JP4118131B2 - スチレン系樹脂押出発泡体およびその製造方法 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、建築用断熱材などに使用される板状のスチレン系樹脂押出発泡体およびその製造方法に関する。さらに詳しくは、環境適合性に優れ、かつ、良好な断熱性能、強度物性、難燃性を有するスチレン系樹脂押出発泡体およびその製造方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
従来、スチレン系樹脂押出発泡体は施工性、断熱特性の好適性から建屋の断熱材として汎用されて来た。これらスチレン系樹脂押出発泡体を得るには、スチレン系樹脂を押出機にて加熱溶融し、途中、発泡剤を添加、混練、この流動ゲルを発泡に適する温度に冷却、ダイを通して低圧領域に圧力開放し、発泡させ、同時に、板状に成形し、発泡体を得る方法が一般的である。ここで、発泡剤としては、優れた断熱特性を得るため、フロン類や飽和炭化水素類を使用し、また、良好な機械的物性、発泡体寸法安定性および生産性を得るために、スチレン系樹脂に、易溶解性、易透過性のガスである塩化メチル、塩化エチルに代表されるハロゲン化炭化水素を併用して用いる技術が、当業界に広く採用され定着している。
【0003】
しかし近年、オゾン層破壊、地球温暖化、化学物質による大気や水質への影響等、環境問題がクローズアップされてきており、少しでも環境に優しい発泡剤を使用する事が望まれている。
【0004】
また最近、高気密、高断熱化住宅の増加に伴うシックハウス症候群の原因として、建材から放出される揮発性有機化合物の関与が疑われている。断熱材として使用されるスチレン系樹脂押出発泡体の発泡剤も関与している可能性があり、特に、フロン類、ハロゲン化炭化水素類に関しては注意が必要との見解もある。従って、フロン類、ハロゲン化炭化水素類の発泡剤を使用せず、環境に適合した発泡剤で高断熱性能を持つスチレン系樹脂押出発泡体を開発できれば、社会的要請に答えるものとなる。
【0005】
これらの背景のもと、水を発泡剤の一部として使用する検討がなされている。
【0006】
特許文献1では、ベントナイトを水の分散媒体として添加し、水を発泡剤として有効利用するとともに、大小気泡構造を有する発泡体をより有利に得る技術内容が開示されている。しかしながら、フロン類、ハロゲン化炭化水素類の発泡剤を使用せずに、発泡体密度20〜50kg/m3の軽量発泡体をより容易に安定的に得ようとする場合には、更なる改良が望まれる。
【0007】
また、特許文献2では、発泡剤の一部に水を使用し、スチレン系樹脂押出発泡体を作る方法において、低分子ポリマー、オリゴマー、親水性ポリマー等を混和する手段にて、スチレン樹脂材料に水溶性を付与する方法が開示されている。しかし、建材用途に要求される断熱性能、機械的強度等に適合する合成樹脂押出発泡体を提案するには到っていない。
【0008】
前述のように、環境に適合する発泡剤としての水を有効利用しつつ、断熱性能、強度物性、難燃性に優れた、軽量のスチレン系樹脂押出発泡体を得るについては更なる改良が待たれている。
【0009】
【特許文献1】
特開2001―200087号公報
【0010】
【特許文献2】
特表平8−502786号公報
【0011】
【発明が解決しようとする課題】
本発明は前記従来技術に鑑みてなされたものであり、オゾン層破壊、地球温暖化など、環境に影響のあるフロン類、ハロゲン化炭化水素類の発泡剤を使用せず、優れた断熱性能、強度物性、難燃性を持ち合わせた軽量なスチレン系樹脂押出発泡体を提供することを目的とする。
【0012】
水は、クリーンな物質ではあるが、スチレン系樹脂との相溶性がほとんどない為、添加量に制限があり、添加量が多すぎると、樹脂中に均一分散せず、安定して押出発泡する事が不可能であったり、発泡体にボイドが発生するといった課題が存在した。そこで、ベントナイトの例に見られるごとき有効な吸水性物質を添加し、押出機内で樹脂中に水を均一分散させる事に成功し、水を発泡剤として有効利用できる事を見い出してきた。その結果、ある程度は、水の発泡剤としての使いこなしを実現し、環境に優しい発泡剤を使用しつつ、優れた断熱性能を有する発泡体の開発に成功してきた。
【0013】
しかしながら、より水の分散性を改良し、経済的に発泡体を生産し、かつ、更に高発泡化することでハンドリング性の良好な発泡体を得ようとする場合には、更なる技術のステップアップが望まれる。
【0014】
【課題を解決するための手段】
本発明者らは、前記課題解決のため、鋭意研究の結果、発泡剤として水を使用する場合、吸水機能を有した水分散剤として、平均粒子径15μm以下のゼオライトを使用することにより、より水の分散性が改良でき、多量の水の使用が可能であると共に、発泡効率も向上し、発泡体の更なる軽量化が可能となり、安定的な発泡成形に非常に有効であることを見い出した。
【0015】
また、断熱性、強度物性、難燃性、寸法安定性の発泡体品質、更には、発泡体輸送時の着火危険性を考慮した場合、発泡剤として、水、エーテル、飽和炭化水素の混合発泡剤を使用すること、及び、その混合比率とトータルの使用量を特定することがより効果的であることを見い出した。
