JP2009298876A - スチレン系樹脂押出発泡体及びその製造方法 - Google Patents

スチレン系樹脂押出発泡体及びその製造方法 Download PDF

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Abstract

【課題】 内部減圧中空球状無機微粒子を断熱性向上剤として使用し、断熱性に優れたスチレン系樹脂押出発泡体及びその製造方法を提供する。
【解決手段】 スチレン系樹脂を加熱溶融させ、発泡剤を該スチレン系樹脂に添加し、ダイを通して押出発泡するスチレン系樹脂押出発泡体であって、スチレン系樹脂100重量部に対して、内部が中空でかつ内部圧力が大気圧未満である無機微粒子を3〜15重量部有することにより、上記特性を有するスチレン系樹脂押出発泡体を得ることができる。
【選択図】なし

Description

本発明は、建築用断熱材などに好適に使用されるスチレン系樹脂押出発泡体およびその製造方法に関する。更に詳しくは、環境適合性に優れ、断熱建材用途に適した難燃性、強度物性を保有し、かつ高断熱性能を有するスチレン系樹脂押出発泡体及びその製造方法に関する。
従来、スチレン系樹脂押出発泡体は、施工性、断熱特性への好適性から、建屋の断熱材として汎用されてきた。スチレン系樹脂押出発泡体を得るには、スチレン系樹脂を押出機にて加熱溶融し、途中、発泡剤を添加・混練することにより流動ゲルを得た後、流動ゲルを発泡に適する温度に冷却して、ダイを通して低圧領域に圧力開放して発泡させ、同時に、成形金型等を用いて板状に成形することにより、発泡体を得る方法が一般的である。
近年の地球温暖化、省エネ化が叫ばれる以前から、スチレン系樹脂押出発泡体は、その断熱性能を如何に高くするかに関して、多くの研究資源が投入されてきた。
一般に、発泡体の熱伝導率は、下式により決定される。
λ=λ+λ+λ
なお、λ:発泡体の熱伝導率、λ:樹脂の熱伝導率、λ:気体の熱伝導率、λ:輻射による熱伝導率を指す。
λはポリスチレンの熱伝導率であるため、一定であることから、発泡体の熱伝導率を低くするためには、λおよびλを如何に低減させるかがキーポイントとなる。
λを低減させる手段としては、発泡剤としてフロン142b、フロン134aに代表される熱伝導率の低いフロンガスを用いる技術が、過去の多くの先行特許において提案されてきた。
しかしながら、近年、オゾン層問題、地球温暖化問題が注目されており、フロンガスの代替品として飽和炭化水素ガスが使われてきている。更に近年、飽和炭化水素ガスよりもクリーンな発泡剤として、二酸化炭素や水などの代替ガスが提案されてきている。
しかしながら、飽和炭化水素ガスは、フロンガスと比較して熱伝導率λが高く、また、二酸化炭素は、熱伝導率自体は低いものの、発泡体からのガス拡散速度が極めて速いため、発泡体中に留まることができず、熱伝導率低減すなわち断熱性能に寄与することができない。
さらに、いずれの発泡性ガスを用いるにせよ、経時的に発泡体中へ空気が流入するため、λは徐々に増加し、結果として発泡体の断熱性能は徐々に悪化する傾向にある。
これらの背景から、λの熱伝導率増加分を補うため、以下のようなλを低減させる技術が開発されてきた。
λを抑えるために、赤外線反射能の大きいアルミ粉、銀粉、グラファイト粉、酸化チタン等の物質を発泡体中に添加する技術がある(特許文献1〜3参照)しかしながら、断熱性能と共に、難燃性を得るために、これらの物質と難燃剤とを同時に樹脂に添加し、押出発泡させた場合には、これらの物質が引き金となって樹脂を劣化させる悪影響を及ぼし、また、独立気泡が形成できないために、板状成形体を得ることが困難となる、等の問題があった。
