間の経過後、遊技者が誘導図柄を確認するために誘導図柄停止表示時間が設定されている。誘導図柄変動時間は、例えば本図柄は1.1秒とし、疑似図柄は1.4秒とする。また、当たりの場合の誘導図柄停止表示時間は、例えば本図柄、疑似図柄ともに4秒とし、外れの場合の誘導図柄停止表示時間は、例えば本図柄は0.5秒とし、疑似図柄は0.2秒とする。
ここで、本図柄の変動時間が疑似図柄の変動時間よりも短く設定されているのは、次の理由によるものである。すなわち、本図柄の変動中は、遊技球が誘導図柄作動ゲート29を通過しても本図柄は新たに変動を開始することはなく、遊技球が誘導図柄作動ゲート29を通過したタイミングが本図柄の変動停止後でなければ本図柄が新たな変動を開始しない。従って、遊技球が誘導図柄作動ゲート29を通過しても図柄の変動が開始されずに、遊技者が苛立ちを感じてしまうことを、少しでも緩和するためである。すなわち、遊技者は通常、疑似図柄を見ているため、疑似図柄における一つの変動と次の変動との間の変動していない期間(外れの場合の停止表示時間)を短くすることによって遊技者の苛立ち感が緩和できる。なお、当たりの場合には、第1役物作動口32が開放されるため、この限りでない。
また、当たりの場合の誘導図柄停止表示時間が外れの場合の誘導図柄停止表示時間よりも長く設定されているのは、後述するように、誘導増加装置が作動し12ゲームが終了したとき、左打ちにより誘導図柄作動ゲート29を通過させて誘導図柄表示部を作動させ、誘導図柄の当たり表示後に右打ちをするのであるが、誘導図柄の停止表示中は第1役物作動口32が開放されず、停止表示が終了した後に第1役物作動口32が開放されるため、遊技者が誤って第1役物作動口32に入球させて、いわゆるパンクが発生することを防止するためである。ここで、誘導増加装置とは、後述の主制御部200を主体として構成され、遊技状態を変化させて遊技者に有利な特別遊技状態(大当たり状態)を発生させるものである。
本図柄表示部31aで停止表示された本図柄が、予め定められた当たり図柄の組合せである場合には、一定時間経過後に第1役物誘導装置(可変入球装置)が作動開始し、遊技領域21に設けられた可変入球口としての第1役物作動口32が、遊技球が入球し易い開放状態となる。第1役物作動口32は、一対の可動片を備えており、これらの可動片が左右に作動して第1役物作動口32が開放すると、遊技球が入球し易い状態となる。また、本実施例では、低確率状態(詳細は後述する)では、本図柄が「赤一赤」の組合せを当たり図柄の組合せとし、それ以外の組合せを外れ図柄の組合せとしている。また、高確率状態(詳細は後述する)では、本図柄が「赤一赤」、「青一青」、「緑一緑」の組合せを当たり図柄の組合せとし、これら以外の組合せを外れ図柄の組合せとしている。なお、第1役物誘導装置とは、第1役物作動口32の状態を変化させる機構であり、後述の主制御部200を主体として構成される。
本実施例で用いられる乱数には、当否判定用乱数、図柄表示用乱数等がある。当否判定用乱数は、遊技球が誘導図柄作動ゲート29を通過した際に、第1役物作動装置を作動させるか否かの判定(当否判定)と、当否判定にて「当たり」と判定されたときに本図柄表示部31aで停止表示される本図柄の当たり図柄を決定するために使用される。また、図柄表示用乱数は、遊技球が誘導図柄作動ゲート29を通過した際に、疑似図柄表示部31bで停止表示される疑似図柄を決定するために用いられるとともに、当否判定にて「外れ」と判定されたときに本図柄表示部31aで停止表示される本図柄の外れ図柄を決定するために使用される。
当否の判定は、具体的には次のようにして行われる。当否判定用の当たり値が予め設定されており、遊技球が誘導図柄作動ゲート29を通過したタイミングで当否判定用乱数を取得して、取得した乱数値が当たり値と一致していれば当たりと判定される。そして、低確率状態で当たりと判定された場合には、本図柄表示部31aで停止表示される本図柄は「赤一赤」の当たり図柄の組合せに決定される。一方、低確率状態で外れと判定された場合には、本図柄表示部31aで停止表示される本図柄は図柄表示用乱数を用いて決定され、具体的には「青一青」、「青一赤」、「青一緑」、「緑一線」、「緑一赤」のいずれかに決定される。
これに対して、高確率状態で当たりと判定された場合には、本図柄表示部31aで停止表示される本図柄は「赤一赤」、「青一青」、「緑一緑」のいずれかの当たり図柄の組合せに決定される。一方、高確率状態で外れと判定された場合には、本図柄表示部31aで停止表示される本図柄は図柄表示用乱数を用いて決定され、具体的には「青一赤」、「青一緑」、「緑一赤」のいずれかに決定される。
疑似図柄表示部31bで停止表示される疑似図柄は、図柄表示用乱数を用いて決定される。具体的には、当否判定にて当たりと判定された場合には、「三・三・三」、「七・七・七」、「玉・玉・玉」、「花・花・花」のいずれかの組合せからなる疑似当たり図柄に決定され、当否判定にて外れと判定された場合には、上記疑似当たり図柄以外の組合せからなる疑似外れ図柄に決定される。ところで、本図柄の当たり図柄の組合せは低確率状態と高確率状態とで異なり、低確率状態のときには当たり図柄でなかった図柄が、高確率状態のときには当たり図柄となるものがあるため、遊技者が違和感を覚えるおそれがある。そこで、本図柄が当たりの場合には、低確率状態か高確率状態かにかかわらず、疑似図柄表示部31bには、上記疑似当たり図柄を表示させて、遊技者の違和感をなくすようにしている。
図9に示すように、図柄表示部31内の下方には、入賞図柄表示部31cが設けられている。入賞図柄表示部31cは、上述の16連入球口24に対応するものであり、16個の入賞図柄を備えている。上述の16連入球口LED表示部25が疑似入賞図柄表示部を構成しているのに対し、入賞図柄表示部31cが本入賞図柄表示部を構成している。入賞図柄表示部31cでは、16連入球口24のいずれかの入球口に入球した場合に、その入球口に対応する入賞図柄にて入賞表示を行う。なお、発射された遊技球が全て入球した後、遊技者が入賞図柄を確認するための時間として、賞図柄確認時間(本例では0.5秒)が設定されている。
図10は入賞図柄表示部31cの表示例を示しており、図10(a)は16連入球口24に遊技球が入球した状態を示し、図10(b)は得点成立前の状態を、図10(c)は得点成立時の状態を示している。図11(a)〜(c)に示すように、本実施例の入賞図柄は花火の形で表示される。
図10(a)に示すように、16連入球口24のいずれかの入球口(本例では2番と4番)に入球した場合には、その入球口に対応する入賞図柄表示部31cの入賞図柄の表示態様が変化して入賞表示を行う。本実施例では、入賞図柄を表す花火に導火線の火がつくように構成されている。
図10(b)に示すように、得点成立前の状態、すなわち16連入球口24のうち隣り合う3つの入球口(本例では11番、12番、13番)に入球した場合には、入賞図柄が図10(a)で示した入賞表示とは異なる表示態様に変化する。本実施例では、入賞図柄を表す花火が、拡大と縮小とを繰り返すように構成されている。これにより、遊技者に得点成立直前の状態であることを認識させることができる。
図10(c)に示すように、得点成立時、すなわち16連入球口24のうち隣り合う4つの入球口(本例では11番、12番、13番、14番)に入球した場合には、該当個所において獲得した得点(本例では1点)を表示する。
図9に戻り、図柄表示部31の左側中央付近には、そのゲームにおける遊技球の残り数を表示する残り球表示部31dが設けられている。さらに、図9では図示を省略しているが、図柄表示部31には、1ゲーム中で成立した得点が表示される得点表示部、特別遊技状態が途中で終了(いわゆるパンク)した際に表示されるパンク報知部が設けられている。パンク報知部の表示が消えるタイミングは、次に特別遊技状態が発生したとき、表示後所定ゲーム回数(例えば、3〜4ゲーム)が経過したとき、あるいは、表示後所定時間(例えば、10〜30分)が経過したときである。
さらに図柄表示部31には、図示を省略しているが、誘導増加装置が作動開始してからのゲーム数(ラウンド数)を示すラウンド数表示部や、遊技の進行に応じて任意にメッセージを表示する遊技情報報知部が設けられている。遊技情報報知部には、例えば遊技者の利益に関連する情報および不利益に関連する情報を指示報知する指示報知情報を表示して、ナビゲーションを行うことができる。具体的には、遊技情報報知部では遊技者が狙うべきところ、あるいは狙うべきでないところを指示報知することができる、なお、メッセージを表示する際には、必要に応じて疑似図柄表示部31bを小さく表示するようにしてもよい。
遊技球が第1役物作動口32に入球すると、入賞図柄表示部31cにおける4つの入賞図柄を同時に表示させる第1役物が作動して、12・13・15・16番の入賞図柄が点灯表示する。また、第1役物は、当該ゲームが終了したときには作動を終了する。
また、第1役物作動口32は、図柄表示部31の下方に設けられた特別遊技装置36への入球を可能とする特定入球口としての機能も有している。特別遊技装置36については、別図を用いて後ほど詳しく説明する。
第1役物誘導装置は、上述したように、本図柄表示部31aで当たり図柄の組合せが停止表示された場合に作動するが、第1役物誘導装置の作動中に第1役物作動口32に入球があった場合、あるいは3ゲームが終了した場合には作動を終了して、第1役物作動口32を閉鎖する。
一方、遊技領域21の右上方には、第2役物誘導装置作動ゲート30が設けられている。この第2役物誘導装置作動ゲート30は、後述する誘導増加装置が作動することによって有効になる。また、第2役物誘導装置作動ゲート30の右下方には、第2の可変入球口としての第2役物作動口33が設けられている。第2役物誘導装置作動ゲート30の有効時に、遊技球が第2役物誘導装置作動ゲート30を通過すると、第2役物誘導装置(第2可変入球装置)が作動を開始して第2役物作動口33が開放状態となり、遊技球が入球し易くなる。第2役物作動口33は一つの可動片を備えており、この可動片が左に作動すると第2役物作動口33が開放状態となって、遊技球が入球し易くなる。
第2役物作動口33は、入賞図柄表示部31cにおける4つの入賞図柄を同時に表示させる第2役物を作動させるものである。第2役物作動口33に入球した場合には、第2役物が作動して11・13・14・15番の入賞図柄が点灯表示する。第2役物は、当該ゲームが終了したときに作動を終了する。
また、第2役物誘導装置作動ゲート30は、1ゲームにおいて最初に遊技球が通過して第2役物作動口33が開放状態となるまでは有効であるが、第2役物作動口33が一旦開放状態になってから次のゲームが開始されるまでは無効となる。
第2役物誘導装置は、上述したように、第2役物誘導装置作動ゲート30の有効時に遊技球が通過すると作動を開始するが、第2役物誘導装置の作動中に第2役物作動口33に入球があった場合、あるいは当該ゲームが終了したときには作動を終了して、第2役物作動口33を閉鎖する。
次に、第1役物作動口32に入球した遊技球が導かれる特別遊技装置36について説明する。図8に示すように、特別遊技装置36は、図柄表示部31の下方に設けられている。図11は、特別遊技装置36の全体構成を示す斜視図である。図11に示すように、特別遊技装置36は、2つの遊技球通路37、41と、これらの間に配置された3つの回転体38、39、40とを備えている。
遊技球通路37、41は、その上面を遊技球が流下するように構成されている。第1役物作動口32に入球した遊技球は、図11中では左側から第1の遊技球通路37上に流れてくる。第1の遊技球通路37における下流側端部の中央付近には、遊技球の流れに変化を与えるための突起部37aが設けられている。突起部37aに当たった遊技球は両脇のいずれかにそれて流下する。第2の遊技球通路41については後述する。
2つの遊技球通路37、41の間に配置された回転体38、39、40は、遊技球の流れに変化を与えるためのものである。回転体38、39、40は細長形状であり、長手方向が水平方向かつ遊技球が流下する方向と直交する方向に配置されている。回転体38、39、40は長手方向を回転軸として、図示しない回転体用モータにより回転可能に構成されている。これらの回転体38、39、40は、それぞれ同期しながら、図11中における反時計方向に回転する。
第1の回転体38は略四角柱形状であり、ある側面は凸状に、また、ある側面は凹状に形成されている。そして、第1の回転体38上を遊技球が通過する際、凹面が上側に位置している場合には遊技球は中央付近を通過し、凸面が上側に位置している場合には遊技球は両脇のいずれかにそれ易くなる。両脇にそれた遊技球は、下方に落下する。
第2の回転体39は、側面の四隅が面取りされた略四角柱形状であり、側面の中央付近には貫通穴39aが形成されている。第2の回転体39上を遊技球が通過する際、貫通穴39aが上面に位置している場合には、中央付近を通過する遊技球は貫通穴39aに入り込んで下方に落下する。
第3の回転体40は、側面が凸になった樽形状であり、内部に複数の小型磁石が内蔵されている。第3の回転体40上を遊技球が通過する際、側面が凸になっているので遊技球は両脇のいずれかにそれ易くなる。一方、内蔵磁石の位置によっては、遊技球が磁石に引き寄せられて軌道修正される。それでも、両脇のいずれかにそれてしまった遊技球は、下方に落下する。
3つの回転体38、39、40の上を通過する際に下方に落下しなかった遊技球は、第2の遊技球通路41上に流下する。第2の遊技球通路41には、遊技球が入球可能な誘導増加装置作動領域(特定の領域)41aが設けられている。誘導増加装置作動領域41aは、上方が開口して遊技球が通過可能に構成されている。図示を省略しているが、誘導増加装置作動領域41aには、誘導増加装置作動領域41aの遊技球の通過を検知する誘導増加装置作動領域スイッチが設けられている。なお、特別遊技装置36の下方には図示しない排出口が設けられている。誘導増加装置作動領域41aに到達せず、途中で落下したすべての遊技球は、図示しない誘導壇加装置非作動領域を通過したことを誘導増加装置非作動領域スイッチにより検知された後、排出口を通過する。
誘導増加装置作動領域41aは、誘導増加装置を作動させる特定の領域を構成している。尚、前述したように誘導増加装置とは、後述の主制御部200を主体として構成され、遊技状態を変化させて遊技者に有利な特別遊技状態(大当たり状態)を発生させるものである。
