JP4477072B2 - 回転電機 - Google Patents

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Description

この発明は、車両用交流発電機などの回転電機に関し、特にランデル型の回転子における永久磁石の固定構造に関するものである。
ランデル型の回転子を用いる車両用交流発電機は、数十年にわたって自動車に使用されてきた。そして、近年の環境問題から車載される電装品の負荷が急増しており、ランデル型の回転子の発電量のより一層の増加が求められている。従来の設計範囲でこの要求に対応しようとすると、交流発電機が大型化する。そして、交流発電機の大型化は、重量および設置スペースを増大させる。
従来、このような課題を解決するために、永久磁石をストラップにより継鉄部に設けられた取り付け表面に保持するようにした回転子アッセンブリが提案されている(例えば、特許文献1参照)。
特開2004−153994号公報
従来の回転子アッセンブリでは、ストラップの締着力により永久磁石を継鉄部の取り付け表面に保持しているので、回転子の回転時に、遠心力が永久磁石にストラップの締着力を緩める方向に作用する。そこで、ストラップによる永久磁石の締着力が緩み、エンジンなどの振動により永久磁石ががたつき、騒音を発生するという課題があった。
ここで、接着剤を用いて永久磁石をストラップや継鉄部の取り付け表面に固着して、永久磁石のガタツキを抑えることが考えられる。しかし、永久磁石がストラップにより取り付け表面に保持されている状態では、接着剤をストラップと永久磁石との間、および永久磁石と取り付け表面との間に注入できない。そこで、永久磁石を取り付け表面に保持するに先立って、接着剤を永久磁石やストラップに塗布することになり、着磁された永久磁石やストラップのハンドリングが問題となり、量産性を低下させることになる。
この発明は、このような課題を解決するためになされたものであって、樹脂材による永久磁石の固定が簡易に行え、量産性を高めることができるとともに、永久磁石のガタツキに起因する騒音の発生を抑制できる回転電機を得ることを目的とする。
この発明による回転電機は、ボス部、該ボス部の軸方向両端縁部から径方向外方に延設された一対の継鉄部、および該一対の継鉄部のそれぞれから交互に軸方向に延設され、噛み合って周方向に配列された複数の爪状磁極部を有し、上記ボス部の軸心位置に挿通された回転軸に固着されたポールコアと、上記ボス部、上記一対の継鉄部、および上記複数の爪状磁極部に囲まれた空間内に収納された界磁コイルと、を有する回転子と、上記回転子の外周を所定のエアギャップを介して囲繞して配設された固定子と、を備えている。さらに、回転電機は、上記一対の継鉄部の周方向に隣り合う上記爪状磁極部間に保持され、嵌合溝が軸方向に貫通して上面に凹設された磁石保持具と、上記嵌合溝に嵌合されて上記爪状磁極部の先端側内周面と相対するように上記磁石保持具に取り付けられた永久磁石と、基部および該基部の相対する二辺から延設された一対の翼部を有し、該基部により上記永久磁石の上面を覆い、かつ該一対の翼部を該永久磁石の周方向両側面に沿わせて装着され、該一対の翼部の先端側を該永久磁石と上記嵌合溝との間に嵌め込まれて上記磁石保持具に取り付けられた磁石カバーと、上記永久磁石、上記磁石カバーおよび上記嵌合溝により画成される接着空間に充填されて該永久磁石および該磁石カバーを上記磁石保持具に固着する樹脂材と、上記磁石保持具の外部と上記接着空間とを連通するように該磁石保持具に形成された樹脂注入穴と、を有する。
この発明によれば、樹脂注入穴が、永久磁石、磁石カバーおよび嵌合溝により画成される接着空間と磁石保持具の外部とを連通するように形成されているので、永久磁石および磁石カバーを磁石保持具に組み込んだ後、樹脂材を樹脂注入穴から注入して接着空間に充填できる。そこで、永久磁石および樹脂カバーを磁石保持具に組み込む工程に先立って樹脂材を永久磁石や樹脂カバーに塗布する必要がなく、永久磁石や樹脂カバーのハンドリングが容易となり、量産性を高めることができる。また、樹脂材が樹脂注入穴を介して接着空間に十分に充填できるので、磁石保持具に対する永久磁石および磁石カバーの固着力が高くなり、永久磁石のガタツキに起因する騒音の発生が抑制される。
実施の形態1.