【0016】
すなわち、本発明は、次のスチレン系樹脂押出発泡体およびその製造方法を提供する。
(1)スチレン系樹脂を押出発泡してなるスチレン系樹脂押出発泡体であって、発泡剤としての水を0.2〜8重量部使用し、平均粒子径15μm以下のゼオライトを0.1〜20重量部含有することを特徴とする、スチレン系樹脂押出発泡体。
(2)ゼオライトが、合成ゼオライトであることを特徴とする、前記(1)に記載のスチレン系樹脂押出発泡体。
【0017】
(3)発泡剤が、水、エーテルおよび炭素数が3〜5の飽和炭化水素からなる混合発泡剤であることを特徴とする、前記(1)または(2)に記載ののスチレン系樹脂押出発泡体。
(4)スチレン系樹脂100重量部に対し、発泡剤全量として5〜10重量部使用し、発泡剤全量100重量%に対して、水を5〜30重量%、エーテルを15〜50重量%、および、炭素数が3〜5の飽和炭化水素の少なくとも1種を20〜80重量%混合することを特徴とする、前記(1)〜(3)のいずれかに記載のスチレン系樹脂押出発泡体。
(5)発泡体密度が20〜50kg/m3、発泡体厚みが20〜120mmであることを特徴とする、前記(1)〜(4)のいずれかに記載のスチレン系樹脂押出発泡体。
【0018】
(6)スチレン系樹脂を加熱溶融させ、発泡剤を該スチレン系樹脂に添加し、ダイを通して押出発泡するスチレン系樹脂押出発泡体の製造方法であって、スチレン系樹脂100重量部に対して、平均粒子径15μm以下のゼオライトを0.1〜20重量部を含有させ、さらに、発泡剤として、発泡剤全量として5〜10重量部使用し、発泡剤全量100重量%に対して、水5〜30重量%、エーテル15〜50重量%、および、炭素数が3〜5の飽和炭化水素の少なくとも1種20〜80重量%からなる混合発泡剤を共存させて押出発泡する事を特徴とするスチレン系樹脂押出発泡体の製造方法。
【0019】
【発明の実施の形態】
本発明者らは、特許文献1にも開示されている様に、発泡剤として、水を有効利用する技術を継続して検討してきたが、その後、鋭意検討した結果、吸水性能を有する水分散剤として、平均粒子径15μm以下のゼオライトを使用する事により、本発明者らの先の発明に用いたベントナイトより以上に、押出機内で水を樹脂中に均一分散させる事に成功し、水を発泡剤としてより有効利用させ、安定的に軽量発泡体が得られることを見い出し本発明に至った。
【0020】
本発明で使用するゼオライトは、洗剤ビルダー、乾燥吸着剤、脱臭剤、触媒、樹脂添加剤の用途に使用されており、樹脂添加剤としては、ブロッキング防止剤、脱水剤として使用されている。しかしながら、スチレン系樹脂に水や蒸発型発泡剤を添加し、押出発泡して発泡体を得る技術分野で、平均粒子径が15μm以下の微細なゼオライトを水の分散剤として添加する例や関連する技術は従来には全くなかった。
【0021】
一般に、ゼオライトは、独特な3次元的骨格構造を持ったオングストローム単位の細孔を多数有する結晶性アルミノ珪酸塩の総称である。ゼオライトによる吸着の特徴、分子篩作用は次のとおりである。▲1▼分子相互の極性の差を利用した吸着分離が可能、▲2▼大きさ、形がわずかに異なる分子の分離が可能、▲3▼イオン交換によって細孔径の微調整が可能、▲4▼細孔容積が大きいので吸着容量が大きい。
【0022】
一方、先の発明で用いられたベントナイトは、主成分がモンモリロナイトであり、石英、α−クリストバライト、オパール、長石、雲母などの随伴鉱物を含んだ塩基性粘土鉱物である。化学成分からいえば、ベントナイトは酸化珪素が主成分であり、次いで多い化学成分が酸化アルミニウムである。モンモリロナイトとは、約1nmの薄い珪酸塩層からなり、その板状結晶粒子の層表面はマイナスに帯電し、層間にはナトリウムやカルシウムのような交換性陽イオンを介在して電荷的に中性を保っており、水が接触すると層間の交換性陽イオンに水分子が水和し、層間が膨潤する粘土鉱物である。
【0023】
このように、ゼオライトとベントナイトでは、水を取り込む機構が異なっている。押出機を用いた実テストからはゼオライトの方が、水をより分散させやすく、高発泡化に効果的であるため、環境に優しい水をより多量に分散性良く使用可能であることがわかった。従って、押出機内での樹脂中への水分散においては、ゼオライトの様な細孔による吸着機構を採用する方が、ベントナイトの層間膨潤よりも有利であると考察している。
【0024】
また、ゼオライトの平均粒子径としては、15μm以下の微細なものを用いることにより、ゼオライトの樹脂への分散が良好になり、異物発生が無く優れた発泡体が得やすくなる傾向があるとともに、水の分散に関しても良好な結果になり、ボイド、気泡(セル)むら発生がない傾向となる。このようにゼオライトの平均粒子径は、15μm以下であり、さらに13μm以下が好ましく、5μm以下がより好ましい。通常、10μm〜2μmのものを用いるのが実用上好ましい。
【0025】
また、ゼオライトは天然品、合成品のいずれであってもよいが、合成品の方が不純物も少なく、かつ粒度が特定され易いので、合成品の方が好ましい。