本実施例では、誘導増加装置が作動すると、当否判定用乱数の当たり値が増加して、当たり発生確率が低確率状態から高確率状態に移行するとともに、第2役物誘導装置作動ゲート30が有効となる。具体的には、低確率状態には当たり図柄となる確率が1/36であったものが、高確率状態では当たり図柄となる確率が35/36に増加する。この結果、遊技球が誘導図柄作動ゲート29を通過すれば、高い確率で第1役物作動口32が開放することになる。誘導増加装置の作動は、作動開始から所定回数の14ゲームが終了した場合、あるいは作動中に新たに遊技球が誘導増加装置作動領域38を通過(いわゆるパンク)した場合に終了する。
A−3.裏面構造 :
次に、本実施例の遊技機1の裏面構造について図12〜図14に基づいて説明する。図12は遊技機1の裏機構盤102の正面図であり、図13は賞球タンク105およびタンクレール106の平面図であり、図14はケースレール108の形状を示す概念図である。
図12に示すように、裏機構盤102は中枠3における遊技盤20の反対面に設けられており、一対のヒンジ103により中枠3に開閉可能に取り付けられている。裏機構盤102の左上方部には、タンク球切れ検知スイッチ104を底部に備えた賞球タンク105が設けられている。タンク球切れ検知スイッチ104は、賞球タンク105内に遊技球が存在する場合にはオン出力となり、賞球タンク105内に遊技球が存在しない場合にはオフ出力となる。賞球タンク105には、外部の補給装置から供給される払い出し用の遊技球が貯留されている。賞球タンク105の下方には、賞球タンク105と接続したタンクレール106が設けられている。タンクレール106は、賞球タンク105の底部から遊技球払出装置109の上方まで傾斜して形成されている。
タンク球切れ検知スイッチ104のオフ状態が所定時間以上検知された場合には、後述する払出制御部230はタンク球切れエラーが発生したと判断し、エラーLED表示部4hをオレンジ色に点灯させ、遊技球払出装置109による賞球停止と貸球停止とを行う。タンク球切れエラーは、タンク球切れ検知スイッチ104のオン状態が所定時間(本例では1秒)以上検知された場合に解除される。なお、タンク球切れに関するエラー信号は、払出制御部230から後述の主制御部200に送信される。
図13に示すように、タンクレール106は裏機構盤102の側面から所定の間隔を設けて配置されている。これにより、裏機構盤102の壁面とタンクレール106との間の空間を有効利用することができる。例えば、遊技盤20中央付近に大型の液晶表示装置等の電子機器を配置する場合に有効である。タンクレール106内には、遊技球が整列しながら流下する2列の樋106a、106bが平行して設けられている。賞球タンク105内の遊技球は、賞球タンク105の底部からタンクレール106の各樋106a、106bに流入し、タンクレール106を整列しながら流下する。
図12に戻り、タンクレール106の右側には、球抜きレバー107が設けられている。球技きレバー107の下流側には、順に遊技球払出装置109、遊技球の振り分け部110がそれぞれ設けられている。遊技球払出装置109については後述する。また、図14に示すように、タンクレール106の下流側であって、遊技球払出装置109の上方には、タンクレール106を流下してきた遊技球の進行方向を変えて遊技球払出装置109に誘導するためのケースレール(遊技球誘導通路)108が設けられている。ケースレール108内には、タンクレール106の各樋106a、106bに対応して2本の樋(遊技球通路)が平行して形成されている。
図14に示すように、ケースレール108には上流側から順に、タンクレール106を流下してきた遊技球の進行方向を変えて球速を落とすための屈曲部108aと、遊技球払出装置109に供給される遊技球の球圧を上げるための垂直部108bとが設けられている。屈曲部108aの下流側端部は、ケースレール108における略中央部より上流側に設けられており、垂直部108bは、遊技球払出装置109の直前において垂直に所定の長さを有するように設けられている。これにより、垂直部108bがケースレール108全体の半分以上の長さを占めてしる。このような垂直部108bを遊技球払出装置109の直前に設けることで、遊技球の自重により遊技球払出装置109に供給される遊技球の球圧を上げることができる。
図12に戻り、タンクレール106の下方には、図柄表示装置31の表示盤を格納した蓋付きの裏ケース111が設けられている。裏ケース111の下方には主制御基板ケース112が設けられ、主制御基板ケース112の下方には発射装置制御基板ケース113が設けられ、裏機構盤102の右下方部には、払出制御基板ケース118が設けられている。これらの基板ケース112、113、118には、後述の各種制御基板が格納されている。また、主制御基板ケース112の右側上方には後述の盤面中継基板が装着されている。
裏機構盤102の右上方部には、ヒューズボックス119と、電源スイッチ120と、電源中継基板121と、大当たり、発射装置制御、球切れ、扉開放、賞球、貸球用等の遊技機枠用外部接続端子を備えた枠用外部端子基板122が設けられている。また、この端子基板122の上側には、外部からの電力の供給を受けるための電源ケーブル123が設けられている。払出制御基板ケース118から接続ケーブル124が上方に延び、電源ケーブル125を備えたプリペイドカードユニット13に接続されている。また、裏機構盤102の略中央下端部には、下皿部用球通路部材126が設けられている。
次に、遊技球払出装置109の構成について図15、図16に基づいて説明する。図15は遊技球払出装置109の外観を示す斜視図であり、図16は遊技球払出装置109を分解した状態を示す斜視図である。図15に示すように、遊技球払出装置109の内部には、上述のケースレール108から供給される遊技球が通過可能な遊技球通路109a、109bが2列形成されている。また、遊技球払出装置109は、3つのケーシング109c、109d、109eと払出モータ109fとを備えている。払出モータ109fとしては、例えばステッピングモータを用いることができる。遊技球払出装置109は、2列の遊技球通路109a、109bから交互に遊技球を払い出すように構成されている。
図16に示すように、ケーシング109c、109d、109eの内部には、遊技球通路109a、109bにおける遊技球の流れを規制するカム109g、109hと、払出モータ109fの駆動力をカム109g、109hに伝える駆動力伝達軸109iが設けられている。カム109g、109hは払出モータ109fにより回転駆動され、カム109g、109hの回転/停止により、遊技球払い出しのオン/オフが行われる。
カム109g、109hは、各遊技球通路109a、109bに対応した2枚の板状回転体からなる。各カム109g、109hは、回転軸にて連結されている。各カム109g、109hの外周部には、略円弧状の凹部(球受け部)が3つ形成されており、各凹部に遊技球通路109a、109bを流れる遊技球が1個ずつ入り込む。それぞれのカム109g、109hに形成された凹部は、各カム109g、109hで位相をずらして形成されている。各カム109g、109hは、外周部に形成された凹部が各遊技球通路109a、109bに位置するように配置されている。カム109g、109hは、図16において反時計回りに回転し、遊技球通路109a、109bに上方から供給される遊技球を1個ずつ下方へ送り出す。
各凹部の外縁部のうちカム回転方向の前側が滑らかに形成されている。これにより、カム109g、109hが回転する際、遊技球通路109a、109bの遊技球がより速く凹部に入り込むことができ、遊技球払出装置109による払い出しをより高速化することができる。また、本実施例のカム109g、109hは一方向のみに回転するので、このような高速払出に適したカム形状にすることができる。なお、本実施例の遊技球払出装置109は、4秒間当たり160個(1秒当たり40個)の払出速度で遊技球を払い出すことができるように構成されている。
カム109g、109hの回転軸は、遊技球通路109a、109bにおける入口部の延長線上に設けられている。すなわち、上述のケースレール108の垂直部108bの延長線上にカム109g、109hの回転軸が位置する。このような構成により、遊技球払出装置109の停止中にケースレール108内に存在する遊技球の球圧(自重)でカム108が回転してしまうのを防ぐことができる。また、2列の遊技球通路109a、109bには、遊技球払出装置109で払い出した遊技球数を検知する払出センサ109j、109kが設けられている。
ところで、遊技球払出装置109における払い出し高速化に伴い、カム109g、109hが脱調することが考えられ、払出数の正確性に問題が生じる可能性がある。特に、カム109g、109hが高速回転している状態から停止する際に脱調が発生しやすい。そこで、本実施例の遊技球払出装置109では、遊技球の払い出し終了前に払出モータ109fの回転速度を通常回転速度より遅い回転速度に一旦減速して所定個数の遊技球を払い出した後、払出モータ109fを停止するように構成されている。例えば最後の1球を払い出す前に、払出モータ109fの回転速度を例えば通常回転速度の半分の回転速度に減速し、最後の1球を払い出してから払出モータ109fを停止させる。これにより、払出モータ109fにかかる負荷が急激に変化するのを防止でき、払い出しの高速化に伴う脱調を防止できる。なお、「通常回転速度」とは、遊技球払出装置109が定常状態の払出速度(本例では40個/秒)で遊技球を払い出す際の払出モータ109fの回転速度である。
また、カム109g、109hが停止している状態から高速回転を開始する際にも脱調が発生しやすい。このため、本実施例の遊技球払出装置109では、遊技球の払い出し開始時に、払出モータ109fの回転速度を通常回転速度より遅い回転速度から回転開始して所定個数の遊技球を払い出した後、払出モータ109fを通常回転速度に加速するように構成されている。例えば最初の1球目を払い出す前に、払出モータ109fの回転速度を例えば通常回転速度の半分の回転速度で回転開始し、最初の1球を払い出してから払出モータ109fを通常回転速度に加速する。これによっても、払出モータ109fにかかる負荷が急激に変化するのを防止でき、払い出しの高速化に伴う脱調を防止できる。
図17は、払出モータ109fの払出速度と払出停止時間との関係を示している。本実施例の遊技球払出装置109には、遊技球払出中に払い出しを定期的に停止する所定の払出停止時間が設けられている。具体的には、遊技球を所定個数(例えば15個)払い出す毎に、所定の払出停止時間だけ払出モータ109fを停止する。この払出停止時間中に遊技球の球圧を上げることができ、結果として連続して払い出しを行う場合より払い出し速度を向上させることができる。
払出停止時間は、短すぎると球圧が上がらず、逆に長すぎると払出時間が全体として長くなるとともに、球圧が上がりすぎる。球圧が上がりすぎると球噛みが発生し、カム109g、109hが回転不能となって正確な払い出しが行えなくなるおそれがある。このため本実施例では、払出速度が例えば1秒当たり40個を超える領域で払い出し停止時間を設定している。具体的には、15球を0.3秒で払い出した後、払出モータ109fを0.1秒間停止させる。
B.電子制御装置の構成 :
B−1.全体構成 :
次に、本実施例の遊技機1の電子制御装置について、図18に基づいて説明する。図18は、電子制御装置の概略構成を示すブロック図である。
図18に示すように、電子制御装置は、主制御部200と、その主制御部200に接続された副制御部230、260および280とを含んで構成されている。副制御部は、賞球制御部(払出制御部)230、音ランプ制御部260および図柄制御部280などから構成される。主制御部200は主制御基板200aを備え、副制御部230、260および280は、払出制御基板230a、音ランプ制御基板260aおよび図柄制御基板280aなど、各種の周辺制御基板をそれぞれ備えている。
主制御部200は、各副制御部230、260、および280に処理内容を指示する指令信号(コマンドデータ)を送信し、各副制御部230、260、および280は指令信号に基づいて各種制御を行うように構成されている。
例えば、主制御部200から払出制御部230には、賞球払出を指示する賞球指示信号、遊技開始許可を指示する遊技開始許可信号、各種発射制御コマンド等のコマンドが送信される。各種発射制御コマンドには、球送り許可・禁止、発射許可・禁止、遊技開始許可等が含まれている。
また、主制御部200から音ランプ制御部260には、各種ランプ制御コマンドおよび各種音声制御コマンドが送信される。主制御部200から図柄制御部280には、音ランプ制御部260を介して、本図柄の表示を指示する誘導図柄表示制御コマンド、1〜16の入賞図柄の表示を指示する入賞図柄表示コマンド、すべての図柄表示の消灯を指示する入賞図柄消灯コマンド等の各種図柄制御コマンドが送信される。なお、疑似図柄の表示を指示する表示制御コマンドは、音ランプ制御部260から図柄制御知280に送信される。こうした動作を可能とするための主制御部200の構成については、別図を用いて後述する。
各制御部200、230、260、および280には、主電源129と接続された電源受電基板128から電源基板127と電源中継基板121とを介して電源が供給されている。また、電源立上げ時には、システムリセット信号が電源基板127および電源中継基板121を介して各制御部200、230、260、および280に送信される。なお、本実施例の遊技機1は、電源断時に主制御部200および払出制御部230に作動電圧を供給する図示しないバックアップ電源部(図示略)を備えており、電源断時にも主制御部200および払出制御部230のRAMデータが保持される。
主制御部200には、盤用外部端子基板201、16連スイッチ中継基板202、誘導図柄作動ゲートスイッチ204、盤面中継基板210および遊技枠中継基板220が接続されている。
盤用外部端子基板201には、図示しない外部の試験装置を接続するための試験信号端子が複数設けられている。これらの試験信号端子は、遊技機用として使用されるものであり、賞球信号、入球口入球信号、得点増加装置に係る入球口入球信号、役物作動口入球信号、特定入球口入球信号、誘導増加装置作動領域通過信号、誘導図柄に係るゲート通過信号、役物誘導装置に係るゲート通過信号、役物作動信号、得点増加装置作動信号、役物作動口開放信号、役物誘導装置作動信号、誘導図柄に係るゲート有効信号、役物誘導装置に係るゲート有効信号などの信号を試験装置に送出することができる。
16連スイッチ中継基板202には、16連入球口24の各入球口への入球を検知する16連入球口検知スイッチ203が接続され、16連入球口検知スイッチ203からの検知信号が主制御部200に送信される。そして、16連入球口検知スイッチ203からの検知信号により、16番の入賞図柄に対応する入球口24a(図9参照)への入球を検知した場合には得点増加装置の作動を開始する。誘導図柄作動ゲートスイッチ204は、遊技球が誘導図柄作動ゲート29を通過したことを検出するものである。
