JP4477164B2 - ワーク形状測定システム - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、ワーク形状測定システムに係り、特に、マシニングセンタ等の工作機械で加工されたワークの形状や寸法を、3次元座標測定機(以下、単に3次元測定機と称する)等の座標測定機で加工直後に測定して、測定を含む生産ラインタクトを短縮し、測定データを迅速にフィードバックすることが可能なワーク形状測定システムに関する。
【0002】
【従来の技術】
出願人は、既に、特開平11−325869出願時未公開)で、図5に示す如く、マシニングセンタ(M/C)20の主軸22に固定されたツール24によって加工されたワーク10が、旋回式オートパレットチェンジャ(APC)30によって入側の待機位置に設置された状態で、図6に示す如く、3次元測定機(CMM)40のスピンドル42に固定されたプローブ44を接近させて、その形状や寸法を測定することを提案している。図において、26はM/C20のベース、28は、パレット12に載置されたワーク10を、加工位置で、例えば5°、1°、又は0.001°単位で所定角度だけ回転するための、M/C20内に組み込まれた加工用割出し(回転)機構、32は、パレット12に載置されたワーク10を矢印で示す如く旋回軸33の回りに旋回させて、待機位置と加工位置を入れ替えるための旋回プレート、34は、APC30のベース、36は、待機位置で、ワーク10を所定角度回転するための測定用割出し(回転)機構である。
【0003】
又、図7及び図8に示す如く、多数のM/C20が配置され、例えば支柱53で支えられたレール52上を走行するロボット54を備えたガントリローダ50やコンベア等の搬送装置で接続された加工ライン内にCMM40を設置して、インラインで測定を行うことも考えられている。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、前者のM/C20を組み込んだCMM40において、前記APC30は、M/C20の一部であり、そのベース34がM/C20のベース26と一体となっており、CMM40のベース46とも一体となっているため、M/C20におけるワーク10の加工やツール24の交換に伴って発生するM/C20の振動が、APC30を経由して測定中のワーク10にも伝わってしまい、M/C20で加工しながら、同時に測定を行うCMM40での測定精度、特に繰返し精度を悪化させる元凶となっていた。
【0005】
又、後者のインライン測定システムにおいては、M/C20だけでなく、ガントリローダ50等の搬送装置から発生する振動も、支柱53や床面60を経由してCMM40に伝わってしまい、やはり、精度を悪化させる悪影響源となっていた。
【0006】
なお、ワーク10へ振動が伝播するのを防止するべく、ワーク10を、例えば空気ばね等を用いた除振台上に配置することも行われているが、ワーク10の振動を完全に除去することは不可能であり、ワーク10とCMM40の相対変位を完全に防止することはできなかった。
【0007】
なお、空気ばね式の除振台の場合、一般的にはばね定数が低いため、除振性能は高いものの、その上に搭載されるCMMやM/C等の工作機械が高速で駆動すると、その荷重の変化に伴い除振台が大きく揺れてしまい、測定精度及び加工精度が劣化するという問題がある。従って、空気ばね式の除振台は高速駆動するCMMやM/C等の工作機械には適用不可能である。
【0008】
本発明は、前記従来の問題点を解消するべくなされたもので、座標測定機を工作機械に組込んだ場合でも、ワークや座標測定機に及ぶ振動を除くと共に、ワークと座標測定機の相対変位をくし、振動の影響を受けずに安定した測定が行えるようにして、測定の繰り返し精度を向上し、高精度化を図ることを課題とする。
【0009】
【課題を解決するための手段】
本発明は、工作機械で加工するための加工位置部と工作機械の出側に設けられた待機位置部の間でワークを交換するためのオートパレットチェンジャと、該オートパレットチェンジャの待機位置部にあるワークにプローブを接近させて、形状や寸法を測定する座標測定機とを備えたワーク形状測定システムであって、前記オートパレットチェンジャのベースを工作機械のベースから分離すると共に、座標測定機のベースと一体化するようにして、前記課題を解決したものである。
【0011】
【発明の実施の形態】
以下図面を参照して、本発明の実施形態を詳細に説明する。
【0012】
本実施形態は、図1に示す如く、水平方向の主軸22を備えた横型のM/C20の近傍に、プローブ44が装着されるスピンドル42が水平方向に移動自在とされた、やはり横型のCMM40を配設し、前記M/C20による加工後の待機位置にあるワーク10に、前記CMM40のプローブ44を接近させて、ワーク10の形状を測定するようにしたマシニングセンタ組込型3次元測定機において、旋回式APC30のベース34をM/C20のベース26から分離すると共に、該ベース34をボルトによりCMM40のベース46と締結して一体化したものである。
【0013】
このようにして、CMM40と測定時にワーク10が設置されるAPC30を一体とし、M/C20から分離することによって、M/C20が動作中に発生する、加工時やツール交換等による振動が、直接ワーク10に伝わるのを防ぐことができる。更に、CMM40とAPC30が一体化されているので、CMM40とワーク10の相対変位を除去することができ、精度向上を図ることができる。
