JP4476532B2 - コンデンサ用粉体組成物、その組成物を用いた焼結体、及びその焼結体を用いたコンデンサ - Google Patents

コンデンサ用粉体組成物、その組成物を用いた焼結体、及びその焼結体を用いたコンデンサ Download PDF

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Description

関連出願との関係
この出願は、米国法第111条(b)の規定に従い1999年12月8日に提出された米国仮出願第60/169,626号の出願日の利益を米国法第119条(e)(i)により主張する米国法第111条(a)の規定に基づく出願である。
技術分野
本発明は、新規なコンデンサ用粉体組成物、それを用いた焼結体及びその焼結体を用いたコンデンサに関する。
背景技術
携帯電話やパーソナルコンピューター等の電子機器は形状の小型化、高速性、大容量化の要求にともない、これらに使用されるコンデンサは、小型、大容量のものが必要とされている。
小型のコンデンサの中でも、タンタルコンデンサは見かけの大きさの割りに容量が大きく、性能が良好なため、好んで使用されている。
このタンタルコンデンサの陽極体としては一般的にタンタル粉の焼結体が使用されている。タンタルコンデンサの容量を上げるためには、コンデンサ用粉体の使用量を増大させるか、またはタンタル粉末を微粉化して表面積を増加させた焼結体を用いる必要がある。
前者のコンデンサ用粉体の使用量を増加させる方法では、コンデンサの形状が必然的に大型となり、小型化の要求を満たさず、一方後者のタンタル粉末を微粉化して表面積を増加させる方法では、コンデンサ容量は大きくなるものの漏れ電流値(以下、LCと略記する。)が増大し、共に性能上問題があった。
これらの欠点を解決する研究の一つとして、タンタルよりも誘電率の大きい粉末材料を用いた焼結体のコンデンサが考えられている。このような誘電率の大きい材料としてニオブがある。
焼結体を電解酸化した後、電解電圧の70%電圧で測定した3分経過後の漏れ電流値をLC値と定義したとき、容量と電解電圧との積CVが1g当たり40,000を示す高容量タンタル粉末を使用した焼結体では、そのLC値は通常30μA/g前後であるが、従来のニオブ粉末を使用した焼結体では、タンタル粉末焼結体の100倍以上のLC値を示すとされている。
さらに、この焼結体を用いた従来のコンデンサは、容量劣化の問題があり、信頼性が十分でないため実用に耐えない。
すなわち、このようなニオブの焼結体を用いたコンデンサは、LC不良のため電気機器の消費電力がいたずらに大きくなり、このコンデンサは使用して数年経過すると容量が減少して劣化するというものが少なからず存在し、信頼性が十分とは言えず従来のタンタルコンデンサの代替として実用化できなかった。
一方、タンタルコンデンサにおいても、容量がより大きく、LC値がより低く容量劣化が小さいものが求められている。
発明の概要
従って、本発明の課題は、従来のタンタル粉末を使用したコンデンサより消費電力が小さく、容量劣化が小さく、信頼性の高い新規なコンデンサ用粉体組成物、その組成物の焼結体、及びその焼結体を用いたコンデンサを提供することにある。
本発明者らは、鋭意研究を重ねた結果、ケイ素−酸素結合を有する化合物をタンタルまたはニオブの粉末に特定量添加してなり、一部が窒化されていてもよい平均粒径が0.1〜5ミクロンのコンデンサ用粉体組成物により上記課題が解決されることを見出し、本発明を完成した。
すなわち、本発明は以下のコンデンサ用粉体組成物、その組成物から得られる焼結体、及びその焼結体を用いたコンデンサを提供するものである。
1.ケイ素−酸素結合を有する化合物及びタンタルまたはニオブを含有するコンデンサ用粉体組成物。
2.ケイ素−酸素結合を有する化合物を少なくとも0.5質量%含有する前記1に記載のコンデンサ用粉体組成物。
3.ケイ素−酸素結合を有する化合物を少なくとも1質量%含有する前記1に記載のコンデンサ用粉体組成物。
4.ケイ素−酸素結合を有する化合物を5〜30質量%含有する前記1に記載のコンデンサ用粉体。
5.粉体の平均粒径が0.1〜5ミクロンである前記1乃至4のいずれかに記載のコンデンサ用粉体組成物。
6.コンデンサ用粉体組成物に含まれる成分の少なくとも一部が窒化されている前記1乃至5のいずれかに記載のコンデンサ用粉体組成物。
7.コンデンサ用粉体組成物に含まれるタンタルまたはニオブの一部が窒化されている前記1乃至6のいずれかに記載のコンデンサ用粉体組成物。
8.窒化量が500〜50,000質量ppmである前記6または7に記載のコンデンサ用粉体組成物。
9.前記1乃至8のいずれかに記載のコンデンサ用粉体組成物を焼成して得られる焼結体。
10.前記1ないし5のいずれかに記載のコンデンサ用粉体組成物からなる焼結体を窒素雰囲気中に放置して窒化することにより得られるコンデンサ用窒化焼結体。