また、別の技術として、ベントナイトを水の分散媒体として添加し、水を発泡剤として有効利用することにより、大小気泡構造を有する発泡体をより有利に得、該大小気泡構造により、輻射伝熱を抑制(λを低減)して、高い断熱性能を得る技術がある(特許文献4参照)。しかしながら、この技術においては、吸水媒体の種類やスチレン系樹脂の種類等、発泡条件によって大小気泡構造を生成具合が異なることから、より容易に断熱性能を向上させる技術が要望されていた。
特開昭63−183941号公報 特開2002−194129号公報 特開2005−2268号公報 特開2001−200087号公報
このように、高断熱性をスチレン系樹脂発泡体に付与するために、λrを低減させる技術が数多く報告されているが、その技術には課題も多く、更なる断熱性を得るためには、λgを低減させる技術の開発が必要となる。
本発明者は、前記課題の解決のため鋭意研究の結果、スチレン系樹脂押出発泡体に、内部が中空でかつ内圧が大気圧未満である無機微粒子を含有させることにより、発泡体中に含まれる気体の熱伝導率λを低減せしめ、断熱性に優れたスチレン系樹脂押出発泡体を得ることができることを見出し、本発明を完成させるに至った。
すなわち、本発明は、
[1]スチレン系樹脂を加熱溶融させ、発泡剤を添加し、これを押出発泡してなるスチレン系樹脂発泡体であって、スチレン系樹脂100重量部に対して、断熱性向上剤として、内部が中空でかつ内部圧力が大気圧未満である無機微粒子を3〜15重量部含有することを特徴とするスチレン系樹脂押出発泡体、
[2]内部が中空でかつ内部圧力が大気圧未満である無機微粒子の内部圧P0.5×10Pa以下であることを特徴とする[1]記載のスチレン系樹脂押出発泡体、
[3]内部が中空でかつ内部圧力が大気圧未満である無機微粒子の、レーザー散乱式粒度測定による平均粒径が30〜50μmであることを特徴とする、[1]または[2]に記載のスチレン系樹脂押出発泡体、
[4]発泡剤として、スチレン系樹脂100重量部に対して、a)ジメチルエーテル、塩化メチル、塩化エチルから選ばれる少なくとも1種の化合物を1.0〜7.0重量部と、b)炭素数が3〜5である飽和炭化水素の少なくとも1種を2〜5重量部、c)水、二酸化炭素、窒素、及び炭素数1〜3である1級アルコールから選ばれる、少なくとも1種以上をそれぞれ0〜1重量部用いることを特徴とする、[1]〜[3]のいずれかに記載のスチレン系樹脂押出発泡体、
[5)炭素数が3〜5である飽和炭化水素が、プロパン、n−ブタン、i−ブタンよりなる群から選ばれる少なくとも1種の飽和炭化水素であることを特徴とする、[1]〜[4]のいずれかに記載のスチレン系樹脂押出発泡体、および
[6]スチレン系樹脂を加熱溶融させ、発泡剤を該スチレン系樹脂に添加し、ダイを通して押出発泡するスチレン系樹脂押出発泡体の製造方法であって、スチレン系樹脂100重量部に対して、内部が中空でかつ内部圧力が大気圧未満である無機微粒子を3〜15重量部、発泡剤として、スチレン系樹脂100重量部に対して、a)ジメチルエーテル、塩化メチル、塩化エチルから選ばれる少なくとも1種の化合物を1.0〜7.0重量部と、b)炭素数が3〜5である飽和炭化水素を2〜5重量部、c)水、二酸化炭素、窒素、及び炭素数1〜3である1級アルコールから選ばれる、少なくとも1種以上をそれぞれ0〜1重量部用いることを特徴とする、[1]〜[5]のいずれかにスチレン系樹脂押出発泡体の製造方法
に関する。
本発明によれば、高度な断熱性を有するスチレン系樹脂押出発泡体が得られる。
本発明では、スチレン系押出発泡体に対して、内部が中空でかつ内圧が大気圧未満である無機微粒子を含有させることにより、得られる発泡体の熱伝導率を低減することができる。すなわち、内部が中空でかつ内圧が大気圧未満である無機微粒子(以下、「内部減圧中空無機微粒子」と称する場合がある)の内部には、空気が流入せず、さらに、内部に存在する減圧状態にある気体は、熱伝導率λが空気熱伝導率λのよりも小さいことから、得られる発泡体の熱伝導率を低減することができる。
