JP2003342408A - スチレン系樹脂発泡体およびその製造方法 - Google Patents

スチレン系樹脂発泡体およびその製造方法

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JP2003342408A
JP2003342408A JP2002150847A JP2002150847A JP2003342408A JP 2003342408 A JP2003342408 A JP 2003342408A JP 2002150847 A JP2002150847 A JP 2002150847A JP 2002150847 A JP2002150847 A JP 2002150847A JP 2003342408 A JP2003342408 A JP 2003342408A
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halogen
foaming agent
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JP2002150847A
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Hiroshi Kobayashi
博 小林
Yoshihiro Kawaguchi
嘉弘 川口
Shunji Kurihara
俊二 栗原
Kenkichi Tanaka
研吉 田中
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Kanegafuchi Chemical Industry Co Ltd
Original Assignee
Kanegafuchi Chemical Industry Co Ltd
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 環境適合性に優れた発泡剤を使用して、難燃
性、断熱性の優れ、特に建築用断熱材の用途に有用であ
るスチレン系樹脂発泡体を安定的に製造する。 【解決手段】 スチレン系樹脂を加熱溶融させ、発泡剤
を添加し、これを押出発泡してなるスチレン系樹脂発泡
体であって、スチレン系樹脂に対して、発泡剤として、
a)炭素数が3〜5である飽和炭化水素と、b)ジメチ
ルエーテル、塩化メチル、塩化エチルから選ばれる少な
くとも1種の化合物とを含有し、かつ、難燃剤として、
c)ハロゲン系難燃剤と、d)含ハロゲンリン酸エステ
ル系難燃剤とを含有し、発泡体密度が20〜50kg/
3、発泡体を構成する平均気泡径が0.1〜2mmで
あることを特徴とするスチレン系樹脂発泡体。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、環境適合性に優
れ、かつ難燃性、断熱性に優れたスチレン系樹脂発泡体
およびその製造方法に関する。
【0002】
【従来の技術】スチレン系樹脂を押出機などにて加熱溶
融し、次いで発泡剤を添加し、冷却させ、これを低圧域
に押出すことにより発泡体を連続的に製造する方法は既
に知られており(例えば特公昭31−5393号公報、
特公昭42−19195号公報)、発泡剤にフロン類を
用いる方法も知られている(例えば特公昭41−672
号公報、特公昭57−7175号公報)。
【0003】しかしながら、フロン類はオゾン層保護な
どの観点から、可能ならば代替していくことが望まれて
いる。
【0004】フロン類以外の発泡剤を用いたスチレン系
樹脂発泡体および製造方法として、発泡剤にプロパン、
ブタンあるいはそれらの混合物、あるいは該炭化水素と
メチルクロライド、エチルクロライドあるいはそれらの
混合物を用いたスチレン系樹脂発泡体およびその製造方
法が、特開平10−237210号公報に開示されてい
る。さらに該公報では、JIS A9511に規定する
難燃性を満たすため、ヘキサブロモシクロドデカンまた
はテトラブロモビスフェノールAを1〜3重量%用い、
発泡剤であるプロパン、ブタンの発泡体中での残存ガス
量を、それぞれ3.5重量%以下、2.0重量%以下に
調整することが開示されている。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、前記公
報に記載されている発明で得られるフロン類を用いない
発泡体において、プロパン、ブタンの残存ガス量を前記
の量に調整するためには、発泡体製造時におけるプロパ
ン、ブタンの添加量を制限したり、発泡体製造後、発泡
剤が減量するまで長期間保管するなどの処理が必要であ
り、さらに押出発泡時の製造安定性や生産性が劣るなど
の問題がある。
【0006】さらに、前記公報に記載されている発明で
得られるフロン類を用いない発泡体におけるプロパン、
ブタン量では、例えばJIS A9511に規定される
押出法ポリスチレンフォーム保温板2〜3種のような、
高度な断熱性を有する発泡体は得られにくい。本発明者
らの検討したところによれば、高度な断熱性を有する発
泡体を得るためには、プロパン、ブタンなどの飽和炭化
水素化合物をより多く残存させることが好ましい。
【0007】例えば、発泡体密度にもよるが、発泡体密
度が20〜35kg/m3の範囲の場合、発泡体重量に
対して、プロパンであれば、4重量%以上、ブタン類で
あれば、2.5重量%以上残存させるのが好ましく、特
にブタン類を3重量%以上残存させるのが好ましいと考
えられる。
【0008】しかしながら、プロパン、ブタンに代表さ
れる脂肪族炭化水素類のような燃焼性の比較的高い化合
物を多く残存させた場合、前記発明の如く、ヘキサブロ
モシクロドデカン、テトラブロモビスフェノールAを
1.0〜3重量%用いただけでは、JIS A9511
に規定する難燃性を満足しない場合が生じる。
【0009】これに対して、難燃性を向上させるために
は、添加する難燃剤の増量が考えられるが、単に添加量
を増すだけでは、安定した難燃性は得難い。特に、発泡
体の基礎材料であるスチレン系樹脂自体は難燃化される
が、燃焼時に発泡体から揮発する炭化水素に着火し易
く、燃焼を抑制し難いといった傾向は依然解決され難
い。さらには、該難燃剤の増量は発泡体成形性の悪化を
招き易く、満足な品質の成形品が得にくくなる傾向があ
る。
【0010】以上のように、発泡剤として、飽和炭化水
素を用いる系について、高い断熱性能を有しながら難燃
性を有することは非常に困難である。
【0011】このような状況の下、本発明が解決しよう
とする課題は、燃焼し易い傾向を有する発泡剤を使用
し、高い断熱性能を有すると共に、JIS A9511
に規定される、高度の難燃性を十分に満足するスチレン
系樹脂発泡体およびその製造方法を提供することを目的
とするものである。
【0012】
【課題を解決するための手段】本発明者らは、前記課題
の解決のため鋭意研究の結果、炭化水素を発泡剤として
用いたスチレン系樹脂発泡体に、特定のハロゲン系難燃
剤と特定の含ハロゲンリン酸エステル系難燃剤を用いる
ことで、発泡剤として炭化水素を用いているにもかかわ
らず、優れた難燃性を達成できること、特に、燃焼時に
発泡体から揮発する炭化水素への着火あるいは燃焼を抑
制できることを見出した。
【0013】特に、JIS A9511に規定される、
高度の難燃性が得られると共に、高い断熱性も両立され
ることを見出した。さらに、リン酸エステル系化合物を
併用することで、炭化水素の燃焼を抑制する効果がより
増大することを見出した。
【0014】すなわち本発明は、(1)スチレン系樹脂
を加熱溶融させ、発泡剤を添加し、これを押出発泡して
なるスチレン系樹脂発泡体であって、スチレン系樹脂1
00重量部に対して、発泡剤として、a)炭素数が3〜
5である飽和炭化水素の少なくとも1種を2〜6重量部
と、b)ジメチルエーテル、塩化メチル、塩化エチルか
ら選ばれる少なくとも1種の化合物を1〜7重量部を含
有し、かつ、難燃剤として、c)ハロゲン系難燃剤から
選ばれる少なくとも1種を0.1〜6重量部と、d)含
ハロゲンリン酸エステル系難燃剤から選ばれる少なくと
も1種を0.1〜6重量部を含有し、発泡体密度が20
〜50kg/m3、発泡体を構成する平均気泡径が0.
