JP5264927B2 - 回転電機 - Google Patents

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Description

この発明は、車両用交流発電機などの回転電機に関し、特に永久磁石を搭載したランデル型の回転子の永久磁石保持構造に関するものである。
近年の環境問題から車載される電装品の負荷が急増しており、ランデル型の回転子の発電量のより一層の増加が求められている。この要求に従来の設計範囲で対応しようとすると、発電機が大型化し、発電機の重量や配置スペースが増大し、好ましくない。また、発電機の大型化は回転子慣性の増加を招き、エンジンの速度変動と発電機の慣性トルクとが相互作用し、ベルトの振動や滑りが発生するという新たな課題を生じさせることが知られている。これらのことから、発電機本体のサイズを大型化することなく、発電機の容量を増大させること、つまり発電機の小型化、かつ高出力が求められている。
このような状況を鑑み、ランデル型の回転子の周方向に隣り合う爪状磁極部間に永久磁石を配設した第1の従来の交流発電機が提案されている(例えば、特許文献1参照)。
また、永久磁石が磁極片(継鉄部に相当)の磁極指(爪状磁極部に相当)間に位置する周縁の取り付け表面に配置され、ストラップが永久磁石を覆うように配置されて釘により磁極片に固着された第2の従来の交流発電機が提案されている(例えば、特許文献2参照)。
特開昭61−85045号公報 特開2004−153994号公報
車両用交流発電機は、ベルトおよびプーリを介して伝達されるエンジンの回転力により駆動され、最大、18,000〜20,000rpm程度の高速で回転する。そのため、1極当たり数g程度の小さな磁石を配設しても、数十Kgfを超える極めて大きな遠心力が磁石に加わる。
また、爪状磁極部には、永久磁石を保持していない状態でも、大きな遠心力が作用し、その先端部が外周側に50〜100μm程度膨らむ。そして、エンジンの回転速度の増減に伴い、爪状磁極部は羽ばたくように変位する。爪状磁極部は片持ち支持構造であることから、その変位は先端側では大きくなり、根元部側では小さくなり、周方向に隣り合う爪状磁極部間の相対距離も変化する。
そこで、永久磁石が周方向に隣り合う爪状磁極部間に配設されている第1の従来の交流発電機では、遠心力に加え、遠心力による爪状磁極部の変位が磁石保持構造に作用し、永久磁石を長期的に安定して保持できないという課題がある。
第2の従来の交流発電機では、永久磁石が継鉄部の爪状磁極部間に配置されているので、遠心力による爪状磁極部の変位が磁石保持構造に作用することはない。しかし、永久磁石を保持するストラップが釘により継鉄部に固定されているので、磁石保持構造に作用する遠心力による応力が釘によるストラップと継鉄部との固着点に集中し、固着部の損傷が発生しやすくなる。また、釘が軸方向から継鉄部の軸方向端面に打ち込まれているので、軸方向の力が永久磁石およびストラップを介して釘を引き抜く方向に作用すると、釘によるストラップの固着力が低下する。さらに、ストラップは継鉄部の外径側の載置面上に配設された永久磁石の軸方向両端面および外径側の表面を覆うように配設され、その両端を磁極片の軸方向両端面に釘により固定されているので、永久磁石の周方向の移動に対する固定が不十分となる。このように、第2の従来の交流発電機による磁石保持構造では、永久磁石を長期的に安定して保持できないという課題がある。
この発明は、このような課題を解決するためになされたものであって、永久磁石を継鉄部の爪状磁極部間の谷部に嵌着された磁性材料からなる磁石保持具に保持させて、遠心力による爪状磁極部の変位の影響を無くし、かつ永久磁石および磁石保持具に作用する遠心力を嵌合面で受けるようにし、永久磁石を簡易な磁石保持構造で、長期的に安定して保持できる回転電機を得ることを目的とする。
この発明による回転電機は、ボス部、該ボス部の軸方向両端縁部から径方向外方に延設された一対の継鉄部、および該一対の継鉄部のそれぞれから交互に軸方向に延設され、噛み合って周方向に配列された複数の爪状磁極部を有し、内径側に湾曲した谷部が周方向に隣り合う上記爪状磁極部間のそれぞれの上記継鉄部の部位に形成され、上記ボス部の軸心位置に挿通された回転軸に固着されたポールコアと、ボビンに巻回されて、上記ボス部、上記一対の継鉄部、および上記複数の爪状磁極部に囲まれた空間内に収納された界磁コイルと、を有する回転子と、上記回転子の外周を所定のエアギャップを介して囲繞して配設された固定子と、を備えている。そして、本回転電機は、上記谷部の内壁面の相対する部位のそれぞれに開口し、かつ上記継鉄部の軸方向の内端に開口し、溝方向を軸方向として、該継鉄部に非貫通状態に凹設され、溝長さ方向の端面を当たり面とする保持溝と、上記谷部に相対して凹設された上記保持溝のそれぞれに軸方向内方から嵌着され、該保持溝の内壁面により周方向および径方向の移動を規制され、かつ上記当たり面により軸方向外方への移動を規制されて、上記爪状磁極部の先端側内周面の内径側で該谷部に架設され、嵌合溝が該爪状磁極部の先端側内周面に相対する面に開口し、かつ溝方向を軸方向として、軸方向に貫通するように形成された磁性材料からなる磁石保持具と、を有する。そして、永久磁石が、上記嵌合溝に嵌着されて上記爪状磁極部の先端側の内周面と対向するように上記磁石保持具に保持されている。さらに、上記ボビンのフランジ部が、上記磁石保持具の軸方向の内方の端部に接しており、第1スペーサが、上記磁石保持具の軸方向の外方の端部と上記当たり面との間に介装されている。
