以下、本発明の実施形態を添付図面を参照しつつ詳細に説明する。
<実施形態1>
図1は、本発明の原稿送り装置の実施形態1を示す側面図である。また、図2は、本実施形態の原稿送り装置を示す平面図である。本実施形態の原稿送り装置は、例えば原稿を読取って複写する複写機に適用されるものであり、原稿Pを原稿トレイ1から引き出して、この原稿Pを原稿の読取り窓2まで搬送し、更に原稿Pを原稿排紙トレイ3へと搬送して排出する。
この原稿送り装置は、原稿が載置される原稿トレイ1、原稿が排出される原稿排紙トレイ3、及び各トレイ1、3間で原稿を搬送する原稿搬送機構4を備えている。
原稿搬送機構4は、原稿Pを原稿トレイ1から引き出し、この原稿Pを原稿の読取り窓2を介して原稿排紙トレイ3へと搬送するための搬送路6を備えている。この搬送路6の上流端側(原稿トレイ1の排出側に対向する部分)には、呼び込みローラ8及び一対のサバキローラ9が配設されている。呼び込みローラ8は、連結アーム7の先端に回転自在に支持されており、この連結アーム7の回転移動により呼び込みローラ8の昇降が可能にされている。原稿Pが原稿トレイ1に載置される前は、呼び込みローラ8が上方に移動され、この状態で原稿Pが原稿トレイ1に載置され、原稿Pの先端が原稿トレイ1と呼び込みローラ8間に滑り込んで位置Aに至る。そして、呼び込みローラ8が下方に移動されると、呼び込みローラ8が原稿Pの先端近傍に接触する。この後、呼び込みローラ8が回転されると、呼び込みローラ8により原稿トレイ1の原稿Pが引き出され、この原稿Pが各サバキローラ9の間を通過して搬送されて行く。
搬送路6の途中には一対のPSローラ10が設けられ、更に下流側に搬送ローラ11並びに原稿の読取り窓2が設けられ、この原稿の読取り窓2の下方に原稿画像を読取るスキャナー(図示せず)が設けられている。各PSローラ10は、その回転を一時的に停止されており、各サバキローラ9の間を経由して来た原稿Pの先端が該各PSローラ10に突き当たって、原稿Pの先端が該各PSローラ10と平行に揃えられる。そして、各PSローラ10は、スキャナー(図示せず)による読取開始時に原稿Pの先端が原稿の読取り窓2に達する様なタイミングで、その回転を開始して、原稿Pの搬送を開始する。搬送ローラ11は、原稿Pを読取り窓2上で滑らせる様に搬送する。
スキャナーは、原稿Pの読取り窓2を通じて、該原稿Pの読取り窓2上で副走査方向に搬送される原稿Pを照明し、原稿画像を主走査方向に繰り返し読取って、原稿画像全体を読取る。
原稿の読取り窓2の下流側には、一対の原稿排紙ローラ12及び原稿排紙トレイ3が設けられている。原稿の読取り窓2上を通過して来た原稿Pは、各原稿排紙ローラ12を通じて原稿排紙トレイ3に排出される。
ところで、この様な原稿送り装置においては、原稿の先端を各PSローラ10と平行に揃えてから、原稿を読取り窓2まで搬送して、原稿画像をスキャナーにより読取り、これにより原稿画像が斜めに読取られることを防止している。
しかしながら、呼び込みローラ8による引き出しに際して原稿が大きく斜行すると、原稿を各PSローラ10に当接させるだけでは、原稿の先端を各PSローラ10と平行にすることができなくなる。また、原稿の先端を各PSローラ10に当接させて揃えることができたとしても、図20に示す様に原稿Pの中心線Piがスキャナーによる原稿の読取り中心S1からずれてしまう。
このため、原稿送り装置では、原稿Pを案内する一対のガイド板18a、18bを原稿トレイ1に設け、図3に示す様に各ガイド板18a、18bにより原稿Pの両側辺を案内して、原稿Pの斜行を防止している。また、各ガイド板18a、18bを原稿Pの送り出し方向と直交する方向に移動自在に支持し、各ガイド板18a、18bをラックアンドピニオンギア等の伝達機構(図示せず)を通じて連動させて、各ガイド板18a、18bを原稿の読取り中心に対して対称移動させる様にしている。これにより、原稿Pの幅に応じて各ガイド板18a、18b間の距離を調節して、原稿Pの読取り中心をずらさずに、各ガイド板18a、18bにより様々な幅の原稿を案内することができる。