本発明で使用される内部減圧中空無機微粒子の内部圧力は、熱伝導率低減効果の点から、1.01325×10Pa未満であることが好ましく、0.5×10Pa以下であることがより好ましく、0.3×10Pa以下であることがさらに好ましい。
本発明で使用される中空無機微粒子の材質としては、特に限定されないが、例えば、珪酸ガラス、ホウ珪酸ガラス、アルミノ珪酸ガラス等や、シラス・黒曜石などの天然の火山性ガラス系のものがあげられる。これらのうちでも、耐久性・耐熱性に優れ、押出機内の圧力に耐え、粒子の破壊が起こらず、また、断熱材に難燃性を付与するため、難燃剤と併用した時においても樹脂劣化を引き起こさない点から、ホウ珪酸ガラスであることが望ましい。
本発明で使用される中空球状無機微粒子を商品名で挙げるならば、東海工業(株)製セルスター、等が挙げられる。
本発明で使用される中空無機微粒子の形状は、特に限定されないが、耐衝撃性の点から、球状が好ましい。
本発明で使用される中空球状無機微粒子の、レーザー散乱式粒度測定による平均粒径は30〜50μmであることが好ましい。中空無機微粒子の平均粒径が50μmを超えると、粒径の大きい粒子が存在するため、発泡体のセル膜を貫通してしまい、独立気泡率が低下し、結果、発泡体への空気の流入が促進され、熱伝導率の低減効果が減少する傾向にある。また、平均粒径が30μm未満では微粒子に占める減圧気体の割合が少ないため、熱伝導率低減効果が少なくなる傾向にある。
本発明における中空球状無機微粒子の含有量は、スチレン系樹脂100重量部に対して、3〜15重量部が好ましく、3〜10重量部がより好ましい。中空球状無機微粒子の含有量が3重量部よりも少ないと、熱伝導率低減効果が十分に発揮されない傾向がある。一方、含有量が15重量部よりも多いと、押出機への食い込み不良が起きる傾向にある。
本発明で用いられるスチレン系樹脂は、特に限定されるものではなく、スチレン単量体のみから得られるスチレンホモポリマー、スチレン単量体とスチレンと共重合可能な単量体あるいはその誘導体から得られるランダム、ブロックあるいはグラフト共重合体、後臭素化ポリスチレン、ゴム強化ポリスチレンなどの変性ポリスチレンなどが挙げられる。これらは単独あるいは2種以上混合して使用することができる。
スチレンと共重合可能な単量体としては、メチルスチレン、ジメチルスチレン、エチルスチレン、ジエチルスチレン、イソプロピルスチレン、ブロモスチレン、ジブロモスチレン、トリブロモスチレン、クロロスチレン、ジクロロスチレン、トリクロロスチレンなどのスチレン誘導体、ジビニルベンゼンなどの多官能性ビニル化合物、アクリル酸、メタクリル酸、アクリル酸メチル、メタクリル酸メチル、アクリル酸エチル、メタクリル酸エチル、アクリロニトリルなどの(メタ)アクリル系化合物、ブダジエンなどのジエン系化合物あるいはその誘導体、無水マレイン酸、無水イタコン酸などの不飽和カルボン酸無水物などが挙げられる。これらは単独あるいは2種以上混合して使用することができる。
本発明におけるスチレン系樹脂としては、コストの点から、スチレンホモポリマーが好ましい。
本発明で使用される発泡剤としては、a)ジメチルエーテル、塩化メチル、塩化エチルから選ばれる少なくとも1種の化合物を含むことが、スチレン系樹脂に対して可塑化作用が良好で、発泡性が良好な点から、好ましい。
本発明におけるa)ジメチルエーテル、塩化メチルおよび塩化エチルから選ばれる少なくとも1種の化合物の使用量は、発泡体の低密度化、発泡体成形性を良好なものにするためには、スチレン系樹脂100重量部に対して、2.5〜6重量部であることが好ましく、3.5〜5重量部であることがより好ましい。