盤面中継基板210には、下皿部6の前面側に設けられたチャンスボタンスイッチ8dからの信号が入力されている。チャンスボタン8cには、チャンスボタンスイッチ8dが内蔵されており、遊技者がチャンスボタン8cを押すと、チャンスボタンスイッチ8dの接点がオンとなり、この信号が盤面中継基板210に入力され、更に主制御部200に入力されるようになっている。
ここで、主制御部200の構成について説明する。図19は、主制御部200の主制御基板200aに設けられたCPU400の構成を示すブロック図である。図19に示すように、CPU400は、CPUコア401、内蔵RAM402(以下、単にRAMともいう)、内蔵ROM403(以下、単にROMともいう)、メモリ制御回路404、クロック発生器405、アドレスデコーダ406、ウォッチドッグタイマ407、カウンタ/タイマ408、パラレル入出力ポート409、リセット/割り込みコントローラ410、外部バスインターフェース411、および出力制御回路412などを備えている。
CPU400は、ROM403に格納された制御プログラムにより、RAM402をワークエリアとして遊技機1全体の作動制御(遊技の基本進行制御)を司る。また、主制御部200は、CPU400が主体となって、ROM403に格納された当否判定プログラムにより当否判定を行う当否判定手段を構成している。なお、本実施例の主制御部200の制御周期は4msに設定されている。
また、RAM402には、遊技機1で用いられる各種乱数の乱数カウンタが設定されている。本実施例で用いられる乱数には、当否判定用乱数、図柄表示用乱数等がある。当否判定用乱数は、遊技球が誘導図柄作動ゲート29を通過した際に、役物誘導装置を作動させるか否かの判定(当否判定)に用いられる。予め当否判定用の当たり値が設定されており、遊技球が誘導図柄作動ゲート29を通過したタイミングで取得された当否判定用乱数が、当たり値と一致する場合に当たりと判定される。図柄表示用乱数は、遊技球が誘導図柄作動ゲート29を通過した際に、図柄表示装置31で停止表示される誘導図柄を決定するために用いられる。
さらに、RAM402には、発射装置ユニットに送られた遊技球をカウントするための球送りカウンタと、発射装置ユニットで発射された遊技球をカウントするための発射カウンタと、入球口に入球した遊技球をカウントするための入球カウンタとが設定されている。
次に、盤面中継基板210を図20に基づいて説明する。図20は、盤面中継基板210に接続された各種遊技装置を示すブロック図である。盤面中継基板210は、遊技盤20面に設けられた各種スイッチ等と主制御部200との間で、スイッチ信号等を中継するものである。
図20に示すように、盤面中継基板210には、左入球口スイッチ211、役物作動口スイッチ212aおよび212b、作動領域スイッチ214、各種ソレノイド216、回転体用モータ217、第2役物誘導装置作動ゲートスイッチ218、チャンスボタンスイッチ8dなどが接続されている。
左入球口スイッチ211は、左入球口26の内部に設けられ、遊技球の入球を検知するものである。役物作動口スイッチ212aおよび212bは、第1役物作動口32および第2役物作動口33の内部にそれぞれ設けられ、遊技球の入球を検知するものである。作動領域スイッチ214は、誘導増加装置作動領域41aへの遊技球の通過を検知するものである。また、第2役物誘導装置作動ゲートスイッチ218は、遊技球が第2役物誘導装置作動ゲート30を通過したことを検出するものである。チャンスボタンスイッチ8dは、チャンスボタン8cに内蔵されており、遊技者がチャンスボタン8cを押したことを検出するものである。これらの遊技球検知スイッチや位置検知スイッチは、近接スイッチあるいはフォトセンサ等により構成することができる。
各種ソレノイド216としては、第1役物作動口32および第2役物作動口33をそれぞれ開閉するものがあり、開放ソレノイドと閉鎖ソレノイドとから構成されている。回転体用モータ217は、特別遊技装置36の回転体38、39、40を回転させるものである。
次に、遊技枠中継基板220を図21に基づいて説明する。図21は、遊技枠中継基板220に対する信号の入出力を示すブロック図である。遊技枠中継基板220は、主に中枠3に設けられた各種スイッチ等と主制御部200との間で、スイッチ信号等を中継するものである。
図21に示すように、枠中継基板220には、発射球カウントスイッチ221、ファール球検出スイッチ222が接続されている。さらに枠中継基板220には、後述の球送り中継基板251を介して球送りカウントスイッチ254が接続されている。
発射球カウントスイッチ221は、発射装置ユニットにて発射された遊技球を検知するものである。また、ファール球検出スイッチ222は、発射装置ユニットから発射された遊技球が遊技領域21に到達しないで、下皿部6に戻ってきた遊技球を検知するものである。球送りカウントスイッチ254は、上皿部5から発射装置ユニットに送られた遊技球をカウントするものである。
B−2.払出制御部の構成 :
次に、払出制御部230の動作、すなわち払出動作について概要を説明する。図18に示されているように、払出制御部230には、枠用外部端子基板122、スイッチ中継端子基板231、CR接続基板234、発射制御部250等が接続されている。スイッチ中継端子基板231には、タンク球切れスイッチ232、下皿満タンスイッチ233が接続されている。タンク球切れスイッチ232は、枠用外部端子基板122にも接続されている。
タンク球切れスイッチ232は、賞球タンク105内の遊技球が球切れとなったことを検知するものである。タンク球切れスイッチ232の球切れ信号は、枠用外部端子基板122を介して外部の補給装置に送信され、補給装置から賞球タンク105に遊技球が補給される。下受け皿満タンスイッチ233は、下皿部6の下受け皿が満タン状態になったことを検知するものである。なお、払出制御部230の払出制御基板230aは、上記図19で示した主制御基板200aのCPU400と同様の構成を有するCPUを備えている0本実施例の払出制御部230の制御周期は、主制御部200より短い1msに設定されている。
払出制御部230を図22に基づいてさらに説明する。図22は、払出制御部230に対する信号の入出力を示すブロック図である。図22に示すように、払出制御部230には、CR接続基板234を介してプリペイドカードユニット13およびCR表示基板235が接続されている。CR表示基板235には、貸球ボタン236と返却ボタン237が接続されている。CR表示基板235は、CRユニット13との間で貸球やカード残り数等の信号を入出力するための基板である。
払出制御部230にてプリペイドカードユニット13の未接続が検知された場合には、払出制御部230はエラーLED表示部4hを赤色に点灯させ、発射装置ユニット10による発射停止を行う。プリペイドカードユニット13の未接続エラーは、払出制御部230にてプリペイドカードユニット13の接続が検知された場合に解除される。なお、プリペイドカードユニット13の未接続に関するエラー信号は、払出制御部230から主制御部200に送信されない。
また、払出制御部230には、払出ユニット中継端子板239を介して払出モータ109fおよび払出センサ109j、109kが接続され、状態表示LED中継端子板240を介して賞球表示LED基板241およびエラー表示LED基板242が接続されている。払出センサ109j、109kは、遊技球払出装置109で払い出された遊技球数を計数するものである。遊技球払出装置109で払い出される遊技球には、入賞に対して払い出す賞球と、遊技者に貸し出す貸球とが含まれている。
賞球表示LED基板241およびエラー表示LED基板242は、それぞれ賞球表示LED表示部4gおよびエラーLED表示部4h(図1参照)に対応している。賞球表示LED基板241のLEDは賞球獲得の際に点灯あるいは点滅し、エラーLED基板242のLEDはエラー発生の際に点灯あるいは点滅する。エラー表示LED基板242は複数種類のLEDを備えており、エラーLED表示部4hは複数種類のエラー報知を行うことができる。本実施例では、エラーLED表示部4hは、エラー報知として赤色とオレンジ色に点灯・点滅可能に構成されている。
ここで、払出制御部230とプリペイドカードユニット13との間の信号について説明する。まず、遊技機1の電源が投入されると、払出制御部230はプリペイドカードユニット13に遊技機動作信号(PRDY信号)を出力する。また、プリペイドカードユニット13は、払出制御部230に電源信号(VL信号)を出力する。払出制御部230では、このVL信号の入力状態に基づいてプリペイドカードユニット13の接続あるいは未接続を判定する。
払出制御部230にてプリペイドカードユニット13の未接続が検知された場合には、払出制御部230はエラーLED表示部4hを赤色に点灯させ、発射装置ユニット10による発射停止を行う。プリペイドカードユニット13の未接続エラーは、払出制御部230にてプリペイドカードユニット13の接続が検知された場合に解除される。なお、プリペイドカードユニット13の未接続に関するエラー信号は、払出制御部230から主制御部200には送信されない。
プリペイドカードユニット13にてプリペイドカードがセットされ、貸球ボタン237が操作されると、プリペイドカードユニット13は払出制御部230にカードユニットREADY信号(BRDY信号)を出力する。更に、この時点から所定の遅延時間経過後、プリペイドカードユニット13は払出制御部230に貸出要求信号(BRQ信号)を出力する。
そして、払出制御部230はプリペイドカードユニット13に出力する貸出完了信号(EXS信号)を立ち上げておき、上記貸出要求信号(BRQ信号)の立ち下がりを検出したら払出モータを作動させ、所定個数の貸球を遊技者に払い出す。払出制御部230は、貸球払出が完了したら、EXS信号を立ち下げ、その後、プリペイドカードユニット13からのBRDY信号の立ち下がりを検出したら、貸球払出制御を終了する。
本実施例の払出制御部230は、タンク球切れスイッチ232からの信号と払出センサ109j、109kからの信号とに基づいて、ケースレール106内の球詰まりを検出する。具体的には、遊技球払出装置109の作動中に払出センサ109j、109kで遊技球が検出されない場合で、かつ、タンク球切れスイッチ232にて球切れが検出されない場合は、ケースレール108で球詰まりが発生していると判断される。一方、遊技球払出装置109の作動中に払出センサ109j、109kで遊技球が検出されない場合で、かつ、タンク球切れスイッチ232にて球切れが検出された場合は、賞球タンク105で球切れが発生していると判断される。
払出センサ109j、109kでの球詰まり検知は以下のように行う。まず、払出センサ109j、109kにて遊技球を所定時間以上検知できない場合には、払出モータ109fを逆回転で数ステップ動作させた後、最低速にて正回転させる。その後所定時間経過しても払出センサ109j、109kにて遊技球が検知できない場合には、払出制御部230はケースレール108で球詰まりエラーが発生したと判断し、賞球停止および貸球停止を行う。球詰まりエラーは、払出センサ109j、109kにて遊技球が検知された場合に解除される。なお、球詰まりに関するエラー信号は、払出制御部230から主制御剖200に送信される。
ケースレール108で球詰まりが発生していると判断された際、2個の払出センサ109j、109kの双方で遊技球が検出されない場合には、ケースレール108のすべての樋で球詰まりが発生し、遊技球の払い出しが不可能であると判断できる。一方、2個の牡出センサ109j、109kのいずれかのみで遊技球が検出されない場合には、ケースレール108内のいずれかの樋のみで球詰まりが発生しており、残りの樋では遊技球の払い出しが可能であると判断できる。
本実施例の遊技機1では、ケースレール108の球詰まりに対して複数段階のエラー状態を設定している。具体的には、複数のケースレール108のいずれかの樋のみで球詰まりが発生した場合を遊技球払出装置109を停止させない第1のエラー状態(軽度のエラー)とし、複数のケースレール108のすべての樋で球詰まりが発生した場合を遊技球払出装置109を停止させる第2のエラー状態(重度のエラー)としている。
具体的には、第1のエラー状態となった場合、払出制御部230は、エラーLED表示部4hにてオレンジ色に点灯する第1のエラー報知を行って遊技場従業員に警告を報知し、遊技球払出装置109による遊技球の払い出しを継続する。これにより、エラー報知にて遊技場従業員に復旧を促すとともに、遊技場従業員が来るまでの間はケースレール108の球詰まりしていない樋により遊技球の払い出しを継続できる。一方、第2のエラー状態となった場合、払出制御部230は、エラーLED表示部4hを赤色に点灯する第2Cエラー報知を行って遊技場従業員に異常を報知し、遊技球払出装置109を停止させる。
払出センサ109j、109kにて遊技球が所定時間(本例では1秒)以上検知された場合には、払出制御部230は遊技球払出装置109に異常が発生したと判断し、エラーLED表示部4hを赤色に点灯させ、賞球停止および貸球停止を行う。払出装置異常エラーは、払出センサ109j、109kにて遊技球を所定時間(本例では1秒)以上検知されなかった場合に解除される。なお、遊技球払出装置109の異常に関するエラー信号は、払出制御部230から後述の主制御部200に送信される。
図23は、払出センサ109j、109kから出力される信号の流れを示している。図23に示すように、払出センサ109j、109kからの信号が払出制御部230に入力する。払出制御装置230では、払出センサ109j、109kからの信号に基づいて遊技球払出装置109における払出数を計数する。上述のように、遊技球払出装置109での払出数には賞球数と貸球数が含まれている。このうち賞球数は主制御部200にて計数する必要があるので、賞球数に関する信号のみが払出制御部230から主制御部200に送信される。
払出制御部230は、主制御部200からの賞球払出指令、あるいはプリペイドカードユニット13からの貸出要求信号(BRQ信号)に応じて、遊技球を払い出すように構成されている。したがって、払出制御部230では、現在払い出している遊技球が賞球用か貸球用なのかを判別可能である。そこで、払出センサ109j、109kからの信号が賞球数である場合には、払出制御部230から主制御部200に払出個数分のパルス信号を送信する。なお、主制御部200では貸球数を知る必要がないので、払出センサ109j、109kからの信号が貸球数の場合には、払出制御部230から主制御部200に信号を送信しない。