ただし、各ガイド板18a、18b間に載置された複数枚の原稿Pの幅が相互に異なっていたならば、最大幅の原稿のみが各ガイド板18a、18bにより案内され、狭い幅の原稿が案内されないので、狭い幅の原稿の斜行が発生する。例えば、図4(a)、(b)に示す様に狭い幅の原稿Pが各ガイド板18a、18bの一方に接しかつ他方から離間した状態であるとすると、呼び込みローラ8が原稿Pの中心線Piから外れた位置に接触し、呼び込みローラ8の引き出す力が原稿Pの中心線Piから外れた位置に加わるので、原稿Pの中心線Pi上の重心Pj周りにモーメントが発生し、図4(c)に示す様に原稿Pが矢印方向Cに斜行する。
そこで、本実施形態では、ガイドユニット21を移動体19に搭載し、この移動体19を呼び込みローラ8と各サバキローラ9間で原稿の搬送方向と直交する方向に移動自在に支持し、移動体19並びにガイドユニット21を原稿の搬送方向と直交する方向に適宜に移動させて、一方のガイド板18aとガイドユニット21との間で狭い幅の原稿の両側辺を案内することを可能にし、その斜行を防止している。
図5(a)は、移動体19のガイドユニット21を示す側面図である。図6(a)、(b)は、移動体19を示す側面図及び平面図である。また、図7は、移動体19の内部構造を示す平面図である。
移動体19は、原稿の搬送路6の下方に配置されている。この移動体19の筐体19aは、原稿の搬送方向と直交する方向に平行移動自在に支持されており、この筐体19aに同直交する方向に軸支されたウォームギア20が歯合されて挿通されている。また、この移動体19の筐体19aには、ガイドユニット21が内蔵されている。このガイドユニット21は、可動ガイド板22、原稿検知板23、及びコイルバネ24を組み合わせたものである。
可動ガイド板22は、横長の連結片部22aと、この連結片部22aの上辺左側から突出したガイド片部22bとを有している。この横長の連結片22aには、長径孔22cが形成されている。この連結片部22aの左側下端部の軸22dが移動体19の筐体19aの側壁19bで回動自在に支持され、その上端辺22eがコイルバネ24を介して筐体19aの天板裏面に接続され、コイルバネ24により上端辺22eが上側に引き上げられている。このとき、横長の連結片部22aが原稿の搬送路6と略平行になり、ガイド片部22bが筐体19aの天板の孔及び原稿の搬送路6の孔6aを通じて該搬送路6上方に突出する。
原稿検知板23は、横長の連結部23aと、この連結片部23aの上辺右側から突出した検知片部23bとを有している。この横長の連結片部23aの右側下端の軸23cが移動体19の筐体19aの側壁19bで回動自在に支持され、その左側端部の突起23dが可動ガイド板22の連結片部22aの長径孔22cに移動自在に挿入されている。このとき、原稿検知板23の連結片部23aの突起23dが可動ガイド板22の連結片部22aの長径孔22cにより支持されて、横長の連結片部23aが原稿の搬送路6と略平行になり、検知片部23bが筐体19aの天板の孔及び原稿の搬送路6の孔6bを通じて該搬送路6上方に突出する。
この様に可動ガイド板22のガイド片部22b及び原稿検知板23の検知片部23bが搬送路6上方に突出した状態では、ガイド片部22bにより原稿Pの一方の側片を案内することが可能である。
また、図5(b)、(c)に示す様に原稿Pが原稿トレイ1から搬送されて来て、この原稿Pの先端が原稿検知板23の検知片部23bに突き当たると、この検知片部23bが左方向に押される。このため、原稿検知板23には右側下端の軸23cを中心とする反時計回り方向のモーメントが生じ、この原稿検知板23が反時計回り方向に回転して、この原稿検知板23の検知片部23bが搬送路6の下方に沈み込もうとする。このとき、この原稿検知板23の連結片部23aも反時計回り方向に回転して下方に移動し、連結片部23aの突起23dが可動ガイド板22の連結片部22aの長径孔22cを押し下げ、可動ガイド板22に左側下端の軸22dを中心とする時計周り方向のモーメントが生じる。この可動ガイド板22の時計周り方向のモーメントがコイルバネ24の弾性力に打ち勝って、この可動ガイド板22が時計回りに回転し、この可動ガイド板22のガイド片22bが時計回り方向に回転して原稿の搬送路6の下方に沈み込み、同時に原稿検知板23の検知片部23bが原稿の搬送路6の下方に沈み込む。