【0026】
ゼオライトの含有量は、発泡剤の添加量、比率、あるいは他の添加剤が併用される場合はその種類、含有量に応じて適宜調整されるが、スチレン系樹脂100重量部に対して、0.1〜20重量部の範囲が好ましく、より好ましくは0.15〜10重量部、さらに好ましくは0.2〜5重量部である。
【0027】
ゼオライトの含有量が前記範囲より少ないと、水を分散、吸収する機能が低下し、ダイから水が噴き出したり、発泡体中にボイドが生じる等、良好な発泡体が得られなくなる傾向があり、前記範囲より多いと、スチレン系樹脂中に多量に異物が存在する形態となり、発泡時、気泡膜が破れる様な現象が生じやすくなり、独立気泡が維持できず、良好な発泡体を成形する事ができなくなる傾向がある。
【0028】
また本発明のもう一つの特徴は、発泡剤として、水を使用することである。さらに望ましくは、水とエーテルと炭素数3〜5の飽和炭化水素の3種の発泡剤をを混合使用することで、高発泡化が可能となり好ましい態様となる。これら3種の発泡剤を適正比率で混合し、適切な発泡剤使用量とすることにより、発泡体密度20〜50kg/m3の範囲内において、より低密度化でき、高発泡化が可能となり好ましい態様となる。
【0029】
スチレン系樹脂を押出発泡する際、環境に悪影響を与えず、発泡性能が良好な発泡剤として、エーテルと炭素数3〜5の飽和炭化水素との使用についても本願出願人などによって検討、出願されているが、本発明はそれらを更に改良したものである。
【0030】
次に、本発明で使用する発泡剤の性質を簡単に記し、次いで本発明でそれらをどのように用いるかについて記述する。
【0031】
エーテルはスチレン系樹脂への溶解性、及び透過性が大であり、高い発泡倍率を得るのには良好である。ただし、可燃性ガスであり、また、発泡体より放出されやすい特徴を有している事から、必要以上に使用する場合には発泡体を取り扱う際、特に発泡体の輸送時に、着火の可能性が考えられる。
【0032】
炭素数3〜5の飽和炭化水素は、スチレン系樹脂からの透過性が比較的小さく、ガスの熱伝導率が空気よりも小さい為、発泡体中に残存し、発泡体の断熱性能を向上させる。しかし、可燃性ガスである為、建材用途で使用する場合には、通常、樹脂に難燃剤を添加し、発泡体に難燃性を付与しているが、この発泡体の難燃性能を悪化させうる傾向を有する。
【0033】
水は前述したとおり、スチレン系樹脂への相溶性はほとんどない。また、沸点が高く、常温で液体であることから、発泡直後に発泡体の収縮を引き起こす傾向を有する。
【0034】
従って、これらの物質は環境に悪影響を与えにくい物質ではあるものの、スチレン系樹脂の発泡剤として使用するには、工夫が必要となる。
【0035】
スチレン系樹脂を安定的に押出発泡させる発泡剤の要件として、スチレン系樹脂への可塑化作用は最低限必要である。また、発泡体の品質面、特に発泡直後の寸法収縮を抑制するとともに、断熱材に要求される最も重要な品質である高断熱性能を付与する事は当然、必須となる。従って、これら全てを満足するために、水とエーテルと炭素数3〜5の飽和炭化水素の3種の発泡剤を適正比率で混合することで最終的に目標とする発泡体を得るに到った。
【0036】
エーテルとしては、例えば、ジメチルエーテル、ジエチルエーテル、メチルエチルエーテルなどが挙げられ、これらは単独又は2種以上を混合して使用できる。これらの中では、ジメチルエーテルが最も好ましい。
【0037】
炭素数3〜5の飽和炭化水素としては、プロパン、n−ブタン、i−ブタン、n−ペンタン、i−ペンタン、ネオペンタンなどが挙げられる。これらの中ではは、発泡性と発泡体の断熱性能の点からn−ブタン、i−ブタン、プロパンが好ましい。
【0038】
混合発泡剤において、水の混合比率は、発泡剤全量100重量%に対して、5重量%以上30重量%以下が好ましく、さらに好ましくは5重量%以上25重量%以下であり、エーテルの混合比率は、発泡剤全量100重量%に対して、15重量%以上50重量%以下が好ましく、さらに好ましくは20重量%以上40重量%以下であり、炭素数3〜5の飽和炭化水素の混合比率は、発泡剤全量100重量%に対して、20重量以上80重量%以下が好ましく、さらに好ましくは30重量%以上70重量%以下である。
【0039】
本発明のゼオライトを使用すれば、水は単独でも使用可能であるが、より高発泡の発泡体を得るために混合発泡剤を使用する場合において、水の混合比率が前記範囲より少ないと、高発泡化が困難になるとともに、エーテル及び炭素数3〜5の飽和炭化水素の混合比率が前記範囲を超えてしまう為、後述する不具合が生じる傾向にある。水の混合比率が前記範囲を超える場合、スチレン系樹脂への分散、吸収が許容範囲を超え、ダイからのガスの噴出し等が発生し、良好な発泡体が得られなくなる傾向にある。
【0040】
エーテルの混合比率が前記範囲より少ないと、押出系内において発泡剤によるスチレン系樹脂への可塑化作用が少ない為、安定的に発泡体を押し出す事ができない傾向にある。エーテルの混合比率が前記範囲を超える場合、発泡体の輸送時、トラック荷台内等において、エーテルの雰囲気濃度が着火の可能性のある範囲まで上昇する可能性がある。