図1はこの発明の実施の形態1に係る車両用交流発電機を模式的に示す断面図、図2はこの発明の実施の形態1に係る車両用交流発電機に適用される回転子を示す斜視図、図3はこの発明の実施の形態1に係る車両用交流発電機における永久磁石の磁石保持具への実装状態を示す斜視図、図4はこの発明の実施の形態1に係る車両用交流発電機における永久磁石の磁石保持具への実装状態を示す断面図、図5はこの発明の実施の形態1に係る車両用交流発電機に適用される磁石保持具を示す斜視図である。
図1乃至図5において、車両用交流発電機1は、それぞれ略椀形状のアルミ製のフロントブラケット2とリヤブラケット3とからなるケース4と、回転軸16をケース4に軸受5を介して支持されて、ケース4内に回転自在に配設された回転子13と、ケース4のフロント側に延出する回転軸16の端部に固着されたプーリ6と、回転子13の軸方向(以下、軸方向という)の両端面に固定されたファン7と、回転子13に対して一定のエアギャップ29を有して、回転子13の外周を囲繞してケース4に固定された固定子10と、回転軸16のリヤ側に固定され、回転子13に電流を供給する一対のスリップリング8と、各スリップリング8に摺動するようにケース4内に配設された一対のブラシ9と、を備えている。なお、図示していないが、固定子10で生じた交流を直流に整流する整流器、固定子10で生じた交流電圧の大きさを調整する電圧調整器などがケース4内に配設されている。
固定子10は、円筒状の固定子鉄心11と、固定子鉄心11に巻装され、回転子13の回転に伴い、後述する界磁コイル14からの磁束の変化で交流が生じる固定子コイル12と、を備えている。
回転子13は、励磁電流が流されて磁束を発生する界磁コイル14と、界磁コイル14を覆うように設けられ、その磁束によって磁極が形成されるポールコア15と、ポールコア15の軸心位置に貫装された回転軸16と、を備えている。
ポールコア15は、それぞれ例えばS10Cなどの低炭素鋼で冷間鍛造製法により作製された第1および第2ポールコア体17,21に分割構成されている。
第1ポールコア体17は、外周面を円筒形状とし、回転軸挿通穴18aが軸心位置を貫通して形成された第1ボス部18と、第1ボス部18の一端縁部から径方向外側に延設された厚肉リング状の第1継鉄部19と、第1継鉄部19の外周部から軸方向他端側に延設された第1爪状磁極部20とを有している。第1爪状磁極部20は、その最外径面形状を略台形形状とし、周方向幅が先端側に向かって徐々に狭くなり、かつ、径方向厚みが先端側に向かって徐々に薄くなる先細り形状に形成され、第1継鉄部19の外周部に周方向に等角ピッチで例えば8つ配列されている。さらに、第1谷部25が第1継鉄部19の各隣り合う第1爪状磁極部20間に位置する部位に、例えば内径側に向かって凸状に湾曲したU字状に凹設されている。
第2ポールコア体21は、外周面を円筒形状とし、回転軸挿通穴22aが軸心位置を貫通して形成された第2ボス部22と、第2ボス部22の他端縁部から径方向外側に延設された厚肉リング状の第2継鉄部23と、第2継鉄部23の外周部から軸方向一端側に延設された第2爪状磁極部24とを有している。第2爪状磁極部24は、その最外径面形状を略台形形状とし、周方向幅が先端側に向かって徐々に狭くなり、かつ、径方向厚みが先端側に向かって徐々に薄くなる先細り形状に形成され、第2継鉄部23の外周部に周方向に等角ピッチで例えば8つ配列されている。さらに、第2谷部26が第2継鉄部23の各隣り合う第1爪状磁極部24間に位置する部位に、例えば内径側に向かって凸状に湾曲したU字状に凹設されている。
このように構成された第1および第2ポールコア体17,21は、第1および第2爪状磁極部20,24を交互に噛み合わせ、かつ、第1ボス部18の他端面を第2ボス部22の一端面に突き合わせ、回転軸挿通穴18a,22aに貫装された回転軸16に固着されている。そして、ボビン(図示せず)に巻装された界磁コイル14が、第1および第2ボス部18,22、第1および第2継鉄部19,23および第1および第2爪状磁極部20,24に囲まれた空間に装着されている。ここで、第1および第2ボス部18,22および第1および第2継鉄部19,23が、それぞれポールコア15のボス部および一対の継鉄部に相当する。また、軸方向において、第1および第2爪状磁極部20,24の先端側がそれぞれ第2および第1継鉄部23,19と重なっている。
第1磁石保持具30は、鉄、鉄系磁性合金などの磁性材を用いて所定厚みを有する断面台形に作製されている。そして、溝方向を第1磁石保持具30の厚み方向とする第1嵌合溝31が第1磁石保持具30の上面に開口するように凹設されている。ここで、第1磁石保持具30の上下面および第1嵌合溝31の底面が互いに平行な平坦面となっている。そして、第1嵌合溝31は、その溝幅が開口に向かって漸次狭くなる楔状に形成されている。また、樹脂溜まり溝32aが第1嵌合溝31の底面の幅方向両側に、所定深さで、かつ所定幅で、第1磁石保持具30の厚み方向の全域にわたって延設されている。さらに、樹脂溜まり溝32bが第1嵌合溝31の両側面の底面側に、所定深さで、かつ所定幅で第1磁石保持具30の厚み方向の全域にわたって延設されている。そして、第1樹脂注入穴33が、穴方向を第1磁石保持具30の厚み方向として、樹脂溜まり溝32a,32bを厚み方向の全域にわたって連通するように、第1磁石保持具30に穿設されている。
第1永久磁石35は、第1嵌合溝31の内形形状より僅かに小さい外形形状で、厚み方向と直交する平面における断面が台形で、第1磁石保持具30と同等の厚みに作製され、その上下面が互いに平行な平坦面となっている。