この発明によれば、永久磁石が、周方向に隣り合う爪状磁極部間の継鉄部の部位に形成された谷部に架設された磁石保持具に保持されているので、遠心力による爪状磁極部の変位の影響が磁石保持構造に影響しない。磁石保持具が谷部に凹設された保持溝に嵌着、保持されているので、永久磁石および磁石保持具に作用する遠心力は保持溝の嵌合面で受けられ、嵌合部における応力集中が緩和される。また、永久磁石が磁石保持具に形成された嵌合溝に嵌着、保持されているので、永久磁石に作用する遠心力は嵌合溝の嵌合面で受けられ、嵌合部における応力集中が緩和される。さらに、磁石保持具は、保持溝の内壁面により周方向および径方向の移動を規制され、保持溝の当たり面により軸方向の外方への移動が規制される。従って、永久磁石を簡易な磁石保持構造で、長期的に安定して保持できる。
この発明の実施の形態1に係る車両用交流発電機を模式的に示す断面図である。 この発明の実施の形態1に係る車両用交流発電機に適用される回転子を構成するポールコア体を示す斜視図である。 この発明の実施の形態1に係る車両用交流発電機に適用される回転子を構成するポールコア体を示す要部断面図である。 この発明の実施の形態1に係る車両用交流発電機における永久磁石の磁石保持具への実装状態を示す斜視図である。 この発明の実施の形態1に係る車両用交流発電機における永久磁石のポールコア体への実装状態を示す要部斜視図である。 この発明の実施の形態1に係る車両用交流発電機における永久磁石のポールコア体への実装状態を示す要部断面図である。 この発明の実施の形態1に係る車両用交流発電機に適用される回転子を構成するポールコア体の製造方法を説明する図である。 この発明の実施の形態2に係る車両用交流発電機に適用される回転子を構成するポールコア体への保持溝の加工方法を説明する斜視図である。 この発明の実施の形態3に係る車両用交流発電機に適用される回転子を示す断面図である。 この発明の実施の形態4に係る車両用交流発電機に適用される回転子を示す断面図である。 この発明の実施の形態5に係る車両用交流発電機に適用される回転子を示す断面図である。 この発明の実施の形態6に係る車両用交流発電機に適用される回転子を示す断面図である。 この発明の実施の形態6に係る車両用交流発電機における永久磁石の磁石保持具への実装状態を示す斜視図である。 この発明の実施の形態7に係る車両用交流発電機に適用される回転子を示す断面図である。 この発明の実施の形態8に係る車両用交流発電機に適用される回転子をフロント側から見た端面図である。 この発明の実施の形態9に係る車両用交流発電機に適用される回転子をフロント側から見た端面図である。
実施の形態1.
図1はこの発明の実施の形態1に係る車両用交流発電機を模式的に示す断面図、図2はこの発明の実施の形態1に係る車両用交流発電機に適用される回転子を構成するポールコア体を示す斜視図、図3はこの発明の実施の形態1に係る車両用交流発電機に適用される回転子を構成するポールコア体を示す要部断面図、図4はこの発明の実施の形態1に係る車両用交流発電機における永久磁石の磁石保持具への実装状態を示す斜視図、図5はこの発明の実施の形態1に係る車両用交流発電機における永久磁石のポールコア体への実装状態を示す要部斜視図、図6はこの発明の実施の形態1に係る車両用交流発電機における永久磁石のポールコア体への実装状態を示す要部断面図である。
図1乃至図6において、車両用交流発電機1は、それぞれ略椀形状のアルミ製のフロントブラケット2とリヤブラケット3とからなるケース4と、回転軸16をケース4に軸受5を介して支持されて、ケース4内に回転自在に配設された回転子13と、ケース4のフロント側に延出する回転軸16の端部に固着されたプーリ6と、回転子13の軸方向(以降、軸方向とする)の両端面に固定されたファン7と、回転子13に対して一定のエアギャップ29を有して、回転子13の外周を囲繞してケース4に固定された固定子10と、回転軸16のリヤ側に固定され、回転子13に電流を供給する一対のスリップリング8と、各スリップリング8に摺動するようにケース4内に配設された一対のブラシ9と、を備えている。なお、図示していないが、固定子10で生じた交流を直流に整流する整流器、固定子10で生じた交流電圧の大きさを調整する電圧調整器などがケース4内に配設されている。
固定子10は、円筒状の固定子鉄心11と、固定子鉄心11に巻装され、回転子13の回転に伴い、後述する界磁コイル14からの磁束の変化で交流が生じる固定子コイル12と、を備えている。
回転子13は、励磁電流が流されて磁束を発生する界磁コイル14と、界磁コイル14を覆うように設けられ、その磁束によって磁極が形成されるポールコア15と、ポールコア15の軸心位置に貫装された回転軸16と、を備えている。ここで、ボビン45は、ナイロン66等の樹脂で作製され、円筒状の巻胴部45aと、巻胴部45aの軸方向両端から径方向外方に延設された環状のフランジ部45bと、から構成されている。そして、界磁コイル14は、コイル線を巻胴部45aに巻回して構成されている。
ポールコア15は、それぞれ例えばS10Cなどの低炭素鋼で冷間鍛造法により作製された第1および第2ポールコア体17,21に分割構成されている。
第1ポールコア体17は、外周面を円筒形状とし、回転軸挿通穴18aが軸心位置を貫通して形成された第1ボス部18と、第1ボス部18の軸方向一端縁部から径方向外側に延設された厚肉リング状の第1継鉄部19と、第1継鉄部19の外周部から軸方向他端側に延設された第1爪状磁極部20とを有している。第1爪状磁極部20は、その最外径面形状を略台形形状とし、周方向幅が先端側に向かって徐々に狭くなり、かつ、径方向厚みが先端側に向かって徐々に薄くなる先細り形状に形成され、第1継鉄部19の外周部に周方向に等角ピッチで例えば8つ配列されている。さらに、第1谷部25が第1継鉄部19の各隣り合う第1爪状磁極部20間に位置する部位に、例えば内径側に向かって凸状に湾曲したU字状に凹設されている。
