JP4474733B2 - スチレン系樹脂発泡体の製造方法 - Google Patents

スチレン系樹脂発泡体の製造方法 Download PDF

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、断熱性に優れ、曲げ特性に優れた安価なスチレン系樹脂発泡体の製造方法および得られた発泡体に関する。
【0002】
【従来の技術】
スチレン系樹脂を押出機等にて加熱溶融し、次いで発泡剤を注入し、冷却させ、これを低圧域に押出すことにより発泡体を連続的に製造する方法は既に知られており(例えば特公昭31−5393号公報、特公昭42−19195号公報)、工業的に利用されている。
【0003】
従来より各種のフロン類を発泡剤として用い、断熱性等に優れた発泡体を製造する方法は知られているが(例えば特公昭41−672号公報、特公昭57−7175号公報)、フロン類はオゾン層保護などの問題が懸念されており、可能ならば代替していくことが望まれている。フロン類は特にスチレン系樹脂発泡体には残留し易く、またガス化した際の熱伝導率が低いため、発泡体の熱伝導率低減に効果を発揮していた。
【0004】
これに対してフロン類以外の発泡剤として、プロパン、ブタンあるいはメチルクロライド、エチルクロライドを用いることが知られている(例えば特開昭51−92871号公報、特開昭10−237210号公報、特開平1−174540号公報、等)。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
しかし、これらのガスのうちメチルクロライド、エチルクロライド等は発泡体から抜けやすく、また炭化水素はイソブタンの様に残留性が高いものもあるが、ガス化した際の熱伝導率は一般的にフロンより高い傾向にあり、又、炭化水素のごときガスは燃えやすく燃焼性の悪化が懸念されること等により該熱伝導率の差を単純にこれら発泡剤の増量だけで埋め合わせるということは困難であった。
【0006】
これに対して発泡体の熱伝導率の重要な部分は、発泡体に残留する発泡剤の効果の他に発泡体のセルの大きさやセルの形状にも依存して決定されると推察されている。発泡剤の種類や組成に加え、セル構造も合わせて制御するという観点より、発明者らは例えばWO9933625A1特許公報においてセルの扁平化範囲や最適セル径範囲を提案している。このうちセルの扁平化範囲については加熱ロールによる延伸といった技法を提案しているが、セル径の調整については従来より用いられているタルク等の造核剤の使用に留まっており、さらなるセル径調整の方法、および最適セル径の制御方法を検討していた。
【0007】
一方、前記特開昭10−237210号公報の明細書では、プロパン/ブタンに塩化メチルを0〜30重量%加えた発泡剤を用いた発泡体において平均気泡径の好ましい範囲を開示している。しかし、セル径を該範囲にするための具体的方法については直接的な開示がない。実施例では平均セル径が実施例内の他の例と比較して比較的小さくなるような例として、プロパン/ブタンを発泡剤に用い二酸化炭素を樹脂に対して0.2重量%〜1.5重量%添加した例を示している。一方、プロパン/ブタンのみの発泡剤では独立気泡率、発泡倍率(すわなち密度)、難燃性等に課題を生じやすい。こうした問題を解決する手法として例示された塩化メチル等を混合した例については、全く開示がない。更に、二酸化炭素を添加せずとも何と同等のセル径が得られる例も示されており、二酸化炭素の効果が定かでない。該公報では二酸化炭素を発泡剤として樹脂に対して8重量%以下添加するとセルの微細化効果が得られるということや、好ましいセル径を0.2〜0.6mmとしているが、本願発明者らの詳細な検討では開示された量及び配合の発泡剤の存在下で二酸化炭素を8重量%近く添加すると系が安定せずまたボイドなどの発生頻度が極めて高く良好な発泡体が得難いこと、実際にセル微細化に有効な範囲はもっと狭い領域であることや、平均セル径も0.6mm近くでは大きすぎ、実際に有効な範囲はもっと狭い領域であることが明らかになった。