第1磁石カバー36は、矩形平板状の基部36aと、基部36aの対向する二辺から延設された翼部36bとから構成されている。基部36aは第1永久磁石35の上面の形状に略一致し、翼部36bは第1永久磁石35の断面台形の傾斜面の形状に略一致している。この第1磁石カバー36は、基部36aを第1永久磁石35の上面に載せ、一対の翼部36bを第1永久磁石35の断面台形の各傾斜面に沿わせて第1永久磁石35に装着される。そして、第1永久磁石35は、厚み方向を第1磁石保持具30の厚み方向に一致させて下端部側を第1嵌合溝31に嵌着される。この時、一対の翼部36bが、それぞれ第1嵌合溝31の側面と第1永久磁石35の傾斜面との間に嵌め込まれ、第1永久磁石35が第1磁石保持具30に保持される。
ここで、樹脂溜まり溝32a,32bが第1永久磁石35の下面と翼部36bの外面と第1嵌合溝31とで画成される接着空間を構成する。そして、例えばエポキシ樹脂などの樹脂材50が第1樹脂注入穴33に注入され、樹脂溜まり溝32a,32b内に充填される。樹脂溜まり溝32a,32b内に充填された樹脂材50が硬化され、第1永久磁石35および第1磁石カバー36が第1磁石保持具30に固着される。そして、第1嵌合溝31の底面と第1永久磁石35の下面とが密接、あるいは微小な隙間を持って相対し、第1磁石保持具30と第1永久磁石35とが磁気的に接続されている。また、第1永久磁石35は第1磁石カバー36により覆われている。
第2磁石保持具40は、第1磁石保持具30と同じ材質を用いて同じ形状に作製されている。第2嵌合溝41、樹脂溜まり溝42a,42bおよび第2樹脂注入穴43が第1嵌合溝31、樹脂溜まり溝32a,32bおよび第1樹脂注入穴33と同様に、第2磁石保持具40に形成されている。第2永久磁石45は、第1永久磁石35と同じ材質を用いて同じ形状に作製されている。第2磁石カバー46は、第1磁石カバー36と同じ材質を用いて同じ形状に作製されている。第2永久磁石45は、第2磁石カバー36が装着されて、厚み方向を第2磁石保持具40の厚み方向に一致させて下端部側を第2嵌合溝41に嵌着される。この時、一対の翼部46bが、それぞれ第2嵌合溝41の側面と第2永久磁石45の傾斜面との間に嵌め込まれ、第2永久磁石45が第2磁石保持具40に保持される。
ここで、樹脂溜まり溝42a,42bが第2永久磁石45の下面と翼部46bの外面と第2嵌合溝41とで画成される接着空間を構成する。そして、例えばエポキシ樹脂などの樹脂材50が第2樹脂注入穴43に注入され、樹脂溜まり溝42a,42b内に充填される。樹脂溜まり溝42a,42b内に充填された樹脂材50が硬化され、第2永久磁石45および第2磁石カバー46が第2磁石保持具40に固着される。そして、第2嵌合溝41の底面と第2永久磁石45の下面とが密接、あるいは微小な隙間を持って相対し、第2磁石保持具40と第2永久磁石45とが磁気的に接続されている。また、第2永久磁石45は第2磁石カバー46により覆われている。
第1保持溝27が、第1ポールコア体17の各第1爪状磁極部20の根元側で、各第1谷部25の内壁面の上部側の相対する部位のそれぞれに開口し、かつ溝方向を軸方向として第1継鉄部19の一端から他端側に向かって凹設されている。同様に、第2保持溝28が、第2ポールコア体21の各第2爪状磁極部24の根元側で、各第2谷部26の内壁面の上部側の相対する部位のそれぞれに開口し、かつ溝方向を軸方向として第2継鉄部23の他端から一端側に向かって凹設されている。ここで、第1および第2保持溝27,28は、ブローチ加工やエンドミル加工などにより、第1および第2磁石保持具30,40の両側部が嵌着される溝形状に形成されている。
第1磁石保持具30が、第1永久磁石35を上方に向けて、軸方向外側から相対する第1保持溝27に圧入され、必要に応じて接着剤を塗布されて、各第1谷部25の上に架設された状態で磁気的に接続されて第1ポールコア体17に取り付けられる。このとき、第1磁石保持具30および第1永久磁石35の厚み方向が軸方向に一致している。また、第1永久磁石35の上面を覆う第1磁石カバー36の基部36aが第2爪状磁極部24の先端側内周面と所定の隙間をあけて対向している。
第2磁石保持具40が、第2永久磁石45を上方に向けて、軸方向外側から相対する第2保持溝28に圧入され、必要に応じて接着剤を塗布し、各第2谷部26の上に架設された状態で磁気的に接続されて第2ポールコア体21に取り付けられる。このとき、第2磁石保持具40および第2永久磁石45の厚み方向が軸方向に一致している。また、第2永久磁石45の上面を覆う第2磁石カバー46の基部46aが第1爪状磁極部20の先端側内周面と所定の隙間をあけて対向している。
また、第1および第2永久磁石35,45は、図1に示されるように、界磁コイル14に通電されて発生する磁界51の向きと逆向きに着磁配向される。そして、第1および第2永久磁石35,45の着磁方向52の延長線が、対向する第2および第1爪状磁極部24,20の先端側内周面に向かっている。なお、界磁コイル14を流れる界磁電流が作る磁界51の向きが反転した設計の場合には、第1および第2永久磁石35,45も逆向きに着磁配向される。
つぎに、このように構成された車両用交流発電機1の動作について説明する。
まず、電流がバッテリ(図示せず)からブラシ9およびスリップリング8を介して回転子13の界磁コイル14に供給され、磁束が発生される。この磁束により、第1ポールコア体17の第1爪状磁極部20がN極に磁化され、第2ポールコア体21の第2爪状磁極部24がS極に磁化される。