本発明で使用される発泡剤としては、b)炭素数が3〜5である飽和炭化水素の少なくとも1種を2〜5重量部含むことが、高発泡化、高断熱性能の点から、好ましい。
本発明で用いられる炭素数3〜5の飽和炭化水素としては、プロパン、n−ブタン、i−ブタン、n−ペンタン、i−ペンタン、ネオペンタンなどが挙げられる。特に好ましくは、n−ブタン、i−ブタンである。
炭素数3〜5の飽和炭化水素の少なくとも1種の使用量は、飽和炭化水素化合物の種類、発泡体の密度などによっても異なるが、スチレン系樹脂100重量部に対して、2〜5重量部であることが好ましく、さらに好ましくは、飽和炭化水素化合物の種類によっても異なるが、プロパンでは、2〜5重量部、特に好ましくは、2〜4重量部、n−ブタン、i−ブタンでは、2〜4重量部、特に好ましくは、2〜3.5重量部、n−ペンタン、i−ペンタン、ネオペンタンでは、2〜5重量部が断熱性能と難燃性の点から好ましい。
他の発泡剤として、c)水、二酸化炭素、窒素及び炭素数1〜3の一級アルコールよりなる群から選ばれる少なくとも1種も使用することができ、発泡剤の種類、発泡体のガス透過性や密度などによっても異なるが、発泡体の低密度化、発泡体成形性を良好なものにするために、スチレン系樹脂100重量部に対して、0〜1重量部が好ましい。
本発明では、熱可塑性樹脂に通常使用される難燃剤を特別に限定することなく、使用することができる。それらの中では、ハロゲン系難燃剤が一般的に使用される。例えば、臭素系難燃剤として、ヘキサブロモシクロドデカン(HBCD)などの脂肪族あるいは脂環式炭化水素の臭素化物、ヘキサブロモベンゼン、エチレンビスペンタブロモジフェニル、デカブロモジフェニルエタン、デカブロモジフェニルエーテル、オクタブロモジフェニルエーテル、2,3−ジブロモプロピルペンタブロモフェニルエーテルなどの芳香族化合物の臭素化物、テトラブロモビスフェノールA、テトラブロモビスフェノールAビス(2,3−ジブロモプロピルエーテル)、テトラブロモビスフェノールA(2−ブロモエチルエーテル)、テトラブロモビスフェノールAジグリシジルエーテル、テトラブロモビスフェノールAジグリシジルエーテルとトリブロモフェノールとの付加物などの臭素化ビスフェノール類およびその誘導体、テトラブロモビスフェノールAポリカーボネートオリゴマー、テトラブロモビスフェノールAジグリシジルエーテルとブロモ化ビスフェノールとの付加物のエポキシオリゴマーなどの臭素化ビスフェノール類誘導体オリゴマー、エチレンビステトラブロモフタルイミド、ビス(2,4,6ートリブロモフェノキシ)エタンなどの臭素系芳香族化合物、臭素化アクリル系樹脂、エチレン−ビスジブロモノルボルナンジカルボキシイミドなどがあげられる。塩素系難燃剤として、塩素化パラフィン、塩素化ナフタレン、パークロロペンタデカンなどの塩素化脂肪族化合物、塩素化芳香族化合物、塩素化脂環式化合物などがあげられる。これら化合物は単独または2種以上を混合して使用できる。
ハロゲン系難燃剤の中では、難燃性の点から臭素系難燃剤が好ましく、特にスチレン系樹脂との相溶性などの点からヘキサブロモシクロドデカン(HBCD)が好ましい。
ハロゲン系難燃剤の含有量は、JIS A9511に規定される難燃性を得られるように、発泡剤添加量などにあわせて適宜調整されるものであるが、スチレン系樹脂100重量部に対して、0.1〜10重量部が好ましく、1〜9重量部がより好ましく、2〜8重量部がさらに好ましく、3〜7重量部が特に好ましい。ハロゲン系難燃剤の含有量が0.1重量部未満では、本発明の目的とする難燃性が得られがたい傾向があり、一方、10重量部を超えると、発泡体製造の際の成形性などを損なう場合がある。