そして、原稿Pが原稿検知板23の検知片部23bの部位を通っている間は、原稿Pの重量が検知片部23bを原稿の搬送路6の下方に押し下げているので、ガイド片部22bも原稿の搬送路6の下方に沈み込んだ状態が維持される。
すなわち、原稿トレイ1から搬送されて来た原稿Pが原稿検知板23の検知片部23bの部位を通過するときには、可動ガイド板22のガイド片部22b及び原稿検知板23の検知片部23bが搬送路6下方に沈み込み、原稿Pがガイド片部22b及び検知片部23bの上を通過して行く。
更に、原稿Pが原稿検知板23の検知片部23bの部位を通過した後は、この検知片部23bが原稿Pの重量から開放されるので、コイルバネ24により可動ガイド板22の連結片部22aが引き上げられ、これに連動して原稿検知板23の連結片部23aもに引き上げられ、検知片部23b及びガイド片22bが原稿の搬送路6の上方に突出して、元の状態に戻る。
図8に示す様に原稿検知板23を可動ガイド板22よりも一方のガイド板18aから離間した位置に設けているので、ガイド板18aと可動ガイド部22のガイド片部22bにより原稿Pの両側辺が案内されているときには、原稿Pが原稿検知板23の検知片部23bに接することがなく、可動ガイド板22のガイド片部22bが下方に沈み込まず、このガイド片部22bによる原稿Pの案内を維持することができる。
また、各ガイド板18a、18b間で広い幅の原稿が案内されているときには、この広い幅の原稿の先端が原稿検知板23の検知片部23bに突き当たって、ガイド片部22bが搬送路から退くので、原稿の搬送が妨げられることがない。
更に、原稿検知板23を可動ガイド板22よりも原稿搬送方向上流側に設けているので、まず原稿の先端が原稿検知板23の検知片部23bが突き当たって、検知片部23b及びガイド片22bが搬送路6の下方に沈み込んでから、これらの検知片部23b及びガイド片22bの上を原稿が通過するので、原稿の搬送が妨げられることはない。
一方、図2及び図7(b)に示す様にステッピングモータ31の出力軸を2枚のギア32を介してウォームギア20に伝達し、ウォームギア20を回転させる様にしている。このウォームギア20を回転させると、ウォームギア20に歯合している移動体19の筐体19aが原稿の搬送方向と直交する方向に平行移動し、移動体19並びにガイドユニット21が同直交する方向に平行移動する。従って、移動体19並びにガイドユニット21を移動させて、一方のガイド板18aとガイドユニット21のガイド片部22b間の離間距離を適宜に調節すれば、両者間で様々な幅の原稿を案内することができる。
ここで、制御部33は、広い幅の原稿の定型サイズと狭い幅の原稿の定型サイズを入力指示されると、ステッピングモータ31を駆動制御して、ウォームギア20の回転角度を制御し、移動体19並びにガイドユニット21の位置を調節して、一方のガイド板18aとガイドユニット21のガイド片部22b間の離間距離を該狭い幅に合わせる。
例えば、広い幅の原稿の定型サイズとして定型サイズA3の横置き原稿又は定型サイズA4の縦置き原稿(幅が297mm)が入力指示され、狭い幅の原稿の定型サイズとして定型サイズB4の横置き原稿又は定型サイズB5の縦置き原稿(幅が257mm)が指示されると、各ガイド板18a、18b間の離間距離が広い幅に一致する様に調節された状態で、一方のガイド板18aとガイドユニット21のガイド片部22b間の離間距離が狭い幅に一致する様な移動体19並びにガイドユニット21の位置を求める。そして、ウォームギア20の回転角度を制御し、この求めた位置まで移動体19並びにガイドユニット21を移動させる。