11.窒素量が10〜150,000質量ppmである前記10に記載の焼結体。
12.前記9乃至11のいずれかに記載の焼結体を一方の電極とし、その焼結体表面上に形成された誘電体と、前記誘電体上に設けられた他方の電極とから構成されるコンデンサ。
発明の詳細な説明
本発明により、ケイ素−酸素結合を有する化合物をタンタルまたはニオブの粉末に特定量添加してなる粉体組成物により上記課題が解決され、従来のタンタル粉末焼結体あるいはニオブ粉末焼結体に比べて、消費電力及び容量劣化が小さく、信頼性の高いコンデンサが得られる理由の詳細は明らかではないが、次のように考えられる。
本発明のコンデンサ用粉体組成物は、EPMA(電子線マイクロアナリシス)よりタンタルまたはニオブの表面の一部または大部分をケイ素−酸素結合を有する化合物が覆った組成物となっていることが確認されている。
一方、タンタルまたはニオブのみからなる材料を陽極として、電解酸化すると表面に酸化皮膜が形成される。本発明の粉体組成物では、表面の酸化皮膜中にケイ素−酸素結合を有する化合物の少なくとも一部が取り込まれ、その結果タンタルまたはニオブとは異なる、おそらくより大きな誘電率を有する新規な酸化皮膜が形成されているものと推測される。このため、本発明のコンデンサ用粉体組成物を使用した焼結体の容量はタンタルまたはニオブのみからなる焼結体に比較して、漏れ電流(LC)が同一レベルの場合常に大きな容量を示すものと考えられる。
以下、本発明のコンデンサ用粉体組成物についてさらに詳しく説明する。
[ケイ素−酸素結合を有する化合物]
本発明では、タンタルまたはニオブの粉末に、誘電体を形成した時に、誘電体の組成としてケイ素及び酸素が含有されていれば本発明の効果が得られる。
本発明で使用されるケイ素−酸素結合を有する化合物とは、少なくとも分子中にケイ素−酸素結合を有するものであればよく、低分子でもオリゴマーでも高分子でもよい。また、ケイ素と酸素の結合次数は1でも2でもよい。
ケイ素−酸素結合を有する化合物の具体例として、下記式(1)〜(5)で示される化合物またはその縮合物(鎖状物でも環状物でもまた少なくとも一部が架橋していてもよい)、式(6)で示されるモノマー、オリゴマーまたは高分子化合物、式(1)〜(6)で示される化合物の残基とアクリルポリマー、エチレンポリマー、スチレンポリマー、エーテルポリマー等のポリマーの1つからえらばれたポリマーとの結合物、式(1)〜(6)で示される化合物の残基とアクリルポリマー、エチレンポリマー、スチレンポリマーまたはエーテルポリマーなどのポリマーを与えるモノマーとのオリゴマーや共重合体、及び式(7)に代表される酸窒化物が挙げられる。
これらの化合物は単独で、または2種以上を組み合わせて使用することもできる。また式(1)〜(6)で示される化合物に水が付加、包接あるいは結合したものでもよい。
Si(OR)(OR)(OR)(OR) (1)
Si(OR)(OR)(OR)R (2)
Si(OR)(OR)R (3)
Si(OR)R (4)
O=Si(OR)(OR) (5)
−(−SiR−O−Z−)−R (6)
Si (7)
上記式(1)〜(7)において、R〜Rは、水素原子;炭素数6以下のアルキル基;チオール、シアノ、アミノ、ヒドロキシ、エステル、ハロゲン原子、アルケン、アルキン及びシクロアルカンの少なくとも1つにより置換された炭素数6以下のアルキル基;フェニル基;エチレニル基;アシル基;SiRで示されるシリル基(R〜Rは前記と同じ意味を表わす。);金属原子であって、価数が2の場合は前記RまたはRが、価数が3の場合は前記Rが、価数が4の場合は前記Rが金属原子1個に置換されたものを表わす。
例えば、金属原子の価数が2の場合は、(OR)(OR)がO−金属原子−Oのように結合する。
また、式(6)において、Zは−(−CR−)−で示されるアルキレン基、または主鎖中にエーテル、エステル、アミン、ケトン、イミド、ベンゼン環、二重結合、複素環、シクロアルカンの少なくとも一つを有する炭化水素の残基(ここで、R及びRは前記と同じ置換基を表わし、nは6以下の正の整数)である。
式(4)、(6)において、R〜Rはハロゲン原子、NCO、NCS、CNでもよい。
式(1)〜(7)において、Nは窒素原子であり、m、p、q及びrは正の整数である。
このような化合物の具体例として以下のものが挙げられる。
(CHSi(OCH、φSi(OCH(φはフェニル基を表わす。以下同様)、(CHSi(OC、φSi(OC、(CHSi(OAc)の化合物、ならびにこれらの化合物の単独または2種以上の共縮合物であるシリコーン樹脂等の重合体、(CH)Si(OCH、φSi(OCH、(CH)Si(OC、φSi(OC、(CH)Si(OAc)、Cl(CHSi(OCH、HS(CHSi(OCH、NC(CHSi(OCH、HN(CHSi(OCの化合物ならびにこれらの化合物の単独または2種以上の共縮合物であるラダーシリコン、