また本発明においては、必要に応じて本発明の効果を阻害しない範囲で、シリカ、タルク、ケイ酸カルシウム、ワラストナイト、カオリン、クレイ、マイカ、酸化亜鉛、炭酸カルシウムなどの無機化合物、ステアリン酸ナトリウム、ステアリン酸マグネシウム、ステアリン酸バリウム、ステアリン酸カルシウム、流動パラフィン、オレフィン系ワックス、ステアリルアミド系化合物などの加工助剤、フェノール系抗酸化剤、リン系安定剤、ベンゾトリアゾール類、ヒンダードアミン類などの耐光性安定剤、他の難燃剤、帯電防止剤、顔料などの着色剤などの添加剤を含有させることができる。
本発明のスチレン系樹脂押出発泡体は、スチレン系樹脂に、内部減圧中空無機微粒子、必要に応じて、ハロゲン系難燃剤、リン酸エステル系化合物、他の添加剤を混合した後、押出機に供給し加熱溶融し、任意の段階の高圧条件下にて、発泡剤をスチレン系樹脂に添加し、流動ゲルとなし、押出発泡に適する温度に冷却し、ダイを通して該流動ゲルを低圧領域に押出発泡して、発泡体を形成することにより製造される。
スチレン系樹脂と発泡剤などの添加剤を加熱溶融混練する際の加熱温度、溶融混練時間および溶融混練手段については特に制限するものではない。加熱温度は、使用するスチレン系樹脂が溶融する温度以上であればよいが、難燃剤などの影響による樹脂の分子劣化ができる限り抑制される温度、たとえば150〜220℃程度が好ましい。溶融混練時間は、単位時間あたりの押出量、溶融混練手段などによって異なるので一概には決定することができないが、スチレン系樹脂と発泡剤が均一に分散混合するのに要する時間が適宜選ばれる。また溶融混練手段としては、例えばスクリュー型の押出機などが挙げられる。
本発明では、発泡成形方法も特に制限されないが、例えば、スリットダイより圧力開放して得られた発泡体をスリットダイと密着または接して設置した成形金型および成形ロールなどを用いて、断面積の大きい板状発泡体を成形する一般的な方法を用いることができる。
本発明の発泡体の厚さは特に制限されず、用途に応じて適宜選択される。例えば、建材などの用途に使用される断熱材の場合、好ましい断熱性、曲げ強度および圧縮強度を付与せしめるためには、シートのような薄いものよりも、通常の板状物のように厚さのあるものが好ましく、通常10〜150mm、好ましくは20〜100mmである。
本発明の発泡体の密度については、軽量でかつ優れた断熱性および曲げ強度、圧縮強度を付与せしめるためには、20〜40kg/mであることが好ましい。
本発明で得られたスチレン系押出発泡体は、高断熱性の特性を有することから、建材等の用途に好適に用いられる。
次に、本発明のスチレン系樹脂押出発泡体およびその製造方法を実施例に基づいて、さらに詳細に説明するが、本発明はかかる実施例のみに限定されるものではない。
得られた発泡体の特性として、発泡体密度、発泡体平均気泡径、発泡体熱伝導率、押出状況・成形性を、下記の方法に従って測定した。
(1)発泡体密度(kg/m
得られた発泡体密度は、次の式に基づいて求め、単位をkg/mに換算して示した。
発泡体密度(g/cm)=発泡体重量(g)/発泡体体積(cm
(2)発泡体平均気泡径(mm)
得られた発泡体の平均気泡径は、ASTM D−3576に準じて測定した。
(3)発泡体熱伝導率(W/mK)
得られた発泡体の熱伝導率は、JIS A9511に準じて測定した。測定は、製造後30日経過した発泡体について行った。
(4)押出状況・成形性
押出機の圧力変動が無く、発泡体が板状に成形できるものについては○、そうでないものについては×とした。
(実施例1)