原稿の定型サイズが予め決まっているので、広い幅と狭い幅の種々の組み合わせに対応するぞれぞれの位置を求めて制御部33のメモリ(図示せず)に予め記憶しておき、広い幅の原稿の定型サイズと狭い幅の原稿の定型サイズを入力指示されたときに、この広い幅と狭い幅の組み合わせに対応する位置をメモリから読み出して、この位置まで移動体19並びにガイドユニット21を移動させれば良い。
この様な構成の原稿送り装置において、ユーザは、広い幅の原稿と狭い幅の原稿を原稿トレイ1に混在させて載置する際に、全ての原稿の一側辺を一方のガイド板18aに当接させた上で、各ガイド板18a、18bを対称移動させて、各ガイド板18a、18b間の離間距離を広い幅の原稿に合わせる。これにより、各ガイド板18a、18b間で広い幅の原稿を案内することが可能になる。また、ユーザは、入力操作部(図示せず)を操作して、広い幅の原稿の定型サイズと狭い幅の原稿の定型サイズを入力する。これに応答して制御部33は、この広い幅と狭い幅の組み合わせに対応する位置をメモリから読み出し、ステッピングモータ31を駆動制御して、この位置まで移動体19並びにガイドユニット21を移動させ、一方のガイド板18aとガイドユニット21のガイド片部22b間の離間距離を狭い幅に一致させる。これにより、一方のガイド板18aとガイド片部22b間で狭い幅の原稿を案内することが可能になる。
従って、本実施形態の原稿送り装置では、各ガイド板18a、18bにより広い幅の原稿を案内したり、一方のガイド板18aとガイドユニット21との間で狭い幅の原稿を案内することができ、それらの斜行を防止することができる。
また、各ガイドユニット21を呼び出しローラ8と各サバキローラ9間に配置しているので、各ガイドユニット21が原稿トレイ1への原稿の載置に邪魔になることがない。
尚、原稿の定型サイズとしては、JIS規格のB4やA4等の定型サイズだけでなく、欧米等で用いられているインチ単位の定型サイズ等であっても、あるいはそれらが混合していても構わない。
また、各ガイド板18a、18bにより案内される原稿の幅を検出するセンサが設けられている場合は、センサにより検出された原稿の幅からガイド板18aの位置を特定することができるので、すなわち広い幅の原稿を案内しているガイド板18aの位置を求めることができるので、広い幅の原稿の定型サイズの入力指示を省略することができる。制御部33は、狭い幅の原稿の定型サイズを入力指示されると、センサにより検出された原稿の幅からガイド板18aの位置を求め、ガイド板18aとガイドユニット21のガイド片部22b間の離間距離が狭い幅に一致する様な移動体19並びにガイドユニット21の位置を求め、ウォームギア20の回転角度を制御し、この求めた位置まで移動体19並びにガイドユニット21を移動させる。
更に、狭い幅の原稿が不定形サイズの場合は、この不定サイズの原稿の狭い幅を入力指示するようにする。制御部33は、不定サイズの原稿の狭い幅を入力指示されると、この狭い幅と共に入力指示された広い幅の定型サイズ幅からガイド板18aの位置を求めるか、あるいはセンサにより検出された原稿の幅からガイド板18aの位置を求め、更にガイド板18aとガイドユニット21のガイド片部22b間の離間距離が狭い幅に一致する様な移動体19並びにガイドユニット21の位置を求め、ウォームギア20の回転角度を制御し、この求めた位置まで移動体19並びにガイドユニット21を移動させる。
<実施形態2>
図9は、本発明の原稿送り装置の実施形態2を示す側面図である。また、図10は、本実施形態の原稿送り装置を示す平面図である。尚、図9及び図10において図1及び図2の装置と同様の作用を果たす部位には同じ符号を付す。
本実施形態の原稿送り装置では、図1及び図2の装置におけるガイドユニット21の代わりに、ガイドユニット41を移動体19に搭載し、また複数の検知ユニット44をガイドユニット41よりも原稿搬送方向上流側に設け、これらの検知ユニット44を原稿搬送方向と直交する方向に並設している。
