JP4368916B2 - 回転電機 - Google Patents
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Description
図1はこの発明の実施の形態1に係る車両用交流発電機を模式的に示す断面図、図2はこの発明の実施の形態1に係る車両用交流発電機に適用される回転子を示す分解斜視図、図3はこの発明の実施の形態1に係る車両用交流発電機に適用される磁石ケースの製造方法を説明する工程図、図4はこの発明の実施の形態1に係る車両用交流発電機における永久磁石の磁石ケースへの実装方法を説明する図、図5および図6はそれぞれこの発明の実施の形態1に係る車両用交流発電機における磁束の流れを説明するための模式図である。
ポールコア15は、それぞれ例えばS10Cなどの低炭素鋼で冷間鍛造製法により作製された第1および第2ポールコア体17,21に分割構成されている。
なお、図示していないが、第2磁石ケース46も同様に作製され、第2磁石モジュール49も同様に組み立てられる。
まず、電流がバッテリ(図示せず)からブラシ9およびスリップリング8を介して回転子13の界磁コイル14に供給され、磁束が発生される。この磁束により、第1ポールコア体17の第1爪状磁極部20がN極に着磁され、第2ポールコア体21の第2爪状磁極部24がS極に着磁される。
一方、エンジンの回転トルクがベルト(図示せず)およびプーリ6を介して回転軸16に伝達され、回転子13が回転される。そこで、回転磁界が固定子10の固定子コイル12に与えられ、起電力が固定子コイル12に発生する。この交流の起電力が、整流器で直流電流に整流され、バッテリが充電され、或いは電気負荷に供給される。
まず、界磁コイル14に通電されると、磁束27が発生される。この磁束27は、第1爪状磁極部20からエアギャップ29を通って固定子鉄心11のティース部に入る。そして、磁束27は、固定子鉄心11のティース部からコアバック部を通って周方向に移動し、隣の第2爪状磁極部24に対向するティース部からエアギャップ29を通ってその第2爪状磁極部24に入る。ついで、第2爪状磁極部24に入った磁束27は、第2継鉄部23、第2ボス部22、第1ボス部18、第1継鉄部19を通って第1爪状磁極部20に至る。ここで、従来のランデル型回転子では、第1および第2ポールコア体は限界設計されているので、界磁コイルの発生する磁界により磁気飽和し、回転子で発生する磁束が減少してしまう。
そこで、第1および第2永久磁石33,43の発生する磁束28は、界磁コイル14の発生する磁束27と逆向きとなり、第1および第2ポールコア体17,21を構成する磁性体の磁束密度を大幅に低減することができ、磁気飽和を解消することができる。
また、第1および第2永久磁石33,43は、第1および第2爪状磁極部20,24の内周面に対向するように配設されているので、第1および第2永久磁石33,43は、回転子13の最外周面に対して径方向内方に位置している。そこで、固定子スロット高調波は第1および第2爪状磁極部20,24の最外周面部に留まり、第1および第2永久磁石33,43を直接誘導加熱するように作用しない。その結果、第1および第2永久磁石33,43が加熱されて、熱減磁することが未然に防止される。
この実施の形態1では、磁石保持のための第1および第2磁石保持穴31,41の穴形状が断面C字状の円弧形の筒状であるので、冷間鍛造製法により作製された第1および第2ポールコア体17,21に、ドリルやリーマなどの回転切削工具による簡便な追加工を施すことにより、高精度の穴寸法の第1および第2磁石保持穴31,41を形成できる。このように、第1および第2磁石保持穴31,41の嵌合面を回転切削工具による切削で作製でき、NC加工機などを使っての立体的な切削加工が必要ではなく、製造時間が短縮されると共に、製造コストを低減することができる。
