JP4475123B2 - 凹部の浸水防止機能付き浴室 - Google Patents

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本発明は、入浴用物品を収納するための凹部が垂直面に形成されている浴室に関し、更に詳しくは上記の凹部に湯水が浸入するのを防止できるよう形成した凹部の浸水防止機能付き浴室に関するものである。
従来、洗面器類を載置するためのカウンターを備えた浴室としては、カウンターの上面が前側に向かって下り勾配に形成され、上面の湯水を洗い場に排水可能に形成しているものがある(例えば特許文献1参照)。
ところでこの種の浴室において、カウンターの前垂れに入浴用物品を収納するための凹部を形成すると、カウンターの上面は洗い場側に下り傾斜であるため、前垂れを伝わり落ちる湯水が凹部に流れ込むのを避けられない。従って従来のこの種の浴室は、水垢が凹部内にシミ状に付いて広い範囲にわたって掃除が必要になったり、またこの種の湯水の排水量が多いときは、軽量な入浴用物品が流されて洗い場に落下する、という問題があった。
それ故この種の凹部を有する浴室は、湯水が凹部に浸入することを防止できるよう形成されているのが望ましい。
しかるに従来は、上記の通り、カウンターの上面を、洗い場に向けて下り傾斜に形成しているのに止まるものであった。従って従来品によると、例えばカウンターの前垂れに、この種の凹部を形成すると、湯水が前垂れを伝わり落ちて凹部に浸入し、凹部内に水垢等が付着して掃除範囲が広がったり、また凹部内の入浴用物品が流され、洗い場に落下することがあった。
而してこの種の問題を解消するため、凹部の前側に例えば落下防止バーを設けるのでは、収納する物品の出し入れがし難くなり、またコストが高く付くことになる。従ってこの種の浴室にあっては、シャンプー容器等の入浴用物品の出し入れを不便にすることなく、低コストで、凹部の浸水を防止できることが従来望まれていた。
特開2000−37315号公報
本発明は、このような従来の実情に鑑み、提案されたものである。
従って本発明の解決しようとする技術的課題は、カウンターの前垂れや浴槽のエプロン等を伝わり落ちる湯水が、入浴用物品の収納用の凹部に浸入することを防止でき、この種の湯水で凹部内が汚されたり、凹部内の収納物品が流されて落下することを、物品の出し入れに支障を及ぼすことなく、低コストで可能になるよう形成した凹部の浸水防止機能付き浴室を提供することにある。
本発明は、上記の課題を解決するため、次のような技術的手段を採る。
即ち本発明は、図1、図5等に示されるように、入浴用物品1を収納するための凹部2が垂直面3に形成されている浴室であって、上記の凹部2の上側の垂直面位置3aの最下端である凹部2の前側の上縁部に、垂直面3を伝わり落ちる湯水が凹部2に浸入するのを防止するための凸段差部9が、上縁部に沿って横長状に且つ凹部2の左右の端部より夫々外側まで延長されて上記の垂直面位置3aから前方に突き出されて形成され、またこの凸段差部9の上面9aが、洗い場7側に斜め下方に傾斜する傾斜面に形成されていることを特徴とする(請求項1)。
本発明の場合、凸段差部9の縦断面形状は、例えば三角形状、庇状等、任意である。凸段差部9は、必要以上に突き出されると見栄えが悪くなったり、入浴者の足元に排水を飛び散らすことがある。従って凸段差部9の垂直面3からの突出し長さは、この種の事情や形成箇所の排水量を考慮して適宜選定される。本発明の場合、垂直面3としては、例えばカウンター6の前垂れや、浴槽10のエプロン、或いは浴室の側壁や、この側壁に設けられる収納パネルの前面等がある。
また本発明は、例えば図7に示されるように、凸段差部9が、下方に突き出る水切り用の垂れ部9cを全長にわたって備えて形成されているのが好ましい(請求項2)。