移動体19は、図1及び図2の装置のものと同様であり、その筐体19aが原稿の搬送方向と直交する方向に平行移動自在に支持され、この筐体19aに同直交する方向に軸支されたウォームギア20が歯合されて挿通されている。そして、ステッピングモータ31によりウォームギア20が回転されると、移動体19並びにガイドユニット41が原稿の搬送方向と直交する方向に平行移動する。
図11(a)に示す様にガイドユニット41は、移動体19の筐体19aに内蔵されており、ソレノイド42と、このソレノイド42のプランジャー42aに固定されたガイド片部43とを備えている。
ソレノイド42のプランジャー42aの先端は、コイルバネ47を介して筐体19aの天板裏面に接続されている。ソレノイド42が消勢された状態では、このコイルバネ47によりプランジャー42aが上方に引き上げられて、プランジャー42aに固定されたガイド片部43が筐体19aの天板の孔を通じて原稿の搬送路6の上方に突出する。
また、図11(b)に示す様にソレノイド42が付勢されると、プランジャー42aが下方に引き込まれて、ガイド片部43が原稿の搬送路6の下方に沈み込む。
図12(a)に示す様に検知ユニット44は、検知片部45と、この検知片部45が原稿の搬送路6の下方に沈み込んだか否かを検出するフォトセンサ46とを備えている。
検知片部45は、その軸48を原稿の搬送路6の下方で支持されており、コイルバネ(図示せず)が軸48に挿通され、このコイルバネの両端が検知片部45と軸48にそれぞれ固定され、このコイルバネにより検知片部45が軸48周りで弾性的に支持され、原稿の搬送路6の上方に突出した検知片部45の姿勢が支持される。
この検知片部45が搬送路6の上方に突出した状態では検知片部45の一端45aがフォトセンサ46の発光素子と受光素子間にあり、この状態がフォトセンサ46により検出される。
また、図12(b)に示す様に原稿トレイ1から搬送されて来た原稿Pの先端が検知片部45に突き当たると、この検知片部45が左方向に押し倒されて搬送路6の下方に沈み込む。このとき、検知片部45の一端45aがフォトセンサ46の部位から外れて、フォトセンサ46の検出出力が変化する。
図10に示す様に複数の検知ユニット44が原稿の搬送路6のそれぞれの位置に固定配置されている。各ガイド板18a、18b間で広い幅の定型サイズの原稿が案内され、一方のガイド板18aとガイドユニット41のガイド片部43間で狭い幅の定型サイズの原稿が案内されるときに、各検知ユニット44により該狭い幅の原稿の検知が選択的になされる様に該各検知ユニット44が位置決めされている。
例えば、一方のガイド板18aとガイドユニット41のガイド片部43間で案内される狭い幅の原稿が定型サイズB4の横置き原稿又は定型サイズB5の縦置き原稿(幅が257mm)であるときに、少なくともポジションP2の検知ユニット44により狭い幅の原稿が検知され、ポジションP1の検知ユニット44により狭い幅の原稿が検知されない様に、また狭い幅の原稿が定型サイズA4の横置き原稿(幅が210mm)であるときには、少なくともポジションP3の検知ユニット44により狭い幅の原稿が検知され、各ポジションP1、P2の検知ユニット44により狭い幅の原稿が検知されない様に各ポジションP1〜P3の検知ユニット44が位置決めされている。
同様に、一方のガイド板18aとガイドユニット41のガイド片部43間で他の狭い幅の定型サイズの原稿が案内されるときにも、各検知ユニット44による該他の狭い幅の原稿の検知が選択的になされる様に各ポジションP1〜P5の検知ユニット44が位置決めされている。