第2ポールコア体21は、外周面を円筒形状とし、回転軸挿通穴22aが軸心位置を貫通して形成された第2ボス部22と、第2ボス部22の軸方向他端縁部から径方向外側に延設された厚肉リング状の第2継鉄部23と、第2継鉄部23の外周部から軸方向一端側に延設された第2爪状磁極部24とを有している。第2爪状磁極部24は、その最外径面形状を略台形形状とし、周方向幅が先端側に向かって徐々に狭くなり、かつ、径方向厚みが先端側に向かって徐々に薄くなる先細り形状に形成され、第2継鉄部23の外周部に周方向に等角ピッチで例えば8つ配列されている。さらに、第2谷部26が第2継鉄部23の各隣り合う第2爪状磁極部24間に位置する部位に、例えば内径側に向かって凸状に湾曲したU字状に凹設されている。
そして、第1保持溝27が、第1ポールコア体17の各第1爪状磁極部20の根元側で、各第1谷部25の内壁面の外径側の相対する部位のそれぞれに開口し、かつ溝方向を軸方向として第1継鉄部19の他端から一端側に所定の溝長さで凹設されている。これにより、第1保持溝27の一端が塞口され、第1当たり面27aが形成される。同様に、第2保持溝28が、第2ポールコア体21の各第2爪状磁極部24の根元側で、各第2谷部26の内壁面の外径側の相対する部位のそれぞれに開口し、かつ溝方向を軸方向として第2継鉄部23の一端から他端側に所定の溝長さで凹設されている。これにより、第2保持溝28の他端が塞口され、第2当たり面28aが形成される。ここで、第1および第2保持溝27,28は、断面半円形の溝形状に形成されている。
このように構成された第1および第2ポールコア体17,21は、第1および第2爪状磁極部20,24を交互に噛み合わせ、かつ、第1ボス部18の他端面を第2ボス部22の一端面に突き合わせ、回転軸挿通穴18a,22aに貫装された回転軸16に固着されている。このとき、ボビン45が、巻胴部45aを第1および第2ボス部18,22に外嵌状態に嵌着し、フランジ部45bの軸方向外側の端面を第1継鉄部19,23の軸方向内側の端面に密接させて装着されている。これにより、界磁コイル14が、第1および第2ボス部18,22、第1および第2継鉄部19,23および第1および第2爪状磁極部20,24に囲まれた空間に装着されている。
ここで、第1および第2ボス部18,22および第1および第2継鉄部19,23が、それぞれポールコア15のボス部および一対の継鉄部に相当する。そして、突き合わされた第1ボス部18の他端面と第2ボス部22の一端面とがポールコア15の分割面となる。また、軸方向において、第1および第2爪状磁極部20,24の先端側がそれぞれ第2および第1継鉄部23,19と重なっている。
第1磁石保持具30は、第1嵌合部31と第1嵌合部31の上部に一体に形成された第1磁石保持部32とを有し、鉄、鉄系磁性合金などの磁性材を用いて、第1保持溝27の溝長さと同等の厚みに作製されている。そして、第1保持溝27に嵌合される外形形状の第1嵌合凸部31aが第1嵌合部31の両側部に突設されている。さらに、第1嵌合溝32aが、溝方向を厚み方向として、第1磁石保持部32の上面に開口するように凹設されている。第1嵌合溝32aは、その溝幅が開口に向かって漸次狭くなる楔状に形成されている。
第1永久磁石33は、第1嵌合溝32aの内形形状に適合する外形形状、つまり厚み方向と直交する平面における断面が台形で、第1磁石保持具30と同等の厚みに作製され、その上下面(外周面および内周面)が平行な平坦面となっている。そして、第1永久磁石33は、例えばステンレスや合成樹脂などの非磁性材からなる第1磁石カバー34に覆われて、厚み方向を第1磁石保持具30の厚み方向に一致させて、かつ第1永久磁石33の厚み方向の一端面と第1磁石保持具30の厚み方向の一端面とを同一の面位置として、第1嵌合溝32aに圧入され、必要に応じて接着剤を塗布されて第1磁石保持具30に嵌着、保持されている。
第2磁石保持具35は、第2嵌合部36と第2嵌合部36の上部に一体に形成された第2磁石保持部37とを有し、第1磁石保持具30と同じ材質を用いて同じ形状に作製されている。第2永久磁石38は、第1永久磁石33と同じ材質を用いて同じ形状に作製されている。第2永久磁石38は、例えばステンレスや合成樹脂などの非磁性材からなる第2磁石カバー39で覆われて、厚み方向を第2磁石保持具35の厚み方向に一致させて、かつ第2永久磁石38の厚み方向の一端面と第2磁石保持具35の厚み方向の一端面とを同一の面位置として、第2嵌合溝37aに圧入され、必要に応じて接着剤を塗布されて第2磁石保持具35に嵌着、保持されている。
そして、第1磁石保持具30が、第1永久磁石33を上方に向けて、第1嵌合凸部31aを軸方向他端側から相対する第1保持溝27に圧入され、必要に応じて接着剤を塗布して、各第1谷部25の上に架設された状態で磁気的に接続されて第1ポールコア体17に取り付けられる。このとき、第1磁石保持具30および第1永久磁石33の厚み方向が軸方向に一致している。そして、第1嵌合凸部31aの端面が第1当たり面27aに当接し、第1磁石保持具30の軸方向位置が決められる。また、径方向から見て、第1永久磁石33の全体が第2爪状磁極部24の内径側に位置している。そして、第1磁石カバー34で覆われた第1永久磁石33の上面が第2爪状磁極部24の先端側内周面と所定の隙間をあけて対向している。