また、第1および第2永久磁石33,43が第1および第2磁石ケース36,46に組み込まれているので、自動車のエンジンによる振動が車両用交流発電機1に加わっても、第1および第2永久磁石33,43の割れや欠けの発生が抑制される。
また、第1および第2永久磁石33,43が非磁性の第1および第2磁石ケース36,46を介して第1および第2磁石保持穴31,41に装着されているので、第1および第2永久磁石33,43の磁束の一部が第1および第2磁石保持台座30,40に漏れて第1および第2永久磁石33,43に戻る漏れ磁束が減少する。そこで、第1および第2永久磁石33,43から対向する第2および第1爪状磁極部24,20に向かう磁束量が増大し、回転子内部への磁石磁束が増加され、磁気飽和緩和の効果が高められる。
また、上記実施の形態1では、第1および第2永久磁石33,43が第1および第2磁石ケース36,46により第1および第2磁石保持穴31,41に弾性支持されているものとしているが、さらに接着剤を用いて第1および第2永久磁石33,43を第1および第2磁石保持穴31,41に固着するようにしてもよい。
図7はこの発明の実施の形態2に係る車両用交流発電機に適用される回転子を示す分解斜視図、図8はこの発明の実施の形態2に係る車両用交流発電機における永久磁石の磁石ケースへの実装方法を説明する図である。
なお、他の構成は上記実施の形態1と同様に構成されている。
また、第1および第2嵌合部材52,53が磁性材料で作製されているので、第1および第2永久磁石50,51と第1および第2磁石保持台座30,40との間の磁気抵抗が低減される。そこで、上記実施の形態1における第1および第2永久磁石33,43に代えて断面台形の柱状体に作製された第1および第2永久磁石50,51を用いることに起因する磁石磁路の磁気抵抗の増加が抑えられ、回転子の磁気飽和緩和の効果の低下が抑制される。
特に、異方性焼結磁石では、磁石粉末を高圧でプレス加圧し磁場配向しながら焼結体とする。そこで、対向する辺が平行な平面であると、プレス型内で磁石粉末に加わる圧力が均一となり、高密度の磁石を製造できる。また、このようにして得られた焼結体に砥石加工を施して焼結体を所望の外形形状に仕上げた後、所望の形状の磁石を切り出す場合、磁石形状が断面台形であれば、材料歩留まりが高くなる。この時、切り出し面を配向方向面に対して垂直とすることで、断面が台形の磁石が切り出されるので、生産性が高くなると共に、製造コストを低減できる。
また、上記各実施の形態では、磁石ケースがステンレス平板をプレス成形して作製されているものとしているが、磁石ケースはステンレスに限定されるものではなく、永久磁石を保持できる程度の嵌着力(弾性力)があればよく、例えば鉄などの金属やプラスチックを用いることができる。特に、磁石の磁束の一部が磁石保持台座に漏れて永久磁石に戻る漏れ磁束を減少させるには、磁石ケースの材料を非磁性材料とすることが好ましい。
また、第1および第2磁石保持穴の穴中心を必ずしも軸方向に一致させる必要はなく、軸方向に対して傾斜していてもよい。例えば、第1および第2磁石保持穴の穴中心を相対する第2および第1爪状磁極部の先端側の内周面と略平行にすればより好ましい。
Claims (6)
- ボス部、該ボス部の軸方向両端縁部から径方向外方に延設された一対の継鉄部、および該一対の継鉄部のそれぞれから交互に軸方向に延設され、噛み合って周方向に配列された複数の爪状磁極部を有し、上記ボス部の軸心位置に挿通された回転軸に固着されたポールコアと、上記ボス部、上記一対の継鉄部、および上記複数の爪状磁極部に囲まれた空間内に収納された界磁コイルと、を有する回転子と、
上記回転子の外周を所定のエアギャップを介して囲繞して配設された固定子と、を備えた回転電機において、