【0008】
【発明が解決するための手段】
本発明者らは、前記課題解決のため鋭意研究の結果、炭化水素およびジメチルエーテルを発泡剤として用いたスチレン系樹脂発泡体に、助発泡剤として微量の二酸化炭素を用いることで、セル径の制御が容易に達成し得ることを見いだし、本発明に至った。
【0009】
すなわち本発明は、1)スチレン系樹脂を加熱溶融させ、発泡剤および助発泡剤を該スチレン系樹脂に添加し、ダイを通して押出発泡してなるスチレン系樹脂発泡体の製造方法であって、該発泡剤として、(1)炭素数3〜5の飽和炭化水素から選ばれる1種または2種以上の第1発泡剤35重量%から65重量%と、(2)ジメチルエーテルからなる第2発泡剤65重量%から35重量%とを、該スチレン系樹脂100重量部に対し、3重量部以上15重量部以下用い、更に、該助発泡剤として、二酸化炭素を0.1重量部以上2重量部以下使用することを特徴とするスチレン系樹脂発泡体の製造方法に関する。
【0010】
さらに本発明は、2)密度0.020g/cm3以上0.050g/cm3以下であり、かつ、平均セル径が0.08mm以上0.25mm以下であることを特徴とする前記1)項記載の製造方法により製造されたスチレン系樹脂発泡体に関する。
【0011】
【発明の実施形態】
本発明で用いられるスチレン系樹脂は、特に限定されるものではなく、スチレン単量体のみから得られるポリスチレンホモポリマー、スチレン単量体とスチレンと共重合可能な単量体あるいはその誘導体から得られるランダム、ブロックあるいはグラフト共重合体、後臭素化ポリスチレン、ゴム強化ポリスチレンなどの変性ポリスチレンなどが挙げられる。
【0012】
スチレンと共重合可能な単量体としては、メチルスチレン、ジメチルスチレン、エチルスチレン、ジエチルスチレン、イソプロピルスチレン、ブロモスチレン、ジブロモスチレン、トリブロモスチレン、クロロスチレン、ジクロロスチレン、トリクロロスチレンなどのスチレン誘導体、ビニルトルエン、ビニルキシレン、ジビニルベンゼンなどのビニル化合物、アクリル酸、メタクリル酸、アクリル酸メチル、メタクリル酸メチル、アクリル酸エチル、メタクリル酸エチル、ブタジエン、アクリロニトリルなどの不飽和化合物あるいはその誘導体、無水マレイン酸、無水イタコン酸などが挙げられる。これらは単独あるいは2種以上混合して使用することができる。
【0013】
スチレン系樹脂では、ポリスチレンホモポリマーが特に好ましい。
【0014】
本発明は発泡剤に、(1)炭素数3〜5の飽和炭化水素から選ばれる1種または2種以上の第1発泡剤と、(2)ジメチルエーテルからなる第2発泡剤とを、用いることを特徴とする。
【0015】
本発明で用いられる第1発泡剤は、プロパン、n−ブタン、i−ブタン、n−ペンタン、i−ペンタン、ネオペンタンなどが挙げられる。飽和炭化水素では、発泡性と発泡体の断熱性能の点からプロパン、n−ブタン、i−ブタンが好ましく、イソブタンが特に好ましい。
【0016】
本発明で用いる第2発泡剤は、ジメチルエーテルを単独で用いることが製造安定性、発泡体からの抜け易さ、価格、さらには環境適合性の点で好ましい。
【0017】
注入又は添加される発泡剤量は、発泡倍率の設定値などに応じて適宜かわるものではあるが、通常、発泡剤の合計量をスチレン系樹脂100重量部に対して2〜20重量部、好ましくは3から15重量部とするのが好ましい。発泡剤の添加量が2重量部未満特に3重量部未満では発泡倍率が低く、樹脂発泡体としての軽量、断熱等の特性が発揮されにくい場合があり、15重量部を越え特に20重量部を越えると過剰な発泡剤量のため発泡体中にボイドなどの不良を生じる場合がある。
【0018】