払出センサ109j、109kからの信号が賞球数である場合には、払出制御基板230aのCPUから主制御基板200aのCPU400のカウンタに、賞球数に対応するパルス信号をソフトウェアによって出力する。主制御部200のCPU400の読み取り動作は4ms毎に行われるので、払出制御部230からのパルス信号の出力間隔を主制御部200のCPU400の読み取り間隔より長く(4ms以上)する必要がある。本実施例では、払出制御部230から送信する1球毎のパルス信号の出力間隔を10msとしている。なお、本実施例の払出モータ109fは、4秒当たり160個の払出速度なので、1個払い出すのに25msを要する。
また、主制御部200のCPU400のカウンタに入力するように構成したことで、払出制御部230から主制御部200に送信するパルス信号にノイズが混じり、主制御部200が賞球数を誤検知するおそれがある。そこで、払出制御部230は、賞球数1個に対して複数のパルス信号を出力するように構成されている。本実施例の払出制御部230では、1球につき3パルス出力する。主制御部200にて4ms毎に払出制御部230から送信されるパルスを読み取った際、3パルスで1球とカウントする。
図24(a)〜(d)は、払出制御部230から主制御部200に送信されるパルス信号を示している。図24(a)に示すように、仮にノイズが1パルス分発生して合計4パルスになったとしても、1パルス分をノイズと判断して1球とカウントすることができる。
なお、1球当たりのパルス数をさらに増加させることで、主制御部200における検出精度をより向上させることができる。すなわち、払い出しがなくノイズが3パルス分発生した場合には、主制御部200では1球と判断してしまうが、例えば1球当たりのパルス数をより多く設定すれば(例えば1球当たり10パルス)、このような誤検知を回避できる。
また、主制御部200の読み取り間隔内で賞球パルス信号に加えてノイズが3パルス分発生した場合には合計6パルスとなり、2球と誤検知することが考えられる。しかしながら、上記のように払出制御部230から送信されるパルス信号の出力間隔は10msに設定されているので(図24(b)参照)、10ms当たり3パルス以上であっても、3パルスを超える分はノイズと判断し、1球にしかカウントしない。
また、図24(c)に示すように、1球分の3パルスを送信している途中で主制御部200のCPU400がカウンタの値を読み込んだ場合、3未満であるので、パルス送信の途中であると判断して何もせず戻る。4ms後に再度カウンタの値を読み込んだ際に3以上であれば、1球と判断してカウンタをクリアする。
また、図24(d)に示すように、1回目のカウンタ値の読み込みが3未満であり、かつ、2回目の読み込みでも1回目の値と同じであれば、ノイズと判断してカウンタをクリアする。
主制御部200から払出制御部230に賞球コマンドが送信された後、所定時間経過しても払い出された賞球数が要求した賞球数に不足している場合、主制御部200から払出制御部230に賞球不足コマンドが送信される。この場合には、払出制御部230は賞球不足エラーとしてエラーLED表示部4hを赤色に点滅させ、遊技球払出装置109による遊技球の払い出し動作は継続する。賞球不足エラーは、賞球が終了しないと次のゲームに移行できないアレンジボール遊技機に特有のエラーであるため、他のエラーと区別してエラー報知を行う。具体的には、他のエラー発生時はエラーLED表示部4hを点灯させるのに対して、賞球不足エラー発生時にはエラーLED表示部4hを点滅させる。払い出された賞球数が要求した賞球数に達した場合に、主制御部200より賞球不足解除コマンドが払出制御部230に送信され、賞球不足エラーが解除される。
次に、主制御基板200aと払出制御基板230aを接続するコネクタの接続確認について図25に基づいて説明する。図25は、払出制御基板230aにおけるコネクタの接続確認を説明するための概念図である。主制御基板200aと払出制御基板230aとは、両端にコネクタ200e、230eを有するハーネスを介して接続されている。ハーネスの両端にはコネクタ(図示略)が設けられている。
図25に示すように、主制御基板200aにはコネクタ受部200cが設けられ、払出制御基板230aには、コネクタ受部230cと負論理のAND回路230dとが設けられている。コネクタ受部200c、230cには、ハーネスの端部に設けられたハーネス側コネクタ200e、230eが挿入して接続される。
ここで、コネクタ受部200c、230cの端子数が多いとコネクタ挿入時に斜め挿入が起こりやすくなる。この結果、接続されていない端子が生じて誤作動の原因となる。このような斜め挿入の場合、コネクタ受部200c、230cの両端の端子のいずれかが未接続となる。そこで、本実施例では、コネクタ受部230cの両端に設けられたピン(端子)を接続確認用の信号線として用いている。AND回路230dは、コネクタ受部230cの両端の接続確認用端子からの信号を負論理で入力し、それらの信号の論理積をとってCPU230bに信号を負論理で出力する。CPU230bはAND回路230dからの信号の入力状態によりコネクタの接続状態を判断する。
コネクタ受部230cの接続確認用端子からの信号は、ハーネスが接続された状態ではLowとし、ハーネスが接続されてない状態ではHighとしている。したがって、コネクタ受部230cの両端の接続確認用端子が両方とも接続されている場合にはAND回路230dの出力はLowとなり、一方でも接続されていない場合にはAND回路230dの出力はHighとなる。そして、AND回路230dの出力がHighの場合には、CPU230bは接続確認用端子の少なくとも一方が未接続であると判断する。この判断に基づいてCPU230bは、エラー表示部4hを赤色に点灯させ、接続エラー報知を行う。
本実施例のようにコネクタ230cの両端の端子を接続確認用の信号線とし、これらの信号を用いてAND回路230dで負論理の論理積をとることで、コネクタ230cの接続確認を払出制御部230において容易に行うことができ、主制御部200と払出制御部230との接続を確実にすることができる。この払出制御部230における接続確認は、例えば遊技機1を遊技店に設置するとき、電源投入時あるいは電源投入後であって遊技者が遊技を行っていない時等に行うことができる。
B−3.発射制御部の構成 :
次に、発射制御部250の動作、すなわち遊技球の発射動作について説明する。図26は、発射制御部250に接続された各種遊技装置を示すブロック図である。図26に示すように、発射制御部250には、発射ハンドル8、原点センサ251、発射モータ252、球送り中継端子板253等が接続されている。発射ハンドル8から発射制御部250には、遊技者が発射ハンドル8を所定量以上回転させたかどうかを示す発射スタートスイッチ10j(図5、図6参照)からの発射スタート信号、遊技者が発射ハンドル8に触れているかどうかを示すタッチスイッチ8aからのタッチ信号等が入力する。
上述のように、発射停止スイッチ8bはタッチスイッチ8aと直列的に接続されており、発射停止スイッチ8bのオン/オフはタッチ信号として出力される。遊技者がタッチスイッチ8aに触れていて、かつ、発射停止スイッチ8bが押されていない場合に、タッチ信号がオンになる。遊技者がタッチスイッチ8aに触れていないか、あるいは発射停止スイッチ8bを押した場合に、タッチ信号がオフになる。
原点センサ251は、発射モータ252の回転軸が所定の原点位置(原点角度)にあるかどうかを検知するものである。発射モータ252は、発射位置に送り込まれた遊技球を遊技領域21に打ち込むための槌10aを稼働させるものであり、遊技者が発射ハンドル8を操作することにより作動する。本実施例では、発射モータ252の駆動パルス信号の周波数を固定値とし、発射モータ252の回転周期、すなわち1回転に要する時間を固定値(本例では500ms)としている。
球送り中継端子板253には、上皿部5に貯留された遊技球を1個ずつ発射装置ユニットの発射位置に送り込むための球送りソレノイド12a、球送りカウントスイッチ254が接続されている。上述のように、球送りカウントスイッチ254からの信号は遊技枠中継基板220を介して主制御部200に送信される。また、詳細には後述するが、遊技者がチャンスボタン8cを押した場合に、発射位置に予備球を球込めするための各種アクチュエータ12a,12d,12fも、球送り中継端子板253に接続されている。予備球を発射位置に球込めする場合は、発射制御部250が出力した駆動信号が、球送り中継端子板253を経由して各種アクチュエータ12a,12d,12fに供給される。
上記原点センサ251の信号は、発射制御部250を介して、払出制御部230に送信される。払出制御部230は、原点センサ251にて原点が検出された場合に、上記球送り許可信号を所定期間(本例では60ms)だけ許可状態(L出力)にするように構成されている。
図27は、発射制御部250の回路構成を示している。図27に示すように、発射制御部250には、払出制御部230から球送り許可信号および発射許可信号が入力し、発射ハンドル8からタッチ信号および発射スタート信号が入力する。さらに、発射制御部250には払出制御部230のCPUに設けられたクロック発生器(図示せず)からのクロック信号が入力する。また、発射制御部250は、3つのAND回路250a、250b、250c、フリップフロップ250d、分周回路250e、モータ駆動回路250fを備えている。
第1AND回路250aは、発射許可信号とフリップフロップ250dからの信号(発射条件成立信号)を入力とし、発射モータ252を駆動するモータ駆動回路250fに信号を出力する。第2AND回路250bは、球送り許可信号とフリップフロップ250dからの信号(発射条件成立信号)を入力とし、球送りソレノイド12aに信号を出力する。第3AND回路250cは、タッチ信号と発射スタート信号を入力とし、フリップフロップ250dに信号を出力する。分周回路250eは、所定のクロック周波数を分周して所望のパルス幅の基準クロック信号を生成し、この基準クロック信号をフリップフロップ250dに出力する。モータ駆動回路250fは、第1AND回路250aからの信号がHighになった場合に、発射モータ252に所定周波数のパルス信号を出力する。
発射許可信号は、発射許可時にはLow出力(オフ)であり、発射禁止時にはHigh出力(オン)であり、それぞれインバータにて反転された後、第1AND回路250aに入力する。したがって、第1AND回路250aに入力する発射許可信号は、発射許可時にはHighとなり、発射禁止時にはLowとなる。同様に、球送り許可信号は、球送り許可時にはLow出力(オフ)であり、球送り禁止時にはHigh出力(オン)であり、それぞれインバータにて反転された後、第2AND回路250bに入力する。したがって、第2AND回路250bに入力する球送り許可信号は、球送り許可時にはHighとなり、球送り禁止時にはLowとなる。
発射許可時および球送り許可時において、遊技者が発射ハンドル8を操作していない場合には、フリップフロップ250dの出力信号はLowなので、第1、第2AND回路250a、250bの出力信号もLowとなる。ここで、遊技者が発射ハンドル8に触れるとともに、所定角度以上回転させることで、タッチ信号および発射スタート信号がHighとなり、第3AND回路250cの出力がHighとなり、この信号がフリップフロップ250dに入力される。フリップフロップ250dでは、第3AND回路250cからの入力信号がHighとなった場合、次の基準クロック信号の立ち上がり(Low−High)で、第1、第2AND回路250a、250bへの出力信号がHighとなる。これにより、第1、第2AND回路250a、250bの出力信号がHighとなり、発射モータ252および球送りソレノイド12aが作動を開始する。
図28は、発射制御部250における球送り許可信号と基準クロック信号との関係を示すタイミングチャートである。上述のように原点センサ251による原点確認後、球送り許可信号が所定時間(60ms)だけイネーブル(Low)、すなわち発射許可状態となる。球送りソレノイド12aを確実に作動させるためには、球送り許可信号がイネーブル(Low)となっている間に基準クロック信号が立ち上がる必要がある。すなわち、上記分周回路250eにて生成する基準クロック信号のパルス幅は、球送り許可信号がイネーブル(Low)となっている所定時間より短いことが必要である。
図28に示すように、本実施例では分周回路250eにて生成する基準クロック信号のパルス幅を1msとしている。このように、分周回路250eにて生成する基準クロック信号のパルス幅を、球送り許可信号がイネーブル(Low)となっている所定時間より短く設定することで、確実に球送り処理を行うことができ、確実に遊技球を発射することができる。また、基準クロック信号のパルス幅が小さい方が、発射許可信号がイネーブル(High−Low)になってから球送りソレノイド12aが作動開始するまでの間隔が短くなり、球送り処理を迅速に行うことができる。尚、チャンスボタン8dからの信号が盤面中継基板210を介して主制御部200に入力されると、主制御部200は、発射する遊技球を予備球1個分だけ増加する旨の指令を払出制御部230に送信し、その指令を受けた払出制御部230から発射制御部250には、増加した予備球1個分の球送り信号および発射許可信号が入力される。これにより、確実に予備球の球送り処理を行うことができ、確実に予備球を発射することができる。
B−4.音ランプ制御部の構成 :
次に、音ランプ制御部260を図29に基づいて説明する。図29は、音ランプ制御部260に接続された各種遊技装置を示すブロック図である。音ランプ制御部260に設けられた音ランプ制御基板260aには、CPU、ROM、RAM、入出力ポート等を有する演算回路構成要素(図示略)とサウンドジェネレータ(図示略)が設けられており、入出力ポートにおいて主制御部200に接続されている。
図29に示すように、音ランプ制御部260には、ランプインタフェース基板261を介して、16連入球口LED基板262、各種盤面LED基板263、各種遊技枠部LED基板264等が接続されている。ランプインターフェース基板261は、各種ランプ類の駆動回路が搭載されており、音ランプ制御基板260aから独立した別基板として構成されている。
16連入球口LED基板262は、16連入球口24のいずれかに入球した際に、対応する16連入球口LED表示部25のLEDを点灯させるためのものである。盤面LED基板263および遊技枠LED基板264には、遊技効果LED基板等が接続されている。これらのランプ類はゲームの進行に対応して点灯・消灯又は点滅し、遊技効果を高めている。