Si(OCH、Si(OC、Si(OAc)、(CHSiO−CH=CHとその重合物、(CHSiO−CH=CH−CHとその重合物、CH=CH−(CHSiOSi(CHCH=CHとその重合物、CH=Si(CH−O−Si(CHC=CHとその重合物、(CHSi−O−Si(CH、H(CHSi−O−Si(CHH、ClCH(CHSi−O−Si(CHCHCl、HOCH(CHSi−O−Si(CHCHOH、HN(CH(CHSi−O−Si(CH(CHNH、φSi(OH)、(CHSiOH、及びBeSiO、ZnSiO、LiAlSiO、LiBeSiO、PbZnSiO、(Ca,Mn)BeSiO、(Ca,Pb)Zn、MgSiO、FeSiO、(Mg,Fe)SiO、(Fe,Mn,Zn)SiO、(Mn,Fe)SiO、MnSiO、(Mg,Ni)SiO、CaMgSiO、CaFeSiO、CaMnSiO、CaMg(SiO、CaSiOなどのケイ酸塩、
LiAlSiO12・2HOなどのゼオライト化合物、
SiO(NCO)、Si(NCO)、SiO(NCS)、SiO(OCN)、SiBr、SiOH、(HSiO)、表面が二酸化ケイ素で覆われた一酸化ケイ素、SiO・nHO(0≦n≦2)の形で記され、無定形、非晶質、ガラス状、コロイド状、溶液、結晶等で表現されるケイ素−酸素結合を有する化合物、NaSi、NaSi等で代表されるポリケイ酸塩、及びケイ素とアルミ及び/または金属(例えば、マグネシウム、マンガン、リチウム、ランタン、イットリウム、ニオブ、タンタル等)との固溶体等が挙げられる。
[コンデンサ用粉体組成物及び焼結体の製造方法]
本発明のコンデンサ用粉体組成物または焼結体を製造する方法としては、はじめからケイ素−酸素結合を有する上記の化合物をタンタルまたはニオブ粉末に加える方法のほか、ケイ素含有化合物とタンタルまたはニオブとの組成物を製造する段階もしくは焼結体を作製する段階で、加水分解、縮合反応、酸化反応等の化学反応及び/または熱反応によって、ケイ素−酸素結合を有する化合物とタンタルまたはニオブとの組成物からなるコンデンサ用粉体組成物またはそのコンデンサ用粉体組成物を使用した焼結体を製造する方法を用いてもよい。
このようなケイ素含有化合物として下記の式(8)〜(10)で示される化合物や金属ケイ素等を用いることができる。これらは単独で、または2種以上を組み合わせて使用することもできる。
(SiR101112 (8)
Si(Z) (9)
Me(SiX) (10)
式(8)〜(10)中、R〜R12は、水素原子;炭素数6以下のアルキル基;チオール、シアノ、アミノ、ヒドロキシ、エステル、ハロゲン、アルケン、アルキン及びシクロアルカンの少なくとも1つにより置換された炭素数6以下のアルキル基;フェニル基;エチレニル基;エステル基;R1011Siで示されるシリル基(R〜R11は前記と同じ意味を表わす。);金属原子;シアノ基;NCS基;NCO基;ハロゲン原子;P(R基、(Rは前記と同じ意味を表わす。)から選ばれる一つであり、Zは水素、炭素、窒素、イオウ、ホウ素、金属原子、NHから選ばれる一つであり、nは正の整数である。RとR12が結合していてもよい。Nは窒素原子、Xはハロゲン原子を示し、錯結合を含めて最大6個までのハロゲン原子を示す。fは正の整数、g及びhはゼロまたは正の整数、s及びtは正の整数である。
前記式(8)〜(10)で示されるケイ素含有化合物の具体例としては、シラン(例えば、SiH、Si、Si、Si10等)、ポリシラン、ポリジメチルケイ素、ポリジフェニルケイ素、ポリジエチルケイ素、ポリメチルエチルケイ素、ポリメチルフェニルケイ素、ジメチルテトラ(トリメチルシリル)ジシラン、(CHSiCl、(CH)SiCl、φSiCl、φSiCl、NaHSiCl、KHSiCl、NaHSiCl、KHSiCl、LiHSiCl、LiHSiCl、NaSiCl、KSiCl、NaSiCl、KSiCl、LiSiCl、LiSiCl、及びSiH1.2〜SiH1.7、SiC、Si、SiS、SiSe、SiB、SiB12等がある。
本発明では、ケイ素−酸素結合を有する化合物とケイ素含有化合物の両方を原材料として使用し、タンタルまたはニオブとの組成物を作製する段階もしくは焼結体を作製する段階で、加水分解、縮合反応、酸化反応等の化学反応及び/または熱反応でケイ素−酸素結合を有する化合物とタンタルまたはニオブとの組成物を製造する方法、さらには得られるコンデンサ粉体組成物から焼結体を製造する方法を用いてもよい。
本発明で使用するケイ素−酸素結合を有する化合物やケイ素含有化合物が固体の場合、その化合物の平均粒径を10μm以下、好ましくは2μm以下にしておくのがよい。こうすることで前記組成物を製造する時に、タンタルまたはニオブの表面の一部または大部分をケイ素−酸素結合を有する化合物が覆いやすくなる。