同様に、第2磁石保持具35が、第2永久磁石38を上方に向けて、第2嵌合凸部36aを軸方向一端側から相対する第2保持溝28に圧入され、必要に応じて接着剤を塗布し、各第2谷部26の上に架設された状態で磁気的に接続されて第2ポールコア体21に取り付けられる。このとき、第2磁石保持具35および第2永久磁石38の厚み方向が軸方向に一致している。そして、第2嵌合凸部36aの端面が第2当たり面28aに当接し、第2磁石保持具35の軸方向位置が決められる。また、径方向から見て、第2永久磁石38の全体が第1爪状磁極部20の内径側に位置している。そして、第2磁石カバー39で覆われた第2永久磁石38の上面が第1爪状磁極部20の先端側内周面と所定の隙間をあけて対向している。
また、第1および第2永久磁石33,38は、着磁方向40が、界磁コイル14を流れる界磁電流が回転子13の軸心と直交する平面において作る磁界41の向きと反対となるように着磁配向されている。つまり、図1に示されるように、界磁コイル14に通電され、磁界41が矢印方向に発生された場合、第1および第2永久磁石33,38は、磁界41と逆向きに着磁配向される。ここでは、第1および第2永久磁石33,38の着磁方向40は、径方向に一致しており、その着磁方向40の延長線が対向する第1および第2爪状磁極部20,24の先端側の内周面に向かっている。なお、界磁コイル14を流れる界磁電流が作る磁界41の向きが反転した設計の場合には、第1および第2永久磁石33,38も逆向きに着磁配向される。
つぎに、このように構成された車両用交流発電機1の動作について説明する。
まず、電流がバッテリ(図示せず)からブラシ9およびスリップリング8を介して回転子13の界磁コイル14に供給され、磁束が発生される。この磁束により、第1ポールコア体17の第1爪状磁極部20がN極に磁化され、第2ポールコア体21の第2爪状磁極部24がS極に磁化される。
一方、エンジンの回転トルクがベルト(図示せず)およびプーリ6を介して回転軸16に伝達され、回転子13が回転される。そこで、回転磁界が固定子10の固定子コイル12に与えられ、起電力が固定子コイル12に発生する。この交流の起電力が、整流器で直流電流に整流され、バッテリが充電され、或いは電気負荷に供給される。
界磁コイル14に通電されて発生した磁束は、第1爪状磁極部20からエアギャップ29を通って固定子鉄心11のティース部に入る。固定子鉄心11に入った磁束は、固定子鉄心11のティース部からコアバック部を通って周方向に移動し、隣の第2爪状磁極部24に対向するティース部からエアギャップ29を通ってその第2爪状磁極部24に入る。ついで、第2爪状磁極部24に入った磁束は、第2継鉄部23、第2ボス部22、第1ボス部18、第1継鉄部19を通って第1爪状磁極部20に至る。
第1および第2永久磁石33,38は、界磁コイル14の発生する磁界41の向きと反対となるように着磁配向されている。そこで、第1永久磁石33から発生する磁束は、第1磁石保持具30に入る。ここで、第1磁石保持具30の下方には、第1谷部25、即ち大きな空間が存在する。そこで、第1磁石保持具30に入った磁束は、第1磁石保持具30の第1嵌合部31内を周方向の両側に流れて第1継鉄部19に入り、第1ボス部18、第2ボス部22、第2継鉄部23および第2爪状磁極部24を通り、空隙を介して第1永久磁石33に戻る。また、第2永久磁石38から発生する磁束は、空隙を介して第1爪状磁極部20に入り、第1継鉄部19、第1ボス部18、第2ボス部22を経て、第2継鉄部23に入る。第2継鉄部23に入った磁束は、第2継鉄部23の第2谷部26の両側を径方向外方に流れ、第2磁石保持具35の周方向両側から第2磁石保持具35に入り、第2永久磁石38に戻る。
このように、第1および第2永久磁石33,38の発生する磁束は、界磁コイル14の発生する磁束と逆向きとなり、第1および第2ポールコア体17,21を構成する磁性体の磁束密度を大幅に低減することができる。これにより、界磁コイル14の発生する磁界による磁気飽和が解消され、固定子10に鎖交する磁束が増加し、発電量を増加することができる。
また、第1および第2永久磁石33,38が第2および第1爪状磁極部24,20の先端側内周面に対向するように配設されているので、第1および第2永久磁石33,38の磁気回路が回転子13内部で閉じた磁気回路となる。そこで、第1および第2永久磁石33,38の発生する磁束のなかの固定子鉄心11に鎖交する磁束成分(漏れ磁束)が少なくなる。その結果、無負荷無励磁における第1および第2永久磁石33,38の誘起電圧の発生が抑制される。
また、第1および第2永久磁石33,38が、回転子13の最外周面に対して径方向内側に位置し、径方向外方から見て第2および第1爪状磁極部24,20から露呈していないので、固定子のスロット高調波は、第1および第2爪状磁極部20,24の最外周部に留まり、第1および第2永久磁石33,38を直接誘導加熱するように作用しない。その結果、第1および第2永久磁石33,38が加熱されて熱減磁することを防止できる。
第1および第2永久磁石33,38が第1および第2磁石カバー34,39に覆われているので、回転子13の高速回転時に揺動する第1および第2爪状磁極部20,24や飛来する異物が第1および第2永久磁石33,38に直接的に当たることがなく、第1および第2永久磁石33,38の損傷発生が抑制される。また、第1および第2永久磁石33,38が損傷しても、第1および第2永久磁石33,38の破片の飛散が抑制される。