さらに、音ランプ制御部260にはアンプ基板265が接続されている。アンプ基板265にはスピーカ266および音量スイッチ基板267が接続されている。スピーカ266からは、遊技の進行に対応して各種サウンド、音声等が出力される。音量スイッチ基板267は、図示しない音量スイッチの操作に従ってスピーカ266の出力音量の設定を行うものである。また、音ランプ制御基板260には、モード切替スイッチ268が設けられている。モード切替スイッチ268はディップスイッチとして構成されており、電源投入時に遊技場従業員が操作する。モード切替スイッチ268により、図柄表示装置31における背景や出現するキャラクタの変更等を行うことができる。
B−5.図柄制御部の構成 :
次に、図柄制御部280を図30に基づいて説明する。図30は、図柄制御部280に接続された各種遊技装置を示すブロック図である。図柄制御部280に設けられた図柄制御基板280aには、CPU、RAM、ROM、入出力ポート、VDP(ビデオディスプレイプロセッサ)等を有する演算回路構成要素(図示略)が設けられ、入出力ポートにおいて主制御部200に接続されている。
図30に示すように、図柄制御部280には、図柄表示装置31を作動させる図柄表示装置基板281が接続されている。図柄制御部280は、CPUがROMに格納された制御プログラムに従ってRAMをワークエリアとして使用することにより、図柄表示装置31の表示制御を行う。また、図柄制御部280には、図示しない外部の試験装置を接続するための図示しない試験信号端子が複数設けられている。これらの試験信号端子は、誘導図柄用として使用されるものであり、図柄変動中信号などの信号を試験装置に送出することができる。
図31は、図柄制御に関するコマンドの流れを示すブロック図である。図31に示すように、図柄制御に関するコマンドには、共通コマンドと図柄制御コマンドとがある。共通コマンドは、本図柄表示部31aで表示される本図柄の表示制御コマンドを含んでおり、主制御部200から音ランプ制御部260に送信される。音ランプ制御部260は、共通コマンドを受け取ると、そのまま図柄制御部280に送信する。図柄制御コマンドは、疑似図柄表示部31bで表示される疑似図柄の表示制御コマンドを含んでおり、音ランプ制御部260が主制御部200から受け取った共通コマンドに基づいて図柄制御部280に送信する。
B−6.遊技確認時間 :
電子制御装置に関する説明の最後に、遊技確認時間について説明しておく。図32は、遊技確認時間について説明するための説明図である。本実施例の遊技機1では、ゲームとゲームとの間に遊技確認時間(本例では16ms)が設けられている。図32は主制御部200から外部検査装置に出力される遊技中信号の出力タイミングチャートであり、図32(a)は電源投入時の状態を示し、また図32(b)は遊技中の状態を示している。
電源投入時には、図32(a)に示すように、電源投入から遊技の結果が得られるまで、主制御部200から外部の検査装置に遊技中であることを示す遊技中信号が試験信号端子から出力される。次回のゲーム以降は、図32(b)に示すように、遊技確認時間終了後から次のゲームの遊技の結果が得られるまで遊技中信号が出力される。この遊技中信号が出力されていない時間が遊技確認時間となる。この遊技確認時間により、外部検査装置側で1ゲームの開始および終了を明確に把握することが可能となる。
また、遊技確認時間は、前のゲームにおいて発射された全ての遊技球が、複数の入球口(例えば、16連入球口24、第1役物作動口32、第2役物作動口33、左入球口26、誘導増加装置作動領域41a、排出口)へ入球・通過した後、後述の2秒間(一定時間)のインターバル時間の経過後または/および前述の0.5秒の入賞図柄確認時間の経過後において、遊技の結果が得られた際に設定される。このため、15個の遊技球の上記各入球口等への入球・通過以外に遊技機1に備えられた各遊技装置(例えば、遊技球払出装置109、役物誘導装置、誘導増加装置等)の作動・非作動状況をも明確化して1ゲームの区切りを完全に明確化できる。
また、本実施例の遊技機1では、1ゲームにおいて遊技球15個のすべての発射が行われた後、次のゲームに進む前に所定のインターバル時間(例えば2秒)が設けられている。主制御部200は、発射球カウントスイッチ221により15個すべての遊技球が発射されたことを検出すると、インターバル機能を開始する。主制御部200は、インターバル機能の開始により払出制御部230に発射禁止コマンドを送信する。これにより、払出制御部230から発射制御部250への発射許可信号がオフとなり、発射制御部250は発射モータ252の動作を禁止する。この結果、インターバル機能作動中は発射装置ユニット10が停止する。インターバル機能は作動を開始してから2秒後に停止し、インターバル時間が終了する。
C.遊技球発射制御の概要 :
次に、図33〜図37を参照しながら、発射制御部250による遊技球の発射制御について説明する。
図33は、電源オン時における発射制御を示すタイミングチャートである。図33に示すように、電源オンにより、発射強制信号および発射許可信号がイネーブル(Low)となる。このとき、遊技者が発射ハンドル8を操作開始すると、タッチスイッチ8aからの信号がHighとなり、発射モータ252が回転して槌10aが振り出され、遊技球の球送り処理がされていない状態で空打ちを1回行う。そして、原点センサ251による原点確認後、球送り処理を行う。なお、電源投入時に発射位置に遊技球が予め存在している場合には、上記空打ちで遊技球を発射してしまうが、これは発射球としてカウントしない。
発射モータ252の原点は、上述のように槌10aの振り出される所定の発射角度から所定角度(例えば15〜200)だけ回転した位置と定められている。従って、本実施例のように電源投入後に一度だけ空打ちを行うことで、原点確認を行うことができ、確実な球送り処理を行うことができる。
具体的には、原点センサ信号の立ち下がりを検出すると、球送り許可信号が60msだけイネーブル(Low)となり、球送りソレノイド12aが作動する。球送りソレノイド12aの作動終了とともに、発射強制信号をディセーブル(High)とする。遊技球は、球送りカウントスイッチ254を通過して発射レール11上の発射位置(発射球カウントスイッチ221)に送られる。そして、発射モータ252の回転により槌10aが回転し、遊技球が発射される。上述のように本実施例では、発射モータ252が1回転するのに要する時間、すなわち遊技球の発射間隔(発射周期)を500msと設定している。したがって、本実施例において1ゲーム終了に要する最短時間は、500ms×15発+インターバル時間(2秒)=9.5秒となる。また、遊技者がチャンスボタン8cを押した場合は、この時間に、予備球を球込めする時間と、予備球を発射する時間とが加わることになる。
図34は、連続動作中における発射制御を示すタイミングチャートである。図34に示すように、遊技者が発射ハンドル8を操作することにより、発射モータ252が連続的に回転し、原点検出、球送り処理、遊技球発射が連続的に行われる。
図35は、発射を中断した場合の発射制御を示すタイミングチャートである。図35に示すように、遊技者が発射ハンドル8から手を離すとタッチセンサ信号がLowとなり、遊技球の発射後、次の原点が検出された時点で発射モータ作動信号がLowとなって発射モータ252が停止する。これにより、遊技球の発射が中断される。
図36は、発射を再開する場合の発射制御を示すタイミングチャートである。図36に示すように、遊技者が発射ハンドル8を操作することにより、球送り許可信号が60msだけイネーブル(Low)となり、球送りソレノイド12aが作動する。球送り許可信号の立ち下がりにより発射モータ252が作動開始し、遊技球発射が再開される。再開1球目の発射以降は、原点検出により球送り処理が行われる。
図37は、全ての遊技球を発射終了した場合の発射制御を示すタイミングチャートである。ここで、全ての遊技球とは、ゲーム中にチャンスボタン8cが押されなかった場合は15個の遊技球であり、チャンスボタン8cが押された場合は予備球を含めた16個の遊技球である。図37に示すように、全ての遊技球を発射した場合、原点が現れたところ、すなわち原点センサ信号の立ち下がりで発射許可信号をディセーブル(High)にする。これにより、遊技球の発射が終了する。
発射モータ252の動作後、所定時間経過しても原点センサ251にて原点が検知できない場合、あるいは、発射モータ252の動作後、所定時間以上原点センサ251による原点の検知が続いた場合には、払出制御部230は発射装置ユニット10で異常が発生したと判断し、エラーLED表示部4hを赤色に点灯させ、発射装置ユニット10による発射停止を行う。発射装置ユニット10の異常エラーは、原点センサ251にて原点が検知できない場合には原点が検知できたとき、原点センサ251にて原点を検知し続けた場合には原点を検知しなくなったときに解除される。なお、発射装置ユニット10の異常に関するエラー信号は、払出制御部230から後述の主制御部200に送信される。
D.遊技機全体の制御の概要 :
D−1.メインジョブの概要 :
次に、本実施例の遊技機1の制御の概要について、図38〜図50のフローチャートに基づいて説明する。図38は、主制御部200のROMに格納されたプログラムに基づいてCPU400が実行するメインジョブの一例を示している。図38に示すメインジョブは、電源投入処理SlOOを実行した後、遊技開始処理S200、ゲーム管理処理S300、入賞図柄処理S400、役物処理S500、得点増加装置処理S600、誘導増加装置処理S700、誘導図柄および役物誘導装置処理S800の各ステップが、タイマによって割込が発生する毎に繰り返し実行される。なお、本実施例では、タイマが発生する割込周期は4msに設定されている。
D−2.電源投入処理 :
電源投入処理S100を図39のフローチャートに基づいて説明する。この電源投入処理は、電源投入時と電源断発生後の復電時に行われるものである。まず、電源投入時に必要な各種設定を行う(S101)。具体的には、スタックポインタをRAMの所定アドレスに設定し、割り込みモードの設定を行い、RAMのアクセスを許可する。
次に、RAMクリアスイッチが押されている場合、あるいは、RAMにバックアップフラグ(電源断の発生情報)が設定されていない場合には、電源投入時と判定してRAM初期化処理を行い、その後リターンする(S102、S103、S104)。RAM初期化処理としては、CPU周辺の内蔵デバイスの初期設定を行い、RAMの全領域を0クリアし、通常遊技中の初期値を設定し、割り込みを許可する。また、ゲーム開始フラグを設定する。
一方、RAMにバックアップフラグが設定されている場合には電源断復帰時と判断し、電源断時に保護したRAMの内容からチェックサムを算出して(Sl05)、電源断時に作成、保存したチェックサムの内容と比較する(Sl06)。これらのチェックサムが一致しない場合にはRAMの内容が壊れていると判定し、上記Sl04のRAM初期化処理を行う。
一方、RAMの内容が正常にバックアップされている場合には、以下の復電時の処理を行う(S107)。まず、電源断直前のスタックポインタを復帰し、バックアップフラグをクリアする。次に、電源断時の遊技状態に復帰させるための復帰設定を行い、CPU周辺デバイスの初期設定を行い、レジスタを電源断直前の状態に戻す。その後、電源断直前のプログラム実行位置に戻ってプログラムを再開する。
D−3.遊技開始処理 :
次に、遊技開始処理S200を図40のフローチャートに基づいて説明する。まず、主制御部200に接続されているRAMクリアスイッチ以外のすべてのスイッチを読み込み(S201)、各々のスイッチ状態を判定して検出情報を保存する(S202)。
次に、当否判定用乱数、図柄表示用乱数等の各種乱数の更新を行う(S203)。具体的には、上述のRAMに設定された乱数カウンタの値を、初期値(例えば0)から所定値(例えば255)の間で1ずつ加算する。乱数カウンタの値が所定値を超える場合には初期値に戻る。
次に、S204〜S212の賞球制御を行う。まず、16連入球口スイッチ204により16連入球口24の各入球口をチェックし、遊技球が16連入球口24に入球して入賞となる組合せが得られた場合には、該当する得点情報をRAMに保存する(S204、S205)。次に、ケースレール球切れスイッチ108および下受け皿満タンスイッチ224により、球切れまたは満タン状態を判定する(S206)。
球切れ又は満タン状態で賞球停止状態でない場合には、払出制御部230に払出不可指定コマンドを送信する(S207、S208)。球切れまたは満タン状態でなく賞球停止状態の場合には、払出制御部230に払出可指定コマンドを送信する(S209、S210)。保存した得点情報がある場合には、払出制御部230に得点に応じた賞球コマンドを送信する(S211、S212)。
D−4.ゲーム管理処理 :
次に、ゲーム管理処理S300を図41のフローチャートに基づいて説明する。まず、ゲーム開始フラグを参照することにより、ゲームの開始時か否かを判定する(S301)。この結果、ゲーム開始時であれば、ゲーム開始時の設定を行い(S302)、リターンする。ゲーム開始時の設定として、ゲームの開始に必要な各種のフラグやタイマに対して確認、設定あるいはクリア等の処理を行う。
一方、ゲームの開始時でない場合には、チャンスボール処理を行う(S3000)。チャンスボール処理とは、ゲーム中に遊技者がチャンスボタン8cを押すことにより、1球だけ予備球を発射する処理である。チャンスボール処理を行って予備球を発射すれば、結局、そのゲームでは1球だけ多い遊技球を使用することが可能となる。チャンスボール処理の詳細については後述する。
続いて、球送りカウントスイッチ254により球送りの監視を行う(S303)。球送りカウントスイッチ254がオンの場合には、球送りカウンタを1加算する。球送りカウンタが16以上になった場合には、払出制御部230に球送り禁止コマンドを送信し、球送りを終了する。次に、発射球カウントスイッチ222により発射球の監視を行う(S304)。発射球カウントスイッチ222がオンの場合には、発射カウンタを1加算する。発射カウンタが15以上になった場合(チャンスボタン8cが押された時は、16以上になった場合)には、払出制御部230に発射禁止コマンドを送信し、全ての遊技球を発射完了とする。
次に、ファール球検出スイッチ223によりファール球の監視を行う(S305)。具体的には、ファール球検出スイッチ223がオンの場合には、球送りカウンタおよび発射カウンタを1減算する。
