JP4268841B2 - 工作機械 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、垂直に向けて配置された主軸とワークとをX軸,Y軸,Z軸方向に相対移動させつつ上記ワークを加工するようにした工作機械に関する。
【0002】
【従来の技術】
X軸,Y軸方向に移動するテーブルとZ軸方向に移動する主軸とでワークの加工を行なうようにした立形マシニングセンタでは、例えば、図7に示すように、機械正面から見て、固定ベッド60の後端部にコラム61を配置固定するとともに、前部にワークWが載置されるサドル62をY軸(前後方向)方向に移動可能に配設し、該サドル62上にテーブル63をX軸(左右方向)方向に移動可能に配設し、上記コラム61の前面に主軸64が装着された主軸頭65をZ軸(上下方向)方向に移動可能に配設した構造が一般的である。
【0003】
この種の立形マシニングセンタでは、サドル62のY軸方向のストロークを確保するために、従来、主軸頭65をコラム61からY軸ストローク分だけ前方にオーバハングさせる構造を採用する場合がある(例えば、特許文献1参照)。
【0004】
【特許文献1】
特開昭63−62636号公報
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、上記従来のように、主軸頭をコラムからY軸ストローク分だけオーバハングさせる構造を採用した場合には、特に主軸頭の加減速時にコラムに発生する曲げモーメントが大きくなることから主軸頭の許容加減速値、ひいては送り速度に限界があり、生産性の向上を図る上での改善が要請されている。
【0006】
また上記オーバハングさせる分だけ加工精度に影響を及ぼすおそれがあり、このため主軸頭を支持するコラムの剛性を高める必要があり、構造物の重量が増大するという問題がある。
【0007】
本発明は、上記従来の状況に鑑みてなされたもので、主軸頭の送り速度を高めることができるとともに、コラムの必要な剛性を確保しつつ重量を低減できる工作機械を提供することを目的としている。
【0008】
【課題を解決するための手段】
請求項1の発明は、ベッド上にサドルを機械正面から見て前後(Y軸)方向に移動可能に配置し、該サドル上にテーブルを左右(X軸)方向に移動可能に配置し、コラムを上記テーブルの移動範囲を跨ぐように配置された左,右脚部の上部同士を梁部で接続してなる門形状とし、該左,右脚部を上記ベッド上に配置固定し、上記梁部の前面に主軸を支持する主軸頭を上下(Z軸)方向に移動可能に配設し、上記コラムの梁部は、左,右脚部より機械背面側に偏位しており、機械側面から見て上記主軸頭の軸線は上記脚部の中心と略重なっていることを特徴とする工作機械である。
【0010】
請求項2の発明は、 請求項1において、上記コラムの梁部は、上記ベッド上方のY軸方向略中央部に位置していることを特徴としている。
【0011】
請求項3の発明は、請求項1又は2において、上記コラムの左,右脚部は、上部ほど上記主軸側に位置するように傾斜していることを特徴としている。
【0012】
請求項4発明は、請求項1ないし3の何れかにおいて、上記ベッドは、上記左,右脚部が載置固定される縦壁を有し、該縦壁には左右方向外側にへこむ凹部が形成され、該凹部内に上記テーブルをX軸方向に案内するX軸ガイドレールの端部が位置していることを特徴としている。
【0013】
【発明の作用効果】
請求項1の発明では、コラムを左,右脚部の上部同士を梁部で接続してなる門形状とし、該コラムをテーブルの移動範囲を跨ぐようにベッドに配置したので、コラムの下方にてテーブルのX軸,Y軸方向移動が可能となり、主軸頭をオーバハングさせることなく、もしくはオーバーハングを最小限に抑えてコラムに配置することが可能となる。その結果、主軸頭の許容加減速値、ひいては送り速度を高めることができ、加工時間を短縮できる分だけ生産性を向上できる。