なぜならこれによると、凸段差部9を回り込んで凹部2に浸入する湯水を、この垂れ部9cで雫化して洗い場7に落下回収できるからである。この場合、垂れ部9cは、凹部2の下縁部に当たって雫が飛散しないよう、凹部2の下縁部より前側に突き出されて位置決めされているのが好ましい。
而して本発明の浴室は、洗面器類5を載置するためのカウンター6を備え、垂直面3がこのカウンター6の前垂れであり、凸段差部9がこの前垂れに形成されている凹部2とカウンター6の上面との間の前垂れの位置に形成されているのが好ましい(請求項)。
なぜならこれによると、カウンター6の上面から流れ落ちる湯水が、凹部2に浸入することを防止でき、凹部2の掃除が楽になり、収納する入浴用物品1が排水で流されて落下することを防止できるからである。
また本発明の浴室は、図6に示されるように、垂直面3が浴槽10のエプロンであり、凸段差部9がこのエプロンに形成されている凹部2と浴槽10のフランジ部11との間のエプロンの位置3bに形成されているのが好ましい(請求項)。
なぜならこれによると、浴槽10のエプロンを伝わり落ちる湯水が凹部2に浸入することを防止でき、エプロンに形成した凹部2の掃除を楽にでき、収納物品1が排水で流されて落下することを防止できるからである。
本発明の浴室は、このように形成されているから、カウンターの前垂れや浴槽のエプロンを伝わり落ちる湯水が凹部に浸入することを凸段差部で防止でき、この種の湯水の大半を洗い場に導いて排水できる。
従ってこれによれば、入浴用物品の出し入れに支障を及ぼすことなく、低コストで、この種の湯水が凹部に浸入して水垢を凹部内に、広い範囲にわたって付けることを防止でき、掃除に係る手間暇を軽減できる。また本発明によれば、凹部に浸入する湯水が凹部内の入浴用物品を流して落下させることを防止できる。
また本発明の場合は、凸段差部の上面が、洗い場側に斜め下方に傾斜する傾斜面に形成されているから、これによれば湯水を凸段差部の上面で滑落させ、凹部の開口状の前面を僅かにかわした洗い場の位置に落下させることができる。
以下、本発明を実施するための最良の形態を説明する。
本発明の浴室は、図1等に示されるように、石鹸や、ボトル入りのシャンプーやリンス、或いは髭剃り、垢擦り等の入浴用物品1を収納するための凹部2が垂直面3に形成されている。
この実施形態に係る本発明の浴室は、カウンターパネル4を備えて形成されている。カウンターパネル4は、洗面器類5を載置するためのカウンター6と、このカウンター6の前側から立ち下げられている、垂直面3としての前垂れとを有し、カウンター6の上面は洗い場7に湯水を排水させるため前側に向かって下り勾配に形成されている。凹部2は、垂直面3としての前垂れに形成されている。また凹部2は、この実施形態では膝を配置するための浅い段差部8を片側に備えて形成されている。
9は、垂直面3としての前垂れを伝わり落ちる湯水が凹部2に浸入するのを防止するための凸段差部である。この凸段差部9は、凹部2の上側の垂直面位置3aに、即ちこの実施形態では、凹部2とカウンター6の上面との間の前垂れの位置に、横長状に且つ凹部2の左右の端部より夫々外側まで延長されて形成されている。またこの凸段差部9は、本発明では垂直面位置3aの最下端の位置、即ち凹部2の前側の上縁部に沿って水平状に形成されている。
また凸段差部9は、図5に示されるように、その上面9aが、斜め下方に傾斜する傾斜面に形成され、飛び出し角度Aが45度、頂点角度Bが90度に選定され、ほぼ縦断面二等辺三角形状に形成されている。また頂点9bの角は、半径1.5(mm)の湾曲面に面取りされている。
次に本発明品における水の流れを説明する。
カウンター6の上面の湯水は、図4に矢示されるように、前側に流れて垂直面位置3aを伝わり落ち、凸段差部9で前方へ流されて凹部2の開口状の前面を僅かにかわした洗い場7の位置に落下する。カウンター6の上面からの排水の勢いが強くなるほど、凸段差部9による前方への排水機能が働き、凹部2への浸水量が減少する。排水の勢いが弱い場合は、湯水が巻き込まれ、凹部2に多少浸水するが、この場合は入浴用物品1を落下させるほどの水量には至らない。