次に、16連入球口スイッチ204により入球の監視を行う(S306)。16連入球口スイッチ204により16連入球口24の各入球口をチェックし、遊技球が16連入球口24に入球した場合には入球カウンタを1加算し、入球カウンタが15以上となった場合(チャンスボタン8cが押された時は、16以上になった場合)には、発射した全ての遊技球について入球完了とする。
次に、S307〜S314のゲーム終了チェック処理を行う。まず、遊技の結果が得られたか否か、すなわち1ゲームが終了したか否かを判定する。遊技の結果は、以下のすべての要件を満たしている場合に得られる。
すなわち、全ての遊技球を発射したものと発射カウンタにより判定され(S307)、インターバル時間が経過したと判定され(S308)、発射した全ての遊技球が入球したものと入球カウンタにより判定され(S309)、入賞図柄確認時間が経過したと判定され(S310)、誘導図柄表示部31a、31bの作動が終了したと判定され(S311)、第1役物作動口32に入球した遊技球が誘導増加装置作動領域41aまたは排出口を通過したと判定され(S312)、獲得遊技球(賞球)の払出が完了したと判定された(S313)場合に遊技の結果が得られたと判定できる。
この結果、遊技の結果が得られた、すなわち1ゲームが終了したと判定された場合には、ゲーム終了処理としてゲーム終了フラグを1にして、リターンする(S314)。上記要件のいずれかを満たさないと判定された場合には、そのままリターンする。なお、ゲーム終了フラグが1に設定されると遊技の結果が得られ、図32で示した遊技中信号が16msの間オフとなる。したがって、遊技確認時間が設定され、その時間の経過後、次のゲームが開始可能となる。
D−5.入賞図柄処理 :
次に、入賞図柄処理S400を図42のフローチャートに基づいて説明する。まず、ゲーム終了フラグにより遊技の結果が得られたか否か判定する(S401)。この結果、遊技の結果が得られたと判定された場合には、遊技終了時の設定として、図柄制御部280に入賞図柄消灯コマンドを送信し、音ランプ制御部260にLED消灯コマンドを送信する〈S401、S402)。その後リターンする。これにより、入賞図柄表示部31cの入賞図柄を表す花火の導火線の火が消され、これに対応する16連入賞口LED表示部25のLEDが消灯する。
一方、遊技の結果が得られていないと判定された場合には、遊技中であるか否か判定し(S403)、発射した全ての遊技球の入球が完了したか否かを入球カウンタによって判定し(S404)、16連入球口スイッチ204により16連入球口24の各入球口に入球があったか否か判定する(S405)。この結果、遊技中であって全遊技球の入球完了する前に入球口に入球があった場合には、図柄制御部280に各入球口に対応した入賞図柄表示コマンドを送信し、音ランプ制御部260にLED表示コマンドを送信し、リターンする(S406)。それ以外の場合はそのままリターンする。これにより、入賞図柄表示部31cの入賞図柄を表す花火の導火線に火がつき、これに対応する16連入賞口LED表示部25のLEDが点灯する。
D−6.役物遊技処理 :
次に、役物遊技処理S500を図43のフローチャートに基づいて説明する。まず、遊技中か否か判定する(S501)。この結果、遊技中でない場合にはそのままリターンする。一方、遊技中である場合には、S502〜S507の第1役物処理を行う。まず、第1役物が作動中であるか否か判定する(S502)。
この結果、第1役物が作動中でないと判定された場合には、第1役物作動処理を行う(S503、S504、S505)。具体的には、発射した全ての遊技球が入球したか否かを入球カウンタによって判定し、役物作動口スイッチ212aにより第1役物作動口32に入球があったか否かを判定する。この結果、全遊技球の入球が完了していない状態で、第1役物作動口32に入球があった場合には、第1役物の作動を開始し、後述の第2役物処理に移る。それ以外の場合には、そのまま第2役物処理に移る。第1役物の作動により、12・13・15・16番の入賞図柄が点灯表示される。
一方、第1役物が作動中と判定された場合には、第1役物作動終了処理を行う(S506、S507)。具体的には、ゲーム終了フラグにより遊技の結果が得られたか否か判定する。この結果、遊技の結果が得られたと判定された場合には、第1役物の作動を終了して第2役物処理に移る。一方、遊技の結果が得られていないと判定された場合には、そのまま第2役物処理に移る。
次に、S508〜S513の第2役物処理を行う。まず、第2役物が作動中であるか否か判定する(S508)。
この結果、第2役物が作動中でないと判定された場合には、第2役物作動処理を行う(S509、S510、S511)。具体的には、発射した全ての遊技球が入球したか否かを入球カウンタによって判定し、役物作動口スイッチ212bにより第2役物作動口33に入球があったか否かを判定する。この結果、全遊技球の入球が完了していない状態で、第2役物作動口33に入球があったと判定された場合には、第2役物の作動を開始して、リターンする。それ以外の場合には、そのままリターンする。第2役物の作動により、11・13・14・15番の入賞図柄が点灯表示される。
一方、第2役物が作動中と判定された場合には、第2役物作動終了処理を行う(S512、S513)。具体的には、ゲーム終了フラグにより遊技の結果が得られたか否かを判定し、遊技の結果が得られたと判定された場合には、第2役物の作動を終了してリターンする。一方、遊技の結果が得られていない場合には、そのままリターンする。
D−7.得点増加装置処理 :
次に、図44のフローチャートに基づいて、得点増加装置処理S600について説明する。まず、遊技中か否か判定し、遊技中でないと判定された場合には、そのままリターンする(S601)。一方、遊技中と判定された場合には、得点増加装置が作動中か否か判定する(S602)。
この結果、得点増加装置が作動中でないと判定された場合には、得点増加装置作動処理を行う(S603〜S605)。具体的には、発射した全ての遊技球が入球したか否かを入球カウンタによって判定し、16連入球口検知スイッチ204により16番の入賞図柄に対応する入球口(得点増加装置作動口)24aに入球があったか否かを判定する。この結果、全遊技球の入球が完了していない状態で、16番の入球口24aに入球したと判定された場合には、得点増加装置の作動を開始し、リターンする。それ以外の場合にはそのままリターンする。
一方、得点増加装置が作動中であると判定された場合には、得点増加装置作動終了処理を行う(S606、S607)。具体的には、ゲーム終了フラグにより遊技の結果が得られたか否か判定し、遊技の結果が得られたと判定された場合(ゲームが終了した場合)には、得点作動装置の作動を終了してリターンする。一方、遊技の結果が得られていないと判定された場合には、そのままリターンする。
D−8.誘導増加装置処理 :
次に、誘導増加装置処理S700を図45のフローチャートに基づいて説明する。まず、遊技中か否かを判定する(S701)。この結果、遊技中でないと判定された場合には、そのままリターンする。
一方、遊技中と判定された場合には、誘導増加装置が作動しているか否かを判定する(S703)。この結果、誘導増加装置が作動していないと判定された場合には、作動領域スイッチ214により遊技球が誘導増加装置作動領域41aを通過したか否かを判定する(S704)。この結果、遊技球が誘導増加装置作動領域41aを通過したと判定された場合には誘導増加装置を作動させリターンし(S705)、通過していないと判定された場合は、そのままリターンする。
誘導増加装置の作動により、第2役物誘導装置作動ゲート30が有効になり、当否判定用乱数の当たり値を増加させ、本図柄表示部31aにおける当たり発生確率を増加させる。具体的には、本図柄が当たり図柄となる確率が1/36から35/36となり、役物誘導装置が作動する抽選確率が低確率状態から高確率状態に移行する特別遊技状態が発生する。そして、特別遊技状態の発生中に第2役物誘導装置作動ゲート30を遊技球が通過すると、第2役物作動口33が開放する。
上記S703にて誘導増加装置が作動中と判定された場合には、誘導増加装置作動終了処理を行う(S706、S707、S708)。具体的には、作動領域スイッチ214により遊技球が誘導増加装置作動領域41aを通過したか否か判定し、誘導増加装置の作動開始から14ゲーム終了したか否か判定する。この結果、遊技球が誘導増加装置作動領域41aを通過した場合、あるいは誘導増加装置の作動開始から14ゲーム終了した場合には、誘導増加装置の作動を停止し、リターンする。それ以外の場合には、そのままリターンする。誘導増加装置の停止により特別遊技状態が終了し、第2役物誘導装置作動ゲート30が無効となり、当たり発生確率が1/36の低確率状態となる。
ここで、特別遊技状態が途中で消滅(いわゆるパンク)した場合(S706がyes)、図柄表示部31のパンク報知部を表示させる(S709)。パンクしたことについて遊技者が遊技場従業員に不満を訴えた場合、遊技場従業員は、パンク報知部が表示していることを確認することにより、特別遊技状態中に遊技球が誘導増加装置作動領域41aを通過してパンクしたことを、遊技者に対して説明することができる。従って、パンクしたことに起因する遊技者と遊技場従業員とのトラブルを防止し、遊技の健全性を高めることができる。
D−9.誘導図柄および役物誘導装置処理 :
次に、誘導図柄および役物誘導装置処理S800を図46、図47のフローチャートに基づいて説明する。まず、第1役物誘導装置が作動しているか否か判定する(S801)。この結果、第1役物誘導装置が作動中であると判定された場合には、後述のS816〜S818で示す役物誘導装置終了処理を行う(S801)。一方、第1役物誘導装置が作動中でないと判定された場合には、誘導図柄が変動中か否か判定する(S802)。
この結果、誘導図柄が変動中であると判定された場合は、後述のS809で示す変動時間経過判定処理に移る。一方、誘導図柄が変動中でないと判定された場合には、誘導図柄の停止表示時間中であるか否かを判定する(S803)。
この結果、誘導図柄の停止表示時間中であると判定された場合には、後述のS811で示す停止表示時間経過判定処理に移る。一方、誘導図柄の停止表示時間中でないと判定された場合には、誘導図柄作動ゲートスイッチ201により遊技球が誘導図柄作動ゲート29を通過したか否かを判定する(S804)。
この結果、遊技球が誘導図柄作動ゲート29を通過していないと判定された場合はそのままリターンする。一方、遊技球が誘導図柄作動ゲート29を通過したと判定された場合は誘導図柄当否判定を行う(S805)。
ここで、誘導図柄当否判定処理を図48のフローチャートに基づいて説明する。まず、誘導増加装置が作動中か否かを判定する(S8051)。この結果、誘導増加装置が作動中である場合には、高確率用のデータテーブルを選択し(S8052)、誘導増加装置が作動中でない場合には、低確率用のデータテーブルを選択する(S8053)。
次に、選択したデータテーブルの中に当否判定用乱数の値と同じ値が存在するか否か判定する(S8054)。当否判定用乱数は、遊技球がゲート29を通過したタイミングで乱数カウンタより取得される。
この結果、当否判定用乱数の値が当たりであると判定された場合には、当たりのときに誘導図柄表示部31a、31bに表示される当たり停止図柄を設定し(S8055)、当たり予定フラグをセットする(S8056)。一方、当否判定用乱数の値が当たりでないと判定された場合には、外れのときに誘導図柄表示部31a、31bに表示される外れ図柄を設定する(S8057)。これらの誘導図柄表示部31a、31bに表示される当たり図柄および外れ図柄は、図柄表示用乱数を用いて決定される。
次に図46に戻り、誘導図柄表示部31a、31bに表示される誘導図柄の変動時間設定および変動パターンの設定を行い(S806)、図柄制御部280に所定の図柄制御コマンドを送信し、誘導図柄の変動を開始する(S807)。なお、本実施例では、誘導図柄変動時間は本図柄を1.1秒とし、疑似図柄を1.4秒としている。
次に、誘導図柄変動時間が経過したか否かの判定を行う(S808)。この結果、誘導図柄変動時間が経過していないと判定された場合にはそのままリターンする。一方、誘導図柄変動時間が経過していると判定された場合には、誘導図柄を停止させ(S809)、誘導図柄停止表示時間(本例では0.5秒)を設定する(S810)。
次に、誘導図柄停止表示時間が経過したか否かの判定を行う(S811)。この結果、誘導図柄停止表示時間が経過していないと判定された場合には、そのままリターンする。一方、誘導図柄停止表示時間が経過していると判定された場合には、誘導図柄が当たりか否かを判定する(S812)。この結果、誘導図柄が当たりでないと判定された場合には、そのままリターンする。一方、誘導図柄が当たりと判定された場合には、第1役物誘導装置の作動を開始する(S813)。
次に、図49のフローチャートに示すガイド処理を行う(S814)。ここでは、特別遊技状熊終了後の最初のゲーム開始時に第1役物作動口32が開放したままの状態となるように、遊技者に狙い所をガイドし、それにより、連続した特別遊技状態の発生(いわゆる連荘)の確率を高くするものである。
まず、誘導増加装置が作動しているか否かを判定し(S8141)、誘導増加装置が作動していない場合には、そのままリターンする。一方、S8141で誘導増加装置が作動していると判定された場合には、誘導増加装置の作動開始から12ゲームが終了したか否かの判定を行う(S8142)。この結果、12ゲームが終了していないと判定された場合には、そのままリターンする。
一方、12ゲームが終了したと判定された場合には、第1役物作動口32が閉鎖しているか否かを判定し(S8143)、第1役物作動口32が閉鎖している場合には、図柄制御部280に図柄制御コマンドを送信し、図柄表示装置31の遊技情報報知部にて左打ちをするようにガイドする(S8144)。左打ちにより遊技球が誘導図柄作動ゲート29を通過しやすくなり、誘導図柄表示部31a、31bが作動を開始する。このとき、誘導増加装置が作動中であるため高い確率で誘導図柄が当たりとなり、第1役物作動口32が開放される。
左打ちをガイドした後、誘導図柄が当たりか否かを判定する(S8145)。この結果、誘導図柄が当たりでないと判定された場合には、そのままリターンする。一方、誘導図柄が当たりと判定された場合には、図柄制御部280に図柄制御コマンドを送信し、図柄表示装置31の遊技情報報知部にて右打ちをするようにガイドする(S8147)。また、S8143にて第1役物作動口32が閉鎖していない(開放されている)と判定された場合も、図柄表示装置31の遊技情報報知部にて右打ちをするようにガイドする(S8147)。なお、S8144で左打ちをガイドした後に誘導図柄が当たりになった場合、誘導図柄が当たりと判定されてから所定時間(例えば、4秒)経過後に、第1役物作動口32を開放させるようになっている。