一方、エンジンの回転トルクがベルト(図示せず)およびプーリ6を介して回転軸16に伝達され、回転子13が回転される。そこで、回転磁界が固定子10の固定子コイル12に与えられ、起電力が固定子コイル12に発生する。この交流の起電力が、整流器で直流電流に整流され、バッテリが充電され、或いは電気負荷に供給される。
界磁コイル14に通電されて発生した磁束は、第1爪状磁極部20からエアギャップ29を通って固定子鉄心11のティース部に入る。固定子鉄心11に入った磁束は、固定子鉄心11のティース部からコアバック部を通って周方向に移動し、隣の第2爪状磁極部24に対向するティース部からエアギャップ29を通ってその第2爪状磁極部24に入る。ついで、第2爪状磁極部24に入った磁束は、第2継鉄部23、第2ボス部22、第1ボス部18、第1継鉄部19を通って第1爪状磁極部20に至る。ここで、従来のランデル型回転子では、第1および第2ポールコア体は限界設計されているので、界磁コイルの発生する磁界により磁気飽和し、回転子で発生する磁束が減少してしまう。
本回転子13では、第1および第2永久磁石35,45は、界磁コイル14の発生する磁界51の向きと反対となるように着磁配向されている。そこで、第1永久磁石35から発生する磁束は、第1磁石保持具30に入る。ここで、第1磁石保持具30の下方には、第1谷部25、即ち大きな空間が存在する。そこで、第1磁石保持具30に入った磁束は、第1磁石保持具30内を周方向の両側に流れて第1継鉄部19に入り、第1ボス部18、第2ボス部22、第2継鉄部23および第2爪状磁極部24を通り、空隙を介して第1永久磁石35に戻る。また、第2永久磁石45から発生する磁束は、空隙を介して第1爪状磁極部20に入り、第1継鉄部19、第1ボス部18、第2ボス部22を経て、第2継鉄部23に入る。第2継鉄部23に入った磁束は、第2継鉄部23の第2谷部26の両側を径方向外方に流れ、第2磁石保持具40の両端から第2磁石保持具40に入り、第2永久磁石45に戻る。
第1および第2永久磁石35,45の発生する磁束は、界磁コイル14の発生する磁束と逆向きとなり、第1および第2ポールコア体17,21を構成する磁性体の磁束密度を大幅に低減することができ、磁気飽和を解消することができる。
このように、本回転子13では、第1および第2永久磁石35,45の配置および着磁方向52を工夫することで、界磁コイル14の発生する磁界による第1および第2ポールコア体17,21の磁気飽和を緩和している。これにより、固定子10に鎖交する磁束が増加し、発電量を増加することができる。
また、第1および第2永久磁石35,45が第2および第1爪状磁極部24,20の先端側内周面に対向するように配設されているので、第1および第2永久磁石35,45の磁気回路が回転子13内部で閉じた磁気回路となる。そこで、第1および第2永久磁石35,45の発生する磁束のなかの固定子鉄心10に鎖交する磁束成分(漏れ磁束)が少なくなる。さらに、着磁方向52の延長線が、対向する第2および第1爪状磁極部24,20の先端側内周面に向かっているので、漏れ磁束が一層低減される。その結果、無負荷無励磁における第1および第2永久磁石35,45の誘起電圧の発生が抑制される。
この実施の形態1によれば、樹脂溜まり溝32a,42aが第1および第2嵌合溝31,41の底面の幅方向両側に、所定深さで、かつ所定幅で、第1および第2磁石保持具30,40の厚み方向の全域にわたって延設されている。樹脂溜まり溝32b,42bが第1および第2嵌合溝31,41の両側面の底面側に、所定深さで、かつ所定幅で第1および第2磁石保持具30,40の厚み方向の全域にわたって延設されている。そして、第1および第2樹脂注入穴33,43が、穴方向を第1および第2磁石保持具30,40の厚み方向として、樹脂溜まり溝32a,32b,42a,42bと厚み方向の全域にわたって接続するように、第1および第2磁石保持具30,40に穿設されている。
そこで、第1および第2磁石カバー36,46が装着された第1および第2永久磁石35,45が第1および第2嵌合溝31,41に嵌着されると、樹脂溜まり溝32a,32b,42a,42bが第1および第2嵌合溝31,41、第1および第2磁石カバー36,46、および第1および第2永久磁石35,45で画成された接着空間を構成する。この接着空間は所定の深さで第1および第2磁石保持具30,40の厚み方向の全域にわたって連なっている。さらに、第1および第2樹脂注入穴33,43が第1および第2磁石保持具30,40の厚み方向の全域にわたって接着空間に接続されている。
そこで、樹脂材50を第1および第2樹脂注入穴33,43に注入することで、十分な量の樹脂材50を接着空間内に隙間なく充填できる。この時、第1および第2磁石カバー36,46の翼部36b、46bの先端側外面が所定幅で、厚み方向の全域にわたって樹脂材50に接触している。同様に、第1および第2永久磁石35,45の下面が所定幅で、厚み方向の全域にわたって樹脂材50に接触している。これにより、第1および第2永久磁石35,45および第1および第2磁石カバー36,46が強固に第1および第2磁石保持具30,40に固着され、第1および第2永久磁石35,45のガタツキに起因する騒音の発生が抑制されるとともに、第1および第2永久磁石35,45の抜け落ちが防止される。また、第1および第2永久磁石35,45および第1および第2樹脂カバー36,46を第1および第2磁石保持具30,40に組み込む工程に先立って樹脂材50を第1および第2永久磁石35,45や第1および第2樹脂カバー36,46に塗布する必要がなく、第1および第2永久磁石35,45や第1および第2樹脂カバー36,46のハンドリングが容易となり、量産性を高めることができる。