図13は、本実施形態の原稿送り装置の制御系を示すブロック図である。図13に示す様に制御部47は、各検知ユニット44のフォトセンサ46の検出出力を入力し、原稿が検知されない検知ユニット44のポジション及び原稿が検知された検知ユニット44のポジションを判定する。そして、制御部47は、これらの検知ユニット44のポジションに基づいて、一方のガイド板18aとガイドユニット41のガイド片部43間で案内されている原稿の狭い幅を判定し、ステッピングモータ31を駆動制御して、ウォームギア20の回転角度を制御し、移動体19並びにガイドユニット41の位置を調節して、狭い幅の原稿の一側辺を案内し得る位置にガイドユニット41のガイド片部43を位置決めする。
例えば、一方のガイド板18aとガイドユニット41のガイド片部43間で案内される狭い幅の原稿が定型サイズB4の横置き原稿又は定型サイズB5の縦置き原稿であるときには、図14に示す様に少なくともポジションP2の検知ユニット44により狭い幅の原稿が検知され、ポジションP1の検知ユニット44により狭い幅の原稿が検知されない。このとき、制御部47は、各検知ユニット44のフォトセンサ46の検出出力に基づいて各ポジションP1、P2を判定し、更に原稿が検知されないポジションP1と検知されたポジションP2に基づいて定型サイズB4の横置き原稿又は定型サイズB5の縦置き原稿の幅を判定し、ステッピングモータ31を駆動制御して、この原稿Pの一側辺を案内し得る位置にガイドユニット41のガイド片部43を位置決めする。
また、狭い幅の原稿が定型サイズA4の横置き原稿であるときには、少なくともポジションP3の検知ユニット44により狭い幅の原稿が検知され、各ポジションP1、P2の検知ユニット44により狭い幅の原稿が検知されないことから、原稿が検知されない各ポジションP1、P2と検知されたポジションP3に基づいて定型サイズB4の横置き原稿又は定型サイズB5の縦置き原稿の幅を判定して、この狭い幅の原稿の一側辺を案内し得る位置にガイドユニット41のガイド片部43を位置決めする。
同様に、一方のガイド板18aとガイドユニット41のガイド片部43間で他の狭い幅の定型サイズの原稿が案内されるときにも、原稿が検知されない検知ユニット44のポジションと検知された検知ユニット44のポジションに基づいて該定型サイズの幅を判定して、この他の狭い幅の定型サイズの原稿の一側辺を案内し得る位置にガイドユニット41のガイド片部43を位置決めする。
原稿の定型サイズが予め決まっているので、原稿の幅に対応するぞれぞれの位置を求めて制御部47のメモリ(図示せず)に予め記憶しておき、原稿の幅を判定したときに、この判定した幅に対応する位置をメモリから読み出して、この位置まで移動体19並びにガイドユニット41を移動させれば良い。
また、各ガイド板18a、18b間で広い幅の定型サイズの原稿が案内されているときには、この原稿が各ポジションP1〜P5の検知ユニット44の部位を通過する。このため、制御部47は、各ポジションP1〜P5の検知ユニット44の全てにより原稿が検知されていると判定することになり、この判定に応じてガイドユニット41のソレノイド42を付勢する。これにより、ソレノイド42のプランジャー42aが下方に引き下げられて、プランジャー42aに固定されたガイド片部43が原稿の搬送路6下方に沈み込む。そして、各ポジションP1〜P5の検知ユニット44の全てにより原稿が検知されている間は、ガイド片部43が原稿の搬送路6の下方に沈み込んだ状態が維持される。
更に、原稿Pが通過した後は、ソレノイド42が消勢され、ソレノイド42のプランジャー42aが上方に引き上げられて、プランジャー42aに固定されたガイド片部43が原稿の搬送路6の上方に突出して、元の状態に戻る。
このため、各ガイド板18a、18b間で広い幅の定型サイズの原稿が案内されているときには、ガイド片部43が該原稿の搬送を妨げることはない。