ポリスチレン樹脂[PSジャパン(株)製、商品名:G9401]100重量部に対して、内部減圧中空無機微粒子[東海工業(株)製、商品名:セルスターT36(素材:ホウケイ酸ガラス、レーザー散乱式粒度測定による平均粒径=40μm、内部圧力P=0.25×10Pa)]3.0重量部、臭素系難燃剤としてヘキサブロモシクロドデカン[アルベマール日本(株)製、商品名:HP900G]3.0重量部、気泡調整剤としてタルク[林化成(株)製、商品名:TALCAN POWDER PK−Z]0.1重量部、その他の添加剤として、ステアリン酸バリウム0.3重量部をドライブレンドし、得られた樹脂混合物を口径65mmの単軸押出機(一段目押出機)と口径90mmの単軸押出機(二段目押出機)を直列に連結した二段押出機へ、約50kg/hrの割合で供給した。
一段目押出機に供給した樹脂混合物を、200℃に加熱して溶融ないし可塑化、混練し、これに連結された二段目押出機内にて樹脂温度を120℃に冷却した後、二段目押出機の先端に設けた厚さ方向3mm、幅方向50mmの長方形断面の口金より大気中へ押し出し、厚さ約60mm、幅約150mmの直方体状の押出発泡体を得た。
この際、発泡剤として、ポリスチレン樹脂100部に対してn−ブタン3.0重量部およびジメチルエーテル4.0重量部を、それぞれ別のラインから、一段目押出機の先端付近から、前記溶融混練樹脂中に圧入した。
得られた発泡体は、発泡体密度が33kg/m、平均気泡径0.2mm、熱伝導率については、0.035W/mK、押出状況・成形性については良好であった。
(実施例2)
内部減圧中空無機微粒子の含有量を10重量部に変更した以外は、実施例1と同様の手順にて発泡体を作成した。
得られた発泡体は、発泡体密度が33kg/m、平均気泡径0.2mm、熱伝導率については、0.034W/mK、押出状況・成形性については良好であった。
(実施例3)
内部減圧中空無機微粒子の含有量を15重量部に変更した以外は、実施例1と同様の手順にて発泡体を作成した。
得られた発泡体は、発泡体密度が33kg/m、平均気泡径0.2mm、熱伝導率については、0.033W/mK、押出状況・成形性については良好であった。
(実施例4)
発泡剤をプロパン2.5重量部、ジメチルエーテル4.0重量部、水0.7重量部に変更及び、添加剤としてゼオライトを1.0重量部加えた以外は、実施例2と同様の手順にて発泡体を作成した。
得られた発泡体は、発泡体密度が33kg/m、平均気泡径0.21mm、熱伝導率については、0.034W/mK、押出状況・成形性については良好であった。
(実施例5)
発泡剤として、プロパン2.5重量部、ジメチルエーテル4.0重量部、エチルアルコール0.7重量部に変更した以外は、実施例2と同様の手順にて発泡体を作成した。
得られた発泡体は、発泡体密度が34kg/m、平均気泡径0.20mm、熱伝導率については、0.034W/mK、押出状況・成形性については良好であった。
(実施例6)
発泡剤として、プロパン2.5重量部、ジメチルエーテル4.0重量部、二酸化炭素0.7重量部に変更した以外は、実施例2と同様の手順にて発泡体を作成した。
得られた発泡体は、発泡体密度が30kg/m、平均気泡径0.24mm、熱伝導率については、0.035W/mK、押出状況・成形性については良好であった。
(実施例7)
内部減圧無機微粒子の平均粒径を56μmに変更した[東海工業(株)製、商品名:セルスターZ−36(素材:ホウケイ酸ガラス、内部圧力P=0.25×10Pa)]以外は、実施例2と同様の手順にて発泡体を作成した。
得られた発泡体は、発泡体密度が33kg/m、平均気泡径0.21mm、熱伝導率については、0.035W/mK、押出状況・成形性については良好であった。
(比較例1)
内部減圧中空球状無機微粒子を添加しなかった以外は、実施例2と同様の手順にて発泡体を作成した。
得られた発泡体は、発泡体密度が33kg/m、平均気泡径0.20mm、熱伝導率については、0.036W/mK、押出状況・成形性については良好であった。