前記組成物中のケイ素−酸素結合を有する化合物の含有量は、少なくとも0.5質量%以上、好ましくは1質量%以上、より好ましくは5乃至30質量%である。0.5質量%未満であると、コンデンサ容量を上昇させる効果がなく、また30質量%を超えると、焼結体を作成した際にケイ素−酸素結合を有する化合物とタンタルまたはニオブとの組成物が形成される場所以外に、組成物との混合物としてケイ素−酸素結合を有する化合物のみが残存する場所が増加するため容量がかえって減少する。
本発明の粉体組成物を製造する具体的方法としては、例えば(1)従来公知のタンタル粉またはニオブ粉に前記したケイ素−酸素結合を有する化合物を加えて、乾式あるいは水中または適当な有機媒体中(アルコール、エステル、オイル等)で粉砕して組成物を製造する方法、(2)水素吸蔵したタンタルまたはニオブの塊や小片や粉体に前記したケイ素−酸素結合を有する化合物を加えて乾式あるいは水中または前述した適当な有機媒体中でタンタルまたはニオブを粉砕することにより組成物を得た後脱水素して組成物を製造する方法、(3)前述したタンタル粉またはニオブ粉、水素吸蔵したタンタルまたはニオブの塊、小片もしくは粉体に、ケイ素−酸素結合を有する液状の化合物もしくはケイ素を含有する化合物を加えた後、粉砕して脱水素させ、その工程の前後の適当な時期に酸化反応、加水分解、縮合反応等の化学反応及び/または熱反応させることによって固体状のケイ素−酸素結合を有する化合物が一組成である組成物を製造する方法等が挙げられる。これらの方法は併用してもよい。
前述した方法において、粉砕工程では、適当な材質のボールを加えることによって、粉砕能力を上昇させることもできる。また、乾式粉砕ではジェットミルを使用することができる。また、不活性ガス雰囲気下で粉砕を行うと過度な酸化反応が起こらないため好ましい。
一方、組成物の必須成分であるタンタルまたはニオブとしては、これらを主成分とする合金を用いてもよい。
また、これらのタンタルまたはニオブでは、通常表面が酸化され、おおよそ0.3〜10質量%の酸素を含んでいるので、予めフッ酸、フッ硝酸、フッ酸と過酸化水素水の混合液等で表面酸素を除去または減少させて用いてもよい。
本発明の粉体組成物を製造するに際して、タンタルまたはニオブ原料を粉体で使用する場合、その平均粒径は、タンタルでは5〜0.1μm、好ましくは2〜0.2μm、ニオブでは7〜0.1μm、好ましくは5〜0.1μmである。この上限値を超えると、後記する容量と化成電圧の積CV/g値が20,000を越すことが困難であり、高容量化の要求を満たすことができない。また、0.1μm未満であると、その粉体組成物を用いた焼結体を経てコンデンサを作製する場合、他方の電極となる材料として固体を用いるときその材料の焼結体内部への含浸が困難となりがちである。
また、前記したタンタルまたはニオブ原料の粉体を造粒して平均粒径を1〜2ケタ増大させて二次粒子(一次粒子の形状をおおよそ維持した状態で、一次粒子が凝集した粒子)とした粉体を使用して、粉体組成物を製造してもよい。
また、前述した粉体組成物を製造する方法において、水素吸蔵したタンタルまたはニオブを使用して組成物を製造する場合は、脱水素せずに組成物粉体とした後、焼結時に脱水素してもよい。組成物の段階で脱水素する場合も、焼結時に脱水素する場合も、LC値の点から最終的な焼結体の時での残存水素量を0.02質量%以下にしておくことが好ましい。
本発明の粉体組成物で使用するタンタルまたはニオブとして、一部窒化したタンタルまたはニオブを使用してもよい。その窒化量は、500〜50,000質量ppm、好ましくは700〜10,000質量ppm、より好ましくは1,000〜7,000質量ppmである。窒化量がこの範囲であると、組成物からなるコンデンサ用粉体から作製した焼結体のLC値はさらに良好な値を示す。
また本発明では、コンデンサ用粉体組成物の成分の一部を窒化しておいてもよい。あるいは、前述したようにタンタルまたはニオブの一部を窒化した後、さらに粉体組成物としてからもう一度窒化してもよい。その窒化量は、数100〜数10000質量ppm、好ましくは、500〜7,000質量ppmである。窒化量がこの範囲にあると、その粉体組成物から作製した焼結体のLC値は、さらに良好な値を示す。焼結体作成後窒化させて所望の窒化量を得るとLC値のバラツキを抑えることができより好ましい。
ここで、タンタルまたはニオブあるいは組成物成分の窒化とは、単に材料に窒素が吸着したものではなくて、組成物材料成分に窒素が固溶したり、包接したり、化学反応した状態をいう。
これらの材料成分の窒化は、液体窒化、イオン窒化、ガス窒化などのうちいずれかあるいはそれらを組み合わせた方法で実施することができる。