【0014】
また主軸頭のオーバハング量を最小限に抑えることができるので、加工精度への影響を回避でき、また必要以上にコラムの剛性を高める必要がなく、構造物の重量を低減できる。
【0015】
また、コラムの梁部を左,右脚部より機械背面側に偏位させ、主軸頭の軸線を脚部の中心と略重なるようにしたので、主軸頭の左,右脚部に対するオーバハングを最小限にでき、もしくはなくすことができ、主軸頭の許容加減速値、ひいては送り速度をさらに高めることができる。
【0016】
請求項2の発明では、梁部をベッド上方のY軸方向略中央部に位置させたので、ベッドのY軸方向寸法をテーブルのY軸ストローク量と概ね同一に設定することができ、従来のベッドの後端部にコラムを配置する場合に比べて機械全体をコンパクトにできる。
【0017】
請求項3の発明では、左,右脚部を上部ほど主軸側に位置するように傾斜させたので、梁部のX軸方向長さを短くすることができ、コラム全体の剛性を高めることができるとともに、コンパクトにできる。
【0018】
請求項4の発明では、X軸ガイドレールの端部をベッドの縦壁の凹部内に位置するように配置したので、テーブルのX軸方向の移動量を確保しつつ機械本体の機械幅寸法の拡大を抑えることができる。
【0019】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の実施の形態を添付図面に基づいて説明する。
【0020】
図1ないし図6は、本発明の一実施形態による立形マシニングセンタ(工作機械)を説明するための図であり、図1〜図6はそれぞれ工具交換装置,パレット交換装置及び切り屑処理装置を搭載した立形マシニングセンタの正面図,右側面図,平面図,背面斜視図,背面図、左側面図である。
【0021】
図において、1は立形マシニングセンタを示しており、これは機械正面から見て、固定ベッド2上の前後方向略中央部に門形状のコラム3を配置固定するとともに、該コラム3の下方にサドル4をY軸(前後)方向に移動可能に配置し、該サドル4上にテーブル5をX軸(左右)方向に移動可能に配置し、さらに上記コラム3の前面に主軸頭6をZ軸(上下)方向に移動可能に配置した構成となっている。この主軸頭6の下端部には主軸7が回転自在に支持されており、該主軸7には工具Tが着脱可能に装着されている。
【0022】
上記立形マシニングセンタ1では、テーブル5に載置されたワーク(不図示)をX軸,Y軸方向に、主軸7をZ軸方向にそれぞれ相対移動させつつ上記工具Tによりワークの切削加工を行なうように構成されている。
【0023】
上記コラム3の背面側には、主軸7に装着された加工済み工具Tと、工具マガジン11に装着された次工程工具T1とを交換アーム26により上記コラム3下方の開口Aを介して自動的に交換する工具交換装置10が搭載されている。
【0024】
また上記固定ベッド2のコラム3の下方には、加工済みワークが載置された前工程パレットP1と、次加工ワークが載置された次工程パレットP2とを旋回軸37を介して自動的に交換するワーク交換装置12が搭載されており、さらに固定ベッド2の底部には、ワーク加工部に供給された切削液を回収するとともに、ワーク加工により発生した切り屑を機外に排出するコンベア47及びクーラントタンク48を備えた切り屑処理装置13が搭載されている。
【0025】
上記固定ベッド2は、左,右の縦壁2a,2aと、該左,右の縦壁2aの内側に段付き状に形成されたサドル支持部2b,2bと、該左,右のサドル支持部2bから段落ち状に形成された略平坦な有底凹部2cとを備えている。この有底凹部2cはベッド2のX軸方向中央部に位置し、かつ背面側及び上側が開放されている。上記固定ベッド2背面の左,右の縦壁2a同士はクロス部材8で結合されている。
【0026】