1〜2mmであることを特徴とするスチレン系樹脂発泡
体に関する。
【0015】さらに本発明は、(2)炭素数が3〜5で
ある飽和炭化水素が、プロパン、n−ブタン、i−ブタ
ンよりなる群から選ばれる少なくとも1種の飽和炭化水
素であることを特徴とする前記(1)項記載のスチレン
系樹脂発泡体に関する。
【0016】さらに本発明は、(3)ハロゲン系難燃剤
が、ヘキサブロモシクロドデカン、テトラブロモシクロ
オクタン、テトラブロモビスフェノールAビス(アリル
エーテル)より選ばれる少なくとも1種のハロゲン系難
燃剤であることを特徴とする前記(1)〜(2)のいず
れか1項記載のスチレン系樹脂発泡体に関する。
【0017】さらに本発明は、(4)含ハロゲンリン酸
エステル系難燃剤がトリス(ジクロロプロピル)ホスフ
ェート、トリス(トリブロモネオペンチル)ホスフェー
トより選ばれる少なくとも1種の含ハロゲンリン酸エス
テル系難燃剤であることを特徴とする前記(1)〜
(3)のいずれか1項記載のスチレン系樹脂発泡体に関
する。
【0018】さらに本発明は、(5)さらに、スチレン
系樹脂100重量部に対して、リン酸エステル系化合物
を0.1〜5重量部含有することを特徴とする前記
(1)〜(4)のいずれか1項記載のスチレン系樹脂発
泡体に関する。
【0019】さらに本発明は、(6)フロン系の発泡剤
を含まず、難燃性が、JIS A9511に規定する燃
焼性の測定において、3秒以内に炎が消えて、残じんが
なく、燃焼限界指示線を越えて燃焼しないという条件を
満たすことを特徴とする前記(1)〜(5)のいずれか
1項記載のスチレン系樹脂発泡体に関する。
【0020】さらに本発明は、(7)断熱性が、熱伝導
率で0.034W/mK以下であることを特徴とする前
記(1)〜(6)のいずれか1項記載のスチレン系樹脂
発泡体に関する。
【0021】さらに本発明は、(8)スチレン系樹脂を
加熱溶融させ、発泡剤を添加し、これを押出発泡してな
るスチレン系樹脂発泡体の製造方法であって、スチレン
系樹脂100重量部に対して、発泡剤として、a)炭素
数が3〜5である飽和炭化水素の少なくとも1種を2〜
6重量部と、b)ジメチルエーテル、塩化メチル、塩化
エチルから選ばれる少なくとも1種の化合物を1〜7重
量部を含有し、かつ、難燃剤として、c)ハロゲン系難
燃剤から選ばれる少なくとも1種を0.1〜6重量部
と、d)含ハロゲンリン酸エステル系難燃剤から選ばれ
る少なくとも1種を0.1〜6重量部を含有し、発泡体
密度が20〜50kg/m3、発泡体を構成する平均気
泡径が0.1〜2mmであることを特徴とするスチレン
系樹脂発泡体の製造方法に関する。
【0022】
【発明の実施の形態】本発明で用いられるスチレン系樹
脂は、特に限定されるものではなく、スチレン単量体の
みから得られるスチレンホモポリマー、スチレン単量体
とスチレンと共重合可能な単量体あるいはその誘導体か
ら得られるランダム、ブロックあるいはグラフト共重合
体、後臭素化ポリスチレン、ゴム強化ポリスチレンなど
の変性ポリスチレンなどが挙げられる。これらは単独あ
るいは2種以上混合して使用することができる。
【0023】スチレンと共重合可能な単量体としては、
メチルスチレン、ジメチルスチレン、エチルスチレン、
ジエチルスチレン、イソプロピルスチレン、ブロモスチ
レン、ジブロモスチレン、トリブロモスチレン、クロロ
スチレン、ジクロロスチレン、トリクロロスチレンなど
のスチレン誘導体、ジビニルベンゼンなどの多官能性ビ
ニル化合物、アクリル酸、メタクリル酸、アクリル酸メ
チル、メタクリル酸メチル、アクリル酸エチル、メタク
リル酸エチル、アクリロニトリルなどの(メタ)アクリ
ル系化合物、ブダジエンなどのジエン系化合物あるいは
その誘導体、無水マレイン酸、無水イタコン酸などの不
飽和カルボン酸無水物などが挙げられる。これらは単独
あるいは2種以上混合して使用することができる。
【0024】スチレン系樹脂では、加工性の面からスチ
レンホモポリマーが好ましい。
【0025】本発明は、発泡剤として、a)炭素数3〜
5の飽和炭化水素の1種または2種以上、および、b)
ジメチルエーテル、塩化メチル、塩化エチルから選ばれ
る少なくとも1種の化合物を使用することを特徴とする
が、a)炭素数3〜5の飽和炭化水素としては、プロパ
ン、n−ブタン、i−ブタン、n−ペンタン、i−ペン
タン、ネオペンタンなどが挙げられる。それらの内で、
発泡性と発泡体の断熱性能の点からn−ブタン、i−ブ
タン、n−ブタンとi−ブタンの混合物が好ましく、特
に好ましくはi−ブタンである。
【0026】さらに、本発明では、発泡剤として、ジメ
チルエーテル、塩化メチル、塩化エチルから選ばれる少
なくとも1種の化合物を発泡剤b)として使用する。
【0027】また、本発明で用いられるa)発泡剤、
b)発泡剤以外の他の発泡剤を必要に応じて適宜使用す
ることができる。この他の発泡剤としては、特に限定さ
れるものではない。例えば、ジエチルエーテル、メチル
エチルエーテル、イソプロピルエーテル、n−ブチルエ
ーテル、ジイソプロピルエーテル、フラン、フルフラー
ル、2−メチルフラン、テトラヒドロフラン、テトラヒ
ドロピランなどのエーテル類、ジメチルケトン、メチル