以上の処において、本発明の浴室は、図6に示されるように、垂直面3が浴槽10のエプロンであり、凸段差部9がこのエプロンに形成されている凹部2と浴槽10のフランジ部11との間のエプロンの位置3bに形成されているのでも良い。この本発明の場合、凸段差部9は、上例と同様、凹部2の前側の上縁部に沿って水平状に形成されている。
而して本発明の場合、上記の凸段差部9の飛び出し角度A(図5参照)は、通常、30度〜60度程度が好ましい。なぜならこの角度Aが30度より小さいときは、頂点角度Bを90度以下(鋭角)にしないと湯水の回り込みを防止でき難いが、鋭角化はこの種の凸段差部9を前垂れに一体成型する場合、成型が困難になることからである。また飛び出し角度Aが、60度を越えると、湯水が必要以上に飛び出し、排水が入浴者の足元にかかって快適な入浴感を害する割合が高くなることからである。また本発明の場合、凸段差部9の頂点9bは、湾曲度が小さいほど凹部2への浸水防止効果を大きく得られるが、ただこの湾曲度があまり小さいと凸段差部9の頂点9bで入浴者が怪我をすることにもなりかねない。従って本発明の場合、凸段差部9の頂点9bの湾曲度は、これらの条件に鑑み、半径1.5(mm)程度以上に選定されるのが好ましい。
また本発明の場合、凸段差部9は、カウンター6の前垂れや浴槽10のエプロンと一体成型されるのでも、或いは別体に形成されて接着剤等の手段で後付けされるのでも良い。また本発明の場合、凸段差部9の形成位置は、凹部2の上側の垂直面位置3a(エプロンの位置3b)の最下端の位置であるから、浸水防止効果を高く得られるものである。これは、垂直面3を伝わり落ちる間に水勢が増し、排水量が少なくても手前に飛び出し易くなるからである。また本発明の場合、凸段差部9の出っ張り幅(突出し長さ)は大きいほど、浸水防止効果を大きく得られるが、上記の通り、この出っ張り幅は、見栄えの問題等を考慮し、適宜選定されるので良い。
本発明の浴室の好適な一実施形態を示す要部斜視図である。 同上浴室のカウンターパネルの要部平面図である。 同上浴室のカウンターパネルの要部正面図である。 図3のIV−IV線における要部断面図である。 同上パネルの要部拡大断面図である。 同上浴室の浴槽の要部正面図である。 凸段差部の他の実施形態を示す要部拡大断面図である。
1 入浴用物品
2 凹部
3 垂直面
3a 凹部の上側の垂直面位置
洗い場
9 凸段差部
9a 凸段差部の上面

Claims (4)

  1. 入浴用物品を収納するための凹部が垂直面に形成されている浴室であって、上記の凹部の上側の垂直面位置の最下端である凹部の前側の上縁部に、垂直面を伝わり落ちる湯水が凹部に浸入するのを防止するための凸段差部が、上縁部に沿って横長状に且つ凹部の左右の端部より夫々外側まで延長されて上記の垂直面位置から前方に突き出されて形成され、またこの凸段差部の上面が、洗い場側に斜め下方に傾斜する傾斜面に形成されていることを特徴とする凹部の浸水防止機能付き浴室。
  2. 請求項1記載の浴室であって、凸段差部が、下方に突き出る水切り用の垂れ部を全長にわたって備えて形成されていることを特徴とする凹部の浸水防止機能付き浴室。
  3. 請求項1又は2記載の浴室であって、洗面器類を載置するためのカウンターを備え、垂直面がこのカウンターの前垂れであり、凸段差部がこの前垂れに形成されている凹部とカウンターの上面との間の前垂れの位置に形成されていることを特徴とする凹部の浸水防止機能付き浴室。
  4. 請求項1又は2記載の浴室であって、垂直面が浴槽のエプロンであり、凸段差部がこのエプロンに形成されている凹部と浴槽のフランジ部との間のエプロンの位置に形成されていることを特徴とする凹部の浸水防止機能付き浴室。
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