このように、図柄表示装置31の遊技情報報知部にて、誘導増加装置の作動開始に関する情報として右打ちをするようにガイドすることにより、第1役物作動口32への入球を回避しつつ、第2役物誘導装置作動ゲート30、第2役物作動口33などを遊技者に狙わせることができる。
そして、図柄表示装置31の遊技情報報知部にて右打ちをするようにガイドして、第1役物作動口32への入球を回避させることにより、特別遊技状態終了後の最初のゲーム開始時に第1役物作動口32が開放した状態にすることができ、このとき、遊技球を第1役物作動口32に入球させ、この遊技球が特定の領域(誘導増加装置作動領域41a)を通過すれば、特別遊技状態を再度発生させることができる。したがって、連荘に対する遊技者の期待感を格段に高めて、興趣を向上させることができる。
また、誘導増加装置の作動開始から12ゲームが終了した時点で、図柄表示装置31の遊技情報報知部にて左打ちをガイドすることにより、仮に13ゲーム目で誘導図柄が当たりにならなかった場合でも、14ゲーム目で高い確率で誘導図柄が当たりとなり、第1役物作動口32が開放される。したがって、13ゲームが終了した時点で左打ちをガイドする場合よりも高い確率で、特別遊技状態終了後の最初のゲーム開始時に第1役物作動口32が開放した状態にすることができる。
次に、図47に戻り、上記S801で第1役物誘導装置が作動中と判定された場合には、役物誘導装置終了処理を行う(S816、S817、S818)。具体的には、第1役物作動口32に入球したか否かを判定し、遊技の結果が3回得られたか否かを判定する。この結果、第1役物作動口32に入球したか、あるいは遊技の結果が3回得られたと判定された場合には、第1役物誘導装置の作動を停止する。これにより、第1役物作動口32が閉鎖する。一方、いずれかの条件を満たさない場合には、そのままリターンする。
D−10.電源断発生処理 :
次に、電源断発生処理S900を図50のフローチャートに基づいて説明する。この電源斬発生処理は、停電等によって電源断が発生してノンマスカブル割り込みが発生した場合に行われる。
まず、使用レジスタをRAMに退避し、スタックポインタの値を保存する(S901、S902)。次に、遊技球払出装置の賞球残数を確認するために、払出センサ109j、109kの監視を所定時間(本例では84ms)行い、第1役物作動口32および第2役物作動口33の役物作動口スイッチ212aおよび212bを通過する遊技球の監視を所定時間(本例では84ms)行う(S903、S904)。次に、チェックサムを算出して保存し、バックアップフラグをセットする(S905、S906)。次に、RAMへのアクセスを禁止し、システムリセットが発生するまで無限ループ処理を行う(S907)。RAMデータは、図示しないバックアップ電源部により補償される。システムリセットが発生した場合には、上記電源投入処理S100に移る。
以上の遊技機1の構成により、以下のような効果を得ることができる。
(1)誘導図柄表示部31a、31bと入賞図柄表示部31cとを、同一の図柄表示装置31にて表示するように構成したことにより、図柄表示を制御する図柄制御部280の構成を簡略化することができる。これにより、図柄制御基板280aの端子数を減らすことができるので、図柄制御基板280aのコストを低減することができる。また、本実施例では、図柄表示部31に本入賞図柄を表示する入賞図柄表示部31cを設けているので、16連入球口24の前面側に設けられた疑似入賞図柄を表示する16連入球口LED表示部25を省略することも可能である。この場合には、音ランプ制御部の260の簡略化とコスト低減が可能となる。さらに、図柄制御部280で1つの図柄表示装置31を制御するように構成するとで、図柄制御基板280aにLED駆動回路等を設ける必要がなく、図柄制御部280を第1種遊技機と共用化することができる。さらにまた、任意の図柄を表示できる図柄表示装置31に入賞図柄表示部31cを設けることで、例えばキャラクターや数字等を用いて入賞図柄を表現することができる。入賞図柄の配列も本実施例のような横一列に限らず、任意に変更することが可能となる。このように、多彩な表示方法で入賞図柄の表示を行うことができる。さらにまた、図柄表示部31に遊技の進行に応じて任意にメッセージを表示する遊技情報報知部が設けることで、例えば遊技者の利益に関連する情報および不利益に関連する情報を指示報知する指示報知情報を表示して、ナビゲーションを行うことができる。具体的には、遊技情報報知部では遊技者が狙うべきところ、あるいは狙うべきでないところを指示報知することができる。
(2)ケースレール108の球詰まりに対して複数段階のエラー状態を設定し、ケースレール108の複数の樋のいずれかの樋で球詰まりが発生した場合でも直ちに遊技球払出装置109を停止させず、警告報知をしながら球詰まりが発生していない残りの樋で払い出しを継続することで、遊技を進行させることができる。これにより、ケースレール108で球詰まりが発生した場合でも、遊技機1の稼働率の低下を抑制することができる。
(3)また、タンク球切れスイッチ232からの信号と払出センサ109j、109kからの信号とに基づいて、ケースレール108内の球詰まりを検出することで、ケースレール108の遊技球の有無を検出するスイッチを設ける必要がなく、回路構成を簡略化することができる。
(4)また、遊技球払出装置109にて遊技球の払い出しを停止する前に、カム109g、109hを一旦減速させてから停止させることで、払出モータ109fにかかる負荷が急激に変化するのを防止でき、払い出しの高速化に伴うカム109g、109hの脱調を防止できる。これにより、遊技球払出装置109の払い出しを正確に行うことができる。同様に、遊技球払出装置109にて遊技球の払い出し開始時においても、払出モータ109fの回転速度を通常の回転速度より遅い回転速度から回転を開始することで、払出モータ109fにかかる負荷が急激に変化するのを防止でき、カム109g、109hの脱調を防止できる。これにより、遊技球払出装置109の払い出しを正確に行うことができる。
(5)また、ケースレール108における遊技球払出装置109の直前に、垂直に所定の長さを有する垂直部108bを設けることで、遊技球の自重により遊技球払出装置109に供給される遊技球の球圧を上げることができ、払出速度を高速化することができる。さらに、遊技球払出中に払い出しを定期的に停止する所定の払出停止時間を設けることで、払出停止時間中に球圧を上げることができ、払出速度をより高速化することができる。このように定期的に払い出しを停止することで、球圧が上がりすぎて球噛み等が発生することを防止でき、遊技球の正確な払い出しを行うことができる。これにより、遊技球払出装置109の作動中に払出センサ109j、109kで遊技球が検出されずにエラーが発生する原因を取り除くことができる。
(6)また、払出センサ109j、109kからの信号を払出制御部230にて受け取って払出個数を計数し、賞球数分のパルス信号を主制御部200に送信することで、1種類の払出センサ109j、109kで賞球数と貸球数を計数することが可能となるため、賞球数を計数するための賞球センサと貸球数を計数するための貸球センサを別々に設ける必要がない。これにより、回路構成を簡略化することができる。また、遊技球を賞球センサと貸球センサに振り分けるために、遊技球通路109a、109bを賞球センサ用の通路と貸球センサ用の通路に分離する必要がなく、遊技球払出装置109の構成を簡素化することができる。すなわち、賞球センサ用通路と貸球センサ用通路に遊技球を振り分けるために、通路切替用部材を設けたり、あるいは払出モータ109fの回転方向を変える必要がない。
(7)また、遊技球払出装置109における払出速度の高速化に伴い、払出センサ109j、109kにおける遊技球の通過速度が高速化する。この場合、払出センサ109j、109kの出力時間が払出制御部230の制御間隔より短いと遊技球の通過を検知できない可能性があるが、本実施例の払出制御部230では、制御間隔を主制御部200より短く設定しているので、遊技球の通過を確実に検知することができる。
(8)また、払出制御部230から賞球数分のパルス信号を主制御部200のCPU400のカウンタにソフト出力することで、主制御基板200aにセンサ入力用のI/0ポートを設ける必要がない。これにより、I/0ポート増設に伴うコストアップを回避できる。
(9)また、主制御部200のCPU400のカウンタに賞球数分のパルス信号を入力し、CPU400はカウンタを参照して制御を行うように構成することで、ポート入力処理、チャタリング処理といったプログラムが不要となり、プログラム容量を削減することができる。さらに、カウンタはCPUの動作とは独立して動作しているため、CPUの割り込み速度(ポートサンプリング速度)に対して微妙な入力信号に対しても入力が可能であり、入力信号に対して確度の高いカウントが可能となる。
(10)また、発射モータ252の原点を検出する原点センサ251を設け、発射制御部230が発射モータ252の原点確認後に球送り処理を行うことで、正確な球送りを行うことができ、確実に所定数の遊技球の発射を行うことができる。さらに電源投入後、遊技者が発射ハンドル8に触れた際に槌10aの空打ちを1回行うことで、電源投入時における原点確認を確実に行うことができる。これにより、電源投入後、初回の球送りを確実に行うことができる。さらにまた、槌10aの先端を発射球カウントスイッチ222から退避した位置に配置しているので、槌先の検出による発射球誤検知を防止できる。また、基準クロック信号のパルス幅を、球送り許可信号が発射許可状態となっている時間より短く設定することで、確実に球送り処理を行うことができ、確実に発射を行うことができる。
(11)また、遊技者が発射ハンドル8を回転開始したことを検知する発射スタートスイッチ10jを、直線運動するラック10iの移動によりオン/オフするように構成したことで、例えば発射ハンドル8にガタツキや劣化が生じたような場合であっても、遊技球の打ち出しに適した発射スタート位置を正確に検知することが可能となる。これにより、常に同じハンドル位置で遊技球を発射開始することが可能となる。さらに、発射ハンドル8内の機構が簡素になり、発射ハンドル8の組み付け性を向上させることができる。また、発射停止スイッチ8bをタッチスイッチ回路に組み込み、タッチスイッチ8aと直列的に接続することで、回路構成を簡略化することができる。
E.チャンスボール制御 :
上述したように、遊技機1では、一単位遊技によって得られる図柄の組合せに応じて得点を獲得し、獲得した得点に従って遊技球が払い出されることになる。このため、例えば、あと1図柄が点灯すれば所定の図柄の組合せが得られる場合などのように、もう少しで得点が得られるにも拘わらず、あるいはもう少しで高得点が得られるにも拘わらず、規定数の遊技球を発射し終わって遊技が終了してしまう場合が生じ得る。このような場合、遊技者は、せめてもう1球だけでも遊技球を発射することができたらと、強く願うものである。本実施例の遊技機1は、予備球を使用することで、1球だけ余計に遊技球を発射することが可能となっており、遊技者のこうした要請に応えることが可能となっている。以下では、予備球を使用するために、上皿部5に搭載されている各種の機構、および予備球を発射するための制御内容について詳しく説明する。
E−1.上皿部の構造 :
図51は、本実施例の遊技機1に搭載されている上皿部5を裏面側から見た斜視図である。図示されているように上皿部5は、略平面形状をしたパネル5dの前面側に皿外縁部5aが突設されており、その皿外縁部5aには、遊技球の貸球ボタン、返却ボタン等に加えて、遊技球を排出するための排出ボタン5bが設けられている。また、外縁部5aの内部には、複数個の遊技球を貯留する皿状の凹部5cが形成されている。この凹部5cの一部には遊技球投入部が形成されており、凹部5cに供給された遊技球は遊技球投入部に導かれる。遊技球投入部については後述する。
また、パネル5dの裏面側には、前述した球送り装置12が設けられている。球送り装置12は、上皿部5から遊技球を1球ずつ受け取って発射位置に球込めを行う。また、詳細には後述するが、本実施例の球送り装置12は、上皿部5からの遊技球を球込めする代わりに、予備の遊技球を球込めすることも可能である。図51に示すように、パネル5dの裏面側には、予備の遊技球を球送り装置12の側面から供給するための予備球通路5hが接続されている。
更に、パネル5dの裏面側には、予備球通路5hに遊技球を取り入れるための予備球取入口5fおよび、上皿部5の凹部5cに遊技球を取り入れるための遊技球取入口5e、遊技球を下皿部6に排出するための排出口5gなどが設けられている。前述した遊技球払出装置109から払い出された遊技球は、遊技球取入口5eおよび予備球取入口5fから、それぞれ凹部5cと予備球通路5hに供給される。尚、図示されているように、予備球取入口5fの開口部は遊技球取入口5eの開口部に比べて小さいので、遊技球払出装置109から払い出された遊技球は、大部分が上皿部5の凹部5cに供給され、一部が予備球通路5hに供給されることになる。
図52は、上皿部5を上方から見た形状を表す上面図である。図示されているように、上皿部5の凹部5cは、一端側が細い通路状となっており、遊技球投入通路5iが形成されている。遊技球投入通路5iの突き当たり部分は球送り装置12に開口しており、ここから遊技球が投入される。投入された遊技球は球送り装置12に供給されて、図7を用いて前述したように、球送りカム12bの頂部で待機状態となった後、球送りカム12bが揺動するたびに1球ずつ発射位置に球込めされる。図52では、球送り装置12の内部で待機状態となっている遊技球を、斜線を付した破線の丸印によって表示している。一方、遊技球払出装置109から払い出されて予備球取入口5fに流入した遊技球は、予備球通路5hを通って球送り装置12の内部に導かれる。
図53は、球送り装置12内に、遊技球が供給される様子を概念的に表した説明図である。図53(a)は、パネル5dの前面側に設けられた遊技球投入通路5iから遊技球が投入される様子を表しており、図53(b)は、パネル5dの裏面側に設けられた予備球通路5hから遊技球が供給される様子を表している。図53(a)に示すように、上皿部5に払い出された遊技球は、凹部5cの底面を転がって遊技球投入通路5iに導かれる。そして、遊技球投入通路5iから球送りカム12bの頂部に導かれて、球込めされるまでここで待機する。本実施例では、遊技球投入通路5iが遊技球投入部に相当する。また、遊技球が待機状態となる位置、すなわち球送りカム12bの頂部が、遊技球待機位置に相当する。