【0041】
炭素数3〜5の飽和炭化水素の混合比率が前記範囲より少ないと、押出直後の発泡体に収縮がみられ、発泡体の寸法安定性が悪くなる傾向にある。また得られる発泡体の断熱性が劣る。炭素数3〜5の飽和炭化水素の混合比率が前記範囲を超える場合、得られた発泡体の難燃性が悪化する傾向となる。
【0042】
混合発泡剤の使用量としては、発泡倍率の設定値などに応じて適宜かわるものではあるが、発泡体密度20〜50kg/m3の軽量発泡体を得ようとした場合、発泡剤の合計量をスチレン系樹脂100重量部に対して5〜10重量部が好ましく、さらに好ましくは6〜9重量部である。発泡剤の添加量が5重量部未満では発泡倍率が低く、樹脂発泡体としての軽量、断熱などの特性が発揮されにくい場合があり、一方、10重量部を超えると過剰な発泡剤量のため発泡体中にボイドなどの不良を生じる傾向にある。
【0043】
また、本発明で用いられる混合発泡剤以外に、次にあげる様な非ハロゲン系の発泡剤を少量使用する事もできる。例えば、ジメチルケトン、メチルエチルケトン、ジエチルケトン、メチルn−プロピルケトン、メチルn−ブチルケトン、メチルi−ブチルケトン、メチルn−アミルケトン、メチルn−ヘキシルケトン、エチルn−プロピルケトン、エチルn−ブチルケトンなどのケトン類、メタノール、エタノール、プロピルアルコール、i−プロピルアルコール、ブチルアルコール、i−ブチルアルコール、t−ブチルアルコールなどのアルコール類、蟻酸メチルエステル、蟻酸エチルエステル、蟻酸プロピルエステル、蟻酸ブチルエステル、蟻酸アミルエステル、プロピオン酸メチルエステル、プロピオン酸エチルエステルなどのカルボン酸エステル類、窒素、二酸化炭素などの無機発泡剤、アゾ化合物などの化学発泡剤などを用いることができる。
【0044】
発泡剤を添加または注入する際の圧力は、特に制限するものではなく、押出機などの内圧力よりも高い圧力であればよい。
【0045】
本発明で用いられるスチレン系樹脂は、特に限定されるものではなく、スチレン単量体のみから得られるスチレンホモポリマー、スチレン単量体とスチレンと共重合可能な単量体あるいはその誘導体から得られるランダム、ブロックあるいはグラフト共重合体、臭素化ポリスチレン、ゴム強化ポリスチレンなどの変性ポリスチレンなどが挙げられる。これらは単独あるいは2種以上混合して使用することができる。
【0046】
スチレンと共重合可能な単量体としては、メチルスチレン、ジメチルスチレン、エチルスチレン、ジエチルスチレン、イソプロピルスチレン、ブロモスチレン、ジブロモスチレン、トリブロモスチレン、クロロスチレン、ジクロロスチレン、トリクロロスチレンなどのスチレン誘導体、ジビニルベンゼンなどの多官能性ビニル化合物、アクリル酸、メタクリル酸、アクリル酸メチル、メタクリル酸メチル、アクリル酸エチル、メタクリル酸エチル、アクリロニトリルなどの(メタ)アクリル系化合物、ブダジエンなどのジエン系化合物あるいはその誘導体、無水マレイン酸、無水イタコン酸などの不飽和カルボン酸無水物などが挙げられる。これらは単独あるいは2種以上混合して使用することができる。
【0047】
スチレン系樹脂では、加工性の面からスチレンホモポリマーが好ましい。
【0048】
本発明においては、必要に応じて、熱可塑性樹脂に通常使用される難燃剤を特別に限定することなく使用することができる。例えば、臭素系難燃剤として、ヘキサブロモシクロドデカン、ヘキサブロモシクロオクタンなどの脂肪族あるいは脂環式炭化水素の臭素化物、ヘキサブロモベンゼン、エチレンビスペンタブロモジフェニル、デカブロモジフェニルエタン、デカブロモジフェニルエーテル、オクタブロモジフェニルエーテル、2,3−ジブロモプロピルペンタブロモフェニルエーテルなどの芳香族化合物の臭素化物、テトラブロモビスフェノールA、テトラブロモビスフェノールAビス(2,3−ジブロモプロピルエーテル)、テトラブロモビスフェノールA(2−ブロモエチルエーテル)、テトラブロモビスフェノールAジグリシジルエーテル、テトラブロモビスフェノールAジグリシジルエーテルとトリブロモフェノールとの付加物などの臭素化ビスフェノール類およびその誘導体、テトラブロモビスフェノールAポリカーボネートオリゴマー、テトラブロモビスフェノールAジグリシジルエーテルとブロモ化ビスフェノールとの付加物のエポキシオリゴマーなどの臭素化ビスフェノール類誘導体オリゴマー、エチレンビステトラブロモフタルイミド、ビス(2,4,6ートリブロモフェノキシ)エタンなどの臭素系芳香族化合物、臭素化アクリル系樹脂、エチレンビスジブロモノルボルナンジカルボキシイミドなどがあげられる。塩素系難燃剤として、塩素化パラフィン、塩素化ナフタレン、パークロロペンタデカンなどの塩素化脂肪族化合物、塩素化芳香族化合物、塩素化脂環式化合物などがあげられる。これら化合物は単独または2種以上を混合して使用できる。
【0049】
難燃剤の中では、難燃性の点から臭素系難燃剤が好ましく、特にスチレン系樹脂との相溶性などの点からヘキサブロモシクロドデカンなどが好ましい。