エチルケトン、ジエチルケトン、メチルn−プロピルケ
トン、メチルn−ブチルケトン、メチルi−ブチルケト
ン、メチルn−アミルケトン、メチルn−ヘキシルケト
ン、エチルn−プロピルケトン、エチルn−ブチルケト
ンなどのケトン類、メタノール、エタノール、プロピル
アルコール、i−プロピルアルコール、ブチルアルコー
ル、i−ブチルアルコール、t−ブチルアルコールなど
のアルコール類、蟻酸メチルエステル、蟻酸エチルエス
テル、蟻酸プロピルエステル、蟻酸ブチルエステル、蟻
酸アミルエステル、プロピオン酸メチルエステル、プロ
ピオン酸エチルエステルなどのカルボン酸エステル類な
どの有機発泡剤、例えば水、二酸化炭素などの無機発泡
剤、例えばアゾ化合物などの化学発泡剤などを用いるこ
とができる。これら他の発泡剤は単独または2種以上混
合して使用することができる。
【0028】他の発泡剤の中では、発泡性、発泡体成形
性などの点から、ジエチルエーテル、メチルエチルエー
テル、水、二酸化炭素がより好ましく、中でも、水や二
酸化炭素が特に好ましい。
【0029】他の発泡剤を用いることで、良好な可塑化
効果や発泡助剤効果が得られ、押出圧力を低減し、安定
的に発泡体の製造が可能となる。
【0030】本発明のスチレン系樹脂発泡体の製造時
に、スチレン系樹脂中に添加または注入される発泡剤の
量としては、発泡倍率の設定値などに応じて適宜かわる
ものではあるが、通常、発泡剤の合計量をスチレン系樹
脂100重量部に対して2〜20重量部とするのが好ま
しい。発泡剤の添加量が2重量部未満では発泡倍率が低
く、樹脂発泡体としての軽量、断熱などの特性が発揮さ
れにくい場合があり、一方20重量部を超えると過剰な
発泡剤量のため発泡体中にボイドなどの不良を生じる場
合がある。
【0031】添加される発泡剤は、スチレン系樹脂10
0重量部に対して、a)1種または2種以上の炭素数3
〜5の飽和炭化水素の好ましい量は2〜6重量部であ
り、b)ジメチルエーテル、塩化メチル、塩化エチルか
ら選ばれる少なくとも1種の化合物の好ましい量は1〜
7重量部である。炭素数3〜5の飽和炭化水素の量が前
記範囲より少ないと、得られる発泡体の断熱性が劣る場
合があり、前記範囲より多いと難燃性が得られない。
【0032】また、ジメチルエーテル、塩化メチル、塩
化エチルから選ばれる少なくとも1種の化合物の量が前
記範囲より少ないと、押出機内で圧力を低下させるため
に樹脂温度を上げる必要があり、結果として独立気泡率
の低下を引き起こす場合があり、前記範囲より多いと可
塑性が高すぎ、押出機内のスチレン系樹脂と発泡剤との
混練状態が不均一となり、押出機の圧力制御が難しくな
る傾向がある。他の発泡剤の量については、発泡体の製
造、外観や物性を損なわない程度に添加することができ
る。
【0033】発泡剤を添加または注入する際の圧力は、
特に制限するものではなく、押出機などの内圧力よりも
高い圧力であればよい。
【0034】本発明により得られたスチレン系樹脂発泡
体中には、発泡剤であるa)炭素数が3〜5である飽和
炭化水素の少なくとも1種が含有される。得られたスチ
レン系樹脂発泡体中における、炭素数3〜5の飽和炭化
水素の残存含有量は、飽和炭化水素化合物の種類、発泡
体の密度などによっても異なるが、下記範囲より少なく
なると良好な断熱性能が得られにくい傾向がある。すな
わち、一般的には、発泡体100重量部に対して、2〜
6重量部であることが好ましい。さらに好ましくは、プ
ロパンでは2.5〜6重量部、n−ブタン、i−ブタン
では2〜6重量部、n−ペンタン、i−ペンタン、ネオ
ペンタンでは2〜6重量部が、断熱性能と難燃性の点か
ら好ましい。
【0035】本発明では、スチレン系樹脂発泡体中に、
難燃剤として、c)ハロゲン系難燃剤から選ばれる少な
くとも1種と、d)含ハロゲンリン酸エステル系難燃剤
から選ばれる少なくとも1種、さらに好ましくはリン酸
エステル系化合物を共存させる。これによって、燃焼性
の高い炭化水素を発泡剤として用いた場合でも、JIS
A9511に規定される高度の難燃性を達成すること
ができるという特徴を有する。該含ハロゲンリン酸エス
テル系難燃剤、該リン酸エステル系化合物は、樹脂の難
燃剤として知られているが、発泡剤として燃焼性の高い
炭化水素を用いた発泡体における、燃焼時の炭化水素の
着火あるいは燃焼を抑制することは知られていない。
【0036】本発明で使用される、c)ハロゲン系難燃
剤としては、例えば、臭素系難燃剤として、ヘキサブロ
モシクロドデカン、テトラブロモシクロオクタンなどの
脂肪族あるいは脂環式炭化水素の臭素化物、ヘキサブロ
モベンゼン、エチレンビスペンタブロモジフェニル、デ
カブロモジフェニルエタン、デカブロモジフェニルエー
テル、オクタブロモジフェニルエーテル、2,3−ジブ
ロモプロピルペンタブロモフェニルエーテルなどの芳香
族化合物の臭素化物、テトラブロモビスフェノールA、
テトラブロモビスフェノールAビス(2,3−ジブロモ
プロピルエーテル)、テトラブロモビスフェノールA
(2−ブロモエチルエーテル)、テトラブロモビスフェ
ノールAジグリシジルエーテル、テトラブロモビスフェ
ノールAビス(アリルエーテル)、テトラブロモビスフ