さらに、第1および第2樹脂カバー36,46が第1および第2永久磁石35,45を覆っているので、第1および第2永久磁石35,45の損傷発生が抑制される。又、第1および第2永久磁石35,45が損傷しても、第1および第2永久磁石35,45の飛散が抑制される。
なお、第1および第2永久磁石35,45には、磁束密度の高いネオジウム・鉄・ボロン磁石やサマリウムコバルト磁石などの焼結された希土類磁石を用いることが好ましい。
また、第1および第2磁石カバー36,46は、第1および第2永久磁石35,45を保護する機能を果たせばよく、プラスチック、ステンレスなどの非磁性金属、軟鋼などの磁性金属などを用いることができる。
また、第1および第2磁石保持具30,40が第1および第2谷部25,26に架設されているものとしているが、第1および第2谷部がない場合には、第1および第2磁石保持具は第1および第2継鉄部の外周面に直接保持されていてもよい。
また、第1および第2樹脂注入穴33,43が穴方向を第1および第2磁石保持具30,40の厚み方向として第1および第2磁石保持具30,40に形成されているものとしているが、第1および第2樹脂注入穴の穴方向は第1および第2磁石保持具の厚み方向に限定されるものではなく、例えば、樹脂溜まり溝32a,32b(42a,42b)を少なくとも厚み方向の所定の領域にわたって接続するように形成し、第1樹脂注入穴(第2樹脂注入穴)を第1および第2磁石保持具の下面から樹脂溜まり溝32a,32b(42a,42b)の接続部に至るように形成してもよい。
また、第1および第2永久磁石35,45が所定厚みを有する断面台形に形成されているものとしているが、第1および第2永久磁石35,45は第1および第2磁石保持具30,40に嵌着、保持されていれば、その断面形状については特に限定されるものではない。同様に、第1および第2磁石保持具30,40が所定厚みを有する断面台形に形成されているものとしているが、第1および第2磁石保持具30,40は第1および第2保持溝27,28に嵌着、保持されていれば、その断面形状については特に限定されるものではない。
実施の形態2.
実施の形態2では、図6に示されるように、一対の保護辺36cが基部36aの相対する残る二辺から延設されている第1保護カバー36Aを用いている点を除いて、上記実施の形態1と同様に構成されている。なお、第2保護カバーも、第1保護カバーと同様に構成されているので、ここでは、第1永久磁石の固定構造についてのみ説明する。
実施の形態2では、第1磁石カバー36Aは、基部36aと、基部36aの相対する二辺から延設された一対の翼部36bと、基部36aの相対する残る二辺から延設された一対の保護辺36cと、を有する。第1磁石カバー36Aは、基部36aを第1永久磁石35の上面に載せ、一対の翼部36bを折り曲げて第1永久磁石35の断面台形の各傾斜面に沿わせ、一対の保護辺36cを折り曲げて第1永久磁石35の端面に沿わせて第1永久磁石35に装着される。そして、一対の翼部36bが、それぞれ第1嵌合溝31の側面と第1永久磁石35の傾斜面との間に嵌め込まれ、第1永久磁石35が第1磁石保持具30に保持される。さらに、樹脂材50が第1樹脂注入穴33から樹脂溜まり溝32a,32bに充填され、第1永久磁石35および第1磁石カバー36Aが第1磁石保持具30に固着されている。
従って、この実施の形態2においても、上記実施の形態1と同様の効果が得られる。
また、この実施の形態2によれば、第1永久磁石35の厚み方向の端面が第1磁石カバー36Aの保護辺36cにより覆われているので、第1永久磁石35の損傷発生および飛散が一層抑制される。
実施の形態3.
実施の形態3では、図7に示されるように、一対の翼部36dが基部36aの相対する二辺から第1永久磁石35の傾斜面の長さより短い長さに延設されている第1保護カバー36Bを用いている点を除いて、上記実施の形態1と同様に構成されている。なお、第2保護カバーも、第1保護カバーと同様に構成されているので、ここでは、第1永久磁石の固定構造についてのみ説明する。
実施の形態3では、第1磁石カバー36Bは、基部36aと、基部36aの相対する二辺から延設され、第1永久磁石35の傾斜面の長さより短い延出長さを有する一対の翼部36dと、を有する。第1磁石カバー36Bは、基部36aを第1永久磁石35の上面に載せ、一対の翼部36dを折り曲げて第1永久磁石35の断面台形の各傾斜面に沿わせて第1永久磁石35に装着される。そして、一対の翼部36dが、それぞれ第1嵌合溝31の側面と第1永久磁石35の傾斜面との間に嵌め込まれ、第1永久磁石35が第1磁石保持具30に保持される。この時、第1永久磁石35の傾斜面の下端側が翼部36dの先端から露出しており、この第1永久磁石35の露出部と樹脂溜まり溝32bとの間に空間53aが形成されている。この空間53aが樹脂溜まり溝32a,32bとともに接着空間を構成する。さらに、樹脂材50が第1樹脂注入穴33から接着空間に充填され、第1永久磁石35および第1磁石カバー36Bが第1磁石保持具30に固着されている。
従って、この実施の形態3においても、上記実施の形態1と同様の効果が得られる。
また、第1永久磁石35の傾斜面の翼部36bからの露出部が樹脂材50に接するので、第1永久磁石35の接着面積が増え、第1永久磁石35のガタツキが一層抑制される。
実施の形態4.