【0050】
また上記難燃剤と共に、WO01/30896で開示されてあるごとき、分子中に窒素原子を有するリン系化合物、テトラゾール化合物、シアヌル酸、イソシアヌル酸、シアヌル酸の誘導体、イソシアヌル酸の誘導体、ホウ酸金属塩、酸化ホウ素、リン酸エステル系化合物等の難燃助剤も適宜使用することができる。
【0051】
本発明においては、必要に応じて本発明の効果を阻害しない範囲内で、シリカ、タルク、ケイ酸カルシウム、ワラストナイト、カオリン、クレイ、マイカ、酸化亜鉛、酸化チタン、炭酸カルシウムなどの無機化合物、ステアリン酸ナトリウム、ステアリン酸マグネシウム、ステアリン酸バリウム、ステアリルアミド系化合物などの加工助剤、フェノール系抗酸化剤、リン系安定剤、ベンゾトリアゾール類、ヒンダードアミン類などの耐光性安定剤、他の難燃剤、帯電防止剤、顔料などの着色剤などの添加剤を含有させることができる。
【0052】
本発明のスチレン系樹脂押出発泡体は、1)スチレン系樹脂に、ゼオライト、及び必要に応じて他の添加剤を混合した後、加熱溶融する、2)スチレン系樹脂を加熱溶融した後に、ゼオライト、及び必要に応じて他の添加剤を添加混合する、3)あらかじめスチレン系樹脂に、ゼオライト、及び必要に応じて他の添加剤を混合した後、加熱溶融した組成物を準備し、あらためて押出機に供給し加熱溶融するなどの各種方法で、スチレン系樹脂、ゼオライト、及び必要に応じて他の添加剤を押出機などの加熱溶融混練手段に供給し、任意の段階で高圧条件下で、発泡剤をスチレン系樹脂に添加し、流動ゲルとなし、押出発泡に適する温度に冷却し、該流動ゲルをダイを通して低圧領域に押出発泡して、発泡体を形成することにより製造される。
【0053】
スチレン系樹脂と発泡剤などの添加剤を加熱溶融混練する際の加熱温度、溶融混練時間および溶融混練手段については特に制限するものではない。加熱温度は、使用するスチレン系樹脂が溶融する温度以上であればよいが、難燃剤などの影響による樹脂の分子劣化ができる限り抑制される温度、たとえば150〜220℃程度が好ましい。溶融混練時間は、単位時間あたりの押出量、溶融混練手段などによって異なるので一概には決定することができないが、スチレン系樹脂と発泡剤が均一に分散混合するのに要する時間が適宜選ばれる。また溶融混練手段としては、例えばスクリュー型の押出機などが挙げられるが、通常の押出発泡に用いられているものであれば特に限定はない。ただし、樹脂の分子劣化をできる限り抑えるため、スクリュー形状については、低剪断タイプのスクリューを用いる方が好ましい。
【0054】
また、発泡成形方法も特に制限されないが、例えば、スリットダイより圧力開放して得られた発泡体をスリットダイと密着または接して設置した成形金型および成形ロールなどを用いて、断面積の大きい板状発泡体を成形する一般的な方法を用いることができる。
【0055】
本発明の発泡体の厚さは特に制限されず、用途に応じて適宜選択される。例えば、建材などの用途に使用される断熱材の場合、好ましい断熱性、曲げ強度および圧縮強度を付与せしめるためには、シートのような薄いものよりも、通常の板状物のように厚さのあるものが好ましく、通常20〜120mm、好ましくは20〜100mmである。また、本発明の発泡体の密度については、軽量でかつ優れた断熱性および曲げ強度、圧縮強度を付与せしめるためには20〜50kg/m3であることが好ましく、25〜30kg/m3であるのがさらに好ましい。
【0056】
【実施例】
次に本発明のスチレン系樹脂押出発泡体およびその製造方法を実施例に基づいてさらに詳細に説明するが、本発明はかかる実施例のみに限定されるものではない。
【0057】
得られた発泡体の特性として、発泡体成形状態、発泡体断面プロファイル、発泡体気泡径、発泡体密度、発泡体熱伝導率、発泡体圧縮強度、発泡体燃焼性を下記の方法にしたがって求めた。
【0058】
(1)発泡体成形状態
次の内容で評価した。
○:発泡体に、ワレ、亀裂、窪み、ボイドがなく、良好な発泡体が安定して得られている。
×:ダイからのガスの噴出しがある。押出系内の圧力変動がひどく、安定して発泡体が得られない。発泡体に、ワレ、亀裂、窪み、ボイド等があり、粗悪な発泡体しか得られない。
【0059】
(2)発泡体断面プロファイル
得られた発泡体断面の厚み方向寸法、幅方向寸法を測定した。
【0060】
(3)発泡体気泡径(mm)
発泡体を幅方向に沿って垂直(厚さ方向)に切断した断面をサンプリングし、この部位を走査型電子顕微鏡((株)日立製作所製、品番:S−450)にて30倍に拡大して写真撮影し、この写真から平均気泡径をASTM D−3576に準じて測定した。写真撮影した部位の実寸法は約5mm×5mmであった。サンプリングの位置は発泡体の端部の特殊な気泡構造の部分を除けば、発泡体の何処でサンプリングしてもよい。
【0061】
(4)発泡体密度(kg/m3)
発泡体密度は、次の式に基づいて求め、単位をkg/m3に換算して示した。
発泡体密度(g/cm3)=発泡体重量(g)/発泡体体積(cm3)
【0062】
(5)発泡体熱伝導率(W/mK)