ェノールAジグリシジルエーテルとトリブロモフェノー
ルとの付加物などの臭素化ビスフェノール類およびその
誘導体、テトラブロモビスフェノールAポリカーボネー
トオリゴマー、テトラブロモビスフェノールAジグリシ
ジルエーテルとブロモ化ビスフェノールとの付加物のエ
ポキシオリゴマーなどの臭素化ビスフェノール類誘導体
オリゴマー、エチレンビステトラブロモフタルイミド、
ビス(2,4,6ートリブロモフェノキシ)エタンなど
の臭素系芳香族化合物、臭素化アクリル系樹脂、エチレ
ンビスジブロモノルボルナンジカルボキシイミドなどが
あげられる。塩素系難燃剤として、塩素化パラフィン、
塩素化ナフタレン、パークロロペンタデカンなどの塩素
化脂肪族化合物、塩素化芳香族化合物、塩素化脂環式化
合物などがあげられる。
【0037】中でも、難燃性の点から臭素系難燃剤が好
ましく、特にスチレン系樹脂との相溶性などの点からヘ
キサブロモシクロドデカン、テトラブロモシクロオクタ
ンが好ましく、添加する量は0.1〜6重量部である。
ハロゲン系難燃剤の含有量が前記未満では、本発明の目
的とする難燃性が得られがたい傾向があり、一方前記範
囲を超えると、発泡体製造の際の成形性などを損なう場
合がある。
【0038】本発明で使用されるd)含ハロゲンリン酸
エステル系難燃剤としては、トリス(2−クロロエチ
ル)ホスフェート、トリス(クロロプロピル)ホスフェ
ート、トリス(ジクロロプロピル)ホスフェート、トリ
ス(トリブロモネオペンチル)ホスフェートなどのトリ
ス(ハロゲン化アルキル)ホスフェートなどのハロゲン
化リン酸エステル化合物などがあげられる。中でも、難
燃性の点からトリス(ジクロロプロピル)ホスフェー
ト、トリス(トリブロモネオペンチル)ホスフェートが
好ましく、添加する量は0.1〜6重量部である。含ハ
ロゲンリン酸エステル系難燃剤の含有量が前記未満で
は、本発明の目的とする難燃性が得られがたい傾向があ
り、一方前記範囲を超えると、発泡体製造の際の成形性
などを損なう場合がある。
【0039】さらに、本発明では、c)ハロゲン系難燃
剤と、d)含ハロゲンリン酸エステル系難燃剤とに加え
て、リン酸エステル系化合物を添加することにより、さ
らに難燃性能を向上させることができる。このリン酸エ
ステル系化合物の具体例としては、トリメチルホスフェ
ート、トリエチルホスフェート、トリブチルホスフェー
ト、トリ(2−エチルヘキシル)ホスフェートなどのト
リアルキルホスフェート(アルキル基としてはの炭素数
1〜12のものが好ましい)、トリブトキシエチルホス
フェートなどのトリアルコキシアルキルホスフェート
(アルコキシアルキル基としては炭素数2〜12のもの
が好ましい)、ジアルキルホスフェート(アルキル基と
しては炭素数1〜12のものが好ましい)、モノイソデ
シルホスフェートなどのモノアルキルホスフェート(ア
ルキル基としては炭素数1〜12のものが好ましい)、
2−アクリロイルオキシエチルアシッドホスフェート、
2−メタクリロイルオキシエチルアシッドホスフェート
などの脂肪族系リン酸エステル類、トリフェニルホスフ
ェート、トリクレジルホスフェート、トリキシリルホス
フェート、トリス(イソプロピルフェニル)ホスフェー
ト、トリス(フェニルフェニル)ホスフェート、トリナ
フチルホスフェート、クレジルジフェニルホスフェー
ト、キシリルジフェニルホスフェート、ジ(イソプロピ
ルフェニル)フェニルホスフェートなどのトリアリール
ホスフェート(アルール基はアルキル基、フェニル基な
どで置換されていてもよい)、ジフェニル(2−エチル
ヘキシル)ホスフェート、ジフェニル(2−アクリロイ
ルオキシエチル)ホスフェート、ジフェニル(2−メタ
クリロイルオキシエチル)ホスフェートなどのジアリー
ルアルキルホスフェート(アリール基、アルキル基は置
換されていてもよい)などの芳香族系リン酸エステル類
などがあげられる。
【0040】リン酸エステル系化合物の含有量は、
c)、d)の難燃剤の効果に、さらに、難燃性および燃
焼時に揮発する炭化水素の着火・燃焼抑制相乗効果が得
られるように、スチレン系樹脂100重量部に対して、
0.1〜5重量部が好ましい。リン酸エステル系化合物
の含有量が前記範囲未満では、相乗効果が得られにくい
傾向があり、一方前記範囲を超えると、発泡体製造の際
の成形性などを損なう場合がある。
【0041】また、本発明では、より高い難燃性能を得
るために窒素含有化合物を添加することが可能である。
窒素含有化合物の具体例としては、シアヌル酸、メチル
シアヌレートなどのモノアルキルシアヌレート、ジエチ
ルシアヌレートなどのジアルキルシアヌレート、トリメ
チルシアヌレート、トリエチルシアヌレートなどのトリ
アルキルシアヌレート、フェニルシアヌレート、ジフェ
ニルシアヌレート、トリフェニルシアヌレート、ジメチ
ルフェニルシアヌレートなどのジアルキルフェニルシア
ヌレート、イソシアヌル酸、メチルイソシアヌレートな
どのモノアルキルイソシアヌレート、ジエチルイソシア
ヌレートなどのジアルキルイソシアヌレート、トリメチ
ルイソシアヌレート、トリエチルイソシアヌレートなど
のトリアルキルイソシアヌレート、フェニルイソシアヌ
レート、ジフェニルイソシアヌレート、トリフェニルイ