本実施形態の原稿送り装置においても、広い幅の定型サイズの原稿と狭い幅の定型サイズの原稿を原稿トレイ1に混在させて載置する際には、全ての原稿の一側辺を一方のガイド板18aに当接させた上で、各ガイド板18a、18bを対称移動させて、各ガイド板18a、18b間の離間距離を広い幅の原稿に合わせる。これにより、各ガイド板18a、18b間で広い幅の原稿を案内することが可能になる。また、狭い幅の定型サイズの原稿が原稿トレイ1から搬送されて来たときには、原稿が検知されない検知ユニット44のポジション及び検知された検知ユニット44のポジションに基づいて狭い幅が判定され、この狭い幅の原稿の一側辺を案内し得る位置にガイドユニット41のガイド片部43が位置決めされ、この狭い幅の原稿が一方のガイド板18aとガイド片部43間で案内される。このため、複数種類の定型サイズの原稿が原稿トレイ1に混在して載置されても、これらの原稿のいずれをも案内することができ、それらの斜行を防止することができる。
尚、本実施形態では、3種類以上の定型サイズの原稿であっても、これらの原稿のいずれをも案内することができる。
また、原稿の定型サイズとしては、JIS規格のB4やA4等の定型サイズだけでなく、欧米等で用いられているインチ単位の定型サイズ等であっても、あるいはそれらが混合していても構わない。
<実施形態3>
図15は、本発明の原稿送り装置の実施形態3を部分的に示す平面図である。本実施形態の装置では、図9及び図10のガイドユニット41の代わりに、ガイド片部55を移動体19に搭載し、またカム板51を原稿搬送方向と直交する方向に配置して固定している。
移動体19は、図1及び図2の装置のものと同様であり、その筐体19aが原稿の搬送方向と直交する方向に平行移動自在に支持され、この筐体19aに同直交する方向に軸支されたウォームギア20が歯合されて挿通されている。そして、ステッピングモータ31によりウォームギア20が回転されると、移動体19並びにガイドユニット41が原稿の搬送方向と直交する方向に平行移動する。
図16(a)は、ガイド片部55を示す側面図である。このガイド片部55の軸56を移動体19の筐体19aで支持し、ガイド片部55の下端をコイルバネ57を介して筐体19aの側壁に連結している。このコイルバネ57によりガイド片部55が軸56周りで弾性的に支持され、筐体19aの天板の孔を通じて原稿の搬送路6の上方に突出したガイド片部55の姿勢が支持される。
また、カム板51の摺接辺51bが筐体19aの側壁開口部を通じてガイド片部55の下端部に接している。
ここで、ガイド片部55が移動体19と共に原稿搬送方向と直交する方向に移動されて、図16(b)に示す様にカム板51の摺接辺51bの凸部51cがガイド片部55の下端部に接すると、ガイド片部55の下端部が右側に押されて、ガイド片部51が軸56周りで回転し、ガイド片部55が原稿の搬送路6の下方に沈み込む。
また、カム板51の摺接辺51bの凹部51dがガイド片部55の下端部に来たときには、ガイド片部55の下端部がコイルバネ57により凹部51d側に引き付けられて、ガイド片部55の下端部が凹部51dに入り込み、ガイド片部55が原稿の搬送路6の上方に突出して、元の状態に戻る。
カム板51の摺接辺51bには複数の凸部51cと複数の凹部51dが交互に形成されている。各凹部51dの位置は、一方のガイド板18aとガイド片部55間で狭い幅の定型サイズの原稿を案内するときに該ガイド片部55が原稿の搬送路6の上方に突出する様に設定されている。
例えば、一方のガイド板18aとガイド片部55間で定型サイズB4の横置き原稿又は定型サイズB5の縦置き原稿(狭い幅)を案内するものとすると、このときのガイド片部55の位置P11に凹部51dを配置しておく。これにより、ガイド片部55が移動体19と共に移動して、ガイド片部55が位置P11に達すると、ガイド片部55の下端部がカム板51の該凹部51dに入り込んで、ガイド片部55が原稿の搬送路6の上方に突出し、ガイド片部55により狭い幅の原稿の一側片を案内することが可能になる。
同様に、一方のガイド板18aとガイド片部55間で他の狭い幅の定型サイズの原稿を案内するときのガイド片部55の位置にも凹部51dを配置しておき、ガイド片部55が該位置に達すると、ガイド片部55が原稿の搬送路6の上方に突出し、ガイド片部55により他の狭い幅の原稿の一側片を案内することができる様にする。