JIS A 9511 押出法ポリスチレンフォーム保温板に準じて測定した。測定は製造後30日経過した発泡体について行った。
【0063】
(6)発泡体圧縮強度(N/cm2)
JIS A 9511 押出法ポリスチレンフォーム保温板に準じて測定した。測定は製造後7日経過した発泡体について行った。
【0064】
(7)発泡体燃焼性
JIS A 9511に準じて測定した。測定は製造後7日経過した発泡体について行った。3秒以内に炎が消えて、残じんがなく燃焼限界指示線を超えて燃焼しないことの基準を満たしておれば、○(合格)とし、この基準に達しない場合は、×(不合格)とした。
【0065】
実施例1
ポリスチレン樹脂として、エー・アンド・エム スチレン(株)製、商品名:スタイロンG9401を使用し、ポリスチレン樹脂100重量部に対して、平均粒子径2μmのゼオライトを10重量部、併せて、難燃剤として、ヘキサブロモシクロドデカン(以下、HBCDと略称する)4重量部、造核剤としてタルク0.1重量部、滑剤としてステアリン酸バリウム0.25重量部をドライブレンドし、これらの樹脂混合物をタンデム型押出機へ供給した。
【0066】
第1押出機に供給した樹脂混合物を、約200℃に加熱して溶融混練し、発泡剤として、ポリスチレン樹脂100重量部に対して、水を4.5重量部を第1押出機の先端付近で樹脂中に圧入した。その後、第1押出機に連結された第2押出機、さらには冷却機で樹脂温度を約110〜130℃まで冷却し、冷却機の先端に設けたダイより大気中へ押出し、成形金型および成形ロールにより、厚さ30mm、幅160mmである断面形状の押出発泡板を得た。
【0067】
得られた発泡体は、発泡体気泡径が0.63mm、発泡体密度が46.2kg/m3の良好な発泡体であった。得られた発泡体の熱伝導率は0.038W/mK、圧縮強度は58.6N/cm2、燃焼性についてはJIS A 9511の基準を満たしていた。
【0068】
実施例2
ポリスチレン樹脂として、エー・アンド・エム スチレン(株)製、商品名:スタイロンG9401を使用し、ポリスチレン樹脂100重量部に対して、平均粒子径10μmのゼオライトを10重量部、併せて、難燃剤として、HBCD4重量部、造核剤としてタルク0.1重量部、滑剤としてステアリン酸バリウム0.25重量部をドライブレンドし、これらの樹脂混合物をタンデム型押出機へ供給した。
【0069】
第1押出機に供給した樹脂混合物を、約200℃に加熱して溶融混練し、発泡剤として、ポリスチレン樹脂100重量部に対して、水を4.5重量部を第1押出機の先端付近で樹脂中に圧入した。
【0070】
その後、第1押出機に連結された第2押出機、さらには冷却機で樹脂温度を約110〜130℃まで冷却し、冷却機の先端に設けたダイより大気中へ押出し、成形金型および成形ロールにより、厚さ30mm、幅160mmである断面形状の押出発泡板を得た。
【0071】
得られた発泡体は、発泡体気泡径が0.73mm、発泡体密度が48.2kg/m3の良好な発泡体であった。得られた発泡体の熱伝導率は0.039W/mK、圧縮強度は62.3N/cm2、燃焼性についてはJIS A 9511の基準を満たしていた。
【0072】
実施例3
ポリスチレン樹脂として、エー・アンド・エム スチレン(株)製、商品名:スタイロンG9401を使用し、ポリスチレン樹脂100重量部に対して、平均粒子径2μmのゼオライトを4重量部、併せて、難燃剤として、HBCD4重量部、造核剤としてタルク0.1重量部、滑剤としてステアリン酸バリウム0.25重量部をドライブレンドし、これらの樹脂混合物をタンデム型押出機へ供給した。
【0073】
第1押出機に供給した樹脂混合物を、約200℃に加熱して溶融混練し、発泡剤として、ポリスチレン樹脂100重量部に対して、水を2重量部、ジメチルエーテルを2.5重量部、イソブタンを3.5重量部(発泡剤100重量%に対して、水25重量%、ジメチルエーテル31重量%、イソブタン44重量%)からなる発泡剤を、それぞれ別のラインから、第1押出機の先端付近で樹脂中に圧入した。
【0074】
その後、第1押出機に連結された第2押出機、さらには冷却機で樹脂温度を約110〜130℃まで冷却し、冷却機の先端に設けたダイより大気中へ押出し、成形金型および成形ロールにより、厚さ50mm、幅170mmである断面形状の押出発泡板を得た。
【0075】
得られた発泡体は、発泡体気泡径が0.81mm、発泡体密度が26.7kg/m3の良好な発泡体であった。得られた発泡体の熱伝導率は0.039W/mK、圧縮強度は23.3N/cm2、燃焼性についてはJIS A 9511の基準を満たしていた。
【0076】
実施例4
ポリスチレン樹脂として、エー・アンド・エム スチレン(株)製、商品名:スタイロンG9401を使用し、ポリスチレン樹脂100重量部に対して、平均粒子径2μmのゼオライトを2重量部、併せて、難燃剤として、HBCD4重量部、造核剤としてタルク0.1重量部、滑剤としてステアリン酸バリウム0.25重量部をドライブレンドし、これらの樹脂混合物をタンデム型押出機へ供給した。
【0077】