ソシアヌレート、ジメチルフェニルイソシアヌレートな
どのジアルキルフェニルイソシアヌレート、モノ(2−
アミノエチル)イソシアヌレートなどのモノ(アミノア
ルキル)イソシアヌレート、ジ(2−アミノエチル)イ
ソシアヌレートなどのジ(アミノアルキル)イソシアヌ
レート、トリ(2−アミノエチル)イソシアヌレートな
どのトリ(アミノアルキル)イソシアヌレート、トリ
(ヒドロキシメチル)イソシアヌレート、トリ(2−ヒ
ドロキシエチル)イソシアヌレート、トリ(2−ヒドロ
キシプロピル)イソシアヌレートなどのトリ(ヒドロキ
シアルキル)イソシアヌレート、ジ(ヒドロキシメチ
ル)イソシアヌレートなどのジ(ヒドロキシアルキル)
イソシアヌレート、ビス(2−カルボキシエチル)イソ
シアヌレートなどのビス(カルボキシアルキル)イソシ
アヌレート、1,3,5−トリス(2−カルボキシエチ
ル)イソシアヌレートなどの1,3,5−トリス(カル
ボキシアルキル)イソシアヌレート、トリス(2,3−
エポキシプロピル)イソシアヌレートなどが挙げられ
る。
【0042】本発明においては、ハロゲン系難燃剤、含
ハロゲンリン酸エステル化合物に加え、さらにリン酸エ
ステル系化合物を併用することで、燃焼性の高い炭化水
素を用いた発泡体における、燃焼時の炭化水素の着火あ
るいは燃焼をより一層効果的に抑制することができる。
【0043】本発明においては、ハロゲン系難燃剤、含
ハロゲンリン酸エステル化合物に加え、さらに必要に応
じてリン酸エステル系化合物を前記に述べた適量の範囲
で併用することによる、難燃性に対する寄与機構は未だ
定かではないが、おそらくはスチレン系樹脂発泡体燃焼
時に発生するラジカルをハロゲンにより捕捉し、また、
分解、溶融などにより発生する不燃ガスが燃焼箇所周辺
の酸素濃度の低下、難燃性被膜あるいは炭化発泡皮膜の
形成により難燃層あるいは断熱層を形成するといった燃
焼阻害の相乗効果が奏されるものと推察される。
【0044】即ち、発泡剤として飽和炭化水素を用いた
場合、発泡体の燃焼時に発泡体から残留発泡剤が大気中
に放出され、該発泡剤が燃焼することで、該発泡剤の燃
焼熱により発泡体の表面融解が生じて延焼する傾向があ
る。
【0045】しかしながら、これらの傾向についても、
ハロゲン系難燃剤、含ハロゲンリン酸エステル化合物を
併用し、さらにはリン酸エステル系化合物を添加するこ
とにより、残留発泡剤の燃焼を阻害することで、極めて
軽減させ得るか、ないしは無くすることができるという
優れた効果が得られ、合わせて適量を使用することによ
り優れた難燃性と成形加工の安定性を両立させた発泡成
形品が得られるようになる。
【0046】しかも、含ハロゲンリン酸エステル化合物
の配合量は、これを単独で難燃剤として用いる場合に比
べて、ハロゲン系難燃剤と組み合わせることで、通常熱
可塑性樹脂100重量部に対して、該樹脂の種類にもよ
るが、10〜20重量部ないしはそれ以上必要とされて
いたものが、数重量部程度の極少量の配合で本発明の効
果を達成し得る。
【0047】本発明においては、必要に応じて本発明の
効果を阻害しない範囲内で、シリカ、タルク、ケイ酸カ
ルシウム、ワラストナイト、カオリン、クレイ、マイ
カ、酸化亜鉛、酸化チタン、炭酸カルシウムなどの無機
化合物、ステアリン酸ナトリウム、ステアリン酸マグネ
シウム、ステアリン酸バリウム、流動パラフィン、オレ
フィン系ワックス、ステアリルアミド系化合物などの加
工助剤、フェノール系抗酸化剤、リン系安定剤、ベンゾ
トリアゾール類、ヒンダードアミン類などの耐光性安定
剤、他の難燃剤、帯電防止剤、顔料などの着色剤などの
添加剤を含有させることができる。
【0048】本発明で得られるスチレン系樹脂発泡体に
おける気泡径の平均は、0.1〜2mmであり、好まし
くは0.1〜1mmである。これは、発泡体の気泡が主
として気泡径0.25mm以下の気泡と気泡径0.3〜
1mmの気泡より構成され、これらの気泡が気泡膜を介
して海島状に分散し、発泡体断面積あたりに占める気泡
径0.25mm以下の気泡径の面積比率が10〜90%
であるような発泡体構造を有する発泡体ではなく、気泡
径の平均が、0.1〜2mmである実質的に均一なスチ
レン系樹脂発泡体を意味する。
【0049】本発明では、a)炭素数が3〜5である飽
和炭化水素の少なくとも1種を2〜6重量部と、b)ジ
メチルエーテル、塩化メチル、塩化エチルから選ばれる
少なくとも1種の化合物を1.0〜7重量部を含有し、
かつ、難燃剤として、c)ハロゲン系難燃剤から選ばれ
る少なくとも1種を0.1〜6重量部と、d)含ハロゲ
ンリン酸エステル系難燃剤を組み合わせることで、発泡
剤にフロン類を用いることなく、JIS A9511に
規定する断熱性と難燃性を共に有するスチレン系樹脂押
出発泡体を得ることができる。すなわち、断熱性が、熱
伝導率で0.034W/mK以下、ないしは0.028
W/mK以下であり、押出法ポリスチレンフォーム保温
板の2種以上に合致し、かつ難燃性が、JIS A95
11に規定する燃焼性の測定において、3秒以内に炎が
消えて、残じんがなく、燃焼限界指示線を越えて燃焼し
ないという条件を満たすスチレン系樹脂押出発泡体を得
ることができる。
【0050】JIS A9511に規定される押出法ポ