この実施の形態1によれば、第1および第2保持溝27,28が溝方向を軸方向として、軸方向内方に開口するように形成されているので、第1および第2嵌合凸部31a,36aを軸方向内方から第1および第2保持溝27,28に圧入させることで、第1および第2磁石保持具30,35をその周方向および径方向の移動を規制して第1および第2ポールコア体17,21に嵌着、保持できる。さらに、第1および第2保持溝27,28が軸方向外方に塞口するように形成されているので、第1および第2嵌合部31,36の端面が第1および第2保持溝27,28の第1および第2当たり面27a,28aに当接するまで第1および第2嵌合凸部31a,36aを第1および第2保持溝27,28に挿入することで、第1および第2磁石保持具30,35をその軸方向外方への移動を規制して第1および第2ポールコア体17,21に保持できる。
このように、第1および第2磁石保持具30,35の第1および第2ポールコア体17,21への組付けが容易となる。このとき、第1および第2磁石保持具30,35の軸方向位置も簡易に位置決めできる。
第1および第2嵌合溝32a,37aが溝方向を厚み方向として第1および第2磁石保持部32,37の上面に開口し、かつ厚み方向に貫通して形成されているので、第1および第2永久磁石33,38を厚み方向から第1および第2嵌合溝32a,37aに圧入させることで、第1および第2永久磁石33,38をその幅方向および上下方向の移動を規制して、第1および第2磁石保持具30,35に嵌着、保持できる。そこで、第1および第2永久磁石33,38の第1および第2磁石保持具30,35への組付けが容易となる。これにより、第1および第2永久磁石33,38が第1および第2磁石保持具30,35に装着された状態で第1および第2ポールコア体17,21に組み付けることができる。そこで、第1および第2永久磁石33,38の第1および第2ポールコア体17,21への組み付け性が向上される。
第1および第2永久磁石33,38が第1および第2磁石保持具30,35を介して第1および第2継鉄部19,23に装着されているので、遠心力による第1および第2爪状磁極部20,24の変位が第1および第2永久磁石33,38の保持構造に作用しない。また、第1および第2永久磁石33,38が第2および第1爪状磁極部24,20の先端側の内径側に位置しているので、第1および第2永久磁石33,38に作用する遠心力が小さくなる。これにより、第1および第2永久磁石33,38の長期的に安定した保持が実現される。
また、第1および第2永久磁石33,38が第1および第2嵌合溝32a,37aに嵌合されて第1および第2磁石保持具30,35に保持されている。そこで、第1および第2永久磁石33,38に作用する遠心力は、第1および第2永久磁石33,38が嵌着される第1および第2嵌合溝32a,37aの嵌合面で受けられる。これにより、遠心力による応力の集中が緩和され、第1および第2永久磁石33,38の損傷発生が抑制される。
また、第1および第2磁石保持具30,35が第1および第2保持溝27,28に嵌合されて第1および第2ポールコア体17,21に保持されている。そこで、第1および第2永久磁石33,38および第1および第2磁石保持具30,35に作用する遠心力は、第1および第2磁石保持具30,35が嵌着される第1および第2保持溝27,28の嵌合面で受けられる。これにより、遠心力による応力の集中が緩和され、第1および第2磁石保持具30,35と第1および第2ポールコア体17,21との間の嵌合部での損傷発生が抑制される。
ここで、冷間鍛造法による第1ポールコア体17の製造方法について図7を参照しつつ説明する。
まず、金属素材を室温で金型を用いてコア体42を圧縮成型する。このコア体42は、図7の(a)に示されるように、円筒状の第1ボス部18と、第1ボス部18の軸方向一端から径方向外方に延在する厚肉リング状の第1継鉄部19と、第1継鉄部19から径方向外方に延出する第1爪状磁極部相当部43と、第1継鉄部19の隣り合う第1爪状磁極部相当部43間に凹設された第1谷部25と、第1爪状磁極部相当部43の根元側で、第1谷部25の内壁面の外径側の相対する部位のそれぞれに開口し、かつ溝方向を軸方向として第1継鉄部19の他端から一端側に所定の溝長さに凹設された第1保持溝27と、を有する。
ついで、図7の(b)に示されるように、第1継鉄部19から径方向外方に延出する第1爪状磁極部相当部43を略直角に折り曲げる。このとき、図示していないが、例えば保持溝27の溝形状に適合する形状に作製された棒状治具を各保持溝27に嵌め込んだ状態で第1爪状磁極部相当部43を略直角に折り曲げることで、保持溝27の溝形状の変形が抑えられる。これにより、図7の(c)に示されるように、第1爪状磁極部20が第1継鉄部19から軸方向他端側に延出する第1ポールコア体17が作製される。
ここで、コア体42の第1爪状磁極部相当部43の略台形形状の最外径面の周方向に相対する2辺に面取りが形成されているが、第1爪状磁極部相当部43を折り曲げた後、切削加工により面取りを形成してもよい。
なお、第2ポールコア体21も同様に作製される。
この実施の形態1では、冷間鍛造法により圧縮成型されたコア体42に第1および第2谷部25,26を一体に形成しているので、第1および第2爪状磁極部相当部43を略直角に折り曲げやすくなり、第1および第2爪状磁極部相当部43の折り曲げ工程での歩留まりを高めることができる。
また、第1および第2保持溝27,28がコア体42の圧縮成型時に同時に形成されるので、第1および第2保持溝27,28を後加工で作製する必要がなく、第1および第2ポールコア体17,21を安価に作製できる。
なお、上記実施の形態1では、第1および第2磁石保持具が磁性材料の塊状体で作製されているものとしているが、第1および第2磁石保持具は、所望の形状に打ち抜かれた磁性材料の薄板を積層一体化して作製してもよい。
実施の形態2.