上記左,右のサドル支持部2bの内側縁部にはサドル4をY軸方向に案内支持する左,右のY軸ガイドレール15が配置されている。この各Y軸ガイドレール15は、上記サドル支持部2bに固定されたレール15aと、上記サドル4の下面に固定されたガイド15bとを摺動自在に係合させた構造となっている。
【0027】
また上記左,右のサドル支持部2bの各Y軸ガイドレール15の外側にはサドル4をY軸方向に移動駆動する左,右のY軸ボールねじ16,16が回転自在に配置固定されており、各Y軸ボールねじ16の前端部には該ボールねじ16を回転駆動するY軸駆動モータ17,17が接続されている。
【0028】
上記サドル4の上面にはテーブル5をX軸方向に案内支持する前後一対のX軸ガイドレール18,18が配置されている。この各X軸ガイドレール18は、上記サドル4に固定されたレール18aと、上記テーブル5の下面に固定されたガイド18bとを摺動自在に係合させた構造となっている。
【0029】
また上記サドル4の上面の前,後X軸ガイドレール18の間にはテーブル5をX軸方向に移動駆動する1本のX軸ボールねじ19が回転自在に配置固定されており、該X軸ボールねじ19の左側端部には該ボールねじ19を回転駆動するX軸駆動モータ20が接続されている。
【0030】
上記コラム3の前面には、主軸頭6をZ軸方向に案内支持する左,右一対のZ軸ガイドレール21,21が配置されている。この各Z軸ガイドレール21は、上記主軸頭6の背面に固定されたレール21aと、上記コラム3の前面に固定されたガイド21bとを摺動自在に係合させた構造となっている。
【0031】
上記コラム3の前面の各Z軸ガイドレール21の外側には主軸頭6をZ軸方向に移動駆動する左,右のZ軸ボールねじ22,22が回転自在に配置固定されており、各Z軸ボールねじ22の上端部には該ボールねじ22を回転駆動するZ軸駆動モータ23,23が接続されている。
【0032】
上記主軸頭6には左,右に延びる腕部6a,6aが形成されており、該左,右の腕部6aには上記Z軸ボールねじ22に係合するナット22aが装着されている。
【0033】
上記コラム3は、鋳造により一体形成されたものであり、機械正面から見て、テーブル5のX軸,Y軸の移動範囲を跨ぐように配置された左,右の脚部3a,3aと、該各脚部3aの上部同士を一体に接続する梁部3bとを有する門形をなしており、この左,右の脚部3aは固定ベッド2の左,右縦壁2aの上面に載置固定されている。これによりコラム3の下方にはY軸方向に開放され、かつX軸方向に幅広の開口Aが形成されている。
【0034】
上記左,右の脚部3aは、機械正面から見て、該脚部3aの上部3dほど主軸頭6側に位置するように傾斜しており、該主軸頭6側ほど上下寸法が大きくなるように概ね三角形状をなしている。また梁部3bはこれの上縁と開口下縁が略平行となるように四角形状に形成されている。
【0035】
上記コラム3は、機械平面から見て、梁部3bが左,右脚部3a,3aより機械背面側に偏位するように大略弓形状をなすように形成されており、該梁部3bの前面3b′は左,右脚部3aの前後方向中心を通る脚部中心線C1と略一致している。また上記梁部3bは固定ベッド2のY軸方向中央に位置しており、左,右脚部3aは前側に位置している。上記梁部3bの前面3b′には上記主軸頭6及び左,右のZ軸ボールねじ22を収納する収納凹部3cが形成されている。
【0036】
上記ベッド2の左,右縦壁2aには機械左右方向外側にへこむ側壁凹部2dが形成されている。この左,右の側壁凹部2d内に上記各X軸ガイドレール18の端部18cが位置するように挿入配置されている。
【0037】