窒素ガス雰囲気によるガス窒化処理は、装置が簡便で操作が容易なため好ましい。例えば、窒素ガス雰囲気によるガス窒化方法は前記材料を窒素雰囲気中に放置することによって達成される。窒化する雰囲気温度は2,000℃以下、好ましくは300〜1,000℃、放置時間は数10時間以内で目的とする窒化量のタンタルまたはニオブあるいは組成物が得られる。高温で処理することにより処理時間を短くすることができる。500〜7,000質量ppmの範囲に入るように、窒化温度と窒化時間を予備実験等で確認した条件で管理することができる。
本発明の粉体組成物の平均粒径は、5μm以下、好ましくは0.1〜5μmである。この粒径範囲をはずれると、前述したタンタルまたはニオブの粉体の粒径範囲の場合と同様に容量低下が発生したり、あるいは陰極材料の含浸が困難になりがちになる。また、陰極材料の含浸を容易にするために、本発明の組成物を前述したタンタルまたはニオブ粉の場合と同様に造粒して二次粒子としておいてもよい。
本発明のコンデンサ用粉体組成物を用いた焼結体は、前述のコンデンサ用粉体を焼結して製造する。焼結体の製造方法は特に限定されるものではないが、例えば、コンデンサ用粉体を所定の形状に加圧成形した後1〜1×10−6Torr(1.33×10〜1.33×10−4Pa)で数分〜数時間、500〜2,000℃で加熱して得られる。
焼結に際しては、コンデンサ用粉体に粉体の数質量%のバインダー(例えば、しょうのう、アクリル系ポリマー、ポリビニルアルコール等のバインダー成分のアルコールなどの有機溶媒または水の数質量%溶液)を加えて加圧成形することによって成形強度を上昇させてもよい。
また、コンデンサ用粉体組成物の段階までは、液状のケイ素−酸素結合を有する化合物もしくはケイ素を含有する化合物とタンタルまたはニオブの組成物としておき、該組成物から焼結体を作製する焼結時に加水分解、縮合反応や酸化反応または/及び熱反応を行うことによって、固体状のケイ素−酸素結合を有する化合物とタンタルまたはニオブの組成物からなる粉体を用いた焼結体とすることもできる。
ケイ素を含有する化合物を組成物の成分として用いる場合は、例えば、焼結時の比較的低温領域で主として空気または酸素を導入して、前記ケイ素を含有する化合物を酸化することによって、ケイ素−酸素結合を有する化合物に変えた後、高温域で前述したような真空度で焼結体にすることができる。この場合、組成物の他の成分であるタンタルまたはニオブの酸化反応が過度に3質量%を超える程度まで起こらないように、空気または酸素を導入する温度及び時間を予備実験によって確認しておくことが好ましい。
本発明により窒化された焼結体を得る別の実施態様を説明する。
本発明のコンデンサ用粉体組成物を用いた成形体を焼結後に、その焼結体を窒素雰囲気中に放置することにより、一部が窒化したニオブの焼結体を得ることができる。この一部が窒化したニオブ焼結体を一方の電極とし、その表面に形成された誘電体と、他方の電極とから構成されたコンデンサを作成すると、LC特性が良好で、特にバラツキの小さいコンデンサが製造できる。
この場合、焼結体中に結合するた窒素量を、10〜150,000質量ppm、好ましくは100〜50,000質量ppmとすることにより、LC値を小さくすることができる。
窒化する温度は、2,000℃以下、好ましくは300〜1,000℃、時間は数10時間で目的とする窒素量のニオブ焼結体が得られるが、一般に高温ほど短時間で窒化される。また、室温でも窒素雰囲気下で数10時間ニオブ焼結体を放置しておくと、数100質量ppmの窒素量のニオブ焼結体が得られる。また窒素を加圧導入することにより、窒化の時間を短縮することが可能である。逆に窒素を減圧下に導入すると窒化の時間が遅くなる。例えば、1/100Torr(1.33Pa)などの極端な減圧下に前記ニオブ焼結体を放置しても、工業的な実施に適した数10時間の範囲で窒化は殆ど起こらない。
[コンデンサの製造]
前述した焼結体を一方の電極とし、その表面に形成した誘電体を他方の電極の間に介在させたコンデンサを製造する。本コンデンサでは、タンタルまたはニオブの酸化物と、ケイ素−酸素結合を有する化合物または該化合物が製造過程で化学反応した結果として生成された化合物との複合体が、誘電体として機能していると考えられる。例えば、複合体は一方の電極である組成物から作製した焼結体を電解液中で化成することによって得られる。焼結体を電解液中で化成するには、通常プロトン酸水溶液、例えば0.1%りん酸水溶液または硫酸水溶液を用いて行われる。前記焼結体を電解液中で化成して、複合体と考えられる誘電体を形成させ、これを用いてコンデンサを作成したものは電解コンデンサとなる。この場合は焼結体側が陽極となる。
一方、本発明のコンデンサにおいて、他方の電極は格別限定されるものではなく、例えばアルミ電解コンデンサ業界で公知の電解液、有機半導体及び無機半導体から選ばれた少なくとも一種の化合物が使用できる。