(比較例2)
内部減圧中空球状無機微粒子を1.0重量部、発泡剤として、プロパン2.5重量部、ジメチルエーテル4.0重量部、水0.7重量部に変更した以外は、実施例2と同様の手順にて発泡体を作成した。
得られた発泡体は、発泡体密度が32kg/m、平均気泡径0.22mm、熱伝導率については、0.037W/mK、押出状況・成形性については良好であった。
(比較例3)
内部減圧中空球状無機微粒子を20重量部、発泡剤として、プロパン2.5重量部、ジメチルエーテル4.0重量部、水0.7重量部に変更した以外は、実施例2と同様の手順にて発泡体を作成した。
押出状況・成形性については不良で、目的とする発泡体は得られなかった。
(比較例4)
内部減圧中空球状無機微粒子の代わりに、内部圧力Pが大気圧(1.01325×10Pa)の無減圧中空球状無機微粒子[ポッターズ・バロティーニ株式会社製、商品名:Q−CEL5070S(素材:ホウケイ酸ガラス、平均粒径35μm、内部圧力P=大気圧)]を添加した以外は、実施例1と同様の手順にて発泡体を作成した。
得られた発泡体は、発泡体密度が33kg/m、平均気泡径0.20mm、熱伝導率については、0.036W/mK、押出状況・成形性については良好であった。
前記実施例1〜7および比較例1〜4で得られた結果を、表1にまとめて示す。

Claims (6)

  1. スチレン系樹脂を加熱溶融させ、発泡剤を添加し、これを押出発泡してなるスチレン系樹脂発泡体であって、
    スチレン系樹脂100重量部に対して、内部が中空でかつ内部圧力が大気圧未満である無機微粒子を3〜15重量部含有することを特徴とするスチレン系樹脂押出発泡体。
  2. 内部が中空でかつ内部圧力が大気圧未満である無機微粒子の内部圧が、0.5×10Pa以下であることを特徴とする請求項1に記載のスチレン系樹脂押出発泡体。
  3. 内部が中空でかつ内部圧力が大気圧未満である無機微粒子の、レーザー散乱式粒度測定による平均粒径が、30〜50μmであることを特徴とする請求項1または2に記載のスチレン系樹脂押出発泡体。
  4. 発泡剤として、スチレン系樹脂100重量部に対して、a)ジメチルエーテル、塩化メチルおよび塩化エチルよりなる群から選ばれる少なくとも1種の化合物を1.0〜7.0重量部と、b)炭素数が3〜5である飽和炭化水素の少なくとも1種を2〜5重量部、c)水、二酸化炭素、窒素および、炭素数1〜3の1級アルコールよりなる群から選ばれる少なくとも1種を0〜1重量部用いることを特徴とする、請求項1〜3のいずれか1項に記載のスチレン系樹脂押出発泡体。
  5. 炭素数が3〜5である飽和炭化水素が、プロパン、n−ブタン、i−ブタンよりなる群から選ばれる少なくとも1種の飽和炭化水素であることを特徴とする、請求項1〜4のいずれか1項に記載のスチレン系樹脂押出発泡体。
  6. スチレン系樹脂を加熱溶融させ、発泡剤を該スチレン系樹脂に添加し、ダイを通して押出発泡するスチレン系樹脂押出発泡体の製造方法であって、
    スチレン系樹脂100重量部に対して、内部が中空でかつ内部圧力が大気圧未満である無機微粒子を3〜15重量部、かつ、発泡剤として、a)ジメチルエーテル、塩化メチル、塩化エチルよりなる群から選ばれる少なくとも1種の化合物を1.0〜7.0重量部と、b)炭素数が3〜5である飽和炭化水素を2〜5重量部、c)水、二酸化炭素、窒素および、炭素数1〜3の1級アルコールよりなる群から選ばれる少なくとも1種を0〜1重量部用いることを特徴とする、請求項1〜5のいずれか1項に記載のスチレン系樹脂押出発泡体の製造方法。
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