注入される発泡剤において、前記第1発泡剤が発泡剤量に対して35重量%以上65重量%以下、さらに好ましくは40重量%以上60重量%以下であり、前記第2発泡剤が発泡剤量に対して35重量%以上65重量%以下と、さらに好ましくは40重量%以上60重量%以下であることが好ましい。
【0019】
前記第2発泡剤が65重量%を超える場合、セル径が大きくなる傾向があり、輻射伝熱量が増大し、得られる発泡体の熱伝導率が高くなり易い傾向がある。また35重量%未満となると可塑性が不足し生産の安定性が損なわれたり、密度低下が十分に行われなかったりする傾向と共に、独立気泡率が低下したりセル荒れ等が発生し良好な発泡体が得にくい傾向を有する。特に前記第2発泡剤を全く用いない場合、独立気泡率が低下する傾向が現れやすくなる。
【0020】
本発明の発泡体には、炭素数3〜5の飽和炭化水素1種または2種以上を発泡体量に対して2〜5重量%を含有することが断熱性能と難燃性の点から好ましい。また、ジメチルエーテルの含有量は発泡体全重量に対して1重量%以下の残留量であることが好ましい。1重量%を越えると発泡体の燃焼性が悪化することがある。ジメチルエーテルは発泡体から大気中へ極めてすみやかに拡散されるため、製造後、前記残留量に自然に低下させることができる。
【0021】
本発明では、発泡体密度を0.020〜0.050g/cm3に、好ましくは0.025〜0.030g/cm3することが軽量化及び製造安定性の点で好ましい。発泡体密度を該範囲とすることで、使用する発泡剤比率及び発泡剤の残留量において難燃性と断熱性が両立し易くなる。該密度とするためには、発泡剤の量により押出樹脂温度および圧力を密度を測定しながら公知方法で適宜調整することで達成し得る。
【0022】
本発明では、助発泡剤として微量の二酸化炭素を添加することを特徴とする。微量の二酸化炭素を添加することで、セル径が該微量の二酸化炭素を添加しない場合に比べて微細化する傾向を有し、発泡体の熱伝導率を低減することができる。
【0023】
発泡体の熱伝導率は、セル膜間の輻射伝熱量に依存していると推察される。即ち、セル径が小さくなるに従って低下し、発泡体密度、セルの形状等に依存して決定される特定のセル径において最小となった後、さらにセル径を小さくするに従いセル膜が赤外線を遮断できなくなり熱伝導率は上昇していく。この際、該最小値付近で該変化がやや緩やかになり、工業的にはこの付近が最適なセル径領域となる。
【0024】
前記の如く発泡体の密度にもよるが、輻射伝熱量を最低量にし、発泡体の熱伝導率を最も低い領域に下げることができる平均セル径は、セルの厚み方向、押出方向、それに直交する方向の3方向のセル径をとり、その比が一定(すなわち相似形)という条件で表現した場合、前記発泡体密度領域において、0.08mm以上0.25mm以下、好ましくは0.1mm以上0.2mm以下さらには0.11mm以上0.18mm以下であることが好ましい。
【0025】
また前記3方向のセル径で表現した場合、3方向のセル径がほぼ同一の領域であるか、該領域から押出方向あるいはそれに直交する幅方向にさらに延伸され厚み方向のセル径がそれに比してやや小さくなった扁平の形状の領域までが好ましい。これに対し、厚み方向に極度に延伸された形状や、前記流れ方向或いはそれに直交する幅方向の延伸においても極度に延伸したものは好ましくない傾向がある。
【0026】
二酸化炭素の添加量は、発泡剤量にもよるが、前記発泡体密度を達成する発泡剤量範囲において、0.1重量部以上2重量部以下、さらに好ましくは0.2重量部以上1.5重量部以下、さらに好ましくは0.2重量部以上1.0重量部以下であることが好ましい。二酸化炭素が1.5重量部を越えるとボイド状のセルやダイからのガスの吹き抜けが発生し易くなり、良好な発泡体が得にくくなる。また、二酸化炭素量が0.2重量部、特に0.1重量部よりも少なくなると二酸化炭素の添加によるセル微細化効果が発揮されにくくなる。