電解液の具体例としては、イソブチルトリプロピルアンモニウムボロテトラフルオライド電解質を5質量%溶解したジメチルホルムアミドとエチレングリコールの混合溶液、テトラエチルアンモニウムボロテトラフルオライドを7質量%溶解したプロピレンカーボネートとエチレングリコールの混合溶液等が挙げられる。
有機半導体の具体例としては、ベンゾピロリン四量体とクロラニルからなる有機半導体、テトラチオテトラセンを主成分とする有機半導体、テトラシアノキノジメタンを主成分とする有機半導体、下記一般式(11)または(12)で示される高分子にドーパントをドープした電導性高分子を主成分とした有機半導体が挙げられる。無機半導体の具体例としては二酸化鉛または二酸化マンガンを主成分とする無機半導体、四三酸化鉄からなる無機半導体などが挙げられる。このような半導体は単独でも、または二種以上組み合わせて使用してもよい。
Figure 0004476532
式(11)及び(12)において、R13〜R16は水素、炭素数1〜6のアルキル基または炭素数1〜6のアルコキシ基を表わし、これらは互いに同一であっても相違してもよく、Xは酸素、イオウまたは窒素原子を表わし、R17はXが窒素原子のときのみ存在して水素または炭素数1〜6のアルキル基を表わし、R13とR14及びR15とR16は互いに結合して環状になっていてもよい。nは重合度を示す。
式(11)または(12)で示される高分子としては、例えば、ポリアニリン、ポリオキシフェニレン、ポリフェニレンサルファイド、ポリチオフェン、ポリフラン、ポリピロール、ポリメチルピロール、及びこれらの高分子の誘導体などが挙げられる。
上記有機半導体及び無機半導体として、電導度10−2S・cm−1〜10S・cm−1の範囲のものを使用すると、作製したコンデンサのインピーダンス値がより小さくなり、高周波での容量をさらに一層大きくすることができる。
さらに他方の電極が固体の場合には、例えば他方の電極上にカーボンペースト、銀ペーストを順次積層し、エポキシ樹脂のような材料で封口してコンデンサが構成される。このコンデンサは、前記焼結体と一体に焼結成形するか、または後で溶接したニオブまたはタンタルリードを有していてもよい。また他方の電極が液体の場合には、前記両極と誘電体から構成されたコンデンサを、例えば、他方の電極と電気的に接続した缶に収納してコンデンサが形成される。この場合焼結体の電極側は、前記したニオブまたはタンタルリードを介して外部に導出されると同時に、絶縁性ゴム等により、缶との絶縁がはかられるように設計される。
以上説明したLC値が良好で容量が大きい本発明の焼結体を用いてコンデンサを作製することにより、LC値の小さい信頼性の良好な高容量コンデンサを得ることができる。
発明を実施するための最良の形態
以下、本発明を下記の具体例に基づいて詳細に説明するが、下記の例より本発明は何ら制限されるものではない。
なお、下記の試験例において各種の物性値は以下の方法により測定した。
1)粉体のケイ素−酸素結合を有する化合物の含有量
ICP(高周波誘導結合プラズマ)発光分析を行うことにより得たケイ素量と化合物の構造を基にして計算で求めた。なお含水物の計算においては、含水していないものとして含有量を求めた。
2)粉体の窒化量
熱伝導度から窒素量を求める酸素窒素量測定器(LECO社製)を用いて粉体の窒素量を求め、別途測定した粉体の質量との比を窒化量とした。
3)化成後の焼結体の容量
室温において30%硫酸中に浸漬させた焼結体と硫酸液中に入れたタンタル材の電極と間にLCR測定器(ヒューレット・パッカード(HP)社製)を接続して測定した120Hzでの容量を焼結体の容量とした。
4)焼結体の漏れ電流(LC)
室温において20%りん酸水溶液中に浸漬させた焼結体とりん酸水溶液中に入れた電極と間に誘電体作製時の化成電圧の70%の電圧(14V)の直流電圧を3分間印可し続けた後に測定された電流値を焼結体の漏れ電流値とした。
5)チップに加工したコンデンサの容量
室温において作製したチップの端子間にLCR測定器(HP製)を接続して測定した120Hzでの容量を、チップに加工したコンデンサの容量とした。
6)チップに加工したコンデンサの漏れ電流
定格電圧値(2.5V、4V、6.3V、10V、16V、25V等)のうち誘電体作製時の化成電圧の約1/3〜約1/4に近い直流電圧(6.3[V])を、室温において、作製したチップの端子間に1分間印可し続けた後に測定された電流値をチップに加工したコンデンサの漏れ電流値とした。
実施例1:コンデンサ用粉体組成物の製造
試験例1(1〜11)、2(1〜11)、3(1〜8)、4(1〜9)、5(1〜10)及び6(1〜6):
約10mmφのタンタル棒(99.9質量%純度)を水素化したものを粗粉砕し、数mm程度の大きさの塊状物とした。この塊状物に下記(1)〜(6)に示すケイ素−酸素結合を有する化合物を加え水中自動乳鉢で粉砕した。