リスチレンフォーム保温板2〜3種に合致する、断熱性
と難燃性を共に有するスチレン系樹脂押出発泡体は、発
泡剤として、炭素数が3〜5である飽和炭化水素の中で
好ましくは、n−ブタンおよび/またはイソブタンを用
い、特に好ましくはイソブタンを用いて得ることができ
る。難燃剤として、ハロゲン系難燃剤としては本発明に
示したいずれの化合物も好ましく用いることができる
が、特に好ましくはヘキサブロモシクロドデカン、テト
ラブロモシクロオクタン、テトラブロモビスフェノール
Aビス(アリルエーテル)であり、含ハロゲンリン酸エ
ステル系難燃剤としては本発明に示したいずれの化合物
も好ましく用いることができるが、さらに好ましくは、
トリス(ジクロロプロピル)ホスフェート、トリス(ト
リブロモネオペンチル)であり、最も好ましくはさらに
リン酸エステル系化合物を併用することである。
【0051】本発明のスチレン系樹脂発泡体は、スチ
レン系樹脂にハロゲン系難燃剤、含ハロゲンリン酸エス
テル系難燃剤、必要に応じてリン酸エステル系化合物、
他の添加剤を混合した後、加熱溶融する、スチレン系
樹脂を加熱溶融した後にハロゲン系難燃剤、含ハロゲン
リン酸エステル系難燃剤、必要に応じてリン酸エステル
系化合物、他の添加剤を添加混合する、あらかじめス
チレン系樹脂にハロゲン系難燃剤、含ハロゲンリン酸エ
ステル系難燃剤、必要に応じてリン酸エステル系化合
物、他の添加剤を混合した後、加熱溶融した組成物を準
備し、あらためて押出機に供給し加熱溶融するなどの各
種方法で、スチレン系樹脂、ハロゲン系難燃剤、含ハロ
ゲンリン酸エステル系難燃剤、必要に応じてリン酸エス
テル系化合物、他の添加剤を押出機などの加熱溶融混練
手段に供給し、任意の段階で高圧条件下で、発泡剤をス
チレン系樹脂に添加し、流動ゲルとなし、押出発泡に適
する温度に冷却し、該流動ゲルをダイを通して低圧領域
に押出発泡して、発泡体を形成することにより製造され
る。
【0052】スチレン系樹脂と発泡剤などの添加剤を加
熱溶融混練する際の加熱温度、溶融混練時間および溶融
混練手段については特に制限するものではない。加熱温
度は、使用するスチレン系樹脂が溶融する温度以上であ
ればよいが、難燃剤などの影響による樹脂の分子劣化が
できる限り抑制される温度、たとえば150〜220℃
程度が好ましい。溶融混練時間は、単位時間あたりの押
出量、溶融混練手段などによって異なるので一概には決
定することができないが、スチレン系樹脂と発泡剤が均
一に分散混合するのに要する時間が適宜選ばれる。また
溶融混練手段としては、例えばスクリュー型の押出機な
どが挙げられるが、通常の押出発泡に用いられているも
のであれば特に限定はない。ただし、樹脂の分子劣化を
できる限り抑えるため、スクリュー形状については、低
剪断タイプのスクリューを用いる方が好ましい。
【0053】また、発泡成形方法も特に制限されない
が、例えば、スリットダイより圧力開放して得られた発
泡体をスリットダイと密着または接して設置した成形金
型および成形ロールなどを用いて、断面積の大きい板状
発泡体を成形する一般的な方法を用いることができる。
【0054】本発明の発泡体の厚さは特に制限されず、
用途に応じて適宜選択される。例えば、建材などの用途
に使用される断熱材の場合、好ましい断熱性、曲げ強度
および圧縮強度を付与せしめるためには、シートのよう
な薄いものよりも、通常の板状物のように厚さのあるも
のが好ましく、通常1〜150mm、好ましくは10〜
100mmである。また、本発明の発泡体の密度につい
ては、軽量でかつ優れた断熱性および曲げ強度、圧縮強
度を付与せしめるためには10〜60kg/m 3である
ことが好ましく、20〜50kg/m3であるのがさら
に好ましい。
【0055】
【実施例】次に本発明のスチレン系樹脂発泡体およびそ
の製造方法を実施例に基づいてさらに詳細に説明する
が、本発明はかかる実施例のみに制限されるものではな
い。なお、特に断らない限り「部」は重量部を、「%」
は重量%を表す。
【0056】以下に示す実施例1〜6、比較例1〜4で
得られた発泡体の特性として、発泡体密度、発泡体平均
セル径、残存発泡剤量、熱伝導率、燃焼性、発泡体外観
を下記の方法にしたがって調べた。 1)発泡体密度(kg/m3) 発泡体密度は、次の式に基づいて求め、単位をkg/m
3に換算して示した。 発泡体密度(g/cm3)=発泡体重量(g)/発泡体
体積(cm3
【0057】2)発泡体平均セル径 押出発泡体の縦断面を走査型電子顕微鏡((株)日立製
作所製、品番:S−450)にて30倍に拡大して発泡
体の縦断面を写真撮影し、撮影した写真を乾式複写機で
複写する。写真の複写紙において、気泡部分を黒インキ
で塗りつぶし、1次処理をおこなう。1次処理した画像
を画像処理装置に((株)ピアス製、品番:PIAS−
II)より測定する。
【0058】3)残存発泡剤量(g) 製造14日後の発泡体をガスクロマトグラフ(島津製作
所製 GC−14A)を使用して分析することにより、
発泡体100gに対する残存発泡剤量(g)を求めた。
【0059】4)熱伝導率(W/mK):JIS A9
511に準じて測定した。測定は製造後30日経過した
発泡体について行った。