図53(b)は、遊技球が、予備球通路5hから球送り装置12内に供給される様子を、概念的に表した説明図である。遊技球払出装置109から払い出されて予備球取入口5fに流入した遊技球は、予備球通路5hを通って球送り装置12の内部に導かれ、球送りカム12bの頂部の手前で保持される。そして、遊技者がチャンスボタン8cを押した場合には、遊技球投入通路5iからではなく、予備球通路5hの内部で保持されている遊技球が球送りカム12bの頂部に供給される。本実施例では、予備球通路5hが予備球導入通路に相当し、また、予備球通路5hの内部で遊技球が保持されている部分が、予備球保持部に相当する。
このように、本実施例の遊技球1では、遊技球投入通路5iからだけではなく、予備球通路5hからも遊技球を発射位置に球込めすることが可能である。もっとも、予備球通路5hの側から遊技球を球込めするのは、遊技者がチャンスボタン8cを押した場合のみであり、通常の場合は、遊技球投入通路5iから投入された遊技球のみ球込めする。このことに対応して、本実施例の遊技機1には、遊技球を供給する通路を切り換える機構が搭載されている。以下では、遊技球の供給通路を切り換えて、予備球通路5hから遊技球を供給する動作(予備球供給動作)について説明する。
E−2.予備球供給動作 :
図54は、遊技球の供給通路を切り換える機構が搭載されている部分を拡大して示した上皿部5の上面図である。図中に斜線を付して示した破線の丸印は、球送りカム12bの頂部で待機状態となっている遊技球を示している。また、前述したように球送りカム12bの頂部の空間は、遊技球投入通路5iと、予備球通路5hとに接続されている。球送りカム12bの頂部の空間と遊技球投入通路5iとの間には、スライダA(12e)が設けられており、スライダA(12e)は図示しないリンク機構を介してアクチュエータA(12f)によって駆動され、前後方向に摺動することによって遊技球投入通路5iを開閉する。また、球送りカム12bの頂部の空間と予備球通路5hとの間にはスライダB(12c)が設けられている。スライダB(12c)は、リンク機構を介してアクチュエータB(12d)によって駆動され、前後方向に摺動することによって予備球通路5hを開閉する。
通常の遊技状態では、図54に示すように、スライダA(12e)が後退して遊技球投入通路5iが開放され、スライダB(12c)が前進して予備球通路5hが閉鎖された状態となっている。この状態では、遊技球投入通路5iからに投入された遊技球が自重によって球送りカム12bの頂部に供給され、カムが揺動するたびに、発射レール11上の発射位置に球込めされる。
図55は、遊技球の供給通路を切り換えて予備球を球込めする動作を示した説明図である。供給通路を切り換える場合には、先ず初めにアクチュエータA(12f)を駆動してスライダA(12e)を前進させ、遊技球投入通路5iを閉鎖する。図55(a)は、スライダA(12e)によって遊技球投入通路5iが閉鎖された様子を示している。
次いで、アクチュエータB(12d)を駆動してスライダB(12c)を後退させることにより、予備球通路5hを開放する。図55(b)は、予備球通路5hが開放された様子を示している。予備球通路5hが開放されると、通路5h内の遊技球(予備球)は自重によって転がりながら、球送りカム12bの頂部に供給される。
こうして予備球を1球供給したら、再びアクチュエータB(12d)を駆動してスライダB(12c)を前進させ、予備球通路5hを閉鎖する。図55(c)は、再びスライダB(12c)を前進させて予備球通路5hを閉鎖した状態を表している。この状態から、スライダA(12e)を後退させれば、図54に示した状態、すなわち遊技球の供給通路を切り換える前の状態に復帰する。尚、本実施例では、スライダB(12c)が予備球供給手段に相当する。以上のような操作を行うことにより、通路を遊技球投入通路5iから予備球通路5hに切り換えた後、再び、遊技球投入通路5iに戻すことができる。尚、予備球通路5hから球送りカム12bの頂部に遊技球を1球だけ確実に供給するために、球送りカム12bとスライダB(12c)との間に予備球を検出するセンサを設け、このセンサが予備球を検出したら予備球通路5hを閉鎖するようにすることもできる。
E−3.チャンスボール処理の内容 :
本実施例の遊技機1は、ゲーム中に遊技者がチャンスボタン8cを押した場合には、上述した方法で遊技球の供給通路を切り換えることにより、予備球を1球だけ発射することが可能となっている。以下では、こうした処理(チャンスボール処理)の詳細な内容について説明する。
図56は、チャンスボール処理の流れを示すフローチャートである。かかる処理は、図41に示したゲーム管理処理中で実施される処理である。以下、図56のフローチャートに従って説明する。
チャンスボール処理では、先ず初めに、遊技球投入通路5iから投入された規定数の遊技球が発射済みか否かを判断する(S3002)。本実施例では、規定数は15個であるものとしているから、15個目の遊技球を発射しているか否かを判断することになる。そして、未だ15個目の遊技球を発射していない場合は(S3002:no)、そのままチャンスボール処理を抜けて、図41に示したゲーム管理処理に復帰する。すなわち、遊技者がゲーム中にチャンスボタン8cを押した場合でも、直ちに予備球を発射するのではなく、規定数の遊技球を発射した後に予備球を発射する。そこで、チャンスボール処理では先ず初めに規定数の遊技球を発射したか否かを判断するのである。
S3002において規定数の遊技球を発射済みと判断された場合には(S3002:yes)、そのゲーム中にチャンスボタン8cが押されたか否かを判断する(S3004)。遊技者がチャンスボタン8cを押していない場合は(S3004:no)、予備球を発射する必要はないので、そのままチャンスボール処理を抜けて、ゲーム管理処理に復帰する。
遊技者がそのゲーム中にチャンスボタン8cを押していた場合は(S3004:yes)、図55(a)に示したように、スライダA(12e)を前進させて遊技球投入通路5iを閉鎖する(S3006)。次いで、図55(b)に示したように、スライダB(12c)を後退させて予備球通路5hを開放させる(S3008)。こうすることで、予備球通路5hにあった遊技球が、自重によって球送りカム12bの頂部の空間に供給される。こうして予備球を供給したら、再び予備球通路を閉鎖する(S3010)。この結果、予備球通路5hにある予備球が1球だけ球送り装置12に供給されることになる。
次いで、図7を用いて説明したように、球送りカム12bを揺動させてカム頂部の遊技球を発射位置に球込めする。そして、球込めした予備球を発射するとともに、スライダA(12e)を後退させて遊技球投入通路5iを開放したら(S3012)、図56のチャンスボール処理を終了してゲーム管理処理に復帰する。
以上のような操作を行うことにより、ゲーム中に遊技者がチャンスボタン8cを押した場合には、新たな遊技球を投入することなく、予備の遊技球を1球だけ発射することができる。そのため、規定数の遊技球を発射し終わった状態で惜しくも得点が得られない場合などに、もう1球だけでも遊技球を発射することができたらと言う遊技者の要望に応えることが可能となる。
尚、上述したチャンスボール処理では、規定数の遊技球を全て発射した後に、予備球を発射するものとしているが、規定数の遊技球の間に予備球を挿入して発射することとしても良い。こうした場合でも、全体として発射する遊技球の個数を1球だけ増やすことができ、遊技者の要望に応えることが可能となる。もっとも、規定数の遊技球の間に予備球を発射する場合には、球送りカム12bが揺動しながら球込めを行う動きとタイミングを合わせて、供給通路を切り換えてやる必要がある。これに対して、規定数の遊技球を発射後に予備球を追加する場合は、球送りカム12bの動きが一旦休止状態となっているので、タイミングを合わせながら遊技球の供給通路を切り換える必要がなく、供給通路の切り換え制御を簡素なものとすることが可能である。
また、上述したチャンスボール処理では、遊技者がゲーム中にチャンスボタン8cを押すことにより行うものとしていたが、1ゲーム開始前にチャンスボタン8cを押すことによって行うものとしても良い。例えば、1ゲームが開始されるまでの所定時間(例えば2秒)をチャンスボール選択時間とし、この時間内はチャンスボタン8cを有効とする。そして、このチャンスボール選択時間内に遊技者がチャンスボタン8cを押した場合には、その1ゲームではチャンスボール処理が行われ、規定数に加えて予備球を発射することが可能となる。このように、1ゲーム毎に予備球を使用するか否かを、そのゲームの開始前の所定時間内に限って選択できるようにすることも可能である。
F.遊技球排出動作 :
図51および図52を用いて説明したように、本実施例の遊技機1では遊技球払出制御装置109から払い出された遊技球は、上皿部5に形成された皿状の凹部5cと予備球通路5hとに供給される。従って、遊技者が遊技を終了しする場合は、凹部5cに払い出された遊技球を排出するとともに、予備球通路5h内に払い出された遊技球も排出させる必要がある。以下では、上皿部5の凹部5cおよび予備球通路5hの遊技球を排出する動作(遊技球排出動作)について説明する。
本実施例の遊技機1は、遊技球投入通路5iの先端の底面に、遊技球を排出するための排出プレート5kが設けられている。図57は、排出プレート5kが、遊技球投入通路5iの先端部分に設けられている様子を拡大して示した斜視図である。上皿部5の皿縁部5aに設けられた排出ボタン5bと排出プレート5kとは、図示しないリンク機構によって接続されており、遊技者が排出ボタン5bを押すと排出プレート5kがスライドして、遊技球投入通路5iの底面が開口するようになっている。
図58は、遊技者が排出ボタン5bを押して排出プレート5kをスライドさせることにより、遊技球が排出される様子を示した説明図である。排出プレート5kの背面側には排出通路5Lが設けられており、排出通路5Lは排出口5gに通じている。排出プレート5kがスライドして遊技球投入通路5iの底面が開口すると、図58(a)に示すように、遊技球投入通路5iの遊技球が排出通路5Lを通って、排出口5gから下皿部6に排出される。本実施例では、排出プレート5kが遊技球排出手段に相当する。
遊技者が排出ボタン5bを押すと、排出プレート5kがスライドすると同時に、スライダB(12c)が後退して予備球通路5hが開放状態となる。図58(b)は、排出ボタン5bが押されたときのスライダの動きを示す説明図である。図示するように、遊技者が排出ボタン5bを押すと、アクチュエータB(12d)が駆動されスライダB(12c)が後退して、予備球通路5hが開放される。尚、通常の運転状態ではスライダA(12e)は後退しているが、念のためにスライダAを後退させるべく、アクチュエータ12fも駆動される。こうしてスライダB(12c)が後退する結果、予備球通路5h内の遊技球も自重で転がって、遊技球投入通路5iの底面に開いた開口部から、排出通路5Lを通って排出口5gから排出される。
G.変形例 :
以上に説明した遊技機では、遊技者がチャンスボタン8cを押した場合にだけ、予備球を使用した遊技を行うものとした。しかし、次のようにして、常に予備球を使用した遊技を行うこととしても良い。以下では、こうした変形例の遊技機について簡単に説明する。
変形例の遊技機では、新たなゲームが開始されるためには、遊技者がスタートボタンを押さなければならないように構成されている。図59は、このような変形例の遊技機の上皿部5の形状を示す斜視図である。図示されているように、皿縁部5aの前面側の遊技者に最も近い場所には、スタートボタン8eが設けられている。変形例の遊技機では、遊技者がスタートボタン8eを押さなければ新たなゲームが開始されることはない。
図60は、変形例の遊技機におけるゲーム管理処理の流れを示すフローチャートである。図示されているように、変形例のゲーム管理処理では、先ず初めにゲームの開始時か否かを判断し(S3101)、開始時である場合は(S3101:yes)、ゲーム開始時の設定を行った後(S3102)、スタートボタン8eが押されたか否かを判断する(S3200)。そして、遊技者が未だスタートボタン8eを押していない場合は(S3200:no)、スタートボタン8eが押されるまでその状態で待機している。
遊技者によってスタートボタン8eが押されると(S3200:yes)、予備球通路5hから予備球を1球だけ、球送り装置12に供給する(S3202)。予備球を供給するに際しては、前述したように、スライダA(12e)およびスライダB(12c)を所定に順序で開閉させることにより、予備球通路5hにある予備球を球送り装置12内に導いてやる。球送り装置12に供給された予備球は、発射レール11の発射位置に導かれて遊技盤上に発射される。
こうして予備球を発射したら、その後は、前述したゲーム管理処理と同様の処理を行う。すなわち、ファール球および入球の監視(S3105,S3106)に続いて、全球を発射したか否かの判断(S3107)、インターバル時間が経過したか否かの判断(S3108)、全球が入球したか否かの判断(S3109)、入賞図柄確認時間が経過したか否かの判断(S3110)、誘導図柄が変動しているか否かの判断(S3111)、特定入球口に入球した遊技球を全て排出したか否かの判断(S3112)、獲得した遊技球が全て払い出されたか否かの判断(S3113)を順次行った後、ゲーム終了の設定を行う(S3114)。
このように、変形例の遊技機では、遊技者がスタートボタン8eを押さなければ遊技が開始されず、しかも、スタートボタン8eが押されると先ず初めに予備球が供給されるので、規定数の遊技球に加えて常に予備球を使用した遊技を行うことが可能となる。
以上、本発明についての各種の実施の形態を説明したが、本発明はこれに限定されるものではなく、各請求項に記載した範囲を逸脱しない限り、各請求項の記載文言に限定されず、当業者がそれらから容易に置き換えられる範囲にもおよび、かつ、当業者が通常有する知識に基づく改良を適宜付加することができる。
例えば、上述した実施例では、遊技球払出装置109から排出された遊技球は、予備球取入口5fと遊技球取入口5eとにそれぞれ一定の割合で流入するものとして説明した。しかし、予備球取入口5fに開閉弁を設けるとともに、予備球通路5hに遊技球を検出するセンサを設けておき、所定個数の遊技球が予備球通路5hに流入したら、開閉弁を閉じることとしても良い。こうすれば、遊技球が必要以上に予備球通路5hに流入することを回避することが可能となる。
更には、予備球通路5hのスライダB(12c)側の近傍に、遊技球を検出するセンサを設けておき、予備球の有無を検出する。そして、予備球が全くない場合にはチャンスボタン8cを無効にすることとしても良い。