実施の形態4では、図8に示されるように、樹脂溜まり溝32bが省略され、樹脂溜まり溝32aのみが形成されている第1磁石保持具30Aを用いている点を除いて、上記実施の形態3と同様に構成されている。なお、第2磁石保持具も、第1磁石保持具と同様に構成されているので、ここでは、第1永久磁石の固定構造についてのみ説明する。
実施の形態4では、樹脂溜まり溝32aのみが第1磁石保持具30Aの第1嵌合溝31の底面に凹設されている。第1磁石カバー36Bが、基部36aを第1永久磁石35の上面に載せ、一対の翼部36dを折り曲げて第1永久磁石35の断面台形の各傾斜面に沿わせて第1永久磁石35に装着される。そして、一対の翼部36dが、それぞれ第1嵌合溝31の側面と第1永久磁石35の傾斜面との間に嵌め込まれ、第1永久磁石35が第1磁石保持具30Aに保持される。この時、第1永久磁石35の傾斜面の下端側が翼部36dの先端から露出しており、この第1永久磁石35の露出部と第1嵌合溝31の側面との間に空間53aが形成される。この空間53aと樹脂溜まり溝32aとにより接着空間が構成される。さらに、樹脂材50が第1樹脂注入穴33から樹脂溜まり溝32aと空間53aとに充填され、第1永久磁石35および第1磁石カバー36Bが第1磁石保持具30Aに固着されている。
従って、この実施の形態4においても、上記実施の形態3と同様の効果が得られる。
また、樹脂溜まり溝32bが省略されているので、その分第1磁石保持具30Aの製造コストが削減される。
実施の形態5.
実施の形態5では、図9に示されるように、一対の翼部36eが基部36aの相対する二辺から第1永久磁石35の傾斜面の長さより長い長さに延設されている第1保護カバー36Cを用い、樹脂溜まり溝32cが第1保護カバー36Cの厚み分深く形成されている第1磁石保持具30Bを用いている点を除いて、上記実施の形態1と同様に構成されている。なお、第2樹脂カバーおよび第2磁石保持具も、第1樹脂カバーおよび第1磁石保持具と同様に構成されているので、ここでは、第1永久磁石の固定構造についてのみ説明する。
実施の形態5では、第1磁石カバー36Cは、基部36aと、基部36aの相対する二辺から延設され、第1永久磁石35の傾斜面の長さより長い延出長さを有する一対の翼部36eと、を有する。樹脂溜まり溝32cおよび樹脂溜まり溝32bが第1磁石保持具30Bの第1嵌合溝31の底面および側面にそれぞれ凹設されている。そして、樹脂溜まり溝32cは、樹脂溜まり溝32aに対して、第1磁石カバー36Cの厚み分深く形成されている。第1磁石カバー36Cが、基部36aを第1永久磁石35の上面に載せ、一対の翼部36eを折り曲げて第1永久磁石35の断面台形の各傾斜面に沿わせ、さらに一対の翼部36eの先端側を折り曲げて第1永久磁石35の下面に沿わせて、第1永久磁石35に装着される。そして、一対の翼部36eが、それぞれ第1嵌合溝31の側面と第1永久磁石35の傾斜面との間に嵌め込まれ、第1永久磁石35が第1磁石保持具30Bに保持される。さらに、樹脂材50が第1樹脂注入穴33から樹脂溜まり溝32b,32cに充填され、第1永久磁石35および第1磁石カバー36Cが第1磁石保持具30Bに固着されている。
従って、この実施の形態5においても、上記実施の形態1と同様の効果が得られる。
また、第1磁石カバー36Cの翼部36eの先端側が第1永久磁石35の下面に沿うように曲げられているので、第1磁石カバー36Cの抜けが確実に阻止される。
実施の形態6.
実施の形態6では、図10に示されるように、樹脂溜まり溝32a,32bが省略され、第1樹脂注入穴55が、第1磁石保持具30Cの幅方向中央位置で、穴方向を第1磁石保持具30Cの厚み方向とし、かつ第1嵌合溝31の底面に厚み方向の全域にわたって開口するように、第1磁石保持具30Cに穿設されている点を除いて、上記実施の形態5と同様に構成されている。なお、第2磁石保持具も、第1磁石保持具と同様に構成されているので、ここでは、第1永久磁石の固定構造についてのみ説明する。
実施の形態6では、第1磁石カバー36Cが、基部36aを第1永久磁石35の上面に載せ、一対の翼部36eを折り曲げて第1永久磁石35の断面台形の各傾斜面に沿わせ、さらに一対の翼部36eの先端側を折り曲げて第1永久磁石35の下面に沿わせて、第1永久磁石35に装着される。そして、一対の翼部36eが、それぞれ第1嵌合溝31の側面および底面と第1永久磁石35の傾斜面および下面との間に嵌め込まれ、第1永久磁石35が第1磁石保持具30Cに保持される。この時、第1永久磁石35の下面と、第1磁石カバー36Cの翼部36eの先端面と、第1嵌合溝31の底面とで囲まれた隙間53bが接着空間を構成する。さらに、樹脂材50が第1樹脂注入穴55から隙間53bに充填され、第1永久磁石35および第1磁石カバー36Cが第1磁石保持具30Cに固着されている。
従って、この実施の形態6においても、上記実施の形態5と同様の効果が得られる。
また、この実施の形態6においては、樹脂溜まり溝32a,32bを形成する必要がなく、第1樹脂注入穴55も1個で済むので、磁石保持具の製造コスト化が図られるとともに、樹脂注入工程が簡素化され、量産性が向上される。
実施の形態7.