検知ユニット44は、図12と同様のものである。原稿Pの先端が検知片部45に突き当たって、この検知片部45が左方向に押し倒されて搬送路6の下方に沈み込むと、検知片部45の一端45aがフォトセンサ46の部位から外れて、フォトセンサ46の検出出力が変化する。
また、図10と同様に各ガイド板18a、18b間で広い幅の定型サイズの原稿が案内され、一方のガイド板18aとガイド片部55間で狭い幅の定型サイズの原稿が案内されるときに、各検知ユニット44により該狭い幅の原稿の検知が選択的になされる様に該各検知ユニット44が位置決めされている。
図17は、本実施形態の原稿送り装置の制御系を示すブロック図である。図17に示す様に制御部58は、各検知ユニット44のフォトセンサ46の検出出力を入力し、原稿が検知されない検知ユニット44のポジション及び原稿が検知された検知ユニット44のポジションを判定する。そして、制御部58は、これらの検知ユニット44のポジションに基づいて一方のガイド板18aとガイド片部55間で案内されている定型サイズの原稿の幅を判定し、ステッピングモータ31を駆動制御して、ウォームギア20の回転角度を制御し、移動体19並びにガイド片部55の位置を調節して、狭い幅の原稿の一側辺を案内し得る位置にガイド片部55を位置決めする。
この狭い幅の原稿の一側辺を案内し得る位置には、カム板51の凹部51dが配置されているため、ガイド片部55の下端部が該凹部51dに入り込んで、ガイド片部55が原稿の搬送路6の上方に突出し、ガイド片部55により狭い幅の原稿の一側片が案内される。
カム板51の各凹部51dの位置が予め決まっているので、各凹部51dの位置を原稿の幅に対応付けて制御部33のメモリ(図示せず)に予め記憶しておき、原稿の幅を判定したときに、この判定した幅に対応する位置をメモリから読み出して、この位置まで移動体19並びにガイド片部55を移動させれば良い。
また、各ガイド板18a、18b間で広い幅の定型サイズの原稿が案内されているときには、この原稿が各ポジションP1〜P5の検知ユニット44の上を通過する。このとき、制御部58は、各ポジションP1〜P5の検知ユニット44の全てにより原稿が検知されていると判定して、ステッピングモータ31を駆動制御して、移動体19並びにガイド片部55の位置を調節し、ガイド片部55をカム板51の凹部51dからずらして凸部51cに位置決めする。これにより、凸部51cがガイド片部55の下端部に接して、ガイド片部55が原稿の搬送路6の下方に沈み込む。そして、各ポジションP1〜P5の検知ユニット44の全てにより原稿が検知されている間は、ガイド片部55が原稿の搬送路6の下方に沈み込んだ状態が維持される。
このため、各ガイド板18a、18b間で広い幅の定型サイズの原稿が案内されているときには、ガイド片部55が該原稿の搬送を妨げることはない。
この様な原稿送り装置では、ガイドユニット毎に、ソレノイド等の駆動源を設ける必要がなく、1つのモータとカム機構の組み合わせだけで済むので、部品点数を減らして、構成を簡略化することができる。
また、カム板51の摺接辺51bの各凹部51dの位置をJIS規格のB4やA4等の定型サイズの幅に応じて設定し、カム板51の他の摺接辺51eの各凹部51fの位置を欧米等で用いられているインチ単位の定型サイズの幅に応じて設定し、カム板51の表裏を反転可能にしている。このため、カム板51の各摺接辺51b、51eをガイド片部55側に選択的に向けて、JIS規格の定型サイズ及びインチ単位の定型サイズのいずれにも対応することができる。
尚、本発明は、上記各実施形態に限定されるものではなく、多様に変形することができる。例えば、ガイドユニットの形状、サイズ、個数、位置等を適宜に変更しても構わない。
また、各実施形態2、3においては、検知片部45及びフォトセンサ46の代わりに、原稿を非接触で検出する反射型光センサ等を適用することもできる。