【0060】5)燃焼性 製造後14日経過した発泡体についてJIS A951
1に準じて、厚さ10mm、長さ200mm、幅25m
mの試験片を用い、n数5で燃焼試験を行い、下記の基
準にしたがい判定した。 燃焼時間 ◎:消炎時間が5本すべて3秒以内となる ○:消炎時間が5本の内、少なくとも1本が3秒を超え
るが、残りの3本以上は3秒以内となる △:消炎時間が5本の内、少なくとも3本が3秒を超え
るが、残りの1本以上は3秒以内となる ×:消炎時間が5本すべて3秒を超える 燃焼状況 ◎:燃焼限界指示線以内で燃焼が停止し、発泡剤の燃焼
が全く見られない ○:燃焼限界指示線以内で燃焼は停止するが、発泡剤の
燃焼が若干見られる △:発泡剤の燃焼も見られ、燃焼限界指示線を越えて燃
焼するが、全焼には至らない ×:発泡剤の燃焼も見られ、全焼する
【0061】6)発泡体外観 目視にて発泡体の外観を検査し、外観が極めて良好なも
のを「◎」、良好なものを「○」、ボイドや割れ等の著
しい外観不良なものを「×」とした。
【0062】実施例1 ポリスチレン樹脂(新日鐵化学(株)製、商品名:エス
チレンG−17、メルトインデックス(MI):3.
1)100部に対して、造核剤としてタルク0.5部、
ハロゲン系難燃剤としてヘキサブロモシクロドデカン
(HBCD)3.0部、含ハロゲンリン酸エステル化合
物として、トリス(トリブモネオペンチル)ホスフェー
ト(大八化学(株)製、商品名:CR900)3.0
部、ステアリン酸バリウム0.3部をドライブレンド
し、得られた樹脂混合物を口径65mmのものと口径9
0mmのものを直列に連結した二段押出機へ約50kg
/hrの割合で供給した。前記口径65mmの押出機に
供給した樹脂混合物を、200℃に加熱して溶融ないし
可塑化、混練し、これに連結された口径90mmの押出
機で樹脂温度を120℃に冷却し、口径90mmの押出
機の先端に設けた厚さ方向2mm、幅方向50mmの長
方形断面の口金より大気中へ押し出し、厚さ約40m
m、幅約150mmの直方体状の押出発泡体を得た。
【0063】このとき発泡剤として、ポリスチレン樹脂
100部に対してi−ブタン4.0部、ジメチルエーテ
ル4.0部を、それぞれ別のラインから、前記口径65
mmの押出機の先端付近(口径90mmの押出機の口金
と反対側の端部側に接続される側の端部)から前記樹脂
中に圧入した。得られた発泡体の特性を表1に示す。下
記の比較例1〜5と比較し、難燃性が著しく向上した発
泡体が得られた。
【0064】実施例2 ポリスチレン樹脂100部に対して、含ハロゲンリン酸
エステル化合物として、トリス(ジクロロプロピル)ホ
スフェート(大八化学(株)製、商品名:CRP)1.
0部を用いた以外は、実施例1と同様の条件で押出発泡
体を得た。得られた発泡体の特性を表1に示す。比較例
1〜5と比較し、高度な断熱性能と難燃性の両立した発
泡体が得られた。
【0065】実施例3 ジメチルエーテルにかえて、ポリスチレン樹脂100部
に対して、塩化メチルを4.0部とした以外は、実施例
1と同様の条件で押出発泡体を得た。得られた発泡体の
特性を表1に示す。比較例1〜5と比較し、高度な断熱
性能と難燃性の両立した発泡体が得られた。
【0066】実施例4 リン酸エステル系化合物として、トリフェニルホスフェ
ート(味の素ファインテクノ(株)製、商品名:レオフ
ィスTPP)1.0部を用いた以外は、実施例1と同様
の条件で押出発泡体を得た。得られた発泡体の特性を表
1に示す。比較例1〜5と比較し、断熱性能と難燃性の
両立した発泡体が得られた。
【0067】実施例5 発泡剤として、プロパン2.5部とした以外は、実施例
1と同様の条件で押出発泡体を得た。得られた発泡体の
特性を表1に示す。比較例1〜5と比較し、高度な断熱
性能と難燃性の両立した発泡体が得られた。
【0068】実施例6 HBCDにかえて、テトラブロモシクロオクタン(TB
CO)を用い、添加量を2.0部にした以外は実施例4
と同様の条件で押出発泡体を得た。得られた発泡体の特
性を表1に示す。比較例1〜5と比較し、断熱性能と難
燃性の両立した発泡体が得られた。
【0069】実施例7 HBCDにかえて、テトラブロモビスフェノールAビス
(アリルエーテル)を用い、添加量を2.5部にした以
外は実施例4と同様の条件で押出発泡体を得た。得られ
た発泡体の特性を表1に示す。比較例1〜5と比較し、
断熱性能と難燃性の両立した発泡体が得られた。
【0070】比較例1 難燃剤をHBCDのみとした以外は実施例1と同様の条
件で押出発泡体を得た。得られた発泡体の特性を表1に
示す。実施例1と比較して、難燃性が劣る。
【0071】比較例2 発泡剤として、i−ブタンを1.5部とした以外は、実
施例1と同様の条件で押出発泡体を得た。得られた発泡
体の特性を表1に示す。実施例1と比較して、断熱性が
劣る。
【0072】比較例3 発泡剤として、i−ブタンを8.0部とした以外は、実
施例4と同様の条件で押出発泡体を得た。得られた発泡
体の特性を表1に示す。実施例4と比較して、難燃性が
劣る。
【0073】比較例4 含ハロゲンリン酸エステル系難燃剤を含まず、TPPを
3.0部とした以外は、実施例6と同様の条件で押出発
泡体を得た。得られた発泡体の特性を表1に示す。実施