上記複数の爪状磁極部の先端側の内周面に対向する上記一対の継鉄部の部位に該継鉄部から一体に突設された永久磁石保持部と、
上記永久磁石保持部のそれぞれに穴方向を軸方向に向けて設けられ、軸方向の少なくとも一端が開口し、かつ径方向外方に開口する、断面がC字状の円弧形の磁石保持穴と、
断面がC字状の円弧形の嵌合部および該嵌合部の円弧形の弦部から一体に径方向外方に突出する突出部からなる柱状体に作製され、該嵌合部を上記磁石保持穴に収納され、かつ該突出部を上記磁石保持穴の開口から突出させて配置され、上記界磁コイルの作る磁界の向きと逆向きに着磁配向された永久磁石と、
上記突出部の外周面を覆う形状の冠部および該冠部の両端から上記嵌合部の外周面を覆う形状に延出され、上記嵌合部の外周面の曲率半径より小径の曲率半径を有する一対の断面円弧状の翼部を有し、該冠部が上記突出部に嵌着され、かつ一対の該翼部が断面円弧の湾曲状態を拡大されて復元力を蓄勢した状態で上記磁石保持穴と上記嵌合部との間に介装された磁石ケースと、を備えていることを特徴とする回転電機。 - ボス部、該ボス部の軸方向両端縁部から径方向外方に延設された一対の継鉄部、および該一対の継鉄部のそれぞれから交互に軸方向に延設され、噛み合って周方向に配列された複数の爪状磁極部を有し、上記ボス部の軸心位置に挿通された回転軸に固着されたポールコアと、上記ボス部、上記一対の継鉄部、および上記複数の爪状磁極部に囲まれた空間内に収納された界磁コイルと、を有する回転子と、
上記回転子の外周を所定のエアギャップを介して囲繞して配設された固定子と、を備えた回転電機において、
上記複数の爪状磁極部の先端側の内周面に対向する上記一対の継鉄部の部位に該継鉄部から一体に突設された永久磁石保持部と、
上記永久磁石保持部のそれぞれに穴方向を軸方向に向けて設けられ、軸方向の少なくとも一端が開口し、かつ径方向外方に開口する、断面がC字状の円弧形の磁石保持穴と、
断面がC字状の円弧形の柱状体に作製され、上記磁石保持穴に収納された磁性材料からなる嵌合部材と、
断面四角形の柱状体に作製され、上記嵌合部材の円弧形の弦部で構成される平面上に上記磁石保持穴の開口から突出するように配置され、上記界磁コイルの作る磁界の向きと逆向きに着磁配向された永久磁石と、
上記永久磁石の外周面を覆う形状の冠部および該冠部の両端から上記嵌合部材の外周面を覆う形状に延出され、上記嵌合部材の外周面の曲率半径より小径の曲率半径を有する一対の断面円弧状の翼部を有し、該冠部が上記永久磁石に嵌着され、かつ一対の該翼部が断面円弧の湾曲状態を拡大されて復元力を蓄勢した状態で上記磁石保持穴と上記嵌合部材との間に介装された磁石ケースと、を備えていることを特徴とする回転電機。 - 上記磁石ケースは、金属薄板を屈曲成形して作製されていることを特徴とする請求項1又は請求項2記載の回転電機。
- 上記磁石ケースは、非磁性材料で作製されていることを特徴とする請求項1乃至請求項3のいずれか1項に記載の回転電機。
- 上記永久磁石保持部が、全ての上記爪状磁極部の先端側の内周面に対向する上記一対の継鉄部の部位に突設され、
上記永久磁石が、上記回転軸の中心から上記磁石保持穴に保持された上記永久磁石のそれぞれの上記磁石ケースを含む磁石重心又は上記嵌合部材と上記磁石ケースとを含む磁石重心に向かうベクトルの総和がゼロとなるように配置されていることを特徴とする請求項1乃至請求項4のいずれか1項に記載の回転電機。 - 上記永久磁石が上記永久磁石保持部の全てに保持され、
上記永久磁石が保持された上記永久磁石保持部は、上記回転軸の中心から上記永久磁石が保持された上記永久磁石保持部のそれぞれの永久磁石保持部全体の重心に向かうベクトルの総和がゼロとなるように配置されていることを特徴とする請求項1乃至請求項4のいずれか1項に記載の回転電機。
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