【0014】
本実施形態においては、APC30のベース34とCMM40のベース46とをボルトにより一体化しているので、一体化が容易である。なお、APCのベース34とCMMのベース46を、初めから一体化した部品としたり、あるいは、APCのベース34ではなく、測定用割出し機構36のみをCMMのベース46と一体化することも可能である。
【0015】
又、本実施形態においては、加工時のツール24に対するワーク10の動きと、プローブ44の動きが、いずれも同じ水平方向であるため、特に高精度な測定が可能であり、配置も容易である。なお、M/CやCMMの形式は横型に限定されない。
【0016】
なお、前記実施形態においては、APC30の旋回軸33よりM/C20側でAPCのベース34とM/Cのベース26を分離していたが、例えば図1中に破線で示す如く、旋回軸33より手前でM/Cのベース26から分離することも可能である。
【0017】
又、前記実施形態においては、APC30が旋回式の2面APCとされていたが、加工位置と2つの待機位置が中心角120°で配置された旋回式の3面APCや、旋回式以外の他の方法で加工位置と待機位置を交換するようにしたAPCを備えた、M/C以外の工作機械にも、本発明は同様に適用可能である。
【0018】
次に、図2に示すような、多数のM/C20とCMM40が並置され、ガントリローダ50等の搬送装置によってワーク10を搬送するようにした加工ラインに適用した比較例を詳細に説明する。
【0019】
比較例においては、図3(斜視図)及び図4(断面図)に示す如く、前記CMM40が配置された床面60の周囲を掘り下げ、例えば砂利62の上に配置したコンクリートベース64を、通常の床面60との間に隙間を設けて配置することによって縁切りして、他の床面から分離すると共に、CMM40のベース46とワーク設置部である定盤48を、例えばボルトにより締結して一体化したものである。
【0020】
このようにして、M/C20だけからでなく、ガントリローダ50等の搬送装置から発生する振動が、支柱53等を介してCMM40に伝わるのを防ぐことができ、前記実施形態と同様にして、計測精度を向上することができる。
【0021】
比較例においては、図4に示した如く、通常の床面60との間に隙間を設けて配置したコンクリートベース64によって縁切りしているので、縁切りが容易である。なお、縁切りの方法は、これに限定されず、例えば、発泡スチロール等を用いて、振動を吸収することも可能である。
【0022】
又、本比較例においては、計測精度が問題となるCMM40の直近のみを他の部分から縁切りしているので、縁切りする面積が小さくて良く、工作が容易である。なお、逆にM/Cのベースや、ガントリローダを支える支柱53等を縁切りして、振動が通常の床面60自体に伝播しないように構成することも可能である。
【0023】
搬送装置もガントリロータに限定されず、例えば、コンベアであっても良い。
【0024】
なお、前記実施形態において、本発明が横型の3次元測定機に適用されていたが、本発明の適用対象はこれに限定されず、プローブが上下方向に移動するようにされた縦型の3次元測定機や、Y軸又はX軸が固定され、ワークの移動を利用して3次元形状を測定する座標測定機や、所定位置における2次元的な断面形状のみを測定する2次元座標測定機にも、同様に適用できることは明らかである。
【0025】
【発明の効果】
本発明によれば、工作機械が発生する振動が座標測定機に伝わるのを防止することができ、且つ、ワークと座標測定機の相対変位を零とすることができるので、座標測定機を工作機械に組み込んだ場合であっても、振動の影響を受けることなく、安定した高精度の測定を行うことが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の実施形態の構成を示す斜視図
【図2】比較例の全体構成を示す平面図
【図3】同じく斜視図
【図4】同じく要部断面を含む立面図
【図5】出願人が特開平11−325869で提案したマシニングセンタ組み込み型3次元座標測定機のマシニングセンタ部分の構成を示す斜視図
【図6】同じく全体構成を示す斜視図
【図7】3次元座標測定機が配設された加工ラインの例を示す平面図
【図8】同じく立面図
【符号の説明】
10…ワーク
12…パレット
20…マシニングセンタ(M/C)
22…主軸
24…ツール
26、34、46…ベース
30…旋回式オートパレットチェンジャ(APC)
32…旋回プレート
40…3次元(座標)測定機(CMM)
42…スピンドル
44…プローブ
48…定盤
50…ガントリローダ(搬送装置)
53…支柱
60…床面
64…コンクリートベース

Claims (1)

  1. 工作機械で加工するための加工位置部と工作機械の出側に設けられた待機位置部の間でワークを交換するためのオートパレットチェンジャと、
    オートパレットチェンジャの待機位置部にあるワークにプローブを接近させて、形状や寸法を測定する座標測定機とを備えたワーク形状測定システムであって、
    前記オートパレットチェンジャのベースを工作機械のベースから分離すると共に、座標測定機のベースと一体化したことを特徴とするワーク形状測定システム。
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