この実施の形態2では、まず、図示していないが、第1爪状磁極部相当部43を折り曲げて第1ポールコア体17を作製する。このとき、第1谷部25も同時に形成されている。ついで、図8に示されるように、エンドミル46を回転させつつ周方向から第1ポールコア体17の第1谷部25の内壁面に押し当てて、第1保持溝を形成している。なお、第2保持溝28も同様に形成される。
この実施の形態2によれば、第1および第2保持溝27,28が切削加工により形成されているので、第1および第2保持溝27,28を冷間鍛造法により形成している上記実施の形態1に比べ、第1および第2保持溝27,28の加工精度を高めることができる。
なお、上記実施の形態2では、エンドミルを用いた切削加工により第1および第2保持溝を形成するものとしているが、第1および第2保持溝の形成方法はエンドミルを用いた切削加工に限定されるものではなく、例えばドリルを用いたざぐり加工、ダボ穴加工などの切削加工でもよい。
また、上記実施の形態2では、第1および第2谷部を冷間鍛造法によりコア体に一体に成型するものとしているが、第1および第2爪状磁極部相当部を略直角に折り曲げて第1および第2爪状磁極部を形成した後、エンドミルやドリルを用いた切削加工により第1および第2保持溝とともに、第1および第2谷部を形成してもよい。
実施の形態3.
図9はこの発明の実施の形態3に係る車両用交流発電機に適用される回転子を示す断面図である。
図9において、第1磁石保持具30の軸方向内方の端面がボビン45のフランジ部45bに当接して、第1磁石保持具30の軸方向内方への移動が規制されている。同様に、図示していないが、第2磁石保持具35の軸方向内方の端面がボビン45のフランジ部45bに当接し、第2磁石保持具35の軸方向内方への移動が規制されている。
なお、他の構成は上記実施の形態1と同様に構成されている。
この実施の形態3によれば、第1および第2磁石保持具30,35の軸方向の移動が第1および第2保持溝27,28の第1および第2当たり面27a,28aおよびボビン45のフランジ部45bにより規制され、第1および第2磁石保持具30,35を安定して保持できる。
また、ボビン45は樹脂で作製されているので、第1および第2磁石保持具30,35の軸方向内方の端面形状が変更されても、第1および第2磁石保持具30,35の軸方向内方の端面形状に適合するようにフランジ部45bの形状を簡易に変更することができる。
実施の形態4.
図10はこの発明の実施の形態4に係る車両用交流発電機に適用される回転子を示す断面図である。
図10において、第1磁石保持具30および第1永久磁石33の軸方向内方の端面がボビン45のフランジ部45bに当接して、第1磁石保持具30および第1永久磁石33の軸方向内方への移動が規制されている。同様に、図示していないが、第2磁石保持具35および第2永久磁石38の軸方向内方の端面がボビン45のフランジ部45bに当接し、第2磁石保持具35および第2永久磁石38の軸方向内方への移動が規制されている。
なお、他の構成は上記実施の形態1と同様に構成されている。
この実施の形態4によれば、第1および第2磁石保持具30,35の軸方向の移動が第1および第2保持溝27,28の第1および第2当たり面27a,28aおよびボビン45のフランジ部45bにより規制され、第1および第2磁石保持具30,35を安定して保持できる。さらに、第1および第2永久磁石33,38の軸方向内方への移動がボビン45のフランジ部45bにより規制され、第1および第2永久磁石33,38を安定して保持できる。
実施の形態5.
図11はこの発明の実施の形態5に係る車両用交流発電機に適用される回転子を示す断面図である。
図11において、肉厚部45cがボビン45のフランジ部45bの外径側に形成されている。そして、第1磁石保持具30および第1永久磁石33の軸方向内方の端面が肉厚部45cに当接して、第1磁石保持具30および第1永久磁石33の軸方向内方への移動が規制されている。同様に、図示していないが、第2磁石保持具35および第2永久磁石38の軸方向内方の端面が肉厚部45cに当接し、第2磁石保持具35および第2永久磁石38の軸方向内方への移動が規制されている。
なお、他の構成は上記実施の形態1と同様に構成されている。
この実施の形態5によれば、ボビン45のフランジ部45bの外径側に形成された肉厚部45cが第1および第2磁石保持具30,35および第1および第2永久磁石33,38の軸方向内方の端面に当接している。そこで、第1および第2磁石保持具30,35の軸方向の移動を確実に阻止できる。さらに、第1および第2永久磁石33,38の軸方向内方への移動を確実に阻止できる。
実施の形態6.