実施の形態7では、図11に示されるように、樹脂溜まり溝32dが、折り曲げられた翼部36eの先端側の外面に面するように、第1磁石保持具30Dの第1嵌合溝31の底面に凹設されている点を除いて、上記実施の形態6と同様に構成されている。なお、第2磁石保持具も、第1磁石保持具と同様に構成されているので、ここでは、第1永久磁石の固定構造についてのみ説明する。
実施の形態7では、第1磁石カバー36Cが、基部36aを第1永久磁石35の上面に載せ、一対の翼部36eを折り曲げて第1永久磁石35の断面台形の各傾斜面に沿わせ、さらに一対の翼部36eの先端側を折り曲げて第1永久磁石35の下面に沿わせて、第1永久磁石35に装着される。そして、一対の翼部36eが、それぞれ第1嵌合溝31の側面および底面と第1永久磁石35の傾斜面および下面との間に嵌め込まれ、第1永久磁石35が第1磁石保持具30Dに保持される。この時、第1永久磁石35の下面と第1磁石カバー36Cの翼部36eの先端面と第1嵌合溝31とで囲まれて形成される隙間53bと樹脂溜まり溝32dとが接着空間を構成する。さらに、樹脂材50が第1樹脂注入穴55から樹脂溜まり溝32dおよび隙間53bに充填され、第1永久磁石35および第1磁石カバー36Cが第1磁石保持具30Dに固着されている。
従って、この実施の形態7においても、上記実施の形態6と同様の効果が得られる。
また、この実施の形態7においては、空間53bに加えて樹脂溜まり溝32dが形成されているので、接着空間が大きくなり、樹脂材50の量が多くなり、第1永久磁石35および第1磁石カバー36Cを第1磁石保持具30Dに強固に固着できる。
実施の形態8.
実施の形態8では、図12に示されるように、樹脂溜まり溝32eが厚み方向の他端側を閉じるように第1磁石保持具30Eの第1嵌合溝31の底面に凹設されている点を除いて、上記実施の形態7と同様に構成されている。なお、第2磁石保持具も、第1磁石保持具と同様に構成されているので、ここでは、第1永久磁石の固定構造についてのみ説明する。
上記実施の形態7では、樹脂溜まり溝32dが第1磁石保持具30Dの第1嵌合溝31の底面に厚み方向に貫通するように凹設されているので、第1樹脂注入穴55の一端側から樹脂溜まり溝32dに充填された樹脂材50が樹脂溜まり溝32dの他端側から飛散しやすい。
この実施の形態8では、樹脂溜まり溝32eの他端が閉じられているので、第1樹脂注入穴55から樹脂溜まり溝32eに充填された樹脂材50が樹脂溜まり溝32eの他端から飛散を抑えることができる。
実施の形態9.
実施の形態9では、図13に示されるように、第1樹脂注入穴56の他端側が閉塞され、かつ第1樹脂注入穴56の他端側のみが開口57を介して樹脂溜まり溝32eに接続されている第1磁石保持具30Fを用いている点を除いて、上記実施の形態8と同様に構成されている。
この実施の形態9では、第1樹脂注入穴56の他端側が閉塞されているので、第1樹脂注入穴56の一端側から注入された樹脂材50は、第1樹脂注入穴56の他端側に飛散することがない。さらに、第1樹脂注入穴56の他端側が開口57を介して樹脂溜まり溝32eと軸方向の所定範囲にわたって接続されているので、第1樹脂注入穴56の一端側まで注入された樹脂材50は開口57から樹脂溜まり溝32d内に流れ込む。そして、樹脂溜まり離溝32e内に流れ込んだ樹脂材50は、樹脂溜まり溝32e内を埋めつつ他端側から一端側に徐々に進行し、ついには樹脂溜まり溝32eの一端側に到達する。
従って、この実施の形態9によれば、樹脂材50の第1樹脂注入穴56の他端からの飛散をなくして、樹脂材50を樹脂溜まり溝32e内に確実に流入させることができる。また、第1樹脂注入穴56の他端側のみが開口57を介して樹脂溜まり溝32eの他端側に接続されているので、開口57から樹脂溜まり溝32e内に流入した樹脂材50は、樹脂溜まり溝32e内の充填しつつ他端側から一端側に移動する。これにより、空気だまりの発生を抑えて、樹脂材50を隙間なく樹脂溜まり溝32e内に充填することができる。さらに、樹脂溜まり溝32eの一端側への樹脂材50の到達を確認して樹脂材50の注入を止めることで、樹脂材50の樹脂溜まり溝32eの一端から飛散を確実に防止することができる。
実施の形態10.