本実施形態によれば、コラム3を左,右脚部3a,3aの上部同士を梁部3bで接続してなる門形状とし、該コラム3をテーブル5の移動範囲を跨ぐように固定ベッド2の左,右縦壁2a,2aの上面に配置固定したので、コラム3下方の開口Aにてテーブル5のX軸,Y軸方向移動が可能となり、主軸頭6をオーバハングさせることなくコラム3に配置することが可能となる。その結果、主軸頭6のZ軸方向送り時の許容加減速値を高めることができ、従ってそれだけ送り速度を高めて加工時間を短縮でき、その結果生産性を向上できる。
【0038】
また上記主軸頭6のオーバハングをなくすことができるので、加工精度への影響を回避でき、また必要以上にコラム3の剛性を高める必要がなく、コスト,重量を低減できる。
【0039】
本実施形態では、上記コラム3の梁部3bを固定ベッド2のY軸方向中央部に位置させたので、固定ベッド2のY軸方向寸法をテーブル5のY軸ストローク量と概ね同じに設定することができ、従来のベッドの後端部にコラムを配置する場合に比べて機械全体をコンパクトにできる。
【0040】
本実施形態では、上記コラム3の梁部3bの前面3b′が左,右脚部3a,3aの脚部中心線C1と略一致するように機械背面側に偏位させ、主軸頭6の軸線が脚部3aの中心線C1と略重なるようにしたので、主軸頭6の左,右脚部3aに対するオーバハングをゼロにすることができ、主軸頭6の許容加減速値ひいては送り速度をより一層高めることができる。
【0041】
また、上記左,右脚部3aの上部3dを上側ほど主軸頭6側に位置するように傾斜させたので、梁部3bのX軸方向長さを短くすることができ、コラム全体の剛性を高めることができるとともに、コンパクトにできる。
【0042】
本実施形態では、X軸ガイドレール18のレール18aの両端部18cを固定ベッド2の縦壁2aの凹部2d内に位置するように挿入配置したので、テーブル5のX軸方向の移動量を確保しつつ機械本体の機械幅寸法の拡大を抑えることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の一実施形態による立形マシニングセンタを説明するための正面図である。
【図2】上記立形マシニングセンタの右側面図である。
【図3】上記立形マシニングセンタの平面図である。
【図4】上記立形マシニングセンタの背面斜視図である。
【図5】上記立形マシニングセンタの背面図である。
【図6】上記立形マシニングセンタの左側面図である。
【図7】従来の一般的な立形マシニングセンタの概略図である。
【符号の説明】
1 立形マシニングセンタ(工作機械)
2 固定ベッド
2a 縦壁
2d 凹部
3 コラム
3a 脚部
3b 梁部
3d 上部
4 サドル
5 テーブル
6 主軸頭
7 主軸
18 X軸ガイドレール
18c 端部
Claims (4)
- ベッド上にサドルを機械正面から見て前後(Y軸)方向に移動可能に配置し、該サドル上にテーブルを左右(X軸)方向に移動可能に配置し、コラムを上記テーブルの移動範囲を跨ぐように配置された左,右脚部の上部同士を梁部で接続してなる門形状とし、該左,右脚部を上記ベッド上に配置固定し、上記梁部の前面に主軸を支持する主軸頭を上下(Z軸)方向に移動可能に配設し、
上記コラムの梁部は、左,右脚部より機械背面側に偏位しており、機械側面から見て上記主軸頭の軸線は上記脚部の中心と略重なっていることを特徴とする工作機械。 - 請求項1において、上記コラムの梁部は、上記ベッド上方のY軸方向略中央部に位置していることを特徴とする工作機械。
- 請求項1又は2において、機械正面から見て、上記コラムの左,右脚部は、上部ほど上記主軸側に位置するように傾斜していることを特徴とする工作機械。
- 請求項1ないし3の何れかにおいて、上記ベッドは、上記左,右脚部が載置固定される縦壁を有し、該縦壁には左右方向外側にへこむ凹部が形成され、該凹部内に上記テーブルをX軸方向に案内するX軸ガイドレールの端部が位置していることを特徴とする工作機械。
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