Figure 0004476532
(2)Si(OC(試験例2)、
(3)MnSiO・nHO(平均粒径(D50)=1μm)(試験例3)、
(4)CaMnSiO(D50=1μm)(試験例4)、
(5)非晶質SiO(D50=0.02μm)(試験例5)、
(6)珪灰石(CaSiO)(D50=0.9μm)(試験例6)。
粉砕終了後、粉砕物を遠心分離し、上ずみ部を除去した後、残りを乾燥し、ケイ素−酸素結合を有する化合物とタンタルとからなる組成物を得た。ケイ素−酸素結合を有する化合物の投入量と粉砕時間を変更することにより組成物中のケイ素−酸素結合を有する化合物の含有量と組成物の粒径を管理した。さらに組成物を450℃で減圧下に放置することにより脱水素し、残存水素量100質量ppm以下の組成物とした。作製した組成物中のケイ素−酸素結合を有する化合物の含有量と平均粒径の値を表1に記載した。また、表1にはケイ素−酸素結合を有する化合物を加えない場合の試験例をも示した。
試験例7(1〜4):
試験例3中で、組成物中のMnSiO・nHO(D50=1μm)の含有量が6.2質量%〔3(5)〕と13質量%〔3(6)〕の2種類のものについて、それぞれ400℃で窒素気流中の3時間または800℃で窒素気流中に5時間放置することにより、夫々、一部チッ化された組成物を得た(試験例7(1):含有量6.2%,窒化量0.31%、試験例7(2):含有量6.2%,窒化量0.68%、試験例7(3):含有量13%,窒化量0.38%、試験例7(4):含有量13%,窒化量0.73%)。組成物の物性値を表1に記載した。
Figure 0004476532
Figure 0004476532
試験例8(1〜12)、9(1〜10)、10(1〜8)及び11(1〜6):
約44mmφのニオブ棒(99.7質量%純度)を水素化したものを粗粉砕し数mm程度の大きさの塊状物とした。この塊状物に下記(1)〜(4)に示すケイ素−酸素結合を有する化合物を加え水中自動乳鉢で粉砕した。
(1)NH(CH−Si(OC(試験例8)、
(2)MnSiO・nHO(D50=1μm)(試験例9)、
(3)非晶質SiO(D50=0.02μm)(試験例10)、
(4)ケイ酸(D50=2μm)(試験例11)。
ついで、試験例1と同様に後処理して、種々の濃度にケイ素−酸素結合を有する化合物とニオブとの組成物を得た。組成物の物性値を表2に記載した。
試験例12:
試験例9(1)で用いた、窒化量0.21質量%のケイ素−酸素結合を有する化合物が含有されていないニオブ粉(脱水素していない)に、平均粒径1μmのケイ酸マンガン(MnSiO・nHO,D50=1μm)を加えて、試験例9(8)と同様に、粉砕及び後処理をして、ケイ酸マンガンがおおよそ13質量%入った組成物を得た。さらにこの組成物を減圧下に450℃で放置することにより脱水素し、残存水素量100質量ppm以下の組成物とした。作製した組成物の物性値を表2に記載した。
試験例13(1〜3):
試験例9(8)で窒化温度を順に250℃、300℃、800℃で2時間とした以外は試験例9(8)と同様にして組成物を作製した。作製した組成物の物性値を表2に併記した。
試験例14(1〜4):
試験例8でNH(CH−Si(OCを加える代わりに、テトラブロモシラン〔試験例14(1)〕、Si(NCO)〔試験例14(2)〕、微粉SiS〔(試験例14(3)〕、微粉Si〔試験例14(4)〕のケイ素含有化合物を夫々加えて粉砕した以外は試験例8と同様にして窒化・脱水素した組成物を得た。その後、試験例14(1)、14(2)、14(3)では真空下300℃で加熱、試験例14(3)では350℃で二酸化炭素を通じることにより、各例とも、ケイ素−酸素結合を有する化合物SiOとニオブとの組成物を得た。各例の物性値を表2に併記した。
Figure 0004476532
Figure 0004476532
実施例2:焼結体の製造
試験例1〜14で得た組成物からなる粉体を夫々0.14g(試験例1〜7)またはそれぞれ0.10g(試験例8〜14)とり、タンタルリード(試験例1〜7またはニオブリード(試験例8〜14)と一緒に成形して、大きさ3.8〜4.5×3.5×1.8mmの成形体を得た。引き続き該成形体を真空(3×10−5Torr(4×10−3Pa))中、1,550℃(試験例1〜7)または1,200℃(試験例8〜14)で焼結させ、焼結体を得た。該焼結体を夫々10本用意し、0.1%リン酸水溶液中、20Vの化成電圧で電解酸化して表面に電解酸化皮膜を形成した。酸化皮膜を形成した焼結体の単位質量あたりのLC値及びCV値(各10点の平均)を試験例1〜7の組成物からの焼結体を表3に、試験例8〜14の組成物からの焼結体を表4に示した。また、表1ないし表4のデータに基づいてケイ素−酸素結合を有する化合物含有量毎に、容量と電解電圧との積(CV/g)と漏れ電流(LV/g)との関係を図1に示した。