例6と比較して、難燃性が劣る。
【0074】比較例5 含ハロゲンリン酸エステル系難燃剤を含まない以外は、
実施例7と同様の条件で押出発泡体を得た。得られた発
泡体の特性を表1に示す。実施例7と比較して、難燃性
が劣る。
【0075】
【表1】
【0076】
【発明の効果】本発明によれば、フロン系発泡剤を含有
しないため環境適合性に優れ、かつ難燃性、断熱性の優
れた、特にJIS A9511に規定する押出法ポリス
チレンフォーム保温板に合致した、断熱性と難燃性とを
共に有するスチレン系樹脂発泡体を安定的に製造するこ
とが可能となる。本発明のスチレン系樹脂発泡体は、そ
の優れた難燃性、断熱性の点から、特に建築用断熱材の
用途に有用である。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き Fターム(参考) 4F074 AA32 AD02 AD16 AG10 BA43 BA44 BA47 BA75 CA22 DA03 DA18 DA32 4J002 BC031 BC041 BN141 BP011 EB046 EW057 FD136 GL00

Claims (8)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 スチレン系樹脂を加熱溶融させ、発泡剤
    を添加し、これを押出発泡してなるスチレン系樹脂発泡
    体であって、スチレン系樹脂100重量部に対して、発
    泡剤として、a)炭素数が3〜5である飽和炭化水素の
    少なくとも1種を2〜6重量部と、b)ジメチルエーテ
    ル、塩化メチル、塩化エチルから選ばれる少なくとも1
    種の化合物を1〜7重量部とを含有し、かつ、難燃剤と
    して、c)ハロゲン系難燃剤から選ばれる少なくとも1
    種を0.1〜6重量部と、d)含ハロゲンリン酸エステ
    ル系難燃剤から選ばれる少なくとも1種を0.1〜6重
    量部とを含有し、発泡体密度が20〜50kg/m3
    発泡体を構成する平均気泡径が0.1〜2mmであるこ
    とを特徴とするスチレン系樹脂発泡体。
  2. 【請求項2】 炭素数が3〜5である飽和炭化水素が、
    プロパン、n−ブタン、i−ブタンよりなる群から選ば
    れる少なくとも1種の飽和炭化水素であることを特徴と
    する請求項1記載のスチレン系樹脂発泡体。
  3. 【請求項3】 ハロゲン系難燃剤が、ヘキサブロモシク
    ロドデカン、テトラブロモシクロオクタン、テトラブロ
    モビスフェノールAビス(アリルエーテル)より選ばれ
    る少なくとも1種のハロゲン系難燃剤であることを特徴
    とする請求項1〜2のいずれか1項記載のスチレン系樹
    脂発泡体。
  4. 【請求項4】 含ハロゲンリン酸エステル系難燃剤がト
    リス(ジクロロプロピル)ホスフェート、トリス(トリ
    ブロモネオペンチル)ホスフェートより選ばれる少なく
    とも1種の含ハロゲンリン酸エステル系難燃剤であるこ
    とを特徴とする請求項1〜3のいずれか1項記載のスチ
    レン系樹脂発泡体。
  5. 【請求項5】 さらに、スチレン系樹脂100重量部に
    対して、リン酸エステル系化合物を0.1〜5重量部含
    有することを特徴とする請求項1〜4のいずれか1項記
    載のスチレン系樹脂発泡体。
  6. 【請求項6】 フロン系の発泡剤を含まず、難燃性が、
    JIS A9511に規定する燃焼性の測定において、
    3秒以内に炎が消えて、残じんがなく、燃焼限界指示線
    を越えて燃焼しないという条件を満たすことを特徴とす
    る請求項1〜5のいずれか1項記載のスチレン系樹脂発
    泡体。
  7. 【請求項7】 断熱性が、熱伝導率で0.034W/m
    K以下であることを特徴とする請求項1〜6のいずれか
    1項記載のスチレン系樹脂発泡体。
  8. 【請求項8】 スチレン系樹脂を加熱溶融させ、発泡剤
    を添加し、これを押出発泡してなるスチレン系樹脂発泡
    体の製造方法であって、スチレン系樹脂100重量部に
    対して、発泡剤として、a)炭素数が3〜5である飽和
    炭化水素の少なくとも1種を2〜6重量部と、b)ジメ
    チルエーテル、塩化メチル、塩化エチルから選ばれる少
    なくとも1種の化合物を1〜7重量部を含有し、かつ、
    難燃剤として、c)ハロゲン系難燃剤から選ばれる少な
    くとも1種を0.1〜6重量部と、d)含ハロゲンリン
    酸エステル系難燃剤から選ばれる少なくとも1種を0.
    1〜6重量部を含有し、発泡体密度が20〜50kg/
    3、発泡体を構成する平均気泡径が0.1〜2mmで
    あることを特徴とするスチレン系樹脂発泡体の製造方
    法。
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* Cited by examiner, † Cited by third party
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