図12はこの発明の実施の形態6に係る車両用交流発電機に適用される回転子を示す断面図、図13はこの発明の実施の形態6に係る車両用交流発電機における永久磁石の磁石保持具への実装状態を示す斜視図である。
図12および図13において、第1スペーサ47が第1磁石保持具30の軸方向外方の端面と第1保持溝27の第1当たり面27aとの間に挟持されて第1保持溝27に嵌着されている。そして、第1磁石保持具30および第1永久磁石33の軸方向外方の端面が第1スペーサ47に当接している。同様に、図示していないが、第1スペーサ47が第2磁石保持具35の軸方向外方の端面と第2保持溝28の第2当たり面28aとの間に挟持されて第2保持溝28に嵌着されている。そして、第2磁石保持具35および第2永久磁石38の軸方向外方の端面が第1スペーサ47に当接している。
なお、他の構成は上記実施の形態4と同様に構成されている。
この実施の形態6によれば、第1および第2磁石保持具30,35の軸方向の移動を確実に阻止できると共に、第1および第2永久磁石33,38の軸方向の移動を確実に阻止できる。
また、第1スペーサ47が第1および第2磁石保持具30,35と第1および第2当たり面27a,28aとの間に挟持されているので、第1および第2保持溝27,28の溝長さが第1および第2磁石保持具30,35の厚みより長くなっても、第1および第2磁石保持具30,35の軸方向位置を確実に位置決めできる。
ここで、薄板を積層して第1スペーサ47を構成すれば、積層枚数を調整することで、第1および第2磁石保持具30,35の軸方向の位置決めを簡易にできる。
実施の形態7.
図14はこの発明の実施の形態7に係る車両用交流発電機に適用される回転子を示す断面図である。
図14において、第2スペーサ48が第1磁石保持具30の軸方向内方の端面とボビン45のフランジ部45bとの間に挟持されて第1保持溝27に嵌着されている。そして、第1磁石保持具30および第1永久磁石33の軸方向内方の端面が第2スペーサ48に当接している。同様に、図示していないが、第2スペーサ48が第2磁石保持具35の軸方向内方の端面とボビン45のフランジ部45bとの間に挟持されて第2保持溝28に嵌着されている。そして、第2磁石保持具35および第2永久磁石38の軸方向内方の端面が第2スペーサ48に当接している。
なお、他の構成は上記実施の形態6と同様に構成されている。
この実施の形態7によれば、第1および第2磁石保持具30,35および第1および第2永久磁石33,38の軸方向内方の端面と、ボビン45のフランジ部45bとの間の隙間を確実になくすことができ、第1および第2磁石保持具30,35および第1および第2永久磁石33,38の軸方向の移動を確実に阻止できる。
ここで、薄板を積層して第2スペーサ48を構成すれば、積層枚数を調整することで、第1および第2磁石保持具30,35および第1および第2永久磁石33,38の軸方向内方の端面と、ボビン45のフランジ部45bとの間の隙間を簡易になくすことができる。
なお、上記実施の形態6,7において、第1および第2スペーサを磁性体で作製する場合には、第1および第2永久磁石の軸方向の端面にはその内径側に当接するように第1および第2スペーサを配設することが望ましい。つまり、第1および第2スペーサが第1および第2永久磁石の軸方向の端面の外径側まで当接していると、永久磁石による磁束が第1および第2スペーサに流れやすくなる。その結果、漏れ磁束が大きくなり、永久磁石による出力向上効果が小さくなる。
なお、上記実施の形態1〜7では、第1および第2永久磁石33,38が第1および第2谷部25,26の全てに配設されているものとしているが、第1および第2永久磁石33,38の配設個数は、要求仕様とコストとを勘案して、適宜設定される。ここで、第1および第2永久磁石33,38の配設個数が4個の場合について説明する。
実施の形態8.
この実施の形態8では、図15に示されるように、第1および第2磁石保持具30,35が第1および第2谷部25,26の全てに架設され、4個の第1および第2永久磁石33,38が、それぞれ周方向に1つおきの第1および第2磁石保持具30,35に装着されている。
なお、他の構成は、上記実施の形態1と同様に構成されている。
この実施の形態8では、第1および第2永久磁石33,38が周方向に等角ピッチで配設されているので、第1および第2永久磁石33,38を配設することに起因する重量的、かつ磁気的なアンバランスの発生が抑制される。
実施の形態9.