Figure 0004476532
Figure 0004476532
Figure 0004476532
Figure 0004476532
図1から明らかなように、上記のそれぞれの組成物からなるコンデンサ用粉体を使用して焼結体を作製し、該焼結体の表面に誘電体酸化皮膜を形成してLC値とCV値を評価すると、前記組成物中のケイ素−酸素結合を有する化合物の含有量が少なくとも0.5質量%以上(左から2番目の線参照)、好ましくは1質量%以上(左から3番目の線参照)、より好ましくは5乃至30質量%(最左端の線参照)であると、同一LC値では常にCV値が0乃至0.5質量%(最左端の線参照)である時に比して数倍大きくなることがわかる。
本発明では、V=20と一定にしているので、常に容量Cが大きくなることがわかる。また、表5のコンデンサの性能を比較することにより、ケイ素−酸素結合を有する化合物とタンタルまたはニオブとの組成物からなるコンデンサ用粉体を使用してコンデンサを作製すると、該化合物がない場合に比較して常に容量が大幅に大きくなり、同一CV値のものを対比する時はLC値が数分の一に小さいことがわかる。
実施例3:コンデンサの作製
試験例15(1〜16):
試験例2(1)、3(6)、5(1)、5(7)及び試験例9(1)、9(8)、10(1)、10(6)と同様に作成した電解酸化皮膜を有する焼結体をそれぞれ20個用意し、他方の電極として、硫酸鉛水溶液中で酸化反応を繰り返して、二酸化鉛と硫酸鉛(98質量%)の混合物(試験例15(1)〜15(9))、及びポリピロール・ドーパント溶液中での酸化反応の繰り返しによりポリピロール(試験例15(9)〜15(16)を形成した。引き続き、その上にカーボン層、銀ペースト層を順次に積層し、次にリードフレームに載せた後、全体をエポキシ樹脂で封止して、チップ型コンデンサを作製した。表5に作製したコンデンサの容量とLC値の平均値(n=各20個の平均。LC値は室温、1分間6.3V印加時の測定値)を示した。
さらに、ここで作成した各コンデンサを105℃に放置し、105℃の条件で、6.3Vを印加して容量劣化を調べる加速試験を行った。1,000時間経過後のコンデンサの容量低下量が初期容量の20%未満であった個数を表5に示す。
Figure 0004476532
表5の結果から、本発明のコンデンサは数年使用しても容量減少が少なく、信頼性が高いことが明らかである。
産業上の利用可能性
本発明のコンデンサ用粉体組成物を用いた焼結体から作製したコンデンサでは、従来実用化されているタンタルコンデンサより容量が大きいものが得られる。また、その焼結体から作製したコンデンサは容量劣化が小さく信頼性が高いものであり、更に同一CV値で比較するとLVは従来品に比べ数分の一の値のコンデンサとなり、同一LV値であると数倍のCV値を有するコンデンサとなる、高CV、低LCが実現できる優れたコンデンサが得られる。
【図面の簡単な説明】
図1は、実施例2の各焼結体について、そのケイ素−酸素結合を有する化合物含有量毎に、容量と電解電圧との積(CV/g)と漏れ電流(LV/g)との関係を図示したグラフである。

Claims (11)

  1. ケイ素−酸素結合を有する化合物及びタンタルまたはニオブを含有し、粉体の平均粒径が0.1〜5ミクロンであるコンデンサ用粉体組成物。
  2. ケイ素−酸素結合を有する化合物及びタンタルまたはニオブを含有し、含まれる成分の少なくとも一部が窒化されているコンデンサ用粉体組成物。
  3. ケイ素−酸素結合を有する化合物を少なくとも0.5質量%含有する請求項1または2に記載のコンデンサ用粉体組成物。
  4. ケイ素−酸素結合を有する化合物を少なくとも1質量%含有する請求項1または2に記載のコンデンサ用粉体組成物。
  5. ケイ素−酸素結合を有する化合物を5〜30質量%含有する請求項1または2に記載のコンデンサ用粉体。
  6. コンデンサ用粉体組成物に含まれるタンタルまたはニオブの一部が窒化されている請求項1乃至のいずれかに記載のコンデンサ用粉体組成物。
  7. 窒化量が500〜50,000質量ppmである請求項に記載のコンデンサ用粉体組成物。
  8. 請求項1乃至のいずれかに記載のコンデンサ用粉体組成物を焼成して得られる焼結体。
  9. 請求項1乃至5のいずれかに記載のコンデンサ用粉体組成物からなる焼結体を窒素雰囲気中に放置して窒化することにより得られるコンデンサ用窒化焼結体。
  10. 窒化量が10〜150,000質量ppmである請求項に記載の焼結体。
  11. 請求項乃至10のいずれかに記載の焼結体を一方の電極とし、その焼結体表面上に形成された誘電体と、前記誘電体上に設けられた他方の電極とから構成されるコンデンサ。
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