さらに該セル径範囲の発泡体は、曲げ強さが高くなる傾向があり、機械物性上好ましい。
【0027】
本発明の発泡剤には、本発明の効果を阻害しない範囲で他の発泡剤を用いることができる。他の発泡剤は、発明の効果を阻害しない限り特に限定されるものではなく、例えば、ジエチルエーテル、メチルエチルエーテル、イソプロピルエーテル、n−ブチルエーテル、ジイソプロピルエーテル、フラン、フルフラール、2−メチルフラン、テトラヒドロフラン、テトラヒドロピラン等のエーテル類、ジメチルケトン、メチルエチルケトン、ジエチルケトン、メチルn−プロピルケトン、メチルn−ブチルケトン、メチルi−ブチルケトン、メチルn−アミルケトン、メチルn−ヘキシルケトン、エチルn−プロピルケトン、エチルn−ブチルケトンに例示されるケトン類、メタノール、エタノール、プロピルアルコール、i−プロピルアルコール、ブチルアルコール、i−ブチルアルコール、t−ブチルアルコールに例示されるアルコール類、蟻酸メチルエステル、蟻酸エチルエステル、蟻酸プロピルエステル、蟻酸ブチルエステル、蟻酸アミルエステル、プロピオン酸メチルエステル、プロピオン酸エチルエステルに例示されるカルボン酸エステル類などの有機発泡剤、例えば窒素、水、空気、アルゴン、ヘリウムなどの無機発泡剤、例えばアゾ化合物などの化学発泡剤などを用いることができる。これらは単独又は2種以上混合して使用することができる。
【0028】
本発明の発泡体の製造では難燃剤を含むことが難燃性確保の点から好ましい。該難燃剤としては、例えば、ハロゲン系難燃剤等が好適に用いられる。
ハロゲン系難燃剤としては、通常この分野において使用される難燃剤を限定なく使用することができる。例えば、ヘキサブロモシクロドデカンなどの脂肪族あるいは脂環族炭化水素の臭素化物、ヘキサブロモベンゼン、エチレンビスペンタブロモジフェニル、デカブロモジフェニルエーテル、オクタブロモジフェニルエーテル、2,3−ジブロモプロピルペンタブロモフェニルエーテルなどの芳香族化合物の臭素化物、テトラブロモビスフェノールA、テトラブロモビスフェノールAビス(2,3−ジブロモプロピルエーテル)、テトラブロモビスフェノールA(2−ブロモエチルエーテル)、テトラブロモビスフェノールAジグリシジルエーテル、テトラブロモビスフェノールAジグリシジルエーテルとトリブロモフェノール付加物などの臭素化ビスフェノール類およびその誘導体、テトラブロモビスフェノールAポリカーボネートオリゴマー、テトラブロモビスフェノールAジグリシジルエーテルとブロモ化ビスフェノール付加物エポキシオリゴマーなどの臭素化ビスフェノール類誘導体オリゴマー、エチレンビステトラブロモフタルイミド、エチレンビスジブロモノルボルナンジカルボキシイミド、ビス(2,4,6−トリブロモフェノキシ)エタン、臭素化アクリル系樹脂などの臭素系芳香族化合物、塩素化パラフィン、塩素化ナフタレン、パークロロペンタデカン、塩素化芳香族化合物、塩素化脂環状化合物などが挙げられる。これら化合物は単独または2種以上を混合して使用できる。このうち、難燃性の点から臭素系難燃剤が好ましく、特にスチレン系樹脂との相溶性などの点からヘキサブロモシクロドデカンが好ましい。
【0029】
スチレン系樹脂発泡体中の難燃剤の含有量は、好ましくは、発泡体全量100重量%に対して、0.1〜10重量%であり、更に好ましくは、1〜7重量%である。0.1重量%未満では、本発明の目的とする難燃性が得られず、10重量%を越えると、発泡体製造の際の成形性などを損なう場合がある。
【0030】
本発明では、本発明の効果を阻害しない範囲で他の難燃剤を併用することが好ましい。他の難燃剤としては例えば酸化ホウ素、イソシアヌル酸、ポリリン酸アンモニウム、リン酸エステル等を用いることができる。これらはスチレン系樹脂に対して0.1〜10重量部の範囲で用いられることが好ましい。
【0031】