この実施の形態9では、図16に示されるように、第1および第2磁石保持具30,35が、それぞれ周方向に1つおきの第1および第2谷部25,26に架設され、第1および第2永久磁石33,38が、第1および第2磁石保持具30,35のそれぞれに装着されている。
なお、他の構成は、上記実施の形態1と同様に構成されている。
この実施の形態9では、第1および第2永久磁石33,38を装着した第1および第2磁石保持具30,35が、周方向に等角ピッチで配設されているので、第1および第2永久磁石33,38を配設することに起因する重量的、かつ磁気的なアンバランスの発生が抑制される。
また、第1および第2永久磁石33,38が配設されない第1および第2谷部25,26には、第1および第2磁石保持具30,35を架設していないので、低コスト化が図られるとともに、第1および第2磁石保持具30,35の架設作業が削減され、回転子の組立性が向上される。
なお、上記各実施の形態では、車両用交流発電機について説明しているが、この発明は、車両用交流発電機に限らず、車両用電動機や車両用発電電動機などの回転電機に適用しても、同様の効果を奏する。
また、上記各実施の形態では、ポールコアがボス部の軸方向中央位置で分割された2つのポールコア体から構成されているものとしているが、ポールコアの軸方向の分割位置はボス部の軸方向中央位置に限定されるものではなく、例えば、一方の継鉄部の軸方向内方の端面位置で分割してもよい。さらに、ポールコアの分割数は2つに限定されるものではなく、例えば3つでもよい。この場合、ポールコアは、一対の継鉄部の軸方向内方の端面位置で分割された3つのポールコア体により構成されてもよい。

Claims (6)

  1. ボス部、該ボス部の軸方向両端縁部から径方向外方に延設された一対の継鉄部、および該一対の継鉄部のそれぞれから交互に軸方向に延設され、噛み合って周方向に配列された複数の爪状磁極部を有し、内径側に湾曲した谷部が周方向に隣り合う上記爪状磁極部間のそれぞれの上記継鉄部の部位に形成され、上記ボス部の軸心位置に挿通された回転軸に固着されたポールコアと、ボビンに巻回されて、上記ボス部、上記一対の継鉄部、および上記複数の爪状磁極部に囲まれた空間内に収納された界磁コイルと、を有する回転子と、
    上記回転子の外周を所定のエアギャップを介して囲繞して配設された固定子と、を備えた回転電機において、
    上記谷部の内壁面の相対する部位のそれぞれに開口し、かつ上記継鉄部の軸方向の内端に開口し、溝方向を軸方向として、該継鉄部に非貫通状態に凹設され、溝長さ方向の端面を当たり面とする保持溝と、
    上記谷部に相対して凹設された上記保持溝のそれぞれに軸方向内方から嵌着され、該保持溝の内壁面により周方向および径方向の移動を規制され、かつ上記当たり面により軸方向外方への移動を規制されて、上記爪状磁極部の先端側内周面の内径側で該谷部に架設され、嵌合溝が該爪状磁極部の先端側内周面に相対する面に開口し、かつ溝方向を軸方向として、軸方向に貫通するように形成された磁性材料からなる磁石保持具と、
    上記嵌合溝に嵌着されて上記爪状磁極部の先端側の内周面と対向するように上記磁石保持具に保持された永久磁石と、を有し、
    上記ボビンのフランジ部が、上記磁石保持具の軸方向の内方の端部に接しており、
    第1スペーサが、上記磁石保持具の軸方向の外方の端部と上記当たり面との間に介装されていることを特徴とする回転電機。
  2. 上記フランジ部が、上記永久磁石の軸方向の内方の端部に接していることを特徴とする請求項1記載の回転電機。
  3. 上記第1スペーサが、上記永久磁石の軸方向の外方の端部に接していることを特徴とする請求項1又は請求項2記載の回転電機。
  4. 第2スペーサが、上記フランジ部と上記磁石保持具の軸方向の内方の端部との間に介装されていることを特徴とする請求項1から請求項3のいずれか1項に記載の回転電機。
  5. ボス部、該ボス部の軸方向両端縁部から径方向外方に延設された一対の継鉄部、および該一対の継鉄部のそれぞれから交互に軸方向に延設され、噛み合って周方向に配列された複数の爪状磁極部を有し、内径側に湾曲した谷部が周方向に隣り合う上記爪状磁極部間のそれぞれの上記継鉄部の部位に形成され、上記ボス部の軸心位置に挿通された回転軸に固着されたポールコアと、ボビンに巻回されて、上記ボス部、上記一対の継鉄部、および上記複数の爪状磁極部に囲まれた空間内に収納された界磁コイルと、を有する回転子と、
    上記回転子の外周を所定のエアギャップを介して囲繞して配設された固定子と、を備えた回転電機において、
    上記谷部の内壁面の相対する部位のそれぞれに開口し、かつ上記継鉄部の軸方向の内端に開口し、溝方向を軸方向として、該継鉄部に非貫通状態に凹設され、溝長さ方向の端面を当たり面とする保持溝と、
    上記谷部に相対して凹設された上記保持溝のそれぞれに軸方向内方から嵌着され、該保持溝の内壁面により周方向および径方向の移動を規制され、かつ上記当たり面により軸方向外方への移動を規制されて、上記爪状磁極部の先端側内周面の内径側で該谷部に架設され、嵌合溝が該爪状磁極部の先端側内周面に相対する面に開口し、かつ溝方向を軸方向として、軸方向に貫通するように形成された磁性材料からなる磁石保持具と、
    上記嵌合溝に嵌着されて上記爪状磁極部の先端側の内周面と対向するように上記磁石保持具に保持された永久磁石と、を有し、
    上記ボビンのフランジ部が、上記磁石保持具の軸方向の内方の端部に接しており、
    第2スペーサが、上記フランジ部と上記磁石保持具の軸方向の内方の端部との間に介装されていることを特徴とする回転電機。
  6. 上記フランジ部が、上記永久磁石の軸方向の内方の端部に接していることを特徴とする請求項5記載の回転電機。
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