第1押出機に供給した樹脂混合物を、約200℃に加熱して溶融混練し、発泡剤として、ポリスチレン樹脂100重量部に対して、水を1.5重量部、ジメチルエーテルを3重量部、イソブタンを3.5重量部(発泡剤100重量%に対して、水19重量%、ジメチルエーテル37重量%、イソブタン44重量%)からなる発泡剤を、それぞれ別のラインから、第1押出機の先端付近で樹脂中に圧入した。
【0078】
その後、第1押出機に連結された第2押出機、さらには冷却機で樹脂温度を約110〜130℃まで冷却し、冷却機の先端に設けたダイより大気中へ押出し、成形金型および成形ロールにより、厚さ50mm、幅170mmである断面形状の押出発泡板を得た。
【0079】
得られた発泡体は、発泡体気泡径が0.65mm、発泡体密度が25.4kg/m3の良好な発泡体であった。得られた発泡体の熱伝導率は0.038W/mK、圧縮強度は22.8N/cm2、燃焼性についてはJIS A 9511の基準を満たしていた。
【0080】
実施例5
ポリスチレン樹脂として、エー・アンド・エム スチレン(株)製、商品名:スタイロンG9401を使用し、ポリスチレン樹脂100重量部に対して、平均粒子径10μmのゼオライトを4重量部、併せて、難燃剤として、HBCD4重量部、造核剤としてタルク0.1重量部、滑剤としてステアリン酸バリウム0.25重量部をドライブレンドし、これらの樹脂混合物をタンデム型押出機へ供給した。
【0081】
第1押出機に供給した樹脂混合物を、約200℃に加熱して溶融混練し、発泡剤として、ポリスチレン樹脂100重量部に対して、水を2重量部、ジメチルエーテルを2.5重量部、イソブタンを3.5重量部(発泡剤100重量%に対して、水25重量%、ジメチルエーテル31重量%、イソブタン44重量%)からなる発泡剤を、それぞれ別のラインから、第1押出機の先端付近で樹脂中に圧入した。
【0082】
その後、第1押出機に連結された第2押出機、さらには冷却機で樹脂温度を約110〜130℃まで冷却し、冷却機の先端に設けたダイより大気中へ押出し、成形金型および成形ロールにより、厚さ50mm、幅170mmである断面形状の押出発泡板を得た。
【0083】
得られた発泡体は、発泡体気泡径が0.86mm、発泡体密度が27.3kg/m3の良好な発泡体であった。得られた発泡体の熱伝導率は0.039W/mK、圧縮強度は26.5N/cm2、燃焼性についてはJIS A 9511の基準を満たしていた。
【0084】
実施例6
ポリスチレン樹脂として、エー・アンド・エム スチレン(株)製、商品名:スタイロンG9401を使用し、ポリスチレン樹脂100重量部に対して、平均粒子径2μmのゼオライトを4重量部、併せて、難燃剤として、HBCD4重量部、造核剤としてタルク0.1重量部、滑剤としてステアリン酸バリウム0.25重量部をドライブレンドし、これらの樹脂混合物をタンデム型押出機へ供給した。
【0085】
第1押出機に供給した樹脂混合物を、約200℃に加熱して溶融混練し、発泡剤として、ポリスチレン樹脂100重量部に対して、水を2重量部、ジメチルエーテルを3重量部、プロパンを3重量部(発泡剤100重量%に対して、水25重量%、ジメチルエーテル38重量%、プロパン37重量%)からなる発泡剤を、それぞれ別のラインから、第1押出機の先端付近で樹脂中に圧入した。
【0086】
その後、第1押出機に連結された第2押出機、さらには冷却機で樹脂温度を約110〜130℃まで冷却し、冷却機の先端に設けたダイより大気中へ押出し、成形金型および成形ロールにより、厚さ40mm、幅170mmである断面形状の押出発泡板を得た。
【0087】
得られた発泡体は、発泡体気泡径が0.56mm、発泡体密度が28.4kg/m3の良好な発泡体であった。得られた発泡体の熱伝導率は0.039W/mK、圧縮強度は30.4N/cm2、燃焼性についてはJIS A 9511の基準を満たしていた。
【0088】
比較例1
ポリスチレン樹脂として、エー・アンド・エム スチレン(株)製、商品名:スタイロンG9401を使用し、ポリスチレン樹脂100重量部に対して、ゼオライトは添加せず、難燃剤として、HBCD4重量部、造核剤としてタルク0.1重量部、滑剤としてステアリン酸バリウム0.25重量部をドライブレンドし、これらの樹脂混合物をタンデム型押出機へ供給した。
【0089】
第1押出機に供給した樹脂混合物を、約200℃に加熱して溶融混練し、発泡剤として、ポリスチレン樹脂100重量部に対して、水を4.5重量部を第1押出機の先端付近で樹脂中に圧入した。
【0090】
その後、第1押出機に連結された第2押出機、さらには冷却機で樹脂温度を約110〜130℃まで冷却し、冷却機の先端に設けたダイより大気中へ押し出し、押出発泡板を得ようとした。しかしながら、ダイよりのガスの噴出しがあったり、押出系内の圧力変動がひどく、安定して発泡体が得られなかった。
【0091】
粗悪な発泡体であったが、可能な範囲で発泡体物性を評価した。発泡体断面形状は、厚さ30mm、幅160mm。発泡体気泡径が0.41mm、発泡体密度が73.2kg/m3。発泡体熱伝導率は0.046W/mK、圧縮強度は77.3N/cm2、燃焼性についてはJIS A 9511の基準を満たしていた。