また本発明においては、シリカ、タルク、ケイ酸カルシウム、ワラストナイト、カオリン、クレイ、マイカ、酸化亜鉛、酸化チタン、炭酸カルシウムなどの無機化合物、フェノール系抗酸化剤、リン系安定剤、ベンゾトリアゾール類、ヒンダードアミン類などの耐光性安定剤、その他の難燃剤、帯電防止剤、顔料などの着色剤などの添加剤を含有させることができる。
【0032】
本発明のスチレン系樹脂発泡体は、スチレン系樹脂に難燃剤、造核剤などと、必要に応じて他の添加剤を混合して、加熱溶融させ、高圧条件下で、発泡剤および助発泡剤をスチレン系樹脂に注入し、流動ゲルとなし、押出発泡に適する温度に冷却し、該流動ゲルをダイを通して低圧領域に押出発泡して、発泡体を形成することにより製造される。
【0033】
スチレン系樹脂を加熱溶融する際の加熱温度、溶融時間及び溶融手段については特に制限するものではない。加熱温度は、該スチレン系樹脂が溶融する温度以上であればよい。溶融時間は、単位時間あたりの押出量、溶融手段などによって異なるので一概には決定することができないが、該スチレン系樹脂と発泡剤および助発泡剤が均一に分散混合するのに要する時間が適宜選ばれる。また溶融手段としては、特に制限されるものではなく。例えばスクリュー型の押出機などが挙げられる。
【0034】
発泡剤を注入する際の圧力は、特に制限するものではなく、押出機の内圧力よりも高い圧力であればよい。助発泡剤の添加方法は例えば特願平10−99208号記載の方法により容易に行うことができる。
【0035】
難燃剤等の添加剤の添加方法としては、特に限定されるものではなく、あらかじめスチレン系樹脂と混合した後、押出機に供給する方法、発泡剤を注入する前、同時、あるいは後に途中から供給する方法などが挙げられる。
【0036】
【実施例】
次に本発明のスチレン系樹脂発泡体の製造方法を実施例に基づいてさらに詳細に説明するが、本発明はかかる実施例のみに制限されるものではない。なお、実施例1〜12は、本発明の実施例ではなく参考例であり、実施例13〜18が本発明の実施例である。また、特に断らない限り「部」は重量部を、「%」は重量%を表す。
【0037】
以下に示す実施例1〜4、比較例1〜7の方法で得られた発泡体の特性として、発泡倍率、独立気泡率、残存ガス量、熱伝導率、曲げ強さ、燃焼性、平均セル径を下記の方法にしたがって調べた。
【0038】
発泡倍率:ポリスチレン樹脂のおおよその密度を1.05(g/cm3)として、次の式:発泡倍率(倍)=1.05/発泡体の密度(g/cm3)に基づいて求めた。
【0039】
独立気泡率:マルチピクノメーター(ベックマンジャパン(株)製)を用い、ASTM D−2856に準じて測定した。
【0040】
残存ガス量:製造14日後の発泡体をガスクロマトグラフ((株)日立製作所製 S−450)を使用し、発泡体100gに対する残存量を分析した。
【0041】
熱伝導率:JIS A 9511に準じて測定した。測定には製造後14日経過した発泡体について行った。評価基準は
○:0.034W/mK未満
×:0.034W/mK以上
曲げ強さは、製造後14日経過した発泡体についてJIS A9511に準じて評価し、下記の基準に従い判定した。
○:曲げ強さが45N/cm2以上
△:曲げ強さが25N/cm2以上45N/cm2未満
×:曲げ強さが25N/cm2未満
燃焼性は、製造後14日経過した発泡体についてJIS A9511に準じて評価し、下記の基準に従い判定した。
◎:消炎時間が5本すべて3秒以内
○:樹脂の消炎時間が5本すべて3秒以内であるが、発泡剤の燃焼が若干見られる
△:樹脂の消炎時間が5本すべて3秒以内であるが、発泡剤の燃焼が試験片全体に見られる
×:消炎時間3秒を越える
平均セル径は、押出発泡体の縦断面を走査型電子顕微鏡((株)日立製作所製、品番:S− 450)にて30倍に拡大して発泡体の縦断面を写真撮影し、撮影した写真を乾式複写機で複写する。該複写した画像に対し、発泡体の押出方向、厚み方向、幅方向それぞれに3ないし5本の線を引き、それぞれの線に含まれるセル個数で線長を除することで、それぞれの方向の平均セル径を求める。なお、各線は画像の端部に位置する部分的に欠けたセルを除いて引く。