実施の形態10では、図14および図15に示されるように、樹脂溜まり溝32fが第1磁石保持具30Gの第1嵌合溝31の底面に凹設され、他端側が閉塞された第1樹脂注入穴56が開口57を介して樹脂溜まり溝32fに接続されている第1磁石保持具30Gを用いている点を除いて、上記実施の形態9と同様に構成されている。
この実施の形態10では、第1樹脂注入穴56の他端側が閉塞されているので、第1樹脂注入穴56の一端側から注入された樹脂材50は、第1樹脂注入穴56の他端側から飛散することなく、開口57を介して樹脂溜まり溝32f内に流れ込み、樹脂溜まり溝32f内に充填される。
従って、この実施の形態10においても、上記実施の形態9と同様の効果が得られる。
なお、樹脂溜まり溝32fは、第1磁石保持具30Gの厚み方向に並行に複数設けられてもよく、第1嵌合溝31の底面から側面の下端側まで延びるように延設されてもよい。
なお、上記各実施の形態では、車両用交流発電機について説明しているが、この発明は、車両用交流発電機に限らず、車両用電動機や車両用発電電動機などの回転電機に適用しても、同様の効果を奏する。
また、上記各実施の形態では、磁石保持具を全ての谷部に配設するものとしているが、磁石保持具は任意の谷部を選択して配設するようにしてもよい。この場合、周方向にバランスよく磁石保持具を配置することが好ましい。例えば、第1ポールコア体には磁石保持具を配設せず、第2ポールコア体の全ての谷部に磁石保持具を配設したり、第1および第2ポールコア体のそれぞれに、周方向に一つおきの谷部に磁石保持具を配設してもよい。このような構成を取ることは、全ての谷部に磁石保持具を配設した場合に比べ、出力が少し低下するものの、部品点数を削減でき、安価な構成で出力をあげることができる。
この発明の実施の形態1に係る車両用交流発電機を模式的に示す断面図である。 この発明の実施の形態1に係る車両用交流発電機に適用される回転子を示す斜視図である。 この発明の実施の形態1に係る車両用交流発電機における永久磁石の磁石保持具への実装状態を示す斜視図である。 この発明の実施の形態1に係る車両用交流発電機における永久磁石の磁石保持具への実装状態を示す断面図である。 この発明の実施の形態1に係る車両用交流発電機に適用される磁石保持具を示す斜視図である。 この発明の実施の形態2に係る車両用交流発電機における永久磁石の磁石保持具への実装状態を示す斜視図である。 この発明の実施の形態3に係る車両用交流発電機における永久磁石の磁石保持具への実装状態を示す断面図である。 この発明の実施の形態4に係る車両用交流発電機における永久磁石の磁石保持具への実装状態を示す断面図である。 この発明の実施の形態5に係る車両用交流発電機における永久磁石の磁石保持具への実装状態を示す断面図である。 この発明の実施の形態6に係る車両用交流発電機における永久磁石の磁石保持具への実装状態を示す断面図である。 この発明の実施の形態7に係る車両用交流発電機における永久磁石の磁石保持具への実装状態を示す断面図である。 この発明の実施の形態8に係る車両用交流発電機に適用される磁石保持具を示す斜視図である。 この発明の実施の形態9に係る車両用交流発電機に適用される磁石保持具を示す破断斜視図である。 この発明の実施の形態10に係る車両用交流発電機に適用される磁石保持具を示す斜視図である。 この発明の実施の形態10に係る車両用交流発電機に適用される磁石保持具を示す破断斜視図である。
符号の説明
10 固定子、13 回転子、14 界磁コイル、15 ポールコア、16 回転軸、17 第1ポールコア体、18 第1ボス部、19 第1継鉄部、20 第1爪状磁極部、21 第2ポールコア体、22 第2ボス部、23 第2継鉄部、24 第2爪状磁極部、29 エアギャップ、30,30A,30B,30C,30D,30E,30F,30G 第1磁石保持具、31 第1嵌合溝、32a〜32f 樹脂溜まり溝(接着空間)、33 第1樹脂注入穴、35 第1永久磁石、36 樹脂カバー、36a 基部、36b,36d,36e 翼部、40 第2磁石保持具、41 第2嵌合溝、45 第2永久磁石、46 樹脂カバー、46a 基部、46b 翼部、50 樹脂材、53a,53b 隙間(接着空間)。

Claims (5)

  1. ボス部、該ボス部の軸方向両端縁部から径方向外方に延設された一対の継鉄部、および該一対の継鉄部のそれぞれから交互に軸方向に延設され、噛み合って周方向に配列された複数の爪状磁極部を有し、上記ボス部の軸心位置に挿通された回転軸に固着されたポールコアと、上記ボス部、上記一対の継鉄部、および上記複数の爪状磁極部に囲まれた空間内に収納された界磁コイルと、を有する回転子と、
    上記回転子の外周を所定のエアギャップを介して囲繞して配設された固定子と、を備えた回転電機において、
    上記一対の継鉄部の周方向に隣り合う上記爪状磁極部間に保持され、嵌合溝が軸方向に貫通して上面に凹設された磁石保持具と、
    上記嵌合溝に嵌合されて上記爪状磁極部の先端側内周面と相対するように上記磁石保持具に取り付けられた永久磁石と、
    基部および該基部の相対する二辺から延設された一対の翼部を有し、該基部により上記永久磁石の上面を覆い、かつ該一対の翼部を該永久磁石の周方向両側面に沿わせて装着され、該一対の翼部の先端側を該永久磁石と上記嵌合溝との間に嵌め込まれて上記磁石保持具に取り付けられた磁石カバーと、
    上記永久磁石、上記磁石カバーおよび上記嵌合溝により画成される接着空間に充填されて該永久磁石および該磁石カバーを上記磁石保持具に固着する樹脂材と、
    上記磁石保持具の外部と上記接着空間とを連通するように該磁石保持具に形成された樹脂注入穴と、
    を有することを特徴とする回転電機。
  2. 上記接着空間は、上記磁石カバーの翼部の先端側の外面に対向する上記嵌合溝の内壁面に凹設された樹脂溜まり溝を有することを特徴とする請求項1記載の回転電機。
  3. 上記接着空間は、上記永久磁石の外面に対向する上記嵌合溝の内壁面に凹設された樹脂溜まり溝を有することを特徴とする請求項1又は請求項2記載の回転電機。
  4. 上記樹脂注入穴は、上記磁石保持具の軸方向の一方の端面に開口し、穴方向を軸方向として該磁石保持具に形成され、軸方向の所定範囲にわたって上記接着空間に接続されていることを特徴とする請求項1乃至請求項3のいずれか1項に記載の回転電機。
  5. 上記樹脂注入穴の軸方向の他方が塞口されていることを特徴とする請求項4記載の回転電機。
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