【0092】
比較例2
ポリスチレン樹脂として、エー・アンド・エム スチレン(株)製、商品名:スタイロンG9401を使用し、ポリスチレン樹脂100重量部に対して、平均粒子径200μmのゼオライト10重量部を添加、併せて、難燃剤として、HBCD4重量部、造核剤としてタルク0.1重量部、滑剤としてステアリン酸バリウム0.25重量部をドライブレンドし、これらの樹脂混合物をタンデム型押出機へ供給した。
【0093】
第1押出機に供給した樹脂混合物を、約200℃に加熱して溶融混練し、発泡剤として、ポリスチレン樹脂100重量部に対して、水を4.5重量部を第1押出機の先端付近で樹脂中に圧入した。
【0094】
その後、第1押出機に連結された第2押出機、さらには冷却機で樹脂温度を約110〜130℃まで冷却し、冷却機の先端に設けたダイより大気中へ押し出し、押出発泡板を得ようとした。しかしながら、ダイよりのガスの噴出しがあったり、押出系内の圧力変動がひどく、安定して発泡体が得られなかった。
【0095】
粗悪な発泡体であったが、可能な範囲で発泡体物性を評価した。発泡体断面形状は、厚さ30mm、幅160mm。発泡体気泡径が0.35mm、発泡体密度が58.3kg/m3。発泡体熱伝導率は0.044W/mK、圧縮強度は65.3N/cm2、燃焼性についてはJIS A 9511の基準を満たしていた。
【0096】
比較例3
ポリスチレン樹脂として、エー・アンド・エム スチレン(株)製、商品名:スタイロンG9401を使用し、ポリスチレン樹脂100重量部に対して、ベントナイト10重量部を添加、併せて、難燃剤として、HBCD4重量部、造核剤としてタルク0.1重量部、滑剤としてステアリン酸バリウム0.25重量部をドライブレンドし、これらの樹脂混合物をタンデム型押出機へ供給した。
【0097】
第1押出機に供給した樹脂混合物を、約200℃に加熱して溶融混練し、発泡剤として、ポリスチレン樹脂100重量部に対して、水を4.5重量部を第1押出機の先端付近で樹脂中に圧入した。
【0098】
その後、第1押出機に連結された第2押出機、さらには冷却機で樹脂温度を約110〜130℃まで冷却し、冷却機の先端に設けたダイより大気中へ押し出し、押出発泡板を得ようとした。しかしながら、ダイよりのガスの噴出しがあったり、押出系内の圧力変動がひどく、安定して発泡体が得られなかった。
【0099】
粗悪な発泡体であったが、可能な範囲で発泡体物性を評価した。発泡体断面形状は、厚さ30mm、幅160mm。発泡体気泡径が0.21mm、発泡体密度が69.3kg/m3。発泡体熱伝導率は0.043W/mK、圧縮強度は75.2N/cm2、燃焼性についてはJIS A 9511の基準を満たしていた。
【0100】
前記実施例1〜6および比較例1〜3で得られた結果をまとめて表1に示す。
【0101】
【表1】
【0102】
【発明の効果】
本発明によれば、水分散剤としてゼオライトを使用することにより環境適合性に優れた水を発泡剤として、より分散性よく、多量の使用を可能化し、発泡効率を向上させることで有効に使用し、高度な断熱性、強度及び難燃性を有した軽量のスチレン系樹脂押出発泡体が得られる。
Claims (6)
- スチレン系樹脂を押出発泡してなるスチレン系樹脂押出発泡体であって、スチレン系樹脂100重量部に対して、発泡剤としての水を0.2〜8重量部使用し、平均粒子径15μm以下のゼオライトを0.1〜20重量部含有することを特徴とする、スチレン系樹脂押出発泡体。
- ゼオライトが、合成ゼオライトであることを特徴とする、請求項1に記載のスチレン系樹脂押出発泡体。
- 発泡剤が、水、エーテルおよび炭素数が3〜5の飽和炭化水素からなる混合発泡剤であることを特徴とする請求項1または2に記載のスチレン系樹脂押出発泡体。
- スチレン系樹脂100重量部に対し、発泡剤全量として5〜10重量部使用し、発泡剤全量100重量%に対して、水を5〜30重量%、エーテルを15〜50重量%、および、炭素数が3〜5の飽和炭化水素の少なくとも1種を20〜80重量%混合することを特徴とする請求項1〜3のいずれか1項に記載のスチレン系樹脂押出発泡体。
- 発泡体密度が20〜50kg/m3、発泡体厚みが20〜120mmであることを特徴とする請求項1〜4のいずれか1項に記載のスチレン系樹脂押出発泡体。
- スチレン系樹脂を加熱溶融させ、発泡剤を該スチレン系樹脂に添加し、ダイを通して押出発泡するスチレン系樹脂押出発泡体の製造方法であって、スチレン系樹脂100重量部に対して、平均粒子径15μm以下のゼオライトを0.1〜20重量部を含有させ、さらに、発泡剤として、発泡剤全量として5〜10重量部使用し、発泡剤全量100重量%に対して、水5〜30重量%、エーテル15〜50重量%、および、炭素数が3〜5の飽和炭化水素の少なくとも1種20〜80重量%からなる混合発泡剤を共存させて押出発泡する事を特徴とするスチレン系樹脂押出発泡体の製造方法。
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