実施例1
ポリスチレン樹脂(鐘淵化学工業株式会社製カネライトPS、メルトインデックス(MI):3)100部に対して、造核剤としてタルク0.5部、ハロゲン系難燃剤としてヘキサブロモシクロドデカン(HBCDと略す)3.0部、ステアリン酸バリウム0.25部をドライブレンドし、得られた樹脂混合物を口径65mmと口径90mmのものを縦に連結した押出機へ約40kg/hrの割合で供給した。前記口径65mmの押出機に供給した樹脂混合物を、200℃に加熱して溶融ないし可塑化、混練し、これに連結された口径90mmの押出機で樹脂温度を120℃に冷却し、口径90mmの押出機の先端に設けた厚さ方向2mm、幅方向50mmの長方形断面の口金より大気中へ押し出し、直方体状の押出発泡体を得た。このとき発泡剤として、イソブタン60%、ジメチルエーテル40%からなる発泡剤をポリスチレン樹脂100部に対して6部となるように、また、二酸化炭素0.5重量部をそれぞれ別のラインから、前記口径65mmの押出機の先端付近(口径90mmの押出機の口金と反対側の端部側に接続される側の端部)から前記樹脂中に圧入した。得られた発泡体の特性を表1に示す
実施例2〜4
発泡剤添加量、二酸化炭素等を表1に記載した構成、及び量とした以外は、実施例1と同様の条件で押出発泡体を得た。得られた発泡体の特性を表1に示す。
【0042】
実施例5
イソシアヌル酸(四国化成製 イソシアヌル酸ICA−P)2.0重量部を添加し、発泡剤量を調整した以外は実施例1と同様の条件で押出発泡体を得た。得られた発泡体の特性を表1に示す。
【0043】
実施例6
三酸化二ホウ素(ユー エス ボラックス製 ボリックオキサイド)2.0部を添加し、発泡剤量を調整した以外は実施例1と同様の条件で押出発泡体を得た。得られた発泡体の特性を表1に示す。
【0044】
実施例7〜12
実施例1〜6記載の方法に対し、塩化メチルを塩化エチルに変えた以外は同様の条件で押出発泡体を得た。得られた発泡体の特性を表1に示す。
【0045】
実施例13〜18
実施例1〜6記載の方法に対し、塩化メチルをジメチルエーテルに変えた以外は同様の条件で押出発泡体を得た。得られた発泡体の特性を表1に示す。
【0046】
【表1】
Figure 0004474733
比較例1〜4
発泡剤量、二酸化炭素量以外は実施例1と同様の条件で押出発泡体を得た。得られた発泡体の特性を表2に示す。
【0047】
【表2】
Figure 0004474733
【0048】
【発明の効果】
本発明によれば、生産性に優れ、かつ、良好な断熱性を満足し、曲げ強度に優れ、安価に製造出荷可能なスチレン系樹脂発泡体を提供することが可能となる。

Claims (2)

  1. スチレン系樹脂を加熱溶融させ、発泡剤および助発泡剤を該スチレン系樹脂に添加し、ダイを通して押出発泡してなるスチレン系樹脂発泡体の製造方法であって、該発泡剤として、(1)炭素数3〜5の飽和炭化水素から選ばれる1種または2種以上の第1発泡剤35重量%から65重量%と、(2)ジメチルエーテルからなる第2発泡剤65重量%から35重量%とを、該スチレン系樹脂100重量部に対し、3重量部以上15重量部以下用い、更に、該助発泡剤として、二酸化炭素を0.1重量部以上2重量部以下使用することを特徴とするスチレン系樹脂発泡体の製造方法。
  2. 密度0.020g/cm3以上0.050g/cm3以下であり、かつ、平均セル径が0.08mm以上0.25mm以下であることを特徴とする請求項1記載の製造方法により製造されたスチレン系樹脂発泡体。
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